JP2009266479A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract


【課題】CO除去装置のさらなるコンパクト化を実現しうる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】原料ガスAを改質して水素リッチな改質ガスBを得る改質器を有する改質ガス製造装置1と、改質ガスBからCOを吸着除去し水素ガスCを得るCO除去装置2と、スタックに供給された水素ガスCを酸素含有ガスと反応させて発電する燃料電池3とを備えた燃料電池システムであって、CO除去装置2が、CO吸着剤を充填した2塔のCO吸着塔2a,2bからなり、いずれかの1塔2aにて前記CO吸着除去操作を行いつつ、他の塔2bにて燃料電池3のスタックオフガスDを再生用ガスとして流通させてCO吸着剤の再生操作を減圧下で行うように構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、原料ガスを改質して得られる水素リッチガスをエネルギ源(燃料)として発電を行う燃料電池システムに関する。
近年、地球温暖化防止対策ともあいまって、エネルギの原油依存体質からの脱却が世界的規模で重要課題となっており、環境保全に対する取組みが先行する欧州の先進国はもとより、米国や日本をはじめとするアジア諸国においても、水素リッチガスをエネルギ源とする燃料電池の実用化に向けての取組みが活発化している。
燃料電池の燃料として使用される水素リッチガスの製造方法についても多くの研究が進められているが、現時点で最も安価で実現性の高い製造方法は、原料として天然ガス、LPG、灯油、ガソリン、メタノール、ジメチルエーテルなどを使用し、これらを改質して水素リッチな改質ガスを製造する方法である。
ただし、上記方法を採用した場合、改質工程で一酸化炭素(CO)が副生するため、水素リッチな改質ガス中には相当量のCOが混入してくる。このCOは、燃料電池を被毒し、発電効率を低下させることから、その除去法についても幾つかの研究が行なわれており、例えば、選択的酸化触媒を用いたCO除去法(選択的酸化触媒法)や、吸着剤を用いたCO除去法(吸着法)が検討されている。
選択酸化触媒法は、主に定置形燃料電池(家庭用燃料電池を含む)に対して開発が進められている技術であり、改質ガスに空気または酸素を添加し触媒を用いて改質ガス中のCOガスを選択的に酸化しCOにして除去することでCOを除去し、燃料電池に対するCOの被毒を防止する技術である。常圧プロセスであること、比較的高い空塔速度(SV)で使用できることにより装置のコンパクト化が可能なことが本技術の特徴であるが、以下の課題を抱えている。
すなわち、(1)改質ガス中のCO濃度を十分に低下させるためには、過剰の空気または酸素を導入する必要があるが、余剰の空気または酸素により燃料電池の燃料となるべき水素の一部が酸化され、水素収率が低下してしまうこと、(2)また、選択酸化触媒反応は発熱反応であるため、触媒層の入口ガス組成の変化など条件変化に対応して反応温度を一定に維持することが難しく、反応温度が上がりすぎた場合には触媒の劣化を招くこと、(3)さらに、触媒として白金(Pt)などの貴金属を担持させた触媒が使用されるため触媒コストが高いこと、等の問題を有している。
一方、吸着法として、本願発明者らは、特許文献1および特願2007−107507号において、COを選択的に吸着するCO吸着剤を用いて改質ガス中のCOを吸着除去し、CO吸着後のCO吸着剤を高温下でカロリーガスを通じてCO吸着剤の再生を行う燃料電池用水素ガスの製法を提案した。これらの方法を用いれば、上記従来の選択酸化触媒法と比較して、水素の燃焼による燃料水素のロスがなくなり、また吸着剤に安価な材料を用いてCOの除去が行えるため非常にメリットが大きい。
しかしながら、吸着法においてCO吸着剤の再生を上記のように加熱再生方式で行う場合、再生操作に際してCO吸着剤を該再生操作に適した温度まで加熱する必要があることに加え、再生操作完了後CO吸着除去操作に復帰させるに際して該CO吸着剤を該CO吸着除去操作に適した温度まで冷却する必要がある。
