JP2005088210A - 光情報記録媒体および情報記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 CD−RやDVD−Rよりも更に短波長のレーザー、特に波長440nm以下のレーザーによって記録再生が可能であり、かつ優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】 基板上に記録層を有する光情報記録媒体であって、前記記録層が、記録用色素として下記一般式(I)で示される化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体である。
【化1】
Figure 2005088210

[一般式(I)中、Aは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σpが0.2〜0.9の範囲の電子吸引性置換基を表し、R1およびR2は互いに同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数を表す。Lは置換されてもよい2価の連結基または単結合を表す。VはL以外に置換基を有していてもよい原子団を表す。ただし、Lが単結合の場合、Vは酸素原子ではない。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、レーザー光を用いて情報の記録および再生が可能な光情報記録媒体および情報記録方法に関するものである。特に本発明は、波長440nm以下の短波長レーザー光を用いて情報を記録するのに適したヒートモード型の光情報記録媒体に関するものである。
従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られている。この光ディスクは、追記型CD(所謂CD−R)とも称され、その代表的な構造は、透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属からなる光反射層、さらに樹脂製の保護層がこの順に積層状態で設けられている。そしてこのCD−Rへの情報の記録は、近赤外域のレーザー光(通常は780nm付近の波長のレーザー光)をCD−Rに照射することにより行われ、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化が生じて(例えば、ピットの生成)、その光学的特性を変えることにより、情報が記録される。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対して、追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)と称される光ディスクが上市されている(例えば、非特許文献1参照。)。このDVD−Rは、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要に応じて保護層を設けてなるディスクを二枚、あるいは該ディスクと同じ形状の円盤状保護基板とを該記録層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVD−Rへの情報の記録再生は、可視レーザー光(通常は、630nm〜680nmの範囲の波長のレーザー光)を照射することにより行われ、CD−Rより高密度の記録が可能であるとされている。
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、画像情報を安価簡便に記録するための大容量の記録媒体の要求が高まっている。DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度までは確保されるものの、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量を有しているとは言えない。そこで、DVD−Rよりも更に短波長のレーザー光を用いることによって記録密度を向上させ、より大きな記録容量を備えた光ディスクの開発が進められ、例えば波長405nmの青色レーザー光を用いたBlu−ray方式と称する光記録ディスクが上市された。
有機色素を含む記録層を有する光情報記録媒体において、記録層側から光反射層側に向けて波長530nm以下のレーザー光を照射することにより、情報の記録再生を行う記録再生方法が開示されている。具体的には、記録層の色素として、ポルフィリン化合物、アゾ系色素、金属アゾ系色素、キノフタロン系色素、トリメチンシアニン色素、ジシアノビニルフェニル骨格色素、クマリン化合物、ナフタロシアニン化合物等を用いた光ディスクに、青色(波長400〜430nm、488nm)又は青緑色(波長515nm)のレーザー光を照射することにより情報の記録再生を行う情報記録再生方法が提案されている。
これら青色レーザー光を用いる光情報記録媒体用の色素の先行技術として以下の特許文献1〜20に記載のものが挙げられる。
本発明者の検討では、上記特許文献に記載の光ディスクは、実用上感度、そして反射率や変調度などの記録特性においては尚充分でないことから、更に改良を要することが判明した。このような改良を目的として、アリリデン化合物を記録層に有する光情報記録材料およびこれに発振波長408nmのレーザー光を照射して記録する方法が開示されているが(例えば、特許文献21参照。)、これにおいて好ましく挙げられていた光情報記録材料の性能は未だ満足できるものではなかった。
特開2001−287460号公報 特開2001−287465号公報 特開2001−253171号公報 特開2001−39034号公報 特開2000−318313号公報 特開2000−318312号公報 特開2000−280621号公報 特開2000−280620号公報 特開2000−263939号公報 特開2000−222772号公報 特開2000−222771号公報 特開2000−218940号公報 特開2000−158818号公報 特開2000−149320号公報 特開2000−108513号公報 特開2000−113504号公報 特開2002−301870号公報 特開2001−287465号公報 米国特許出願公開第2002/76648A1号明細書 特開2001−71639号公報 特開2001−71639号公報 「日経ニューメディア」別冊「DVD」、1995年発行
本発明の課題は、CD−RやDVD−Rよりも更に短波長のレーザー光、特に波長440nm以下のレーザー光によって記録再生が可能であり、かつ優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することである。
また、本発明の別の課題は、短波長レーザー光に対して高い感度を示す色素化合物を含む記録層を設けた光情報記録媒体を用いることにより、情報の高密度記録が可能な情報記録方法を提供することである。
