JP2009267376A - 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法 - Google Patents

薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009267376A
JP2009267376A JP2009066202A JP2009066202A JP2009267376A JP 2009267376 A JP2009267376 A JP 2009267376A JP 2009066202 A JP2009066202 A JP 2009066202A JP 2009066202 A JP2009066202 A JP 2009066202A JP 2009267376 A JP2009267376 A JP 2009267376A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
layer
internal electrode
thin film
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009066202A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5267251B2 (ja
Inventor
Yoshihiko Yano
義彦 矢野
Yasunobu Oikawa
泰伸 及川
Kenji Horino
賢治 堀野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP2009066202A priority Critical patent/JP5267251B2/ja
Publication of JP2009267376A publication Critical patent/JP2009267376A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5267251B2 publication Critical patent/JP5267251B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】静電容量を増加させることができ、リーク電流を減少させることができるとともに、安価な薄膜コンデンサを提供する。
【解決手段】本発明の薄膜コンデンサ100は、Niを主成分とする下地電極2と、下地電極2上に積層された二つ以上の誘電体層4、6と、誘電体層4、6の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極8と、誘電体層4、6及び内部電極8を挟んで下地電極2の反対側に積層された、Cu又はCu合金からなる上部電極10と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法に関する。
従来、集積回路(LSI:Large Scale Integration)の電源電圧のゆらぎに伴って発生する電磁妨害(EMI:Electro Magnetic Interference)を抑制するために、ディスクリートなキャパシタが電源と集積回路の電源端子とを接続する配線に配置される。このような用途のキャパシタには、近年の電子機器の小型化に伴い、薄型化や、配置の工夫が求められており、例えば、下記特許文献1又は非特許文献1に示すような薄膜キャパシタを薄膜状のシート内にアレイ状に形成し、そのシートをインターポーザやプリント基板の表面に直付けしけたり、薄膜キャパシタをインターポーザやプリント基板の内部に埋め込んだりすることが一般に行われている。また、EMIを抑制する用途に限らず、他の用途の薄膜キャパシタを、インターポーザやプリント基板の表面に直付けしたり、インターポーザやプリント基板の内部に埋め込んだりする場合もある。
特開2001−217142号公報
CARTS Europe 2006 proceedings pp273-280
上述の薄膜キャパシタでは、誘電体層を薄くすることと共に、大きな静電容量が要求されるため、従来、比誘電率の高い誘電体材料を誘電体層に用いて、誘電体層の静電容量密度を高くする。現在、例えば誘電率が200〜1000である誘電体材料が誘電体層に用いられている。このような誘電体材料から誘電体層を形成する際は、層状に成形された誘電体材料を、800℃以上の高温でアニール(焼成)して、誘電体を結晶化させることが必要である。そのため、上記非特許文献1に示されているように、薄膜コンデンサの基板として耐熱性の高いSiが用いられ、下地電極、内部電極及び上部電極として反応性が低いPtが用いられる。このような薄膜コンデンサを更に大容量化するためには、内部電極を介して誘電体層を複数積層することが有効である。例えば、1005サイズの薄膜コンデンサの最大容量は、誘電体層数が1層である場合、15.5nF、誘電体層数が2層である場合、28nF、誘電体層数が3層である場合、40nFである。
しかしながら、Siからなる基板と、Ptからなる下地電極、内部電極及び上部電極とを備える従来の薄膜コンデンサでは、必ずしも十分な静電容量を得られなかった。例えば、3層の誘電体層を備える1005サイズの薄膜コンデンサでは、40nF又は50nFを超える容量が得られていなかった。そのため、薄膜コンデンサの静電容量を増加させることが求められていた。
また、Siからなる基板と、Ptからなる下地電極、内部電極及び上部電極とを備える従来の薄膜コンデンサでは、薄型化に伴ってリーク電流が大きくなる傾向があった。そのため、薄膜コンデンサのリーク電流を抑制することも求められていた。
さらに、従来の薄膜コンデンサは、Si、Ptなどの高価な材料を用いて製造される。また、下地電極、内部電極及び上部電極がPtからなるため、多数積層された内部電極や上部電極のパターニングをドライエッチングで行う必要があり、ドライプロセス用の特殊な製造設備が必要となる。さらに、内部電極のドライエッチングには時間がかかってしまう。これらの理由から、従来の薄膜コンデンサの原材料費及び製造コストが高いことが問題であった。そのため、薄膜コンデンサの原材料費及び製造コストを低減することが求められていた。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、静電容量を増加させることができ、リーク電流を減少させることができるとともに、安価な薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、薄膜コンデンサが備える下地電極、内部電極及び上部電極に含まれる各電極材料の組成の組合せによる相乗効果によって、静電容量を増加することができ、且つリーク電流を抑制できるとともに、薄膜コンデンサのコストを削減できることを見出し、下記本発明に至った。
上記目的を達成するため、本発明の薄膜コンデンサは、Niを主成分とする下地電極と、下地電極上に積層された二つ以上の誘電体層と、誘電体層の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極と、誘電体層及び内部電極を挟んで下地電極の反対側に積層された、Cu又はCu合金からなる上部電極と、を備えることを特徴とする。
上記本発明の薄膜コンデンサによれば、Siからなる基板と、Ptからなる下地電極、内部電極及び上部電極とを備える従来の薄膜コンデンサに比べて、静電容量を増加させることができると共に、リーク電流を減少させることができる。また、上記本発明の薄膜コンデンサは、Ptより安価なNi系金属からなる内部電極と、Ptより安価なCu又はCu合金からなる上部電極とを備えるため、従来の薄膜コンデンサに比べて安価である。また、本発明の薄膜コンデンサではNiからなる下地電極が基板を兼ねる構成とすることもできる。この場合、基板と下地電極とを個別に設ける構成と比較して、より安価となる。
第一の発明の薄膜コンデンサの製造方法は、上記本発明の薄膜コンデンサを製造するための製造方法であって、下地電極と、下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、誘電体膜の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、を形成した後、下地電極、二つ以上の誘電体膜及び内部電極層を同時に焼成することにより、積層体を形成する工程と、積層体における下地電極の反対側に位置する表面に、Cu又はCu合金からなる上部電極層を形成する工程と、誘電体膜、内部電極層及び上部電極層をそれぞれパターニングすることによって、誘電体層、内部電極及び上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える。
第二の発明の薄膜コンデンサの製造方法は、上記本発明の薄膜コンデンサを製造するための製造方法であって、下地電極と、下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、誘電体膜の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、誘電体膜及び内部電極層を挟んで下地電極の反対側に積層され、Cu又はCu合金からなる上部電極層と、を備える積層体を形成する工程と、積層体の形成後、誘電体膜、内部電極層及び上部電極層をそれぞれウェットエッチングすることによって、誘電体層、内部電極及び上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える。