このため、CO吸着除去操作と再生操作の間での切り替えに際して加熱操作および冷却操作にそれぞれ一定の時間を要するので、吸着・再生のサイクルタイムを短く設定することが難しく、結果的に装置サイズが大きくなるという課題がある。
特に、家庭用燃料電池システムなど、設置面積を小さくする必要がある燃料電池システムに対しては、CO除去装置の更なるコンパクト化が強く要望されている。
特開2006−164662号公報(特許請求の範囲など)
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、CO除去装置のさらなるコンパクト化を実現しうる燃料電池システムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、原料ガスを改質して水素リッチな改質ガスを得る改質器を有する改質ガス製造装置と、前記改質ガスからCOを吸着除去し水素ガスを得るCO除去装置と、スタックに供給された前記水素ガスを酸素含有ガスと反応させて発電する燃料電池とを備えた燃料電池システムであって、前記CO除去装置が、CO吸着剤を充填した少なくとも2塔のCO吸着塔からなり、いずれかの少なくとも1塔にて前記CO吸着除去操作を行いつつ、残りの塔にて前記燃料電池のスタックオフガスを再生用ガスとして流通させてCO吸着剤の再生操作を減圧下で行うように構成したことを特徴とする燃料電池システムである。
請求項2に記載の発明は、前記残りの塔における再生操作時のガス圧力が、絶対圧で1kPa〜20kPaである請求項1に記載の燃料電池システムである。
請求項3に記載の発明は、前記少なくとも2塔のCO吸着塔が、CO吸着剤層の前段および後段のいずれか一方または双方に水分吸着剤層を配置してなるものである請求項1または2に記載の燃料電池システムである。
請求項4に記載の発明は、前記水分吸着剤層に用いる水分吸着剤が、活性アルミナおよび/またはシリカゲルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システムである。
請求項5に記載の発明は、前記いずれかの少なくとも1塔におけるCO吸着除去操作時の圧力が、正圧である請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池システムである。
本発明によれば、CO除去装置を、CO吸着剤を充填した2塔以上のCO吸着塔で構成するとともに、いずれかの少なくとも1塔にて前記CO吸着除去操作を行いつつ、残りの塔にて前記燃料電池のスタックオフガスを再生用ガスとして流通させてCO吸着剤の再生操作を減圧下で並行して行うことで、CO吸着除去操作と再生操作の間での切り替えに際して長時間を要する加熱・冷却操作が不要ないし大幅に短縮される結果、吸着・再生のサイクルタイムが大幅に短縮され、CO除去装置のさらなるコンパクト化が実現できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明に係る燃料電池システムの実施形態の一例を図1のフロー図に示す。同図において、符号1は改質用原料ガスを改質して水素リッチな改質ガスを得る改質装置、符号2は前記改質ガスからCOを吸着除去し水素ガスを得るCO吸着剤を充填したCO除去装置、符号3は上記水素ガスをエネルギ源(燃料)として発電する燃料電池をそれぞれ示す。以下、装置ごとにさらに詳細に説明を行う。
(改質装置)
本発明に係る改質装置1としては、例えば通常用いられる水蒸気改質器と変成器(ともに図示せず)とを組み合わせて構成すればよい。上記改質器にて例えば都市ガスなど、天然ガス等の炭化水素を含有する原料ガスを水蒸気で改質してHおよびCOを主成分とするガスとした後、上記変成器にてこのガスにさらに水蒸気を添加して変成しHを主成分とする(水素リッチな)改質ガスBを生成する。この改質ガスB中には、Hの他、少量のCO、CH、HOなどとともに、0.5容量%程度のCOが残留している。なお、後工程のCO除去装置2においては低温ほど吸着反応が促進されることから、改質装置1とCO除去装置2との間に高温の改質ガスBを冷却するための熱交換器(図示せず)を設けるのが望ましい。
(CO除去装置)
