JP2009262367A - インクジェット記録ヘッドのバッファ室液体除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インク流路内にバッファ室が設置されている記録ヘッドの保管・物流時にインクジェット記録ヘッドに障害が発生するのを抑制しながら、梱包などを簡素なものとすることを可能とする。
【解決手段】 インクジェット記録ヘッドのインク流路内に記録用インクを充填し(S12)、検査記録を行う(S13)。その後、インクジェット記録ヘッドのインク流路内に純水を注入して記録用インクを純水に置換する(S14)。置換によってバッファ室に浸入した純水を密閉吸引と大気開放で除去する(S31)。次に、清浄空気をインク流路内に供給してインク流路内の純水を排出するとともにノズル面に清浄空気を吹き付けて付着した水分を除去する(S15)。この状態のインクジェット記録ヘッドをインクジェット記録装置のキャリッジに装着し、あるいは収納箱に収納して保管・物流を行う(S16)。
【選択図】 図1

Description

本発明はバッファ室が搭載されたインクジェット記録ヘッドの保管・物流に関する。
従来、インクジェット記録ヘッドの物流時には、インク流路内に物流用のインクを充填するのが一般的である(特許文献1参照)。物流用のインクは、記録用のインクから着色剤成分を全量あるいは所定の割合で除いた組成を有するのが一般的である。
このような物流用インクを用いた、インクジェット記録ヘッドの製造工程における組立から保管・物流までの手順について、図6を参照して説明する。
通常、製造工程では、インクジェット記録ヘッド10の組立(ステップS21)が終了した後、インクジェット記録ヘッド10の信頼性を確保するために記録テストを行う。このために、まず、インクジェット記録ヘッド10のインク流路12内に通常の記録用インク31を充填する(S22、図6(b)、図6(c))。記録用インク31の充填は、通常、インクカートリッジ接続口11にインク供給系を接続し、吐出口16側から吸引することによって行われる。そして、充填された記録用インク31を使用して検査記録を行う(S23)。その後、インク流路12内の記録用インク31を物流用インク32に置換する(S24、図6(d)、図6(e))。但し、100%物流用インク32に置換するのはインク流路12等の構造上などの問題がありできていないのが現状で物流用インク32への置換率95%以上(物流用インク95:記録インク5の割合)の混合液になっている。インクジェット記録ヘッド10は、このように物流用インク32が充填された状態で、保管・物流される(S25)。
保管・物流時、インクジェット記録ヘッド10は、通常、図8(a)に示すように、記録ヘッド収納箱55に梱包され、インクジェット記録装置60と一緒に記録装置用収納箱53に同梱される。あるいは、インクジェット記録ヘッド10は、図8(b)に示すように、インクジェット記録装置60のキャリッジ61に搭載され、その状態のインクジェット記録装置60が記録装置収納箱53に梱包される。
上述のように、インク流路12内に物流用インク32を充填することによって、物流時に、インク流路12の流路表面が、インクジェット記録ヘッド10やそれが搭載される記録装置の構成部品からのアウトガスや保管環境の雰囲気の変化に曝されるのが抑制される。それによって、流路表面の表面状態が変化するのを抑制することができる。流路表面、特に、ヒーターや圧電素子といったインク吐出駆動源部分の表面状態の変化を抑制することによって、インクとの濡れ性が変動して吐出インク滴の着弾精度が低下するなど、インク吐出性能が損なわれるのを抑制することができる。
また、物流用インク32は、上述のように、記録用インク31よりも着色剤成分量が減らされるなどの処置によって、物流時に経時的に蒸発しても、粘度が高くなったり、流路表面や吐出口16に固着したりしにくい組成を有している。そのため、着色剤の成分である染料や顔料が吐出口16の表面に固着して、インク吐出性能に影響が生じるといった問題の発生も抑制することができる。
また、上述した方法以外の手法が特許文献2に開示されている。特許文献2に記載されているインクジェット記録ヘッドの製造工程における組立から保管・物流までの手順について図7を参照して説明する。
