第1の発明は、原料ガスから水素含有ガスを生成する改質器、選択酸化触媒と酸化ガスを用いて水素含有ガス中に含まれるCOを除去するCO除去器を備えた複数の燃料処理器と、複数の燃料処理器の水素含有ガスを生成する水素生成動作と、CO除去器への酸化ガ
スの供給の制御により選択酸化触媒を再生させる再生動作を制御する制御器と、を備えた水素生成装置において、制御器が、水素生成装置の水素含有ガス生成時において、前回の再生動作から起算したCO除去器への累計アンモニア供給量に相関するパラメータが所定の閾値を超えない範囲で再生動作を行い、かつ、少なくとも一台の燃料処理器が再生動作を行っている間は、残りの少なくとも一台の燃料処理器が水素生成動作を行うように制御することを特徴とする。
これによって、複数の燃料処理器の内、少なくとも一台は水素含有ガスの生成を行いつつ、水素含有ガスの生成を行っていない燃料処理器に搭載される選択酸化触媒の再生を行うため、水素生成装置は、CO除去器に含まれる選択酸化触媒のアンモニアによる劣化を抑制し、長時間連続して水素含有ガスを供給することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、選択酸化触媒の再生動作が、改質器から水素含有ガスが供給されているCO除去器への酸化ガスの供給を停止する動作であることを特徴とする。
これによって、CO除去器に搭載される選択酸化触媒には、再生動作時には水素含有ガスのみ供給され、酸化ガスが供給されないため、再生動作時における選択酸化触媒は十分な還元雰囲気となり、確実に選択酸化触媒を再生することができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、制御器が、前回の再生動作から起算したCO除去器への累計アンモニア供給量に相関するパラメータの値が所定の閾値を超えない範囲で大きくなるように制御することを特徴とする。
これによって、各燃料処理器の選択酸化触媒の再生動作を行う間隔が平均化され、特定の燃料処理器の選択酸化触媒の再生動作の間隔が短くなることを抑制し、また、各燃料処理器の再生動作に要する積算時間を低減し、水素生成動作を実施する積算時間の低減を抑制するため、水素生成装置の水素含有ガスの生成量の低下を抑制することができる。
第4の発明は、特に、第1から3のいずれか1つの発明において、制御器が、必要な量の水素含有ガスが生成されるように複数の燃料処理器の再生動作と水素生成動作を行う台数を制御することを特徴とする。
これによって、水素含有ガスの必要な量が少ない時刻に、複数の燃料処理器の内一部を水素生成動作させることにより、水素含有ガスの生成量を調整することができる。
また、水素生成装置による水素含有ガスの生成量が少ない時間に、燃料処理器の再生動作を優先的に行い、水素生成装置による水素含有ガスの生成量が多い時間の再生動作を抑制することにより、再生動作による水素生成装置の水素含有ガスの生成量の低下を抑制することができる。
第5の発明は、特に、第1から4のいずれか1つの発明において、CO除去器への累計アンモニア供給量に相関するパラメータが、前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間であることを特徴とする。
これによって、水素生成動作の累計時間で制御するため、従来の水素生成装置に対して特別な装置を追加することなく、簡便な構成で燃料処理器の再生動作を制御することができる。
第6の発明は、特に、第1から4のいずれか1つの発明において、CO除去器への累計
アンモニア供給量に相関するパラメータが、前回の再生動作から起算した原料ガスの供給量の累計値であることを特徴とする。
これによって、原料ガスの供給量の累計値で制御するため、従来の水素生成装置に対して特別な装置を追加することなく、簡便な構成で燃料処理器の再生動作を制御することができる。
第7の発明は、特に、第1から6のいずれか1つの発明の水素生成装置と、水素生成装置から供給される水素含有ガスを用いて発電する燃料電池と、を備えた燃料電池システムである。
これによって、本発明の水素生成装置を備えた燃料電池システムは、水素生成装置が長時間連続して水素含有ガスを燃料電池へ供給することができるため、長時間安定して、連続発電することができる。
第8の発明は、原料ガスから水素含有ガスを生成する改質器、選択酸化触媒と酸化ガスを用いて水素含有ガス中に含まれるCOを除去するCO除去器を備えた複数の燃料処理器が並列に接続され、複数の燃料処理器が、水素含有ガスを生成する水素生成動作と、CO除去器への酸化ガスの供給の制御により選択酸化触媒を再生させる再生動作を行う水素生成装置の運転方法であって、水素生成装置の水素含有ガス生成時に、前回の再生動作から起算したCO除去器への累計アンモニア供給量に相関するパラメータが所定の閾値を超えない範囲で選択酸化触媒の再生動作を行い、かつ、少なくとも一台の燃料処理器が再生動作を行っている間は、残りの少なくとも一台の燃料処理器は水素生成動作を行うことを特徴とする。
これによって、少なくとも一台の複数並列に接続された燃料処理器は水素含有ガスの生成を行いつつ、水素含有ガスの生成を行っていない他の燃料処理器に搭載される選択酸化触媒の再生を行うため、CO除去器に含まれる選択酸化触媒のアンモニアによる劣化を抑制し、長時間連続して水素含有ガスを供給可能な水素生成装置の運転方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では全ての図を通じて同じ構成要素には同じ符号を付し、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における水素生成装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施の形態1の水素生成装置100は、複数並列に接続された燃料処理器10と、燃料処理器10の動作を制御する制御器80と、燃料処理器10から生成される水素含有ガスを通流し、水素利用機器200へ供給する水素含有ガス流路70から構成される。実施の形態1においては、燃料処理器10を4台並列に接続している。
各燃料処理器10は、原料ガスを改質器20へ供給する原料供給器40と、原料ガスから改質反応により水素含有ガスを生成する改質器20と、改質器20から生成された水素含有ガスに含まれるCOを除去する(COの濃度を低減する)CO除去器30と、酸化ガスである空気をCO除去器30へ供給する酸化ガス供給器50と、CO除去器30から流出するCOを除去された水素含有ガスの水素含有ガス流路70への流入を制御する水素含有ガス流路切替器60から構成される。
ここで、改質器20は、水蒸気改質反応により水蒸気と炭化水素を反応させて水素を生
成するRuを含有する改質触媒が充填された反応器である。水蒸気改質反応に適した温度は、例えば600℃〜700℃であり、また、水蒸気改質反応は吸熱反応であるため、改質器20を高温に保つため、改質器20には改質触媒を加熱するバーナが含まれる。
