JP5276300B2 - 燃料電池用水素ガスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用水素ガスの製造方法に関し、より詳しくは、燃料電池設備を稼動するためのエネルギ源となる水素ガスを改質用原料の改質によって製造する際に、副生物として発生してくるCOガスを吸着によって効率良く除去し、そのCOガスを有効に利用することにより、水素ガスの製造コストを最適に低減できるように改善された方法に関する。
近年、地球温暖化防止対策ともあいまって、エネルギの原油依存体質からの脱却が世界的規模で重要課題となっており、環境保全に対する取組みが先行する欧州の先進国はもとより、米国や日本をはじめとするアジア諸国においても、水素ガスをエネルギ源とする燃料電池の実用化が積極的に進められている。
燃料電池の燃料として使用される水素ガスの製造方法についても多くの研究が進められているが、現時点で最も実用性の高い製造方法とされているのは、原料燃料として天然ガス、プロパンガス、合成ガス、石油、軽油、重油、メタンハイドレート、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、製鉄副生ガスなどを使用し、これらを分解または改質して水素ガスを製造する方法である。
これらの原料燃料を改質して水素ガスを製造する方法、例えば天然ガスを原料燃料として用いるプロセスでは、通常水蒸気改質+変成法が最もよく用いられている。天然ガスの主成分はメタン(CH)であり、水蒸気改質+変成法においては以下のような2段階の反応で水素が生成する。
(1)改質反応
CH+HO→ CO+3H
(2)変成反応
CO+HO→ CO+H
上記のような反応が理想的に進行すれば、生成物はHとCOのみであるが、実際にはメタンのコーキングによる炭素の生成防止の観点より、過剰の水蒸気を用いるために、改質反応および変性反応後のガス(以下、「変成ガス」と呼ぶ。)中には水素(H)と合わせて水蒸気(HO)や未反応メタン(CH)、一酸化炭素(CO)、および二酸化炭素(CO)が含まれることになる。特に、燃料としての水素ガス中にCOが含まれると、固体高分子形燃料電池などの低温形燃料電池の場合、電極用触媒に用いられる白金(Pt)にCOが吸着して劣化し、出力が低下する問題がある。このため、上記の変性ガス中に残留するCOの濃度は、通常0.5容積%以上1.0容積%未満(以下「容積%」を単に「%」と表示する。)であるが、被毒劣化防止の観点からCOを10ppm以下の濃度に下げる必要がある。
従来から、COの除去方法については幾つかの研究が行われており、例えば、CO選択酸化触媒を用いたCO除去方法が検討されている(非特許文献1参照)。しかしながら、本法は、COを燃焼させて除去するものであり、COの化学エネルギは無駄に消費されてしまうものである。また、COを燃焼(酸化)させるために系内に空気を導入するが、COの酸化除去に必要な量論値を超えて酸素を供給しなければCOを十分に除去することができない。このため、量論値を超えて導入された酸素はHと反応することからHが消費され、Hの回収効率(収率)が低下してしまうとともに、空気中のNが系内に混入するために水素純度が低下してしまうという問題もある。
このため、上記CO選択酸化触媒を用いる方法に代えて、CO吸着剤を用いてCOを吸着によって選択的に除去する方法が提案されている。
このようなCOガスの吸着除去工程を組み込んだ燃料電池システムとしては、例えば特許文献1、2の技術が知られている。この燃料電池システムでは、装置内に改質で生成した水素リッチガス中のCOガスを吸着除去するための吸着器を設けるとともに、該吸着器はCOガスの脱着・再生を可能とし、脱着により生成するCO含有排ガスは燃焼器へ送って燃焼するようにしている。すなわち、CO含有ガスは、燃焼性ガスとしてのエネルギを保有しているので、これを燃焼器へ送って燃焼させることで熱エネルギを得、これを改質用の燃料や水の加熱に利用することによりエネルギ効率の向上を図っている。