本発明のCO除去装置2としては、例えば図1に示すように、CO吸着剤を充填したCO吸着塔2塔(2a,2b)からなる構成を採用すればよい。CO吸着塔(以下、単に「塔」ともいう。)2a,2bは交互に切替運転を行い、一方の塔(本例では2a)が改質ガスBのCOを吸着除去している間に、他方の塔(本例では2b)ではCO吸着剤の再生が行われる。
CO吸着除去操作の状態にあるCO吸着塔2aに対しては、仕切弁11,16が開放されており(仕切弁12,15は閉止)、改質装置1で製造された水素を含む改質ガスBがCO吸着剤の充填された吸着塔2aに導入され、改質ガスBからCOが除去される。そして、CO除去後の水素ガスCは燃料電池3のスタックに供給される。
一方、再生操作の状態にあるCO吸着塔2bに対しては、仕切弁17,14が開放されており(仕切弁18,13は閉止)、CO吸着剤を洗浄(再生)する再生用ガスとして燃料電池3のスタックから排出されるスタックオフガスDが使用できる。再生に際してCO吸着塔2bは真空ポンプで減圧され、略真空下で再生が行われる。
CO吸着剤の洗浄(再生)に使用された後の再生オフガスEは、スタックで消費されなかった水素や、吸着剤から脱離したCOなど、カロリーガスを含有しているため、例えばバッファタンク5に貯蔵した後、上記改質器の加熱燃料として有効利用することができる。
CO吸着除去操作と再生操作の切り替えサイクルは、CO吸着塔2a,2bの温度スイング(加熱・冷却)を行わないため大幅に短縮でき、3〜5分程度に設定することが可能である。なお、温度スイングを行う従来の加熱再生方式では、切り替えサイクルを15〜30分程度に設定する必要があった。
以下、各塔における操作について順を追ってさらに詳細に説明を行う。
[CO吸着除去操作]:改質ガスBをいずれか1塔(本例では2a)を通過させ、改質ガスB中のCOを選択的に吸着除去し、水素ガスCに精製する。CO吸着剤としては、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)および/もしくはハロゲン化銅(II)を担持させた材料、またはこの材料を還元処理したものが好適に用いられ、なかでもアルミナ担体に塩化銅(I)を担持した材料はCOに対する選択性が高く推奨される。このようなハロゲン化銅を担持させたCO吸着剤は、ゼオライトモレキュラーシーブス、カーボンモレキュラーシーブス、活性炭、または活性アルミナといった従来の吸着剤に比べ数倍〜数十倍のCO吸着容量を有するため、CO吸着塔を大幅に小型化できる。
[再生操作]:CO吸着除去操作に用いられていた他方のCO吸着塔(本例では2b)については、CO吸着剤の吸着性能を維持するために、CO吸着容量を超えてCO吸着塔2bの出口側からCOが漏れ出てくる前にCO吸着剤を再生する必要がある。CO吸着剤の再生は、吸着サイトに吸着したCOを脱離洗浄するため、COを実質的に含まないガスを流通させつつ行う。再生用ガスとして用いるCOを実質的に含まないガスとして、燃料電池3のスタックオフガスDの全量または一部を使用する。再生用ガスの量は、改質ガスBの量の0.5〜0.7倍程度とするとよい。
ここで、図2は、通常の改質ガスに含まれるCO濃度0.5容量%、吸着温度40℃の条件下で、該改質ガスからCO吸着剤を用いてCOを吸着除去した後、該改質ガスの量の0.7倍の量の再生用ガスを用いて、再生温度40℃の条件下でCO吸着剤の再生を行った場合における、再生圧力とCO吸着剤の再生度(吸着したCO量に対する脱着したCO量の割合)との関係を示している。
同図に示すように、再生圧力が絶対圧(以下、同じ。)で1atm(≒100kPa)における再生度は67%程度であり、再生が十分に行われないが、再生圧力を真空(負圧)側に低下させることによりCO吸着剤の再生度が著しく向上する。
再生圧力を0.2atm(≒20kPa)以下とすることで90%以上の再生度が得られ、さらに0.1atm(≒10kPa)以下とすることで98%以上の再生度が得られることがわかる。
このように、略真空下で再生することで、CO吸着剤の再生度が大幅に向上し、CO吸着除去操作と再生操作からなるサイクルを繰り返してもCO吸着除去操作中にCO吸着剤からCOガスが漏出することなく、長期間の連続運転が可能となる。
