JP2008227115A - 薄膜キャパシタ用の下部電極とその製造方法 - Google Patents

薄膜キャパシタ用の下部電極とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタの製造過程において、酸化物高誘電体を形成するため800℃以上の高温でアニールした際に、下部電極を構成するPt層にヒロックが発生することを防止することができる下部電極とその製造方法を提供する。
【解決手段】Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタを構成する、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層構造を有する下部電極であって、前記密着層は、表面粗さがRaで2.5〜5nmに調整された金属酸化物であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄膜キャパシタ用の下部電極とその製造方法に関し、さらに詳しくは、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタの製造過程において、酸化物高誘電体を形成するため800℃以上の高温でアニール処理した際に、下部電極を構成する白金(Pt)層にヒロックが発生することを防止することができる下部電極とその製造方法に関する。
近年、コンデンサ素子の小型化、また半導体集積回路の高集積化に伴い、薄膜コンデンサ及び半導体集積回路装置の容量絶縁膜、DRAMのキャパシタ材料等に使用されるキャパシタ絶縁膜としては、誘電率の高い物質が求められている。このような高誘電率を有する物質としては、ペロブスカイト型の結晶構造を持つ複合酸化物が知られている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、チタン酸カルシウム(CaTiO)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba、Sr)TiO)等のチタン酸バリウム系誘電物質が注目されている。
このような酸化物高誘電体を用いた薄膜キャパシタは、例えば、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成して製造される。
ところで、上記酸化物高誘電体の薄膜形成法としては、スパッタリング法、ゾルゲル法、MOD法、CVD法等による成膜が行なわれている。この酸化物高誘電体は、特定の結晶構造でないと誘電率が高くならないため、成膜後、アニール処理を行うことが一般的である。このアニール処理は、酸化性雰囲気下、例えば大気中、又は酸素雰囲気中で500〜900℃の温度で行われる。そのため、基板と酸化物高誘電体の間に形成される下部電極としては、アニール処理で高抵抗とならない材料が必要となる。このような材料として、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)のような貴金属、或いは酸化ストロンチウムルテニウム(SrRuO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化イリジウム(IrO)のような酸化物が使われていた。
通常、Si基板上には、絶縁層としてSiO膜が使われるが、貴金属とSiO膜の密着性は低いので、SiO層上に貴金属電極を直接形成することはできない。そのためSiO層と貴金属電極層の間に密着層を設けることが一般的に行われている(例えば、特許文献1、2参照。)。例えば、Si/SiO層/密着層/貴金属層からなる積層構造を有する下部電極が用いられる。ここで、この密着層としては、チタン(Ti)、タンタル(Ta)などの酸素親和性が高い金属薄膜、或いはそれらの酸化物が使われる。また、貴金属としては、白金(Pt)が広く使われている。
ところが、白金を電極として用いた場合、酸化物高誘電体を高温下にアニール処理する際、ヒロックと呼ばれる突起が発生し、白金薄膜の表面が荒れ白濁する現象が起きる。すなわち、高温で熱処理をすると、白金表面に1μm程度の半球上の盛り上がりが発生し、酷い場合には、白金薄膜にクラックが発生し、白金薄膜が剥離することがある。これは、高温で白金の粒界が移動した際に、下地層との密着性が悪い場所が剥離することによると思われる。この解決策として、ヒロックの発生を抑制するため、アニール処理の条件又は膜構造の最適化を図る対策がとられている(例えば、特許文献3、4、5参照。)。これらの対策により、アニール温度が800℃程度まではヒロックの発生を防止することができるが、一方、アニール温度が高いほど誘電率は高くなる傾向があり、アニ―ル処理を800℃以上の温度で行っても、ヒロックの発生が防止されることが望まれている。
特開平10−303397号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−152166号公報(第1頁、第2頁) 特表2001−505367号公報(第1頁、第2頁) 特開平10−326755号公報(第1頁、第2頁) 特開2003−318369号公報(第1頁、第2頁)