しかし、この方法は、有害なCOガスを無害化することに主眼が置かれており、必ずしもCOガスが保有する化学エネルギを積極的に活用しようとする技術とはいえない。ちなみに、CO含有排ガス中のCOガス濃度は相対的に低く、燃焼性ガスとしてはエネルギ不足で、そのままでは主燃料ガスとして利用できないからである。そのため、上記特許文献1、2の技術でも、高い燃焼エネルギを有する改質ガスの一部を分岐して燃焼器へ送ることにより主燃料ガスとして利用し、CO含有排ガスはあくまでも補助燃料として燃焼させることによって、その無害化を図るとともにエネルギの回収を行っているにすぎない。
また、本発明者らは、特許文献3に開示したように、改質器と変成器で生成した水素リッチガスから吸着器にてCOガスを吸着除去し、得られた高純度水素ガスの一部を再生ガスとして用いて、吸着器を再生してCOガスを脱着し、そのCO含有排ガスを改質器で生成した改質ガスと合流させて変成器に導入し、COをHに変成させることにより、水素の収率を上昇しうる方法を提案した。
この方法によれば、COガスの化学エネルギを無駄に消費することなく、有効に利用することが可能となる。
しかしながら、せっかく精製した高純度水素ガスの一部を燃料電池に供給することなく、CO吸着器の再生ガスとして使用し、そのCO含有排ガスを新たに生成した改質ガスに加えて再度変成器を介してCO吸着器を通過させてCOを除去することから、CO吸着除去操作時にCO除去装置に流通させるガス量は、精製した高純度水素ガスを全量、燃料電池に供給する場合に比べて多くなる。このため、CO吸着塔に充填するCO吸着剤の量は必然的に多く必要とし、CO吸着塔も大型化して、水素精製コストが上昇する問題が残っていた。
石田政義監修,「家庭用燃料電池の開発と課題」,株式会社シーエムシー出版,2004年12月28日,p.80−82 特開2002−134152号公報(段落[0041]) 特開2007−91498号公報(請求項8、段落[0035]) 特開2007−15909号公報(請求項7、段落[0051])
そこで本発明の目的は、原料燃料を改質・変成して得られた変成ガスからCOを吸着除去して精製することにより燃料電池用の水素ガスを製造する方法において、水素精製コストを維持しつつ、脱着したCOの化学エネルギを最大限有効に活用しうる水素製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、下記の(1)〜(4)の工程を備えるとともに、後記再生オフガス中のCO濃度および/または後記改質ガス中のCO濃度をオンラインにて計測し、これらの計測されたCO濃度に基づいて後記炭化水素含有ガスの流量を調整することを特徴とする燃料電池用水素ガスの製造方法である。
(1)改質用原料に水蒸気を添加し、改質器にて改質して主としてHとCOからなる改質ガスを得る改質工程
(2)前記改質ガスを変成器に導入し、該改質ガス中のCOをHに変成して水素リッチな変成ガスを得る変成工程
(3)前記変成ガスをCO除去装置に通じて、該変成ガス中のCOを吸着除去して燃料電池用水素ガスを得る工程であって、前記CO除去装置は、CO吸着剤を充填した複数のCO吸着器からなり、その少なくとも1つのCO吸着器にて前記CO吸着除去操作を行いつつ、別の少なくとも1つのCO吸着器にて炭化水素含有ガスを再生用ガスとして流通させてCO吸着剤の再生を行うCO除去工程
(4)前記別の少なくとも1つのCO吸着器からの再生オフガスを前記原料ガスに合流させて改質用原料とする再生オフガス循環工程
請求項に記載の発明は、前記CO吸着剤が、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)および/もしくはハロゲン化銅(II)を担持させた材料、またはこの材料を還元処理したものである請求項1に記載の燃料電池用水素ガスの製造方法である。
