JP2009262338A - 光情報記録媒体、情報記録再生方法および新規フタロシアニン誘導体 - Google Patents

光情報記録媒体、情報記録再生方法および新規フタロシアニン誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】波長450nm以下の短波長のレーザー光を照射して情報の高密度記録および再生が可能であり、かつ優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供すること。
【解決手段】波長450nm以下のレーザー光を照射することにより情報を記録するために使用される光情報記録媒体。基板上に、下記一般(I)で表されるフタロシアニン誘導体を含有する記録層を有する。

【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー光を用いて情報の記録および再生が可能な光情報記録媒体および情報記録方法に関するものである。特に本発明は、波長450nm以下の短波長レーザー光を用いて情報を記録するために使用されるヒートモード型の光情報記録媒体に関するものである。
更に本発明は、波長450nm以下の短波長レーザー光を用いる情報記録における記録用色素として好適な新規フタロシアニン誘導体に関する。
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層をこの順に有する積層構造である。このCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが上市されている。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを上記記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD−Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能であるとされている。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度までは確保しているものの、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量を有しているとは言えない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザー光を用いることによって記録密度を向上させ、より大きな記録容量を備えた光ディスクの開発が進められている。
例えば特許文献1〜15には、短波長レーザー光を用いる記録再生方法として、有機色素を含む記録層を有する光情報記録媒体において、記録層側から光反射層側に向けて波長530nm以下のレーザー光を照射することにより、情報の記録再生を行う記録再生方法が開示されている。具体的には、記録層の色素として、ポルフィリン化合物、アゾ系色素、金属アゾ系色素、キノフタロン系色素、トリメチンシアニン色素、ベンジリデン色素、クマリン化合物、ナフタロシアニン化合物等を用いた光ディスクに、青色(波長430nm、488nm)または青緑色(波長515nm)のレーザー光を照射することにより情報の記録再生を行う情報記録再生方法が提案されている。また、特定のフタロシアニンを記録用色素として用いることで良好な記録が可能であることが特許文献16に提案されている。更に、特許文献17〜32にも、上記青色レーザー光記録ディスク用の色素が記載されている。
特開平4−74690号公報 特開平7−304256号公報 特開平7−304257号公報 特開平8−127174号公報 特開平11−53758号公報 特開平11−334204号公報 特開平11−334205号公報 特開平11−334206号公報 特開平11−334207号公報 特開2000−43423号公報 特開2000−108513号公報 特開2000−113504号公報 特開2000−149320号公報 特開2000−158818号公報 特開2000−228028号公報 特開2002−301870号公報 特開2001−287460号公報 特開2001−287465号公報 特開2001−253171号公報 特開2001−39034号公報 特開2000−318313号公報 特開2000−318312号公報 特開2000−280621号公報 特開2000−280620号公報 特開2000−263939号公報 特開2000−222772号公報 特開2000−222771号公報 特開2000−218940号公報 特開2001−287465号公報 米国特許出願公開第2002/76648号明細書 特開2002−301870号公報 特開2003−94828号公報
上記特許文献において提案された記録用色素の中で、とりわけフタロシアニン色素は、高い光・湿熱安定性を有することから、実用的に好ましい。しかしながら、本発明者らの検討によれば、一般にフタロシアニンのUV領域における吸収(soret帯吸収と称せられる)の強度は、波長450nm以下の短波長レーザーの発振波長において不充分であり、記録感度の点で不十分であった。
そこで本発明の目的は、波長450nm以下の短波長のレーザー光、とりわけ汎用性の高い波長405nm近辺の半導体レーザー光を照射して情報の高密度記録および再生が可能であり、かつ優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する色素残基を導入した特定構造のフタロシアニン誘導体が、波長450nm以下の短波長レーザー光を使用する記録において高い記録感度を示すことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記手段により達成された。
[1]波長450nm以下のレーザー光を照射することにより情報を記録するために使用される光情報記録媒体であって、
基板上に、下記一般(I)で表されるフタロシアニン誘導体を含有する記録層を有することを特徴とする光情報記録媒体。
[一般式(I)中、Rは置換基を表し、nは0〜15の範囲の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するRは同じでも異なってもよい。Mは配位子を有してもよい金属原子、金属酸化物、または水素原子2個を表す。Lは2価の連結基を表し、Vは波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する基を表す。mは1〜15の範囲の整数を表し、mが2以上の場合、複数存在するLおよびVは同じでも異なってもよい。nとmの和は1〜16の範囲である。]
[2]一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体の波長405nmにおける消衰係数kは、0.2<k<0.6である[1]に記載の光情報記録媒体。
[3]一般式(I)においてmが1〜4の範囲の整数である[1]または[2]に記載の光情報記録媒体。
[4]一般式(I)においてLがスルホニル基を含む[1]〜[3]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[5]一般式(I)においてVがアゾ色素残基である[1]〜[4]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[6]一般式(I)においてVがテトラシアノキノジメタン誘導体残基である[1]〜[4]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[7]一般式(I)においてMに含まれる金属が銅、パラジウム、マグネシウム、バナジウム、亜鉛または珪素である[1]〜[6]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[8]一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、下記一般式(II)で表されるフタロシアニン誘導体である[1]に記載の光情報記録媒体。
[一般式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜16のアルキル基または炭素数6〜24のアリール基またはヘテロアリール基を表し、L’はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基またはアリーレンオキシ基を表し、V’は波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有するアゾ色素残基を表す。]
[9]前記基板は、少なくとも一方の表面にトラックピッチ50〜500nmのプレグルーブを有し、前記記録層を該プレグルーブを有する表面上に有する[1]〜[8]のいずれかに記載の光情報記録媒体。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法。