上述のように、COの脱離反応はガス圧力が低いほど促進されるため、CO吸着塔2b内は真空ポンプ4にて1kPa〜20kPaの真空度まで減圧するのが好ましい。20kPaより高い圧力の真空度では、スタックオフガスDを全量使用しても十分な再生ができない。一方、1kPaより低い圧力の真空度では、使用する真空ポンプ5の動力を大きくする必要があり、燃料電池4で発電される電力量に対して、補機である真空ポンプ5で消費される電力量の割合が過大となり、燃料電池システム全体としての発電効率の低下を招く。より好ましい真空度は1kPa以上10kPa未満である。
また、再生操作時におけるCO吸着剤の温度(再生温度)は、60℃以下、さらには50℃以下とするのが好ましい。これにより、CO吸着除去操作時におけるCO吸着剤温度(吸着温度)として推奨される常温〜40℃程度の温度との温度差がほとんどなくなる結果、従来長時間を要していた、CO吸着除去操作と再生操作との切り替え時における加熱・冷却操作(温度スイング)を省略できる。
そして、この塔2bから真空ポンプ5により排気された再生オフガスEは、燃料電池3のスタックから未反応(未燃)のまま排出された水素と、CO吸着剤から脱離したCOが含有されているので、バッファタンク5に貯蔵した後、例えば上記改質器の加熱用燃料Fとして有効利用するとよい。
CO吸着塔2a,2bに充填する吸着剤としては上述したようにCOを選択的に吸着するCO吸着剤を用いるが、水分除去用の吸着剤(水分吸着剤)と併用してもよい。水分吸着剤としては、活性アルミナ、シリカゲルを用いることができ、あるいは、これらをともに用いることもできる。
CO吸着剤と水分吸着剤とを併用する場合は、例えばCO吸着剤層の前段および後段の少なくとも一方に水分吸着剤層を配置して構成するのが好ましく、なかでも図3に示すように、CO吸着剤層8の前段および後段の双方に水分吸着剤層7、9を配置(積層)して構成するのが最も好ましい。同図(a)には、CO吸着除去操作時における改質ガスBの流れ方向を示しているが、該ガス流れ方向に沿って水分吸着剤層7、CO吸着剤層8、水分吸着剤層9の順に積層されている。そして、同図(b)には、再生時における再生ガス(スタックオフガス)Dの流れ方向を示しているが、CO吸着除去操作時とは逆方向にガスを流通させるとよい。
これにより、CO吸着除去操作時(同図(a)参照)には、水分吸着剤層7により改質ガスBに含まれる水分が除去されるので、CO吸着剤層8のCO吸着剤に水分が吸着することが防止され、CO吸着容量の増加やCO吸着剤の耐久性向上に寄与する。
一方、再生時(同図(b)参照)には、水分吸着剤層9により再生用ガス(スタックオフガス)Dから水分が除去されるので、この乾燥された再生用ガスDによってCO吸着剤層8はCOが除去され再生されるとともに、水分吸着剤層7も水分が除去され再生される。
また、再生時に水分を吸着した水分吸着剤層9は、CO吸着除去操作時(同図(a)参照)に、水分吸着剤層7を通過して乾燥された改質ガスCによって水分が除去され再生される。
このようにして、CO吸着剤層8の上下流両側にそれぞれ設けられた水分吸着剤層7,9の働きにより、CO吸着剤および水分吸着剤の耐久性を向上させ、長期間高いCO除去効率を維持することができる。
また、通常、燃料電池3の発電効率を高く維持するために、加湿器(図示せず)で水素ガスCに加湿してから、燃料電池4のスタックに導入することが行われる。
これに対して本実施形態では、上述したように、水素ガスCは、CO吸着除去操作時に水分吸着剤層9から除去された水分で既に加湿された状態でCO除去装置1から排出される。したがって、本実施形態により加湿器を省略ないし小型化しうる効果も得られる。
(燃料電池)
各CO吸着塔につき、上記CO吸着除去操作および再生操作をサイクリックに切り替えて運転することにより、いずれかのCO吸着塔は必ずCO吸着除去操作の状態にすることができることから、CO除去装置1から連続的に水素ガスCが燃料電池3のスタックに供給できる。そして、燃料電池3のスタックにて、この水素ガスCを、別途導入した空気、酸素などの酸素含有ガスで反応させて発電を行う。これにより、COによる燃料電池の被毒を防止しつつ、連続して長期に安定した発電を行うことができる。
