JP2009268432A - 標的核酸の測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】PCR反応溶液を流路に流しながらリアルタイムPCRを行い、標的核酸の量を蛍光で測定する方法において、より正確な蛍光値を測定する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る標的核酸の測定方法は、少なくとも標的核酸を含むPCR反応溶液を流路に流し、該流路中を流れる前記PCR反応溶液に温度サイクルを与えてPCR増幅を行い、前記温度サイクル毎に前記PCR反応溶液の蛍光を測定することにより、前記PCR反応溶液中の標的核酸を測定する方法であって、前記流路に校正用溶液を流して前記温度サイクルを与え、該温度サイクル毎に前記校正用溶液の蛍光を背景蛍光として測定し、前記PCR反応溶液の各温度サイクルの蛍光値を対応する前記背景蛍光の蛍光値を用いて補正することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、標的核酸を含むPCR反応溶液を流しながらPCR増幅し、蛍光でその標的核酸の量を測定する方法に関する。
近年、試料に含まれる特定のDNAを短時間で増幅可能なPCR法が一般的に利用されている。PCR法は、検体中のDNAが微量である場合でも、指数的増幅により検出することができるため、感染性疾患および病理学的染色体異常、並びにポリヌクレオチド多型現象の検知または診断を含む数多くの臨床的適用において有用である。そして、例えば特許文献1では、反応溶液を流路に流すだけで、高温の変性温度や中温の伸長温度、低温のアニーリング温度等の間で加熱冷却を繰り返し所定のPCRサイクルを行なうことのできるPCRプレートが提案されている。
また、PCR増幅法によるDNA増幅は生物学の分野では基本的な技術であり、PCR増幅中のDNA量をリアルタイムに測定しそれを解析して検体中のDNA量を定量化する方法としてリアルタイムPCR法がある。特許文献2では、上述のPCRプレートの上方に光学ヘッドを移動可能に配置し、PCRプレートの流路中を流れる反応溶液の蛍光を、任意のサイクル回数の段階において測定可能なPCR装置を提案している。
ここで、増幅中の反応溶液のDNA量を蛍光標識からの蛍光を測定して解析し、検体中のDNA量を正確に定量化するためには、DNAにつけた蛍光標識からの微弱な蛍光から背景からの蛍光(以下、背景蛍光と略す)を除くことが望ましい。
例えば特許文献3では、微弱な光の検出信号から背景蛍光などのノイズを除去する方法が提案されている。
特開平6−30776号公報 特開2007−300896号公報 特開2000−205951号明細書
特許文献3に記載の技術では、同じ場所で測定用溶液が在る時と無い時の信号の差を測定することにより補正している。しかし、DNAを含む反応溶液を流しながらPCR増幅を行う場合は、測定する反応溶液は移動していて測定箇所により背景蛍光が違うため、正しく補正することができない。
また、測定する反応溶液はPCR増幅のために非常にゆっくり流しているため短時間に反応溶液を取り除くことはできない。そのため、検査の途中で背景蛍光の変化を調べるには、検査を中断し、長い時間をかけて反応溶液を取り除かなければならない。
したがって、本発明の目的は、上記課題の少なくとも一つを解決することである。
そこで、本発明に係る標的核酸の測定方法は、
少なくとも標的核酸を含むPCR反応溶液を流路に流し、該流路中を流れる前記PCR反応溶液に温度サイクルを与えてPCR増幅を行い、前記温度サイクル毎に前記PCR反応溶液の蛍光を測定することにより、前記PCR反応溶液中の標的核酸を測定する方法であって、
前記流路に校正用溶液を流して前記温度サイクルを与え、該温度サイクル毎に前記校正用溶液の蛍光を背景蛍光として測定し、前記PCR反応溶液の各温度サイクルの蛍光値を対応する前記背景蛍光の蛍光値を用いて補正することを特徴とする。