本発明者の研究により、下記一般式(I)で示される化合物を記録層の記録用色素として用いることで、波長が440nm以下の短波長のレーザーに対しても高い感度を示し、そして高い変調度を与える良好な記録再生特性を備えた光情報記録媒体を製造できることが見出された。すなわち、本発明は、
<1> 基板上に記録層を有する光情報記録媒体であって、前記記録層が、記録用色素として下記一般式(I)で示される化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体である。
Figure 2005088210
[一般式(I)中、Aは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σpが0.2〜0.9の範囲の電子吸引性置換基を表し、R1およびR2は互いに同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数を表す。Lは置換されてもよい2価の連結基または単結合を表す。VはL以外に置換基を有していてもよい原子団を表す。ただし、Lが単結合の場合、Vは酸素原子ではない。]
<2> 前記一般式(I)におけるLが、以下に示す2価の連結基のうちのいずれか又は単結合であることを特徴とする前記<1>に記載の光情報記録媒体である。
2価の連結基:−O−、−S−、−SO2O−、−SO2NR3−、−COO−、−CONR4−、アルキレン基(ここで、R3、R4は水素原子または置換基を表し、Lの結合方向は問わない。)
<3> 前記一般式(I)におけるLが単結合であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の光情報記録媒体である。。
<4> 前記一般式(I)におけるLが−O−であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載の光情報記録媒体である
<5> 前記一般式(I)におけるAが置換基を有してもよいベンゼン環であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<6> 前記一般式(I)におけるVが置換基を有してもよい芳香環であることを特徴とする前記<1>から<5>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<7> 前記一般式(I)におけるR1及びR2のいずれもがシアノ基であることを特徴とする前記<1>から<6>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<8> 前記基板が、その表面に0.2〜0.8μmのトラックピッチのプレグルーブを有する透明な円盤状基板であり、前記記録層が該プレグルーブが形成された側の表面に設けられていることを特徴とする前記<1>から<7>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<9> 前記記録層とは別に金属からなる光反射層が設けられていることを特徴とする前記<1>から<8>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<10> 前記記録層とは別に保護層が設けられていることを特徴とする前記<1>から<9>のいずれかに記載の光情報記録媒体である。
<11> 前記<1>から<10>のいずれかに記載の光情報記録媒体に、波長440nm以下のレーザー光を照射して情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
本発明によれば、CD−RやDVD−Rよりも更に短波長のレーザー光、特に波長440nm以下のレーザー光によって記録再生が可能であり、かつ優れた記録特性を有する光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明によれば、短波長レーザー光に対して高い感度を示す色素化合物を含む記録層を設けた光情報記録媒体を用いることにより、情報の高密度記録が可能な情報記録方法を提供することができる。
基板上に記録層を有する光情報記録媒体であって、前記記録層が、記録用色素として下記一般式(I)で示される化合物を含有することを特徴としている。
Figure 2005088210
[一般式(I)中、Aは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σpが0.2〜0.9の範囲の電子吸引性置換基を表し、R1およびR2は互いに同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数を表す。Lは置換されてもよい2価の連結基または単結合を表す。VはL以外に置換基を有していてもよい原子団を表す。ただし、Lが単結合の場合、Vは酸素原子ではない。]
一般式(I)で示される化合物を記録用色素として用いることにより、440nm以下の短波長のレーザー光に対して高い変調度を与える高感度な光情報記録媒体を得ることができる。
一般式(I)において、Aで表される置換基を有していてもよい芳香環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の炭化水素芳香環、及びピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環等のヘテロ芳香環を挙げることができるが、好ましいものは、ベンゼン環、ナフタレン環、及びピリジン環であり、特に好ましいものはベンゼン環である。
一般式(I)において、Aで表される芳香環の置換基の例としては、以下に記載のものを挙げることができる。
即ち、炭素数1〜20の鎖状または環状の置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、ベンジル、フェネチル、トリフルオロメチル)、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル、1−ナフチル)、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアルケニル基(例えば、ビニル、2−メチルビニル)、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアルキニル基(例えば、エチニル、2−メチルエチニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数2〜20の置換もしくは無置換のアシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルコキシ基(例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ、p−メトキシフェノキシ)、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ、ベンジルチオ、3−メトキシプロピルチオ)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、炭素数1〜20の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル)、炭素数1〜17の置換もしくは無置換のカルバモイル基(例えば、無置換のカルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル)、炭素数1〜16の置換もしくは無置換のアシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアシルオキシ基(例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシ)、炭素数2〜10の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、5員もしくは6員の置換もしくは無置換のヘテロ環(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルなどの芳香族ヘテロ環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環などの非芳香族ヘテロ環由来の一価の基)である。
一般式(I)において、Aの置換基として好ましいものは、炭素数1〜16の鎖状又は環状の置換もしくは無置換のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、、炭素数1〜16のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数2〜17のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアシルアミノ基である。
その中でも好ましいものは、炭素数1〜10の鎖状又は環状のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、塩素原子、シアノ基、炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のカルバモイル基、炭素数1〜8のアシルアミノ基である。
その中でも特に好ましいものは、炭素数1〜8の鎖状分岐又は環状の無置換のアルキル基、炭素数1〜8の無置換のアルコキシ基、炭素数3〜9の無置換のアルコキシカルボニル基、シアノ基、フェニル及び塩素原子である。
一般式(I)において、Aで表される芳香環の置換基は更に置換基を有していてもよく、この場合の置換基の例としては、Aで表される芳香環の置換基の例として上述したものを挙げることができる。
一般式(I)においてRで表される一価の置換基としては、例えば炭素数1〜20の鎖状または環状のアルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル)、炭素数6〜18の置換または無置換のアリール基(例えば、フェニル、クロロフェニル、アニシル、トルイル、2,4−ジ−t−アミル、1−ナフチル)、アルケニル基(例えば、ビニル、2−メチルビニル)、アルキニル基(例えば、エチニル、2−メチルエチニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ、ベンジルチオ、3−メトキシプロピルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンスルホニル)、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数1〜10のアミド基、炭素数2〜10のアシルオキシ基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、ヘテロ環(例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルなどの芳香族ヘテロ環、ピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピラン環、チオピラン環、ジオキサン環、ジチオラン環などの脂肪族ヘテロ環由来の一価の基)を挙げることができる。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜10のアリール基が好ましく、更に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基またはフェニルが好ましく、特に水素原子が好ましい。
一般式(I)においてR1およびR2で表される電子吸引性基のハメットの置換基定数σp値は0.2〜0.9の範囲であるが、0.30〜0.85の範囲が好ましく、0.35〜0.80の範囲がより好ましい。尚、ハメットの置換基定数σp値は例えばChem.Rev.91,165(1991)に記載されている。R1およびR2で表されるハメットの置換基定数σp値が0.2〜0.9の範囲の電子吸引性基の具体例としては、シアノ、ニトロ、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、スルホニル、アルコキシスルホニル、スルファモイル、スルフィニル、スルフェニル、ハロゲン原子、アルキニル、ジアシルアミノ、ホスホリル、カルボキシル、ヘテロ環基(例えば、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンゾオキサゾリル、3−ピリジル、5−(1H)−テトラゾリル、4−ピリミジル)を挙げることができる。
1およびR2としてはシアノ、アシル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、スルホニル、アルコキシスルホニル、スルファモイルが好ましく、特にシアノが好ましい。
一般式(I)中、R、R1、及びR2は各々互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(I)において、mは2〜8の整数であるが、2〜6が好ましい。一般式(I)において、m個の{ }で区切られている部分構造は、各々同じでも異なっていてもよい。
一般式(I)において、Lは置換されてもよい2価の連結基または単結合を表す。Lとしては、具体的には、−O−、−S−、−SO2O−、−SO2NR3−、−COO−、−CONR4−、−SO−、−SO2−、置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリール基、単結合などが挙げられる。ここで R3、R4は水素原子または置換基を表す。また、Lの結合方向は問わない。Lが有してもよい置換基としては一般式(I)においてAの置換基の例として挙げられたものと同じであるが、この他に一般式(I)において{ }内に含まれる部分構造のものでもあり得る。この場合一般式(I)はデンドリマーとなることができる。
