JP2005083994A - 電気化学分析用電極の製造方法 - Google Patents

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Koichiro Iwasa
航一郎 岩佐
Satoshi Tamaki
聡史 玉木
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 本発明は、所望の開口面積を有する非常に小型な電気化学分析用電極を正確に
且つ容易に製造しうる方法を提供する。
【解決手段】 白金、金、銀、ビスマス、水銀、イリジウム、カーボンよりなる群から選
ばれた導電性材料よりなる導電層の一面に、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂からなる群より選ばれ高分子樹脂よりなり、直径が0.1〜100μmの貫通孔が多
数形成されている絶縁層が積層されてなる電気化学分析用電極の製造方法において、該貫
通孔をエキシマレーザー光、YAGレーザー光等のレーザー光によるアブレーションによ
って形成することを特徴とする電気化学分析用電極の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電気化学分析用電極の製造方法に関する。
最近、医療診断を患者の近傍で行うベッドサイド診断、大気や水や土壌中の環境汚染物
質のモニタリング、食品の安全性検査等現場において短時間に安価に診断したり分析する
技術のニーズは非常に高くなってきている。
例えば、従来は高価且つ大型の装置を必要とした分析を、持ち運び可能な小型の分析装
置が代替できれば、大病院にしか設置できなかった分析装置を開業医でも設置、利用する
ことが可能になり、診断結果を患者に簡便に早期にフィードバックすることが可能になる
。又、高齢者の健康指標を高齢者の家族が測定し、その健康指標数値を在宅管理したり、
病院に定期的に送信して病院で管理することにより在宅医療環境がより優れたものとなる
又、環境ホルモン、ダイオキシン等の環境汚染物質を、高価且つ大型装置を使用するこ
となく、簡易測定することができれば、簡単且つ安価に環境診断することができる。更に
、持ち運び可能な小型の分析装置を用いて現場で環境汚染物質を分析することができれば
、よりきめ細かい安全環境を供出することができる。
このような測定を簡易に行うためには、微量の試料で、高感度に分析検出が行えること
が必要である。そのために、キャピラリーガスクロマトグラフィー(CGC)、キャピラ
リー液体クロマトグラフィー(ILC)、誘導型プラズマ(ICP)等で分離し、質量分
析計(MS)で検出するGC−MS、LC−MS、ICP−MS等が微量、高感度で分析
できる方法として広く使用されてきている。
しかしながら、これらの装置は高価で大掛かりな装置なので、簡単に持ち運んだり所望
の場所に設置するには、非常に高いコストがかかり、上記のような幅広い医療診断や環境
診断のニーズには適合し得なかった。
一方、電気化学分析による測定方法は、測定に供する電極と、電圧、電流を印加するシ
ステムさえあれば、被検出物質を検出できるという極めて簡易な測定方法である。安価コ
ストにて作製することが可能である点で、医療診断や環境診断現場にて、幅広く用い得る
可能性を有するものである。
電気化学分析による測定方法は、作用極、対極及び参照電極を用いる3電極系、又は、
作用極と参照電極を用いる2電極系で行われることが多いが、作用極を微小化することに
より、被検出物質の作用極上での拡散速度を高速化し、検出感度を増大することができる
図2は電極を被検出溶液に浸漬した際、被検出イオンが電極表面にどのように拡散して
到達するか示す模式図である。電極面積が大きい電極21の場合(図2(イ))には被検
出物質同士のぶつかり(干渉作用)のため、まっすぐに電極表面に到達するのに対し、電
極面積が小さい電極22(図2(ロ))の場合には被検出物質同士の干渉作用が少ないた
め、あらゆる方向から分子が電極表面に到達する。
従って、電極面積が小さい電極22の方が、電極面積が大きい電極21よりも被検出物
質が効率的に電極表面に達するため、効率よく、換言すれば、迅速に測定することができ
る。更に、感度が向上する、通常拡散を助けるために添加される支持電解質の添加の必要
が無い等の効果がある。
この手法を用いた電極としては、直径0.1〜10μmの電極金属ロッドを櫛型形状に
集積し、これをガラスやエポキシ樹脂に挟み込むことにより、表面に直径0.1〜10μ
mの微小作用電極が多数露出した電極が提案されており(例えば、特許文献1参照。)、
この電極を使用することにより、重金属等の微量物質を感度よく測定することができると