上記第一の発明及び第二の発明によれば、上記本発明の薄膜コンデンサを容易に、且つ低コストで製造することができる。
さらに、本発明に係る薄膜コンデンサの製造方法は、下地電極と、下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、誘電体膜の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、誘電体膜及び内部電極層を挟んで下地電極の反対側に積層された上部電極層と、を備える積層体を形成する工程と、積層体の形成後、誘電体膜、内部電極層及び上部電極層をそれぞれウェットエッチングすることによって、誘電体層、内部電極及び上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える。
上記の製造方法によれば、積層体を形成した後に誘電体膜、内部電極層、及び上部電極層をウェットエッチングすることにより、誘電体層、内部電極、及び上部電極のそれぞれを形成することができるため、各層ごとにパターニングしながら形成する場合と比べてプロセスを簡略化することができ、薄膜コンデンサをより安価に作製することができる。
ここで、積層体を形成する工程において、二つ以上の誘電体膜を同時に焼成する工程を含む態様とすることが好ましい。
上記の製造方法によれば、二つ以上の誘電体膜が同時に焼成されるため、各層毎に焼成する場合と比較して、焼成回数を減らすことができるため、積層体の各層に対する焼成による熱ダメージが低減され、より高い特性を有する薄膜コンデンサを得ることができる。また、焼成回数を減少することができるために薄膜コンデンサをより安価に作製することができる。
本発明によれば、静電容量を増加させることができ、リーク電流を減少させることができるとともに、安価な薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る薄膜コンデンサの概略断面図である。 図2(a)、図2(b)、図2(c)は、図1に示す薄膜コンデンサ100の製造方法において、ウェットエッチングにより上部電極10を形成する工程を示す概略断面図である。 図3(a)、図3(b)は、図1に示す薄膜コンデンサ100の製造方法において、ウェットエッチングにより誘電体層6を形成する工程を示す概略断面図である。 図4(a)、図4(b)は、図1に示す薄膜コンデンサ100の製造方法において、ウェットエッチングにより内部電極8を形成する工程を示す概略断面図である。 図5(a)、図5(b)は、図1に示す薄膜コンデンサ100の製造方法において、ウェットエッチングにより誘電体層4を形成する工程を示す概略断面図である。 本発明の他の実施形態に係る薄膜コンデンサの概略断面図である。
以下、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、説明が重複する場合にはその説明を省略する。また、本発明は下記実施形態のみに限定されるものではなく、あくまでも一実施形態である。
(薄膜コンデンサ)
本実施形態の薄膜コンデンサ100は、図1に示すように、基板を兼ねた下地電極2と、下地電極2上に積層された誘電体層4と、誘電体層4上に積層された内部電極8と、内部電極8上に積層された誘電体層6と、誘電体層6上に積層された上部電極10と、を備える。すなわち、薄膜コンデンサ100は、下地電極2と、下地電極2上に積層された二つの誘電体層4、6と、誘電体層4と誘電体層6との間に積層された内部電極8と、誘電体層4、6及び内部電極8を挟んで下地電極2の反対側に積層された上部電極10と、を備える。誘電体層4は、図1に示す薄膜コンデンサ100の断面において途切れているが、積層方向に垂直な面内において連続している。同様に、誘電体層6、内部電極8及び上部電極10も、それぞれ積層方向に垂直な面内において連続している。なお、以下では、下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10が順次重なる方向を「積層方向」と記す。
薄膜コンデンサ100は、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10を挟んで下地電極2の反対側に、一対の端子電極12a、12bを備える。一対の端子電極12a、12bのうち一方の端子電極12aは、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続されている。また、他方の端子電極12bは、内部電極8と電気的に接続されている。また、一対の端子電極12a、12bは互いに電気的に絶縁されている。
また、薄膜コンデンサ100は、下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10から構成される積層体と、一対の端子電極12a、12bとの間を満たす絶縁性のカバー層14を備える。
内部電極8は、主成分としてNiを含有する。内部電極8に含まれるNiの含有量は、内部電極8全体に対して、50mol%以上であることが好ましい。また、内部電極8は、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種(以下、「添加元素」と記す。)、好ましくは、Pd、Irより選ばれる少なくとも一種を更に含有する。内部電極8が添加元素を含有することによって、内部電極8の途切れが防止されると共に、内部電極8の誘電体層4、6との界面における酸化が抑制される。その結果、本発明の効果が得られると共に、内部電極8の多層化がし易くなる。仮に、内部電極8がNiのみから構成される場合、内部電極8が途切れ易く、内部電極8の多層化がし難くなる。なお、内部電極8は複数種の添加元素を含有してもよい。また、内部電極8に含まれる添加元素の含有量は、内部電極8全体に対して0mol%より大きく30mol%以下であることが好ましく、5〜20mol%であることがより好ましく、10〜15mol%であることが更に好ましい。これにより、本発明の効果を得易くなる。ここで、添加元素としてPd、Irを用いた場合には上記効果が最も高くなるため、これらの元素が添加元素として好適に用いられる。
内部電極8の厚さは、例えば、10〜1000nm程度である。また、内部電極8の面積は、例えば、0.9×0.4mm程度である。
下地電極2は、主成分としてNiを含有する。下地電極2を構成するNiの純度は高いほど好ましく、99.99重量%以上であることが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない程度であれば、下地電極2に微量の不純物が含まれていても良い。下地電極2に含まれ得る不純物としては、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)またはクロム(Cr)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セシウム(Ce)等の遷移金属元素あるいは希土類元素等、塩素(Cl)、硫黄(S)、リン(P)等が挙げられる。これらの不純物が、後述する薄膜コンデンサの製造方法における焼成工程において、下地電極2から誘電体膜へ拡散すると、得られる誘電体層4、6の組成にずれを生じさせたり、誘電体膜の結晶化および結晶粒成長を阻害して微細構造を変化させたりして、得られる誘電体層4、6の絶縁抵抗を低下させる傾向がある。誘電体層4、6の組成のずれ又は微細構造の変化は、薄膜コンデンサ100の静電容量を増加させる本発明の効果を弱めたり、及びリーク電流を減少させる本発明の効果を弱めたりする傾向がある。
下地電極2の厚さは、5〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることがより好ましく、50μm程度であることが更に好ましい。下地電極2の厚さが薄過ぎる場合、薄膜コンデンサ100の製造時に下地電極2をハンドリンクし難くなる傾向があり、下地電極2の厚さが厚過ぎる場合、リーク電流を抑制する効果が小さくなる傾向がある。なお、下地電極2の面積は、例えば、1×0.5mm程度である。
誘電体層4、6は、BaTiO(チタン酸バリウム)、(Ba1−xCa)TiO、(Ba1−XSr)TiO(チタン酸バリウムストロンチウム)、PbTiO、Pb(ZrTi1−X等のペロブスカイト構造を持った(強)誘電体材料や、Pb(Mg1/3Nb2/3)O等に代表される複合ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料や、BiTi12、SrBiTa等に代表されるビスマス層状化合物、(Sr1−XBa)Nb、PbNb等に代表されるタングステンブロンズ型強誘電体材料等から構成される。ここで、これらのペロブスカイト構造、ペロブスカイトリラクサー型強誘電体材料、ビスマス層状化合物、タングステンブロンズ型強誘電体材料において、AサイトとBサイト比は、通常整数比であるが、特性向上のため、意図的に整数比からずらしても良い。なお、誘電体層4、6の特性制御のため、誘電体層4、6に適宜、副成分として添加物質が含有されていてもよい。
