JP2008179496A - 水素製造装置およびその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを簡易な方法で実現し,装置の簡素化・低コスト化に寄与するとともに,システム全体としての水素製造効率を上昇させることのできる水素製造装置およびその方法を提供すること。
【解決手段】本発明の水素製造装置1は,炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する改質反応管11,12,13と,改質反応管11,12,13に原料ガスを供給する供給部と,改質反応管11,12,13から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離する精製部と,精製部からオフガスを供給部へ戻す戻し部と,改質反応管11,12,13を減圧することによりその改質反応管から二酸化炭素リッチガスを取り出す二酸化炭素取り出し部とを有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は,炭化水素系の燃料を水蒸気改質反応等により改質して,水素ガスを製造するための水素製造装置およびその方法に関する。さらに詳細には,改質の過程で製造される二酸化炭素を効率よく回収できる水素製造装置およびその方法に関するものである。
燃料電池等の燃料ガスとなる水素に富むガスを製造する方法として,化石燃料から水蒸気改質反応を利用して製造する方法がある。これは,メタンの場合について次の式1に示すような,炭化水素の加水分解により水素と一酸化炭素を得る反応を基本とするものである。さらに,式1によって発生するCOから,式2の反応によってCO2と水素が得られる。
CH4 + H2O → CO + 3H2 …(式1)
CO + H2O → CO2 + H2 …(式2)
従来の一般的な水素製造装置100としては,図13に示すように,加圧器101,改質器102,CO変成器103,PSA104,燃焼部105を有しているものがある。原料ガスは,加圧器101で約0.9MPa程度まで加圧されるとともに,予熱される。この原料ガスと予熱した水蒸気とを改質器102で改質反応させると,水素,一酸化炭素,二酸化炭素を含むガスが得られる。改質器102には,改質触媒(例えば,アルミナ粒子にニッケルが担持された粒子)が充填されている。
その出力ガスは次に,CO変成器103に通され,残留する一酸化炭素に水蒸気が加えられてさらに二酸化炭素と水素とが得られる。ここでCO変成器103通過後に得られるガスの組成は例えば,次の表1の「シフト反応後ガス」欄に示すようになる。さらに,このガスを脱熱することにより脱水する。すると各成分の組成は,表1の「脱水後」欄に示した程度となる。この表1および以下の同様の表においてはいずれも,各ガスの割合をモル分率で示している。また,以下の文中における各ガスの割合についても,特記しない限りモル分率で示す。なお,図13中に示しているのは,その装置で起きる主な反応の化学式と標準的な反応温度である。
Figure 2008179496
ここで得られた水素リッチガスは,PSA104によってさらに高純度な水素ガスに精製される。ここで,PSA(Pressure Swing Adsorption)104は,吸着剤を用いた水素精製装置である。PSA104では,各種ガス成分の吸着速度の差により,水素が最も吸着されにくいことを利用して,高水素の製品水素ガス(例えば99.99%程度)が精製される。
PSA104で吸着されたその他のガス成分(CO,CH4,CO2など)は,適宜,脱圧により吸着剤から外され,製品水素の一部を用いて洗い流される。その際に使用される水素は,通常,製品水素の30%以上となる。また,PSA104から排出されるガス(オフガス)の組成は例えば,次の表2のようになっている。そこで,このオフガスを燃焼部105で燃焼し,その熱を改質器102の加熱や原料ガスの予熱等に用いている。
Figure 2008179496
この従来型の水素製造装置100では,トータルでの水素製造効率は約67%であった。なお,この水素製造効率とは,以下の式で算出される数値である。
水素製造効率(%) = 製品水素の熱量 / (原料の熱量 + 電力消費量)
ここで,原料とは,都市ガス等の原料ガスのことである。この水素製造効率は従来の各種エネルギーの製造効率等と比較して,非常に優れているとは言えず,さらなる高効率化が望まれていた。また,二酸化炭素排出量の削減も求められていた。
これに対し,近年,二酸化炭素吸収型の水素製造技術が提案されている(例えば,特許文献1,特許文献2参照。)。これらの文献に開示されている装置では,燃料改質を行う反応器に,燃料改質触媒とともに二酸化炭素吸収剤が充填されている。これらの文献に記載の装置を用いた水素製造方法では,反応器に原料ガスと水蒸気を導入して,水蒸気改質反応と二酸化炭素吸収反応とを並行して行わせる。
ここで,反応器内の二酸化炭素吸収剤によって二酸化炭素を吸収できる量には限界がある。そこで,ある程度の量の二酸化炭素を吸収させたら,吸収されている二酸化炭素を放出させて,二酸化炭素吸収剤が再び二酸化炭素を吸収できるようにする(「再生する」という)ことが必要である。これらの文献では,二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収剤を昇温することによって,二酸化炭素吸収剤を再生している。これは,二酸化炭素吸収剤の吸収できる二酸化炭素の量が,温度によって異なり,高温では少なくなることを利用したものである。
そこで,反応器内の二酸化炭素吸収剤にある程度の量の二酸化炭素を吸収させたら,二酸化炭素吸収剤が二酸化炭素を放出して再生される温度までその反応器を昇温する。そして,二酸化炭素吸収剤が再生された反応器に,再び原料ガスと水蒸気とを導入する。そうすると,さらに水蒸気改質反応を起こさせることができる。このとき,この水蒸気改質反応が吸熱反応であり,二酸化炭素吸収剤による二酸化炭素吸収反応が発熱反応であることから,水蒸気改質反応に必要な熱エネルギーの追加を二酸化炭素吸収反応による発生熱によって賄うことができる。これらの手順が繰り返されることによって,水素ガスが製造される。
この製造方法では,反応器の温度が,改質工程および二酸化炭素吸収工程の反応温度(例えば約600℃)と二酸化炭素吸収剤の再生温度(例えば約900℃)との間で繰り返し変化される。そのため,温度スイング方式と呼ぶこととする。
特開2003−54927号公報 特開2003−212510号公報
しかしながら,前記した温度スイング方式の二酸化炭素吸収型の水素製造装置では,以下のような問題点があった。
(1)反応温度と再生温度との間で昇降温が繰り返されるため,反応管の膨張・収縮が繰り返され,反応管自体や管内の触媒等が破損するおそれがある。
(2)二酸化炭素吸収剤の再生工程が非常に高温で行われるため,反応器の容器である反応管として,特殊材料のものを用いる必要がある。
(3)反応管内の触媒層等の熱伝導抵抗が大きく,温度を変化させるのに時間がかかる。そのため,放熱ロスが大きい。また,時間的効率を上昇させるためには反応管を複数備えて,異なる工程を順次行わせる等の工夫が必要である。そのため,装置が全体として大型化・複雑化しがちである。
(4)この二酸化炭素吸収型の装置によって得られるガスの水素濃度は90%程度であり,製品として要求される純度(99.99%)に到達しない。そのため,PSAを通す必要があり,PSAのパージのために製品水素の一部が使用される。さらに,PSAのオフガスは反応器を加熱するための燃料として用いられる。そのため,システム全体としての水素製造効率は70%程度となり,従来の二酸化炭素回収型でない水素製造装置と比較してさほど向上していない。