記載されている。
USP6110354号公報
しかし、上記電極の製造では、櫛型形状の金属ロッド電極をガラスやエポキシ樹脂に挟
み込む必要があり、位置合わせが困難で均一な電極を製造するのは困難であった。又、金
属ロッド電極とガラスやエポキシ樹脂との線膨張係数が異なるため、製造後に剥離がおこ
るという欠点があった。
又、異なる電極の製造方法として、導電層と、その上に重ねられ、導電層を露出させる
開口部を有する絶縁層とを含んでなり、フォトイメージングによって開口部が形成される
ことを特徴とする微小電極の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特表平10−502731号公報
上記製造方法は、製造が簡単であり、半導体の加工設備を用いて製造することができる
ので安価に製造でき、又、導電層と絶縁層の接触面積が大きいので導電層と絶縁層の線膨
張係数の違いによる剥離も発生しない。
しかし、上記製造方法では、フォトイメージングの際に行うエッチングに使用する液体
の表面張力のために、電極として作用する導電層近傍において、絶縁層の残余物が生ずる
という欠点があった。又、エッチングに使用する液体に溶解する絶縁層を構成する樹脂成
分のために、電極として作用する導電層上に絶縁層を構成する樹脂成分の極薄膜が残存す
るという欠点があった。
上記欠点を解消するために、強い溶解力を有する溶媒を使用したり、洗浄操作を何度も
行ったりすると、導電層と絶縁層の間に剥離が発生し、電極面積が増大してしまい、微小
電極としての効果が半減してしまうという欠点があった。即ち、フォトリソグラフィー法
による微小電極の製造においては、所望の開口面積を有する微小電極を得るのは困難であ
った。
本発明の目的は、上記欠点に鑑み、所望の開口面積を有する非常に小型な電気化学分析
用電極を正確に且つ容易に製造しうる方法を提供することにある。
本発明の電気化学分析用電極の製造方法は、導電層の一面に、直径が0.1〜100μ
mの貫通孔が多数形成されている絶縁層が積層されてなる電気化学分析用電極の製造方法
において、該貫通孔をレーザー光によるアブレーションによって形成することを特徴とす
る。
上記電気化学分析用電極とは、電気化学分析測定法において使用される電極であり、特
に、作用極として好適に使用される。
電気化学分析測定法とは、電極間に電位を印加するか又は電極間に電流を流すことによ
り、被検出物質に対し電気的な信号を印加して化学的な反応を起こさせたり、応答信号か
ら内部で起こっている化学的反応を追跡する検出方法であって、例えば、ボルタンメトリ
法、ストリッピングボルタンメトリ法、アンペロメトリ法、ポテンシオメトリー法、クー
ロンメトリ法が挙げられる。又、これらの電気化学分析測定法に際して印加する電圧や電
流の波形としては、例えば、適宜パルス波、微分パルス波、三角波、ステップ波等が挙げ
られる。
上記ボルタンメトリ法とは、作用電極と対極の間に電位を印加し、その時に流れる電流
と印加電位の関係を調べるものである。ボルタンメトリ法で使用する電極は、作用電極と
対極に参照電極を加えた3電極系であることが望ましい。参照電極は、印加電位の大きさ
に関わらず、常時一定の電位を示すため、参照電極を基準にすることにより、作用極に印
加した電位の絶対値の決定に有用である。
上記ストリッピングボルタンメトリ法とは、被検出物質の還元に適当な電位を作用極に
印加ことにより作用極上に被検出物質の還元体を濃縮し、次いで被検出物質の酸化に適当
な電位を印加することにより、被検出物質の還元体を作用極より脱離する手法である。こ
のとき、脱離は被検出物質に特有の電位にて生じるため、被検出物質の種類を特定するこ
とができ、同時に生じる電流を測定することにより、被検出物質の濃度を特定することが
できる。
作用極上に被検出物質の還元体を濃縮するという工程を含むため、より感度の高い分析
が可能である。この測定法においても、絶対的な電位を知るために、作用電極、対極及び
参照電極から成る3電極系であることが望ましい。
上記アンペロメトリ法とは、作用電極と対極の間に一定電位を印加しておき、電流の時
間変化をモニタリングする測定法である。この測定法においても、絶対的な電位を知るた
めに、作用電極、対極及び参照電極から成る3電極系であることが望ましい。
上記ポテンシオメトリー法とは、作用電極と対極の間に適当な電流を流し、そのときの
電位変化をモニタリングする測定法である。この測定法においても、絶対的な電位を知る
ために、作用電極、対極及び参照電極から成る3電極系であることが望ましい。
上記クーロメトリー法とは、作用電極と対極の間に電位を印加することにより被検出物
質を電気析出させ、そのクーロン量を測定するものである。
