JP2005049342A - 担体およびマイクロ検査素子とそれらの製造方法並びにレーザ加工機 - Google Patents

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英紀 長田
Fumiaki Okazaki
文彰 岡崎
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Abstract

【課題】
診断薬、遺伝学、免疫学、薄膜技術、計測器の校正、等の分野において、目的
に応じた径を有し、各々の粒子に、互いに識別可能な識別符号が付与された担体
、当該担体から製造されるマイクロ検査素子、およびこれらの製造方法を提供す
る。
【解決手段】
所望の径を有するポリスチレン製等の担体2を、担体保持型に設けられた担体
保持孔に設置し、押し型によって担体2に担体平面部4を加工した後、XYZス
テージと、一方の先端が絞られ他方がレーザ発振器に接続された光ファイバーと
を有するレーザ加工機へ載置する。次に、XYZステージの動作により、前記担
体平面部4上の所定位置に、前記絞られた光ファイバー先端を位置させてレーザ
を発振し、生成する近接場光により識別符号3を付与する。担体2へ付与された
識別符号3に対応する識別物質5を、当該担体2へ担持させマイクロ検査素子1
とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、診断薬、遺伝学、免疫学、薄膜技術、計測器の校正等の分野において用いることのできる担体およびマイクロ検査素子と、その製造方法、並びにレーザ加工機に関する。
従来から、診断薬、遺伝学、免疫学、薄膜技術、計測器の校正等の分野において、目的に応じた径を有し、各々の粒子に識別可能な識別符号が付与された担体、ビーズの開発が所望されてきた。
例えば、遺伝学における遺伝子解析では、現在、DNAチップが用いられている。DNAチップは、識別物質として予め解読されたDNA断片(プローブ)を複数種用いて、検査対象である被検DNAの塩基配列を特定しようとするものである。現在普及しているDNAチップには、米国Affymetrix社のいわゆるGene Chipがある。これは、図5に示すように、数センチ角の基板上に、多数のDNA断片を格子状に配置してなる。DNA断片の固定には、フォトリソグラフィー技術等が用いられる。また、特許文献1に開示されてあるように、基板の空き領域に、そのDNAチップを他の種類のDNAチップと区別するためにバーコード等を付して管理番号をもたせたものもある。なお、図5は、説明のための模式図であり、実際には同一の基板上に、数百〜数十個程度のDNA断片が固定される。
また、こうしたDNAチップと同様の考え方に基づいて、上記識別物質としてタンパク質を用い、これを基板上に配置したいわゆるタンパク質チップと称されるもの等の開発も進められている。なお、DNAチップやタンパク質チップは、マイクロアレイとも称されている。
しかしながら、従来のDNAチップやタンパク質チップ等(以下、チップという。)の構成では、基板上に固定する識別物質をフレキシブルに変更できない。
そのため、用途毎にチップを初めから製作する必要がある。
また一般に、上記チップには、汎用性を高めるために予め幾つかの用途を想定して選択された多数の識別物質が担持される。従って、例えば数個から数十個稈度の識別物質を用いるだけで充分に検査対象を特定できるような場合であっても、当該検査に実質的に寄与しない識別物質までが冗長的に担持されたチップが用いられることもあった。
また、上記チップを用いた検査方法は、基板上に配列された識別物質の2次元座標位置(番地)を読み取る工程を有するが、2次元座標の読み取りは煩雑かつ困難であると共に、読み取り誤りが発生しやすいという観点より、本発明者は特許文献2において、検査対象を識別する複数の識別物質のうちの一つのみが、個別の担体に担持されてなるマイクロ検査素子を提案した。このマイクロ検査素子を用いれば、最小単位の識別物質ごとの取り扱いが可能となるから、このマイクロ検査素子を複数ストックしておけば、用途毎に始めから専用のチツプを構成しなくても、ストック中のマイクロ検査素子をフレキシブルに組み合わせるだけで、検査対象を識別するのに必要充分な検査キットを構成できる。
一方、非特許文献1には、最近の試みとして、微小なビーズにタンパク質をつけ、溶液中でこれらと相互作用するタンパク質を検出する方法が紹介されている。この方法では、タンパク質のプロファイリング法として、2色の有機色素や蛍光色素を適当な割合で混合し、100種類程度のビーズを作成し、それぞれに固有のタンパク質をつけて、各ビーズの区別を行う方法である。
また、当該文献にはアルミナの円筒粒子に、環状の印を設けて区別可能な微少チップとする試みも紹介されている。
特開2001−133464号公報 特願2002−131936 綱澤 進著、プロテインチップ開発の現状と展望 医学の歩みVol.202No5 2002.8.3 P313)
上述した、微少なビーズ等の担体にプロテイン等を担持させ、マイクロ検査素子とすることは、被検査対象を生体にまで拡大できる可能性を有し、開発が期待されているものである。しかし、被担持対象であるプロテインおよびその断片、DNA断片等は種類が、30万以上と膨大なものであり、従来の技術で記載した色素による区別、或いは、円筒形の担体上に付与された環状印を用いた符号表現による識別では対応することが困難である。
一方で、微少なビーズ等の担体が多数識別可能となれば、そのような担体自体も、薄膜技術、計測器の校正、等の分野において、例えば大きさ、形状等の規準部品として広い応用分野が見込めるものである。
本発明は、このような背景のもとで成されたものであり、診断薬、遺伝学、免疫学等の分野において各種物質の担体、薄膜技術、計測器の校正等の分野において大きさや形状の規準部品等として用いることのできる、目的に応じた径や大きさ、形状を有し、各々の粒子に、互いに識別可能な識別符号が付与された担体、さらには、当該担体から製造されるマイクロ検査素子、およびこれらの製造方法、並びに前記製造方法に好適なレーザ加工機を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明の有する第1の構成は、