CO除去器30は、水素含有ガス中に含まれるCOを選択酸化反応により除去するRuを含有する選択酸化触媒が充填された反応器である。選択酸化反応に適した温度は、例えば120℃〜180℃であり、CO除去器30は改質器20から流出する水素含有ガスの流れの下流に、選択酸化反応に適した温度となるように高温の改質器20の近傍に配置される。
原料供給器40は、昇圧器及び流量調整弁の組み合わせによって構成される。原料ガスとしてガス会社から配管を通じて供給される都市ガスを用い、原料ガスの量を調整して、改質器20へ供給する。
酸化ガス供給器50は、ファンおよび流量計で構成され、空気量を調整して、CO除去器30への供給を行う。
水素含有ガス流路切替器60は、制御器80からの電気信号により、水素含有ガス流路70と外部への排気を切り替える三方弁により構成される。
水素含有ガス流路70は、各燃料処理器10から生成される水素含有ガスを通流し、合流される配管から構成される。
制御器80は、MPUおよびメモリから構成され、演算機能および記憶機能を有し、制御プログラムの記憶し、実行することにより、水素生成装置100の各種の動作を制御する。制御器80は、各燃料処理器10に備わる改質器20、原料供給器40、酸化ガス供給器50、水素含有ガス流路切替器60の動作を制御するため、各燃料処理器10と電気信号により接続される。
水素利用機器200は、水素を利用する機器であり、本実施の形態では水素含有ガスを貯める水素貯蔵タンクである。
以上のように構成された本実施の形態の水素生成装置100について、以下その動作および作用を説明する。
初めに、燃料処理器10での、水素含有ガスの生成動作およびCO除去器30の再生動作について説明する。
燃料処理器10の起動時には、制御器80から改質器20に起動を指示する信号が送られ、改質器20に含まれるバーナが点火され、改質器20に搭載される改質触媒およびCO除去器30に搭載される選択酸化触媒が、改質反応および選択酸化反応に適した温度となるまで昇温する。改質触媒および選択酸化触媒が反応に適した温度へと昇温した後、燃料処理器10は水素生成動作へ移行する。
燃料処理器10での水素生成動作時には、原料供給器40から改質器20へ原料ガスが供給される。酸化ガス供給器50には、酸化ガス供給器50からCO除去器30へ空気が供給される。水素含有ガス流路切替器60はCO除去器30から水素含有ガス流路70への流路を連通させる。
原料供給器40から原料ガスが供給された改質器20は、改質触媒の触媒作用による水
蒸気改質反応により、原料ガスから水素とCOを含む水素含有ガスを生成する。
改質器20で生成された水素含有ガスは、酸化ガス供給器50から供給された酸化ガスである酸素を含む空気と混合された後に、CO除去器30に供給される。CO除去器30では、水素含有ガス中のCOと酸素とが選択酸化触媒の作用で反応し、水素含有ガス中のCOは除去され、CO濃度が10ppm以下まで除去された水素含有ガスが生成される。
各燃料処理器10から生成された水素含有ガスは、水素含有ガス流路切替器60を介して、水素含有ガス流路70を通流し、水素利用機器200へ供給される。ここで、原料ガス中に約3%の窒素を含む天然ガスの場合、改質器20で生成される水素含有ガスには、約10ppmのアンモニアが含まれる。このアンモニアを含む水素含有ガスは、改質器20からCO除去器30に供給される。
CO除去器30の再生動作は、改質器20において水素含有ガスを生成中に、酸化ガス供給器50からCO除去器30への酸化ガスである空気の供給を停止させ、CO除去器30に充填される選択酸化触媒を還元雰囲気下とする処理である。
水素生成動作時に、CO除去器30に約10ppmの濃度のアンモニアが供給されることで選択酸化触媒にNOが吸着されるが、再生動作時には、選択酸化触媒に吸着したNOは、水素と反応してアンモニアに還元され、選択酸化触媒から離脱する。これにより、NOの吸着により低下した選択酸化触媒の活性は再生される。
この再生動作時において、CO除去器30において水素含有ガスに含まれるCOの除去が行われないため、制御器80から水素含有ガス流路切替器60には、水素含有ガスの水素含有ガス流路70への通流を停止する信号が送られ、水素含有ガスは外部に接続されたバーナ(図示せず)により燃焼される。
選択酸化触媒のアンモニアによる被毒の度合いは、再生動作から起算したCO除去器30へ供給される累計アンモニア量により決まる。本実施の形態では、CO除去器30へ供給される累計アンモニア量に相関するパラメータとして、前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間を用いる。
選択酸化触媒の被毒による性能低下に対する累計アンモニア供給量の上限に相当する、前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間の閾値Trmax(以下、閾値Trmax)は、20時間である。また、CO除去器30の再生動作に要する再生動作時間dTrは、20分である。
次に、複数並列に接続された燃料処理器10から構成される水素生成装置100の各燃料処理器10に搭載されるCO除去器30の再生動作を行う運転方法について説明する。図2は、本発明の実施の形態1における水素生成装置の処理動作を示すフローチャートである。
図2において、水素生成装置100の運転が開始されると、ステップS001により、制御器80は、全ての燃料処理器10の起動を指示し、ステップS002へ移行する。
ステップS002では、各燃料処理器10に対して、閾値Trmaxを20時間と設定し、再生動作を実施する時刻である再生動作時刻Tr[i]を、閾値Trmaxを超えない範囲で、少なくとも一つの燃料処理器10は水素生成動作を実施し、かつ、再生動作を行う燃料処理器10は重複しないように設定し、ステップS003へ移行する。
ここで、符号iは複数の燃料処理器10を区別し、識別する符号であり、本実施の形態では、1〜4の番号を割り振る。
ここでは、燃料処理器10のそれぞれの再生動作を行う時刻が一致しないように、1番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]は、閾値Trmax(20時間)と一致させ、2〜4番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]〜Tr[4]では、1番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]から、再生動作が完了する再生動作時間dTr(20分)分ずつ、短くなるように設定する。
ステップS003では、制御器80は、各燃料処理器10へ水素生成の開始を指示し、i番目の燃料処理器10の前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間である累計生成時間Tp[i](以下、累計生成時間Tp[i])を初期化し、ステップS004へ移行する。
ステップS004では、所定時間dT、ここでは1分とする、毎にステップS004以降の処理を行うため、時間調整を実施し、ステップS005へ移行する。