[11]下記一般式(II)で表されるフタロシアニン誘導体。
[一般式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜16のアルキル基または炭素数6〜24のアリール基またはヘテロアリール基を表し、L’はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基またはアリーレンオキシ基を表し、V’は波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有するアゾ色素の残基を表す。]
本発明によれば、短波長レーザー光による記録において優れた記録特性を発揮する光情報記録媒体を提供することができる。
[光情報記録媒体]
本発明の光情報記録媒体は、波長450nm以下のレーザー光を照射することにより情報を記録するために使用される光情報記録媒体であって、Blu−ray方式と称される光記録ディスク(Blu−ray Disc、以下、「BD」ともいう)等の短波長レーザーにより情報の記録を行う高密度記録用光ディスクとして好適である。
光情報記録において高い記録感度を得るためには、照射されるレーザー光の波長域に強い吸収を有する色素を記録用色素として使用することが好ましい。フタロシアニン色素は、一般にQ帯吸収と呼ばれる600nm〜900nmの強い主吸収と、Soret帯吸収と呼ばれる300nm〜500nmの副吸収を有することが知られている。従来の追記型光ディスクへ情報を記録するために照射されるレーザー光は、波長600nm以上であったため、フタロシアニン色素の主吸収(Q帯吸収)を利用し、高感度記録を行うことが可能であった。しかし、従来の追記型光ディスクに使用されていたフタロシアニン色素は、UV領域における吸収(Soret帯吸収)の強度は、波長450nm以下のレーザー光を用いた記録において十分な感度を得るには不十分であった。これに対し、下記一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する色素残基を有することによりUV領域に高い吸収を有する。本発明の光情報記録媒体は、上記フタロシアニン誘導体を記録用色素として使用することにより、波長450nm以下のレーザー光を用いて高感度で記録を行うことができる。
以下、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体について、更に詳細に説明する。
一般式(I)中、Rは置換基を表す。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数7〜15のアラルキル基、炭素数1〜10のヘテロ環基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜21のアシル基、炭素数2〜21のアルキルスルホニル基、炭素数6〜21のアリールスルホニル基、炭素数2〜21のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜21のアリールスルフィニル基、炭素数1〜25のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜21のアリールカルバモイル基、炭素数1〜32のアルキルスルファモイル基、炭素数6〜21のアリールスルファモイル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜21のアシルアミノ基、炭素数1〜20のスルホニルアミノ基、炭素数0〜36のアミノ基を挙げることができる。
Rとして好ましくは炭素数2〜21のアルキルスルホニル基、炭素数6〜21のアリールスルホニル基、炭素数2〜21のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜21のアリールスルフィニル基、炭素数1〜25のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜21のアリールカルバモイル基、炭素数1〜32のアルキルスルファモイル基、炭素数6〜21のアリールスルファモイル基、炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基、であり、より好ましくは炭素数2〜21のアルキルスルホニル基、炭素数6〜21のアリールスルホニル基、炭素数1〜25のアルキルカルバモイル基、炭素数6〜21のアリールカルバモイル基、炭素数1〜32のアルキルスルファモイル基、炭素数6〜21のアリールスルファモイル基である。
フタロシアニン誘導体に置換されるRの置換位置はフタロシアニン環のα位であることが好ましい。フタロシアニン環のα位とは、一般にフタロシアニン環を形成する部分構造であるベンゾピロール環においてピロール環に近い側の置換位置を指し、具体的には下記フタロシアニン一般構造においてRα1〜Rα8が置換している位置である。なお下記一般構造においてRα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8の互いに隣接するものは環を形成してもよいが、Rα1〜Rα8、Rβ1〜Rβ8はすべて環を形成していないものであることが好ましい。フタロシアニン誘導体に置換されるR1,R2の置換位置がフタロシアニン環のα位であることにより、フタロシアニン誘導体が記録層を形成する際に好適なアモルファス性を付与することが可能となる。
nは0〜15の範囲の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するRは同じでも異なってもよい。nとして好ましくは3〜7の範囲の整数であり、最も好ましくは3である。
Mは配位子を有してもよい金属原子、金属酸化物、または水素原子2個を表す。450nm以下のレーザー光による光情報記録用色素として適当な吸収波形を示すという観点から、Mに含まれる金属は、銅、鉄、コバルト、パラジウム、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、ガリウム、亜鉛または珪素であることが好ましく、銅、パラジウム、マグネシウム、バナジウム、亜鉛または珪素であることが更に好ましい。
Lは2価の連結基を表す。Lの例としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜20、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜26、例えばフェニレン基、ナフチレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2〜20、例えばエテニレン基、プロペニレン基)、アルキニンレン基(好ましくは炭素数2〜20、例えばエチニレン基、プロピニレン基)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイレン基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、ヘテリレン基(好ましくは炭素数1〜26、例えば6−クロロ−1,3,5−トリアジル−2,4−ジイル基、ピリミジン−2,4−ジイル基)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0以上100以下、好ましくは1以上20以下の連結基が挙げられる。
Lとして好ましくはアミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、スルホニル基、チオエーテル基、エーテル基であり、さらに好ましくはスルホアミド基、スルホニル基、チオエーテル基、エーテル基を含む基が好ましく、よりいっそう好ましくはスルホアミド基またはスルホニル基を含む基であり、最も好ましくはスルホニル基を含む基である。スルホニル基を含む基としては、炭素数1〜8のアルキレンスルホニル基、炭素数6〜12のアリーレンスルホニル基、炭素数1〜8のアルキレンオキシスルホニル基、炭素数6〜12のアリーレンオキシスルホニル基などが挙げられる。また、これらスルホニル基を含む基は、さらに他の連結基を介してVと連結されることが好ましい。
Vは波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する基を表す。「波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する基」とは、連結鎖部分を取り除いたV−Hの形のときの最大吸収波長が350nm〜450nmの範囲に存在することを意味する。即ち、Vは波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する色素残基であり、V−Hの形のときの溶液吸収(例えば、テトラフルオロプロパノール溶液)の最大吸収波長が350nm〜450nmの範囲となる。