本発明は,前記した従来の水素製造装置が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを簡易な方法で実現し,装置の簡素化・低コスト化に寄与するとともに,システム全体としての水素製造効率を上昇させることのできる水素製造装置およびその方法を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の水素製造装置は,炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する改質反応管と,改質反応管に原料ガスを供給する供給部と,改質反応管から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離する精製部と,精製部からオフガスを供給部へ戻す戻し部と,改質反応管を減圧することにより改質反応管から二酸化炭素リッチガスを取り出す二酸化炭素取り出し部とを有するものである。
本発明の水素製造装置によれば,供給部によって改質反応管に原料ガスが供給される。その改質反応管には,改質触媒が内蔵されているので,原料ガスが改質される。さらに,改質反応管には,二酸化炭素吸収剤も内蔵されているので,改質反応によって生成された二酸化炭素が二酸化炭素吸収剤に吸収される。従って,改質反応管からは,二酸化炭素の含有量の少ない改質ガスが出力される。この改質ガスが精製部によって,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離される。ここで分離されたオフガスには,二酸化炭素はほとんど含まれていないので,供給部へ戻して原料ガスと混ぜて使うことができる。そこで,戻し部によって供給部へ戻される。すなわち,製品水素が改質反応管等の加熱などのために使用されることはなく,これらの加熱のためには必要量の燃料のみを燃焼用に供給すればよい。従って,システム全体としての水素製造効率を上昇させることができる。
さらに,二酸化炭素吸収剤に吸収された二酸化炭素は,二酸化炭素取り出し部によって二酸化炭素リッチガスとして取り出される。これにより,二酸化炭素吸収剤が再生される。このとき,二酸化炭素取り出し部では,改質反応管を減圧することにより二酸化炭素リッチガスを取り出すので,改質反応管を特に高温にする必要はない。このため,改質反応管として特殊材料のものを用いる必要はない。従って,二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを圧力を変化させるという簡易な方法で実現できるため,装置の簡素化・低コスト化に寄与している。
さらに本発明では,改質反応管に,原料ガスを供給して改質ガスを出力させる改質工程と,減圧して二酸化炭素リッチガスを出力させる再生工程と,昇圧させる昇圧工程とをこの順に反復して行わせる制御部を有することが望ましい。
このようにすれば,改質反応管を繰り返し使用して,改質反応と二酸化炭素吸収反応とを起こさせることができる。
さらに本発明では,昇圧工程で改質反応管に供給するガスが,原料ガスとオフガスとの混合ガスであることが望ましい。
このようにすれば,オフガスをさらに原料の一部として使用でき,水素製造効率を上昇させることができる。
さらに本発明では,少なくとも3基の改質反応管を有し,制御部が,第1の改質反応管に改質工程を行わせ,第2の改質反応管に再生工程を行わせ,第3の改質反応管に昇圧工程を行わせる第1モードと,第1の改質反応管に再生工程を行わせ,第2の改質反応管に昇圧工程を行わせ,第3の改質反応管に改質工程を行わせる第2モードと,第1の改質反応管に昇圧工程を行わせ,第2の改質反応管に改質工程を行わせ,第3の改質反応管に再生工程を行わせる第3モードとをこの順に反復して行うことが望ましい。
このようなものであれば,各改質反応管ではそれぞれ,改質工程,再生工程,昇圧工程がこの順で繰り返される。さらに,第1モード,第2モード,第3モードのいずれにおいても,いずれかの改質反応管において改質工程が行われる。従って,途切れることなく改質工程が行われるので,連続して製品ガスを得ることができる。
さらに本発明では,3基の改質反応管を相互に選択的に接続する循環管を有し,制御部は,各モードの前段にて,再生工程にある改質反応管から昇圧工程にある改質反応管へガスを供給することが望ましい。
例えば,改質工程において二酸化炭素吸収剤に多くの二酸化炭素が吸収され,それ以上の吸収が難しくなったときに,再生工程に移行する。そのため,再生工程に移行したときの改質反応管では,その出口近傍には改質反応の終わったガスが多少残留している。そこで,再生工程にある改質反応管から昇圧工程にある改質反応管へガスを供給することにより,その残留ガスを回収することができる。
さらに本発明では,制御部は,各モードの後段にて,改質工程にある改質反応管から昇圧工程にある改質反応管へ改質ガスの一部を供給することが望ましい。
昇圧工程において改質反応管に原料ガスを供給した場合には,その全体について改質反応がほぼ終了するまで,改質ガスの取り出しを開始することができない。そのため,昇圧工程を終了してから改質ガスを取り出すまでに若干の待機時間が必要となる。それに代えて,改質工程にある改質反応管から昇圧工程にある改質反応管へ改質ガスの一部を供給しておけば,昇圧工程の終了時には,その改質反応管内のガスに改質ガスが含まれている。従って,昇圧工程から改質工程へと移行されたときには,ほとんど待機時間を設けることなく改質ガスを取り出すことができる。
さらに本発明では,制御部は,モードの切り換え時に一時的に,再生工程を終了した改質反応管に改質ガスを導入することが望ましい。
再生工程においては,改質反応管は減圧されて二酸化炭素リッチガスが取り出される。しかし,再生工程の終了時にも改質反応管にはわずかに二酸化炭素が残留しているかもしれない。そこで,モードの切り換え時に一時的に,再生工程を終了した改質反応管に改質ガスを導入すれば,残留している二酸化炭素があっても確実に取り出すことができる。
また本発明は,炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する改質反応管を用い,改質反応管に原料ガスと水蒸気とを供給して改質反応を起こさせ,生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させるとともに改質ガスを出力させ,改質ガスの水素濃度を高めた製品ガスを得る改質工程と,改質工程後の改質反応管を減圧して二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素を放出させる再生工程と,再生工程後の改質反応管に,原料ガスと,改質ガスの非水素成分の濃度を高めたオフガスとの混合ガスを供給して昇圧する昇圧工程とを行う水素製造方法にも及ぶ。
また本発明は,炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する,少なくとも3基の改質反応管を用い,第1の改質反応管に改質工程を行わせ,第2の改質反応管に再生工程を行わせ,第3の改質反応管に昇圧工程を行わせる第1モードと,第1の改質反応管に再生工程を行わせ,第2の改質反応管に昇圧工程を行わせ,第3の改質反応管に改質工程を行わせる第2モードと,第1の改質反応管に昇圧工程を行わせ,第2の改質反応管に改質工程を行わせ,第3の改質反応管に再生工程を行わせる第3モードとをこの順に反復して行い,改質工程では,改質反応管に,原料ガスと水蒸気とを供給して改質反応を起こさせ,生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させるとともに改質ガスを出力させ,改質ガスの水素濃度を高めた製品ガスを得,再生工程では,改質工程後の改質反応管を減圧して二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素を放出させ,昇圧工程の前段では,再生工程にある改質反応管からガスの供給を受けて改質反応管を昇圧させ,昇圧工程の後段では,改質工程にある改質反応管から改質ガスの一部の供給を受けて改質反応管を昇圧させる水素製造方法にも及ぶ。
炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒を内蔵する改質反応管と,改質反応管の下流に設けられ,一酸化炭素と水とから水素を生成する一酸化炭素変成反応を促進する一酸化炭素変成触媒と二酸化炭素吸収剤とを内蔵する変成器と,改質反応管に原料ガスを供給する供給部と,変成器から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離する精製部と,精製部からオフガスを供給部へ戻す戻し部と,変成器を減圧することにより変成器から二酸化炭素リッチガスを取り出す二酸化炭素取り出し部とを有するものであってもよい。
本発明の水素製造装置によれば,供給部によって改質反応管に原料ガスが供給される。さらに,改質反応管で改質反応されたガスは,その下流の変成器へと送られる。ここで,変成器には,二酸化炭素吸収剤が内蔵されているので,改質反応によって生成された二酸化炭素は,二酸化炭素吸収剤に吸収される。従って,変成器から出力される改質ガスは,二酸化炭素の含有量が少ないものとなっている。従って,その改質ガスから分離されたオフガスも二酸化炭素の含有量が少ない。従って,オフガスを供給部へ戻して原料ガスと混ぜて使うことができる。さらに,変成器は,減圧されることにより二酸化炭素リッチガスが取り出される。これにより,二酸化炭素吸収剤が容易に再生される。従って,このような装置であっても,二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを簡易な方法で実現し,装置の簡素化・低コスト化に寄与するとともに,システム全体としての水素製造効率を上昇させることができる。
さらに本発明では,二酸化炭素取り出し部による変成器の減圧の際に,変成器を加熱する加熱部を有することが望ましい。
一般に一酸化炭素変成反応は,改質反応に比較して低温で進行される。例えば,400〜500℃程度で起きる。そのため,加熱部を有していれば,二酸化炭素取り出し部によって変成器を減圧して二酸化炭素リッチガスを取り出す際に,反応器の材料に特殊材料を要しない程度まで,例えば500〜600℃程度まで変成器を加熱することができる。従って,さらに効率よく二酸化炭素リッチガスを取り出すことができる。
さらに本発明では,少なくとも2基の変成器と,制御部とを有し,制御部は,改質反応管に改質反応を行わせつつ,2基の変成器に,改質反応で生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させる吸収工程と,減圧して二酸化炭素リッチガスを放出させる再生工程とを入れ替わり交互に行わせることが望ましい。
このようにすれば,いずれかの変成器では吸収工程が行われているので,吸収工程が行われている変成器に改質反応管から出力されたガスを供給するようにできる。従って,連続的に改質反応を行わせることができ,連続的に製品ガスを得ることができる。さらには,少なくとも3基の変成器を有し,吸収工程,再生工程,変成器を昇圧させる昇圧工程の3工程をそれぞれ行わせるようにしてもよい。すなわち,制御部によって,改質反応管に改質反応を行わせつつ,3基の変成器に,第1の変成器に吸収工程を行わせ,第2の変成器に再生工程を行わせ,第3の変成器に昇圧工程を行わせる第4モードと,第1の変成器に再生工程を行わせ,第2の変成器に昇圧工程を行わせ,第3の変成器に吸収工程を行わせる第5モードと,第1の変成器に昇圧工程を行わせ,第2の変成器に吸収工程を行わせ,第3の変成器に再生工程を行わせる第6モードとをこの順に反復して行わせるようにしてもよい。
また本発明は,炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒を内蔵する改質反応管と,改質反応管の下流に設けられ二酸化炭素吸収剤を内蔵する変成器とを用い,改質反応管に原料ガスと水蒸気とを供給して改質反応を行わせるとともに,変成器から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離し,変成器に,改質反応で生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させる吸収工程と,減圧して二酸化炭素リッチガスを放出させる再生工程とを交互に行わせ,変成器が再生工程にあるときに,オフガスを改質反応管の上流側へ戻す水素製造方法にも及ぶ。
本発明の水素製造装置およびその方法によれば,二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを簡易な方法で実現し,装置の簡素化・低コスト化に寄与するとともに,システム全体としての水素製造効率を上昇させることができる。
「第1の形態」
以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,二酸化炭素回収型の改質器を使用した水素製造装置に本発明を適用したものである。
本形態の水素製造装置1は,図1に示すように,3基の改質反応管11,12,13と,ポンプ14,15,乾燥部16,PSA17,燃焼部18および,これらを制御する制御部19を有している。3基の改質反応管11,12,13はいずれも同じ構成のものであり,内部に改質触媒と二酸化炭素吸収剤とが充填されている。改質触媒としては,例えば,アルミナ粒子にニッケルが担持された粒子が用いられる。また,二酸化炭素吸収剤としては,ここでは酸化カルシウム(CaO)を用いている。
ポンプ14は,一般的なガス圧縮機であり,ポンプ15は,一般的な減圧機である。冷却乾燥部16は,連通されるガスを脱熱することにより脱水する構成部分である。PSA17は,背景技術の欄で説明した従来のPSA104(図13参照)と同様に,吸着剤を用いた水素精製装置である。燃焼部18は,原料ガス等を燃焼して,各改質反応管11,12,13を加熱するためのものである。なおここでの原料ガスは,例えば都市ガス等の炭化水素含有ガスと,水(水蒸気)との混合ガスである。
また本形態の水素製造装置1は,各部材間を連通して各種のガスを通すために,原料ガス管21,燃焼ガス管22,オフガス管23,入力ガス管24,出力ガス管25,排出ガス管26,循環ガス管27を有している。原料ガス管21は,原料ガスである都市ガスを水素製造装置1に導入する。燃焼ガス管22は,原料ガス管21から分岐して燃焼部18へ原料ガスを導入する。オフガス管23は,PSA17のオフガスを原料ガス管21へ導入する。
入力ガス管24は,ポンプ14から送り出されたガスを各改質反応管11,12,13へ導入する。出力ガス管25は,各改質反応管11,12,13からの出力ガスを冷却乾燥部16へと導入する。排出ガス管26は,各改質反応管11,12,13からの出力ガスをポンプ15へと導入する。循環ガス管27は,各改質反応管11,12,13同士の間でガスを循環させる。まお,各所におけるガスの主な流通方向を,図1中に実線の矢印で示している。また,図中黒丸は,各管同士の接続されている箇所を示しており,流通されるガスは各黒丸の箇所で合流あるいは分岐される。