ステップS005では、i番目の燃料処理器10の累計生成時間Tp[i]を、ステップS004で調整した所定時間dT(1分)分更新し、ステップS006へ移行する。
ステップS006では、i番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]が時刻Tと一致するか確認し、一致した場合は、ステップS007へ移行し、一致しない場合は、ステップS008へ移行する。
ステップS007では、i番目の燃料処理器10に対し、再生動作時刻Tr[i]が時刻Tと一致した燃料処理器10に対し、再生動作の実行を指示し、ステップS008へ移行する。
ステップS008では、全ての燃料処理器10に対し、i番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]が時刻Tと一致したかを確認し、全て確認した場合は、ステップS009へ移行し、確認が終わっていない場合は、ステップS006へ移行する。
ステップS009では、i番目の燃料処理器10の燃料処理器10の再生動作が終了する再生動作時刻Tr[i]に再生動作時間dTr(20分)を加算した時刻が時刻Tと一致するか確認し、一致した場合は、ステップS010へ移行し、一致しない場合は、ステップS011へ移行する。
ステップS010では、i番目の燃料処理器10に対し、再生動作が終了する時刻である再生動作時刻Tr[i]+再生動作時間dTr(20分)が時刻Tと一致した燃料処理器10に対し、再生動作を終了し、水素生成動作への復帰を指示し、再生動作時刻Tr[i]を、時刻Tに閾値Trmax(20時間)を加算して更新し、また、累計生成時間Tp[i]を初期化し、ステップS011へ移行する。
ステップS011では、全ての燃料処理器10に対し、各燃料処理器10の再生動作が終了する時刻である再生動作時刻Tr[i]+再生動作時間dTr(20分)が時刻Tと一致したかを確認し、全て確認した場合は、ステップS012へ移行し、確認が終わっていない場合は、ステップS009へ移行する。
ステップS012では、制御器80は、運転停止要求の発生を確認し、運転停止要求が発生した場合は、ステップS013へ移行し、運転停止要求がない場合はステップS00
4へ移行する。
ステップS013では、全ての燃料処理器10に対して、再生動作の実施を指示し、水素生成装置100の運転を停止する。
図3は、本発明の実施の形態1における燃料処理器の再生動作時刻を説明するための説明図であり、4台並列に接続される燃料処理器10が同時刻に水素生成動作を開始した場合の4台の燃料処理器10のそれぞれの再生動作を行うタイミングを示す再生動作時刻を図示している。
図3に示されるように、再生動作時刻Tr[1]〜Tr[4]は、4台並列に接続される燃料処理器10のそれぞれの再生動作を行う時刻を表しており、同じ時刻に再生動作を行う燃料処理器10は1台のみである。
つまり、4台の燃料処理器10が動作している場合は、4台の燃料処理器10のそれぞれの再生動作を行うタイミング(時間帯)が他と重ならず、1台の燃料処理器10が再生動作を行っている間は、残りの3台の燃料処理器10が水素生成動作を行っている。
水素生成動作開始から最初の再生動作を行う時間間隔は、1番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]では、閾値Trmax(20時間)と一致するが、2〜4番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]〜Tr[4]では、それぞれ再生動作が完了する再生動作時間dTr(20分)分ずつ、閾値Trmax(20時間)から短くなる。
また、初回の再生動作以降の再生動作間の時間間隔は、4台の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]〜Tr[4]とも、閾値Trmax(20時間)となり、一定となる。
このように、4台の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]〜Tr[4]を設定することにより、水素生成装置100は、4台の燃料処理器10の再生動作を1台ずつ実施して、他の燃料処理器10は水素生成動作を実施することができる。
また、前回の再生動作から起算したCO除去器30への累計アンモニア供給量に相関するパラメータである前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間が、所定の閾値を超えない範囲で長くなるように制御することができる。
以上のように、本発明の実施の形態1の水素生成装置100においては、複数並列に接続された燃料処理器10のうち少なくとも一台の燃料処理器10が水素含有ガスの生成を行っている間に、他の燃料処理器10に搭載される選択酸化触媒の再生を行うため、水素生成装置100は、CO除去器30に含まれる選択酸化触媒のアンモニアによる劣化を抑制し、長時間連続して水素含有ガスを供給することができる。
さらに、各燃料処理器10の選択酸化触媒の再生動作を行う間隔が平均化され、特定の燃料処理器10の選択酸化触媒の再生動作の間隔が短くなることを抑制し、また、各燃料処理器10の再生動作に要する積算時間を低減し、水素生成動作を実施する積算時間の低減を抑制するため、水素生成装置100の水素含有ガスの生成量の低下を抑制することができる。
なお、実施の形態1では、燃料処理器10を4台並列に接続した構成について記載したが、燃料処理器10は複数台並列に接続すればよく、これに限定されるものではない。
また、実施の形態1では、累計アンモニア量に相関するパラメータとして、累計アンモ
ニア供給量が上限界に到達すると想定される水素生成動作の累計時間として定義したが、より安全には、累計アンモニア供給量が、上限界未満の所定値に到達すると想定される水素生成動作の累計時間として定義してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2では、燃料電池の発電量を時刻により変化させ、燃料処理器への原料ガスの供給量を変更させる場合について説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、実施の形態2の燃料電池システム500は、水素生成装置101と燃料電池300から構成され、水素生成装置101は、2台並列に接続された燃料処理器10と、燃料処理器10の動作を制御する制御器81と、2台並列に接続された燃料処理器10から燃料電池300へ水素含有ガスを供給する水素含有ガス流路70から構成される。
水素含有ガス流路70と各燃料処理器10およびその構成要素は、実施の形態1と同じであり、その重複する説明を省略する。
制御器81は、MPUおよびメモリから構成され、演算機能および記憶機能を有し、制御プログラムの記憶し、実行することにより、水素生成装置101および燃料電池300の各種の動作を制御する。制御器81は、各燃料処理器10に備わる改質器20、原料供給器40、酸化ガス供給器50、水素含有ガス流路切替器60の動作を制御するため、各燃料処理器10と、燃料電池300と電気信号により接続される。