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタの製造過程において、酸化物高誘電体を形成するため800℃以上の高温でアニールした際に、下部電極を構成するPt層にヒロックが発生することを防止することができる下部電極とその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために、Si基板上に下部電極/酸化物高誘電体/上部電極を形成してなる薄膜キャパシタに用いられる、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層構造を有する下部電極において、密着層とPt層の界面について、鋭意研究を重ねた結果、前記密着層を、特定の表面粗さに調整された金属酸化物としたところ、密着層とPt層の密着性を向上させることができ、アニ―ル処理を1000℃までの高温で行っても、ヒロックの発生が起きない下部電極となること、また、その製造方法としては、特定の工程により、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層体を製造したところ、本発明の特定の表面粗さに調整された密着層を有する下部電極が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタを構成する、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層構造を有する下部電極であって、
前記密着層は、表面粗さがRaで2.5〜5nmに調整された金属酸化物であることを特徴とする下部電極が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記金属酸化物は、チタン酸化物又はタンタル酸化物であることを特徴とする下部電極が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、前記密着層の膜厚は、50〜200nmであることを特徴とする下部電極が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3いずれかの発明の薄膜キャパシタ用の下部電極の製造方法であって、
下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする下部電極の製造方法が提供される。
工程(1):表面上にSiO層が形成されたSi基板上に、スパッタ法により金属膜を形成する。
工程(2):酸化性雰囲気下に熱処理に付し、前記金属膜を酸化して金属酸化物膜を生成する。
工程(3):前記金属酸化物膜の表面をArイオンによるスパッタに付し、表面粗さをRaで2.5〜5nmに調整した密着層を形成する。
工程(4):前記密着層の表面上に、スパッタ法によりPt層を形成して、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層体を得る。
工程(5):前記積層体を、酸化性雰囲気下に熱処理に付し、前記密着層を再酸化する。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明において、上記工程(2)で用いる熱処理温度は、600〜800℃であることを特徴とする下部電極の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第4の発明において、上記工程(4)で用いるPt層の膜厚は、50〜500nmであることを特徴とする下部電極の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第4の発明において、上記工程(5)で用いる熱処理温度は、700〜1000℃であることを特徴とする下部電極の製造方法が提供される
本発明の薄膜キャパシタ用の下部電極とその製造方法は、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタの製造過程において、酸化物高誘電体を形成するため800℃以上の高温でアニールした際に、下部電極を構成するPt層にヒロックが発生することを防止することができる下部電極とその製造方法であるので、その工業的価値は極めて大きい。
以下、本発明の薄膜キャパシタ用の下部電極とその製造方法を詳細に説明する。
本発明の薄膜キャパシタ用の下部電極は、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタを構成する、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層構造を有する下部電極であって、前記密着層は、表面粗さがRaで2.5〜5nmに調整された金属酸化物であることを特徴とする。
なお、表面粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、密着層をつけたSi基板を試料として、表面の3次元形状を測定し、高さ方向のデータを統計処理し求める。
本発明において、密着層が、表面粗さがRaで2.5〜5nmに調整された金属酸化物からなることが重要である。これによって、密着層とPt層の界面において、アンカー効果による密着性の向上がなされる。すなわち、密着層の表面粗さがRaで2.5nm未満では、アンカー効果による密着性の向上が十分でない、一方、密着層の表面粗さがRaで5nmを超えると、アンカー効果は向上するが、同時にスパッタによって金属酸化物層表面から酸素が抜けるため、Pt中へTiが拡散しやすくなる。
上記金属酸化物としては、特に限定されるものではなく、チタン、タンタルなどの酸素親和性が高い金属の酸化物用いられるが、この中で、チタン酸化物又はタンタル酸化物がコスト的に好ましい。