さらに,各改質反応管11,12,13と入力ガス管24,出力ガス管25,排出ガス管26,循環ガス管27との間には,図1に示すように,それぞれ開閉弁が配置されている。入力ガス管24との連通・閉止のための開閉弁31,32,33,出力ガス管25との連通・閉止のための開閉弁34,35,36,排出ガス管26との連通・閉止のための開閉弁37,38,39,循環ガス管27との連通・閉止のための開閉弁40,41,42である。さらに,循環ガス管27と排出ガス管26との間は,開閉弁44を介して繋がれている。また,排出ガス管26は,開閉弁45を介してポンプ15に繋がれている。これらの開閉弁の開閉は,いずれも制御部19によって制御される。
従って,本形態の水素製造装置1では,原料ガス管21,ポンプ14,入力ガス管24,開閉弁31,32,33が供給部に相当する。また,PSA17が精製部に相当する。オフガス管23が戻し部に相当する。また,排出ガス管26,ポンプ15,開閉弁37,38,39,45が二酸化炭素取り出し部に相当する。
(水素製造方法:1基の改質反応管のみを使用)
次に,本形態の水素製造装置1において,1基の改質反応管のみを用いる場合の水素製造方法について,図2〜図4を参照して説明する。本形態の水素製造方法は,(A)改質工程(図2),(B)再生工程(図3),(C)昇圧工程(図4)の3つの工程を有している。ここでは,改質反応管11のみを使用する場合によって代表して説明するが,他の改質反応管12または13のみを使用する場合についても同様である。なお,これらの図中では,開状態の開閉弁を黒塗りで,閉状態の開閉弁を白抜きで示している。また,改質反応管12,13とそれらに連通するための流路および開閉弁23,33,35,36,38,39,40,41,42,44は,すべて省略した図として示している。
(A)改質工程は,改質反応管11に原料ガスを供給して,内部でガス改質反応と二酸化炭素吸収反応とを同時に行わせることにより,改質ガスを出力させる工程である。
(B)再生工程は,改質反応管11を減圧して二酸化炭素リッチガスを出力させ,二酸化炭素吸収剤を再生させる工程である。
(C)昇圧工程は,二酸化炭素吸収剤の再生が終了した改質反応管11を,改質工程の圧力まで昇圧させる工程である。
(A)改質工程(図2)
まず,改質工程について説明する。このとき,図2に示すように,開閉弁31,34を開,開閉弁37,45は閉とする。これにより,図中矢印で示したガスの流れとなり,図中破線で示した排出ガス管26にはガスが流通されない。すなわち,原料ガスがポンプ14と開閉弁31を介して改質反応管11へ供給される。そして,改質反応管11から出力された改質ガスは,出力ガス管25を介して,冷却乾燥部16とPSA17とを順に経て製品水素ガスとして取り出される。
改質反応管11へ供給される原料ガスとしては,例えば都市ガスに水蒸気を混合し,予熱したものを用いる。例えば,500〜600℃程度に予熱された都市ガスに,別途予熱された水蒸気を混合したものとすればよい。都市ガスは,メタンを88%程度含むガスであり,残りはエタン,プロパン,ブタン等が含まれている。本形態では原料ガスは,原料ガス管21から供給される。そして,ポンプ14において0.9〜1MPa程度まで加圧されて,入力ガス管24へと供給される。この供給時のガス圧力は,高圧ガス保安法の制約等を考慮して,一般的には1MPa未満とすることが多い。
改質反応管11には改質触媒と二酸化炭素吸収剤(CaO)とが充填されているので,改質反応管11内では水蒸気改質反応(式1参照),一酸化炭素変成反応(式2参照),二酸化炭素吸収反応(式3参照)が並行して起きる。
CH4 + H2O → CO + 3H2 …(式1)
CO + H2O → CO2 + H2 …(式2)
CaO + CO2 → CaCO3 …(式3)
ここで,改質反応管11内における改質工程の初期状態での二酸化炭素のモル分率は,水蒸気を含む平均圧で10%程度である。そのため,入力される都市ガスの供給圧力を1MPa程度とすると,改質反応管11内の二酸化炭素の分圧は,約0.1MPa程度となる。改質反応管11内では改質反応によって二酸化炭素が発生するため,二酸化炭素の総量は増える。しかし,CaOの二酸化炭素吸収反応は,改質反応管11内のガス中の二酸化炭素の分圧を低下させる方向に作用する。そのため,非平衡状態となり,改質反応はさらに進む。
その結果,COやCO2は全体のガス組成の1%以下となり,H2が75%以上,残りの大部分はCH4となった改質ガスが得られる。改質ガスは,開閉弁34と出力ガス管25を介して出力される。ここで,改質反応(式1,式2)は吸熱反応,CaOによるCO2吸収反応(式3)は発熱反応である。さらに,この2種類の反応の熱量はほぼ同等である。改質反応管11では,これらが同時に起きるため,この段階では外部からの加熱を必要としない。従って,この改質工程では燃焼部18による加熱は不要である。適切な量の原料ガスを供給し続けるのみで,改質反応管11は約600℃に保持され,改質工程が進行する。
このようにして得られた改質ガスは,出力ガス管25から冷却乾燥部16に送られ,降温されることにより,水分が除去される。続いて,PSA17に投入される。PSA17には,ゼオライト,活性炭等の吸着剤が封入されている。これを通すことで,純度99.99%の製品水素ガスが得られる。PSA17での吸着処理は,約20℃において実行される。本発明者のシミュレーションでは,改質反応管11から出力ガス管25に出力される改質ガス,および,冷却乾燥部16を通過した後の乾燥ガスの組成は,次の表3のようになった。
Figure 2008179496
なお,この(A)改質工程では,改質反応管11の長手方向の一端から原料ガスを導入するとともに,他端から出力ガスを取り出すようにするとよい。このようにすれば,連続的に製品水素ガスを得ることができる。そのため本形態でも,図2に示すように,改質反応管11の一端に入力ガス管24等の供給系を,他端に出力ガス管25等の出力系を配置しているのである。ガスが改質反応管11内を通り抜ける間に,改質反応および二酸化炭素吸収反応が十分に進むように,改質反応管11の大きさや原料ガスの供給量等を調整する。
(B)再生工程(図3)
次に,再生工程について説明する。改質反応管11においてガス改質を続けると,式3の反応が進み,改質反応管11内のCaOの残量が少なくなる。そのため,ある程度の二酸化炭素を吸収すると,それ以上の二酸化炭素を吸収する速度が低下し始める。このようになることを吸収剤が破過するという。そこで,吸収剤が破過する少し前に,この再生工程へ移行する。すなわち,改質反応管11を減圧することにより二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素リッチガスを取り出して,再び二酸化炭素の吸収を行うことができるようにする。
再生工程では,図3に示すように,開閉弁37,45を開,開閉弁31,34を閉とされる。また,ポンプ14が停止される。これにより,改質反応管11への原料ガスの供給が停止され,改質反応が停止される。従ってこの工程では,製品水素ガスは製造されない。一方,ポンプ15が駆動され,改質反応管11内に残留しているガスが排出ガス管26を介して排出される。この排出ガスは二酸化炭素が多く含まれている二酸化炭素リッチガスである。これにより,改質反応管11内が減圧される。
このとき,改質反応管11中の二酸化炭素の分圧の変化の様子を,図5を参照して説明する。図5は,横軸に温度,縦軸に二酸化炭素の分圧をとったグラフである。また,図中に実線Lで示しているのは,CaOの温度−圧力平衡曲線である。すなわち,この実線Lより図中上方の範囲内では,主に次の式3に示す吸収反応が起きる。そして実線Lより図中下方の範囲内では,主に式4の再生反応が起きる。