本発明では、PCR反応溶液を流路に流しながらリアルタイムPCRを行い、標的核酸の量を蛍光で測定する方法において、校正用溶液を流して背景蛍光を測定し補正することで、より正確な標的核酸の量を測定することができる。
最近の医療、分子生物学の分野では、標的核酸の初期数を特定するために、リアルタイムPCRなどの解析方法の重要性が高まっている。リアルタイムPCR法では標的核酸を含むPCR溶液に対する温度変化による増幅を繰り返し行い、増幅量の変化を測定し、その増幅量の変化を演算することによって標的核酸の初期数を特定することができる。
リアルタイムPCRでは、増幅前にDNA染料または蛍光プローブ等の蛍光標識物質をPCR反応溶液に加えることにより、標的核酸の増幅と増幅産物の分析が同時に行える。また、蛍光の測定を、PCR装置内で増幅と同時に行うことができるため、サンプルを取り出す必要がない。その結果、サンプル取り扱いの手間を省き、時間を節約し、後続反応に対し不純物混入の危険を低下させることができる。
まず、図6を用いてリアルタイムPCR法の概要を示す。PCRでは、1サイクルごとに標的核酸が指数関数的に増幅し、やがてプラトーに達する。横軸はPCRのサイクル数を表し、縦軸は反応溶液からの蛍光量(蛍光値)を表している。この蛍光量は増幅産物量を示すことになる。図示の曲線は増幅曲線を示しており、これはサイクルごとに蛍光量、つまり標的核酸の増幅量をモニタリングすることによりグラフに示すことができる。初発のDNA量(初期数)が多いほど、増幅産物量は早く検出可能な量に達し、増幅曲線が早いサイクルで立ち上がる。よって、段階希釈したスタンダードサンプルを用いてリアルタイムPCRを行うと、図6のような初発DNAが多い順番から並んだ増幅曲線が得られる。サンプルは既に初期数がわかっているサンプルと比較することで初期鋳型量を知ることができ、検体中のDNAを定量することができる。
リアルタイムPCRでは、PCR増幅産物を蛍光により検出する。蛍光検出方法には、インターカレーターを用いる方法と蛍光標識プローブを用いる方法の2種類がある。インターカレーター法では一般的に蛍光試薬としてSYBR Green Iを使用する。インターカレーター(SYBR Green I)は、PCRによって合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発する。この蛍光強度を測定することにより、増幅産物の生成量をモニターできる。蛍光標識プローブ法における蛍光プローブとしては、代表的なものに、TaqManプローブ、Molecular Beacon及びサイクリングプローブがある。インターカレーターを用いる方法は二本鎖DNAを全て検出するために、ターゲット遺伝子ごとにプローブを用意する必要がなく、検出コストが安く反応系の構築も容易だが、検出特異性はあまり高くない。反対に、蛍光標識プローブを用いる方法は、プローブ設計のための専用ソフトが必要でコストも高いが、検出特異性が高い。相同性の高い配列同士の区別やSNPSタイピングのようにマルチプレックス検出には、蛍光標識プローブが適している。
一方、上述のように、最近では、PCR反応溶液を流路に流すだけで、高温の変性温度や中温の伸長温度、低温のアニーリング温度等の間で加熱冷却を繰り返し所定のPCRサイクルを行なうことのできるPCR装置が開発されている。
ここで、本発明に係る標的核酸の測定方法は、
少なくとも標的核酸を含むPCR反応溶液を流路に流し、該流路中を流れる前記PCR反応溶液に温度サイクルを与えてPCR増幅を行い、前記温度サイクル毎に前記PCR反応溶液の蛍光を測定することにより、前記PCR反応溶液中の標的核酸を測定する方法であって、
前記流路に校正用溶液を流して前記温度サイクルを与え、該温度サイクル毎に前記校正用溶液の蛍光を背景蛍光として測定し、前記PCR反応溶液の各温度サイクルの蛍光値を対応する前記背景蛍光の蛍光値を用いて補正することを特徴とする。
