JP2009263699A - Snめっき層を有するめっき基材の製造方法 - Google Patents

Snめっき層を有するめっき基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な手法の追加でウィスカの発生を抑制できるめっき基材の製造方法を得る。
【解決手段】母材1の表面にPbフリーのSnめっき層2を有するめっき基材3を製造するに際し、母材1の表面にPbフリーのSnめっき層2を形成した後、形成しためっき層2に冷間圧延処理を施す。冷間圧延によりめっき面での配向指数の偏りが平準化され、ウィスカの発生が抑制される。
【選択図】図1

Description

本発明は、PbフリーのSnめっき層を有するめっき基材の製造方法に関する。
半導体装置のような電子部品において、外部端子の基材にはCu、Cu合金、42アロイ(鉄とNiが42%の合金)などが用いられるが、素地のままでは端子表面が酸化してはんだ付け不良等による導通不良を引き起こす恐れがある。そのために、通常、めっき等により端子表面に保護膜(めっき層)を形成して酸化を防いでいる。
めっき層の材料として純SnまたはSn合金を用いる場合、従来からPbを含む材料が用いられてきた。近年、環境負荷を軽減する観点からPbフリー化が求められるようになり、前記端子のめっき層材料にも、例えば、純SnあるいはSn−Cu,Sn−Bi,Sn−AgのようなSn合金のように、Pbを含まない材料が使用されるようになっている。しかし、Pbフリーの材料で電子部品の端子表面をめっき処理すると、めっき層から例えば径が3μm程度のSn結晶である針状ウィスカが発生する。
近年、例えばICチップをリードフレームに搭載した半導体装置のような電子部品は一層の小型化が求められており、結果として、その端子間の間隔は数百μm程度まで狭くなってきている。前記針状ウィスカは数百μmの長さにまで成長することがあり、前記のように端子間の間隔が数百μm程度と狭い場合には、発生した針状ウィスカにより端子間ショートが発生する恐れがあるので、針状ウィスカの発生を抑制するための対策が求められている。
針状ウィスカの発生および成長のメカニズムは完全には解明されていないが、めっき層中に蓄積された内部応力が一因であるとの考えから、めっき層の内部応力を除去することで針状ウィスカの発生を抑制しようとする提案がなされており、特許文献1には、Pbを含まないSn合金めっき層を、めっき後にその融点より高い温度で加熱してリフローさせて内部応力を開放することで、ウィスカの発生を抑制できることが記載されている。
また、特許文献2には、Snめっきの表面にAgめっきを施した後、ダイス等で表面を平滑化することによって、表面のAgをSnめっき層に拡散し、それによりウィスカの発生を抑制できることが記載されている。
また、めっき層の結晶方位面およびその配向指数を制御することで、ウィスカの発生を抑制できることも提案されており、特許文献3には、Snめっき皮膜の結晶配向面が(220)面に優先配向し、かつSnめっき皮膜形成後の皮膜応力を−7.2MPa以上0MPa以下とすることが記載されている。特許文献4には、Snめっき層の結晶粒界にSn合金相を形成してウィスカの発生を抑制技術であって、Sn合金相が形成しやすくするために、めっき層における(220)面と(321)面の配向指数を高くすることが記載されている。
特開平10−144839号公報 特開2001−254196号公報 特開2006−70340号公報 特開2006−249460号公報
本発明者らは、Pbフリーのめっき層でのウィスカの発生について多くの実験と研究を継続して行ってきているが、Pbフリーのめっき層の内部応力を緩和してウィスカの発生を抑制する従来技術は、いずれも充分な成果を上げているとは言い難い。また、特許文献1に記載のように、めっき後にめっき層をリフローさせると、めっきの厚みに偏りが生じる恐れがある。特許文献2の方法は、Snめっき層に加えて、Agめっき層をさらに形成する工程を必要としている。
また、特定の結晶配向面の配向指数を制御してウィスカの発生を制御する技術は、そのような特定の結晶配向面を見出すこと自体が困難であり、さらに特定した結晶配向面が優先するようにめっき面での結晶面の配向指数を制御することも容易でない。