インクジェット記録ヘッド10の信頼性を確保するために、組立(ステップS11)完了後、出荷前に記録テストを行う。記録テストを行うため、インクジェット記録ヘッド10のインク経路内に、色の付いた通常の記録用インク31を充填する(S12、図7(b))。記録用インク31の充填は、インクカートリッジ接続口11にインク供給系を接続し、吐出口16側から吸引することによって行うことができる。検査記録(S13)は、このようにして充填された記録用インク31を用いて行い、記録結果に基づいて、インクジェット記録ヘッド10が規定の性能を満足しているか否かを判定する。
検査記録で良品と判定されたインクジェット記録ヘッド10に対しては、インク流路12内の記録用インク31を純水33に置換する(S14、図7(c))。置換は、インクジェット記録ヘッド10のインクカートリッジ接続口11に純水33を接続し、吐出口16側から吸引することによってインク流路12内の記録インク31を吐出口16から排出することによってできる。但し、100%純水33に置換するのはインク流路12等の構造上などの問題がありできていないのが現状で純水33への置換率99.5%以上(純水99.5:記録インク0.5の割合)の混合液になっている。
次に、インクジェット記録ヘッド10のインクカートリッジ接続口11から清浄空気34をインク流路12内に供給し、清浄空気34の圧力でインク流路12内の純水33を排出する。それとともに吐出口面17に清浄空気35を吹き付けて付着した水分を除去する(S15、図7(d))。また、清浄空気34の圧力により、吐出口16から排出される純水33と記録用インク31の混合液99.5%以上の純水33は外部への排出を促進することができる。インクジェット記録ヘッド10の吐出口面17に対する清掃空気35の角度は5〜10°が適当である。また、清掃空気35は、インクジェット記録ヘッド10のノズル列方向に走査させてもよい。
以上により、インクジェット記録ヘッド10のインク流路12内の記録インク31と純水33の混合液等は完全に除去され清浄空気に置換された空(以下DRYと言う)の状態をつくりだすことができる。インクジェット記録ヘッド10は、このように、インク流路12内がDRYの状態で、前述のように梱包され、保管・物流される(S16)。
なお、上記の手順において、ステップS14で記録用インク31をまず純水33に置換するのは、表面張力の低い記録用インク31よりも表面張力の高い水のほうが、次のステップ15での空気圧力による排出が容易であるためである。また、純水33を使用するのは、記録用インク31の排出時に有機物等が残渣としてインク流路12表面や吐出口面17に付着しないようにするためでもある。純水33は、高度な製造装置によって作成されるものでなくとも、イオン交換を中心とした汎用の簡易純水製造装置によって得られる程度のもので充分である。具体的には、電気伝導率が3μS/cm以下、TOC(Total Organic Carbon)が500μg/L以下程度のものを用いればよい。
また、純水置換の前に空吸引を行いインクジェット記録ヘッド10、インク流路12内の記録インク31の大部分を除去しておいてもよい。それによって、純水置換(S14)時の純水33供給負荷を低減することができる。
純水置換(S14)の後に供給する清浄空気34,35は、オイルミストセパレーターを経たクリーンエアを使用する。供給するクリーンエアには、さらに除湿を行うことが望ましい。流路構造にもよるが、供給圧力は0.1〜0.2MPa、供給時間は20sec以上が適当である。
インク流路12内をDRYにし、液体を残さないようにすることによって、記録用インク31や物流用インク32の蒸発に起因する問題を抑制することができる。すなわち、インクの増粘や固着の問題の発生が抑制される。
特開平7−52401号公報 特開2007−050528号公報
従来の出荷形態において、バッファ室がない流路ではインク流路内の記録インクを純水に置換し、流路内が純水に置換されたら清掃空気を吹き付け流路内の水分を除去しDRY状態にし、インクジェット記録装置内のキャリッジに装着され出荷されている。
また、バッファ室がある流路ではインク流路内の記録インクを物流用インクに置換し、物流インクの蒸発を防止するために密閉系の容器に保管され出荷される2種類の形態が存在している。