径が0.1μm〜30μmの略球状を有する担体であって、
前記担体の表面に、前記担体を識別可能とする識別符号が付与されていることを特徴とする担体である。
第2の構成は、径が0.1μm〜30μmの略球状を有する担体であって、
前記担体の表面に、1000種類以上の前記担体を識別可能な識別符号が付与されていることを特徴とする担体である。
第3の構成は、略多角柱形状または略円柱形状を有する担体であって、
前記担体の最も長い部分が30μm以下であり、前記担体の平面部の最も短い部分が0.1μm以上であり、
前記担体の平面部に、前記担体を識別可能とする識別符号が付与されていることを特徴とする担体である。
第4の構成は、略多角柱形状または略円柱形状を有する担体であって、
前記担体の最も長い部分が30μm以下であり、前記担体の平面部の最も短い部分が0.1μm以上であり、
前記担体の表面に、1000種類以上の前記担体を識別可能な識別符号が付与されていることを特徴とする担体である。
第5の構成は、第1から第4の構成のいずれかに記載の担体であって、
前記識別符号が、2次元バーコードであることを特徴とする担体である。
第6の構成は、第1から第5の構成のいずれかに記載の担体であって,
前記担体の材質が、生体内で分解容易な樹脂であることを特徴とする担体である。
第7の構成は、第1から第5の構成のいずれかに記載の担体であって,
前記担体の材質が、生体内で分解されにくい樹脂であることを特徴とする担体である。
第8の構成は、第1から第5の構成のいずれかに記載の担体であって,
前記担体の材質が、スチレン樹脂および/またはアクリル樹脂および/またはブタジエン樹脂であることを特徴とする担体である。
第9の構成は、第1から第8の構成のいずれかに記載の担体が、生体物質と反応する識別物質を担持していることを特徴とするマイクロ検査素子である。
第10の構成は、第9の構成に記載のマイクロ検査素子であって、
前記識別物質とは、DNAおよび/またはプロテインおよび/または抗原および/または抗体の、全体または断片であることを特徴とするマイクロ検査素子である。
第11の構成は、第1から第8の構成のいずれかに記載の担体の製造方法であって、
前記担体を保持型に保持する工程と、前記保持型に保持された前記担体の表面に前記識別符号を付与する工程とを有し、
前記識別符号の付与を、近接場光を用いて行うことを特徴とする担体の製造方法である。
第12の構成は、第3から第8の構成のいずれかに記載の担体の製造方法であって、
所定の膜厚を有する樹脂膜を成膜する工程と、前記樹脂膜に前記識別可能な識別符号を所定数個付与する工程と、前記樹脂膜を、前記識別符号を1個以上含むように切断する工程とを有することを特徴とする担体の製造方法である。
第13の構成は、第12の構成に記載の担体の製造方法であって、
前記識別符号の付与を、近接場光を用いて行うことを特徴とする担体の製造方法である。
第14の構成は、第9または第10の構成に記載のマイクロ検査素子の製造方法であって、
第1から第8の構成のいずれかに記載の担体を、前記識別物質を含有する溶液に浸漬し、前記識別物質を前記担体に担持させることを特徴とするマイクロ検査素子の製造方法である。
第15の構成は、第1から第8の構成のいずれかに記載の担体へ識別符号を付与するためのレーザ加工機であって、
適宜なレーザ光源に接続され、先端から近接場光を発生する光ファイバーと、
前記担体および/または前記光ファイバーの先端を3次元的に移動制御するステージとを有することを特徴とするレーザ加工機である。
第16の構成は、第1から第8の構成のいずれかに記載の担体へ識別符号を付与するためのレーザ加工機であって、
前記担体を保持するための担体保持型と、
適宜なレーザ光源に接続され、先端から近接場光を発生する光ファイバーと、
前記担体保持型および/または前記光ファイバーを3次元的に移動制御するステージとを有し、
前記ステージの移動制御により、前記担体保持型に保持された前記担体表面の所望位置へ前記光ファイバーの先端を近接させ、前記担体表面へ前記近接場光を照射して前記担体へ識別符号を付与することを特徴とするレーザ加工機である。
第17の構成は、第3から第8の構成のいずれかに記載の担体を製造するためのレーザ加工機であって、
適宜なレーザ光源に接続され、先端から近接場光を発生する光ファイバーと、
前記担体の素材および/または前記光ファイバーの先端を、3次元的に移動制御するステージと、
前記担体の素材を切断する切断手段とを有することを特徴とするレーザ加工機である。
第1から第8の構成に記載の担体は、診断薬、遺伝学、免疫学の分野において、各種物質の担体、薄膜技術、計測器の校正等の分野において、大きさや形状の規準部品等として用いることができる。
第9から第10の構成に記載のマイクロ検査素子は、生体に投与可能であるので生体内の反応を観測することができる。
第11から第13の構成に記載の担体の製造方法によれば、各担体を識別可能とする識別符号が付与された担体を、高い生産性をもって容易に製造することができる。
第14の構成に記載のマイクロ検査素子の製造方法によれば、所望の識別物質を高い生産性をもって容易に担体へ坦持させて、マイクロ検査素子を製造することができる。
第15または第16の構成に記載のレーザ加工機によれば、前記担体の表面へ、高い生産性をもって容易に識別符号を付与することができる。
第17の構成に記載のレーザ加工機によれば、担体の素材から、識別符号が付与された担体を、高い生産性をもって容易に製造することができる。
以下、本発明に係る2種類の実施の形態について、本発明に係る担体へ識別物質を坦持させ、マイクロ検査素子を製造する場合を例として説明する。
(第1の実施の形態)
〔マイクロ検査素子の担体〕
図1は、本実施の形態に係るマイクロ検査素子の一例の模式的な斜視図である。