請求項に記載の発明は、前記変成器を省略し、前記改質器のみで前記改質用原料から直接前記変成ガスを得るようにした請求項1または2に記載の燃料電池用水素ガスの製造方法である。
本発明によれば、炭化水素含有ガスを再生用ガスとしてCO除去装置に流通させてCO吸着剤の再生を行い、CO吸着剤から脱着したCO(以下、「脱着CO」ともいう。)を含有する再生オフガスを前記原料ガスに合流させて改質器に改質用原料として供給することで、改質器の後段の変成器にて脱着COがHに変成されるので、水素ガスの収率が上昇し、脱着COの化学エネルギが無駄に消費されることなく、有効に利用される。また、再生ガスとして、精製された後の水素ガスの一部を用いる、上記特許文献3に記載の発明とは異なり、炭化水素含有ガスを用いることで、精製した水素ガスを全量燃料電池に供給できるので、CO吸着除去操作時にCO除去装置に流通させるガス量は増加させる必要がなく、CO吸着塔に充填するCO吸着剤の量およびCO吸着塔のサイズは維持され、水素精製コストが維持できる。
以下、本発明の実施形態に係る燃料電池用水素ガス製造プロセスについて図1のフロー図を参照しつつ詳細に説明する。
〔実施形態〕
図1において、符号1は原料燃料タンク、符号2は原料タンクから供給される原料ガスを水蒸気改質して改質ガスを得る改質器、符号3は前記改質ガスを変成して水素リッチな変成ガスを得る変成器、符号4は前記変成ガスからCOを吸着除去して燃料電池用の水素ガスに精製するCO除去装置、符号5は前記水素ガスを燃料として発電する燃料電池をそれぞれ示す。以下、再生用ガスとして用いる炭化水素含有ガスとして、原料ガスAの一部を用いる例を代表に挙げて説明を行う。
(原料ガス)
原料ガスAとしては、例えば、原料燃料タンク1内に貯蔵した、原料燃料としての液化天然ガス(LNG)を気化器(図示せず)で気化して得られた、ガス状の天然ガスを用いればよい。
そして、原料ガスAからその一部A1を分岐し、これを再生用ガスとして、再生を行うCO吸着器4bに供給する。一方、原料ガスAの残部A2は、前記再生を行っているCO吸着塔4bからの再生オフガスEと合流させ、合流後のガスを改質用原料A3として改質器2に供給する。
(改質器)
改質器2としては、例えば通常用いられる水蒸気改質器を用いればよい。改質器2にて改質用原料A3中の天然ガス成分は水蒸気で改質されてHおよびCOを生成し、これにさらに改質用原料A3中のCOガス成分が上乗せされ、もとの原料ガスA全量を直接、改質器2に供給して得られる通常の改質ガスよりもCOガス成分が余分に追加された改質ガスBが得られる。
(変成器)
改質器2にて得られた改質ガスBは、必要によりさらに水蒸気を添加し、変成器3にて触媒の作用により上記式(2)に示す変成反応を起こさせ、改質ガスB中のCO成分をHに変成することで、Hを主成分とする(水素リッチな)変成ガスCを生成する。ここで、上述したように、改質ガスBには、脱着CO由来のCOガス成分が余分に追加されていることから、この追加分のCOガス成分も変成されてHを生成するので、もとの原料ガスA全量を直接、改質器2に供給して得られる、従来の変成ガス中のH量よりも多いH量の変成ガスCが得られる。すなわち、本発明によれば、同量の原料ガスAから、従来より多量の水素ガスが得られることとなり、換言すれば、燃料電池5に必要な量の水素ガスDを供給するのに、従来より少ない原料ガスAの量でよいこととなる。
(CO除去装置)
CO除去装置4としては、CO吸着剤を充填したCO吸着器を複数(本例では2器4a,4b)備えた構成を採用すればよい。そして、各吸着器4a,4bにおいて、変成ガスCからのCO吸着除去操作とCO吸着剤の再生操作をサイクリックに切り替えて運転することにより、連続的に変成ガスCからCOを吸着除去して、CO含有量の低い(10ppm以下の)水素ガスDを精製(製造)することが可能となる。