CaO + CO2 → CaCO3 …(式3)
CaCO3 → CaO + CO2 …(式4)
本形態では,上記で説明したように約600℃で(A)改質工程を行っており,改質工程中の通常状態での二酸化炭素の分圧は約105Pa(0.1MPa)程度である。この点を図5中に二重丸(改質工程)で示す。(A)改質工程を実行中の改質反応管11の内部状態は,この点付近の状態となっている。
そこで,(B)再生工程では,ポンプ15によって,改質反応管11を102Pa程度まで減圧する。温度は約600℃に保つ。これにより,図5中に破線の矢印p1に示すように,二酸化炭素の分圧がこの温度−圧力平衡曲線(実線L)を下回る。従って,式4の反応により,二酸化炭素が放出されてCaOが再生される。この点を図中に一重丸(再生工程)で示す。ここでは,二酸化炭素の分圧が10%程度であることから,改質反応管11を全体として103Pa程度まで減圧すればよい。
ポンプ15の運転を継続して改質反応管11の減圧された状態を所定時間保持することにより,十分な量のCaOが再生されたら,再生工程を終了する。すなわち,開閉弁37,45を閉止し,ポンプ15を停止する。なお,この式4の反応は吸熱反応である。そこでこの再生工程の実行中には,改質反応管11を燃焼部18によって加熱することによって,その温度を約600℃に保持する。この燃焼部18には原料ガスの一部を供給して燃焼させるとよい。
(C)昇圧工程(図4)
次に,昇圧工程について説明する。(B)再生工程が終了した直後は,改質反応管11は上記のように減圧された状態であり,二酸化炭素の分圧が図5中の実線Lを下回っている。そのため,このままではCaOは二酸化炭素を吸収できない。そこで,図5中に破線の矢印p2に示すように,改質反応管11を,少なくとも実線Lを上回るまで昇圧する。これが,昇圧工程である。
この工程では,図4に示すように,開閉弁31を開,開閉弁34,37,45を閉とする。ポンプ14を駆動し,ポンプ15を停止する。これにより,改質反応管11に加圧された原料ガスを供給して,昇圧させる。この昇圧工程中は改質反応が不完全であるので,出力ガスを取り出さない。この昇圧工程を行うことにより,改質反応管11では,再生されたCaOによって再び二酸化炭素を吸収可能となる。十分に昇圧されたら,昇圧工程を終了する。この後は,再び(A)改質工程に戻り,改質反応管11に原料ガスを供給して製品水素ガスの製造を行わせることができる。
なお,PSA17では,適宜,減圧するとともに製品水素ガスの一部を導入して,PSA17にトラップされたガスをパージすることが行われている。このパージによって排出されたオフガスは,オフガス管23を介して原料ガス管21へ合流される。これは,このオフガスの組成が,主として,CH4とH2であり,COやCO2の比率が低いことから可能なのである。本発明者のシミュレーションでは,オフガスの組成は次の表4のようになった。このことから,このオフガスを改質用の原料として,原料ガスと混ぜて使用することができる。原料ガスとオフガスを混合したガスの組成は,次の表5のようであった。すなわち,原料ガスとして使用して問題のないことが分かった。
Figure 2008179496
Figure 2008179496
本形態の製造方法では,上記の(A)改質工程,(B)再生工程,(C)昇圧工程をこの順に繰り返すことにより,原料ガスを改質して製品水素ガスを製造することができる。このとき,上記したように,改質反応管11の内部圧力は,(B)再生工程時に減圧され,(C)昇圧工程時に昇圧される。一方,温度は約600℃のままである。そのためこの方式を,温度スイング方式に対して,圧力スイング方式と呼ぶ。温度を変化させる場合に比較して,圧力の変化は短時間でできるため,本形態の製造方法は時間的効率が高い。
(水素製造方法:3基の改質反応管を使用)
さらに本形態では,この圧力スイング方式によって連続的に改質ガスを得るために,3つの改質反応管11,12,13を備えている。そして,制御部19は,これらにそれぞれ上記の3工程を順に行わせるとともに,図6に示すように,他の改質反応管と1つずつずれた工程を行わせる。すなわち,第1モードでは,改質反応管11に改質工程,改質反応管12に再生工程,改質反応管13に昇圧工程を行わせる。第2モードでは,改質反応管11に再生工程,改質反応管12に昇圧工程,改質反応管13に改質工程を行わせる。第3モードでは,改質反応管11に昇圧工程,改質反応管12に改質工程,改質反応管13に再生工程を行わせる。
この第1モード,第2モード,第3モードの組が1サイクルであり,これらをこの順で反復して行う。これにより,第1モードでは改質反応管11,第2モードでは改質反応管13,第3モードでは改質反応管12においてそれぞれ,改質工程が行われていることとなる。従って,連続して製品水素ガスを得るようにすることができる。
さらに,このように3基の改質反応管11,12,13があることから,これらを連結して,互いにガスのやりとりを行うことができる。そこで,各モードにおいて,その前段で(D)第1循環工程を,後段で(E)第2循環工程を行わせる。(D)第1循環工程は,(B)再生工程にある改質反応管から(C)昇圧工程にある改質反応管へと,(B)再生工程にある改質反応管の内部に残っているガスを供給する工程である。これは,各モードの開始からごく短時間だけ行われる。また,(E)第2循環工程は,(A)改質工程にある改質反応管から,(C)昇圧工程にある改質反応管へとその改質ガスの一部を供給する工程である。この(E)第2循環工程は,(D)第1循環工程の終了後,これに続いて当該モードの残り期間に行われる。
これらは,図6に示すように,第1モードの前半で行われる第1循環工程(D−1),第1モードの後半で行われる第2循環工程(E−1),第2モードの前半で行われる第1循環工程(D−2),第2モードの後半で行われる第2循環工程(E−2),第3モードの前半で行われる第1循環工程(D−3),第3モードの後半で行われる第2循環工程(E−3)の順で反復される。
ここで,(D−1)第1モードの第1循環工程を図7に,(E−1)第1モードの第2循環工程を図8に,(D−2)第2モードの第1循環工程を図9にそれぞれ示す。なお,これらの図では,開放中の開閉弁を黒塗りで示し,閉止中の開閉弁を白抜きで示している。また,ガスの流通されている流路を太線で示すとともに,その流通方向を矢印で示している。ガスの流通されていない流路は,破線で示している。
(D−1)第1モードの第1循環工程
図7に示すように,(D−1)第1モードの第1循環工程では,開閉弁31,34,39,41,44が開とされ,他の開閉弁は閉とされる。これにより,改質反応管11において(A)改質工程が実行されている。また,(B)再生工程中の改質反応管12と(C)昇圧工程中の改質反応管13とが連通されている。
このモードの開始時には,改質反応管12は,改質工程終了直後で破過が近い状態であり,内部は高圧になっている。また,改質反応管12の改質ガスの出口側(図中上方)には,ほとんど改質反応が終わったガスが多少残留している。そこで,図7に示すように,改質反応管12の出口側と改質反応管13の入口側とを連通させると,改質反応管12中に残留しているガスが改質反応管13に供給される。これにより,改質反応管12を降圧するととともに,改質反応管13を昇圧できる。さらに,改質反応管12内にある二酸化炭素以外のガス成分(H2,CH4,CO)を改質反応管13に回収することができる。