Lとして好ましくは−O−、−S−、−SO2O−、−SO2NR3−、−COO−、−CONR4−、アルキレンまたは単結合であり、特に好ましくは−O−、または単結合である。
一般式(I)において、VはL以外に置換基を有していてもよい原子団を表す。 Vとしては炭素数6〜24の置換もしくは無置換のアリール基、5員もしくは6員の置換もしくは無置換のヘテロ環基、窒素原子などが挙げられる。また、Lが2価の連結基の場合、すなわちLが単結合でない場合、Vは酸素原子でもよい。Vは無色であっても、可視域に吸収を有していてもよいが、450nm以上900nm以下での最大モル吸光係数が10000(cm-1・mol-1)以下であることが好ましい。
一般式(I)において、Vとして好ましいものは、炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基、5員もしくは6員の置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、特に好ましくは炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基である。
本発明において、一般式(I)で示される化合物として最も好ましいものは、一般式(I)において、Aが置換されてもよいベンゼン環であり、Rが水素原子であり、R1、R2の少なくとも一方がシアノ基であり、mが2〜4、Lが−O−または単結合、Vが炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリール基である組み合わせのものである。
一般式(I)で示される化合物は、光情報記録媒体の記録層に適用することに鑑み、以下の特性を有することが好ましい。
1.有機溶媒に対して0.3質量%以上10質量%以下溶解することが好ましく、特にテトラフルオロプロパノールに0.3質量%以上10質量%以下溶解することが好ましい。
2.融点が200℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。
3.分子量が300以上2000以下であることが好ましい。
4.熱分解温度が200℃以上550℃以下であることが好ましく、250℃以上500℃以下であることがより好ましい。この際の質量減少は30%以上が好ましく、50%以上であることがより好ましい。
以下に、本発明で用いられる化合物として好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005088210
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本発明の光情報記録媒体は、基板上に前記一般式(I)で示される化合物を含有する記録層を有する。本発明の光情報記録媒体には、種々の構成のものが含まれる。本発明の光情報記録媒体は、一定のトラックピッチのプレグルーブが形成された円盤状基板上に記録層、光反射層および保護層をこの順に有する構成、あるいは該基板上に光反射層、記録層および保護層(もしくは光透過層)をこの順に有する構成であることが好ましい。また、一定のトラックピッチのプレグルーブが形成された透明な円盤状基板上に記録層及び光反射層が設けられてなる二枚の積層体が、それぞれの記録層が内側となるように接合された構成も好ましい。
本発明の光情報記録媒体は、より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのプレグループが形成された基板を用いることが可能である。
基板の厚さ(記録層が形成される領域の平均の厚さ)は、0.5〜1.2mmの範囲とすることが好ましい。
基板には、既述のように、トラッキング用の案内溝またはアドレス信号等の情報を表わすプレグルーブ(オングルーブおよびイングルーブともいう。)が形成されている。
プレグルーブの幅、すなわち溝幅は、50〜140nmの範囲とすることが好ましい。かかる範囲とすることで、トラッキングエラーが低下を防ぎながら、ジッターを低減させることができる。より好ましくは、70〜130nmの範囲とし、さらに好ましくは、90〜120nmとする。
本発明の光情報記録媒体の場合、該トラックピッチは0.2〜0.8μmの範囲にあることが好ましく、更に0.25〜0.6μmの範囲にあることが好ましく、更に0.27〜0.4μmの範囲にあることが好ましい。
プレグルーブの深さは、0.03〜0.18μmの範囲にあることが好ましく、更に0.05〜0.15μmの範囲にあることが好ましく、特に0.06〜0.1μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の光情報記録媒体として、円盤状基板上に記録層、光反射層、及び保護層をこの順に有する構成のものを例にとって、以下にその製造方法を説明する。
本発明の光情報記録媒体の基板は、従来の光情報記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。基板材料としては、例えばガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィンおよびポリエステルなどを挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。なお、これらの材料はフィルム状としてまたは剛性のある基板として使うことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
記録層が設けられる側の基板表面には、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防止の目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップリング剤などの表面改質剤を挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製したのち、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