Vとしては、V−Hの形のときのテトラフルオロプロパノール溶液吸収の350nm〜450nmの範囲での最大吸収の吸光係数が1000cm-1・mol-1・l以上であることが好ましく、より好ましくは5000cm-1・mol-1・l以上であり、最も好ましくは10000cm-1・mol-1・l以上である。上限値は特に限定されるものではないが、例えば100000cm-1・mol-1・l以下である。
Vの例としてポルフィリン化合物、アゾ系色素、金属アゾ系色素、キノフタロン系色素、シアニン色素、オキソノール色素、ベンジリデン色素、クマリン化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリジニウム化合物、キノン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、スチルベン化合物、クマリン色素、ピロン色素などの残基が挙げられ、好ましくはアゾ色素またはテトラシアノキノジメタン誘導体の残基である。なお、本発明において「残基」とは、V−Hで表される化合物から水素原子が解離しVの形になった基をいう。
mは1〜15の範囲の整数を表し、mが2以上の場合、複数存在するLおよびVは同じでも異なってもよい。nとmの和は1〜16の範囲である。好ましくは、mは1〜4の範囲の整数であり、より好ましくは1〜3の範囲の整数であり、最も好ましくは1である。
前記フタロシアニン誘導体は任意の位置で結合して多量体を形成していてもよく、この場合の各単位は互いに同一でも異なっていてもよく、またポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、セルロース等のポリマー鎖に結合していてもよい。
一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、波長405nmにおける消衰係数kが、0.05<k<0.8であることが好ましい。
消衰係数kが0.05超であれば、十分な記録感度を得ることができ、0.8より低ければ再生耐久性が良好である。これは、再生光の吸収量が多いために、温度上昇が色素分解温度域まで進行することに起因すると考えられる。消衰係数kは、記録感度および再生耐久性の観点から、より好ましくは0.1<k<0.7であり、最も好ましくは0.2<k<0.6である。
消衰係数kは、フタロシアニン誘導体を適当な溶媒に溶解して調製した塗布液を用いて色素膜を形成し、この色素膜について、例えば分光エリプソメトリ装置(J.A.ウーラムジャパン社製、型式 M−2000)を用いて測定解析することにより求められる値をいうものとする。例えば、フタロシアニン誘導体2gを2,2,2,3−テトラプロパノール100mlに溶解して得られた色素含有塗布液を、厚さ1.1mmのガラス板上に、スピンコート法により回転数500〜1000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布して形成した色素膜に対して、上記測定装置を用いて測定される値を、消衰係数kとすることができる。
一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体の好ましい態様としては、下記一般式(II)で表されるフタロシアニン誘導体を挙げることができる。
一般式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜16のアルキル基または炭素数6〜24のアリール基またはヘテロアリール基を表す。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられ、好ましくはi-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基である。アリール基またはヘテロアリール基の例として、フェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ピリジル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
L’はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基またはアリーレンオキシ基を表す。
L’として好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基である。
また、L’とスルホニル基を含む基は、V'と−CONH−、−COO−、および−CO−から選ばれる基を介して連結されていることが好ましい。
V’は波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有するアゾ色素残基を表す。アゾ色素残基となるアゾ色素は、波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有するものであれば良いが、好ましくは下記一般式(III)で表されるものである。
一般式(III)中、Q1はアリール基またはヘテロ環基を表し、へテロ環基であることが好ましい。
Q1がアリール基の場合、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基が好ましく、更に好ましくは、炭素数6〜20の置換または無置換のベンゼンである。なお、本発明において、ある基について「炭素数」とは、置換基を有する基については、該置換基を含まない部分の炭素数をいうものとする。
Q1がヘテロ環である場合、置換または無置換の5員ヘテロ環、または置換もしくは無置換の6員のヘテロ環が好ましい。さらに好ましくは窒素原子を1つ以上含む炭素数1〜20の5員のヘテロ環である。これらはさらにベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環などで縮環されていてもよい。
Q1としては炭素数3〜25のオキサゾール核(例えば、2−3−メチルオキサゾリル)、炭素数3〜25のチアゾール核(例えば、2−3−メチルチアゾリル)、炭素数3〜25のイミダゾール核(例えば、2−1,3−ジエチルイミダゾリル)、炭素数10〜30のインドレニン核(例えば、3,3−ジメチルインドレニン)、炭素数9〜25のキノリン核(例えば、2−1−メチルキノリル)、炭素数3〜25のセレナゾール核(例えば、2−3−メチルベンゾセレナゾリル)、炭素数5〜25のピリジン核(例えば、2−ピリジル)、チアゾリン核、オキサゾリン核、セレナゾリン核、テルラゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、イミダゾリン核、イミダゾ[4,5−キノキザリン]核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核、ピロール核、ピラゾール核、ピラゾロン核、ピリジン核、イソオキサゾール核、トリアゾール核、バルビツール酸、メルドラム酸を挙げることができる。これらはさらに置換基を有していてもよい。
一般式(III)中、Q2はアリール基、ヘテロ環基またはCR11R12で表される基を表す。ここで、R11およびR12は、それぞれ独立に置換基を表し、但し、R11で表される置換基とR12で表される置換基のハメットのσp値の合計値は0.6以上である。ハメットのσp値の合計値が0.6以上であれば、吸収特性および熱分解性の点で好ましい特性を示すフタロシアニン誘導体を得ることができる。ハメットの置換基定数σp値(以下、σp値という)は、例えばChem.Rev.91,165(1991)およびこれに引用されている参考文献に記載されており、記載されていないものについても同文献記載の方法によって求めることが可能である。
Q2がアリール基の場合、置換または無置換の炭素数6〜20のアリール基が好ましく、更に好ましくは、炭素数6〜20の置換または無置換のベンゼンである。
Q2がヘテロ環である場合、置換または無置換の5員ヘテロ環、または置換もしくは無置換の6員のヘテロ環が好ましい。さらに好ましくは窒素原子を1つ以上含む炭素数1〜20の5員のヘテロ環である。