次に図面を参照して、本発明の電気化学分析用電極の製造方法及び得られた電気化学分
析用電極を説明する。図1は本発明で得られた電気化学分析用電極の一例を示す平面図で
あり、図2は図1のA−A断面図である。
図中、1は基板であり、電極パッド2と微小円電極アレイ3が配線4で接続されている
。電極パッド2と配線4は基板1上に積層されたクロム薄膜5及び白金薄膜6により形成
されている。
微小円電極アレイ3は、基板1上に積層されたクロム薄膜5及び白金薄膜6よりなる導
電層7と、導電層7に積層された、一定間隔に配列されて穿孔された、多数の円形の貫通
孔8・・を有する絶縁層9により形成されている。
上記基板は、導電層が薄い場合、導電層を補強するためのものである。又、電気化学分
析用電極が小さい場合は取扱い性や電気回路との接続性を向上させるためには基板を積層
しておくのが好ましい。
上記基板は、絶縁性である程度の機械的強度を有しているのが好ましく、例えば、ポリ
イミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の高分子樹脂フィルム又はシート、シリカ、アルミナな
どの無機材料より成る板状体が好ましい。
上記導電層は、導電性が優れており且つ電気化学分析用電極として優れた特性を有する
ことが好ましい。この優れた特性とは、表面が安定であること、即ち、酸化などの変化を
受けにくいこと及び電位窓が広い、即ち、水中で酸素や水素の発生を生じない電位領域が
広いことを意味し、且つ薄層化できるのが好ましいので、白金、金、銀、ビスマス、水銀
、イリジウム、カーボンよりなる群から選ばれた導電性材料が好ましい。
上記導電性材料は混合して使用されてもよいし、積層されて使用されてもよい。また、
これらの導電性材料が微粉状である場合は、バインダーにより結合されてシート状に形成
されてもよい。
導電層と絶縁層を積層した後、絶縁層にレーザー光を照射してアブレーションにより貫
通孔を形成する場合には、導電層に到達したレーザー光は、レーザー光が導電層に吸収さ
れると導電層を破壊してしまうので、導電層はレーザー光を反射する性能が優れているの
が好ましい。後述するエキシマレ−ザーで照射する場合、248nmのエキシマレ−ザー
光に対する導電層の反射率は15%以上が好ましく、より好ましくは80%以上である。
導電層の厚みは、特に限定されないが、薄くなりすぎるとレーザー光によるアブレーシ
ョンによって貫通孔を絶縁層に形成する際に破壊され孔が開くようになり、厚くなると重
くなり、取扱いが困難になるので、10nm〜5mmが好ましく、より好ましくは20〜
1000nmである。
導電層が金属箔や金属板で形成され、充分な厚さを有する場合はそのまま使用されれば
よい。しかし、導電層は薄いほうが好ましいので、上記基板に積層して形成されるのが好
ましい。
導電層を基板上に形成する方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、
蒸着、スパッタリング、CVD、電解めっき、無電解めっき、スクリーン印刷等が挙げら
れ、精度及び純度のよい電極を得るには蒸着やスパッタリングが好ましく、加工コストが
安く簡単に製造するには、めっきやスクリーン印刷が好ましい。
上記絶縁層は、導電層の一面に積層されており、直径が0.1〜100μmの貫通孔が
多数形成されている。絶縁層は絶縁性を有し、レーザー光を照射した際に、アブレーショ
ンによって貫通孔を形成することができる、即ち、レーザー光を吸収し、焼き飛ばされて
貫通孔が形成しうる材料で形成されればよく、このような材料としては、例えば、ポリイ
ミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレ
ン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の高分子樹脂、シリカ、アルミナ等の絶縁性無機材料など
があげられ、高分子樹脂が好適に使用される。
絶縁層には、レーザー光の吸収効率を高め、貫通孔の形成をより正確に且つ容易にする
ために、紫外線吸収剤又は色素、添加されてもよい。例えば、300〜400nmに吸収
領域を有し、346nmに最大吸収波長を有する、2−〔2−ヒドロキシ−3,5 −ビス(
α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ジベンゾトリアゾールを用いれば、35
5nm波長を有するND−YAG3倍波レーザー、あるいは352nm波長を有するエキ
シマXe−F レーザーの吸収効率をより高め、貫通孔をより正確、かつ容易に形成すること
が出来る。
上記紫外線吸収剤は、一般に高分子樹脂用紫外線吸収剤として使用されている任意の紫