燃料電池300は、水素を利用して発電を行う発電器であり、本実施の形態では、固体高分子形燃料電池である。
実施の形態2においては、燃料処理器10を2台並列に接続し、それぞれの燃料処理器10は、原料ガスの供給量の1.5NLM〜3NLMまで対応し、原料ガスの供給量を変化させ、水素含有ガスの生成量を変更することができるケースについて説明する。
以上のように構成された本実施の形態の水素生成装置101について、以下その動作および作用を説明する。なお、燃料処理器10での、水素含有ガスの生成動作およびCO除去器30の再生動作は、実施の形態1と同じであり、その重複する説明は省略する。
本実施の形態の水素生成装置101と実施の形態1の水素生成装置100との主要な違いは、本実施の形態の水素生成装置101では、時刻により燃料電池300の発電量を変化させる場合に対応し、燃料処理器10への原料ガスの供給量を変更することである。
また、選択酸化触媒のアンモニアによる被毒の度合いは、再生動作から起算したCO除去器30へ供給される累計アンモニア量により決まるが、本実施の形態では、CO除去器30へ供給される累計アンモニア量に相関するパラメータとして、前回の再生動作から起算した原料ガスの供給量の累計値を用いる。
この選択酸化触媒の被毒による性能低下に対する累計アンモニア供給量の上限に相当する前回の再生動作から起算した原料ガスの累計供給量の閾値Qmax(以下、閾値Qmax)は、3600NLに設定する。また、CO除去器30の再生動作に要する時間(再生動作時間dTr)は、20分に設定する。
図5は、本発明の実施の形態2における燃料電池システムの処理動作を示すフローチャ
ートである。図6(a)〜(e)は、本発明の実施の形態2における燃料処理器の原料ガスの供給量と再生動作時刻を説明するための説明図である。
図6(a)は、本発明の実施の形態2の燃料電池システム500における1番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[1]の時刻による変化を説明するための説明図、図6(b)は、同実施の形態の燃料電池システム500における2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]の時刻による変化を説明するための説明図である。
各燃料処理器10への原料ガスの供給量が、運転開始からの時刻0時から8時の間は、2台の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[1]、Q[2]とも3NLMとし、時刻8時から24時の間は、1番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[1]は3NLM、2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]は1.5NLMとし、時刻24時から32時の間は、2台の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[1]、Q[2]とも3NLMとし、時刻36時から48時の間は、1番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[1]は1.5NLM、2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]は3NLMとなるサイクルを繰り返す場合について説明する。
図6(c)〜(e)は、本実施の形態の燃料電池システム500における2台の燃料処理器10への原料ガスの供給量を設定する初期または原料ガスの供給量を変化する時刻である0時、8時、24時に設定される2台の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]、Tr[2]を示している。
以下、図5を用いて、水素生成装置100の処理動作を説明する。
燃料電池システム500の運転を開始すると、ステップS301で、制御器81は、各燃料処理器10へ起動を指示する。
ステップS302では、各燃料処理器10に対し、必要とされる発電量から各燃料処理器10に対して、原料ガスの供給量Q[i]を設定し、ステップS302へ移行する。ここで、番号iは複数の燃料処理器10を区別し、識別する番号であり、本実施の形態では、1〜2の番号を割り振る。ここでは、1番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[1]を3NLM、2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]を3NLMと設定する。
さらに、ステップS302では、各燃料処理器10に対し、前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間の閾値Trmax[i](以下、閾値Trmax[i])を、原料ガスの供給量Q[i]、閾値Qmax、前回の再生動作から起算した原料ガスの供給量の累計値である累計供給量Qp[i](以下、累計供給量Qp[i])、から、(数1)に示されるように、設定する。
起動後は、各燃料処理器10の累計供給量Qp[1]、Qp[2]は0であり、閾値Qmaxは3600NLであるから、(数1)より、1番目の燃料処理器10の閾値Trmax[1]は20時間、2番目の燃料処理器10の閾値Trmax[2]は20時間となる。
さらに、i番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]は、i番目の燃料処理器10の閾値Trmax[i]を超えない範囲で、少なくとも一つの燃料処理器10は水素生成動作を実施し、かつ、再生動作を行う燃料処理器10は重複しないように設定した後、ステップS303へ移行する。
初期にステップS302で設定されるi番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]を図6(c)に示す。図6(c)は、本実施の形態の燃料電池システム500における2台の燃料処理器10の初期(時刻0時)に設定される再生動作時刻Tr[i]を説明するための説明図である。
時刻Tは水素生成動作を開始した時刻を0とした時刻とした場合、1番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1]は閾値Trmax[1]と同じ20時、2番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]は、1番目の燃料処理器10の閾値Trmax[1]と2番目の燃料処理器10の閾値Trmax[2]がともに20時間であるため、再生動作が重複しないように設定する。2番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]は、再生動作にかかる再生動作時間dTr(20分)から、19時40分に設定される。