以上のように、いずれか1塔にてCO吸着除去操作を行いつつ、他の塔にて吸着剤の再生操作を、該吸着剤を加熱することなく減圧下で並行して行うため、上記従来の加熱再生方式のように吸着剤の加熱・冷却に要する時間が不要となり、流通ガスのSV値を大きく設定することが可能となり、CO除去装置1全体として必要なCO吸着剤量を上記従来の加熱再生方式より大幅に低減でき、CO除去装置1のコンパクト化が実現できる。
以下、別の実施形態について説明を行うが、上記実施形態1と共通する部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ詳細に説明を行うこととする。
〔実施形態2〕
上記実施形態1では、CO吸着除去操作時の吸着圧力として常圧の例を示したが、正圧とすることで、改質ガスB中のCO分圧が高くなり、CO吸着剤のCO吸着容量が増加する。その結果、常圧の場合に比べてさらにCO吸着塔の小型化が可能となる。
ここで、図4に、通常の改質ガスに含まれるCO濃度0.5容量%の場合における、吸着圧力とCO吸着剤のCO飽和吸着量との関係を示す。同図に示すように、吸着圧力が高くなるにしたがってCO飽和吸着量が増大し、1atm(≒100kPa)で吸着操作を行う場合と比較すると、3atm(≒300kPa)で吸着操作を行うとCO飽和吸着量が約2倍になる。
したがって、CO吸着除去操作時の吸着圧力は正圧であれば上記CO吸着塔小型化の効果が得られるが、特に3atm(≒300kPa)以上の高圧とすることで、常圧である1atm(≒100kPa)の場合と比較してCO吸着塔容積を約1/2以下に縮小することができ、その効果が大きい。
図5に高圧吸着方式を採用した燃料電池システムの例を示す。CO吸着塔を2塔(2a、2b)用いているのは、図1に示す常圧吸着方式の場合と同様である。吸着塔2aがCO吸着除去操作の状態にある場合には、該CO吸着塔2aは高圧で運転されるので、COを除去して得られる水素ガスCは高圧で回収される。したがって、燃料電池4のスタックが常圧の水素ガスを燃料として発電を行う場合は、背圧弁6を用いて、吸着圧力(高圧)から常圧まで水素ガスCの圧力を下げてから燃料電池4のスタックに導入すればよい。
一方、CO吸着塔2bではCO吸着剤の再生が行われるが、まずは塔2b内のガス圧力を常圧まで下げるため、仕切弁29が解放される(仕切弁28は閉止)。この過程ではスタックオフガスDは仕切弁27を介してバッファタンク6に貯められる(仕切弁5は閉止)。塔2b内が常圧まで減圧された後は、さらに仕切弁28を介して真空ポンプ5により減圧しながら、仕切弁25を開放して(仕切弁26,27は閉止)スタックオフガスDがCO吸着剤の再生用ガスとして使用される。再生終了後はCO吸着除去操作の準備のためにCO吸着塔2bを昇圧する必要があるが、昇圧は高圧の改質ガスBにより行われ、CO吸着塔2aに改質ガスBを流しながら、CO吸着塔2bを昇圧するため、三方弁31,32と流量制御弁41,42が用いられる。
CO吸着塔2bを通過してCO吸着剤の洗浄に使用された後の再生オフガスEは、上記実施形態1の場合と同様、燃料電池4のスタックから未反応(未燃)のまま排出された水素と、CO吸着剤から脱離したCOが含有されているので、バッファタンク5に貯蔵した後、例えば上記改質器の加熱用燃料Fとして有効利用するとよい。
CO吸着除去操作と再生操作との切り替えサイクルは、高圧と略真空との間を減圧・昇圧する必要があるものの、減圧・昇圧に要する時間は短いため、やはり3〜5分程度で切り替えることができる。
(変形例)
上記実施形態1および2では、CO除去装置1として2塔のCO吸着塔で構成し、各1塔にてCO吸着除去操作と再生操作をそれぞれ行う例を示したが、3塔以上のCO吸着塔で構成し、上記各操作を行う塔数を変更してもよい。例えば、3塔で構成する場合、2塔でCO吸着除去操作、残りの1塔で再生操作を行うようにしてもよいし、1塔でCO吸着除去操作、残りの2塔で再生操作を行うようにしてもよい。2塔以上で再生操作を行う場合、例えば、これらの塔それぞれに並列に再生用ガスを流通させてもよいし、これらの塔を直列に接続して再生用ガスを1パスで流通させてもよい。