図1において、マイクロ検査素子1は、担体2と、この担体2に担持された識別物質5とを有し、さらに担体2の表面には、線および/または点の2次元的な配列にて表される識別符号3が設けられている。
担体2は、樹脂、セラミック、金属、ガラス等であって、その成分が識別物質5に生化学影響を与えないものであることが求められるが、製造の容易さ、識別符号の付与の容易さ等の観点から、例えば人体内での分解性が良好なものとして、
ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、ポリグラクチン、ポリ-ε-カプロラクトン、乳酸・グリコール酸共重合ポリマー、乳酸・δ-バレロラクトン共重合ポリマー、ポリ-1,4-ジオキセバン-7-オン、ポリジオキサノン、エチル-2-シアノアクリレート系、イソブチル-2-シアノアクリレート系、ポリ-1,3-ジオキサン-2-オン、ポリセバシン酸無水物、グルテン、デンプン、アミロース、アルギン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルブミン、フィブリン、ゼラチン、コラーゲン、プルラン等が挙げられるが、この限りではない。
一方、例えば人体内で分解されにくいものとして、高結晶性のセルロース類、フィブロイン、ケラチンが挙げられる。その他の人体内で分解されにくいポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレンーアクリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリカルボナート、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド、ポリペプチド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリピロール、ポリアニリン、ポリオキサゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリシラン、ポリシロキサン、ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、等が挙げられるが、この限りではない。
上述した樹脂等の中でも、人体内での分解性が良好なものとして挙げた、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、ポリグラクチン、ポリ-ε-カプロラクトン、乳酸・グリコール酸共重合ポリマー、乳酸・δ-バレロラクトン共重合ポリマー、ポリ-1,4-ジオキセバン-7-オン、ポリジオキサノン、エチル-2-シアノアクリレート系、イソブチル-2-シアノアクリレート系、ポリ-1,3-ジオキサン-2-オン、ポリセバシン酸無水物、グルテン、デンプン、アミロース、アルギン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルブミン、フィブリン、ゼラチン、コラーゲン、プルラン等、および、人体内で分解されにくいものとして挙げた、高結晶性のセルロース類、フィブロイン、ケラチンは、被検体に生化学影響を与えないものであり、被検体への生体投与も可能であるので、当該用途には好ましい。
また、担体2は、その検査目的に応じた所望の大きさ、形状を有する。担体が、略球状であればその径が、例えば、30μm以下であれば、担体を被検体である生体組織へ投与することが可能となる。一方、担体が、略球状であればその径、略多角柱形状または略円柱形状であれば、その平面部の最も短い部分が、0.1μm以上であれば、前記担体の平面部の表面へ、線および/または点の2次元的な配列にて表される識別符号を付与することが可能となる。
担体2の形状は、球状、円筒状、楕円球状、多面体状、円盤等、直方体状等、所望により多様な形状を採ることが可能であるが、製造の容易さの観点からは球状、略円柱形状、略多角柱形状が好ましく、生体投与を行う観点からは球状、略円柱形状、略多角柱形状、多面体状が好ましい。さらに識別符号の付与、および読み取りの観点からは、担体の一部に略平面的な部分があることも好ましい。そこで、第1の実施の形態本に係る担体2は、図1に示すように、球体の一角に平面部を押圧した様な、平面部を有する、直径1μmの略球体形状を有しているものを例とし、その製造方法について説明する。
勿論、所望により担体2の形状が球状、楕円球状等のままでも、後述するレーザ加工機がXYZステージを有しているので識別符号の付与は可能である。
尚、後述する第2の実施の形態において、略円柱形状、略多角柱形状を有する担体とその製造方法について説明する。
[識別符号]
担体2の表面には、識別符号3が設けられている。識別符号3は、前記線および/または点の2次元的な配列にて表される符号である、例えば10×10〜14×14ドット程度の点の配列により、数字、アルファベット、カナ、2次元バーコード等を用いることができる。
本実施の形態に係るマイクロ検査素子の場合、0.5μm四方程度の略平面部に付与され、1000種類以上、さらには、1万種類以上の識別をおこないたいとの観点より、2次元バーコードの使用が好ましい。例えば、2次元バーコードにおいて、14行14列でマトリックス状に区分することにより、この領域内に196(=14×14)個のセルを構成し、各セルに0又は1の2値情報を持たせることで、約1京(9999兆)種の識別物質5を管理できる。
[識別物質]
担体2には、生体物質と反応する識別物質5が担持されている。識別物質5の具体例としては、DNA、RNA、PNAその他の核酸、プロテイン、酵素、基質、抗原、抗体、ホルモン、レセプタ、オルガネラ、エピドープ、ポリヌクレオチド、ペプチド、抗生物質等の医薬品、細胞、組織、及び微生物、等の全体または断片が挙げられる。以下の説明においては、担体2へ、プロテインを担持した場合を例として説明する。
識別物質5の担体2への担持態様としては、静電的または機械的な物理的結合であっても、化学的な結合であっても良い。