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、より容易な手段でもって針状ウィスカの発生を抑制できるようにした、PbフリーのSnめっき層を有するめっき基材の製造方法を開示することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者らは、PbフリーのSnめっき層におけるウィスカの発生について、さらに多くの実験を行う過程において、形成したSnめっき層に冷間圧延を施すことにより、ウィスカの発生を抑制できることを知見した。また、冷間圧延後のSnめっき面における結晶配向面の配向指数をXRD(X線回析法)解析したところ、配向面での大きな偏りはなく、ほぼ等しい配向指数となっていることも知った。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、本発明によるSnめっき層を有するめっき基材の製造方法は、母材表面にPbフリーのSnめっき層を形成する工程と、前記めっき層形成工程の後に、形成しためっき層を冷間圧延する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
後の実施例に示すように、同じめっき材料を用いて母材表面にPbフリーのSnめっき層を形成しためっき基材において、冷間圧延処理を行わないものでは、ウィスカの発生が観察され、また結晶配向面での配向指数に偏りが見られたが、冷間圧延を施すことにより、ウィスカの発生は抑制されかつ配向指数のほぼ偏りも消失していた。本発明によれば、通常の手法により母材の表面にPbフリーのSnめっき層を形成し、その後でめっき層に冷間圧延を施すだけで、ウィスカの発生を抑制することができ、その手法はきわめて容易であり、かつ、容易に実用に供することができる。
本発明によるSnめっき層を有するめっき基材の製造方法において、形成するSnめっき層が光沢Snめっき層または半光沢Snめっき層であるであることは好ましく、光沢Snめっき層であることは特に好ましい。後の実施例に示すように、本発明者らの実験では、同じ条件の場合、光沢Snめっき層の場合はウィスカの発生は観察されず、半光沢Snめっき層の場合は、不都合を生じさせない長さのごく短い(5μm程度)ウィスカが観察された。
本発明において、Snめっき層を形成するSnは、純Snが好ましいが、Sn−Cu,Sn−Bi,Sn−Agのような、鉛を含まないSn合金であってもよい。
また、本発明において、母材に特に制限はないが、製造されるめっき基材の用途を考慮すると、Cu、Cu合金または42アロイ(鉄とNiが42%の合金)であることが好ましい。
本発明によれば、母材の表面にPbフリーのSnめっき層を有するめっき基材を製造するに際して、冷間圧延という1つの簡単な工程を加えることで、めっき層からウィスカが発生するのを確実に抑制することができる。
以下、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は本発明により製造しためっき基材の一例を示す。
めっき基材3は、母材1とその上に形成したSnめっき層2を備える。母材1は、好ましくは、Cu、Cu合金または42アロイ(鉄とNiが42%の合金)である。厚さに制限はなく、めっき基材3の用途を考慮して適宜設定される。
Snめっき層2は、電解めっき等の手段によって、母材1の表面に形成される。厚さは5〜10μm程度である。用いるめっき液は、Pbを含まないことを条件に任意であり、光沢(金属光沢)Snめっき層を形成するめっき液、半光沢Snめっき層を形成するめっき液、あるいは無光沢Snめっき層を形成するめっき液、などを用いうる。
めっき層2を形成した後、適宜の手段によりめっき層2に対して冷間圧延を施すことにより、本発明によるめっき基材3となる。
本発明によるめっき基材は、半導体装置のような電子部品における外部端子に特に好適に適用できる。
[実施例1]