誘電体層4、6の各厚さは、例えば、10〜1000nmである。また、誘電体層4、6の各面積は、例えば、0.9×0.5mm程度である。
上部電極10はCuまたはCu合金からなる。すなわち、上部電極10は、高純度のCuまたはCu合金から構成される。Cu合金としては、たとえばNiやSiを添加したコルソン系Cu合金、CrやSnを添加したCu合金、Ni−Fe系を添加したCu合金などが挙げられる。なお、本発明の効果を損なわない程度であれば、上部電極10に微量の不純物が含まれていても良い。上部電極10に含まれ得る不純物としては、例えば、鉄(Fe)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、またはクロム(Cr)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セシウム(Ce)等の遷移金属元素あるいは希土類元素等、塩素(Cl)、硫黄(S)、リン(P)等が挙げられる。
端子電極12a、12bは、例えばCu等の導電性材料から構成される。また、カバー層14は、例えばポリイミド等の絶縁材料から構成される。
本実施形態では、上述のように、下地電極2がNiを含有し、且つ内部電極8が主成分のNiと添加元素とを含み、且つ上部電極10がCu又はCu合金からなる。この場合、内部電極8の主成分であり、且つ下地電極2を構成するNiに対して、上部電極10を構成するCuの仕事関数の差や、電極と誘電体層4、6の界面との酸化還元に伴う酸素の振舞いについて電極を構成する材料に由来する差等、それぞれ組成の異なる電極の組合せによる相乗効果によって、誘電体層4、6内の応力が小さくなり、また各電極と誘電体層4、6との界面の酸化還元状態が安定化するため、従来の薄膜コンデンサに比べて、薄膜コンデンサ100の静電容量が増加し、リーク電流が減少する。
すなわち、後述するように、薄膜コンデンサ100の製造では、Niを主成分とする下地電極2と、誘電体膜4a、6aと、主成分であるNiと上記添加元素とを含有する内部電極層8aとを、積層した状態で二層の誘電体膜4a、6aを一括して焼成することが好ましい。これにより、後述する本発明の効果をより効果的に得ることができる。もちろん、積層した状態で一括して焼成するのではなく、従来のように、各誘電体膜の成膜後逐次に焼成を行っても良いが、この場合、コスト高となる。一方、本実施形態では、内部電極層8aと誘電体膜4a、6aとを同時に焼成することにより、内部電極層8aおよび誘電体膜4a、6aにおける酸化、焼きしまり、及び粒成長を最適に実現することができる。その結果、完成後の薄膜コンデンサ100において、下地電極2、内部電極8及び誘電体層4、6の応力バランスにより、誘電体層4、6における応力が低い状態となり、大きな誘電率が実現され、静電容量が大きくなる。
また、誘電体層4、6における応力が低いため、応力によって誘電体層4、6が損傷し難い。また、下地電極2がNiを主成分として含有し、且つ内部電極8が主成分のNiと添加元素とを含み、且つ上部電極10がCu又はCu合金からなるため、下地電極2と誘電体層4との界面、内部電極8と誘電体層4、6との界面、及び上部電極10と誘電体層6との界面の酸化還元状態を安定化することができる。このように、誘電体層4、6が破損し難く、上記界面における酸化状態が安定する結果、薄膜コンデンサ100におけるリーク電流を減少させることができる。
本実施形態の薄膜コンデンサ100は、LSIの電源電圧の揺らぎにしたがって発生するEMIを抑制する用途のキャパシタ、またはプリント基板への埋め込み、貼付けによってプリント基板への搭載が可能なキャパシタとして好適に用いられる。
(薄膜コンデンサ100の製造方法)
次に、本実施形態の薄膜コンデンサ100の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の薄膜コンデンサ100の製造方法は、Niを主成分として含有する下地電極と、下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、誘電体膜の間に積層され、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、を備える積層体(以下、「第1積層体」と記す。)を形成した後に、第1積層体を焼成する工程(下地電極と、下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、誘電体膜の間に積層された内部電極層と、を形成した後、下地電極、二つ以上の誘電体膜及び内部電極層を同時に焼成することにより、積層体を形成する工程)と、焼成後の第1積層体における下地電極の反対側に位置する表面に、Cu又はCu合金からなる上部電極層を形成して、下地電極、誘電体膜、内部電極層及び上部電極層を備える積層体(以下、「第2積層体」と記す。)を形成する工程と、第2積層体の形成後、誘電体膜、内部電極層及び上部電極層をそれぞれウェットエッチングすることによって、誘電体層、内部電極及び上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える。以下、各工程について詳細に説明する。
まず、図2(a)に示すように、下地電極2の表面全体に誘電体膜4aを形成する。誘電体膜4aの組成は、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層4と同様とすればよい。また、誘電体膜4aの形成方法としては、ゾルゲル法やMOD法(有機金属化合物堆積法)等の溶液塗布焼成法、スパッタリング法等のPVD法又はCVD法等の成膜技術が挙げられる。これらの成膜技術のうち、特にスパッタリング法が好適に用いられる。上記の方法により形成された誘電体膜4aは、一般的に誘電体がアモルファスの状態にある。
次に、誘電体膜4aの表面全体に内部電極層8aを形成する。内部電極層8aの組成は、完成後の薄膜コンデンサ100が備える内部電極8と同様とすればよい。また、内部電極層8aの形成方法としては、DCスパッタリング等が挙げられる。
さらに、内部電極層8aの表面全体に誘電体膜6aを形成する。これにより、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aを順次積層してなる第1積層体を得る。誘電体膜6aの組成は、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層6と同様とすればよい。また、誘電体膜6aの形成方法は、誘電体膜4aと同様である。
次に、第1積層体を焼成する。第1積層体の焼成のタイミングであるが、順次積層ごとに焼成するか、好ましくは2層以上の誘電体膜4a、6aを同時に焼成する。さらに好ましくは、全て、一括で第1積層体を焼成する。すなわち、本実施形態では、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aを備える第1積層体を焼成することなく形成した後に、第1積層体を焼成する。焼成時の温度は、誘電体膜4a、6aが焼結(結晶化)する温度とすることが好ましく、具体的には500〜1000℃であることが好ましい。また、焼成時間は5分〜2時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、特に限定されず、酸化性雰囲気、還元性雰囲気、中性雰囲気の何れでも良いが、少なくとも、下地電極2、内部電極層8aが酸化しない程度の酸素分圧下で焼成することが好ましい。さらに好ましくは、上記の焼成工程の少なくとも一部において、電離真空計で測定される圧力が1×10−9〜1×10Paである減圧雰囲気下で第1積層体を550〜1000℃に加熱することが好ましい。
ここで、第1積層体を焼成する工程において、第1積層体を1×10−9〜1×10Paの減圧雰囲気下で熱処理することにより、高い誘電率を有する誘電体膜が得られる。このような特定範囲の圧力下で熱処理を行うことにより、Ni箔等からなる内部電極層8aの酸化が抑制されるとともに、得られる誘電体膜の酸素空位濃度が低く抑えられる。そのため、焼成後に誘電体膜を再酸素化することなく、高い誘電率を発現可能な誘電体膜が得られる。なお、焼成時8aの圧力が1×10Paを超えると金属からなる内部電極層の酸化が進行する等の不具合が発生する場合がある。内部電極層8aが酸化されると、誘電体膜の高い誘電率が発現し難くなる傾向がある。また、1×10−9Pa未満の圧力下では内部電極層8aの蒸発が生じやすくなる傾向がある。内部電極層8aが蒸発すると、リーク電流が増大する傾向がある。なお、焼成時の熱処理は、上記圧力範囲外の圧力下で加熱する過程を部分的に含んでいてもよいが、上記圧力範囲内で少なくとも1〜60分間加熱する過程を含んでいることが好ましい。