また、これら識別物質5は、1個の担体に対し1個が担持されていても良いが、所望に応じ、1個の担体に対し2個以上が担持されていても良い。1個の担体に2個以上の識別物質が担持されることで、互いに区別すべきマイクロ検査素子1の数は膨大なものとなるが、上述した識別符号3は十分これに対応することができる。
[マイクロ検査素子の製造方法〕
本発明者は、マイクロ検査素子の担体2の表面へ、識別符号3を付与する方法を求めて試行錯誤した結果、先端を絞った光ファイバーにレーザを通過させたとき、当該先端にて発生する近接場光を用いることができることに想到した。さらに、担体2を複数個保持できる担体保持型中へ保持させ、この担体保持型および/または光ファイバー先端を、XYZ3軸で三次元的に制御できるステージ(以下、XYZステージと記載する。)で位置制御すれば、担体2の所定位置に識別符号3を付与できると供に、量産も可能となることに想到した。
ここで、図2〜図4を参照しながら、マイクロ検査素子の製造方法の一例について説明する。
ここで、図2(a)は、上述した未加工の担体を保持して、これを加工する際に用いる担体保持型の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のA−A’断面の拡大図である。図3は、図2(b)に示した担体保持型へ担体を保持し、押型で押圧している際の断面図である。図4(a)は、担体を保持する担体保持型をXYZステージに設置し、近接場光によるレーザ加工機により、担体保持型に保持された担体へ識別符号を付与している際の模式的な斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B’断面の拡大図である。
まず、図2(a)に示す担体保持型11は、金属、セラミック、ガラス等の板状体であり、上面の中央部には、未加工の担体を保持するための担体保持孔12が設けられている。
次に、図2(b)を用いて、担体保持孔12についてさらに説明する。担体保持孔12は、略半球状の形状を有し、所望の径を有する未加工の担体より若干大きな内径を有している。例えば、未加工の担体の径が1μmであれば、担体保持孔12の径は1.1μm程度、深さは0.5μm程度が好ましい。
ここで、担体保持型11として各種の半導体製造に用いられるSi基板やGe基板を好適に用いることができる。これらの基板であれば、表面粗さが2×10-1nm程度であるものが容易に入手でき、さらに、表面に所望の径や断面形状を有する担体保持孔12を設けるための各種の、レジスト液、エッチング液が入手でき、様々なエッチング手法が適用できるからである。
担体保持孔12を担体保持型11へ設ける手法は、担体保持型11にSi基板やGe基板を用いる場合は元より、半導体の微細加工の手法を応用することが好ましい。これにより、担体保持型11上へ、所定個数の担体保持孔12を所定間隔にて設けることができる。
次に、担体2について説明する。
担体2の母材である、上述した未加工の担体として、上述した樹脂の内から所望の樹脂を選択し、当該樹脂のビーズを準備する。例えば、上述した樹脂の内からポリスチレンを選択した場合、直径1μmのポリスチレンビーズを準備することができる。このポリスチレンビーズとしては、市販の診断薬用粒子(登録商標:エスタポール Merk.S.A)等を好適に用いることができる。
ここで、上記のポリスチレンビーズの適量を担体保持型11上へ載置し、担体保持型11へ適度な水平方向の振動を与え、ポリスチレンビーズを担体保持孔12へ落とし込むと同時に、余分なポリスチレンビーズは担体保持型11上より払い落とす。担体保持孔12中へのポリスチレンビーズ保持が完了したら、球形状を有するポリスチレンビーズの一端に平面部を設ける。この工程について、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、担体保持型11上の担体保持孔12中に保持された、ポリスチレンビーズの担体2の上方より、押型13を押圧する。このとき、所望により押型13を加熱することで、担体2が熱可塑性樹脂であれば、容易にこれを変形させ球形状の一端に平面部を設けることができる。担体2の一端に平面部を設けることができたら押型13を外し、担体保持型11上の担体保持孔12中に保持された担体2を得る。
次に、図4を用いて、担体保持型11上の担体保持孔12中に保持された担体2へ、近接場光によるレーザ加工機により識別符号を付与する工程について説明する。
図4(a)において、符号21は、分解能1nm程度で駆動可能なXYZステージであり、載置台22を有している。載置台22上には担体2が保持された担体保持型11が固定されている。この担体保持型11上には、適宜なレーザ発振装置に接続された光ファイバー32が設けられ、その光ファイバー先端33は担体2と対向するようにXYZステージ21により制御され、近接場光によるレーザ加工機31を構成している。
ここで、担体2を加工する近接場光について、図4(b)を用いさらに説明する。
図4(b)に示すように、担体保持型11上の担体保持孔12中に保持された担体2の担体平面部4上の所定の位置に、近接場光によるレーザ加工機31の光ファイバー先端33が置かれる様に、XYZステージ21が担体保持型11の位置を調整する。
光ファイバー先端33は直径4〜25nm程度に絞られており、ここへレーザ光線を通すと、先端周囲に近接場光(光のナノ粒子)34が発生し担体2の所定の表面へ照射される。この近接場光34のエネルギーにより、担体2の表面に線および/または点が加工される。光ファイバー先端33が直径25nm程度に絞られていると、近接場光34は、25nm程度の範囲でしか拡散しないので、担体2の表面に、幅25nmの線や直径25nmの点を加工することができる。また、この加工工程において、光の屈折、回折を用いていないので、レーザ光の波長を下げて(より短くして)解像度を上げる等の操作は不要であるので、レーザ光としては使用しやすい可視光レーザ(700nm〜900nm)を用いることができる。また、本加工工程において、近接場光34のエネルギーは、微少部分(直径4nm〜25nmの略球状部)に集中するので、低いパワーの光源でも十分に加工可能なエネルギー強度に容易に達しうる。