上記のようにバッファ室が存在するインクジェット記録ヘッドは、検査工程での記録インク充填や、記録インクから純水への置換を行う工程でバッファ室に記録インク・純水が浸入してしまう。バッファ室に浸入してしまうことについて図5を参照して説明する。
検査工程での記録インク充填(S12)や、記録インク31から純水33への純水置換(S14)を行う工程では吐出口16より吸引をおこないインクタンク接続口11より記録インク31・純水33を供給する(図5(a))。記録インク31・純水33がインク流路12内に充填され吐出口16まで充填される。このとき、吐出口16側をポンプ42等にて吸引をしているため、フィルタ18の抵抗やインクカートリッジ26供給系の圧力損失により、バッファ室20が減圧され気液交換37が発生している(図5(b))。気液交換37がされた状態で吸引を止めるとバッファ室20が減圧されているので大気圧に戻ろうとして記録インク31・純水33がバッファ室20に浸入してしまう(図5(c))。
上述で述べたインク流路12内をDRYにする従来技術では、バッファ室20に浸入した純水33を抜き取ることが出来ない。バッファ室20に純水33が残ったまま保存され、物流中の落下や振動などで純水33が吐出口16に移動し生菌・カビの発生やヘッド自身の部材から溶出が起こり純水33の蒸発が進行すると溶出物の増粘、固着し、着荷時の良好な記録動作を保証することが出来ない。
そこで、バッファ室が存在するインクジェット記録ヘッド10では、物流用インク32をインクジェット記録ヘッド10のインク流路12内に充填した状態で保管・物流する形態がとられているので、物流用インク32の蒸発抑制を講じる必要がある。すなわち、物流用インク32の蒸発を抑制することによって、物流用インク32によるインク流路12内面の保護作用を持続させることができる。また、物流用インク32といえども、蒸発が極端に進行すると、増粘したり、固着したりすることが考えられるので、蒸発抑制によってそのような事態の発生も抑制することができる。また、物流用インクの増粘や固着を抑制することによって、着荷後の最初の使用時に、物流用インク32を吸引して記録用インク31に置換する際、抵抗による圧損によって吸引が妨げられるなどするのを抑制することができる。それによって、インク流路12内に記録用インク31を良好に充填可能として、良好な記録動作を保証することができる。
物流用インク32の蒸発抑制のため、図8(a)のように、インクジェット記録ヘッド10を記録ヘッド収納箱55に梱包して保管・物流する場合、記録ヘッド収納箱55は、蒸発を防止できる構成を有するものとする必要がある。さらに、密閉梱包の設備が必要となったり、また、密閉性に関する品質管理が求められたりする。これらのことから、梱包に関するコストが上昇する。また、記録ヘッド収納箱55は客先において開封され、それ自体は廃棄物となる。したがって、物流用インク32の蒸発抑制用の構成のために、記録ヘッド収納箱55の簡素化が妨げられることによって、廃棄物が増えたり、記録ヘッド収納箱55を分解して分別廃棄する必要が生じたりする。
一方、図8(b)のように、インクジェット記録装置60のキャリッジ61上にインクジェット記録ヘッド10を装着した状態で保管・物流する場合を考える。この場合、インクジェット記録装置60のインク吸引機構のインク吸引キャップ62によってインクジェット記録ヘッド10のノズルを覆うことによって、物流用インク32の蒸発が抑制される。この際、インク吸引キャップ62に接続される配管系は、物流中の温度・圧力変動でインクジェット記録ヘッド10のインク流路12に過剰な圧力がかかって、充填されたインクが漏れ出すのを抑制するために開放されているのが通常である。したがって、インクジェット記録ヘッド10をインク吸引キャップ62で覆っていても厳密には密閉状態とはいえず、長期間にわたって物流用インク32の蒸発を完全に抑制するのは困難である。