記録層の形成は、前記色素化合物、更に所望によりクエンチャー、結合剤などを溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成したのち乾燥することにより行うことができる。塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;メチルシクロヘキサンなどの炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合に、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。このようにして調製される塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は一般に20〜500nmの範囲にあり、好ましくは30〜300nmの範囲にあり、より好ましくは50〜100nmの範囲にある。
記録層には、記録層の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特開昭58−175693号、同59−81194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同63−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、及び同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。好ましい一重項酸素クエンチャーの例としては、下記の一般式(II)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2005088210
[但し、R21は置換基を有していてもよいアルキル基を表わし、そしてQ-はアニオンを表わす。]
一般式(II)において、R21は置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基が一般的であり、無置換の炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子(例、F,Cl)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ)、アシル基(例、アセチル、プロピオニル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、プロピオニルオキシ)、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、アルケニル基(例、ビニル)、アリール基(例、フェニル、ナフチル)を挙げることができる。これらの中で、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルコキシカルボニル基が好ましい。Q-で表されるアニオンの好ましい例としては、ClO4 -、AsF6 -、BF4 -、及びSbF6 -を挙げることができる。
一般式(II)で表される化合物例を表1に記載する。
Figure 2005088210
前記一重項酸素クエンチャーなどの褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
記録層に隣接して、情報の再生時における反射率の向上の目的で光反射層を設けることが好ましい。光反射層の材料である光反射性物質はレーザー光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au金属、Ag金属、Al金属あるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Ag金属、Al金属あるいはそれらの合金である。光反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板もしくは記録層の上に形成することができる。光反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲にあり、50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
光反射層もしくは記録層の上には、記録層などを物理的および化学的に保護する目的で保護層を設けることが好ましい。なお、DVD−R型の光情報記録媒体の製造の場合と同様の形態、すなわち二枚の基板を記録層を内側にして貼り合わせる構成をとる場合は、必ずしも保護層の付設は必要ではない。保護層に用いられる材料の例としては、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si34等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。保護層は、例えばプラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して反射層上にラミネートすることにより形成することができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層の層厚は一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。以上の工程により、基板上に、記録層、光反射層そして保護層、あるいは基板上に、光反射層、記録層そして保護層が設けられた積層体(光情報記録媒体)を製造することができる。
また、その他の構成として本発明の光情報記録媒体が、基板上に光反射層、記録層および光透過層をこの順に有する構成である場合、前記光透過層は、接着層または粘着剤層等を介して記録層上に形成されていることが好ましい。この場合、光透過層以外の構成については、既述の通りである。
(光透過層)
光透過層は、光情報記録媒体内部を衝撃などから防ぐために形成され、透明な材質であれば特に限定されないが、好ましくはポリカーボネート、三酢酸セルロース等であり、より好ましくは、23℃50%RHでの吸湿率が5%以下の材料である。
なお、「透明」とは、記録光および再生光の光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
光透過層は、接着層を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度で記録層上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えば、プラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて形成することができる。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。光透過層の厚さは、0.01〜0.2mmの範囲であり、好ましくは0.03〜0.1mmの範囲、より好ましくは0.05〜0.095mmの範囲である。
また、光透過層として、粘着剤が貼り合わせ面に付与されたポリカーボネートシート等を使用することもできる。この場合、上記接着剤層は必要ない。
