JP2009267313A - 電子機器用筐体および電子機器用筐体の製造方法 - Google Patents

電子機器用筐体および電子機器用筐体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品とが一体成形され、かつ、寸法精度の低下や接着不良等が抑制された電子機器用筐体を得る。
【解決手段】マグネシウムをマグネシウムを主成分とする底板と、ガラス繊維が分散した繊維強化樹脂製の側壁102と、その繊維強化樹脂製でネジ穴が設けられたボスとが一体成形されてなる電子機器用筐体において、上記側壁102を形成する繊維強化樹脂に分散させるガラス繊維を、扁平な断面形状を有するガラス繊維102aとした。
【選択図】 図8

Description

本発明は、電子機器用筐体、および電子機器用筐体を製造する電子機器用筐体の製造方法に関する。
近年、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)やノート型パーソナルコンピュータ(ノートPC)等といった電子機器の普及が著しい。このような電子機器の筐体(電子機器用筐体)は、様々な回路部品を効率良く内蔵しなければならないことから、形状が複雑になり勝ちである。さらに、上記のような電子機器は、ユーザによって持ち運ばれて使われ、その際に様々な外力が加えられることが想定されることから、電子機器用筐体には高い剛性が求められることが多い。このように、上記のような電子機器の分野では、形状が複雑で高い剛性を有する電子機器用筐体が望まれており、そのような望ましい電子機器用筐体を得るために様々な技術が提案されている。
例えば、アルミニウムやマグネシウムの圧延版をプレス加工することで電子機器用筐体を得る技術が知られている。この技術で得られる電子機器用筐体は高い剛性を有するが、この技術には、複雑な形状の成形が困難であるという問題がある。また、複雑な形状の筐体を得る技術としては、溶融状態の熱可塑性樹脂を金型に注入して筐体を成形する技術(例えば、特許文献1参照。)等が一般的に知られているが、このような技術で得られる筐体は剛性に乏しいという問題がある。
そこで、近年、形成済みの金属部品を金型に配置し、その金型の中に溶融した熱可塑性樹脂を注入して硬化させることで、その金属部品と、熱可塑性樹脂製の部品とを一体成形するいわゆるインモールド成形が注目されている(例えば、特許文献2および特許文献3参照。)。このインモールド成形によれば、金属製の基板等を、ノートPC等の電子機器用筐体において外力が加えられることが想定される底板や天井板として用いることで高い剛性を実現し、熱可塑性樹脂製の部品によって複雑な形状を実現することで、上記のような望ましい電子機器用筐体を得ることができる。
ここで、一般に、金属と熱可塑性樹脂とでは、熱可塑性樹脂の方が金属よりも線膨張係数が大きく、その結果、熱による膨張や収縮の大きさも熱可塑性樹脂の方が金属よりも大きい。そのため、インモールド成形に熱可塑性樹脂をそのまま用いたのでは、その成形の際の膨張や収縮の差に起因して、成形によって得られる電子機器用筐体に変形が生じてしまう恐れがある。
このため、多くの場合、インモールド成形では、例えば、ガラスビーズおよび炭酸カルシウムの粒等の粒状充填材や、タルク、マイカ、およびワラストナイト等の薄片状充填材といった様々な充填材が添加されて線膨張係数が下げられた熱可塑性樹脂が用いられている。
ここで、熱可塑性樹脂の線膨張係数を下げることができる充填材としては、上記のような充填材の他に、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状物が知られている。この繊維状物は、上記の粒状充填材や薄片状充填材に比べて少量の添加により熱可塑性樹脂の線膨張係数を下げることができるとともに熱可塑性樹脂に高い剛性を付与することができる。このため、従来、このような繊維状物が添加されて分散した熱可塑性樹脂、いわゆる繊維強化樹脂が電子機器用筐体のための材料として良く用いられている(例えば、特許文献4および特許文献5参照。)。また、そのような繊維強化樹脂のうち、およそ数ミリの長さの繊維状物が分散した短繊維分散タイプの繊維強化樹脂は、溶融状態での金型への注入等に適していることから、上記のインモールド成形において用いられることが多い。
特開2004−47669号公報 特開2002−225073号公報 特許第2964783号公報 特開2005−150668号公報 特開2005−165930号公報
ここで、短繊維分散タイプの繊維強化樹脂内の繊維状物は、この繊維強化樹脂が溶融状態で金型に注入されると、概ね、その金型内での熱可塑性樹脂の流れの方向に配向する。この場合、線膨張係数を下げる効果は、その繊維状物の配向の方向には大きいが、その配向の方向に直交する方向には小さいことが知られている。一方で、線膨張係数を下げる効果は、繊維状物の添加量が多いほど大きいことも知られている。そのため、上記のインモールド成形において、繊維強化樹脂の線膨張係数を、全方向について下げて金属の線膨張係数に近付けるためには繊維状物の添加量を増やす必要がある。
下記の表1は、繊維状物の添加量が互いに異なる複数種類の繊維強化樹脂それぞれの線膨張係数の一覧を示す表である。
Figure 2009267313
この表1には、まず、上記のような電子機器用筐体における金属製の基板の材料として使われることの多いアルミニウム、マグネシウム、および銅という3種類の金属それぞれの線膨張係数が示されている。また、この表1には、代表的な熱可塑性樹脂であるポリカーボネイトの線膨張係数が示され、さらに、ガラス繊維が重量パーセントで「10%」添加されたポリカーボネイトであるガラス繊維強化ポリカーボネイトと、「20%」添加されたポリカーボネイトであるガラス繊維強化ポリカーボネイトと、「30%」添加されたポリカーボネイトであるガラス繊維強化ポリカーボネイトとの3種類のガラス繊維強化ポリカーボネイトそれぞれの線膨張係数が示されている。また、この表1では、ガラス繊維強化ポリカーボネイトについては、繊維の配向の方向(繊維方向)と、その繊維方向に直行する方向(直角方向)との2つの方向それぞれについて線膨張係数が示されている。
この表1に示すように、上記の3種類の金属それぞれの線膨張係数に比べて、ポリカーボネイト自体の線膨張係数は非常に大きい。一方、ガラス繊維強化ポリカーボネイトについては、繊維方向と直角方向との双方ともに、ポリカーボネイト自体よりも線膨張係数が小さく、金属の線膨張係数に近い値となっている。ここで、従来、知られており、この表1からも分かるように、ガラス繊維の添加によって線膨張係数を下げる効果は、繊維方向で大きく直角方向で小さい。このため、この直角方向の線膨張係数を十分に下げて金属の線膨張係数に近づけるためには、上述したように、ガラス繊維の添加量を増やす必要がある。
ところが、ガラス繊維の添加量が増えると、直角方向の線膨張係数の下がり方を上回る下がり方で、繊維方向の線膨張係数が下がってしまい、両者間の差がどんどん開いていってしまう。例えば、この表1では、ガラス繊維が「10%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトでは、繊維方向と直角方向との間での線膨張係数の差は「1.5E−5」であったのに対し、ガラス繊維が「20%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトでは、線膨張係数の差が「3.8E−5」となり、ガラス繊維が「30%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトでは、線膨張係数の差が「4.0E−5」まで開いてしまっている。つまり、ガラス繊維強化ポリカーボネイト等の繊維強化樹脂では、ガラス繊維の添加量が増えるほど、繊維方向と直角方向との間での線膨張係数の差、即ち線膨張係数の異方性が大きくなってしまう。