さらに、インクジェット記録ヘッド10にインク吸引キャップ62を長時間にわたって接触させた状態とすると、インクジェット記録ヘッド10にインク吸引キャップ62とが互いに貼り付いて分離に大きな力が必要になることがある。特に、インク吸引キャップ62が塩素化ブチルやエラストマーゴムで構成されている場合などにこのようになりやすいので、着荷後の使用時にインク吸引キャップ62とインクジェット記録ヘッド10の分離を行うことができるように、対策が必要となる場合がある。このような対策としては、インク吸引キャップ62のヘッド当接面に記録用インク31や物流用インク32、あるいは専用の液剤を塗布することが挙げられる。あるいは、キャップ動作駆動系の駆動力を高めることが考えられる。
また、上記のいずれの物流形態でも、インクジェット記録ヘッド10のインク流路12内の物流用インク32内には、溶存空気が存在するのを避けるのが困難であることなどから、物流中の振動によって多くの気泡が発生する。このように気泡が発生するために、物流後の最初の使用時、物流用インク32から記録用インク31へ置換する際、記録用インクの吸引動作によって気泡を除去し、かつ記録用インク31への完全な置換を行うのに、多くの吸引時間が必要となる。また、置換によって、多くの記録用インク31が消費されてしまう。
本発明の目的はバッファ室が存在するインクジェット記録ヘッドをDRYにし、梱包などを簡素なものとすることを可能とすることにある。そして、それによって、本発明は、保管・物流のコスト低減や廃棄物発生の抑制を図る。また、本発明は、物流後の最初の使用時の記録用インクの充填の効率化を図る。
上記目的を達成させるための本発明は以下の手段により達成される。
すなわち、インクを吐出する複数の吐出口と、複数の吐出口にインクを供給するための共通液室と、共通液室にインクを導くインク流路と、インク流路のインク導入箇所に配されたフィルタと、フィルタから吐出口までの流路内にインクの吐出によって生じる共通液室内のインクの振動を抑制するためのバッファ室と、を備えたインクジェット記録ヘッドのインク流路内が空になった形態の出荷・保管に際し、インク吐出状態検査後のインクをインク流路内に純水を供給し、インク流路内に純水を充填する工程を備え、純水が充填されたインク流路内に清浄空気を供給して純水をインク流路から除去するインクジェット記録ヘッドのバッファ室液体除去方法において、
インク流路内に純水を充填する工程でバッファ室に浸入した純水を除去する際に、吐出口より吸引し、フィルタ側を塞ぎインク流路内の減圧を高くし、吐出口より吸引した状態でフィルタ側を開放し、大気を導入することを特徴とするインクジェット記録ヘッドのバッファ室液体除去方法。
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドは、保管・物流時、インク流路内、バッファ室がDRYの状態とされる。したがって、インク流路内に充填された液体の蒸発を抑制する必要がなくなり、その結果、梱包などを簡素なものとすることが可能となる。それによって、保管・物流のコスト低減や廃棄物発生の抑制を図ることができる。また、物流後の最初の使用時の記録用インクの充填の効率化を図ることができる。
次に本発明の実施の形態について実施例の記述と図面を参照して説明する。
最初に、第1の実施形態について図1〜図3を参照して説明するにあたり、本実施形態におけるインクジェット記録ヘッド10およびインクジェット記録装置60の概要について説明する。なお、以下に説明するインクジェット記録ヘッド10およびインクジェット記録装置60の構成は、一般的な構成を例示するものであり、本発明を適用するインクジェット記録ヘッド、記録装置は、以下の構成のものに限られることはない。
図2に示すように、インクジェット記録ヘッド10は、インクを吐出する複数の吐出口16が形成された吐出口ユニット13を有している。各吐出口16内には、インク吐出駆動源(不図示)が設けられている。インク吐出駆動源は、インクを急加熱し泡(バブル)を発生させ、それに伴って生じる圧力によってインクを吐出させるためのヒーターや、機械的な変位によってインクを吐出させるための圧力を発生するピエゾ素子などの公知のものであってよい。吐出口ユニット13内には、各吐出口16が連通する共通液室15、共通液室15に連通するインク供給口14がさらに形成されている。インク供給口14には、インク流路12形成部材によって形成されたインク流路12が連通している。このインク流路12の一端は、インクカートリッジ26に接続されるインクカートリッジ接続口11となっている。