上記の焼成時における上記圧力は、一般的には、1×10−5〜1×10Paであることが好ましく、1×10−3〜10Paであることがより好ましい。特に、内部電極層8aがCuからなる場合には上記圧力が4×10−1〜8×10−1Paであることが好ましいが、本実施形態に係る積層体のように内部電極層8aの主成分がNiである場合には上記圧力が2×10−3〜8×10−1Paであることが好ましい。また、第1積層体の焼成時は、第1積層体を400〜1000℃に加熱することが好ましく、550〜1000℃に加熱することがより好ましく、600〜900℃に加熱することがさらに好ましい。焼成時の加熱温度が550℃未満であると、理論密度に対して72%を超える密度を有する誘電体膜を得ることが困難になる傾向にある。また、この加熱温度が高くなると、リーク電流が増大する傾向にある。
第1積層体を焼成した後、図2(a)に示すように、誘電体膜6aの表面全体に、Cu又はCu合金からなる上部電極層10aを形成する。これにより、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極層10aを順次積層してなる第2積層体200を得る。なお、上部電極層8aの形成方法としては、DCスパッタリング等が挙げられる。
次に、第2積層体200に対して熱処理を施す。熱処理は、150℃以上の減圧雰囲気下で行えばよい。ここで、減圧雰囲気とは、1気圧(=101325Pa)より低い圧力を有する雰囲気を意味する。熱処理を行うことにより、電気特性を安定化することができる。
次に、以下に示すように、上部電極層10a、誘電体膜6a、内部電極層8a及び誘電体膜4aを順次ウェットエッチングでパターニングすることによって、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4をそれぞれ形成する。
まず、熱処理後、上部電極層10aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ100が備える上部電極10に対応したパターンを有するマスク20aを形成する(図2(b)参照)。マスク20aの形成後、上部電極層10aをエッチング液でエッチングして、上部電極10を形成する(図2(c)参照)。上部電極10を形成した後、上部電極10の表面を被覆するマスク20aを剥離する。なお、上部電極10を形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、上部電極10を形成するためのエッチング液としては、上部電極層10aを侵食し、且つ上部電極層10aに隣接する誘電体膜6a及びマスク20aを侵食しないものを用いればよく、例えば、過硫酸アンモニウム水溶液を用いればよい。
次に、図3(a)に示すように、積層体200aが備える上部電極10及び誘電体膜6aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層6に対応したパターンを有するマスク20bを形成する。マスク20bの形成後、誘電体膜6aをエッチング液でエッチングして、誘電体層6を形成する(図3(b)参照)。誘電体層6を形成した後、上部電極10及び誘電体層6の表面を被覆するマスク20bを剥離する。なお、誘電体層6を形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、誘電体層6を形成するためのエッチング液としては、誘電体膜6aを侵食し、且つ誘電体膜6aに隣接する内部電極層8a及びマスク20bを侵食しないものを用いればよく、例えば、塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いればよい。
次に、図4(a)に示すように、積層体200bが備える上部電極10、誘電体層6及び内部電極層8aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ100が備える内部電極8に対応したパターンを有するマスク20cを形成する。マスク20cの形成後、内部電極層8aをエッチング液でエッチングして、内部電極8を形成する(図4(b)参照)。内部電極8を形成した後、上部電極10、誘電体層6及び内部電極8の表面を被覆するマスク20cを剥離する。なお、内部電極8を形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、内部電極8を形成するためのエッチング液としては、内部電極層8aを侵食し、且つ内部電極層8aに隣接する誘電体膜4a及びマスク20cを侵食しないものを用いればよく、例えば、塩化鉄(FeCl)水溶液を用いればよい。
次に、図5(a)に示すように、積層体200cが備える上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体膜4aの表面にフォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィーによって、完成後の薄膜コンデンサ100が備える誘電体層4に対応したパターンを有するマスク20dを形成する。マスク20dの形成後、誘電体膜4aをエッチング液でエッチングして、誘電体層4を形成する(図5(b)参照)。誘電体層4を形成した後、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4の表面を被覆するマスク20dを洗浄する。なお、誘電体層4を形成するためのフォトレジストとしては、例えば、東京応化社製OFPR-800を用いればよい。また、誘電体層4を形成するためのエッチング液としては、誘電体膜4aを侵食し、且つ誘電体膜4aに隣接する下地電極2及びマスク20dを侵食しないものを用いればよく、例えば、塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いればよい。
誘電体4の形成後、積層体200dが備える下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10の表面を覆うようにカバー層14を形成すると共に、カバー層14の上面に、一対の端子電極12a、12bを形成する。一方の端子電極12aは、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、内部電極8と電気的に接続させる。これにより、図1に示す薄膜コンデンサ100が完成する。
本実施形態では、内部電極層8aが主成分としてNiを含有し、更に添加元素としてPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種(添加元素)を含有するため、Ptを主成分とする従来の内部電極を用いた場合に比べて薄膜コンデンサ100の低コスト化が可能となる。また、上記組成を有する内部電極層8aは、誘電体膜4a、6aとの焼成時に、酸化や途切れを起こし難く、また誘電体膜4a、6aと反応し難い。仮に内部電極層8aが卑金属単独からなる場合、誘電体膜4a、6aとの焼成時に、内部電極層8aが酸化や途切れを起こし易く、また誘電体膜4a、6aと反応し易い傾向がある。
内部電極層8aが含有する上記添加元素の中でも、焼成時における内部電極層8aの途切れを防止する効果を得易い点において、Pt、Pd、Ir、W、Cr、Ta及びAgの少なくともいずれかが好ましい。また、上記添加元素の中でも、焼成時に内部電極層8aの酸化、及び内部電極層8aと誘電体膜4a、6aとの反応を抑制する効果を得易い点において、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os及びReの少なくともいずれかが好ましい。また、塩化鉄水溶液をエッチング液として用いた場合にウェットエッチングを行い易い点において、Pd、Re、W、Cr、Ta及びAgの少なくともいずれかが好ましい。なお、仮に内部電極層8aがPtのみからなる場合、ウエットプロセスによる内部電極層8aのエッチングが難く、内部電極層8aをドライプロセスによってエッチングせざるを得ないため、製造コストが増加してしまう。
内部電極層8aに含まれる添加元素の含有量は、内部電極層8a全体に対して0mol%より大きく30mol%以下であることが好ましく、5〜20mol%であることがより好ましく、10〜15mol%であることが更に好ましい。これにより、焼成時に内部電極層8aの途切れが起こり難くなり、内部電極層8aの多層化が実現できる。仮に、内部電極層8aがNiのみからなる場合、焼成時に内部電極層が途切れを起こし易くなるため、内部電極層の多層化が困難となる。
本実施形態では、Niを主成分とする下地電極2の熱膨張係数と、誘電体膜4a、6aの熱膨張係数が近い。そのため、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aを順次積層してなる第1積層体を焼成した際に、焼成後の誘電体膜4a、6aに応力が発生し難くなり、誘電体膜4a、6aの誘電率が大きくなり、また誘電体膜4a、6aにクラックが発生し難くなる。また、下地電極2が主成分としてNiを含有するため、内部電極8の剥離も起き難くなる。すなわち、Niを主成分とする下地電極2と、Niを主成分として含む内部電極8との組み合わせによって、内部電極8の剥離が防止される。