Q2がCR11R12で表される基である場合、R11で表される置換基とR12で表される置換基は、ハメットのσp 値がどちらも0.6以上であることが好ましい。このようなR11、R12の例としてシアノ基、ニトロ基、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基)、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基)、炭素数7〜11のアリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、炭素数1〜10のカルバモイル基(例、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基)、炭素数1〜10のアルキルスルホニル基(例、メタンスルホニル基)、炭素数6〜10のアリールスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル基)、炭素数1〜10のアルコキシスルホニル基(例、メトキシスルホニル基)、炭素数1〜10のスルファモイル基(例、エチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基)、炭素数1〜10のアルキルスルフィニル基(例、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基)、炭素数6〜10のアリールスルフィニル基(例、ベンゼンスルフィニル基)、炭素数1〜10のアルキルスルフェニル基(例、メタンスルフェニル基、エタンスルフェニル基)、炭素数6〜10のアリールスルフェニル基(例、ベンゼンスルフェニル基)、ハロゲン原子、炭素数2〜10のアルキニル基(例、エチニル基)、炭素数2〜10のジアシルアミノ基(例、ジアセチルアミノ基)、ホスホリル基、カルボキシル基、5員もしくは6員のヘテロ環基(例えば、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、3−ピリジル基、5−(1H)−テトラゾリル基、4−ピリミジル基)を挙げることができる。
R11、R12として好ましくはシアノ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、5員もしくは6員のヘテロ環基であり、より好ましくは炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基であり、最も好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基である。
一般式(III)で表される化合物は、下記一般式(III-1)または(III-2)で表されることが好ましい。
一般式(III-1)中、A1は、これが結合している炭素原子および窒素原子とともに複素環を形成する原子団を表す。一般式(III-2)中、A2は、これが結合している炭素原子および窒素原子とともに複素芳香環を形成する原子団を表す。
1、A2により形成される複素芳香環としては、好ましくはチアゾール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、イソキサゾール環又はトリアゾール環であり、更に好ましくはオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、イソキサゾール環またはトリアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環、チアジアゾール環、イソキサゾール環である。
Q3、Q4は一般式(III)のQ2と同義であり、具体的な例および好ましい範囲も同様である。
上記の各基は、置換基を有することもできる。置換基を有する場合、置換基としては、例えば、炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、メトキシエチル基、エトキシカルボニルエチル基、シアノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ヒドロキシエチル基、クロロエチル基、アセトキシエチル基、トリフルオロメチル基等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)のアルケニル基(例、ビニル基等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)のアルキニル基(例、エチニル基等);炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜10)の置換もしくは無置換のアリール基(例、フェニル基、4−メチルフェノル基、4−メトキシフェニル基、4−カルボキシフェニル基、3,5−ジカルボキシフェニル基等);炭素数7〜18(好ましくは炭素数7〜12)の置換もしくは無置換のアラルキル基(例、ベンジル基、カルボキシベンジル基等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシル基(例、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、クロロアセチル基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルキルまたはアリールスルホニル基(例、メタンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)のアルキルスルフィニル基(例、メタンスルフィニル基、エタンスルフィニル基、オクタンスルフィニル基等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)のアルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等);炭素数7〜18(好ましくは炭素数7〜12)のアリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、4−メトキシフェニルカルボニル基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、メトキシエトキシ基等);炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜10)の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例、フェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)のアルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基等);炭素数6〜10(好ましくは炭素数1〜8)のアリールチオ基(例、フェニルチオ基等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例、アセトキシ基、エチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルキシ基、ベンゾイルオキシ基、クロロアセチルオキシ基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ基等);炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ基、ジエチルカルバモイルオキシ基等);無置換のアミノ基、もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換アミノ基(例、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基、メトキシフェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、n−ブトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、エチルチオカルバモイルアミノ基、メチルスルファモイルアミノ基、フェニルスルファモイルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、エチルチオカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、クロロアセチルアミノ基、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)のアミド基(例、アセトアミド基、アセチルメチルアミド基、アセチルオクチルアミド基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のウレイド基(例、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ジメチルウレイド基等);炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、n−ブチルカルバモイル基、t−ブチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルバモイル基、ピロリジノカルバモイル基等);無置換のスルファモイル基もしくは炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜8)の置換スルファモイル基(例、メチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基等);ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等);水酸基;メルカプト基;ニトロ基;シアノ基;カルボキシル基;スルホ基;ホスホノ基(例、ジエトキシホスホノ基等);ヘテロ環基(例、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、インドレニン環、ピリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、スルホラン環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、ピロール環、クロマン環、およびクマリン環など)が挙げられる。