図3に示すように、インクジェット記録装置60は、インクジェット記録ヘッド10が、インクカートリッジ26と共に搭載されるキャリッジ61を有している。また、インクジェット記録装置60には、インクジェット記録ヘッド10の吐出口面17を覆うことができるインク吸引キャップ62が設けられている。インク吸引キャップ62には、ポンプなどの吸引機構(不図示)が接続されている。
記録動作時、キャリッジ61に搭載されたインクジェット記録ヘッド10には、インクカートリッジ26からインクカートリッジ接続口11を経由してインクが充填される。充填されたインクは、インク流路12部材によって形成されたインク流路12を経て吐出口ユニット13に供給され、インク供給口14から共通液室15を経て各吐出口16に充填される。そして、吐出口16内でインク吐出駆動源を作動させることによって吐出口16内のインクが流体摩擦抵抗の小さい吐出口16の外部へと押し出され、インク滴となって吐出される。吐出口16内には共通液室15側から新たにインクが供給されて次の吐出に備える。
インクジェット記録装置60は、記録用紙等の記録媒体の搬送機構や、キャリッジ61の往復移動機構(不図示)をさらに有し、それらを利用して、記録媒体上の所望の位置に、上記のようにインクジェット記録ヘッド10から吐出されたインク滴を着弾させる。そして、このようなインクの着弾プロセスの繰り返しによって、所望の記録画像に応じた画像形成が行われる。
次に、本実施形態のインクジェット記録ヘッドの保管・物流形態について説明する。図3に示すように、本実施形態において、インクジェット記録ヘッド10は、物流時、インクジェット記録装置60のキャリッジ61に装着され、その状態で、インクジェット記録装置60と共に記録装置収納箱53に収納される。この際、インクジェット記録ヘッド10のインク流路12内はDRYの状態となっている。
このような、インク流路12の内部からインク等の液体が完全に除去され、DRYの状態になっているインクジェット記録ヘッド10の物流形態においては、雰囲気によるインク流路12表面、特に、ピエゾ素子やヒーターといった吐出駆動源の膜汚染が懸念される。本発明者らの知見によれば、インクジェット記録ヘッド10において、インク流路12の表面を汚染するなどして濡れ性を変化させるのは、封止剤中に存在する低分子シロキ酸や低分子ポリウレタンを含むアウトガスであることが判明している。このような封止剤は、インクジェット記録ヘッド10の電気接続部の保護やインク流路12構成材料の封止を目的として使用されるシリコン系樹脂やウレタン系樹脂などである。
しかしながら、これらの封止剤の低分子成分はアウトガスとしてだけではなく、インク中に溶出してインク流路12に吸着することによってもインク流路12の濡れ性を変化させる。より高精細な吐出性能が要求される近年のインクジェット記録ヘッド10では、これらの低分子成分を含む封止剤の使用は回避されるようになってきており、前述の低分子成分を含まない熱硬化型のエポキシ系封止剤が多く使用されている。このような構成のインクジェット記録ヘッド10では、インク流路12内がDRYの状態で物流を行っても、インクジェット記録ヘッド10の構成部材からのアウトガスによる汚染の問題は発生しないと言える。
また、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド10をインクジェット記録装置60に搭載した状態で保管・物流を行うので、インクジェット記録装置60に使用するグリス等からのアウトガスによる汚染にも一応留意する必要がある。しかしながら、グリス類のような潤滑剤は実使用温度領域において変質することなしに一定の機能を発揮する必要性があることから、実使用温度領域における成分の揮発はほとんどないといえる。したがって、インクジェット記録装置60の構成部材からのアウトガスによる汚染の問題もほとんど発生しないと言える。
以上のことから、本実施形態のインクジェット記録ヘッド10の保管・物流形態は、近年のインクジェット記録装置60においては、インク流路12の濡れ性変化によるインク吐出性能の変化を抑制可能なものである。
次に、上記のような物流形態とするための、インクジェット記録ヘッドのバッファ室DRY製造工程までの手順について図1を参照して説明する。