なお、仮に下地電極2として従来のSi基板とその上に形成したPtからなる下地電極とを用いると、Si基板の熱膨張係数と誘電体膜4a、6aの熱膨張係数が違いすぎるため、焼成後の誘電体膜4a、6aに応力が発生し易くなる。その結果、誘電体膜4a、6aの誘電率が小さくなり、誘電体膜4a、6aにクラックが発生し易くなる。そして、内部電極8の剥離が起き易くなる。さらに、下地電極2として従来のSi基板とその上に形成したPtからなる下地電極を用いると、コストが高くなってしまう。
また本実施形態では、Niを主成分として含む内部電極層8aの熱膨張係数と、誘電体膜4a、6aの熱膨張係数が近い。そのため、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aを順次積層してなる第1積層体を焼成した際に、焼成後の誘電体膜4a、6aに応力が発生し難くなり、誘電体膜4a、6aの誘電率が大きくなり、また誘電体膜4a、6aにクラックが発生し難くなる。また、Niを主成分として含む内部電極層8aは、誘電体膜4a、4bが焼結する程度の高温で焼成した際に融解し難いため、焼成後の内部電極層8aの途切れが起き難い。
また本実施形態では、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aを順次積層してなる第1積層体を焼成した後に、積層体において下地電極2の反対側に位置する表面に、Cu又はCu合金からなる上部電極層10aを形成する。この上部電極層10aを誘電体膜4a、4bの焼成温度より低温で熱処理することによって、リーク電流を減少させることができる薄膜コンデンサ100を得ることができる。
なお、仮にPt等の白金族からなる上部電極10を用いた場合、Cu又はCu合金からなる上部電極10を用いた場合に比べて、薄膜コンデンサ100が高価なものとなり、またリーク電流が大きくなる傾向がある。また、Pt電極の場合、リーク電流を減少させるためには、誘電体膜4a、6aが焼結する程度の高温の酸化雰囲気で熱処理する必要があるが、Niなど卑金属を用いると、Ptの場合とは異なり、電極が酸化し、電極として機能しなくなるため、高温の熱処理が不可能であった。本発明の積層構造では、第2積層体200の上部電極層10aにCu又はCu合金を用いることにより、低温の熱処理でリーク電流が低下することを本発明者は見出した。
また、従来の製造方法では、内部電極のパターニング形成と誘電体層の結晶化が繰り返されるため、高温の熱処理が繰り返して行われる。そのため、パターニング近傍の酸化が激しく、特にパターニングにより内部電極が露出した部分は、そのダメージが大きい。これに対して上記製造方法のように下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aを順次積層してなる第1積層体を一括焼成する(すなわち2つ以上の誘電体膜を一度に焼成する)場合、内部電極層8aが保護された状態であり、且つ、一度の高温熱処理により焼成が行われるため、従来の製造方法と比較して、内部電極層8aへのダメージを少なくすることができる。
(薄膜コンデンサの製造方法の他の実施例)
上記の薄膜コンデンサ100の製造方法では、第1積層体を焼成した後に、焼成後の第1積層体における下地電極2の反対側に位置する表面に、Cu又はCu合金からなる上部電極層10aを形成して、下地電極2、誘電体膜4a,6a、内部電極層8a及び上部電極層10aを備える第2積層体200を形成し、第2積層体200の誘電体膜4a,6a、内部電極層8a及び上部電極層を10aそれぞれウェットエッチングすることによって、誘電体層4,6、内部電極8及び上部電極10をそれぞれ形成する方法について説明した。しかしながら、上記の薄膜コンデンサの製造方法は、上部電極10がCu又はCu合金とは異なる材料、すなわち、半導体やディスプレイなどで用いられるAl,Cr,W,Mn,Niなどの配線材料からなる場合にも適用できる。
すなわち、上部電極10としてCu又はCu合金とは異なる材料を用いて薄膜コンデンサを製造した場合であっても、ウエットプロセスにより内部電極層8aのエッチングを行うことができるため、ドライプロセスによってエッチングをする場合と比較して、コストの低減を実現することができる。これは、内部電極層8aがウェットエッチングに好適な材料からなるためであり、具体的には、主成分としてNiを含有し、更に添加元素としてPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有するためである。なお、Cu又はCu合金に代わる上部電極10の材料としては、例えばNiが好適に用いられる。また、Niからなる上部電極層10aは、Niをターゲットとするスパッタリングにより焼成後の第1積層体の表面に形成することができる。また、上部電極10としてNiを用いた場合であっても、上部電極層10aを形成する前に行われる誘電体膜4a,6aの焼成を第1積層体の状態で一括して行うことによる内部電極層8aに対するダメージの低減効果は当然ながら同様である。
また、上記の薄膜コンデンサ100の製造方法では、Niを主成分として含有する下地電極2を用いて説明しているが、Niを主成分とする材料とは異なる材料を下地電極2として用いることもできる。Niを主成分とする材料に代わる下地電極2の材料としては、例えばCuを主成分とする材料やSi基板上に下地電極としてPtを形成したものが好適に用いられる。なお、下地電極2に用いられる材料を変更した場合であっても、誘電体膜4a,6aの焼成を第1積層体の状態で一括して行うことによる内部電極層8aに対するダメージの低減効果は同様である。
以上、本発明に係る薄膜コンデンサ及び薄膜コンデンサの製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、各誘電体膜4a、6aは、第1積層体の状態で一括して焼成しなくてもよく、例えば、誘電体膜4aを成膜した直後に一度焼成を行い、誘電体膜6aを成膜した直後に再度焼成を行ってもよい。
また、図6に示すように、薄膜コンデンサ100aが、誘電体層60を介して積層された複数(例えば4層)の内部電極8を備えていても良い。これにより、薄膜コンデンサ100aの静電容量をより増加させることができる。また、下地電極2が基板を兼ねる構成について説明したが、下地電極と基板とは異なる材料からなる構成であってもよい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(試料2d)
まず、30μm厚のNi箔(図1の下地電極2)の表面を鏡面状に研磨した。次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、研磨されたNi箔の表面にBaTiO膜(誘電体膜4a)を成膜した。なお、スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜の厚さは200nmとした。
次に、主成分としてNiを含有し、更に添加元素としてPdを15mol%含有するNi系金属をターゲットとしたスパッタリングによって、Ni系金属からなる層(内部電極層8a)をBaTiO膜(誘電体膜4a)の表面に形成した。内部電極層8aの厚さは200nmとした。
次に、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングによって、BaTiO膜(誘電体膜6a)を内部電極層8aの表面に成膜し、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a及び誘電体膜6aの4層からなる第1積層体を複数形成した。なお、スパッタリングでは、Ni箔の温度を250℃に保持した。BaTiO膜(誘電体膜6a)の厚さは200nmとした。
次に、真空雰囲気中で第1積層体を800℃で焼成し、2つのBaTiO膜(誘電体膜4a、6a)を焼結させた。焼成後に得られた第1積層体の表面を光学顕微鏡で観察して、内部電極層8aの途切れの有無を調べた。誘電体膜4a、6aは透明であるため、内部電極層8aの途切れを観察することができる。結果を表1に示す。この観察により、内部電極層8aの途切れが無かった場合、「無」と評価し、顕微鏡の視野100μmでの領域で数点の途切れ箇所が観察された場合、「小」と評価し、内部電極層8aの穴(途切れ)が露出して、完成後の薄膜コンデンサ100においてショートが発生した場合、および顕微鏡の視野100μmでの領域で20点以上の途切れ箇所が観察された場合は、「大」と評価した。
第1積層体の焼成後、第1積層体においてNi箔の反対側に位置する表面に、Cuからなる上部電極層10aを形成して、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極層10aの5層からなる第2積層体200を形成した(図2(a)参照)。なお、上部電極層10aは、Cuをターゲットとするスパッタリングにより形成した。次に、真空雰囲気中で第2積層体200を310℃で熱処理した。