外線吸収剤が使用でき、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒ
ドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert
−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブ
チル−5’−メチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3
’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2
’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’―テトラヒドロフタルイミド
メチル)−5’−メチルフェニル(ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(
1,1,3,3―テトラメチルブチル)―6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)
フェノール等が挙げられる。
又、使用するレーザーの波長が可視光領域の場合には、色素を添加することで、レーザ
ーの吸収効率をより高めることが出来る。添加する色素は、使用するレーザー光波長の吸
収率が大きいものが好ましく、ポルフィリン系色素,クマリン系色素,ピラゾールアゾ系
色素,ポルフィセン系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色
素、アゾ系色素、スピロピラン系色素、フルオラン系色素、キノン系色素、置換ベンゼン
系色素等が用いられる。
上記紫外線吸収剤及び色素の添加量は、少なすぎると吸収効率が悪く、添加量が多すぎ
ると吸収効率が良すぎて吸収部位が局在化してしまうため、絶縁層を構成する高分子樹脂
又は絶縁性無機材料等の材料100重量部に対して0.01重量部〜10重量部が好まし
く、より好ましくは0.1重量部〜3重量部である。
絶縁層の厚みは、特に限定されないが、厚くなるとレーザー光によるアブレーションに
よって貫通孔を形成しにくくなるので、0.1μm〜100μmが好ましく、又、絶縁層
の厚みと略同一の直径の貫通孔を形成するのは非常に容易なので、形成する貫通孔の直径
にあわして導電層の厚みを設定するのが好ましい。
絶縁層の形成方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、接着、スピン
コーティング、スクリーン印刷等が挙げられ、精度よく積層するためにはスピンコーティ
ングが好ましい。
上記貫通孔の直径は、小さくなると電気化学分析の被対象物質が導電層表面に濡れ性の
問題等で弾かれて接触できなくなり、大きくなりすぎると、図2(イ)に示した電極22
のように、あらゆる方向から分子が電極表面に到達する効果が得られなくなる。従って、
好ましい貫通孔の直径は0.05〜300μmであり、より好ましくは10〜75μmで
ある。
又、貫通孔の断面形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、正方
形、長方形、矩形、帯状形等が挙げられ、正確な位置に容易且つ均一に形成するためには
円形が好ましい。
貫通孔は、多くなればなるほど電流密度が増し、鋭い検出ピークが得られるので貫通孔
の密度は高いほど好ましいが、多くなりすぎると図2(イ)に示した電極のように、電極
面積が大きい電極と同様になり、被検出物質同士のぶつかり(干渉作用)のため、まっす
ぐ方向からのみ電極表面に到達するため、被検出物質が効率的に電極表面に到達せず、迅
速に測定することができなくなる。
従って、貫通孔はその直径の2〜12倍の範囲で、格子状、千鳥状等の形状に規則正し
い間隔をおいて配置されているのが好ましい。
本発明においては、絶縁層に貫通孔をレーザー光によるアブレーションによって形成す
る。レーザー光を発生するレーザーとしては、従来公知の任意のレーザーが使用可能であ
り、例えば、固体レーザー、気体レーザー、半導体レーザー、色素レーザー、エキシマレ
ーザー、自由電子レーザー、YAGレーザー等が挙げられる。
エキシマとは、励起状態の原子又は分子と基底状態の原子又は分子が結合した2量体を
意味し、エキシマレーザーは希ガスエキシマ又は希ガスハライド、水銀ハライド等のヘテ
ロエキシマを動作物質とするレーザーであって、放電又は電子ビーム照射によって生じる
励起状態のエキシマの誘導放出によってパルス発振をするレーザーである。このエキシマ
レーザーは、レーザー光の幅を最も狭く設定することができ、直径の小さい貫通孔を形成
することができるので好適に使用される。