上記密着層の膜厚としては、特に限定されるものではなく、50〜200nmが好ましい。すなわち、膜厚が50nm未満では、膜が薄いため、密着層の強度が不十分である。一方、膜厚が200nmを超えると、一方、膜厚が200nmを超えると、酸素アニールで酸化させるときに、均一に酸化できないため、表面の酸化が進みすぎてPt層の密着性が劣り、またアニール時間が長くなる等の問題が生じる。
本発明の薄膜キャパシタ用の下部電極の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、下記の工程(1)〜(5)を含む製造方法が用いられる。
工程(1):表面上にSiO層が形成されたSi基板上に、スパッタ法により金属膜を形成する。
工程(2):酸化性雰囲気下に熱処理に付し、前記金属膜を酸化して金属酸化物膜を生成する。
工程(3):前記金属酸化物膜の表面をArイオンによるスパッタに付し、表面粗さをRaで2.5〜5nmに調整した密着層を形成する。
工程(4):前記密着層の表面上に、スパッタ法によりPt層を形成して、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層体を得る。
工程(5):前記積層体を、酸化性雰囲気下に熱処理に付し、前記密着層を再酸化する。
本発明の製造方法において、上記金属酸化物膜の表面をArイオンによるスパッタに付し、表面粗さをRaで2.5〜5nmに調整した密着層を形成すること、及びArイオンによるスパッタにより還元された密着層表面を、その上にPt層を形成した後、酸化させることが重要である。これによって、アンカー効果による密着性の向上がなされた密着層を形成し、さらに密着層を酸化させることにより、Pt層と密着層を強固に接合することができる。
上記工程(1)は、表面上にSiO層が形成されたSi基板上に、スパッタ法により金属膜を形成する工程である。上記表面上にSiO層が形成されたSi基板としては、特に限定されるものではなく、SiO層の厚みは、絶縁性などの特性から、0.2〜0.8μmが好ましい。なお、基板の面方位及びSiOの厚みは、Pt層のヒロックの発生には影響しない。また、密着層を形成する前に、SiO層表面をArイオンで5〜30分間、高周波スパッタして付着物を除去することができる。
上記金属膜としては、前述の通り、SiO層とPt層との密着性から、密着層としては、酸素親和性が高い金属の酸化物、特に、チタンまたはタンタルの酸化物が好ましいので、金属チタン又は金属タンタルをターゲットとして用いて、スパッタ法によりSi/SiO上に形成される。
上記工程(2)は、酸化性雰囲気下、例えば大気中、又は酸素雰囲気中で熱処理に付し、上記金属膜を酸化して、例えば、チタンの場合にはTiO2−X(但し、0<x<1)からなる金属酸化物膜を生成する工程である。上記熱処理としては、特に限定されるものではなく、600〜800℃の温度で、30〜120分間加熱処理することが好ましい。すなわち、600℃未満の温度では、酸化が不十分である。一方、800℃を超える温度では、好ましい金属酸化物の状態、例えば、チタンの場合にはTiO2−X(但し、0<x<1より酸化が進み過ぎる。
上記工程(3)は、上記金属酸化物膜の表面をArイオンによるスパッタに付し、表面粗さをRaで2.5〜5nmに調整した密着層を形成する工程である。
上記工程(2)で酸化処理後に得られる金属酸化物膜の表面粗さは、Raで2nm以下である。ここで、密着層の表面粗さが、Raで2.5〜5nmになるまでスパッタを行うと、界面の表面積が大きくなることによるアンカー効果が発生し、Pt層との密着力が大きくなる。さらに、金属酸化物膜の表面が、還元されることによりPt層との密着性が向上する。なお、表面粗さ(Ra)の調整は、スパッタ装置でアルゴンガス圧、RFパワー、スパッタ時間等の条件を制御して行われる。
上記工程(4)は、上記密着層の表面上に、スパッタ法によりPt層を形成して、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層体を得る工程である。上記Pt層の厚みとしては、特に限定されるものではなく、50〜500nmが好ましい。すなわち、Pt層の厚みが50nm未満では、電気抵抗が大きくなるため好ましくない。一方、Pt層の厚みが500nmを超えると、導電性の問題はないが、スパッタ時間が長くなって量産性が悪くなる。
上記工程(5)は、上記積層体を、酸化性雰囲気下、例えば酸素雰囲気又は大気中で熱処理に付し、上記密着層を再酸化する工程である。上記熱処理としては、特に限定されるものではなく、700〜1000℃の温度で、30〜240分間加熱処理することが好ましい。すなわち、700℃未満の温度では、金属酸化物からなる密着層、例えばチタンの場合にはTiO2−X層の酸化が不十分である。一方、1000℃を超える温度では、金属酸化物からなる密着層、例えばチタンの場合には、TiO2−X層の酸化が進み過ぎて、Pt層との密着性が悪くなる。なお、非酸素雰囲気下では、TiO2−X層の再酸化が不十分であり、後工程で酸化物高誘電体をアニー処理する際に、TiがPt層表面に拡散し、さらに酸化物高誘電体層を還元することにより、電気抵抗及び誘電率が変化させるため好ましくない。