熱処理後、第2積層体が備える上部電極層10a、誘電体膜6a、内部電極層8a及び誘電体膜4aを、図2(b)、図2(c)、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)に示す手順でウェットエッチングすることによって、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4を順次形成し、図5(b)に示す積層体200dを得た。なお、上部電極層10aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として過硫酸アンモニウム水溶液を用いた。誘電体膜6aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。内部電極層8aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩化鉄(FeCl)水溶液を用いた。誘電体膜4aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩酸+フッ化アンモニウム水溶液を用いた。
内部電極層8aのウェットエッチング後(誘電体膜4aのウェットエッチングを行う前)に、得られた内部電極8の形状を評価した。結果を表2に示す。表2では、図4のマスク20cに対応した形状を有する所望の内部電極8が形成された場合、「○」と評価し、マスク20cで被覆されていなかった内部電極層8aの一部が、残渣として誘電体膜4aの表面に残存していた場合、「△」と評価し、マスク20cに対応した形状を有する内部電極8を形成できず、薄膜コンデンサ100を完成させることができなかった場合、「×」と評価した。
次に、積層体200dが備える下地電極2、誘電体層4、内部電極8、誘電体層6及び上部電極10の表面を覆うように、ポリイミドからなるカバー層14を形成した。次に、カバー層14の上面に、上部電極10、内部電極8及び下地電極2にそれぞれ通じる穴をそれぞれ形成した後、スパッタリングによって、Cuからなる一対の端子電極12a、12bを形成して、1005サイズの薄膜コンデンサ100を複数得た(図1参照)。なお、一方の端子電極12aは、カバー層14に形成された穴を通じて、下地電極2及び上部電極10と電気的に接続させ、他方の端子電極12bは、カバー層14に形成された穴を通じて、内部電極8と電気的に接続させた。
得られた薄膜コンデンサ100の一つを積層方向に垂直な断面で切断し、内部電極8の表面(誘電体層4、6との界面)を光学顕微鏡で観察して、内部電極8の酸化の有無を調べた。結果を表3に示す。表3では、内部電極8の酸化物が見付からなかった場合、「○」と評価し、内部電極8の酸化物が見付かった場合、または、酸化物として判断できなかった場合でも完成後の薄膜コンデンサ100において静電容量を得られなかった場合、および完成後の薄膜コンデンサ100の静電容量が著しく低下して、20nF未満であった場合、およびtanδが20%以上の場合「×」と評価した。
(試料1a〜2c、2e〜13f)
内部電極層8aに含有させる添加元素、及び添加元素の添加量を表1〜3に示す値としたこと以外は、試料2dの場合と同様に、試料1a、1b、1c、1d、1e、1f、2a、2b、2c、2e、2f、3a、3b、3c、3d、3e、3f、4a、4b、4c、4d、4e、4f、5a、5b、5c、5d、5e、5f、6a、6b、6c、6d、6e、6f、7a、7b、7c、7d、7e、7f、8a、8b、8c、8d、8e、8f、9a、9b、9c、9d、9e、9f、10a、10b、10c、10d、10e、10f、11a、11b、11c、11d、11e、11f、12a、12b、12c、12d、12e、12f、13a、13b、13c、13d、13e、13fの薄膜コンデンサ100をそれぞれ作製した。また、試料2dの場合と同様に、これらの試料の内部電極層8aの途切れの有無、ウェットエッチング後に得られた内部電極8の形状、及び薄膜コンデンサ100における内部電極8の酸化の有無をそれぞれ評価した。結果を表1〜3に示す。
Figure 2009267376
Figure 2009267376
Figure 2009267376
(試料2dd)
上部電極をCu電極からNi電極に変更した以外は、試料2dの場合と同様に試料2ddの薄膜コンデンサ100を作製した。すなわち、具体的には、図2(a)に示す試料2dの作製方法と同様の方法により第1積層体を焼成した後、第1積層体においてNi箔の反対側に位置する表面に、Niからなる上部電極層10aを形成して、下地電極2、誘電体膜4a、内部電極層8a、誘電体膜6a及び上部電極層10aの5層からなる第2積層体200を形成した。ただし、上部電極層10aとしてはCuではなく、Niを用いている。上部電極層10aは、Niをターゲットとするスパッタリングにより形成した。次に、真空雰囲気中で第2積層体200を310℃で熱処理した。
熱処理後、第2積層体が備える上部電極層10a、誘電体膜6a、内部電極層8a及び誘電体膜4aを、図2(b)、図2(c)、図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)に示す手順でウェットエッチングすることによって、上部電極10、誘電体層6、内部電極8及び誘電体層4を順次形成し、図5(b)に示す積層体200dを得た。なお、Niからなる上部電極層10aのウェットエッチングでは、フォトレジストとして東京応化社製OFPR-800を用い、エッチング液として塩化鉄(FeCl)水溶液を用いた。以降の工程は試料2dと同様の方法により、試料2ddの薄膜コンデンサ100を作製した。
(試料14)
試料14として、図6に示すように、4層の内部電極8を備える1005サイズの薄膜コンデンサ100aを作製した。なお、以下に示すように、誘電体膜の形成方法、焼成のタイミング、及び誘電体層60の厚さ以外は、試料2dの場合と同様に、試料14の薄膜コンデンサ100aを作製した。
薄膜コンデンサ100aの作製では、各誘電体膜(エッチング前の誘電体層60)をCSD(Chemical Solution Deposition)法で成膜した。また、各誘電体膜を成膜する度に、各誘電体膜を真空中で800℃に加熱して逐次焼成した。すなわち、試料14の薄膜コンデンサ100aを作製する際は、5層の誘電体膜を焼結させるために、5回焼成を行った。また、各誘電体層60の厚さは300nmとした。
(試料15)
シリコン単結晶基板(以下、「基板」と記す。)の表面を熱酸化して、SiO層を形成した。次に、TiOをターゲットとしたスパッタリングにより、密着層としてTiO層をSiO層の表面に形成した。スパッタリング中、基板は室温に保持した。また、スパッタリングは酸素雰囲気中で行った。TiO層の膜厚は20nmとした。
次に、スパッタリングにより、Ptからなる下地電極をTiO層の表面に形成した。下部電極の厚さは200nmとした。
下地電極の形成後、BaTiOをターゲットとしたスパッタリングにより、誘電体膜を下地電極の表面に成膜した。誘電体膜を成膜するためのスパッタリングでは、基板を250℃に保持した。誘電体膜の膜厚は200nmとした。
誘電体膜を成膜した後、シリコン単結晶基板、SiO層、TiO層、下地電極及び誘電体膜からなる積層体を焼成した。焼成は、真空中で行い、焼成温度は800℃とした。この焼成で誘電体膜を焼結させた。
次に、スパッタリングにより、Ptからなる内部電極層を誘電体膜の表面に形成した。内部電極の厚さは200nmとした。
BaTiOをターゲットとしたスパッタリングにより、誘電体膜を内部電極の表面に成膜し、シリコン単結晶基板、SiO層、TiO層、下地電極、誘電体膜、内部電極層、及び誘電体膜が順次積層されてなる試料15の第1積層体を形成した。なお、内部電極層上に誘電体膜を成膜するスパッタリングでは、基板を250℃に保持した。内部電極層上に成膜した誘電体膜の膜厚は200nmとした。
次に、真空雰囲気中で試料15の第1積層体を800℃で焼成し、内部電極層上に形成した誘電体膜を焼結させた。積層体の焼成後、積層体においてシリコン単結晶基板の反対側に位置する表面に、Ptからなる上部電極層を形成した。なお、上部電極層は、Ptをターゲットとするスパッタリングにより形成した。これにより、シリコン単結晶基板、SiO層、TiO層、下地電極、誘電体膜、内部電極層、誘電体膜及び上部電極層の8層からなる試料15の第2積層体を形成した。次に、真空雰囲気中で試料15の第2積層体を310℃で熱処理した。
熱処理した試料15の第2積層体が備える上部電極層、誘電体膜、内部電極層及び誘電体膜を、フォトリソグラフィーを用いて順次パターニングした。これにより、上部電極層、誘電体膜、内部電極層及び誘電体膜を順次形成した。なお、誘電体層はウェットエッチングによって形成し、Ptからなる内部電極及び上部電極はそれぞれドライエッチングによって形成した。
次に、試料15の第2積層体が備える下地電極、誘電体層、内部電極、誘電体層及び上部電極の表面を覆うように、ポリイミドからなるカバー層を形成した。次に、カバー層の上面に、上部電極、内部電極及び下地電極にそれぞれ通じる穴をそれぞれ形成した後、スパッタリングによって、Cuからなる一対の端子電極を形成して、1005サイズの薄膜コンデンサ100を得た。なお、一方の端子電極は、カバー層に形成された穴を通じて、下地電極及び上部電極と電気的に接続させ、他方の端子電極は、カバー層に形成された穴を通じて、内部電極と電気的に接続させた。