この製造工程では、インクジェット記録ヘッド10の信頼性を確保するために、組立(S11)完了から純水置換(S14)までは従来の技術と同じ手法である。但し、記録インク充填(S12)純水置換(S14)工程での吐出口からの吸引圧力は低圧であるほうが、バッファ室への記録インク31・純水33の浸入量が少なくなるのでよい。それによって、バッファ室浸入水除去工程(S31、図1(a))の負荷を低減することができる。
次に、バッファ室浸入水除去(S31、図1(a))方法について説明する。インクジェット記録ヘッド10の吐出口面17を吸引キャップ40で覆い、インクカートリッジ接続口11も耐久性のある部材(以下ノズル41と言う)で覆い密閉し、吐出口面の吸引キャップ40を介してポンプ42によって吸引する。このとき、インクカートリッジ接続口11をノズル41で覆う前に吸引キャップ40を介してポンプ42により吸引してもよい。
吸引キャップ40より吸引されるとインク流路12に充填されている純水33は吐出口16より排出される(図1(b))。このとき、インクカートリッジ接続口11が塞がれているのでインク流路12内の圧力が減圧される。インク流路12の減圧が高くなり、バッファ室20に浸入した純水33がインク流路12に引っ張られる(図1(c))。このときの吸引圧が1.5sec以内で−40KPa以上の立ち上がりになると、バッファ室20内の純水33がインク流路12に勢い良く引っ張られる。このときに純水33が分断されバッファ室20内に小さな水滴が残ってしまうので、吸引圧は4から5secの間に−10KPaから−15KPaになる値に設定する。バッファ室20に浸入していた純水33が全てインク流路12に引っ張られた時にノズル41を開放して大気36をインクカートリッジ接続口11からインク流路12に取り入れる。このとき、吐出口面の吸引キャップ40を介してポンプ42によって吸引しているのでインクカートリッジ接続口11から吐出口16への大気36の流れが発生する。バッファ室20からインク流路12に出てきた純水33はインクカートリッジ接続口11からの大気36の流れで吐出口16より排出させる(図1(d))。
このときのポンプ42吸引圧は、記録インク充填(S12)純水置換(S14)工程より低いピーク圧力でも次の条件を満たしていれば可能である。インクカートリッジ接続口11を塞いでポンプ42吸引を行った時にインク流路12の減圧の値が、記録インク充填(S12)純水置換(S14)工程時のインク流路12減圧ピーク圧力より高ければ問題ない。
バッファ室除去工程(S31)後、インクジェット記録ヘッド10のインクカートリッジ接続口11から清浄空気34をインク流路12内に供給し、清浄空気34の圧力でインク流路12内の純水33を排出する。それとともに吐出口面17に清浄空気35を吹き付けて、エアブローを行い、付着した水分を除去する(S15)。
以上により、インクジェット記録ヘッド10のバッファ室20内・インク流路12内の純水33等は完全に除去され清浄空気34に置換されたDRYの状態をつくりだすことができる。インクジェット記録ヘッド10は、このように、インク流路12内がDRYの状態で、前述のように梱包され、保管・物流される(S17)。
次に、第2の実施例バッファ室除去工程について図4を参照して説明する。インクジェット記録ヘッドの構成や、インクジェット記録ヘッドの製造工程における組立から保管・物流までの手順は、第1の実施形態と同様であってよく、詳細な説明は省略する。
インクカートリッジ接続口11外周にはインクカートリッジ26を接続した時に密閉性を上げるためのシールゴム19があり、純水置換(S14)工程より純水33等がシールゴム19に残ってしまうことがある(図4(a))。第1の実施例であるインクジェット記録ヘッド10の吐出口面17を吸引キャップ40で覆い、インクカートリッジ接続口11もノズル41で覆い密閉し、吐出口面の吸引し減圧している。そして、バッファ室20に浸入していた純水33インク流路に導きインクカートリッジ接続口11を開放して大気36をインク流路12に取り入れ、吐出口より排出させバッファ室20の純水33を取り除いている。