このように、繊維強化樹脂の内部において線膨張係数の異方性が大きくなってしまうと、インモールド成形において、金属と繊維強化樹脂との間での線膨張係数の差が縮まり、これら異なる材料間での線膨張係数の差に起因する変形が抑えられたとしても、繊維強化樹脂自体の線膨張係数の異方性に起因する別の変形が生じる可能性が高まってしまう。
また、一般的に、繊維強化樹脂における繊維状物の添加量が増えると、その繊維強化樹脂の溶融状態における流動抵抗が増加することが知られている。
下記の表2は、繊維の添加量が互いに異なる複数種類の繊維強化樹脂それぞれの溶融状態における流動抵抗の一覧を示す表である。
Figure 2009267313
尚、この表2では、溶融状態における流動抵抗が、単位時間当たりに溶融状態の樹脂が流れる量であるメルトボリュームレイト(MVR)で示されている。
この表2には、まず、ポリカーボネイトのMVRが示され、さらに、ポリカーボネイトにガラス繊維が重量パーセントで「10%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトと、「20%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトと、「30%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトとの3種類のガラス繊維強化ポリカーボネイトそれぞれのMVRが示されている。
この表2から分かるように、ポリカーボネイト自体のMVRが「10.0」であったのに対し、ガラス繊維が「10%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトではMVRが「9.0」まで下がり、ガラス繊維が「20%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトではMVRが「8.3」まで下がり、ガラス繊維が「30%」添加されたガラス繊維強化ポリカーボネイトではMVRが「5.5」まで下がってしまっている。
このようにMVRが下がり、つまり流動抵抗が高まってしまうと、上記のインモールド成形において射出成形機を使って金型に繊維強化樹脂を注入する際に、射出成形機が繊維強化樹脂をその高い流動抵抗に応じた高圧で射出しければならなくなる。その結果、金型内で高圧の繊維強化樹脂で圧迫されることによる金属製の基板の変形や、高圧で射出された繊維強化樹脂内に生じた内部応力による繊維強化樹脂製の部品の変形等の不具合が発生してしまう恐れがある。
さらに、繊維強化樹脂における繊維の添加量が増えると、繊維強化樹脂製の部品の表面に現れる繊維状物の数が多くなる。上記のインモールド成形では、金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品との固定に接着剤が使われることがある。このとき、一般的に、繊維強化樹脂に添加されるガラス繊維等の繊維状物は接着剤に対する接着性が低く、このような繊維状物の添加量が増えて繊維強化樹脂製の部品の表面に現れる繊維状物の数が多くなると、金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品との接着剤による接着力が低下してしまう恐れがある。
また、多くの場合、インモールド成形で使われる接着剤は、加熱されて接着力を発揮するタイプの接着剤であり、インモールド成形では、その接着力を発揮するための加熱が、溶融状態にある繊維強化樹脂の熱によって行われることが多い。ところが、繊維強化樹脂における繊維の添加量が増えると、この溶融状態にある繊維強化樹脂の冷却速度が速まり、接着剤が十分に接着力を発揮する前に繊維強化樹脂が冷えてしまい、接着剤による接着力が低下してしまう恐れもある。
以上、説明したように、インモールド成形によって金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品とが一体成形された電子機器用筐体は、複雑な形状と高い剛性とを併せ持った望ましいものであるが、その一方で、上述したような繊維の添加量の増加に起因した変形による寸法精度の低下や、金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品との間の接着不良等が生じやすいという問題を持っている。
本件は、上記事情に鑑み、金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品とが一体成形され、かつ、寸法精度の低下や接着不良等が抑制された電子機器用筐体と、そのような電子機器用筐体を製造する電子機器用筐体の製造方法とを提供することを目的とする。
上記目的を達成する電子機器用筐体の基本形態は、
板状の基板と、
扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した熱可塑性樹脂製の部品とが一体成形されてなることを特徴とする。
一般的に、ガラス繊維等の繊維状物が添加されて内部に分散した熱可塑性樹脂、いわゆる繊維強化樹脂では、繊維状物は、その繊維状物の配向の方向(繊維方向)には、熱可塑性樹脂本来の熱膨張や熱収縮に対して、各繊維状物の長さに応じた強い抵抗力を有する。繊維強化樹脂中の繊維状物が、線膨張係数を下げるに当たり、繊維方向に大きな効果を発揮するのはこのためである。ここで、従来、繊維強化樹脂を構成する繊維状物の断面形状は、多くの場合、ほぼ真円に近い断面形状を有している。このため、繊維方向に直行する方向(直角方向)の熱膨張や熱収縮に対しては、この円形の断面の直径に応じた、上記の繊維方向の抵抗力に比べて弱い抵抗力しか持たず、この直角方向には線膨張係数を下げる効果が低いことが多い。これに対し、上記の電子機器用筐体の基本形態では、繊維強化樹脂として、扁平な断面形状を有する繊維状物が添加されて内部に分散した熱可塑性樹脂が用いられる。この繊維状物は、断面が扁平であることから、上記の直角方向の熱膨張や熱収縮に対して、その扁平な形状の長軸方向の長さ応じた、従来の繊維強化樹脂における直角方向の抵抗力に比べて大きな抵抗力を有する。その結果、従来の円形断面の繊維状物のように、直角方向の線膨張係数を下げるために添加量を増やす必要がなく、繊維状物の添加量を抑えることが可能となる。その結果、繊維強化樹脂における線膨張係数の異方性や流動抵抗の増加が抑えられることとなる。さらに、繊維強化樹脂の表面に現れる繊維状物の数が抑えられることから、例えば、上記板状の基板と上記熱可塑性樹脂製の部品とを接着剤で接着する場合等における接着性の低下が抑制される。また、繊維強化樹脂が溶融状態から冷却するときの冷却速度も抑えられることから、上記の接着剤が、加熱によって接着力を発揮するタイプの接着剤であったとしても、その接着剤が接着力を発揮するのに十分な熱が、溶融状態の繊維強化樹脂から与えられることとなり、そのような接着剤による接着力が増すこととなる。以上に、説明したように、上記の電子機器用筐体の基本形態によれば、扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した熱可塑性樹脂を繊維強化樹脂として採用することにより、上述したような繊維状物の添加量の増加に起因した変形による寸法精度の低下や接着不良等が抑制されることとなる。
また、上記目的を達成する電子機器用筐体の製造方法の基本形態は、
板状の基板と、熱可塑性樹脂製の部品とが一体成形されてなる電子機器用筐体の製造方法であって、
上記基板を金型内に配置する基板配置ステップと、
上記金型内に、扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した、溶融状態の熱可塑性樹脂を注入する樹脂注入ステップとを有することを特徴とする。