本発明では、PCR反応溶液を流路に流しながらリアルタイムPCRを行い、標的核酸の量を蛍光で測定する方法において、校正用溶液を流して背景蛍光を測定し補正することで、より正確な標的核酸の量を測定することができる。そして、正確な標的核酸の量を測定することができるため、より正確な検体に含まれる標的核酸の定量を行うことができる。つまり、PCR反応溶液を流路に流しながら温度サイクルを与えPCR増幅させる場合においては、流路の違いや流路の場所によって背景蛍光が異なる。また、流路の内壁に蛍光標識物質が付着し、その付着具合は流路の位置によって異なってくる。さらに、温度サイクルにより蛍光標識物質の蛍光が変化又は劣化してしまう。これらの原因による背景蛍光の違いが測定結果に与える影響は大きく、測定される蛍光値を適切に補正することが必要である。そこで、本発明は、校正用溶液を流して背景蛍光の蛍光値を取得し、その蛍光値を用いて補正することにより、流路間や流路の位置、温度サイクル等の違いからくる誤差を低減することができる。
以下、本発明に係る標的核酸の測定方法について詳細に説明する。
前記標的核酸は、核酸であれば特に限定されるものではない。その由来としては、例えば、人工合成産物、ヒトやマウスなどの動物、植物、細菌、真菌、古細菌、ウイルスなどの微生物等を挙げることができる。例えば、感染症起炎菌由来の標的核酸についてリアルタイムPCRを行う場合、血液中に存在する細菌の核酸が標的核酸となる。これらの標的核酸は、その血液の前処理を行い検体とした後、リアルタイムPCRに供することができる。なお、感染症起炎菌由来の標的核酸についてのリアルタイムPCRは、その試料に含まれる標的核酸のコピー数(初期数)を測定することができるため、発症の有無の判定などに有効である。
前記PCR反応溶液とは、少なくとも、増幅対象としての標的核酸及びリアルタイムPCR用試薬を含んで構成される溶液である。リアルタイムPCR用試薬は、少なくとも、標的核酸を増幅するための試薬と増幅した標的核酸の量を測定可能にする試薬を含む。標的核酸を増幅するための試薬としては、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド(dNTP)などが挙げられ、一例として以下を含む。
1.標的核酸に特異的に結合するプライマー
2.標的核酸に結合したプライマーから標的配列に相補的にDNAを合成するDNAポリメラーゼ(標的がRNAの場合はRNAポリメラーゼ)
3.DNA合成に必要な各種ヌクレオチド(dNTPなど)
4.塩化マグネシウムや塩化カリウム等の塩類
5.トリス等のバッファー
なお、プライマーやdNTPは、蛍光あるいはその他の標識をしているものも含む。また、標的核酸の量を測定可能にする試薬としては、上述のように、インターカレータや蛍光プローブなどがある。
前記校正用溶液としては、校正に用いることができる溶液ならば特に制限されない。例えば、PCR試薬で検体DNAを含まない溶液が考えられる。PCR試薬としては蛍光標識を含ませてもよい。この場合、検体DNAが含まれていないので標識は蛍光を発しないはずだが、実際には微弱な蛍光を発するのでそれを背景光として測定する。また、他にも、例えば、蛍光標識を含まないPCR試薬で基準となるDNAを含む溶液も用いることができる。この場合、PCR増幅が起こるため増幅されたDNAや副生成物で白濁が起こるが蛍光標識がないので蛍光を出さないはずである。また、他にも、例えば、純水や、蛍光標識を含まないPCR試薬なども考えられる。
次に、本発明を適用可能なPCR装置の構成の一例について説明し、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、PCR装置の構成例は本発明を説明するために記載するものであり、本発明を以下のPCR装置を用いる場合に限定するものではない。
<装置の構成例>