以下に、V−HおよびV’−Hとして好ましいアゾ化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、本発明で用いられるフタロシアニン誘導体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。またこれらは置換位置異性体の混合物であっても、単一の異性体であっても良い。
表1中、V-1〜4は以下の色素残基(連結部を*で示す)を表す。
上記V-1〜V-4に対し、V-Hの形のときのテトラフルオロプロパノール溶液吸収データ(最大吸収波長および最大吸収波長における吸光係数)を下記表2に示す。
一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、例えば白井−小林共著、(株)アイピーシー発行「フタロシアニン−化学と機能−」(P.1〜62)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(P.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法により合成することができる。
本発明の光情報記録媒体は、記録用色素として、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体を1種含むこともでき、2種以上含むこともできる。前記記録層中の一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体の含有率は、記録層の全質量に対して、例えば1〜100質量%の範囲であり、好ましくは70〜100質量%の範囲であり、より好ましくは80〜100質量%の範囲であり、最も好ましくは90〜100質量%の範囲である。
本発明の光情報記録媒体は、前記記録層を基板上に少なくとも一層有するものであればよく、前記記録層を二層以上有することもできる。または、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体を含む記録層以外の記録層を有することも可能である。一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体を含む記録層において、記録用色素として他の色素を併用する場合、全色素成分に対する一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体の割合が、70〜100質量%であることが好ましく、80〜100質量%であることが更に好ましい。
本発明において、色素成分として、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体以外の色素を使用する場合、該色素としては、例えば波長450nm以下の短波長領域において吸収を有するものが好ましい。そのような色素としては、特に限定されないが、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体以外のフタロシアニン色素、オキソノール色素、シアニン色素等が挙げられる。
本発明の光情報記録媒体において、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体を含む記録層は、レーザー光の照射により情報の記録が可能な層である。ここで、レーザー光の照射により情報の記録が可能とは、記録層のレーザー光が照射された部分がその光学的特性を変えることをいう。光学的特性の変化は、記録層のレーザー光が照射された部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えば、ピットの生成)を生じすることによってもたらされると考えられる。記録層に記録された情報の読み取り(再生)は、例えば記録用のレーザー光と同様の波長のレーザ光を照射することにより、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率等の光学的特性の違いを検出することにより行うことができる。一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、例えば450nm以下のレーザー光に対して強い吸収性を有するものである。このように短波長領域に強い吸収性を有するフタロシアニン誘導体を含む記録層を有する本発明の光情報記録媒体は、405nmの青色レーザーを用いるBlu−ray方式の光ディスクなどの短波長レーザーによる記録が可能な大容量光ディスクとして好適である。本発明の光情報記録媒体への情報の記録方法については後述する。
本発明の光情報記録媒体は、少なくとも前記記録層を基板上に有するものであり、更に、前記記録層に加えて光反射層、保護層などを有することもできる。
本発明に用いられる基板としては、従来の光情報記録媒体の基板材料として用いられている各種の材料を任意に選択して使用することができる。基板としては、透明な円盤状基板を用いることが好ましい。
具体的には、ガラス;ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;アルミニウム等の金属;等を挙げることができ、所望によりこれらを併用してもよい。
前記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および低価格等の点から、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。これらの樹脂を用いた場合、射出成型を用いて基板を作製することができる。
また、基板の厚さは、一般に0.7〜2mmの範囲であり、0.9〜1.6mmの範囲であることが好ましく、1.0〜1.3mmとすることがより好ましい。
なお、後述する光反射層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上の目的で、下塗層を形成することもできる。
前記基板の記録層が形成される面には、通常、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プリグルーブ)が形成されている。前記プリグルーブのトラックピッチは、好ましくは50〜500nmの範囲である。トラックピッチが50nm以上であれば、プリグルーブを正確に形成することができる上に、クロストークの発生を回避することができ、500nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。本発明の光情報記録媒体は、より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べてより狭いトラックピッチを形成した基板を用いることが好ましい。トラックピッチの好ましい範囲等の詳細は後述する。
本発明の光情報記録媒体の好ましい態様としては、厚さ0.7〜2mmの基板上に、色素を含有する追記型記録層と、厚さ0.01〜0.5mmのカバー層とを基板側から順に有する光情報記録媒体(以下、「態様(1)」という)を挙げることができる。
態様(1)においては、基板に形成されるプリグルーブのトラックピッチが50〜500nm、溝幅が25〜250nm、溝深さが5〜150nmであることが好ましい。
以下、態様(1)の光情報記録媒体について更に詳細に説明する。但し、本発明の光情報記録媒体は、態様(1)に限定されるものではない。
[態様(1)の光情報記録媒体]
態様(1)の光情報記録媒体は、少なくとも、基板と、追記型記録層と、カバー層とを有する態様である。態様(1)の光情報記録媒体は、ブルーレイ方式の記録用媒体として好適である。ブルーレイ方式では、カバー層側からレーザ光を照射し情報の記録再生が行われ、通常、基板と記録層との間に反射層が設けられる。従って、レーザ光は、上記反射層と対向する面とは反対の面側から記録層へ照射される。
態様(1)の光情報記録媒体の具体例を、図1に示す。図1に示す第1光情報記録媒体10Aは、第1基板12上に、第1光反射層18と、第1追記型記録層14と、バリア層20と、第1接着層または第1粘着層22と、カバー層16とをこの順に有する。
以下に、これらを構成する材料について順次説明する。