この電子機器用筐体の製造方法の基本形態によれば、金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品とが一体成形され、かつ、寸法精度の低下や接着不良等が抑制された、上記に基本形態について説明した電子機器用筐体を製造することができる。
以上、説明したように、本件によれば、金属製の基板と繊維強化樹脂製の部品とが一体成形され、かつ、寸法精度の低下や接着不良等が抑制された電子機器用筐体と、そのような電子機器用筐体を製造する電子機器用筐体の製造方法とを得ることができる。
以下、上記に基本形態について説明した電子機器用筐体、および、電子機器用筐体の製造方法それぞれに対する具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、電子機器用筐体に対する具体的な実施形態について説明する。
図1は、基本形態について説明した電子機器用筐体に対する具体的な実施形態を示す模式図である。
この図1のパート(a)には、電子機器用筐体の一実施形態を示す外観斜視図が示されており、パート(b)には、パート(a)に示す切断線A−Aの断面図が示されている。
この図1に示す電子機器用筐体100は、ここでは特定しないが、ノートPC等の電子機器を構成する筐体であり、マグネシウムを主成分とする金属で成形された底板101と、扁平な断面形状を有する短繊維状態のガラス繊維が添加されて内部に分散した、ポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂である繊維強化樹脂で形成された側壁102と、回路基板をこの電子機器用筐体100内部に固定するためのネジ穴が設けられた上記の繊維強化樹脂製のボス103とで構成されている。
ここで、上記の電子機器用筐体の基本形態に対し、
「上記繊維状物が、扁平な断面形状を有するガラス繊維である」という応用形態は好適である。
この好適な応用形態によれば、上述の繊維強化樹脂を構成する繊維状物として、線膨張係数の低下に大きな効力を発揮するガラス繊維を採用することで、繊維状物の添加量を一層抑えることができる。
また、上記の電子機器用筐体の基本形態に対し、
「上記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂である」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、一般的に溶融状態における流動抵抗が低いポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂を採用することで、上述の射出成形機における射出時の圧力が抑えられ、この電子機器用筐体の変形等を一層抑制することができる。
また、上記の電子機器用筐体の基本形態に対し、
「上記板状の基板が、マグネシウムを主成分とする基板である」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、一般的に高い剛性を有するマグネシウムを主成分とする金属性の基板を、上記板状の基板として採用することで、この電子機器用筐体の変形等を一層抑制することができる。
本実施形態における底板101は、上述の電子機器用筐体の基本形態および応用形態における基板の一例に相当し、側壁102およびボス103のそれぞれは、これらの基本形態および応用形態における部品の一例に相当する。
また、上記の電子機器用筐体の基本形態に対し、
「上記熱可塑性樹脂が、ポリアミドを主成分とする熱可塑性樹脂である」という応用形態も好適である。
この好適な応用形態によれば、上記のポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂と同様に、溶融状態における流動抵抗が低いポリアミドを主成分とする熱可塑性樹脂を採用することで、上述の射出成形機における射出時の圧力が抑えられ、この電子機器用筐体の変形等を一層抑制することができる
本実施形態は、繊維強化樹脂を構成する熱可塑性樹脂としてポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂が使われた形態であるが、基本形態について説明した電子機器用筐体は、この形態に限るものではなく、上記の応用形態に示したように、繊維強化樹脂を構成する熱可塑性樹脂としてポリアミドを主成分とする熱可塑性樹脂が使われた別形態であっても良い。
図1の電子機器用筐体100は、底板101と側壁102とボス103とが、詳細については後述する、いわゆるインモールド成形によって一体成形されたものである。ここで、本実施形態では、底板101の表面には、防錆用の化成皮膜101aが形成されており、その底板101の縁が、側壁102の内壁における底板101側の端部に嵌りこむことで、底板101が側壁102に固定されている。また、ボス103は、加熱によって接着力を発揮する接着剤104によって底板101に接着固定されている。
次に、上記に基本形態について説明した電子機器用筐体の製造方法に対する具体的な実施形態として、図1に示す電子機器用筐体100を製造する製造方法について説明する。
尚、上記の電子機器用筐体の製造方法の基本形態に対し、
「上記繊維状物が、扁平な断面形状を有するガラス繊維である」という応用形態や、
「上記熱可塑性樹脂が、ポリアミドを主成分とする熱可塑性樹脂である」という応用形態や、
「上記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂である」という応用形態や、
「上記板状の基板が、マグネシウムを主成分とする基板である」という応用形態は、上述の電子機器用筐体の基本形態に対して上述の電子機器用筐体の各応用形態が好適であるのと同様に好適である。
図2は、図1に示す電子機器用筐体を製造する製造方法を示す模式図である。
この図2に示す製造方法は、形成済みの底板101が内部に配置された後述の金型510内に溶融状態の繊維強化樹脂を注入することで、底板101と繊維強化樹脂製の側壁102やボス103とが一体成形された電子機器用筐体100を得るという、いわゆるインモールド成形を利用した製造方法である。この製造方法では、まず、図1にも示す底板101の形成と、上記のボス103が固定される箇所への上記の接着剤104の塗布とが行われる(ステップS1)。
図3は、底板の形成と接着剤の塗布とを示す模式図である。
本実施形態では、マグネシウムを主成分とする金属板が、底板101の形状に加工された後、表面に、所定の化学的な表面処理によって上述の防錆用の化成皮膜101aが形成される。その後、上記のボス103が固定される箇所に窓501aが設けられたマスク501越しに、所定の注入機502から、加熱によって接着力を発揮する接着剤104の塗布が行われる。その結果、上記の化成皮膜101aが表面に形成された底板101の、ボス103が固定される箇所にその接着剤104が塗布されることとなる。
ここで、本実施形態では、図1に示すように、底板101は、側壁102の内壁における底板101側の端部に縁が嵌りこむことでこの側壁102に固定され、ボス103は上記の接着剤104によって底板101に接着固定される。ここで、基本形態および応用形態について説明した電子機器用筐体は、このような形態に限るものではなく、例えば、底板、側壁、およびボスが、次のように組み合わされて構成された別形態であっても良い。
図4は、図1に示す電子機器用筐体とは別形態の電子機器用筐体を示す断面図である。
この図4に示す別形態の電子機器用筐体100’では、底板101’に、側壁102’をこの底板101’に固定するための台形溝101b’と、ボス103’をこの底板101’に固定するための貫通孔101c’とが設けられている。