以上のようにして作製した試料15の薄膜コンデンサは、SiO層を有するSi基板と、SiO層上に積層されたTiO層と、TiO層上に積層されたPtからなる下地電極と、下地電極上に積層された第1の誘電体層と、第1の誘電体層上に積層されたPtからなる内部電極と、内部電極上に積層された第2の誘電体層と、第2の誘電体層上に積層されたPtからなる上部電極と、を備える薄膜コンデンサであり、従来型の薄膜コンデンサである。
(静電容量及びリーク電流の測定)
試料2dの薄膜コンデンサ100、試料2ddの薄膜コンデンサ100、試料14の薄膜コンデンサ100a及び試料15の薄膜コンデンサの静電容量及びリーク電流をそれぞれ測定した。なお、リーク電流を測定する際に各コンデンサに印加する電圧は2Vとした。
試料2dの薄膜コンデンサ100の静電容量は35.6nFであり、試料15の薄膜コンデンサの静電容量は17.6nFであった。また、試料2dの薄膜コンデンサ100のリーク電流は3.3×10−9Aであり、試料15の薄膜コンデンサのリーク電流は2.8×10−7Aであった。
以上の結果から、Niからなる下地電極2と、下地電極2上に積層された誘電体層4と、
誘電体層4上に積層され、主成分としてNiを含有し、添加元素としてPdを15mol%含有する内部電極8と、内部電極8上に積層された誘電体層6と、誘電体層8上に積層され、Cuからなる上部電極10と、を備える試料2dの薄膜コンデンサ100では、従来型である試料15の薄膜コンデンサに比べて、静電容量が2倍以上大きく、またリーク電流が略2桁小さいことが確認された。
また、試料2ddの薄膜コンデンサ100の静電容量は36.0nFであり、リーク電流は2.8×10−8Aであった。このように、上部電極をNiに変更した試料2ddの薄膜コンデンサ100についても、従来型である試料15の薄膜コンデンサに比べて、静電容量が2倍以上大きく、またリーク電流が略1桁小さいことが確認された。
また、試料14の薄膜コンデンサ100aの静電容量は90.6nFであり、リーク電流は4.3×10−9Aであった。このように、本発明によれば、1005サイズの薄膜コンデンサ100aで、40nF以上の高容量を実現できることが確認された。
2・・・下地電極、4、6、60・・・誘電体層、4a、6a・・・誘電体膜、8・・・内部電極、8a・・・内部電極層、10・・・上部電極、10a・・・上部電極層、12a、12b・・・端子電極、14・・・カバー層、100、100a・・・薄膜コンデンサ、20a、20b、20c、20d・・・マスク、200、200a、200b、200c、200d・・・積層体。

Claims (5)

  1. Niを主成分とする下地電極と、
    前記下地電極上に積層された二つ以上の誘電体層と、
    前記誘電体層の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極と、
    前記誘電体層及び前記内部電極を挟んで前記下地電極の反対側に積層された、Cu又はCu合金からなる上部電極と、を備える薄膜コンデンサ。
  2. 請求項1に記載の薄膜コンデンサの製造方法であって、
    前記下地電極と、前記下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、前記誘電体膜の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、を形成した後、前記下地電極、前記二つ以上の誘電体膜及び前記内部電極層を同時に焼成することにより、積層体を形成する工程と、
    前記積層体における前記下地電極の反対側に位置する表面に、Cu又はCu合金からなる上部電極層を形成する工程と、
    前記誘電体膜、前記内部電極層及び前記上部電極層をそれぞれパターニングすることによって、前記誘電体層、前記内部電極及び前記上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える薄膜コンデンサの製造方法。
  3. 請求項1に記載の薄膜コンデンサの製造方法であって、
    前記下地電極と、前記下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、前記誘電体膜の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、前記誘電体膜及び前記内部電極層を挟んで前記下地電極の反対側に積層され、Cu又はCu合金からなる上部電極層と、を備える積層体を形成する工程と、
    前記積層体の形成後、前記誘電体膜、前記内部電極層及び前記上部電極層をそれぞれウェットエッチングすることによって、前記誘電体層、前記内部電極及び前記上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える薄膜コンデンサの製造方法。
  4. 下地電極と、前記下地電極上に積層された二つ以上の誘電体膜と、前記誘電体膜の間に積層された、主成分としてNiを含有し、更にPt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、W、Cr、Ta及びAgからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する内部電極層と、前記誘電体膜及び前記内部電極層を挟んで前記下地電極の反対側に積層された上部電極層と、を備える積層体を形成する工程と、
    前記積層体の形成後、前記誘電体膜、前記内部電極層及び前記上部電極層をそれぞれウェットエッチングすることによって、前記誘電体層、前記内部電極及び前記上部電極をそれぞれ形成する工程と、を備える薄膜コンデンサの製造方法。
  5. 前記積層体を形成する工程において、前記二つ以上の誘電体膜を同時に焼成する工程を含む請求項4記載の薄膜コンデンサの製造方法。
JP2009066202A 2008-03-31 2009-03-18 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法 Active JP5267251B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009066202A JP5267251B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-18 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008092942 2008-03-31
JP2008092942 2008-03-31
JP2009066202A JP5267251B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-18 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009267376A true JP2009267376A (ja) 2009-11-12
JP5267251B2 JP5267251B2 (ja) 2013-08-21

Family

ID=41392772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009066202A Active JP5267251B2 (ja) 2008-03-31 2009-03-18 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5267251B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011114312A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Tdk Corp 薄膜コンデンサ
JP2015514315A (ja) * 2012-03-22 2015-05-18 カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー 細長体を有する導電性素子のアレイを具えるマイクロ・ナノスケールキャパシタ
JP2016029708A (ja) * 2014-07-23 2016-03-03 Tdk株式会社 薄膜誘電体及び薄膜コンデンサ素子
JP2017175104A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
JP2018063990A (ja) * 2016-10-11 2018-04-19 Tdk株式会社 薄膜キャパシタを製造する方法及び薄膜キャパシタ
JP2018063991A (ja) * 2016-10-11 2018-04-19 Tdk株式会社 薄膜キャパシタ及び薄膜キャパシタを製造する方法
JP2018063978A (ja) * 2016-10-11 2018-04-19 Tdk株式会社 薄膜コンデンサ
JP2020088260A (ja) * 2018-11-29 2020-06-04 Tdk株式会社 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP2023070011A (ja) * 2021-11-08 2023-05-18 ウィズメムズ カンパニー リミテッド トレンチキャパシタ及びその製造方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0437106A (ja) * 1990-06-01 1992-02-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜コンデンサ
JPH08241830A (ja) * 1995-03-07 1996-09-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 薄膜コンデンサ
JP2001023851A (ja) * 1999-07-07 2001-01-26 Hitachi Ltd コンデンサ一体化セラミック焼結体およびその製造方法
JP2007059583A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Jsr Corp 誘電体膜キャパシタおよびその製造方法
JP2007150186A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Tdk Corp 薄膜電子部品用電極、薄膜電子部品及びその製造方法
JP2007194592A (ja) * 2005-12-20 2007-08-02 Tdk Corp 誘電体素子とその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0437106A (ja) * 1990-06-01 1992-02-07 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜コンデンサ
JPH08241830A (ja) * 1995-03-07 1996-09-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 薄膜コンデンサ
JP2001023851A (ja) * 1999-07-07 2001-01-26 Hitachi Ltd コンデンサ一体化セラミック焼結体およびその製造方法
JP2007059583A (ja) * 2005-08-24 2007-03-08 Jsr Corp 誘電体膜キャパシタおよびその製造方法
JP2007150186A (ja) * 2005-11-30 2007-06-14 Tdk Corp 薄膜電子部品用電極、薄膜電子部品及びその製造方法
JP2007194592A (ja) * 2005-12-20 2007-08-02 Tdk Corp 誘電体素子とその製造方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011114312A (ja) * 2009-11-30 2011-06-09 Tdk Corp 薄膜コンデンサ
US8498095B2 (en) 2009-11-30 2013-07-30 Tdk Corporation Thin-film capacitor with internally hollow through holes
JP2015514315A (ja) * 2012-03-22 2015-05-18 カリフォルニア インスティチュート オブ テクノロジー 細長体を有する導電性素子のアレイを具えるマイクロ・ナノスケールキャパシタ
JP2016029708A (ja) * 2014-07-23 2016-03-03 Tdk株式会社 薄膜誘電体及び薄膜コンデンサ素子
KR101872582B1 (ko) * 2016-03-22 2018-06-28 삼성전기주식회사 적층 세라믹 커패시터 및 그 제조 방법
KR20170109924A (ko) * 2016-03-22 2017-10-10 삼성전기주식회사 적층 세라믹 커패시터 및 그 제조 방법
JP2017175104A (ja) * 2016-03-22 2017-09-28 サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. 積層セラミックキャパシタ及びその製造方法
US10553363B2 (en) 2016-03-22 2020-02-04 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Multilayer ceramic capacitor having via electrode and method of manufacturing the same
JP2018063990A (ja) * 2016-10-11 2018-04-19 Tdk株式会社 薄膜キャパシタを製造する方法及び薄膜キャパシタ
JP2018063991A (ja) * 2016-10-11 2018-04-19 Tdk株式会社 薄膜キャパシタ及び薄膜キャパシタを製造する方法
JP2018063978A (ja) * 2016-10-11 2018-04-19 Tdk株式会社 薄膜コンデンサ
JP2020088260A (ja) * 2018-11-29 2020-06-04 Tdk株式会社 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP7218554B2 (ja) 2018-11-29 2023-02-07 Tdk株式会社 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP2023070011A (ja) * 2021-11-08 2023-05-18 ウィズメムズ カンパニー リミテッド トレンチキャパシタ及びその製造方法
JP7385949B2 (ja) 2021-11-08 2023-11-24 ウィズメムズ カンパニー リミテッド トレンチキャパシタ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5267251B2 (ja) 2013-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5267251B2 (ja) 薄膜コンデンサ、及び薄膜コンデンサの製造方法
JP5407775B2 (ja) 薄膜コンデンサの製造方法及び薄膜コンデンサ
JP5158061B2 (ja) 薄膜コンデンサ
US8218287B2 (en) Thin-film device
JP5267268B2 (ja) 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP6015159B2 (ja) 薄膜コンデンサ
JP6737118B2 (ja) 薄膜コンデンサ
JP5434714B2 (ja) 薄膜コンデンサ及び電子回路基板
US20080030969A1 (en) Method for manufacturing a printed circuit board with a thin film capacitor embedded therein having a dielectric film by using laser lift-off, and printed circuit board with a thin film capacitor embedded therein manufactured thereby
US7382013B2 (en) Dielectric thin film, dielectric thin film device, and method of production thereof
JP4228437B2 (ja) 薄膜積層コンデンサおよびその製造方法
JP2007329189A (ja) 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP4604939B2 (ja) 誘電体薄膜、薄膜誘電体素子およびその製造方法
JP5229113B2 (ja) 薄膜コンデンサの製造方法
JP2001185443A (ja) 薄膜コンデンサ
JP4862371B2 (ja) 薄膜電子部品及びその製造方法
JP6805703B2 (ja) 薄膜コンデンサ
JP2011108886A (ja) 薄膜コンデンサ及び薄膜コンデンサの製造方法
JP2008166470A (ja) 電子部品及びその製造方法
JP7218554B2 (ja) 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JPH11243032A (ja) 薄膜コンデンサ
JPH03257857A (ja) 薄膜コンデンサ及びその製造方法
JP2019071336A (ja) 薄膜コンデンサおよびその製造方法
JP4993056B2 (ja) 積層型圧電素子の製造方法及び酸素供給方法
JP2008227115A (ja) 薄膜キャパシタ用の下部電極とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120105

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5267251

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150