このように各燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]を設定することにより、再生動作を行う燃料処理器10は重複することなく、各燃料処理器10への累計供給量Qp[i]は、閾値Qmaxを超えないように再生動作を実施することができる。
ステップS303では、制御器81は、各燃料処理器10へ水素生成の開始と、燃料電池300へ発電開始を指示し、各燃料処理器10の累計生成時間Tp[i]を初期化(0)し、ステップS304に移行する。
ステップS304では、所定時間dT(1分)毎にステップS304以降の処理を行うため、時間調整を実施し、ステップS305へ移行する。
ステップS305では、各燃料処理器10の累計生成時間Tp[i]を、ステップS304で調整した所定時間dT分更新し、各燃料処理器10への累計供給量Qp[i]を、(数2)に示されるように、所定時間dTに供給された原料ガスの供給量分更新し、ステップS306に移行する。
ステップS306では、i番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]が時刻Tと一致するか確認し、一致した場合は、ステップS307へ移行し、一致しない場合は、ステップS310へ移行する。
ステップS307では、時刻Tと一致する再生動作時刻Tr[i]に対応するi番目の燃料処理器10の再生動作の実行を指示し、ステップS308に移行する。
ステップS308では、全ての燃料処理器10に対し、再生動作時刻Tr[i]が時刻Tと一致したかを確認し、全て確認した場合は、ステップS309へ移行し、確認が終わっていない場合は、ステップS306へ移行する。
ステップS309では、各燃料処理器10の再生動作が終了する時刻である再生動作時
刻Tr[i]+再生動作時間dTrが時刻Tと一致するか確認し、一致した場合は、ステップS310へ移行し、一致しない場合は、ステップS311へ移行する。
ステップS310では、i番目の燃料処理器10に対し、再生動作を終了し、水素生成動作へ復帰させる。i番目の燃料処理器10に対応する、累計生成時間Tp[i]、累計供給量Qp[i]を初期化し、さらに、各燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]を、ステップS302と同じ方法により、閾値Qmax、累計供給量Qp[i]、(数1)より算出された閾値Trmax[i]から再設定し、ステップS311へ移行する。
ステップS311では、全ての燃料処理器10に対し、再生動作が終了する時刻である再生動作時刻Tr[i]+再生動作時間dTrが時刻Tと一致したかを確認し、全て確認した場合は、ステップS312へ移行し、確認が終わっていない場合は、ステップS314へ移行する。
ステップS312では、運転停止要求の発生を確認し、運転停止要求が発生した場合はステップS313へ移行し、運転停止要求がない場合はステップS304へ移行する。
ステップS313では、全ての燃料処理器10に対して、再生動作の実施を指示し、燃料電池システム500への運転を停止する。
ステップS314では、発電量の変更要求が発生した場合は、各燃料処理器10の原料ガスの供給量Q[i]を変更するため、ステップS302へ移行し、変更要求がない場合はステップS304へ移行し、それぞれのステップを繰り返す。
ステップS314では、発電量が変更するのは、時刻8時、24時、36時となる。このとき、S302に移行し、再生動作時刻Tr[i]が再設定される。時刻8時、24時において再設定される再生動作時刻Tr[i]を図6(d)、図6(e)に示す。
図6(d)は本実施の形態の燃料電池システム500における2台の燃料処理器10の時刻8時(2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]が3.0NLMから1.5NLMに減る時刻)に再設定される再生動作時刻Tr[i]を説明するための説明図である。
図6(e)は本実施の形態の燃料電池システム500における2台の燃料処理器10の時刻24時(2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]が1.5NLMから3.0NLMに戻る(増える)時刻)に再設定される再生動作時刻Tr[i]を説明するための説明図である。
時刻8時に、2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]は1.5NLM(90NL/h)、累計供給量Qp[2]は1440NLとなるため、(数1)より、閾値Trmax[2]は24時間となる。
そのため、図6(d)に示すように、時刻8時において、2番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]は、8時に24時間を加算し、32時となる。このとき、2番目の燃料処理器10の閾値Trmax[2]は1番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[1](20時)と重複しないため、そのままの時刻に設定される。
また、図6(e)に示すように、1番目の燃料処理器10の2回目の再生動作時刻Tr[1]は、40時20分に設定されている。これは、再生動作が終了した時刻20時20分の時点で、ステップS310において、閾値Qmax(3600NL)、供給量Q[1
](3NLM(180NL/h))、累計供給量Qp[1](0NL)から、(数1)より、閾値Trmax[1]は20時間となり、時刻20時20分に20時間を加算して、2回目の再生動作時刻Tr[1]は、40時20分となり、再生動作時刻Tr[2](32時)と重複しないため、そのままの時刻(40時20分)に設定されるためである。
2番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]は、時刻24時に、2番目の燃料処理器10への原料ガスの供給量Q[2]が3NLM(180NL/h)、累計供給量Qp[2]は2160NLとなるため、(数1)より、閾値Trmax[2]は4時間となるため、24時に4時間を追加し、28時となる。このとき、2番目の燃料処理器10の再生動作時刻Tr[2]は、再生動作時刻Tr[1](40時20分)と重複しないため、そのままの時刻(28時)となる。
このように各燃料処理器10の再生動作時刻Tr[i]を設定することにより、再生動作を行う燃料処理器10は重複することなく、累計供給量Qp[i]は、閾値Qmaxを超えないように再生動作を実施することができる。
以上のように、本発明の実施の形態2においては、少なくとも一台の複数並列に接続された燃料処理器10は水素含有ガスの生成を行いつつ、水素含有ガスの生成を行っていない他の燃料処理器10に搭載される選択酸化触媒の再生を行うため、水素生成装置101は、CO除去器30に含まれる選択酸化触媒のアンモニアによる劣化を抑制し、長時間連続して水素含有ガスを供給することができる。