例えば、光ファイバー先端33が直径25nm程度に絞られているとき、パルス幅10nsecでエネルギー10nJ(ピークパワーが1W)のレーザ入力により、1.9×1011W/cm2のパワー密度を有する近接場光を、前記先端に発生させることができる。さらに、光ファイバー先端33が直径10nm程度に絞られていれば、同様のレーザ入力により、1.2×1012W/cm2のパワー密度を有する近接場光を発生させることができる。
近接場光34を用いて、担体2に表面に加工を施す際、担体保持型11を移動させることで担体2を移動させるか、または光ファイバー先端33の先端を移動させるか、その両者を移動させることが考えられるが、現在では、駆動の分解能1nm程度を有しながら、移動量の大きなXYZステージが市販されているので、担体保持型11を移動させ、光ファイバー先端33は固定して加工精度を上げる構成が好ましい。
以上のようにして、担体平面部4の所定位置に加工を終えたら、XYZステージの作動により、次の所定位置まで担体保持型11を移動し、担体平面部4を加工する。このようにして1個の担体2の担体平面部4の加工を終えたら、再び、XYZステージの作動により、次の担体2の加工を開始する。
ここで、XYZステージの好ましい例について説明する。
上述したように、本実施の形態に用いられるXYZステージは、分解能1nm程度で駆動可能なことが求められるので、ピエゾ素子等の圧電セラミックを用いたアクチュエーターが好適に使用できる。市販品としては、シグマ光機(株)のシグマファインステージシステム等がある。
以上のように、例えば10×10〜14×14ドット程度の点の配列により、2次元バーコード等を表すことができることから、担体2上に、100〜350nm平方の面積があれば識別符号を付与することができる。即ち、担体2の大きさが0.1μm以上あれば、容易に上述の方法により識別符号を付与することができる。
ここで、近接場光34による担体2の加工を顕微鏡にて観測し、XYZステージ21の動作を制御すると同時に、加工の首尾をモニターするのも好ましい構成である。このようにして、所定の識別符号3が付与された担体2を得ることができる。
得られた所定の識別符号を付与された担体へ、浸漬法等により所定の識別物質を担持させると、図1にて説明したマイクロ検査素子を得ることができる。
一方、得られた所定の識別符号を付与された担体は、例えば、当該担体の大きさや形状に対応した識別符号を付与しておくことで、薄膜技術、計測器の校正等の分野において、大きさや形状の規準部品等として用いることができる。
[マイクロ検査素子の使用方法]
以上のようにして、製造されたマイクロ検査素子は、被検体の外部でも使用可能であるし、被検体が生体の場でも投与することも可能である。
この場合投与先が血管系、リンパ系のように閉鎖循環系である場合は、樹脂の材質として、人体内で分解性の良好なものを用いることが好ましい。マイクロ検査素子投与後の回収漏れが発生した場合も、これらが分解することで無害化されるからである。一方、投与先が消化器系のように開放系で化学的に過酷な系である場合は、樹脂の材質として、人体内で分解されにくいものを用いることが好ましい。
被検体の外部で使用する場合は、試料の必要量が微少量で済むので作業の生産性を大きく上げることができ、生体に投与することで生体反応を的確に把握することができる。また、識別物質として、所定の器官と特異的に結合する識別物質と薬剤とを担持させることで、ドラックデリバリーを行うこともできる。
[マイクロ検査素子の読み取り方法〕
次に、被検体の内外部にて、使用、投与された後、所定の反応、付着、凝集等を起こしたマイクロ検査素子の識別符号の読み取り方法について説明する。
最も簡便な方法は、そのまま、或いは洗浄後に直接、顕微鏡にて観測してしまうことができる。但し、この場合は、識別符号が観察面に向いている確率は1/6程度であるが、本実施の形態に係る担体は担体平面部を有しているので、1/6〜1/4程度の確率で識別符号を読み取ることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図6を参照しながら本発明に係る第2の実施の形態について説明する。
ここで、図6(a)は、後述する基板上に樹脂塗膜を設け、これを加工した際の模式的な斜視図であり、図6(b)は図6(a)の一部分の拡大図であり、図6(c)は図6(b)から分離された、後述する塗膜片からなる担体の1個の模式的な斜視図である。
まず図6(a)において、符号52は、適宜な基板51の上に塗布された樹脂塗膜である。次に、図6(b)は、上記基板上の樹脂塗膜52の部分拡大図であり、樹脂塗膜52は切断面55により切断され塗装片56となっている。当該切断により樹脂塗膜52の表面も各々の塗装片の平面部53となる。そして平面部53には、識別符号54が設けられている。さらに図6(c)は、識別符号54が設けられている塗装片56の1個の斜視図である。このとき、塗膜片56の対向する角または稜の間の距離の中から最も長い部分の長さをLとし、平面部53における最も短い部分をSとした。
〔マイクロ検査素子の担体〕
本実施の形態では、図6(C)に示す塗膜片56が担体となる。そして第1の実施の形態と同様に、適宜な場所に識別物質を坦持させマイクロ検査素子を得る。塗装片56の平面部に設けられた識別符号54も第1の実施の形態と同様に、線および/または点の2次元的な配列にて表される識別符号である。