しかし、シールゴム19に純水33等が付着した状態で行うと、インク流路12が減圧された時にバッファ室20の純水33がインク流路12に引っ張られると同時にシールゴム19に付着していた水滴がインク流路12に引っ張られる。シールゴム19に付着していた純水33等がインクカートリッジ接続口11フィルタ18を通過して、インクカートリッジ接続口11からバッファ室20までのインク流路12に入ってしまう状態になる(図4(b))。この様な状態でインクカートリッジ接続口11を開放して大気36をインク流路12に取り入れると、バッファ室20からインク流路12に導き出された純水33は吐出口16より排出しされる。インクカートリッジ接続口11からバッファ室20の間に入った純水33等も大気36の流れでバッファ室20を通過し吐出口16より排出される。
このとき、バッファ室20も減圧状態から大気圧状態に戻ろうとする。大気圧に戻ろうとする状態の時にインクカートリッジ接続口11からバッファ室20の間に入った純水33等がバッファ室20を通過するとバッファ室20に純水33等が浸入してしまう(図4(c))。そこで、シールゴム19に純水33等が付着した状態でもバッファ室20に浸入しない方法を説明する。
インクジェット記録ヘッド10の吐出口面17を吸引キャップ40で覆い、インクカートリッジ接続口11もノズル41で覆い密閉し、吐出口面17の吸引キャップ40を介してポンプ42によって吸引する。吸引されるとインク流路12に充填されている純水33は吐出口より排出される。このとき、インクカートリッジ接続口11が塞がれているのでインク流路12内の圧力が減圧され、インク流路12の減圧が高くなるとバッファ室20に浸入した純水33がインク流路12に引っ張られる。更に、シールゴム19に付着していた純水33等がインクカートリッジ接続口11フィルタ18を通過して、インクカートリッジ接続口11からバッファ室20までのインク流路12に入ってしまう状態になる。
そして、ノズル41の圧力弁43まで清浄空気34の圧力が充填されている状態(図4(d))で圧力弁43を開き開放する。吐出口面17よりポンプで吸引された状態で圧力弁43を開放すると同時にインク流路12内に清浄空気34が流れる。加圧された清浄空気34がインクカートリッジ接続口11から吐出口16へ流れ、バッファ室からインク流路12に出された純水33を吐出口16より排出させる。また、インクカートリッジ接続口11からバッファ室20の間に入った純水33等も加圧による空気の流れでバッファ室20を通過し吐出口16より排出される。
このとき、インクカートリッジ接続口11からバッファ室20の間に入った純水33等が清掃空気により移動するが、純水33等がバッファ室20を通過する前にバッファ室20に清掃空気34が入り込み加圧される。純水33等はインク流路12の流抵抗があり、清掃空気34より移動スピードが遅くなるため先にバッファ室20内が加圧状態になるので純水33等がバッファ室20に浸入できず通過する(図4(e))。
以上により、シールゴム19に純水33等が付着したままでもバッファ室20内の純水33等は完全に除去され清浄空気34に置換されDRYの状態をつくりだすことができる。
以上説明したバッファ室を有するインクジェット記録ヘッドの、バッファ室内・インク流路内を完全にDRYにすることが出来る。すなわち、生菌・カビの発生やヘッド自身の部材から溶出が起こり純水の蒸発が進行と溶出物の増粘、固着などの問題の発生が防止できる。また、従来技術におけるように物流用インクを充填しないために、記録用インクや物流用インクの蒸発に起因する問題を抑制することができるのでインクの増粘や固着による着荷時の不良も防止できる。
また、本実施形態では、物流時、インク等の流体の蒸発に留意する必要がないため、インクジェット記録ヘッド10にインク吸引キャップ22を密着させておく必要がなく、図3に示すように、インクジェット記録ヘッド10は、任意の位置に配置しておいてよい。物流・保管時にインク吸引キャップ22をインクジェット記録ヘッド10に密着させないことによって、従来技術におけるように、保管・物流の間に、インク吸引キャップ22がインクジェット記録ヘッド10に貼り付いてしまうのを回避できる。したがって、インク吸引キャップ22をインクジェット記録ヘッド30から分離するために、従来技術におけるように大きな力が必要となるのを抑制でき、吸引キャップ22を移動させる機構の駆動源の必要トルクを低減することができる。