CO吸着剤としては、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)および/もしくはハロゲン化銅(II)を担持させた材料、またはこの材料を還元処理したものが好適に用いられ、なかでもアルミナ担体に塩化銅(I)を担持した材料はCOに対する選択性が高く推奨される。このようなハロゲン化銅を担持させたCO吸着剤は、ゼオライトモレキュラーシーブス、カーボンモレキュラーシーブス、活性炭、または活性アルミナといった従来の吸着剤に比べ数倍〜数十倍のCO吸着容量を有するため、CO吸着塔を大幅に小型化できるとともに、吸着剤の使用量も大幅に低減できる。
なお、CO吸着剤の使用量は、変成ガスC中のCO濃度と、CO除去後の水素ガスD中の目標CO濃度(10ppm以下)を勘案して設定すればよい。
CO吸着除去操作に従事していたCO吸着塔(本例では4b)は、CO吸着剤の吸着性能を維持するために、CO吸着容量を超えてCO吸着塔4bの出口側からCOが漏れ出てくる前にCO吸着剤を再生する必要がある。CO吸着剤の再生は、吸着サイトに吸着したCOを脱離洗浄するため、また、CO吸着剤から脱離したCOの化学エネルギを有効活用するため、COおよび酸素を実質的に含まないガスを流通させつつ行う。また、COの脱離反応は温度が高いほど、圧力が低いほど促進されるため、CO吸着剤は40〜150℃に加熱した状態、および/または、減圧した状態で再生(洗浄)を行うことが望ましい。
本実施形態では、上記再生用ガスとして用いる、COおよび酸素を実質的に含まないガスとして、原料ガスの一部A1を使用する。そして、CO吸着塔4bからの再生オフガスEは、上述したように、原料ガスの残部A2とともに、改質用原料A3として改質器2に供給し、その後段の変成器3にて脱着COをHに変成することで、脱着COの化学エネルギを有効に利用することができ、結果として原料ガスAの使用量(原単位)を低減できることとなる。
ここで、再生用ガス(原料ガスの一部)A1は、一定流量でCO吸着塔4bに流通させるのが一般的である。一方、CO吸着剤から脱着されるCOガス量は、再生の進行に伴って変動するため、再生オフガスE中のCO濃度も変動する。このため、再生オフガスE中のCO濃度を、例えば赤外線吸光分析計(図示せず)にてオンラインで計測し、その計測されたCO濃度に応じて、原料ガスの残部A2の流量を調整することで、再生オフガスEと原料ガスの残部A2とを合流した後の改質用原料A3の流量およびCO濃度を調整することができ、最終的に得られる水素ガスDの流量を、燃料電池5に供給するのに必要な一定流量とすることができる。
なお、再生オフガスEは、CO吸着器4b内のCO吸着剤充填層を通過した際の圧力損失によって原料ガスAより圧力が低下することから、この圧力が低下した再生オフガスEを、原料ガスの残部A2に合流させ得るように、例えば、原料ガスの残部A2の流路に圧力調整弁(図示せず)を設けて圧力バランスを調整できるように構成するとよい。
上記のようにして、各CO吸着塔4a,4bにつき、上記吸着操作、加熱・再生操作および冷却操作をサイクリックに切り替えて運転することにより、少なくともいずれか1塔のCO吸着塔は必ず吸着操作に従事していることになることから、CO除去装置3から連続的に、CO濃度が10ppm以下に低減された水素ガスDを燃料電池4に供給でき、燃料電池3にてCOによる被毒を防止しつつ、連続して長期に安定した発電を行うことができる。
また、少なくともいずれか1塔にてCO吸着除去操作を行いつつ、他の塔にて吸着剤の再生操作を並行して行うため、吸着剤の再生に要する時間の大幅な短縮が図れ、流通ガスのSV値を大きく設定することが可能となり、CO除去装置4全体として必要なCO吸着剤量を大幅に低減でき、CO除去装置4のコンパクト化が実現できる。