図2は本発明を適用できるPCR反応装置の構成例の概要を示す図である。21は標的核酸(例えばDNA)とPCR試薬等を混合したPCR反応溶液である。22はPCR反応溶液21を流しながら増幅を行う流路が形成されているPCRプレートである。23はPCR増幅に必要な温度サイクルをPCRプレート中の流路を流れる反応溶液21に与える、例えばペルチェ素子等の温度制御手段である。24は温度制御手段23の反対側に発生する熱を空気中に放熱するヒートシンクである。25は反応溶液21をPCRプレート22の流路中に流す圧力を発生させるポンプである。26は蛍光標識を励起するための励起光を発生する励起光発生手段である。27は励起光発生手段26から出た励起光でPCRプレート22の検出エリアを照明するための光学系である。28はPCRプレート22の検出エリアから出た蛍光を集光するレンズである。29は、励起光の波長を阻止し、蛍光標識からの蛍光波長を透過するフィルタである。30は蛍光標識からの蛍光を受光して電気信号に変換する、例えばCCDなどの撮像装置等の蛍光測定手段である。31は蛍光測定手段30からの画像信号を取り込むための手段、例えばA/D変換器である。32は取り込んだ画像を一時的に記憶しておく画像メモリである。33は画像メモリ32のデータの数値化などの演算を行う演算手段である。34は処理のためのデータを蓄積しておく蓄積メモリである。35はアクチュエータ類を制御するための制御手段である。
次に図2及び図3を用いてPCR反応装置の動作説明を行う。まず、PCR反応溶液21をPCRプレート22に注入する。なお、本発明では、注入される溶液はPCR反応溶液に限らず、校正用溶液も注入される。
PCRプレート22には、図3のように例えば複数の流路が形成されており、流路中の反応溶液21はポンプ25が発生する圧力によって移動する。なお、溶液を輸送する溶液輸送手段としては、ポンプに限られず、例えば、進行波型マイクロポンプを用いることもできる。
図3において、40は注入口である。また、図3は反応溶液21が流路を流れている状態を示している。例えば図3のように流路を4つ設けることにより、1種類の標的核酸を含む検体に対して添加試薬が異なる4種類のPCR反応溶液を調製し、流路(1)から流路(4)を用いて4種の検査を同時に行うことができる。なお、流路の本数は1つでも、複数であっても本発明は制限されない。
42は反応溶液同士が混ざらないようにするためのバッファ液である。流路には、前述のように、複数のPCR反応溶液を導入することができるが、この場合、各PCR反応溶液の間にバッファ液を充填する。バッファ溶液としては、PCR溶液と比較的混じりにくく、流路に付着したPCR溶液の洗浄を行い、各PCR溶液間のコンタミを防止することできる溶液が好ましい。例えば、バッファ液としては、シリコンオイルなどを用いることができる。図3では、流路には、複数のPCR反応溶液と各PCR溶液を分離するバッファ液が交互に充填されている。
41は標的核酸(例えばDNA)の増幅エリアであり、この増幅エリア41を溶液が通過する際に温度制御手段23により所定の温度サイクルが与えられる。また、この増幅エリア41に存在するPCR反応溶液については前記蛍光測定手段30により蛍光を検出することができる。PCR反応溶液21は、増幅エリア41を流れていく間に、制御手段35によって制御された温度制御手段23によって、例えば図4のような温度サイクルが与えられ核酸増幅が行われる。1回の温度サイクルごとに励起光発生手段26からの励起光で検出エリア41が照明され、反応溶液中の蛍光標識から発生した蛍光を蛍光測定手段30で測定し、その蛍光値から核酸の量(例えばDNA量)を算出する。温度制御手段23としては、特に限定されるものではないが、例えば、流路中を流れる溶液に所定の温度サイクルを与えられるようにペルチェ素子等の温度調節素子をPCRプレート21の下部に配置した構成とすることができる。例えば、1つの温度サイクルは、図4に示すように変性温度、アニーリング温度及び伸長温度からなるため、これらの温度の3つの温度帯を温度調節素子で形成し、その温度帯に溶液を通過させることで温度サイクルを与えることができる。