これによって、本発明の水素生成装置101を備えた燃料電池システム500は、水素生成装置101が長時間連続して水素含有ガスを燃料電池300へ供給することができるため、長時間安定して、連続発電することができる。
なお、各燃料処理器10へ供給する原料ガスの供給量は燃料処理器10が対応している範囲で変更してもよく、また、供給量を変化させる時刻は任意の時間でよく、本実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態3)
実施の形態3では、時刻に対して、水素生成を行う燃料処理器の台数を変えて、水素含有ガスの生成量を調整するケースについて説明する。
実施の形態3における水素生成装置100の構成は、図1に示す実施の形態1の水素生成装置100と同じであり、その重複する説明を省略する。
以下、図1に示される水素生成装置100の並列に接続された各燃料処理器10に含まれるCO除去器30の再生動作を行う運転方法について、図7、図8を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態3における水素生成装置の処理動作を示すフローチャートである。
図8(a)は、本発明の実施の形態3の水素生成装置における複数台の燃料処理器の水素生成台数の時刻による変動を説明するための説明図、図8(b)は、同実施の形態の水素生成装置における複数台の燃料処理器の再生動作時刻を説明するための説明図であり、水素生成装置100の4台並列に接続される燃料処理器10の内、4台分の水素含有ガスを生成する時刻と1台分の水素含有ガスを生成する時刻がある場合を示している。
水素生成装置100は、水素生成の開始時刻を0時とした場合、0〜12時の間は、4
台の燃料処理器10が水素を生成し、12〜24時の間は1台の燃料処理器10が水素を生成するサイクルを繰り返す。
0〜12時および24〜36時の間は、4台の燃料処理器10の全てが水素を生成するため、燃料処理器10の再生動作は、1台の燃料処理器10のみが水素生成する12〜24時および36〜48時の間に再生動作を実施するように、燃料処理器10の再生動作時刻を調整している。
先ず、制御器80が、各燃料処理器10が時刻毎に実施する動作を設定する状態識別子Fp[i][ts]について説明する。状態識別子Fp[i][ts]は、燃料処理器10の動作に応じた値、水素生成停止(0)、水素生成動作(1)、再生動作(2)、起動動作(3)をとり、タイムステップts毎に各燃料処理器10が実施する動作を設定される。
ここで、番号iは複数の燃料処理器10を区別し、識別する番号であり、本実施の形態では、1〜4の番号を割り振る。タイムステップtsは、水素生成装置100の水素生成が開始されてから一定の間隔の時間dT、ここでは20分とする、毎に区切った時間を表す番号である。
制御器80は、タイムステップts毎に各燃料処理器10が実施する動作を状態識別子Fp[i][ts]として設定し、状態識別子Fp[i][ts]の値に応じて、各燃料処理器10へ動作を実行するように指示する。
本実施の形態で設定される状態識別子Fp[i][ts]の具体例を(表1)に記す。
(表1)は、水素生成装置100の水素生成開始を0時とした場合の時刻T、タイムステップts、各タイムステップtsでの各燃料処理器10の水素生成台数Np[ts]、状態識別子Fp[i][ts]を示している。
水素生成の開始時刻を0時とした場合、0〜12時の間は、タイムステップtsは1から36に対応し、4台の燃料処理器10が水素生成するので、水素生成台数Np[1]〜Np[36]は4、12〜24時の間は、タイムステップtsは37から72に対応し、1台の燃料処理器10が水素生成するので水素生成台数Np[37]〜Np[72]は1となる。
状態識別子Fp[i][ts]は、タイムステップtsにおける燃料処理器10の水素生成台数Np[ts]を満たし、かつ、各燃料処理器10に対して、前回の再生動作から
起算した水素生成動作の累計時間の閾値Trmaxを20時間と設定し、再生動作の間隔は、閾値Trmax(20時間)に対応したタイムステップ数60ステップを超えない範囲となるように設定される。
さらに、各燃料処理器10の、前回の再生動作から起算した水素生成動作の累計時間が閾値Trmax(20時間)となる以前のタイムステップに、水素生成台数Np[ts]が増加するタイムステップがある場合は、再生動作を行うタイムステップは水素生成台数Np[ts]が変化する一つ前のタイムステップとし、水素生成台数Np[ts]が減少するタイムステップがある場合は、再生動作を行うタイムステップは水素生成台数Np[ts]が変化するタイムステップとする。
このとき、再生動作を行っても水素生成台数が必要量確保できるように、再生動作を行う燃料処理器10以外で、再生動作を行うタイムステップ前後のタイムステップで水素生成を行っている燃料処理器10の水素生成から水素生成以外へ状態を変化させるタイムステップを調整し、さらに、水素生成装置100の運転開始からの各燃料処理器10の水素生成動作の総累計時間が平均化されるように、水素生成する燃料処理器10を調整する。
また、燃料処理器10は水素生成を行う前に、燃料処理器10に含まれる触媒の温度を上げる起動動作を実施する必要があるため、水素生成装置100の運転開始時や各燃料処理器10が水素生成停止(0)から水素生成動作(1)または再生動作(2)へ移行する前のタイムステップtsには起動動作(3)を設定する。
以下、図7に従い、複数並列に接続された燃料処理器10から構成される水素生成装置100の各燃料処理器10に搭載されるCO除去器30の再生動作を行う運転方法について説明する。
図7において、水素生成装置100の運転が開始されると、ステップS501により、タイムステップtsにおける必要な水素含有ガスの量から燃料処理器10の水素生成台数Np[ts]を設定し、水素生成動作を行う燃料処理器10を設定する。
更に、ステップS501では、水素生成の開始時刻を0時とした時刻Tに対応するタイムステップtsを初期化(0)し、ステップS502へ移行する。具体的には、ステップS501では、水素生成台数Np[ts]は(表1)に従って設定される。
ステップS502では、各燃料処理器10に対応する状態識別子Fp[i][ts]を設定し、ステップS503へ移行する。具体的に、ステップS502で設定される状態識別子Fp[i][ts]の値は(表1)に従って設定される。
ステップS503では、状態識別子Fp[i][ts]の値に応じて、各燃料処理器10へ水素生成停止(0)、水素生成動作(1)、再生動作(2)、起動動作(3)の実行を指示し、次に状態識別子Fp[i][ts]の値が変化するタイムステップとして状態変化タイムステップTscを設定し、ステップS504へ移行する。
具体的には、ステップS503では、(表1)より、タイムステップtsが0では、Fp[1][0]〜Fp[4][0]は、起動動作を示す値(3)であり、全ての燃料処理器10へ起動を指示し、状態変化タイムステップTscを1に設定する。