以上の工程により、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層構造を有し、その密着層の表面粗さが、Raで2.5〜5nmである金属酸化物からなる下部電極が得られる。これを用いれば、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタ及び強誘電体メモリの製造過程において、酸化物高誘電体を形成するため800℃以上の高温でアニールした際に、下部電極を構成するPt層にヒロックが発生することを防止することができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、金属の分析、及び薄膜の形成方法と評価方法は、以下の通りである。
(1)金属の分析:ICP発光分析法で行った。
(2)薄膜の形成方法と評価方法:下記の方法で調製した塗布液を用いて、下部電極の表面に、下記の方法で酸化物高誘電体を形成し、さらにその表面に直径0.4mmの白金上部電極を蒸着し、25℃に保った室内でAC電圧1.0V、周波数1MHz時の比誘電率及び誘電損失を測定した。ここで、各下部電極について、5点を平均した誘電率及び誘電損失を求めた。また、下部電極基板作成後のPt層の白濁の有無と、酸化物高誘電体形成後のクラック発生状況を目視で観察した。
[塗布液の調製方法]
金属バリウムを容量比で2−メチル−1−ブタノール:2−エチルヘキサン酸:酪酸ブチル=2:1:1で配合した混合溶剤80mL中に添加し、窒素気流中120℃で2時間攪拌混合して、Ba濃度0.8mol/Lのバリウム有機酸塩液(A)を調製した。一方、
チタンイソプロポキシドを酪酸ブチル20mLに添加し、大気中で25℃0.4時間攪拌混合して、Ti濃度0.8mol/Lのチタンアルコキシド液(B)を調製した。
次に、モル比でバリウム:チタン=1:1となるようにバリウム有機酸塩液(A)中にチタンアルコキシド液(B)を滴下し、窒素気流中120℃で1時間攪拌混合して、金属元素濃度0.8mol/Lの複合有機酸塩液(C)を得た。次いで、複合有機酸塩液(C)を窒素気流中で120℃1時間加熱して有機溶媒の一部を揮発させ、金属元素濃度1.0mol/Lの濃縮液を得た。最後に、濃縮液に希釈剤として2−メチル−1−ブタノールを添加し、金属元素濃度を0.4mol/Lに調整して塗布液を得た。
[酸化物高誘電体の形成方法]
上記塗布液を用いて、スピンコート法により下部電極上に塗布し、200℃で乾燥した後、大気中、または酸化性雰囲気中で、600℃で10分間仮焼成した。塗布、乾燥、仮焼成を6回繰り返した後、酸素ガス気流中で、900℃で1時間本焼成して、チタン酸バリウム(BaTiO)からなる酸化物高誘電体薄膜を形成した。
(実施例1)
4インチのSiO層付きシリコン基板上に、スパッタ装置(芝浦社製CFS−8EP−55)を用いて、厚さ100nmのTi層を形成した。この基板を、アルミナ容器に入れて、大気下、700℃の温度で1時間熱処理を行った。次いで、熱処理後、スパッタ装置に入れて、Arガス圧0.8Pa、及びRFパワー100Wで、Arイオンによるスパッタ(逆スパッタリング)を30分行った。逆スパッタ終了後、同じスパッタ装置中で、30分冷却し、続いてPt層を200nm形成した。その後、Pt層を形成した基板をアルミナ容器に入れて900℃、大気中で2時間熱処理して、下部電極基板を製造した。
なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、チタン酸化物層の表面をAFMで観察し、AFM像と表面粗さ(Ra)を求めた。結果を、図1と表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(実施例2)
逆スパッタリングの時間を15分にしたこと以外は実施例1と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、チタン酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(実施例3)
密着層として厚さ100nmのTa層を形成したこと以外は実施例1と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、タンタル酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例1)
逆スパッタリングの時間を2分にしたこと以外は実施例1と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、チタン酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例2)
逆スパッタリングの時間を60分にしたこと以外は実施例1と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、チタン酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例3)
逆スパッタリングの時間を2分にしたこと以外は実施例3と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、タンタル酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例4)
逆スパッタリングの時間を60分にしたこと以外は実施例3と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、タンタル酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例5)