そして、後述するインモールド成形の際に、側壁102’を形成する繊維強化樹脂の一部が、溶融状態で底板101’の台形溝101b’に進入して硬化する。その結果、側壁102’の底板101’側の端部に形成される台形突起102a’が台形溝101b’に嵌りこむこととなって、側壁102’が底板101’に固定される。
また、また、ボス103’については、そのボス103’を形成する繊維強化樹脂の一部が、溶融状態で底板101’の貫通孔101c’に進入して底板101’の裏面側で広がって硬化する。そして、このような繊維強化樹脂の動きと硬化によって形成される、ボス103’の下端から伸び、上記の貫通孔101c’に嵌りこんだ突起103a’と、その突起103a’から底板101’の裏面側に広がる平坦部103b’とが上記の接着剤104によって底板101’に接着固定されることで、ボス103’が底板101’に固定される。
この図4に示す別形態の場合には、図2のステップS1において、底板101’に対する台形溝101b’と貫通孔101c’との加工が行われる。
図5は、図4に示す別形態の場合における、底板の形成と接着剤の塗布とを示す模式図である。
この別形態の場合には、マグネシウムを主成分とする金属板が底板101’の形状に加工された後、側壁102’が固定される箇所に台形溝101b’が設けられ、ボス103’が固定される箇所に貫通孔101c’が設けられる。さらに、その後、上述の防錆用の化成皮膜101a’が形成される(ステップS1’_1)。
続いて、上記の図3にも示すマスク501と注入機502とが使われて、上記のボス103’が固定される箇所への接着剤104の塗布が行われる(ステップS1’_2)。また、この接着剤104の塗布は、底板101’の表裏両面について行われ、接着剤104が、ボス103’が固定される箇所の表面側および裏面側、さらに、貫通穴101c’の内面に塗布されることとなる。
以上で、底板、側壁、およびボスの構成が、本実施形態における構成と異なる別形態についての説明を終了し、図2についての説明に戻る。
上述のステップS1の処理により、底板101の形成と接着剤104の塗布が終了すると、今度は、この接着剤104が塗布された底板101が、金型510内に配置される(ステップS2)。このステップS2の処理が、上述の電子機器用筐体の基本形態における基板配置ステップの一例に相当する。
ここで、金型510は、側壁102の形に相当する加工が内壁に施されて底板101が収納される収納部511と、この収納部511に対する蓋の役割を果たし、側壁102およびボス103それぞれの外形に相当する加工が外壁に施され、さらに、溶融状態の繊維強化樹脂が内部を通過する樹脂通過孔512aが設けられた蓋部512とで構成される。上記のステップS2では、収納部511に接着剤104が塗布された底板101が配置された後、蓋部512が収納部511に取り付けられる。
その後、蓋部512に設けられた樹脂通過孔512aにおける、樹脂の注ぎ口512a_1から、溶融状態の繊維強化樹脂が、射出成形機530によってその繊維強化樹脂の流動抵抗に応じた圧力で注入される(ステップS3)。溶融状態の繊維強化樹脂は樹脂通過孔512aを通り、収納部511と蓋部512との間の、側壁102およびボス103それぞれの外形に相当する形状の隙間に注ぎ込まれる。また、このときには、溶融状態の繊維強化樹脂の熱によって接着剤104が接着力を発揮することとなる。このステップS3の処理が、上述の電子機器用筐体の基本形態における樹脂注入ステップの一例に相当する。
ところで、本実施形態では、この図2に示すように、底板101における、接着剤104が塗布されている部分の裏面側が、収納部511に直に接している。そのため、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の一部は、この収納部511に逃げることとなる。
ここで、上記の電子機器用筐体の製造方法の基本形態に対し、
「上記基板の、上記部品との接触部分の少なくとも一部に接着剤を塗布する接着剤塗布ステップと、
上記金型内の、少なくとも、上記基板の、接着剤が塗布された領域の裏面が接する領域に、その金型の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する断熱材を配置する断熱材配置ステップとを有し、
上記基板配置ステップが、上記断熱材が配置された金型内に、上記接着剤塗布ステップにより接着剤が塗布された基板を配置するステップである」という応用形態は好適である。
この好適な応用形態によれば、上記金型内の、上記基板の、接着剤が塗布された領域の裏面が接する領域に上記断熱材が配置されているので、溶融状態の上記熱可塑性樹脂の熱が効率的に接着剤に伝わる。これにより、例えば、上記接着剤として、加熱により接着力を発揮する接着剤等を採用し、上記熱可塑性樹脂の熱を利用して、上記基板と、上記部品とを互いに良好に接着固定することができる。
また、上記の断熱材配置ステップを有するタイプの好適な応用形態に対し、
「上記断熱材が、セラミックスからなる」という応用形態はさらに好適である。
この好適な応用形態によれば、高い剛性を有するセラミックス製の断熱材を用いることで、例えば、上記溶融状態の熱可塑性樹脂が高い圧力で金型内に注入されたとしても、上記基板の、上記部品との接着箇所を上記断熱材で良好に支えることができ、そのような接着箇所での基板と部品とのズレ等といった不具合を効果的に回避することができる。
ここで、本実施形態の製造方法は、上述したように、底板101が金型510の収納部511に直に接するという形態であるが、基本形態について説明した電子機器用筐体の製造方法はこの形態に限るものではなく、上記の応用形態に示したように、底板101における、接着剤104が塗布されている部分の裏面側に次のような断熱材を配置して、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の逃げを抑制するという別形態であっても良い。
図6は、電子機器用筐体の製造方法の、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の逃げを抑制するという別形態を示す図であり、図7は、図6に示す別形態の電子機器用筐体の製造方法において、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の逃げが抑制される様子を示す模式図である。
尚、この電子機器用筐体の製造方法の別形態については、本実施形態との相違点である、図2のステップS2に相当する処理(ステップS2’)のみが示されている。
図6に示すように、このステップS2’では、まず、接着剤104が塗布されている部分の裏面側に対向する部分に窪み511a’が設けられた収納部511’を有する金型510’が使われる。そして、この収納部511’の窪み511a’に、収納部511’の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有するセラミックス製の断熱材513が配置される。さらに、この断熱材513が配置された収納部511’の中に、接着剤104が塗布された底板101が配置される。
ここで、図7のパート(a)には、比較のために、本実施形態の電子機器用筐体の製造方法における、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の伝わり方が示されており、パート(b)には、図6の別形態の電子機器用筐体の製造方法における、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の伝わり方が示されている。