タイムステップtsが1では、Fp[1][1]〜Fp[4][1]は水素生成動作を示す値(1)であるから全ての燃料処理器10へ水素生成動作を指示し、状態変化タイムステップTscを37に設定する。
ステップS504では、1タイムステップ分に相当する所定時間dT(20分)毎にステップS504以降の処理を行うため、時間調整を実施して、ステップS505へ移行する。
ステップS505では、タイムステップtsを1タイムステップ分更新し、ステップS506へ移行する。
ステップS506では、タイムステップtsが状態変化タイムステップTscと一致するか確認し、一致した場合は、ステップS503へ移行し、一致しない場合は、ステップS507へ移行する。
ステップS506では、初めにタイムステップtsと状態変化タイムステップTscが一致するのは、(表1)よりタイムステップtsが37となる場合であり、状態識別子Fp[1][37]は水素生成動作(1)から再生動作(2)へ、状態識別子Fp[2][37]は水素生成動作(1)のまま、状態識別子Fp[3][37]および状態識別子Fp[4][37]は水素生成動作(1)から水素生成停止(0)へ変化する。
ステップS506からステップS503に移行後、状態識別子Fp[1][37]〜Fp[4][37]に従い、各燃料処理器10の動作を変化させ、運転を継続する。
ステップS507では、運転停止要求の発生を確認し、運転停止要求が発生した場合はステップS508へ移行し、運転停止要求がない場合はステップS504へ移行して、運転を継続する。
ステップS508では、全ての燃料処理器10に対して、再生動作の実施を指示し、水素生成装置100の運転を停止する。
以上のように、本発明の実施の形態3においては、少なくとも一台の複数並列に接続された燃料処理器10は水素含有ガスの生成を行いつつ、水素含有ガスの生成を行っていない他の燃料処理器10に搭載される選択酸化触媒の再生を行うため、水素生成装置100は、CO除去器30に含まれる選択酸化触媒のアンモニアによる劣化を抑制し、長時間連続して水素含有ガスを供給することができる。
また、水素含有ガスの必要な量が少ない時刻に、複数の燃料処理器10の内一部を水素生成動作させることにより、水素含有ガスの生成量を調整することができる。さらに、水素含有ガスの生成量が少ない時間に、燃料処理器10の再生動作を優先的に行い、水素含有ガスの生成量が多い時間の再生動作を抑制することにより、再生動作による水素生成装置100の水素含有ガスの生成量の低下を抑制することができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における水素生成装置の構成を示すブロック図である。図9に示すように、実施の形態4の水素生成装置102は、複数並列に接続された燃料処理器11と、燃料処理器11の動作を制御する制御器80と、燃料処理器11から生成される水素含有ガスを通流し、水素利用機器201へ供給する水素含有ガス流路70から構成される。実施の形態4においては、燃料処理器11を25台並列に接続している。
各燃料処理器11は、原料ガスを改質器20へ供給する原料供給器40と、原料ガスから改質反応により水素含有ガスを生成する改質器20と、改質器20から生成された水素含有ガスに含まれるCOを低減するCO低減器90、CO低減器90により低減された水
素含有ガスに含まれるCOを除去するCO除去器30と、酸化ガスである空気をCO除去器30へ供給する酸化ガス供給器50から構成される。
改質器20、CO除去器30、原料供給器40、酸化ガス供給器50、水素含有ガス流路70、制御器80は、実施の形態1と同じであり、その重複する説明を省略する。
CO低減器90は、水素含有ガス中に含まれるCOを変成反応により低減する、銅を含有する変成触媒が充填された反応器である。変成反応に適した温度は、例えば、200℃〜300℃であり、CO低減器90は改質器20から流出する水素含有ガスの流れの下流に、変成反応に適した温度となるように高温の改質器20の近傍に配置される。
水素利用機器201は、水素含有ガス中のCO濃度を0.01%まで許容する水素を利用する機器であり、本実施の形態では水素含有ガスを貯める水素貯蔵タンクである。
以上のように構成された本実施の形態の水素生成装置102について、以下その動作および作用を説明する。
初めに、燃料処理器11での、水素含有ガスの生成動作およびCO除去器30の再生動作について説明する。
燃料処理器11の起動時には、制御器80から改質器20に起動を指示する信号が送られ、改質器20に含まれるバーナが点火され、改質器20に搭載される改質触媒、CO低減器90に含まれる変成触媒、CO除去器30に搭載される選択酸化触媒が、改質反応、変成反応、選択酸化反応に適した温度となるまで昇温する。触媒が反応に適した温度へと昇温した後、燃料処理器11は水素生成動作へ移行する。
燃料処理器11の水素生成動作時には、原料供給器40から改質器20へ原料ガスが供給される。酸化ガス供給器50には、酸化ガス供給器50からCO除去器30へ空気が供給される。原料供給器40から原料ガスが供給された改質器20は、改質触媒の触媒作用による水蒸気改質反応により、原料ガスから水素とCOを含む水素含有ガスを生成する。
改質器20で生成された水素含有ガスは、CO低減器90へ供給される。CO低減器90では、水素含有ガス中のCOと水蒸気とが変成触媒の作用で反応し、水素含有ガス中のCO濃度が0.1〜0.2%程度まで低減された水素含有ガスが生成され、CO除去器30に供給される。
CO除去器30では、水素含有ガスは酸化ガス供給器50から供給された酸化ガスである酸素を含む空気と混合された後に、水素含有ガス中のCOと酸素とが選択酸化触媒の作用で反応し、水素含有ガス中のCOは除去され、CO濃度が10ppm以下まで除去された水素含有ガスが生成される。各燃料処理器11から生成された水素含有ガスは、水素含有ガス流路70を通流し、水素利用機器201へ供給される。
ここで、原料ガス中に約3%の窒素を含む天然ガスの場合、改質器20で生成される水素含有ガスには、約10ppmのアンモニアが含まれる。このアンモニアを含む水素含有ガスは、改質器20からCO低減器90を介し、CO除去器30に供給される。
CO除去器30の再生動作は、改質器20において水素含有ガスを生成中に、酸化ガス供給器50からCO除去器30への酸化ガスである空気の供給を停止させ、CO除去器30に充填される選択酸化触媒を還元雰囲気下とする処理である。
水素生成動作時に、CO除去器30に約10ppmの濃度のアンモニアが供給されることで選択酸化触媒にNOが吸着されるが、再生動作時には、選択酸化触媒に吸着したNOは、水素と反応してアンモニアに還元され、選択酸化触媒から離脱する。これにより、NOの吸着により低下した選択酸化触媒の活性は再生される。
この再生動作時において、CO除去器30において水素含有ガスに含まれるCOの除去が行われないため、CO濃度が0.1%〜0.2%程度の水素含有ガスが水素含有ガス流路70へと流出する。