塗膜片56からなる担体に用いられる樹脂は、その成分が識別物質に生化学影響を与えないものであることが求められるが、製造の容易さ、識別符号の付与の容易さ等の観点から、例えば人体内での分解性が良好なものとして、第1の実施の形態と同様に、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、ポリグラクチン、ポリ-ε-カプロラクトン、乳酸・グリコール酸共重合ポリマー、乳酸・δ-バレロラクトン共重合ポリマー、ポリ-1,4-ジオキセバン-7-オン、ポリジオキサノン、エチル-2-シアノアクリレート系、イソブチル-2-シアノアクリレート系、ポリ-1,3-ジオキサン-2-オン、ポリセバシン酸無水物、グルテン、デンプン、アミロース、アルギン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルブミン、フィブリン、ゼラチン、コラーゲン、プルラン等が挙げられるが、この限りではない。
一方、例えば人体内で分解されにくいものとして、高結晶性のセルロース類、フィブロイン、ケラチンが挙げられる。その他の人体内で分解されにくいポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリスチレン、スチレンーアクリル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリビニルブチラール等のビニル重合体、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリカルボナート、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミド、ポリペプチド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリピロール、ポリアニリン、ポリオキサゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリシラン、ポリシロキサン、ブタジエン樹脂、アクリル樹脂、等が挙げられるが、この限りではない。
上述した樹脂等の中でも、人体内での分解性が良好なものとして挙げた、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリリンゴ酸、ポリグラクチン、ポリ-ε-カプロラクトン、乳酸・グリコール酸共重合ポリマー、乳酸・δ-バレロラクトン共重合ポリマー、ポリ-1,4-ジオキセバン-7-オン、ポリジオキサノン、エチル-2-シアノアクリレート系、イソブチル-2-シアノアクリレート系、ポリ-1,3-ジオキサン-2-オン、ポリセバシン酸無水物、グルテン、デンプン、アミロース、アルギン酸、デキストラン、キチン、キトサン、アルブミン、フィブリン、ゼラチン、コラーゲン、プルラン等、および、人体内で分解されにくいものとして挙げた、高結晶性のセルロース類、フィブロイン、ケラチンは、被検体に生化学影響を与えないものであり、被検体への生体投与も可能であるので、当該用途には好ましい。
また、塗膜片56からなる担体は、その検査目的に応じた所望の大きさ、形状を有する。担体が、略多角柱形状または略円柱形状であれば、その最も長い部分Lが、例えば、30μm以下であれば、担体を被検体である生体組織へ投与することが可能となる。一方、担体が、略多角柱形状または略円柱形状であれば、その平面部の最も短い部分Sが、0.1μm以上であれば、前記担体の平面部の表面へ、線および/または点の2次元的な配列にて表される識別符号を付与することが可能となる。
塗膜片56からなる担体の形状は、略円柱形状、略多角柱形状等、所望により多様な形状を採ることが可能であるが、製造の容易さの観点からは略円柱形状、略多角柱形状が好ましく、生体投与を行う観点からは球状、略円柱形状、略多角柱形状が好ましい。
[識別符号]
塗膜片56からなる担体の表面には、識別符号54が設けられている。識別符号54は、第1の実施の形態と同様に、線および/または点の2次元的な配列にて表される符号である、例えば10×10〜14×14ドット程度の点の配列により、数字、アルファベット、カナ、2次元バーコード等を用いることができる。
本実施の形態に係るマイクロ検査素子の場合、0.5μm四方程度の略平面部に付与され、1000種類以上、さらには、1万種類以上の識別をおこないたいとの観点より、2次元バーコードの使用が好ましい。例えば、2次元バーコードにおいて、14行14列でマトリックス状に区分することにより、この領域内に196(=14×14)個のセルを構成し、各セルに0又は1の2値情報を持たせることで、約1京(9999兆)種の識別物質5を管理できる。
[識別物質]
塗膜片56からなる担体には、第1の実施の形態と同様に、生体物質と反応する識別物質が担持されている(図示していない。)。識別物質の具体例としては、DNA、RNA、PNAその他の核酸、プロテイン、酵素、基質、抗原、抗体、ホルモン、レセプタ、オルガネラ、エピドープ、ポリヌクレオチド、ペプチド、抗生物質等の医薬品、細胞、組織、及び微生物、等の全体または断片が挙げられる。以下の説明においては、担体へ、プロテインを担持した場合を例として説明する。
識別物質の担体への担持態様としては、第1の実施の形態と同様に、静電的または機械的な物理的結合であっても、化学的な結合であっても良い。
また、これら識別物質は、1個の担体に対し1個が担持されていても良いが、所望に応じ、1個の担体に対し2個以上が担持されていても良い。1個の担体に2個以上の識別物質が担持されることで、互いに区別すべきマイクロ検査素子の数は膨大なものとなるが、上述した識別符号54は十分これに対応することができる。
[マイクロ検査素子の製造方法]
まず、〔マイクロ検査素子の担体〕にて説明した樹脂等からマイクロ検査素子の用途に応じて適宜な樹脂を選択し、当該樹脂を有機溶媒に溶解して樹脂溶液を得る。ここで、有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ヘキサン、トルエン、酢酸エチル、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、テルピネオール、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン等が挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用する。溶媒に溶解する樹脂濃度は、樹脂と溶媒の組み合わせにより適宜選択すればよいが、1〜30wt%程度が好ましい。