本実施形態の電子機器用筐体の製造方法では、ボス103に相当する部分の間隙に注入された溶融状態の繊維強化樹脂の熱は、図7のパート(a)の矢印M1が示すように、接着剤104に伝わって、この接着剤104の接着力を高めるとともに、底板101を介して収納部511にも伝わる。ここで、溶融状態の繊維強化樹脂の熱は、このように、一部が収納部511に逃げた状態でも、ボス103の底板101に対する十分な接着固定を担保できる接着力を、接着剤104に生じさせるには十分な程度の熱となっている。
これに対し、別形態の電子機器用筐体の製造方法では、溶融状態の繊維強化樹脂の熱は、図7のパート(b)の矢印M2が示すように、接着剤104に伝わり、さらに底板101およびセラミックス製の断熱材513に伝わりはするが、その断熱材513の熱伝導率が収納部511’の熱伝導率よりも低いために、断熱材513から収納部511’への伝導が抑制され、接着剤104の下部にほぼ止まることとなる。これにより、この接着剤104が本実施形態の場合よりも加熱されて高い接着力が得られることとなる。
ここで、以上に説明した、電子機器用筐体の製造方法の別形態では、図6に示すステップS2’の処理は、上述の電子機器用筐体の製造方法の基本形態における基盤配置ステップと、この電子機器用筐体の製造方法の応用形態における断熱材配置ステップとを兼ねた一例に相当する。また、この電子機器用筐体の製造方法の別形態では、本実施形態と共通の処理である図2のステップS1の処理が、上述の電子機器用筐体の製造方法の応用形態における接着剤塗布ステップの一例に相当する。
また、上記の断熱材配置ステップを有するタイプの好適な応用形態に対し、
「上記断熱材が、炭素繊維と熱硬化性樹脂とからなる」という応用形態はさらに好適である。
この好適な応用形態によれば、上記のセラミックス製の断熱材と同様に、高い剛性を有する炭素繊維と熱硬化性樹脂とからなる繊維強化樹脂製の断熱材を用いることで、上述したような基板と部品とのズレ等といった不具合を効果的に回避することができる。
図7に示すこの別形態は、セラミックス製の断熱材を用いた形態であるが、この断熱材を用いるタイプの電子機器用筐体の製造方法の別形態は、この形態に限るものではなく、上記の応用形態に示したように、炭素繊維と熱硬化性樹脂とからなる繊維強化樹脂製の断熱材を持ちいるというさらなる別形態であっても良い。
以上で、電子機器用筐体の製造方法の別形態についての説明を終了し、再び、図2に戻って説明を続ける。
本実施形態におけるステップS3における繊維強化樹脂の注入後は、その繊維強化樹脂の硬化のために所定時間放置され、硬化後に、底板101と側壁102とボス103とが一体となって完成した電子機器用筐体100が金型510から取り出される(ステップS4)。また、本実施形態では、蓋部512が、樹脂通過孔512aに沿って分割できるようになっており、ステップS4の処理では、この蓋部512が樹脂通過孔512aに沿って、収納部511側の第1部分512_1と射出成形機530側の第2部分512_2とに分割されて、樹脂通過孔512a内に充填されて硬化した余分な繊維強化樹脂が廃棄される。
以上に説明した、図2の一連の処理を経て得られる、図1にも示す電子機器用筐体100では、上述したように繊維強化樹脂を構成するガラス繊維として、以下に説明する扁平な断面形状を有するガラス繊維が使われている。この繊維強化樹脂ではガラス繊維によって剛性が付与されるとともに、ポリカーボネイト自体の線膨張係数がガラス繊維によって下げられて、繊維強化樹脂の線膨張係数が底板102を形成する金属の線膨張係数に近付けられている。これにより、底板101と側壁102やボス103との間における線膨張係数の差に起因した変形の発生等が抑制されている。
図8は、繊維強化樹脂における線膨張係数の低下について説明する模式図である。
この図8には、図1の側壁102の一部が概念的に切り出されて示されている。
尚、図8のパート(a)には、円形の断面形状を有するガラス繊維211が分散した従来の繊維強化樹脂で図1の電子機器用筐体100と同等な形状の電子機器用筐体が、上記の図2の製造方法に従って製造されたと仮定したときの側壁210の一部が、本実施形態における側壁102の一部との比較のために示されている。
そして、図8のパート(b)に、扁平な断面形状を有するガラス繊維102aが分散した本実施形態における繊維強化樹脂で形成された側壁102の一部が示されている。
ここで、インモールド成形を利用した図2に示す本実施形態の電子機器用筐体の製造方法では、側壁102は、溶融状態の繊維強化樹脂が、その部品の形状に対応した隙間を有する上記の金型510に注入されることで形成されるが、この図8のパート(a)およびパート(b)それぞれには、金型510における、側壁102の形状に対応した隙間が点線で示されている。
繊維強化樹脂に分散したガラス繊維211,102aは、その繊維強化樹脂が溶融状態で金型510に注入されると、概ねその繊維強化樹脂の流路に沿って配向する。この図8では、紙面の奥行き方向にガラス繊維211,102aが配向している。
図8のパート(a)に示す従来の繊維強化樹脂では、典型的には、直径Dが10〜20μmの円形の断面形状を有し、長さL1が2〜3mmの短繊維状のガラス繊維211が用いられる。ここで、このガラス繊維211は、繊維強化樹脂をなす熱可塑性樹脂本来の熱膨張および熱収縮に対し、ガラス繊維211の配向の方向(繊維方向)には、各ガラス繊維211の長さL1に応じた強い抵抗力F1を有し、この繊維強化樹脂の線膨張係数を下げるに当たり、繊維方向に大きな効果を発揮する。一方、繊維方向に直交する方向(直角方向)には、各ガラス繊維211の断面形状における直径Dに応じた弱い抵抗力F2しか持たず、この直角方向には線膨張係数を下げる効果が低い。
このため、仮に、この図8のパート(a)に示す従来の繊維強化樹脂を使って得られる電子機器用筐体では、次のような不具合が起こる可能性が高い。
上述したように、インモールド成形では、金属製の部品と、繊維強化樹脂製の部品との間の線膨張係数の差に起因した変形を抑制するために、繊維強化樹脂の線膨張係数を下げて、金属の線膨張係数に近付けておく必要がある。また、このような変形を効果的に抑制するためには、繊維強化樹脂の線膨張係数を、上記の繊維方向と直角方向との双方について、金属の線膨張係数に近付けておく必要がある。
ここで、従来の繊維強化樹脂では、ガラス繊維211の添加によって線膨張係数を下げる効果が直角方向には低い。このため、この直角方向にも線膨張係数を十分に下げて金属の線膨張係数に近付けるためには、ガラス繊維211の添加量を増やす必要がある。ところが、ガラス繊維211の添加量を増やすと、直角方向の線膨張係数の下がり方を上回る下がり方で繊維方向の線膨張係数が下がり、両者の差が大きく開き、繊維強化樹脂の内部に線膨張係数の大きな異方性が生じてしまう。
このような線膨張係数の大きな異方性が生じた繊維強化樹脂を溶融状態で金型510に注入して冷却させると、その冷却の際には、図8のパート(a)に示すように、側壁210は、矢印N1が示すように上記の直角方向には大きく縮もうとし、矢印N2が示すように上記の繊維方向には小さく縮もうとして、側壁210自体に変形が生じてしまう恐れがある。
また、ガラス繊維211の添加量を増やしたことにより繊維強化樹脂の溶融時の流動抵抗が増すこととなるが、その結果、図2の射出成形機530によって注入する際の圧力が高まることになる。その結果、この高圧の繊維強化樹脂からの圧迫による底板101の変形や、高圧の繊維強化樹脂内に生じた内部応力による側壁210の変形といった、高い流動抵抗に起因した不具合が生じる恐れもある。
さらに、一般的にガラス繊維は、接着剤104に対する接着性が低い。このため、上記のようにガラス繊維の添加量が増えて、接着剤104によって固定が図られている上記のボス103の表面に現れるガラス繊維の数が増えると、このボス103の接着性が低下するという不具合が生じる恐れがある。