このため、25台の燃料処理器11の内、再生動作を行う燃料処理器11の台数が増えると、水素生成装置102から生成される水素含有ガス中のCO濃度が高くなるが、本実施の形態では、ある時刻において再生動作を行う燃料処理器11の数を25台中1台のみとすることにより、水素生成装置102から生成される水素含有ガス中のCO濃度を0.01%以下に抑えている。
選択酸化触媒のアンモニアによる被毒の度合いは、再生動作から起算したCO除去器30へ供給される累計アンモニア量により決まる。本実施の形態では、CO除去器30へ供給される累計アンモニア量に相関するパラメータとして、前回の再生動作から起算した原料ガスの供給量の累計値を用いる。
この選択酸化触媒の被毒による性能低下に対する累計アンモニア供給量の上限に相当する前回の再生動作から起算した原料ガスの累計供給量の閾値Qmaxは、3600NLに設定する。また、CO除去器30の再生動作に要する原料ガスの供給量dQrは、60NLである。
次に、水素生成装置102の複数並列に接続された各燃料処理器11に搭載されるCO除去器30の再生動作を伴う運転方法について説明する。
図10は、本発明の実施の形態4における水素生成装置の処理動作を示すフローチャートである。図10に示すように、水素生成装置102の運転が開始されると、ステップS701により、制御器80は、全ての燃料処理器11の起動を指示し、ステップS702へ移行する。
ステップS702では、閾値Qmaxを3600NLと設定し、各燃料処理器11に対し、再生動作の実施を判定する原料ガスの累計供給量として、前回の再生動作から起算した原料ガスの累計供給量の判定値Qr[i](以下、判定値Qr[i])を、閾値Qmaxを超えない範囲で、かつ、再生動作を行う燃料処理器11の時刻は重複しないように設定し、ステップS703へ移行する。
ここで、番号iは複数の燃料処理器11を区別し、識別する番号であり、本実施の形態では、1〜25の番号を割り振る。
ここでは、燃料処理器11のそれぞれの再生動作を行う時刻が一致しないように、判定値Qr[1]は、閾値Qmax(3600NL)と一致させ、判定値Qr[2]〜Qr[25]は、再生動作時刻が、他の燃料処理器11と一致しないように、再生動作に要する原料ガスの供給量dQr(60NL)分ずつ、少なくなるように設定する。
ステップS703では、制御器80は、各燃料処理器11へ水素生成の開始を指示し、各燃料処理器11の前回の再生動作から起算した原料ガスの各累計供給量Qp[i]を初期化し、ステップS704へ移行する。
ステップS704では、所定時間dT、ここでは1分とする、毎にステップS704以降の処理を行うため、時間調整を実施し、ステップS705へ移行する。
ステップS705では、各燃料処理器11の各累計供給量Qp[i]を、ステップS704で調整した所定時間dT(1分)分更新し、ステップS706へ移行する。
ステップS706では、i番目の燃料処理器11の各累計供給量Qp[i]が判定値Qr[i]と一致するか確認し、一致した場合は、ステップS707へ移行し、一致しない場合は、ステップS708へ移行する。
ステップS707では、燃料処理器11の各累計供給量Qp[i]が判定値Qr[i]と一致した燃料処理器11に対し、再生動作の実行を指示し、ステップS708へ移行する。
ステップS708では、全ての燃料処理器11に対し、各燃料処理器11の各累計供給量Qp[i]が判定値Qr[i]と一致したかを確認し、全て確認した場合は、ステップS709へ移行し、確認が終わっていない場合は、ステップS706へ移行する。
ステップS709では、i番目の燃料処理器11の累計供給量Qp[i]が再生動作終了時の累計供給量(Qr[i]+dQr)以上であるか確認し、再生動作終了時の累計供給量(Qr[i]+dQr)以上である場合は、ステップS710へ移行し、再生動作終了時の累計供給量(Qr[i]+dQr)未満の場合は、ステップS711へ移行する。
ステップS710では、i番目の燃料処理器11に対し、再生動作を終了し、水素生成動作への復帰を指示し、判定値Qr[i]を、閾値Qmaxを3600NLと設定し、また、累計供給量Qp[i]を初期化し、ステップS711へ移行する。
ステップS711では、全ての燃料処理器11に対し、各燃料処理器11の累計供給量Qp[i]が再生動作終了時の累計供給量(Qr[i]+dQr)以上であるか確認し、全て確認した場合は、ステップS712へ移行し、確認が終わっていない場合は、ステップS709へ移行する。
ステップS712では、制御器80は、運転停止要求の発生を確認し、運転停止要求が発生した場合は、ステップS713へ移行し、運転停止要求がない場合はステップS704へ移行する。
ステップS713では、全ての燃料処理器11に対して、再生動作の実施を指示し、水素生成装置102の運転を停止する。
図11は、本発明の実施の形態4における燃料処理器の再生動作を行う原料ガスの総累計供給量を説明するための説明図である。図11は、25台並列に接続される燃料処理器11の運転開始から水素生成および再生動作による原料ガスの総累計供給量に対して、再生動作を行うタイミングを示す。
図11に示されるように、判定値Qr[1]〜Qr[25]は、25台並列に接続される燃料処理器11の原料ガスの累計供給量を表し、同じタイミングで再生動作を行う燃料処理器11は1台のみである。
初回の再生動作での判定値Qr[1]は、閾値Qmax(3600NL)と一致し、判
定値Qr[2]〜Qr[25]では、それぞれ再生動作に要する原料ガスの供給量dQr(60NL)分ずつ閾値Qmax(3600NL)から少なくなるように設定し、判定値Qr[25]では1440NLとなる。2回目回の再生動作以降の判定値Qr[1]〜Qr[25]は、閾値Qmax(3600NL)と同じとなる。
このように、判定値Qr[1]〜Qr[25]を設定することにより、水素生成装置102は、1台の燃料処理器11のみ再生動作を実施し、他の燃料処理器11は水素生成動作を実施することができる。また、前回の再生動作から起算したCO除去器30への累計アンモニア供給量に相関するパラメータである前回の再生動作から起算した原料ガスの供給量の累計値が、所定の閾値を超えない範囲で長くなるように制御することができる。
以上のように、本発明の実施の形態4においては、少なくとも一台の複数並列に接続された燃料処理器11は水素含有ガスの生成を行いつつ、水素含有ガスの生成を行っていない他の燃料処理器11に搭載される選択酸化触媒の再生を行うため、水素生成装置102は、CO除去器30に含まれる選択酸化触媒のアンモニアによる劣化を抑制し、長時間連続して水素含有ガスを供給することができる。
さらに、各燃料処理器11の選択酸化触媒の再生動作を行う間隔が平均化され、特定の燃料処理器11の選択酸化触媒の再生動作の間隔が短くなることを抑制し、総運転時間に対して各燃料処理器11の再生動作に要する積算時間を低減し、水素生成装置102により生成される水素含有ガスの平均的なCO濃度の上昇を抑制している。