又、YAGレーザーは、イットリウムアルミニウムガーネットによるレーザーであり、
使いやすく、コストが低いので好適に使用される。
貫通孔の形成は、絶縁層と導電層を積層した後に行ってもよいし、絶縁層に貫通孔を形
成した後絶縁層と導電層を積層してもよい。
本発明の電気化学分析用電極の製造方法の構成は上述の通りであり、所望の開口面積を
有する非常に小型な電気化学分析用電極を正確に且つ容易に製造しうる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
プラズマ処理装置(積水化学社製、商品名「PXA−100」)に、基板として厚さ0
.5mmのポリイミド樹脂フィルムを供給し、220V、0.8Aの印加電圧および印加
電流にて、30秒間処理した。
次いで、イオンスパッタリング装置(日立製作所社製、商品名「E−1030」)に供
給し、図2に示した電極パッド、微小円電極アレイ及び配線の形状の金属薄膜を、所定の
金属ターゲットにてスパッタリングすることにより作成した。図2に示したように、ポリ
イミド樹脂フィルムに厚さ40nmのクロム薄膜を形成し、その上に厚さ50nmの白金
薄膜を形成して導電層を形成した。
尚、装置出力は100Wであり、0.3Paのアルゴン雰囲気下で行った。又、長時間
のスパッタリングは下地のポリイミド樹脂フィルムを劣化させるので、30秒間スパッタ
リングを行うごとに3 分間の冷却し、所望の膜厚に達するまで、スパッタリングを継続し
た。電極、配線及びパッドの形状は、薄膜の形成が不必要な部分を適宜マスクすることに
より形成した。膜厚の測定は膜厚評価装置(リガク社製、商品名「GXR300」)によ
り行った。
次に、スピンコーター(ミカサ社製)を用い、導電層を含む基板全体に、ポリイミド樹
脂(東レ社製、商品名「SP341」)のコーテイングを行い、ポリイミド樹脂薄膜層を
形成した。コーテイングは、700rpmで10秒間行った後、更に6000rpmで3
0秒間行った。次いで、140℃で30分間、200℃で30分間及び350℃で60分
間ベイキングしてポリイミド樹脂を硬化させて絶縁層を形成した。
得られた基板の微小円電極アレイ部分の絶縁層に、Xe−Fエキシマレーザーによりエ
キシマレーザー光を照射し、直径10μmの円形の貫通孔を100μm間隔に格子状に6
4箇所(縦横8箇所ずつ)形成して電気化学分析用電極を得た。
得られた電気化学分析用電極の貫通孔は均一に分散して形成されており、どの貫通孔も
導電層が露出しており、且つ、導電層は破壊されていなかった。
(実施例2)
白金薄膜の代わりに、金薄膜を形成して導電層を形成した以外は実施例1で行ったと同
様にして、電気化学分析用電極を得た。得られた電気化学分析用電極の貫通孔は均一に分
散して形成されており、どの貫通孔も導電層が露出しており、且つ、導電層は破壊されて
いなかった。
(実施例3)
Xe−Fエキシマレーザーに代えて、YAGレーザーを用いてYAGレーザーを照射し
た以外は実施例1で行ったと同様にして、電気化学分析用電極を得た。得られた電気化学
分析用電極の貫通孔は均一に分散して形成されており、どの貫通孔も導電層が露出してお
り、且つ、導電層は破壊されていなかった。
(実施例4)
ポリイミド樹脂100重量部と2−〔2−ヒドロキシ−3,5 −ビス(α,α−ジメチル
ベンジル)フェニル〕−2H−ジベンゾトリアゾール0.3重量部よりなるポリイミド樹
脂組成物をコーテイングしてポリイミド樹脂組成物薄膜層を形成した以外は実施例1で行
ったと同様にして、電気化学分析用電極を得た。得られた電気化学分析用電極の貫通孔は
均一に分散して形成されており、どの貫通孔も導電層が露出しており、且つ、導電層は破
壊されていなかった。
(比較例1)
ポリイミド樹脂(東レ社製、商品名「SP341」)をコーテイングした後、80℃で
30分間ベーキングし、次に基板全体にポジ型フォトレジスト(Shipley社製、商
品名「MICROPOSIT S1818」)をスピンコーテイングした後80℃で30
分ベーキングを行った以外は実施例1で行ったと同様にしてポリイミド樹脂を硬化させて
絶縁層を形成した。尚、スピンコーテイングは、700rpmで10秒、5000rpm
で40秒間行った。
10μmの貫通孔を100μm間隔で施すためのマスクを絶縁層に被覆し、マスクアラ
イナーで1分間露光した。露光後、現像液(Shipley社製、商品名「MF319」
)中で現像処理を行った。
その後、基板全体をエタノールで洗浄し、ポジ型レジストを剥離し、直径10μmの円
形の貫通孔を100μm間隔に格子状に64箇所(縦横8箇所ずつ)形成して電気化学分
析用電極を得た。
得られた電気化学分析用電極の貫通孔は均一に分散して形成されており、どの貫通孔も