また、上記実施形態1および2(図1および5)において、改質装置1とCO除去装置2との間に、改質ガスB中のHOを除去する除湿装置を設けてもよい。除湿装置としては、改質ガスBを冷却してドレイン水として除去する機器や吸着式の除湿器が使用できる。吸着式の除湿器を用いる場合、吸着剤としてはアルミナ系もしくはシリカ系の吸着剤を用いることができ、さらにはこれらを併用して用いることもできる。これにより燃料電池3のスタックに導入されるCO除去ガスCの水素濃度が高まり、発電効率がさらに向上する。
また、上記実施形態1および2では、改質装置1として改質器と変成器の組み合わせを例示したが、変成器に代えてセラミックフィルタ等の粗製分離膜を用いてもよい。すなわち、上記実施形態では、改質装置として原料ガスを水蒸気で改質した後に変成して水素リッチな改質ガスを得る装置構成を例示したが、水蒸気で改質した後にセラミックフィルタ等の粗製分離膜を流通させて水素濃度を高めて水素リッチな改質ガスを得る装置構成も当然に適用できる。
さらには、CO吸着剤のCO吸着性能によっては、変成器を省略して改質器のみのプロセスも成立しうる。すなわち、改質装置として、水蒸気で改質しただけで改質ガスを得るようにした、水蒸気改質器のみからなる装置構成も適用可能である。変成器を省略した場合、改質ガスB中のH生成量は減少するもののCO生成量も減少するため、CO除去後の水素ガスCの水素純度が上昇し、燃料電池3の効率が向上する。また、貴金属触媒が用いられる変成器が省略されることで、機器コストが安価になるというメリットもある。さらには水蒸気改質に代えて部分酸化を用いて改質ガスを得るようにした、部分酸化改質器のみからなる装置構成、あるいは部分酸化により改質させると同時に水蒸気で改質して改質ガスを得るようにした、部分酸化・水蒸気改質器のみからなる装置構成も適用しうるものである。
実施形態1に係る燃料電池システムの構成を示すフロー図である。 再生圧力とCO吸着剤の再生度との関係を示すグラフ図である。 CO吸着塔内における、CO吸着剤層と水分吸着剤層の積層状態を示す縦断面図であり、(a)はCO吸着除去操作時、(b)は再生操作時、における各ガス流れ方向を示す。 吸着圧力とCO吸着剤のCO飽和吸着量との関係を示すグラフ図である。 実施形態2に係る燃料電池システムの構成を示すフロー図である。
符号の説明
1…改質装置
2…CO除去装置
2a,2b…CO吸着塔
3…燃料電池
4…真空ポンプ
5…バッファタンク
6…背圧弁
A…原料ガス
B…改質ガス
C…水素ガス
D…スタックオフガス
E…再生オフガス
F…加熱用燃料
11〜18、21〜29…仕切弁
31、32…三方弁
41、42…流量制御弁

Claims (5)

  1. 原料ガスを改質して水素リッチな改質ガスを得る改質器を有する改質ガス製造装置と、前記改質ガスからCOを吸着除去し水素ガスを得るCO除去装置と、スタックに供給された前記水素ガスを酸素含有ガスと反応させて発電する燃料電池とを備えた燃料電池システムであって、
    前記CO除去装置が、CO吸着剤を充填した少なくとも2塔のCO吸着塔からなり、
    いずれかの少なくとも1塔にて前記CO吸着除去操作を行いつつ、
    残りの塔にて前記燃料電池のスタックオフガスを再生用ガスとして流通させてCO吸着剤の再生操作を減圧下で行うように構成したことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記残りの塔における再生操作時のガス圧力が、絶対圧で1kPa〜20kPaである請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記少なくとも2塔のCO吸着塔が、CO吸着剤層の前段および後段のいずれか一方または双方に水分吸着剤層を配置してなるものである請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記水分吸着剤層に用いる水分吸着剤が、活性アルミナおよび/またはシリカゲルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記いずれかの少なくとも1塔におけるCO吸着除去操作時の圧力が、正圧である請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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