また、物流後の最初の使用時、記録用インクをインクジェット記録ヘッド10に充填する際、本実施形態では、インクジェット記録ヘッド10のインク流路12内には空気しか存在しない。このため、物流用インクを充填する場合のように圧損が生じることがなく、物流用インク中に気泡が内在することによる困難も生じない。したがって、本実施形態では、従来技術と比較して、インク充填のための吸引動作を、低圧、低流量で行って、インク流路12内に気泡のない良好な状態を安定して達成することができる。その結果、インク充填時に吸引して廃棄されることになるインク量を低減することができ、また、インク充填にかかる時間を短縮して、記録開始までの待機時間を低減できる。
本発明第1の実施形態、インクジェット記録ヘッドのバッファ室除去工程製造工程における手順を説明する図であり、(a)はフローチャート、(b)、(c)、(d)は、この手順におけるインクジェット記録ヘッドの状態を模式的に示す断面図である。 本発明第1の実施形態、インクジェット記録ヘッドの状態を模式的に示す断面図である。 本発明第1の実施形態、インクジェット記録ヘッドの保管・物流形態を模式的に示す斜視図である。 本発明第2の実施形態、インクジェット記録ヘッドのバッファ室除去工程における状態を模式的に示す断面図である。 記録インク充填、純水置換でバッファ室に浸入する状態を示すインクジェット記録ヘッドの断面図である。 従来技術の物流インク充填によるインクジェット記録ヘッドの製造工程における組立から保管・物流までの手順を説明する図であり、(a)はフローチャート、(b)、(d)はバッファ室を搭載していない断面図、(c)、(e)はバッファ室を搭載している断面図で、この手順におけるインクジェット記録ヘッドの状態を模式的に示す。 従来技術バッファ室が搭載されてないインクジェット記録ヘッドの製造工程における組立から保管・物流までの手順を説明する図であり、(a)はフローチャート、(b)、(c)、(d)、は、この手順におけるインクジェット記録ヘッドの状態を模式的に示す断面図である。 従来技術におけるインクジェット記録ヘッドの保管・物流形態を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
10 インクジェット記録ヘッド
11 インクカートリッジ接続口
12 インク流路
13 吐出口ユニット
14 インク供給口
15 共通液室
16 吐出口
17 吐出口面
18 フィルタ
19 シールゴム
20 バッファ室
26 インクカートリッジ
31 記録用インク
32 物流用インク
33 純水
34、35 清掃空気
36 大気
37 気液交換
40 吸引キャップ
41 ノズル
42 ポンプ
43 圧力弁
53 記録装置用収納箱
55 記録ヘッド収納箱
60 インクジェット記録装置
61 キャリッジ
62 インク吸引キャップ

Claims (2)

  1. インクを吐出する複数の吐出口と、複数の吐出口にインクを供給するための共通液室と、該共通液室にインクを導くインク流路と、該インク流路のインク導入箇所に配されたフィルタと、該フィルタから該吐出口までの流路内にインクの吐出によって生じる共通液室内のインクの振動を抑制するためのバッファ室とを備えたインクジェット記録ヘッドのインク流路内が空になった形態の出荷・保管に際し、インク吐出状態検査後のインクをインク流路内に純水を供給し、該インク流路内に純水を充填する工程を備え、純水が充填されたインク流路内に清浄空気を供給して純水をインク流路から除去するインクジェット記録ヘッドのバッファ室液体除去方法において、
    前記インク流路内に純水を充填する工程でバッファ室に浸入した純水を除去する際に、吐出口より吸引し、フィルタ側を塞ぎインク流路内の減圧を高くし、前記吐出口より吸引した状態でフィルタ側を開放し、大気を導入することを特徴とするインクジェット記録ヘッドのバッファ室液体除去方法。
  2. 前記バッファ室除去方法として、吐出口より吸引し、フィルタ側を塞ぎインク流路内の減圧を高くし、前記吐出口より吸引した状態でフィルタ側より加圧清浄空気を供給することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドのバッファ室液体除去方法。
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