基板
態様(1)の基板には、トラックピッチ、溝幅(半値幅)、溝深さ、およびウォブル振幅のいずれもが下記の範囲である形状を有するプリグルーブ(案内溝)が形成されている。このプリグルーブは、CD−RやDVD−Rに比べてより高い記録密度を達成するために設けられたものであり、例えば、本発明の光情報記録媒体を、青紫色レーザに対応する媒体として使用する場合に好適である。
プリグルーブのトラックピッチは、50〜500nmの範囲である。トラックピッチが50nm以上であれば、プリグルーブを正確に形成することができる上に、クロストークの発生を回避することができ、500nm以下であれば、高密度記録を行うことができる。プリグルーブのトラックピッチは、100nm以上420nm以下であることが好ましく、200nm以上370nm以下であることがより好ましく、260nm以上330nm以下であることが更に好ましい。
プリグルーブの溝幅(半値幅)は、25〜250nmの範囲であり、50nm以上240nm以下であることが好ましく、80nm以上230nm以下であることがより好ましく、100nm以上220nm以下であることが更に好ましい。プリグルーブの溝幅が25nm以上であれば、成型時に溝を十分に転写することができ、さらに記録時のエラーレート上昇を抑制することができ、250nm以下であれば、同じく成型時に溝を十分に転写することができ、更に記録時に形成されるピットの広がりによりクロストークが発生することを回避することができる。
プリグルーブの溝深さは、5〜150nmの範囲である。プリグルーブの溝深さが5nm以上であれば十分な記録変調度を得ることができ、150nm以下であれば、高い反射率を得ることができる。プリグルーブの溝深さは、10nm以上85nm以下であることが好ましく、20nm以上80nm以下であることがより好ましく、28nm以上75nm以下であることが更に好ましい。
また、プリグルーブの溝傾斜角度は、上限値が80°以下であることが好ましく、75°以下であることがより好ましく、70°以下であることが更に好ましく、65°以下であることが特に好ましい。また、下限値は、20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。
プリグルーブの溝傾斜角度が20°以上であれば、十分なトラッキングエラー信号振幅を得ることができ、80°以下であれば成型性が良好である。
追記型記録層
態様(1)の追記型記録層は、色素を、結合剤等と共にまたは結合剤を用いないで適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を基板上または後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成することができる。ここで、追記型記録層は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布液を塗布する工程が複数回行なわれることになる。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の調製に用いる溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、さらに、結合剤、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。塗布方法としては、スピンコート法が好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、23〜50℃の範囲であることが特に好ましい。
追記型記録層の厚さは、ランド(前記基板において凸部)上で、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましく、180nm以下であることが特に好ましい。下限値としては1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましく、5nm以上であることが更に好ましく、7nm以上であることが特に好ましい。
また、追記型記録層の厚さは、グルーブ上(前記基板において凹部)で、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましく、250nm以下であることが更に好ましい。下限値としては、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることが更に好ましい。
更に、ランド上の追記型記録層の厚さ/グルーブ上の追記型記録層の厚さの比は、0.1以上であることが好ましく、0.13以上であることがより好ましく、0.15以上であることが更に好ましく、0.17以上であることが特に好ましい。上限値としては、1未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.85以下であることが更に好ましく、0.8以下であることが特に好ましい。
また、追記型記録層には、追記型記録層の耐光性をさらに向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。本発明においてもこの一重項酸素クエンチャーを混合させることによって更なる耐光性の向上が期待できる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
カバー層
態様(1)のカバー層は、通常、上述した追記型記録層上に、または図1に示すようにバリア層上に、接着剤や粘着剤を介して貼り合わされる。
カバー層としては、透明な材質のフィルムであれば、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン;ポリエステル;三酢酸セルロース等を使用することが好ましく、中でも、ポリカーボネートまたは三酢酸セルロースを使用することがより好ましい。
なお、「透明」とは、記録および再生に用いられる光に対して、透過率80%以上であることを意味する。
また、カバー層は、本発明の効果を妨げない範囲において、種々の添加剤が含有されていてもよい。例えば、波長400nm以下の光をカットするためのUV吸収剤および/または500nm以上の光をカットするための色素が含有されていてもよい。
更に、カバー層の表面物性としては、表面粗さが2次元粗さパラメータおよび3次元粗さパラメータのいずれも5nm以下であることが好ましい。
また、記録および再生に用いられる光の集光度の観点から、カバー層の複屈折は10nm以下であることが好ましい。
カバー層の厚さは、記録および再生のために照射されるレーザ光の波長やNAにより、適宜、規定することができるが、本発明においては、0.01〜0.5mmの範囲内であることが好ましく、0.05〜0.12mmの範囲であることがより好ましい。
また、カバー層と、接着剤または粘着剤からなる層と、を合わせた総厚は、0.09〜0.11mmであることが好ましく、0.095〜0.105mmであることがより好ましい。
なお、カバー層の光入射面には、光情報記録媒体の製造時に、光入射面が傷つくことを防止するための保護層(図1に示す態様ではハードコート層44)が設けられていてもよい。
カバー層と追記型記録層またはバリア層を貼り合わせるために、両層の間に接着層または粘着層を設けることができる。
接着層に使用される接着剤としては、UV硬化樹脂、EB硬化樹脂、熱硬化樹脂等を使用することが好ましい。
接着剤としてUV硬化樹脂を使用する場合は、該UV硬化樹脂をそのまま、またはメチルエチルケトン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、ディスペンサからバリア層表面に供給してもよい。また、作製される光情報記録媒体の反りを防止するため、接着層を構成するUV硬化樹脂としては硬化収縮率の小さいものを使用することが好ましい。このようなUV硬化樹脂としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の「SD−640」等のUV硬化樹脂を挙げることができる。
接着層の形成方法は特に限定されないが、バリア層または追記型記録層の表面(被貼り合わせ面)上に、接着剤を所定量塗布し、その上にカバー層を載置した後、スピンコートにより接着剤を、被貼り合わせ面とカバー層との間に均一になるように広げた後、硬化させることが好ましい。
接着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは1〜30μmの範囲である。