次に、得られた樹脂溶液を適宜な基板51の上へ塗布する。ここで、基板51としてはシリコン基板、ガラス基板、金属基板、等多様なものが使用できる。塗布方法としては、スピンコート法、バーコート法等、半導体分野で用いられている方法が便利である。尚、後工程によっては、基板51と樹脂溶液との間に、予め、離型剤を設けておくことも好ましい。
この基板51上へ塗布する樹脂溶液の膜厚により、略多角柱形状または略円柱形状を有する担体の高さ方向の寸法を調整することができるので、塗布する樹脂溶液の膜厚と、得られる略多角柱形状または略円柱形状を有する担体の高さ方向の寸法との関係を予めシミュレートしておき、担体の高さ方向においてねらいとする寸法が得られる膜厚が得られるように、樹脂溶液を基板51の上へ塗布することが好ましい。
塗布が完了したら、これを加熱乾燥キュアするが、乾燥後の膜厚が、製造される担体の大きさに合うよう、例えば0.1〜30μmの範囲となるように、樹脂溶液塗布時の膜厚を調整しておくことが好ましい。こうして、前記略多角柱形状または略円柱形状を有する担体の素材である図6(a)に示す樹脂塗膜52が形成された基板51を得る。
得られた前記略多角柱形状または略円柱形状を有する担体の素材である樹脂塗膜52が形成された基板51を、レーザ加工機のXYZステージに設置する。第2の実施の形態にて用いるレーザ加工機は、第1の実施の形態にて図4を用いて説明したレーザ加工機と同様の構成を有しているが、さらに基板51上に形成された樹脂塗膜52を切断する切断手段を有している。当該切断手段は、適宜な出力を有するレーザ光や機械的な切断歯等を用いることができる。
前記切断手段を用いて樹脂塗膜52を切断する際、基板51を移動させるか、または前記切断手段を移動させるか、その両者を移動させることが考えられるが、現在では、駆動の分解能1nm程度を有しながら、移動量の大きなXYZステージが市販されているので、基板51を移動させ、切断手段は固定して加工精度を上げる構成が好ましい。
樹脂塗膜52が形成された基板51をレーザ加工機のXYZステージへ設置する方法は、第1の実施の形態にて説明した担体保持型の場合と同様でよい。ここで、第1の実施の形態にて説明した近接場光を用い、図6(b)に示すように、当該樹脂塗膜52の所定位置に所定数個の識別符号54を付与する。識別符号54を付与が完了したら、当該塗膜に切断面55を形成し切断された塗膜片56を得るが、このとき各塗膜片56が、1つ以上の識別符号54を有するように切断面55を形成する。この切断面55に周囲を囲まれた樹脂塗膜52の表面が平面部53となる。尚、切断面の形成方法として、図6(b)では平面部53を四角形に切断しているが、これは三角形、六角形等の所望の多角形でもよく、また、円形、楕円形等であってもよい。切断面55を設ける方法は、レーザ光を用いるのが便宜だが、機械的切断法等でもよい。このようにして、図6(c)に示す例えば略四角柱状の塗膜片56を得る。ここで、Lの長さが30μm以下であれば、上述したように被検体である生体組織へ投与することが可能となる。一方、当該略四角柱状の平面部53における最も短い部分をSとしたとき、Sが0.1μm以上あれば、平面部53に線および/または点の2次元的な配列にて表される識別符号54を付与することが容易に可能となる。
切断面55を形成加工が終了したら、当該基板51より、塗膜片56を分離するが、このための方法としては、超音波法、基板の加熱法、加熱等により粘着力を調整できる粘着テープを用いる方法、これらと上述の離型剤と併用して用いる方法等、多様な方法を用いることができる。このようにして得られた識別符号54が付与された塗膜片56は、第1の実施の形態にて説明したものと同様な、所定の識別符号が付与された担体として用いることができる。このようにして、当該レーザ加工機を用いて、識別符号が付与された略多角柱形状または略円柱形状を有する担体を、高い生産性をもって容易に製造することができる。
得られた、識別符号54を付与された塗膜片56からなる担体へ、浸漬法等により所定の識別物質を担持させると、マイクロ検査素子を得ることができる。
一方、得られた、識別符号54を付与された塗膜片56は、例えば、当該担体の大きさや形状に対応した識別符号を付与しておくことで、薄膜技術、計測器の校正等の分野において、大きさや形状の規準部品等として用いることができる。
ここで、所望により、さらに異なる実施の形態として、基板51上に形成された樹脂塗膜52へ識別符号54を付与することなく、切断面55を形成し切断された塗膜片56を得た後、当該塗膜片56を基板51から剥離し、当該塗膜片56へ第1の実施の形態にて説明したポリスチレンビーズ等に施したものと同様の処理をおこなって、マイクロ検査素子を得ることもできる。
[マイクロ検査素子の使用方法]
以上のようにして、製造されたマイクロ検査素子は、第1の実施の形態と同様に被検体の外部でも使用可能であるし、担体として上述した被検体に生化学影響を与えない樹脂を用いれば、被検体が生体の場でも投与することも可能である。
この場合投与先が血管系、リンパ系のように閉鎖循環系である場合は、樹脂の材質として、人体内で分解性の良好なものを用いることが好ましい。マイクロ検査素子投与後の回収漏れが発生した場合も、これらが分解することで無害化されるからである。一方、投与先が消化器系のように開放系で化学的に過酷な系である場合は、樹脂の材質として、人体内で分解されにくいものを用いることが好ましい。
被検体の外部で使用する場合は、試料の必要量が微少量で済むので作業の生産性を大きく上げることができ、生体に投与することで生体反応を的確に把握することができる。また、識別物質として、所定の器官と特異的に結合する識別物質と薬剤とを担持させることで、ドラックデリバリーを行うこともできる。
[マイクロ検査素子の読み取り方法]