これに対し、図8のパート(b)に示す本実施形態の繊維強化樹脂では、長軸の長さaが40〜80μmで短軸の長さbが10〜20μmの扁平な断面形状を有し、長さL1が2〜3mmの短繊維状のガラス繊維102aが用いられる。繊維強化樹脂をなす熱可塑性樹脂本来の熱膨張および熱収縮に対し、繊維方向に強い抵抗力F4を有し、この繊維強化樹脂の線膨張係数を下げるに当たり、繊維方向に大きな効果を発揮することは、図8のパート(a)に示す従来の繊維強化樹脂と同じである。しかし、本実施形態の繊維強化樹脂では、ガラス繊維102aの断面形状が扁平であることから、上記の直角方向には、従来の繊維強化樹脂におけるガラス繊維211の円形の断面形状の直径Dの約2倍の長さを有する上記の長軸の長さaに応じ、従来のガラス繊維211の直角方向の抵抗力F1に対する約2倍の抵抗力F4を有している。その結果、繊維強化樹脂におけるこの直角方向の線膨張係数を下げる効果も従来のガラス繊維211の約2倍となり、直角方向の線膨張係数を金属の線膨張係数に近付けるために従来ほど多量のガラス繊維を添加する必要がないので、上述したような繊維強化樹脂内での線膨張係数の異方性を増大させることなく、繊維強化樹脂の線膨張係数を全方向に亘って金属の線膨張係数に近付けることができる。
これにより、図8のパート(b)に示すように、本実施形態では、繊維強化樹脂を溶融状態で金型510に注入して冷却させたときの、側壁102の、矢印N3が示す直角方向の縮み量が、矢印N4が示す繊維方向の縮み量と同様に抑制されるので、側壁102自体の変形も抑制されることとなる。また、従来ほど多量のガラス繊維を添加する必要がないことから、繊維強化樹脂の流動抵抗や、表面に現れるガラス繊維102aの数も抑えられる。その結果、流動抵抗の増大に伴う上述の変形や、表面に現れるガラス繊維102aの数の増加に伴う接着性の低下等の不具合も回避される。
このように、図1に示す本実施形態の電子機器用筐体100は、金属製の底板101と繊維強化樹脂製の側壁102やボス103とが一体成形され、かつ、寸法精度の低下や接着不良等が抑制された筐体となっている。また、図2に示す本実施形態の電子機器用筐体の製造方法によれば、金属製の底板101と繊維強化樹脂製の側壁102やボス103とが一体成形され、かつ、寸法精度の低下や接着不良等が抑制された好適な電子機器用筐体を得ることができる。
尚、上記では、基本形態や応用系について上述した電子機器用筐体の実施形態として、接着剤によって金属製の底板と固定される繊維強化樹脂製の部品が、ボスのみである電子機器用筐体100を例示したが、基本形態や応用系について上述した電子機器用筐体の実施形態はこれに限るものではなく、例えば、底板と側壁との固定が接着剤によって行われるもの等であっても良い。
また、上記では、扁平な繊維状物の一例として、断面形状における長軸の寸法と短軸の寸法を示すに止め形状については特定しなかったが、この扁平な繊維状物は、例えば、楕円形状であっても良く、長方形状等であっても良い。
以上で、電子機器用筐体の一実施形態と、電子機器用筐体の製造方法の一実施形態との説明を終了する。
以下、本発明の実施例について、比較例とともに説明する。
まず、第1実施例、第2実施例、第1比較例、および第2比較例について説明する。
(第1実施例)
第1実施例として、次の構成部品を用いて電子機器用筐体を構成した。まず、底板として、縦横寸法が200mm×150mmで厚みがt=0.5mmのマグネシウム合金AZ31B製の平板を用いた。また、側壁およびボス用の繊維強化樹脂として、ポリカーボネイトS2000R(三菱エンジニアリングプラスチックス製)に、断面形状における長軸の長さが短軸の長さの4倍となっている扁平形状のガラス繊維(CSG 3PA−820:日東紡製)を重量%で10%添加したものを用いた。
そして、これらを用いて、上述したインモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。尚、このインモールド成形では、樹脂を金型に注入するための射出成形機として、ROBOSHOT(ファナック社の登録商標)S−200i 150Aを用い、この射出成形機における樹脂溶融のためのシリンダ温度を290度に設定し、樹脂の射出速度を100mm/secに設定した。
この第1実施例に対する評価データとして、まず、この第1実施例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数を、上述の繊維方向および直角方向の双方について測定した。また、この繊維強化樹脂の溶融時の流動抵抗を示す上述のMVRを測定した。
さらに、この第1実施例において使用されたマグネシウム合金で形成された所定形状の金属板を用意し、この第1実施例において使用された繊維強化樹脂を使ったインモールド成形によって、上記の金属板と、繊維強化樹脂の板とが、各々の板の端部で接した試験片を作成した。また、このインモールド成形では、金属板表面の、繊維強化樹脂と接する部分に、加熱によって接着力を発揮する接着剤が塗布された。そして、作成された試験片を構成する金属板と繊維強化樹脂の板とを互いに反対方向に両者が剥がれるまで、引張り力を増やしながら引っ張り、両者が剥がれたときの引張り力を、この第1実施例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力として得た。
最後に、この第1実施例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
(第2実施例)
第2実施例として、扁平形状のガラス繊維の添加量が、重量%で20%である他は、上記の第1実施例と同じ条件下で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第2実施例に対する評価データとして、この第2実施例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第2実施例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第2実施例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
(第1比較例)
第1比較例では、インモールド成形に用いる繊維強化樹脂が、上記のポリカーボネイトS2000R(三菱エンジニアリングプラスチックス製)に、断面形状が円形となっている円形状のガラス繊維(CS 3PE−455:日東紡製)を重量%で10%添加したものである他は、上記の第1実施例と同じ条件下で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第1比較例に対する評価データとして、この第1比較例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第1比較例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第1比較例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
(第2比較例)
第2比較例では、円形状のガラス繊維の添加量が、重量%で20%である他は、上記の第1比較例と同じ条件下で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第2比較例に対する評価データとして、この第2比較例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第2比較例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第2比較例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
以上の第1実施例、第2実施例、第1比較例、および第2比較例それぞれについての評価結果を、以下に示す。