上記のように、本実施形態のフローを採用することで、CO吸着剤の再生用ガスとして、精製された後の水素ガスDの一部を用いる、上記特許文献3に記載の発明とは異なり、新たな原料ガスAの一部A1を用いることにより、精製した水素ガスDを全量燃料電池5に供給できるので、CO吸着除去操作時にCO除去装置4に流通させるガス量は増加させる必要がなく、CO吸着塔4a,4bに充填するCO吸着剤の量およびCO吸着塔4a,4bのサイズは維持され、水素精製コストが維持できることとなる。
(変形例)
上記実施形態では、CO吸着剤の再生用ガスとして、原料ガスAの「一部」を用いる例を示したが、原料ガスAの「全部」を用いてもよい。原料ガスAを全部用いる場合、原料ガスAには残部が存在しないので、再生オフガスEのみを改質器2に供給することとなる。なお、再生オフガスE全量を改質器3に供給すると、得られる改質ガスBないし変成ガスCの量が多くなりすぎ、精製(製造)された水素ガスDの量が燃料電池5で必要とする量より過剰となる場合は、過剰分に相当する、再生ガスEの一部を例えば改質器2の加熱用燃料として用いればよい。
また、上記実施形態では、水素ガス製造用の原料ガスAとして天然ガスを例示したが、これに限定されるものではなく、炭化水素を含有する原料燃料で、CO吸着剤の再生に適した温度範囲である、常温ないし百数十℃程度の加熱下で気体状態となるものであればよく、プロパンガス、合成ガス、石油、軽油、重油、メタンハイドレート、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル、製鉄副生ガスなども使用することができる。
また、上記実施形態では、CO除去装置4を構成するCO吸着器の器数として2器の場合を例示したが、これに限定されるものではなく、3器以上としてもよい。
また、上記実施形態では、再生オフガスEの流路にのみCO分析計を設ける例を示したが、これに代えてまたは加えて、改質用ガスA3の流路にCO分析計を設けてもよい。
また、上記実施形態では、改質器2と変成器3の組み合わせにより改質用原料A3から改質ガスBを経て変成ガスCを得る例を示したが、下記実施例でも述べるように、変成器3を省略して、改質器2のみで改質用原料A3から直接、変成ガスCを得ることも可能である。
本発明の効果を確証するため、以下の3つのプロセス(図2参照)を想定し、物質収支計算を基礎とするシミュレーション計算を実施した。
(発明プロセス)
原料ガスの一部をCO吸着剤の再生用ガスとして使用し、その再生オフガスを原料ガスの残部とともに改質用ガスとして改質器に供給する水素ガス製造プロセスを想定し、計算を簡易にするため、再生用ガスの流れは無視し、再生により回収されたCOガス(以下「回収CO」という。)のみを改質器に循環するとした(図2(b)参照)。
(参考プロセス)
回収COは、改質器にでなく、変成器に循環するとした(図2(c)参照)。
(比較プロセス)
回収COは、系内で循環することなく、そのまま系外に排出するとした(図2(a)参照)。
シミュレーション計算の前提条件(各プロセス共通)
・原料ガス:天然ガス13A(容量%で、CH:88%、C:6%、C:4%、n−C10:1%、i−C10:1%)、モル流量8.8mol/h
・スチーム/カーボン比(モル比):2.8
・改質器温度:700℃
・変成器温度:280℃
・変成反応転化率:99〜70%の間でケーススタディを実施
・CO吸着器温度:40℃(吸着除去操作時)
[計算結果]
発明プロセス、参考プロセスおよび比較プロセスにおける、変成反応転化率と、回収COモル流量(図中では「回収COモル数」と表記。)および生成水素モル流量(図中では「水素モル数」と表記。)との関係を図3に、発明プロセスおよび参考プロセスにおける、変成器転化率と水素生成量増加率との関係を図4に、それぞれ示す。