反応溶液21はPCRプレートの流路中を流れながら増幅エリア41を通過する間に複数回の温度サイクル(例えば30〜40回)が与えられ、その温度サイクル毎に蛍光量が測定される。図5に色を濃く示した注目の反応液21が流路中を流れながら増幅エリア41を通過する間に40回の温度サイクルが与えられる様子を示す。40回の蛍光量の測定値から各測定毎のDNA量を算出し、そのDNA量の変化から検体の初期のDNA量の算出を行う。
図6で示すように初期DNAが多いと温度サイクルの回数が少ないうちに蛍光量が増加し始め、初期DNAが少ないと温度サイクルの回数が多くならないと蛍光量が増加し始めない。
蛍光測定手段30で測定した蛍光値から反応溶液中のDNA量を算出する際、その蛍光値にはDNAの蛍光標識が発生する蛍光以外にもいろいろな蛍光が背景蛍光として加算されている。背景蛍光としては、例えば、PCRプレート22の材料から発せられる蛍光や、PCRプレート22の外側に付着した汚れから発せられる蛍光、PCRプレート22の流路内に付着した蛍光標識、その他物質から発せられる蛍光などが考えられる。これら背景蛍光は、多数の検体を検査している間に、励起光による退色、増幅のために加える温度サイクルの付与又は蛍光標識等の付着量の変化などにより、徐々に変化する。したがって、背景蛍光を定期的に測定し、補正を行うことが望ましい。図10にプラスチック(PET及びPE)から発せられる蛍光(A)と、PETから発せられる蛍光が劣化により変化した後の例(B)を示す。なお、流路壁面に付着する物質としては、蛍光標識、プライマ、増幅されたDNA等が考えられる。
なお、上記の注入口と排出口とを別に設けたPCR装置以外にも、流路が環状であり、溶液を流路内に循環させるタイプのPCR装置を使用することができる。
なお、溶液の送液は、送液可能な方法であれば任意であり、例えば、インジェクターを備えたマイクロポンプ、シリンジポンプ等が使用できる。送液速度は、PCR増幅、ハイブリダイゼーションに適した送液速度であれば任意であるが、例えば、検体を含む溶液の導入から検出までの一連の操作を、概ね15〜60分で完結させるような速度が好ましい。
なお、温度サイクルは適宜調節することができる。例えば、標的核酸がDNAの場合、通常、90〜95℃で標的DNAを変性し、40〜60℃でプライマーと標的DNAのアニーリングを行い、続いて70〜75℃でDNAの伸長反応を行うという温度サイクルを20〜50回程度繰り返すことが有効である。なお、温度条件はプライマーの種類、例えばプライマーの長さやGC含量などによって変動しうる。
なお、流路や注入口、排出口は、基板中に、フォトリソグラフィや成型などの公知技術を用いることにより形成することができる。基板の材料は、PCR反応溶液や校正用溶液等の溶液の蛍光を測定できるものであれば特に限定されないが、例えば、シリコンウェハ、石英ガラス又はプラスチックなどを用いることができる。
なお、流路は、図3のような直線状の流路でなくとも、同一平面上で複数回折り曲げた形状とすることもできる。
なお、蛍光測定手段としては、例示したCCDに限られず、例えば、PCRプレート上を移動可能に設置された蛍光を測定可能な光学ヘッドを用いることもできる。しかし、容易かつ迅速に蛍光を測定できる観点から、CCD等の撮像装置を用いることが好ましい。
以下に、本発明に係る標的核酸の定量方法の実施形態を説明する。特に、背景蛍光の測定方法や測定した蛍光値の補正方法について説明する。
<実施形態1>
図11に、一つの流路にPCR反応溶液21を注入し、40回の温度サイクルを与えてPCR増幅を行う工程について示す。(A)はPCR反応溶液を注入直後の概念図である。(B)はPCR反応溶液が温度サイクル1回目から2回目に移行している状況を示す概念図である。(C)はPCR反応溶液が温度サイクル2回目から3回目に移行している状況を示す概念図である。(D)はPCR反応溶液の約半分が40回の温度サイクルを終えている状況を示す概念図である。各温度サイクルが終わる段階(各温度サイクルにおいて伸長反応が終わった段階)で、そのPCR反応溶液について前記蛍光測定手段30にて蛍光が測定される。なお、図1では、簡略化のため、一つのPCR反応溶液のみを示し、他のPCR反応溶液やバッファ液等は省略している。