なお,このとき改質反応管12から改質反応管13へと供給されるガスは,必ずしも改質が完全に終了していない。そのため,図7に示すように,開閉弁39,41,44を用いたルートをとることが望ましい。しかし,開閉弁41と開閉弁42とを開として,改質反応管12の出口側と改質反応管13の出口側とを連通させてもよい。あるいは,開閉弁38と開閉弁39とを開として,改質反応管12の入口側と改質反応管13の入口側とを連通させてもよい。その場合には,開閉弁44およびその接続されている部分の流路は省略してもよい。
(E−1)第1モードの第2循環工程
(D−1)工程の次に,図8に示す(E−1)第1モードの第2循環工程が実行される。このときには,(D−1)工程の状態から開閉弁41,39,44が閉止され,開閉弁36,38,45が開放される。それ以外の開閉弁は,(D−1)工程の状態から変更されていない。この工程では,改質反応管11では(A)改質工程が行われ,改質反応管12では(B)再生工程が行われている。改質反応管13では(C)昇圧工程が行われているが,ここでは,改質反応管13に,改質反応管11から出力される出力ガスの一部が導入されている。
このようにすれば,改質反応管13の二酸化炭素量を増加させることなく昇圧させることができる。この状態では,改質反応管13はまだ低圧であるため,二酸化炭素吸収剤は二酸化炭素を吸収することができない。そこでこの段階では,二酸化炭素をあまり含まないガスで昇圧しておくことにより,その後の改質工程への以降がスムーズにできる。すなわち,原料ガスを供給する場合に比較して,改質工程の開始から改質ガスを取り出すことができるまでの時間が短くなる。従って,モードの切り換え時にもほぼ連続的に改質ガスを取り出すことができる。改質反応管11が破過に近くになるまで,この工程(E−1)が継続して実行される。なお,ここでは昇圧工程にある改質反応管13に出力ガスの一部を導入して昇圧しているが,原料ガスを用いて昇圧することも出来る。
(D−2)第2モードの第1循環工程
そして,改質反応管11が破過に近くになると,図9に示す第2モードの前半で行われる第1循環工程(D−2)に移行する。ここでは,(C)昇圧工程の終了した改質反応管13において,(A)改質工程が行われている。開閉弁33,36,38,40,44が開とされ,それ以外の開閉弁はすべて閉とされる。改質反応管11は開閉弁40,44,38を介して改質反応管12に連通される。これにより,改質反応管11の内部に残留していたガスが改質反応管12に供給される。この工程は,工程(D−1)の状態から,改質反応管11が改質反応管13に,改質反応管12が改質反応管11に,改質反応管13が改質反応管12にそれぞれ入れ替えられた状態である。
以下同様に,各改質反応管11,12,13で,第1〜第3の各モードが順に反復される。これにより,改質反応管11,改質反応管13,改質反応管12の順に,改質工程が途切れることなく連続して実行される。本発明者のシミュレーションでは,本形態による水素製造方法でのトータルの水素製造効率は,約77.2%であった。これから,本形態の水素製造方法は,従来型の水素製造装置100と比較し,かなり高効率であることが分かった。なお,工程(E−1)の後,工程(D−2)の前に,開閉弁35を短時間開放して,再生工程の終了した改質反応管12に改質ガスを導入するようにしてもよい。このようにすれば,改質反応管12中に残る二酸化炭素の多いガスを確実に排出することができる。
以上詳細に説明したように,本形態の水素製造装置によれば,改質反応管11〜13に改質触媒とともに二酸化炭素吸収剤を封入しているので,二酸化炭素を吸収しつつガス改質反応が進行する。さらに,この二酸化炭素吸収剤の再生に,圧力スイング方式を使用しているので,改質反応管11〜13を高温にさらすことが無い。従って,改質反応管11〜13として特別な材料を用いる必要はなく,比較的安価に製造できる。また,改質触媒,二酸化炭素吸収剤,改質反応管11〜13等に過酷な温度条件による熱サイクルを掛けることがないので,装置の耐久性に優れている。また,温度の切り替え時間に比較して,圧力の切り替え時間は短時間で可能である。従って,切り替えによるロスタイムをごく小さくできるので,改質反応管11〜13を簡素化することができる。
また,複数の改質反応管11〜13を有することから,連続的に水素ガスの製造ができるとともに,再生工程前半で改質反応管11〜13に含まれる二酸化炭素以外のガス成分を回収することができる。従って,水素製造効率を上昇させることができる。さらに,PSA17からのオフガスに二酸化炭素がほとんど含まれていないので,原料ガスと混合して使用することができる。従って,製造した水素ガスを無駄なく製品化でき,製品水素の回収率を上昇させることができる。これにより,二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを簡易な方法で実現し,装置の簡素化・低コスト化に寄与するとともに,システム全体としての水素製造効率を上昇させることのできる水素製造装置となっている。
「第2の形態」
以下,本発明を具体化した第2の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,改質反応管として二酸化炭素吸収剤が封入されていないものを使用するとともに,二酸化炭素吸収剤を封入したCO変成器を使用した水素製造装置である。第1の形態と共通の部材には,同じ符号を付して説明を省略する。
本形態の水素製造装置2は,図10に示すように,第1の形態の水素製造装置1に比較して,3基の改質反応管11,12,13に代えて1基の改質反応管51と2台のCO変成器52,53を有している。この改質反応管51には,改質触媒のみが封入されており,二酸化炭素吸収剤は封入されていない。CO変成器52,53には,CO変成触媒(鉄や銅などの粒子)と二酸化炭素吸収剤(ここではCaO)とが封入されている。そして,COとH2Oとを反応させてCO2とH2とを得るCO変成反応(式2参照)と,二酸化炭素吸収反応(式3参照)とをともに進行させる。
CO + H2O → CO2 + H2 …(式2)
CaO + CO2 → CaCO3 …(式3)
なお,本形態では,燃焼部18は原料ガスを燃焼して,改質反応管51のみを加熱する。
また本形態の水素製造装置2においても,各部材間を連通して各種のガスを通すための,原料ガス管21,燃焼ガス管22,オフガス管23,入力ガス管24,出力ガス管25,排出ガス管26を有している。さらに,出力ガス管25は第1出力ガス管61と第2出力ガス管62との2つに分岐されている。それらはそれぞれ開閉弁63,64を介して,CO変成器52,53に連通されている。
さらに,CO変成器52から出力される変成ガス管71は,第1変成ガス管72と第2変成ガス管73とに分岐され,それぞれ開閉弁74,75を介して,冷却乾燥部16とポンプ15とに連通されている。また,CO変成器53から出力される変成ガス管81は,第3変成ガス管82と第4変成ガス管83とに分岐され,それぞれ開閉弁84,85を介して,冷却乾燥部16とポンプ15とに連通されている。
(水素製造方法:1基のCO変成器のみ使用)
次に,本形態の水素製造装置2による水素製造方法について説明する。まず,1基のCO変成器のみを使用して水素を製造する場合について説明する。本形態の製造方法では,CO変成器において,(F)吸収工程(図11)と(G)再生工程(図12)とが繰り返し行われる。ここでは,CO変成器52のみを使用する場合について代表して説明するが,CO変成器53のみを使用する場合についても同様である。なお,これらの図中では,開状態の開閉弁を黒塗りで,閉状態の開閉弁を白抜きで示している。また,CO変成器53とそれらに連通するための流路および開閉弁64,84,85はすべて省略して示している。
(F)吸収工程(図11)