粘着層に使用される粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系の粘着剤を使用することができる。透明性、耐久性の観点から、アクリル系の粘着剤が好ましい。アクリル系粘着剤としては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどを主成分とし、凝集力を向上させるために、短鎖のアルキルアクリレートやメタクリレート、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートと、架橋剤との架橋点となり得るアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド誘導体、マレイン酸、ヒドロキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレートなどとを共重合したものを用いることが好ましい。主成分、短鎖成分および架橋点を付加するための成分との混合比率およびそれら成分の種類を、適宜調節することにより、ガラス転移温度(Tg)や架橋密度を変えることができる。
前記ガラス転移温度(Tg)は、ガラス転移温度Tgが0℃以下であることが好ましく、−15℃以下であることがより好ましく、−25℃以下であることがさらに好ましい。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、Seiko Instruments Inc.製DSC6200Rを用い、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法によって測定できる。
粘着剤の調製方法としては、例えば、特開2003−217177号公報、特開2003−203387号公報、特開平9−147418号公報等に記載の方法等を用いることができる。
粘着層の形成方法は特に限定されないが、バリア層または追記型記録層の表面(被貼り合わせ面)上に、粘着剤を所定量均一に塗布し、その上にカバー層を載置した後、硬化させてもよいし、予め、カバー層の片面に、所定量の粘着剤を均一に塗布して粘着剤塗膜を形成しておき、該塗膜を被貼り合わせ面に貼り合わせ、その後、硬化させてもよい。
また、カバー層に、予め、粘着層が設けられた市販の粘着フィルムを用いてもよい。
粘着層の厚さは、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmの範囲、更に好ましくは10〜30μmの範囲である。
またカバー層は、UV硬化樹脂を利用してスピンコーティング法により形成してもよい。
その他の層
態様(1)の光情報記録媒体は、本発明の効果を損なわない範囲においては、上記の必須の層に加え、他の任意の層を有していてもよい。他の任意の層としては、例えば、基板の裏面(追記型記録層が形成された側と逆側の非形成面側)に形成される、所望の画像を有するレーベル層や、基板と追記型記録層との間に設けられる光反射層(詳細は後述する)、追記型記録層とカバー層との間に設けられるバリア層(詳細は後述する)、該光反射層と追記型記録層との間に設けられる界面層などが挙げられる。ここで、前記レーベル層は、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、および熱乾燥樹脂などを用いて形成することができる。
なお、上記した必須および任意の層はいずれも、単層でも、多層構造でもよい。
態様(1)の光情報記録媒体では、レーザ光に対する反射率を高めたり、記録再生特性を改良する機能を付与するために、基板と追記型記録層との間に、光反射層を形成することが好ましい。
光反射層は、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質を、例えば、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板上に形成することができる。
光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲とし、30〜200nmの範囲とすることが好ましい。
なお、前記反射率は、70%以上であることが好ましい。
反射率が高い光反射性物質としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi等の金属および半金属またはステンレス鋼を挙げることができる。これらの光反射性物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Alおよびステンレス鋼である。特に好ましくは、Au、Ag、Alまたはこれらの合金であり、最も好ましくは、Au、Agまたはこれらの合金である。
バリア層(中間層)
態様(1)の光情報記録媒体においては、図1に示すように、追記型記録層とカバー層との間にバリア層を形成することが好ましい。
バリア層は、追記型記録層の保存性向上、追記型記録層とカバー層との接着性向上、反射率調整、熱伝導率調整等のために設けることができる。
バリア層に用いられる材料としては、記録および再生に用いられる光を透過する材料であり、上記の機能を発現し得るものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、一般的には、ガスや水分の透過性の低い材料であり、誘電体であることが好ましい。具体的には、Zn、Si、Ti、Te、Sn、Mo、Ge、Nb、Ta等の窒化物、酸化物、炭化物、硫化物からなる材料が好ましく、MoO2、GeO2、TeO、SiO2、TiO2、ZnO、SnO2、ZnO−Ga23、Nb25、Ta25が好ましく、SnO2、ZnO−Ga23、SiO2、Nb25、Ta25がより好ましい。
また、バリア層は、真空蒸着、DCスパッタリング、RFスパッタリング、イオンプレーティングなどの真空成膜法により形成することができる。中でも、スパッタリングを用いることがより好ましい。
バリア層の厚さは、1〜200nmの範囲が好ましく、2〜100nmの範囲がより好ましく、3〜50nmの範囲が更に好ましい。
[情報記録方法]
更に、本発明は、本発明の光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法に関する。
前述の好ましい態様(1)の光情報記録媒体に対する情報の記録は、例えば次のように行われる。
まず、光情報記録媒体を定線速度(例えば0.5〜10m/秒)または定角速度にて回転させながら、基板側または保護層側から半導体レーザ光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、レーザ光照射部分の光学的特性が変化して情報が記録される。図1に示す態様では、カバー層16側から半導体レーザ光等の記録用のレーザ光46を、第一対物レンズ42(例えば開口数NAが0.85)を介して照射する。このレーザ光46の照射により、追記型記録層14がレーザ光46を吸収して局所的に温度上昇し、物理的または化学的変化(例えばピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
本発明の情報記録方法では、波長450nm以下のレーザ光を照射することにより情報を記録する。記録光としては、450nm以下の範囲、好ましくは390〜415nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザ光が好適に用いられる。好ましい光源としては390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ光、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザ光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザ光を挙げることができる。特に、記録密度の点で390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザ光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザ光を基板側または保護層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
[フタロシアニン誘導体]
更に本発明は、一般式(II)で表されるフタロシアニン誘導体に関する。
本発明のフタロシアニン誘導体は、顔料、写真用材料、UV吸収材料、カラーフィルター用染料、色変換フィルターなどの各種用途に使用することができる。本発明のフタロシアニン誘導体は、光情報記録、特に短波長レーザ光照射による記録特性に優れるため、好ましくは、色素含有記録層を有する光情報記録媒体における記録層用色素として使用される。本発明のフタロシアニン誘導体およびその製造方法の詳細は、先に説明した通りである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[合成例1]