ここに、変成器転化率とは、変成器においてCOが変成反応(CO+HO → CO+H)によりHに転化した割合をいう。また、水素生成量増加率とは、比較プロセスの生成水素モル流量を基準として、回収COを循環することで増加した水素モル流量の割合をいう。
図3および4より、回収COを改質器または変成器に循環することで、回収COを循環しない比較プロセスに比べて、水素生成量は、変成器転化率のレベルによりその増加の程度は変化するものの、確実に増加するのが認められる。
また、図3および4より明らかなように、本シミュレーション計算によれば、回収COを改質器に循環した方が、変成器に循環するよりも、水素生成量が多くなる結果が得られた。
これは、改質器においては原料ガス中の炭化水素の水蒸気改質反応(C+mHO←→mCO+[m+(1/2)n]H)と並行してCO変成反応(CO+HO→H+COも進行しており、原料ガスへの回収COの追加に伴う水蒸気改質反応の抑制作用(反応が左側に進む)による水素生成量の減少効果よりもCO変成反応の進行による水素生成量の増加効果の方が大きいためであると推測される。
このように、改質器内でも変成が進行しうるので、改質器の運転条件を適切に選択することによって、変成器を省略して、改質器単独で直接、変成ガスを得ることも可能なことがわかる。
実施形態に係る燃料電池用水素ガス製造プロセスを示すフロー図である。 シミュレーション計算に用いた水素ガス製造プロセスを示すフロー図である。 変成反応転化率と、回収COモル流量および生成水素モル流量との関係を示すグラフ図である。 変成器転化率と水素ガス生成量増加率との関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1…原料燃料タンク
2…改質器
3…変成器
4…CO除去装置
4a,4b…CO吸着器
5…燃料電池
A…原料ガス
A1…原料ガスの一部(再生ガス)
A2…原料ガスの残部
A3…改質用原料
B…改質ガス
C…変成ガス
D…水素ガス
E…再生オフガス

Claims (3)

  1. 下記の(1)〜(4)の工程を備えるとともに、後記再生オフガス中のCO濃度および/または後記改質ガス中のCO濃度をオンラインにて計測し、これらの計測されたCO濃度に基づいて後記炭化水素含有ガスの流量を調整することを特徴とする燃料電池用水素ガスの製造方法。
    (1)後記改質用原料を改質器にて改質して主としてHとCOからなる改質ガスを得る改質工程
    (2)前記改質ガスを変成器に導入し、該改質ガス中のCOをHに変成して水素リッチな変成ガスを得る変成工程
    (3)前記変成ガスをCO除去装置に通じて、該変成ガス中のCOを吸着除去して燃料電池用水素ガスを得る工程であって、前記CO除去装置は、CO吸着剤を充填した複数のCO吸着器からなり、その少なくとも1つのCO吸着器にて前記CO吸着除去操作を行いつつ、別の少なくとも1つのCO吸着器にて炭化水素含有ガスを再生用ガスとして流通させてCO吸着剤の再生を行うCO除去工程
    (4)前記別の少なくとも1つのCO吸着器からの再生オフガスを前記原料ガスに合流させて改質用原料とする再生オフガス循環工程
  2. 前記CO吸着剤が、シリカ、アルミナ、活性炭、グラファイトおよびポリスチレン系樹脂よりなる群から選択される1種以上の担体に、ハロゲン化銅(I)および/もしくはハロゲン化銅(II)を担持させた材料、またはこの材料を還元処理したものである請求項1に記載の燃料電池用水素ガスの製造方法。
  3. 前記変成器を省略し、前記改質器のみで前記改質用原料から直接前記変成ガスを得るようにした請求項1または2に記載の燃料電池用水素ガスの製造方法。
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