図1に示すように、42アロイ母材1の表面に、電流密度5A/dm2で電解めっきを施し、母材表面に厚さ8μmのPbフリー純Sn光沢めっき層2を形成してめっき基材3とした。めっき層形成後に、金属光沢が発生するまでの条件でめっき層に冷間圧延を施した後、100℃、15分の熱処理を行った。冷間圧延および熱処理後の純Snめっき面について、結晶配向面とその配向指数をXRD解析を行った。その結果を図2(a)に示した。
冷間圧延および熱処理後のめっき基材に対して、低温側0℃に30分間放置⇔高温側60℃に30分間放置を1サイクルとする冷熱サイクルを1000回繰り返す冷熱サイクル履歴をめっき層に与えた。電子顕微鏡(SEM)を用いて、冷熱サイクル履歴後のめっき層表面でのウィスカの発生状態を観察したがウィスカは未発生であった。その顕微鏡写真を図3(a)に示した。
[比較例1]
実施例1と同じようにして、母材表面にPbフリー純Snめっき層を持つめっき基材を作った。それに対して冷間圧延処理を加えることなく、100℃、15分の熱処理を行った。熱処理後の純Snめっき面について、実施例1と同様にして、結晶配向面とその配向指数をXRD解析を行った。その結果を図2(b)に示した。
上記熱処理後のめっき基材に対して、実施例1と同じ冷熱サイクル履歴をめっき層に与え、電子顕微鏡(SEM)を用いて、めっき層表面のウィスカの発生状態を観察したところ、90μm長のウィスカが発生しているのが観察された。その顕微鏡写真を図3(b)に示した。
[考察]
図2(a)と(b)の比較から解るように、比較例1では特定の結晶配向面における配向指数が極めて高くなっている(この例で、(220)面の配向指数はほぼ12程度)。一方、実施例2では、多くの結晶配向面において、配向指数に大きな偏りはなく、ほぼ1ということができる。すなわち、冷間圧延処理を行うことによって、めっき面での配向指数の偏りを平準化することができ、その結果、実施例1ではウィスカの発生が抑制されたものと解される。
[実施例2]
母材表面に、Pbフリーの純Sn半光沢めっき層を形成した以外は、実施例1と同様にしてめっき基材を作成した。実施例1と同様にして冷間圧延および熱処理を施した後、低温側0℃に30分間放置⇔高温側60℃に30分間放置を1サイクルとする冷熱サイクルを1000回繰り返す冷熱サイクル履歴をめっき層に与えた。電子顕微鏡(SEM)を用いて、冷熱サイクル履歴後のめっき層表面でのウィスカの発生状態を観察したところ、最長で5μm長のウィスカが観察された。その顕微鏡写真を図4(a)に示した。
[比較例2]
実施例1と同じようにして、母材表面にPbフリーの純Sn半光沢めっき層を持つめっき基材を作った。それに対して冷間圧延処理を加えることなく、100℃、15分の熱処理を行った。熱処理後のめっき基材に対して、実施例2と同じ冷熱サイクル履歴をめっき層に与え、電子顕微鏡(SEM)を用いて、めっき層表面のウィスカの発生状態を観察したところ、30μm長のウィスカが発生しているのが観察された。その顕微鏡写真を図4(b)に示した。
[考察]
実施例1のものと比較して、実施例2のものは短いウィスカが発生している。しかし、最長で5μm長程度のものであり、比較例2のものが30μm長であるのと比較して短く、充分に実用に耐えるものである。
実施例で用いためっき基材を説明するための図。 実施例1と比較例1における結晶配向面と配向指数との関係を示したグラフ。 実施例1と比較例1におけるウィスカは発生状態を見るための顕微鏡写真。 実施例2と比較例2におけるウィスカは発生状態を見るための顕微鏡写真。
符号の説明
1…母材、2…めっき層、3…めっき基材

Claims (3)

  1. 母材の表面にPbフリーのSnめっき層を有するめっき基材の製造方法であって、母材表面にPbフリーのSnめっき層を形成する工程と、前記めっき層形成工程の後に、形成しためっき層を冷間圧延する工程と、を少なくとも含むことを特徴とするSnめっき層を有するめっき基材の製造方法。
  2. 形成するSnめっき層が光沢Snめっき層である請求項1に記載のSnめっき層を有するめっき基材の製造方法。
  3. 母材がCu、Cu合金または42アロイである請求項1または2に記載のSnめっき層を有するめっき基材の製造方法。
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