導電層が露出していたが、導電層の一部にはレジストの残余物が付着していた。
(物性評価)
得られた電気化学測定用電極の電極パットに導通孔を開け、ポテンシオスタット(北斗
電工社製、商品名「HZ3000」)に接続した。次いで、5mMのフェリシアン化カリ
ウムと、0.1Mの塩化カリウムを含む50mMKH2 PO4 −NaOH緩衝液(pH=
7.4)を用意し、ここに微小円電極アレイを浸漬した。更に、参照電極(堀場製作所製
、商品名「2060A−10T」)及び白金線をポテンシオスタットに接続し、前記緩衝
液中に浸漬した。
緩衝液中に浸漬した3電極により、サイクリックボルタンメトリー測定を行った。測定
は、−0.5V〜4.5V(vs参照電極)の間を行き返りとも100mV/se cの掃
引速度にて掃引し、これを何度も繰り返すことによって行った。
実施例1で得られた電気化学分析用電極を用いて、掃引開始から1分後より得られたサ
イクリックボルタンメトリー曲線を図4に示した。図中、10は0.2V(vs参照電極
)における電流値幅であり、11は最大電位幅である。
この曲線から掃引開始から1分後、5分後及び30分後の微小電極指標値を計算し、結
果を表1に示した。尚、微小電極指標値は、0.2V(vs参照電極)における電流値幅
/最大電位幅で示される。
微小電極指標値は、この値が小さいほど、前記の電極への拡散効率が高く、電気化学分
析用電極としての性能が高い。
Figure 2005083994
前記微小電極指標値が0.2以下であれば、電気化学分析用電極として、良好な性能を
有する。表1に示したように、実施例1〜4では、掃引後30分後まで十分に微小電極と
しての特性を維持した。
このうち実施例2では実施例1に比べて若干低い微小電極指標値を示したが、これは導
電層として金を用いる場合、白金に比べてポリイミド層と高い密着性を発現するためであ
る。
又、実施例3では実施例1に比べて若干高い微小電極指標値を示したが、これはYAG
レーザーを用いる場合、レーザーによる貫通孔の端面がエキシマレーザーによる端面に比
べて若干荒いため、端面のめくれが生じることに起因する。
又、実施例4では実施例1に比べてかなり低い微小電極指標値を示したが、これはポリ
イミド層が紫外線吸収剤を含有しているため、エキシマレーザーによる貫通孔の端面がよ
りきれいに形成されたことに起因する。
これに対し、比較例1では、測定された微小電極指標値は全て0.2以上であり、微小
電極としての特性を示さなかった。ウェットエッチングで貫通孔を形成する場合、エッチ
ングの残りかすが貫通孔にわずかに残ったり、エッチングが過剰であると貫通孔端面のめ
くれが激しくなったりと、その制御は非常に困難である。比較例4では、エッチングが過
剰であったために、端面のめくれが生じ、微小電極としての特性を満たさなかった。
本発明で得られた電気化学分析用電極の一例を示す平面図である。 図1のA−A断面図である。 電極を被検出溶液に浸漬した際、被検出イオンが電極表面にどのように拡散して到達するか示す模式図である。 実施例1において、掃引開始から1分後より得られたサイクリックボルタンメトリー曲線である。
符号の説明
1 基板
2 電極パッド
3 微小円電極アレイ
4 配線
5 クロム薄膜
6 白金薄膜
7 導電層
8 貫通孔
9 絶縁層
10 0.2V(vs参照電極)における電流値幅
11 最大電位幅

Claims (5)

  1. 導電層の一面に、直径が0.1〜100μmの貫通孔が多数形成されている絶縁層が積
    層されてなる電気化学分析用電極の製造方法において、該貫通孔をレーザー光によるアブ
    レーションによって形成することを特徴とする電気化学分析用電極の製造方法。
  2. 導電層が、白金、金、銀、ビスマス、水銀、イリジウム、カーボンよりなる群から選ば
    れた導電性材料よりなることを特徴とする請求項1記載の電気化学分析用電極の製造方法
  3. レーザー光が、エキシマレーザー光又はYAGレーザー光であることを特徴とする請求
    項1又は2記載の電気化学分析用電極の製造方法。
  4. 絶縁層が、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂からなる群より選ばれ高分
    子樹脂よりなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の電気化学分析用電極の製造方
    法。
  5. 絶縁層が、更に色素又は紫外線吸収剤を含有していることを特徴とする請求項4記載の
    電気化学分析用電極の製造方法。
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