下記の表3は、複数の実施例と複数の比較例それぞれについての評価結果を示す表である。
Figure 2009267313
この表3には、第1実施例、第2実施例、第1比較例、および第2比較例それぞれについての評価結果が示され、さらに、後述の第3実施例および第3比較例それぞれについての評価結果と、後述の第4実施例および第5実施例それぞれについての評価結果とが示されている。
この表3には、まず、各実施例および各比較例についての条件として、繊維強化樹脂の素材として使われた熱可塑性樹脂の種類、繊維強化樹脂の素材として使われたガラス繊維の種類、ガラス繊維の添加量が示されている。また、後述の第4実施例および第5実施例それぞれについては、上記の条件に加えて、インモールド成形で使われた断熱材の種類と厚さが条件として示されている。
また、この表3には、各実施例および各比較例についての評価結果として、繊維強化樹脂の線膨張係数、MVR、接着力、および電子機器用筐体の反り量が示されている。
まず、上記の第1実施例、第2実施例、第1比較例、および第2比較例それぞれの反り量について比較する。第1実施例の反り量は、ガラス繊維の添加量がこの第1実施例と等しい第1比較例の反り量よりも小さく、第2実施例の反り量は、ガラス繊維の添加量がこの第2実施例と等しい第2比較例の反り量よりも小さい。さらに、2つの比較例のうちガラス繊維の添加量が少ない第1比較例では、反り量が3.1mmという大きな値となっている。つまり、ガラス繊維の添加量が同じ場合には、扁平形状のガラス繊維を用いた第1実施例および第2実施例の方が、反り量が小さく寸法精度の高い電子機器用筐体が得られることが分かる。
次に、上記の第1実施例、第2実施例、第1比較例、および第2比較例それぞれの線膨張係数について比較する。この線膨張係数について、繊維方向と直角方向との差が示す異方性を、実施例と比較例との間で比較すると、第1実施例の異方性は第1比較例の異方性よりも小さく、第2実施例と第2比較例との間では異方性がほぼ等しくなっていることが分かる。つまり、ガラス繊維の添加量が同じであれば、扁平形状のガラス繊維が採用されている実施例の方が、円形状のガラス繊維が採用されている比較例に比べて異方性が抑えられていることが分かる。また、ガラス繊維の添加量が同じであれば、扁平形状のガラス繊維が採用されている実施例の方が、電子機器用筐体の反り量が小さいことから、扁平形状のガラス繊維が採用されている実施例では、線膨張係数の異方性に起因する繊維強化樹脂製の部品自体の変形が抑えられて、その結果、電子機器用筐体の反りが抑えられているものと考えられる。
また、実施例では、ガラス繊維の添加量が10%の第1実施例で実現されている直角方向の線膨張係数(6.3E−5)が、比較例では、ガラス繊維の添加量が20%の第2比較例で実現されている。このことから、線膨張係数を下げて、金属の線膨張係数に近付ける効果は、扁平形状のガラス繊維が採用されている実施例の方が高いことが分かる。
MVRについて、2つの実施例の間、および2つの比較例の間で比較すると、実施例および比較例双方ともガラス繊維の添加量が多くなるとMVRが下がり、流動抵抗が増加していることが分かる。
ここで、上述したように、流動抵抗が増加すると射出成形機が繊維強化樹脂を射出する圧力が高まる。この射出の圧力が高まると、金型内の金属部品を変形させてしまったり、繊維強化樹脂の内部応力が高まって変形が生じてしまったりするという不具合が発生する恐れがある。表3に示す実施例および比較例では、このような流動抵抗の増加による不具合は顕在化していないが、上記のように、扁平形状のガラス繊維が採用されている実施例の方が、円形状のガラス繊維が採用されている比較例に比べて少ない添加量で、繊維方向と直角方向との双方について線膨張係数を下げることができるので、扁平形状のガラス繊維が採用されている実施例では、上記のような流動抵抗の増加による不具合の発生を抑制して線膨張係数を下げることができることが分かる。
次に、第3実施例および第3比較例について説明する。
(第3実施例)
第3実施例として、インモールド成形に用いる繊維強化樹脂が、ポリアミドに、上記の扁平形状のガラス繊維を重量%で40%添加したものである他は、上記の第1実施例と同じ条件下で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第3実施例に対する評価データとして、この第3実施例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第3実施例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第3実施例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
(第3比較例)
第3比較例として、インモールド成形に用いる繊維強化樹脂が、ポリアミドに、上記の円形状のガラス繊維を重量%で50%添加したものである他は、上記の第1実施例と同じ条件下で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第3比較例に対する評価データとして、この第3比較例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第3比較例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第3比較例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
以上の第3実施例および第3比較例それぞれについての評価結果は、上述したように、表3に示されている。
まず、これらの実施例および比較例では、ポリアミド自体の線膨張係数が大きいので、繊維強化樹脂の線膨張係数を金属の線膨張係数に近付けるためのガラス繊維の添加量が、上述のポリカーボネイトを用いた実施例や比較例におけるガラス繊維の添加量に比べて大きくなっている。一方で、ポリアミド自体の流動抵抗が低いので、扁平形状のガラス繊維を採用した第3実施例では、上記のような大きな添加量であっても、MVRが大きい状態、即ち流動抵抗が低い状態が維持されている。ただし、第3比較例については、ガラス繊維の添加量が多すぎて、MVRが下がり、流動抵抗が高くなってしまっている。
また、第3実施例と第3比較例との間で、線膨張係数を比較すると分かるように、扁平形状のガラス繊維を採用した第3実施例では、円形形状のガラス繊維を採用した第3比較例に比べて少ない添加量で、この第3比較例に比べて、繊維方向と直角方向との双方で小さい線膨張係数が実現されている。その結果、第3実施例では、電子機器用筐体の反り量が1.9mmに抑制されているのに対し、第3比較例では、上記のような流動抵抗の増加に起因して電子機器用筐体に3.5mmという大きな値の反りが発生してしまっている。
このように、ポリアミドを採用した繊維強化樹脂でも、扁平形状のガラス繊維を採用した第3実施例の方が、円形状のガラス繊維を採用した第3比較例よりも少ない添加量で、線膨張係数を下げることができ、その結果、繊維強化樹脂の流動抵抗が抑えられて電子機器用筐体の反り量が抑制されることとなる。
次に、第4実施例および第5実施例について説明する。
(第4実施例)
第4実施例として、インモールド成形を、上記の図6および図7に示すように、セラミックス製の断熱材としてアルミナ製の断熱材を用いて行う他は、扁平形状のガラス繊維の添加量が20%であるという上記の第2実施例と同じ条件で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第4実施例に対する評価データとして、この第4実施例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第4実施例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第4実施例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