次に、被検体の内外部にて、使用、投与された後、所定の反応、付着、凝集等を起こしたマイクロ検査素子の識別符号の読み取り方法についても、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態に係るマイクロ検査素子の一例の斜視図である。 担体保持型の斜視図、およびA−A断面図である。 担体保持型と押型とによる、担体押圧工程の断面図である。 担体へ識別符号を付与している工程の模式的な斜視図、およびB−B断面図である。 従来の技術に係るDNAチップの一例の斜視図である。 異なる実施形態に係る、基板上の樹脂塗膜の模式的な斜視図とその部分的な拡大図である。
符号の説明
1.マイクロ検査素子
2.担体
3.識別符号
4.担体平面部
5.識別物質
11.担体保持型
12.担体保持孔
13.押型
21.XYZステージ
22.載置台
31.近接場光によるレーザ加工機
32.光ファイバー
33.光ファイバー先端
34.近接場光
51.基板
52.樹脂塗膜
53.平面部
54.識別符号
55.切断面
56.塗膜片
L.塗膜片において最も長い部分
S.平面部において最も短い部分

Claims (17)

  1. 径が0.1μm〜30μmの略球状を有する担体であって、
    前記担体の表面に、前記担体を識別可能とする識別符号が付与されていることを特徴とする担体。
  2. 径が0.1μm〜30μmの略球状を有する担体であって、
    前記担体の表面に、1000種類以上の前記担体を識別可能な識別符号が付与されていることを特徴とする担体。
  3. 略多角柱形状または略円柱形状を有する担体であって、
    前記担体の最も長い部分が30μm以下であり、前記担体の平面部の最も短い部分が0.1μm以上であり、
    前記担体の平面部に、前記担体を識別可能とする識別符号が付与されていることを特徴とする担体。
  4. 略多角柱形状または略円柱形状を有する担体であって、
    前記担体の最も長い部分が30μm以下であり、前記担体の平面部の最も短い部分が0.1μm以上であり、
    前記担体の表面に、1000種類以上の前記担体を識別可能な識別符号が付与されていることを特徴とする担体。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の担体であって,
    前記識別符号が、2次元バーコードであることを特徴とする担体。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の担体であって,
    前記担体の材質が、生体内で分解容易な樹脂であることを特徴とする担体。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の担体であって,
    前記担体の材質が、生体内で分解されにくい樹脂であることを特徴とする担体。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載の担体であって,
    前記担体の材質が、スチレン樹脂および/またはアクリル樹脂および/またはブタジエン樹脂であることを特徴とする担体。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の担体が、生体物質と反応する識別物質を担持していることを特徴とするマイクロ検査素子。
  10. 請求項9に記載のマイクロ検査素子であって、
    前記識別物質とは、DNAおよび/またはプロテインおよび/または抗原および/または抗体の、全体または断片であることを特徴とするマイクロ検査素子。
  11. 請求項1から8のいずれかに記載の担体の製造方法であって、
    前記担体を保持型に保持する工程と、前記保持型に保持された前記担体の表面に前記識別符号を付与する工程とを有し、
    前記識別符号の付与を、近接場光を用いて行うことを特徴とする担体の製造方法。
  12. 請求項3から8のいずれかに記載の担体の製造方法であって、
    所定の膜厚を有する樹脂膜を成膜する工程と、前記樹脂膜に前記識別可能な識別符号を所定数個付与する工程と、前記樹脂膜を、前記識別符号を1個以上含むように切断する工程とを有することを特徴とする担体の製造方法。
  13. 請求項12に記載の担体の製造方法であって、
    前記識別符号の付与を、近接場光を用いて行うことを特徴とする担体の製造方法。
  14. 請求項9または10に記載のマイクロ検査素子の製造方法であって、
    請求項1から8のいずれかに記載の担体を、前記識別物質を含有する溶液に浸漬し、前記識別物質を前記担体に担持させることを特徴とするマイクロ検査素子の製造方法。
  15. 請求項1から8のいずれかに記載の担体へ識別符号を付与するためのレーザ加工機であって、
    適宜なレーザ光源に接続され、先端から近接場光を発生する光ファイバーと、
    前記担体および/または前記光ファイバーの先端を3次元的に移動制御するステージとを有することを特徴とするレーザ加工機。
  16. 請求項1から8のいずれかに記載の担体へ識別符号を付与するためのレーザ加工機であって、
    前記担体を保持するための担体保持型と、
    適宜なレーザ光源に接続され、先端から近接場光を発生する光ファイバーと、
    前記担体保持型および/または前記光ファイバーを3次元的に移動制御するステージとを有し、
    前記ステージの移動制御により、前記担体保持型に保持された前記担体表面の所望位置へ前記光ファイバーの先端を近接させ、前記担体表面へ前記近接場光を照射して前記担体へ識別符号を付与することを特徴とするレーザ加工機。
  17. 請求項3から8のいずれかに記載の担体へ識別符号を付与するためのレーザ加工機であって、
    適宜なレーザ光源に接続され、先端から近接場光を発生する光ファイバーと、
    前記担体の素材および/または前記光ファイバーの先端を、3次元的に移動制御するステージと、
    前記担体の素材を切断する切断手段とを有することを特徴とするレーザ加工機。
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