図1において、例えばn回目(nは1から40)の温度サイクル後のPCR反応溶液について測定した蛍光データをS(n)とする。
次に、PCR反応溶液21を校正用溶液に変え、図11と同じように温度サイクルを与えた後の校正用溶液について蛍光(背景蛍光)を測定する。例えばn回目(nは1から40)の温度サイクル後の校正用溶液について測定した蛍光データをB(n)とする。
そして、本発明において補正された蛍光データをR(n)とすると、R(n)は下記式で表すことができる。
R(n)=S(n)−B(n)・・・(1)
以上のように、校正用溶液を流路に流し背景蛍光を測定し、その背景蛍光を用いて補正することにより、PCR反応溶液について正確な蛍光値を取得することができる。したがって、この方法により得られた補正後の蛍光値を用いて、増幅した標的核酸の量を算出することで、より正確な標的核酸の定量を行うことができる。
<実施形態2>
次に、図3を用い、流路が4つある場合について説明する。
図3のように、PCR反応溶液を注入口40から注入し検査をする場合、増幅エリア41を通過する間に複数回(例えば40回)の温度サイクルを加えながら、各温度サイクル毎に蛍光の測定を行う。つまり、PCR反応溶液が1回の温度サイクル分進んだときに蛍光測定手段30によりPCR反応溶液の蛍光を測定する。
ここで、測定した結果をS(m,n)(S:蛍光値、m:流路の番号、n:蛍光を測定した反応溶液の温度サイクル回数)と表す。例えば、流路の数を4つとし、温度サイクル回数を40回とした場合、図1(A)の様な結果が得られる。つまり、流路(1)に反応溶液を流し40回の温度サイクルを与える場合、流路(1)の蛍光データとして、S(1,1)、S(1,2)、S(1,3)・・・、S(1,39)、S(1,40)が得られる。同様に流路(2)の蛍光データとして、S(2,1)、S(2,2)、S(2,3)・・・、S(2,39)、S(2,40)が得られる。
次に、背景蛍光を測定するために、図7のように反応溶液21の代わりに校正用溶液43を注入口40から注入し、増幅エリア41を通過する間に複数回(例えば40回)の温度サイクルを加えながら、各温度サイクル毎に蛍光の測定を行う。ここで、校正用溶液を流して得られた結果をB(m,n)(B:蛍光値、m:流路の番号、n:蛍光を測定した反応溶液の温度サイクル回数)と表す。例えば、流路の数を4つとし、温度サイクルを40回与える場合、図1(B)の様な結果が得られる。つまり、流路(1)に校正用溶液を流し40回の温度サイクルを与える場合、流路(1)の蛍光データとして、B(1,1)、B(1,2)、B(1,3)・・・、B(1,39)、B(1,40)が得られる。同様に、流路(2)の蛍光データとして、B(2,1)、B(2,2)、B(2,3)・・・、B(2,39)、B(2,40)が得られる。なお、Bは背景蛍光の蛍光値となる。
これらの蛍光値のデータを用いて、補正された蛍光データR(m,n)を以下の式で求める。
R(m,n)=S(m,n)−B(m,n)・・・(2)
例えば、流路の数を4つとし、温度サイクルを40回与える場合、図1(C)のようなデータが得られる。得られた補正後の蛍光データR(m,n)を用いて検体の初期の標的核酸の量(例えばDNA量)の算出を行う。
なお、背景蛍光の測定は最初に行う必要は無く、特に限定されるものではない。例えば、背景蛍光の測定を検体の検査の間に行ってもよい。保存しておいた各検体における蛍光データから初期のDNA量の算出を行うときまでに、背景蛍光の測定を済ませておけば、補正を行うことができる。
校正用溶液で背景蛍光の測定を行う間隔が長く、図8のように複数の検体を測定している間(PCR反応溶液を流している間)に背景蛍光が変化する場合、背景蛍光の測定を一定間隔で複数回行い、検体測定時の背景蛍光を計算して求め、補正することが望ましい。