逆スパッタを行わなかったこと以外は実施例1と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、チタン酸化物層の表面をAFMで観察し、AFM像と表面粗さ(Ra)を求めた。結果を、図2と表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例6)
逆スパッタを行わなかったこと以外は実施例3と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、タンタル酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
(比較例7)
逆スパッタを行わなかったこと、Pt層を形成した基板の熱処理温度を700℃としたこと、及び酸化物高誘電体の形成方法において、本焼成温度を700℃としたこと以外は実施例1と同様の方法で下部電極基板を作成した。なお、上記と同じ方法で作成したPt層の形成前の試料を用いて、チタン酸化物層の表面をAFMで観察し、表面粗さ(Ra)を求めた。結果を表1に示す。
さらに、得られた下部電極基板を用いて、上記薄膜の形成方法と評価方法により、Pt層の白濁の有無を観察し、さらに酸化物高誘電体を形成し、誘電率及び誘電損失を測定し、クラック発生状況を観察した。結果を表1に示す。
Figure 2008227115
表1より、実施例1〜3では、密着層の表面粗さ(Ra)が2.5〜5nmであり、本発明にしたがって行われたので、酸化物高誘電体の本焼成温度が900℃である場合でも、誘電率が950nF以上で、誘電損失が0.4%以下と良好な特性の基板が得られることが分かる。また、図1より、比較例5を表す図2に比べて、表面粗さが大きいことが分かる。
一方、比較例1〜6では、密着層の表面粗さ(Ra)が本発明の条件に合わないので、酸化物高誘電体の本焼成温度が900℃である場合、満足すべき結果が得られない。すなわち、密着層の表面粗さ(Ra)が2.5nm以下である比較例1、3、5、6では、膜が導電性を示したため、誘電率、誘電損失の測定ができなかった。これは、下部電極基板の作成時にPt層の白濁が発生し、部分的にPt層が抜け、チタン酸化物層、又はタンタル酸化物層がBaTiO層と接触し、BaTiOを還元したためである。また、密着層の表面粗さ(Ra)が、5nmを超える比較例2、4では、誘電率は700nF以上であるが、誘電損失が大きい。
また、比較例7では、酸素気流中の本焼成温度が700℃と低いので、誘電率が700nF以下と小さくなる。
以上より明らかなように、本発明の下部電極とその製造方法は、酸化物高誘電体を形成するため800℃以上の高温でアニールした際に、下部電極を構成するPt層にヒロックが発生することを防止することができる下部電極とその製造方法であるので、Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタの下部電極として好適である。
チタン酸化物層の表面のAFM像である。(実施例1) チタン酸化物層の表面のAFM像である。(比較例5)

Claims (7)

  1. Si基板上に下部電極、酸化物高誘電体及び上部電極を順次形成してなる薄膜キャパシタを構成する、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層構造を有する下部電極であって、
    前記密着層は、表面粗さがRaで2.5〜5nmに調整された金属酸化物であることを特徴とする下部電極。
  2. 前記金属酸化物は、チタン酸化物又はタンタル酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の下部電極。
  3. 前記密着層の膜厚は、50〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の下部電極。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜キャパシタ用の下部電極の製造方法であって、
    下記の工程(1)〜(5)を含むことを特徴とする下部電極の製造方法。
    工程(1):表面上にSiO層が形成されたSi基板上に、スパッタ法により金属膜を形成する。
    工程(2):酸化性雰囲気下に熱処理に付し、前記金属膜を酸化して金属酸化物膜を生成する。
    工程(3):前記金属酸化物膜の表面をArイオンによるスパッタに付し、表面粗さをRaで2.5〜5nmに調整した密着層を形成する。
    工程(4):前記密着層の表面上に、スパッタ法によりPt層を形成して、Si/SiO層/密着層/Pt層からなる積層体を得る。
    工程(5):前記積層体を、酸化性雰囲気下に熱処理に付し、前記密着層を再酸化する。
  5. 上記工程(2)で用いる熱処理温度は、600〜800℃であることを特徴とする請求項4に記載の下部電極の製造方法。
  6. 上記工程(4)で用いるPt層の膜厚は、50〜500nmであることを特徴とする請求項4に記載の下部電極の製造方法。
  7. 上記工程(5)で用いる熱処理温度は、700〜1000℃であることを特徴とする請求項4に記載の下部電極の製造方法。
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