この工程では,図11に示すように,開閉弁63,74が開,開閉弁75が閉とされる。ポンプ14は駆動され,ポンプ15は停止されている。改質反応管51にはポンプ14で加圧された原料ガス(都市ガス)と水蒸気が予熱されて供給される。改質反応管51では,改質触媒によって,原料ガスと水蒸気とから,水素,一酸化炭素,二酸化炭素が発生される。
CH4 + H2O → CO + 3H2 …(式1)
CO + H2O → CO2 + H2 …(式2)
このとき,この改質反応は吸熱反応であるので,改質反応管51は,燃焼部18によって750℃程度まで加熱される。
改質反応管51からの出力ガスは,出力ガス管25から第1出力ガス管61を経て,CO変成器52に導入される。CO変成器52では,残留しているCOにさらに,上記の式2の反応を起こさせることにより,CO2とH2 とが得られる。このとき,CO変成器52にはCaOが封入されているので,次の式3の反応によってCO2が吸収される。
CaO + CO2 → CaCO3 …(式3)
ここで,出力ガスに含まれるCO2やCO変成器52から発生するCO2が順次吸収されることから,CO変成器52内のガス中の二酸化炭素の分圧が低下する。これにより,一酸化炭素変成反応が非平衡となり,さらに促進される。なお,上記の式2の反応と式3の反応とは,いずれも発熱反応である。そこで,この熱を原料ガスの予熱や燃焼用空気の予熱等に活用するとよい。そして,CO変成器52を約400℃程度に保持することが好ましい。
CO変成器52から出力されるガスは,改質反応とCO変成反応とが終わり,発生した二酸化炭素が二酸化炭素吸収剤に吸収された残りのガスである。すなわち,水素を多く含むとともに二酸化炭素をほとんど含まない改質ガスとなっている。この改質ガスは,変成ガス管71と第1変成ガス管72,開閉弁74を介して冷却乾燥部16に導入される。こうして冷却乾燥部16に導入される改質ガスは,例えば,COやCO2は全体ガス組成の1%以下であり,H2が75%以上,残りの大部分はCH4なっている。以後は,第1の形態における改質工程と同様に処理されて製品水素ガスが得られる。すなわち,冷却乾燥部16に送られた改質ガスは,降温されることにより,水分が除去される。続いて,PSA17に投入され,純度99.99%の製品水素ガスが得られる。
(G)再生工程(図12)
式3の反応が進むとCO変成器52中のCaOが少なくなる。そこで,破過する少し前に,(F)吸収工程を停止して(G)再生工程に移行する。(G)再生工程が開始されると,まず開閉弁63,74を閉止して,開閉弁75を開放する。これにより,改質反応管51からの出力ガスが入力されないようにする。CO変成器を1台のみ有している装置の場合は,原料ガスの供給を停止して改質反応管51による改質反応も停止することが望ましい。また,この(G)再生工程と同時に,PSA17にトラップされたオフガスを製品水素ガスの一部を用いてパージし,原料ガスに混入するとよい。
そして,CO変成器52の内部を,変成ガス管71から第2変成ガス管73,開閉弁75,排出ガス管26を介してポンプ15に連通させる。そして,ポンプ15を作動させることにより,CO変成器52を減圧し,CO変成器52から二酸化炭素リッチガスを取り出す。これにより,第1の形態における(B)再生工程と同様に,次の式4の反応によってCaOが再生される。
CaCO3 → CaO + CO2 …(式4)
なお,この式4の反応は吸熱反応であるので,外部から加熱する必要がある。ここではCO変成器であるので,400〜500℃程度に保持すればよい。そこで,出力ガス管25に出力される出力ガス,あるいは燃焼部18から放出され改質反応管51を加熱した後の燃焼ガス等を用いて,CO変成器52を加熱するとよい。ただし,二酸化炭素吸収剤を変更した場合は,その活性温度条件を考慮してこの温度を設定する。
またこのとき,図12に示すように,燃焼部18によってCO変成器52を加熱してもよい。その場合には,CO変成器52を減圧するとともに,500〜600℃程度まで昇温するとよい。このようにすれば,さらに効率よく再生工程を進行させることができる。この程度の昇温であれば,CO変成器52に特殊な材料を用いる必要はないので,コスト高となることはない。
(水素製造方法:2基のCO変成器をともに使用)
さらに本形態では,CO変成器52とCO変成器53とを有するので,(F)吸収工程と(G)再生工程とを交互に交替で行わせることができる。すなわち,CO変成器52に(F)吸収工程を行わせ,CO変成器53に(G)再生工程を行わせるモードと,CO変成器52に(G)再生工程を行わせ,CO変成器53に(F)吸収工程を行わせるモードとを交替で繰り返す。
さらに,改質反応管51には,CO変成器52とCO変成器53とのうち(F)吸収工程を行わせている方が連通されているように,開閉弁63,64を切り替える。すなわち,CO変成器52に(F)吸収工程を行わせるモードでは,開閉弁63,74,85が開放され,開閉弁64,75,84が閉止される。また,CO変成器53に(F)吸収工程を行わせるモードでは,開閉弁64,75,84が開放され,開閉弁63,74,85が閉止される。ポンプ14,15はともに作動させる。
このようにすれば,改質反応管51には連続的に改質反応を行わせることができる。出力ガス管25に出力される出力ガスは,CO変成器52とCO変成器53とのいずれかによってCO変成およびCO2の吸収が行われ,冷却乾燥部16へ送り出される。従って,連続的に製品水素ガスを製造することができる。また,CO変成器52とCO変成器53とが,一方が吸熱反応で他方が発熱反応となり,発熱反応の側から発生した熱で吸熱反応の側を加熱させれば,熱を有効利用できる。
さらに本形態では,CO変成器を昇圧させる昇圧工程を加えてもよい。そして,3基のCO変成器を用いて,第1の形態と同様のローテーションを組んでもよい。すなわち,これらにそれぞれ吸収工程,再生工程,昇圧工程の3工程を順に行わせるとともに,他のCO変成器と1つずつずれた工程を行わせるのである。このようにすれば,さらに効率よく製品ガスを製造できる。
以上詳細に説明したように,本形態の水素製造装置2によっても,第1の形態と同様に,二酸化炭素の吸収・放出のサイクルを簡易な方法で実現し,装置の簡素化・低コスト化に寄与するとともに,システム全体としての水素製造効率を上昇させることのできる水素製造装置となっている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,ポンプ15によって吸い出す代わりに,開閉弁を開放するのみでも,二酸化炭素吸収剤を減圧することはできる。また例えば,二酸化炭素吸収剤の再生のために,ポンプ15によって吸い出されたガスからさらに,二酸化炭素吸収剤等によって二酸化炭素を除いてもよい。そうすれば,その残りのガスを装置の加熱のための燃料としたり,原料ガスの一部として利用することもできる。
また例えば,上記の実施の形態では二酸化炭素吸収剤としてCaOを用いているが,他の吸収剤を使用することもできる。その場合には,その特性に合わせて各種の条件を変更するとよい。
第1の形態に係る水素製造装置の概略構成図である。 改質反応管において改質工程を行っている状態を示す説明図である。 改質反応管において再生工程を行っている状態を示す説明図である。 改質反応管において昇圧工程を行っている状態を示す説明図である。 第1の形態による二酸化炭素の分圧の変化を示すグラフ図である。 改質反応管が3基の場合の各工程の実行手順を示す説明図である。 改質反応管での各工程の実行手順(A)を示す説明図である。 改質反応管での各工程の実行手順(B)を示す説明図である。 改質反応管での各工程の実行手順(C)を示す説明図である。 第2の形態に係る水素製造装置の概略構成図である。 第2の形態に係る水素製造装置において吸収工程中の状態を示す説明図である。 第2の形態に係る水素製造装置において再生工程中の状態を示す説明図である。 従来の水素製造装置の概略構成を示すフロー図である。