(第5実施例)
第5実施例として、断熱材として、炭素繊維で編まれた布に熱硬化性樹脂を含浸させるとともに、その布を熱硬化性樹脂に封入させたタイプのCFRP製の断熱材を用いて行う他は、上記の第4実施例と同じ条件で、インモールド成形を行い電子機器用筐体を作成した。
また、この第5実施例に対する評価データとして、この第5実施例において使用された繊維強化樹脂の線膨張係数およびMVRを測定した。また、上記の第1実施例と同じ方法で、この第5実施例における繊維強化樹脂を使ったときの接着力を測定し、さらに、この第5実施例の電子機器用筐体の成形後における反りを測定した。
以上の第4実施例および第5実施例それぞれについての評価結果は、上述したように、表3に示されている。
これら第4実施例および第5実施例については、第4実施例および第5実施例それぞれにおける接着力の値と、扁平形状のガラス繊維の添加量が20%であるという上記の第2実施例における接着力の値とを比較する。すると、断熱材を用いてインモールド成形を行った第4実施例および第5実施例の方が、断熱材を用いずにインモールド成形を行った第2実施例よりも、接着力が向上していることがわかる。この接着力の向上は、断熱材を用いることで、溶融状態の繊維強化樹脂の熱が接着剤に伝わりやすくなり、加熱によって接着力を発揮する接着剤の接着力が増したために生じたものと考えられる。また、これら第4実施例および第5実施例についても、上述した他の実施形態と同様に、電子機器用筐体の反りが効果的に抑制されていることが分かる。
以下、上述した基本形態を含む種々の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
板状の基板と、
扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した熱可塑性樹脂製の部品とが一体成形されてなることを特徴とする電子機器用筐体。
(付記2)
前記繊維状物が、扁平な断面形状を有するガラス繊維であることを特徴とする付記1記載の電子機器用筐体。
(付記3)
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドを主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする付記1又は2記載の電子機器用筐体。
(付記4)
前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする付記1又は2記載の電子機器用筐体。
(付記5)
前記板状の基板が、マグネシウムを主成分とする基板であることを特徴とする付記1から4のうちいずれか1項記載の電子機器用筐体。
(付記6)
板状の基板と、熱可塑性樹脂製の部品とが一体成形されてなる電子機器用筐体の製造方法であって、
前記基板を金型内に配置する基板配置ステップと、
前記金型内に、扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した、溶融状態の熱可塑性樹脂を注入する樹脂注入ステップとを有することを特徴とする電子機器用筐体の製造方法。
(付記7)
前記基板の、前記部品との接触部分の少なくとも一部に接着剤を塗布する接着剤塗布ステップと、
前記金型内の、少なくとも、前記基板の、接着剤が塗布された領域の裏面が接する領域に、該金型の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する断熱材を配置する断熱材配置ステップとを有し、
前記基板配置ステップが、前記断熱材が配置された金型内に、前記接着剤塗布ステップにより接着剤が塗布された基板を配置するステップであることを特徴とする付記6記載の電子機器用筐体の製造方法。
(付記8)
前記繊維状物が、扁平な断面形状を有するガラス繊維であることを特徴とする付記6または7記載の電子機器用筐体の製造方法。
(付記9)
前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドまたはポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする付記6から8のうちいずれか1項記載の電子機器用筐体の製造方法。
基本形態および応用形態について説明した電子機器用筐体に対する具体的な実施形態を示す模式図である。 図1に示す電子機器用筐体を製造する製造方法を示す模式図である。 底板の形成と接着剤の塗布とを示す模式図である。 図1に示す電子機器用筐体とは別形態の電子機器用筐体を示す断面図である。 図4に示す別形態の場合における、底板の形成と接着剤の塗布とを示す模式図である。 電子機器用筐体の製造方法の、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の逃げを抑制するという別形態を示す図である。 図6に示す別形態の電子機器用筐体の製造方法において、溶融状態の繊維強化樹脂の熱の逃げが抑制される様子を示す模式図である。 繊維強化樹脂における線膨張係数の低下について説明する模式図である。
符号の説明
100,100’ 電子機器用筐体
101,101’ 底板
101a 化成皮膜
101b’ 台形溝
101c’ 貫通孔
102,102’,210 側壁
102a,211 ガラス繊維
102a’ 台形突起
103,103’ ボス
103a’ 突起
103b’ 平坦部
104 接着剤
501 マスク
501a 窓
502 注入機
510,510’ 金型
511,511’ 収納部
511a’ 窪み
512 蓋部
512a 樹脂通過孔
512_1 第1部分
512_2 第2部分
513 断熱材
530 射出成形機

Claims (5)

  1. 板状の基板と、
    扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した熱可塑性樹脂製の部品とが一体成形されてなることを特徴とする電子機器用筐体。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミドを主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の電子機器用筐体。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリカーボネイトを主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の電子機器用筐体。
  4. 板状の基板と、熱可塑性樹脂製の部品とが一体成形されてなる電子機器用筐体の製造方法であって、
    前記基板を金型内に配置する基板配置ステップと、
    前記金型内に、扁平な断面形状を有する繊維状物が分散した、溶融状態の熱可塑性樹脂を注入する樹脂注入ステップとを有することを特徴とする電子機器用筐体の製造方法。
  5. 前記基板の、前記部品との接触部分の少なくとも一部に接着剤を塗布する接着剤塗布ステップと、
    前記金型内の、少なくとも、前記基板の、接着剤が塗布された領域の裏面が接する領域に、該金型の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する断熱材を配置する断熱材配置ステップとを有し、
    前記基板配置ステップが、前記断熱材が配置された金型内に、前記接着剤塗布ステップにより接着剤が塗布された基板を配置するステップであることを特徴とする請求項4記載の電子機器用筐体の製造方法。
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