PCRプレート22が注入口40と増幅エリア41の間に別の処理があり、流路が長い構造だと、溶液の流速に差があると図9に示すように注目する反応溶液21や校正用溶液42の位置がずれて増幅エリア41に流れてくる場合がある。測定時に注目の反応溶液21がPCRの何サイクル目かは蛍光測定手段30の測定画像で反応溶液21が増幅エリア41中のどこの位置にあるかで判断することができる。図9のような場合は注目する反応溶液21の2サイクル目の蛍光量を得るためには図9(A)のNサイクル目の測定画像の流路2、3と図9(B)のN+1サイクル目の測定画像の流路1、4とから求めればよい。
校正用溶液42を流して背景蛍光の蛍光値を測定する場合も同様に図9のようなことが起きる場合がある。例えば、流路に付着したゴミなどによって、所定の位置から強い蛍光が発する場合などである。この対処法として、測定時の校正用溶液42の位置と蛍光量から流路ごとに図9(C)のように背景蛍光の分布を得て、これを補正係数に加えてもよい。
この場合、背景蛍光を補正した蛍光データR(m,n)を得るには、例えば以下のように反応溶液21蛍光量を測定した時の位置xの背景蛍光の蛍光データB(m,x)を用いて計算すればよい。
R(m,n)=S(m,n)−B(m,x)・・・(3)
本発明に係る標的核酸の測定方法を説明する概要図である。 本実施形態における標的核酸の測定装置の構成を表す概略図である。 PCRプレートの構成及びPCR反応溶液の流れる様子を表す概略図である。 PCR反応時に加える温度サイクルの例を表す図である。 PCR反応溶液が温度サイクルを加えられながら流路を流れる状態を説明する概略図である。 蛍光量の測定値から検体の初期のDNA量の算出を行う説明図である。 校正用試薬を流路中に流して背景蛍光を測定する説明図である。 複数回の背景蛍光を測定し、その蛍光値を用いて補正する方法を説明する図である。 反応溶液の位置がずれて増幅エリアに流れてくる状態を説明する概略図である。 プラスチックが出す蛍光を説明する図である。 流路にPCR反応溶液を注入し、40回の温度サイクルを与えてPCR増幅を行う工程を説明する概略図である。
符号の説明
21、PCR反応溶液
22、PCRプレート
23、温度制御手段
24、ヒートシンク
25、溶液輸送手段
26、レーザ
27、照明光学系
28、集光光学系
29、フィルタ
30、撮像装置
31、A/D変換器
32、画像メモリ
33、演算手段
34、蓄積メモリ
35、制御手段
40、注入口
41、増幅エリア及び検出エリア
42、バッファ液
43、校正用試薬

Claims (4)

  1. 少なくとも標的核酸を含むPCR反応溶液を流路に流し、該流路中を流れる前記PCR反応溶液に温度サイクルを与えてPCR増幅を行い、前記温度サイクル毎に前記PCR反応溶液の蛍光を測定することにより、前記PCR反応溶液中の標的核酸を測定する方法であって、
    前記流路に校正用溶液を流して前記温度サイクルを与え、該温度サイクル毎に前記校正用溶液の蛍光を背景蛍光として測定し、前記PCR反応溶液の各温度サイクルの蛍光値を対応する前記背景蛍光の蛍光値を用いて補正することを特徴とする標的核酸の測定方法。
  2. 前記温度サイクルは、少なくとも変性温度、アニーリング温度及び伸長温度からなることを特徴とする請求項1に記載の標的核酸の測定方法。
  3. 前記標的核酸はDNAであることを特徴とする請求項1又は2に記載の標的核酸の測定方法。
  4. 前記流路は複数設けられており、複数の前記流路に前記校正用溶液を流して前記背景蛍光の蛍光値を取得することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の標的核酸の測定方法。
JP2008123527A 2008-05-09 2008-05-09 標的核酸の測定方法 Pending JP2009268432A (ja)

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