符号の説明
1,2 水素製造装置
11,12,13,51 改質反応管
14,15 ポンプ
17 PSA
19 制御部
21 原料ガス管
23 オフガス管
26 排出ガス管
27 循環ガス管
52,53 CO変成器

Claims (13)

  1. 炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する改質反応管と,
    前記改質反応管に原料ガスを供給する供給部と,
    前記改質反応管から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離する精製部と,
    前記精製部からオフガスを前記供給部へ戻す戻し部と,
    前記改質反応管を減圧することにより前記改質反応管から二酸化炭素リッチガスを取り出す二酸化炭素取り出し部とを有することを特徴とする水素製造装置。
  2. 請求項1に記載の水素製造装置において,
    前記改質反応管に,
    原料ガスを供給して改質ガスを出力させる改質工程と,
    減圧して二酸化炭素リッチガスを出力させる再生工程と,
    昇圧させる昇圧工程とをこの順に反復して行わせる制御部を有することを特徴とする水素製造装置。
  3. 請求項2に記載の水素製造装置において,
    昇圧工程で前記改質反応管に供給するガスが,原料ガスとオフガスとの混合ガスであることを特徴とする水素製造装置。
  4. 請求項2に記載の水素製造装置において,
    少なくとも3基の改質反応管を有し,
    前記制御部は,
    第1の改質反応管に改質工程を行わせ,第2の改質反応管に再生工程を行わせ,第3の改質反応管に昇圧工程を行わせる第1モードと,
    前記第1の改質反応管に再生工程を行わせ,前記第2の改質反応管に昇圧工程を行わせ,前記第3の改質反応管に改質工程を行わせる第2モードと,
    前記第1の改質反応管に昇圧工程を行わせ,前記第2の改質反応管に改質工程を行わせ,前記第3の改質反応管に再生工程を行わせる第3モードとをこの順に反復して行うことを特徴とする水素製造装置。
  5. 請求項4に記載の水素製造装置において,
    前記3基の改質反応管を相互に選択的に接続する循環管を有し,
    前記制御部は,各モードの前段にて,再生工程にある改質反応管から昇圧工程にある改質反応管へガスを供給することを特徴とする水素製造装置。
  6. 請求項5に記載の水素製造装置において,
    前記制御部は,各モードの後段にて,改質工程にある改質反応管から昇圧工程にある改質反応管へ改質ガスの一部を供給することを特徴とする水素製造装置。
  7. 請求項6に記載の水素製造装置において,
    前記制御部は,モードの切り換え時に一時的に,再生工程を終了した改質反応管に改質ガスを導入することを特徴とする水素製造装置。
  8. 炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する改質反応管を用い,
    改質反応管に原料ガスと水蒸気とを供給して改質反応を起こさせ,生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させるとともに改質ガスを出力させ,改質ガスの水素濃度を高めた製品ガスを得る改質工程と,
    前記改質工程後の改質反応管を減圧して二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素を放出させる再生工程と,
    前記再生工程後の改質反応管に,原料ガスと,改質ガスの非水素成分の濃度を高めたオフガスとの混合ガスを供給して昇圧する昇圧工程とを行うことを特徴とする水素製造方法。
  9. 炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒と,二酸化炭素吸収剤とを内蔵する,少なくとも3基の改質反応管を用い,
    第1の改質反応管に改質工程を行わせ,第2の改質反応管に再生工程を行わせ,第3の改質反応管に昇圧工程を行わせる第1モードと,
    前記第1の改質反応管に再生工程を行わせ,前記第2の改質反応管に昇圧工程を行わせ,前記第3の改質反応管に改質工程を行わせる第2モードと,
    前記第1の改質反応管に昇圧工程を行わせ,前記第2の改質反応管に改質工程を行わせ,前記第3の改質反応管に再生工程を行わせる第3モードとをこの順に反復して行い,
    改質工程では,改質反応管に,原料ガスと水蒸気とを供給して改質反応を起こさせ,生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させるとともに改質ガスを出力させ,改質ガスの水素濃度を高めた製品ガスを得,
    再生工程では,改質工程後の改質反応管を減圧して二酸化炭素吸収剤から二酸化炭素を放出させ,
    昇圧工程の前段では,再生工程にある改質反応管からガスの供給を受けて改質反応管を昇圧させ,
    昇圧工程の後段では,改質工程にある改質反応管から改質ガスの一部の供給を受けて改質反応管を昇圧させることを特徴とする水素製造方法。
  10. 炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒を内蔵する改質反応管と,
    前記改質反応管の下流に設けられ,一酸化炭素と水とから水素を生成する一酸化炭素変成反応を促進する一酸化炭素変成触媒と二酸化炭素吸収剤とを内蔵する変成器と,
    前記改質反応管に原料ガスを供給する供給部と,
    前記変成器から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離する精製部と,
    前記精製部からオフガスを前記供給部へ戻す戻し部と,
    前記変成器を減圧することにより前記変成器から二酸化炭素リッチガスを取り出す二酸化炭素取り出し部とを有することを特徴とする水素製造装置。
  11. 請求項10に記載の水素製造装置において,
    前記二酸化炭素取り出し部による前記変成器の減圧の際に,前記変成器を加熱する加熱部を有することを特徴とする水素製造装置。
  12. 請求項10に記載の水素製造装置において,
    少なくとも2基の変成器と,制御部とを有し,
    前記制御部は,
    前記改質反応管に改質反応を行わせつつ,
    前記2基の変成器に,改質反応で生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させる吸収工程と,減圧して二酸化炭素リッチガスを放出させる再生工程とを入れ替わり交互に行わせることを特徴とする水素製造装置。
  13. 炭化水素と水とから水素を生成する改質反応を促進する改質触媒を内蔵する改質反応管と,前記改質反応管の下流に設けられ二酸化炭素吸収剤を内蔵する変成器とを用い,
    改質反応管に原料ガスと水蒸気とを供給して改質反応を行わせるとともに,変成器から出力される改質ガスを,水素濃度を高めた製品ガスと,非水素成分の濃度を高めたオフガスとに分離し,
    変成器に,改質反応で生成した二酸化炭素を二酸化炭素吸収剤に吸収させる吸収工程と,減圧して二酸化炭素リッチガスを放出させる再生工程とを交互に行わせ,
    変成器が再生工程にあるときに,オフガスを改質反応管の上流側へ戻すことを特徴とする水素製造方法。
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