フタロシアニン化合物(1)0.56gをクロロホルム10mlに溶解し、塩化オキザリル0.5mlを添加して10分間加熱還流後、溶媒を留去した。残渣をヘキサンで洗浄し、フタロシアニン化合物(2)0.6gを得た。これをクロロホルム10mlに溶解し、アゾ色素(3)およびトリエチルアミン0.16mlを加えて10分間撹拌した。有機層を水、希塩酸水、塩水で洗浄後、溶媒を留去した残渣をメタノールで洗浄し、フタロシアニン化合物(I-1)0.5gを得た。λmax=675nm、348nm、 MS(+)=1437であった。
[合成例2]
フタロシアニン化合物(1)0.12g、テトラシアノキノジメタン誘導体(2) 0.14g、4-(N,N'-ジメチルアミノ)ピリジン 13mgをDMSO 3mlに溶解し、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド20mgを添加して2時間撹拌した。有機層を水、希塩酸水、塩水で洗浄後、溶媒を留去した残渣をメタノールで洗浄し、フタロシアニン化合物(I-3)0.1gを得た。λmax=674nm、348nm、MS(+)=1427であった。
合成例1、2に準じてフタロシアニン誘導体(I−2)、(I−4)〜(I−15)を合成した。
[実施例1〜15]
<光情報記録媒体の製造>
(基板の作製)
厚さ1.1mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のプリグルーブ(トラックピッチ:320nm、溝幅:グルーブ(凹部)幅190nm、溝深さ:47nm、溝傾斜角度:65°、ウォブル振幅:20nm)を有する、ポリカーボネート樹脂からなる射出成形基板を作製した。射出成型時に用いられたスタンパのマスタリングは、レーザーカッティング(351nm)を用いて行なわれた。
(光反射層の形成)
基板上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、DCスパッタリングにより、膜厚100nmの真空成膜層としてのAPC光反射層を形成した。光反射層の膜厚の調整は、スパッタ時間により行った。
(追記型記録層の形成)
色素化合物(I−1)〜(I−15)各1gを、2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素含有塗布液を調製した。そして、光反射層上に、調製した色素含有塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃、50%RHの条件で塗布した。その後、23℃、50%RHで1時間保存して、追記型記録層(グルーブ上の厚さ120nm、ランド上の厚さ170nm)を形成した。
追記型記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで間をあけながら支持し、80℃で1時間保持して行った。
(バリア層の形成)
その後、追記型記録層上に、Unaxis社製Cubeを使用し、Ar雰囲気中で、RFスパッタリングによりZnO−Ga23(ZnO:Ga23=7:3(質量比))からなる、厚さ5nmのバリア層を形成した。
(カバー層の貼り合わせ)
カバー層としては、内径15mm、外径120mmで、片面に粘着剤が塗設してあるポリカーボネート製フィルム(帝人ピュアエース、厚さ:80μm)を用い、該粘着剤層とポリカーボネート製フィルムとの厚さの合計が100μmとなるように設定した。
そして、バリア層上に、該バリア層と粘着剤層とが当接するようにカバー層を載置した後、そのカバー層を押し当て部材にて圧接して、貼り合わせた。
これにより、実施例1〜15の光情報記録媒体が作製された。
[比較例1〜比較例4]
実施例1において、色素化合物を比較用色素(H−1)〜(H−4)に変更したこと以外は同様にして、比較例1〜4の光ディスクを製造した。
[光ディスクとしての評価1]
作製した光ディスクに14T−EFM信号を発振波長405nmの青紫色半導体レーザー光を用いて記録したのち、記録した信号を再生した。光照射はカバー層側から行った。最適パワーでの変調度およびこの時のレーザー出力を測定した。記録および記録特性評価はパルステック社製DDU1000を用いて行った。評価結果を表3に示す。
表3の結果から、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は青紫色半導体レーザー光に対して低いパワーで高い変調度を与ることがわかる。従って、一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体を用いることで、短波長レーザー光に対する高い記録特性を示す光ディスクが得られることがわかる。
本発明の光情報記録媒体は、ブルーレイディスク等の短波長レーザ対応光ディスクとして好適である。
本発明の光情報記録媒体の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
10A…第1光情報記録媒体 12…第1基板
14…第1追記型記録層 16…カバー層
18…第1光反射層 20…バリア層
22…第1接着層または粘着層 44…ハードコート層

Claims (11)

  1. 波長450nm以下のレーザー光を照射することにより情報を記録するために使用される光情報記録媒体であって、
    基板上に、下記一般(I)で表されるフタロシアニン誘導体を含有する記録層を有することを特徴とする光情報記録媒体。
    [一般式(I)中、Rは置換基を表し、nは0〜15の範囲の整数を表す。nが2以上の場合、複数存在するRは同じでも異なってもよい。Mは配位子を有してもよい金属原子、金属酸化物、または水素原子2個を表す。Lは2価の連結基を表し、Vは波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有する基を表す。mは1〜15の範囲の整数を表し、mが2以上の場合、複数存在するLおよびVは同じでも異なってもよい。nとmの和は1〜16の範囲である。]
  2. 一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体の波長405nmにおける消衰係数kは、0.2<k<0.6である請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 一般式(I)においてmが1〜4の範囲の整数である請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 一般式(I)においてLがスルホニル基を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  5. 一般式(I)においてVがアゾ色素残基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  6. 一般式(I)においてVがテトラシアノキノジメタン誘導体残基である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  7. 一般式(I)においてMに含まれる金属が銅、パラジウム、マグネシウム、バナジウム、亜鉛または珪素である請求項1〜6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  8. 一般式(I)で表されるフタロシアニン誘導体は、下記一般式(II)で表されるフタロシアニン誘導体である請求項1に記載の光情報記録媒体。
    [一般式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜16のアルキル基または炭素数6〜24のアリール基またはヘテロアリール基を表し、L’はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基またはアリーレンオキシ基を表し、V’は波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有するアゾ色素残基を表す。]
  9. 前記基板は、少なくとも一方の表面にトラックピッチ50〜500nmのプレグルーブを有し、前記記録層を該プレグルーブを有する表面上に有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光情報記録媒体に波長450nm以下のレーザー光を照射して情報を記録する情報記録方法。
  11. 下記一般式(II)で表されるフタロシアニン誘導体。
    [一般式(II)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数1〜16のアルキル基または炭素数6〜24のアリール基またはヘテロアリール基を表し、L’はアルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基またはアリーレンオキシ基を表し、V’は波長350nm〜450nmの範囲に最大吸収を有するアゾ色素の残基を表す。]
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