また、本発明の光情報記録媒体は、既述の構成のほかに種々の改良を施してもよい。例えば、既述の記録層と保護層(もしくは光透過層)との間にバリア層を形成してもよい。バリア層を構成する材料としては、レーザー光を透過する材料であれば、特に制限はないが、誘電体であることが好ましく、より具体的には、ZnS、TiO2、SiO2、ZnS−SiO2、GeO2、Si34、Ge34、MgF2、等の無機酸化物、窒化物、硫化物が挙げられ、ZnS−SiO2、あるいはSiO2が好ましい。バリア層は、スパッタリング、イオンプレーティング等により形成すること可能で、その厚さは、1〜100nmとすることが好ましい。
本発明の光情報記録方法は、前記光情報記録媒体を用いて、例えば、次のように行れる。まず前記光情報記録媒体を定線速度または定角速度にて回転させながら、基板側あるいは保護層側から半導体レーザー光などの記録用の光を照射する。この光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化が生じて(例えば、ピットの生成)、その光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。本発明においては、記録光として440nm以下のレーザー光が用いられる。好ましい光源としては390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー、中心発振波長850nmの赤外半導体レーザーを光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長425nmの青紫色SHGレーザーを挙げることができる。中でも記録密度の点で青紫色半導体またはSHGレーザーを用いることが特に好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザーを基板側あるいは保護層側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、本発明に用いられる一般式(I)で示される化合物の合成例を示す。
[化合物1の合成]
化合物1は下記反応経路によって合成した。
Figure 2005088210
化合物(1−1)1.2g、化合物(1−2)0.2g、及び酢酸パラジウム15mgに、トルエン5ml、炭酸ナトリウム0.5gの水溶液5mlを加え、窒素気流下で攪拌しながらトリtert−ブチルホスフィン27mgを加えた。80℃で10時間攪拌後、1mol/lの塩酸を加えて有機層を抽出した。この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を留去し、残った固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物1を0.4g得た。
λmax=382nm(CHCl3
[実施例1]
[光ディスク(光情報記録媒体)の作製]
帝人化成(株)社製ポリカーボネート樹脂(パンライトAD5503)を用いて射出成形により厚さ1.1mmの基板を成形した。基板の溝(プレグルーブ)トラックピッチは320nm、オングルーブ部の半値幅は110nm、溝深さは35nmであった。この基板上にAg:98.1部、Pd:0.9部、Cu:1.0部からなるターゲットを用いて、真空成膜法により反射層を100nmの厚みで成膜した。
次いで、記録層塗布液を以下のようにして調製した。前記化合物1をTFP100mlに対し2.5gの比率になるよう秤量して溶解させた。この溶液に超音波を2時間照射して化合物1を溶解させた後、23℃50%の環境に0.5時間以上静置し、0.2μmのフィルターで濾過し記録層塗布液を調製した。
前記記録層塗布液を用いて、スピンコート法で反射層付きの基板の反射層上に厚さ110nmの記録層を形成した。この試料を80℃のクリーンオーブン中で1時間加熱処理した。加熱処理後の試料に、真空成膜法によりZnS:8部、SiO2:2部からなるターゲットを用いて5nmの厚みのZnS−SiO2よりなるバリア層を記録層上に形成した。その後、光透過層として厚み80μmのポリカーボネートフィルムを20μmの粘着層を介して記録層上に貼り合せて実施例1の光ディスクを得た。
[実施例2]〜[実施例8]
化合物1を表2に示す化合物に変更した(使用量は変更なし)こと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜8の光ディスクを作製した。
以上の実施例1〜8において使用した一般式(I)で示される化合物のR1及びR2のハメットの置換基定数σpを表2に示す。
Figure 2005088210
[比較例1]〜[比較例5]
化合物1を下記に示す比較用色素化合物A〜Dに変更した(使用量は変更なし)こと以外は実施例1と同様にして、比較例1〜5の光ディスクを作製した。
Figure 2005088210
比較用色素化合物A:特開平4−74690号公報の実施例1に記載の化合物
Figure 2005088210
比較用色素化合物B:特開平11−334205号公報の実施例1に記載の化合物(III)
Figure 2005088210
比較用色素化合物C:特開平11−105423号公報記載の具体例(25)
Figure 2005088210
比較用色素化合物D:特開2001−71639号公報の実施例に記載の具体例(I−18)
[光ディスクとしての評価]
作製した実施例1〜8及び比較例1〜5の光ディスクを、波長:403nm、NA=0.85のレーザー光学系を搭載したディスクドライブ装置DDU−1000(パルステック工業(株)製)にセットして、10mWのパワーで1−7変調されたランダム信号(2T〜8T)を記録、再生して最適パワーでの変調度及び感度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2005088210
表3の結果から、実施例1〜8の光ディスクは、比較化合物A〜Dを含む記録層を有する光ディスク(比較例1〜5)に比べて、上記青紫色半導体レーザー光に対して高い変調度を与え、しかも高感度であることがわかる。従って、記録用色素として、一般式(1)で示される化合物を用いることで、短波長レーザー光に対して高い記録特性を備えた光ディスクが得られることが分かる。

Claims (11)

  1. 基板上に記録層を有する光情報記録媒体であって、
    前記記録層が、記録用色素として下記一般式(I)で示される化合物を含有することを特徴とする光情報記録媒体。
    Figure 2005088210
    [一般式(I)中、Aは置換基を有していてもよい芳香環を表し、Rは水素原子または置換基を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、ハメットの置換基定数σpが0.2〜0.9の範囲の電子吸引性置換基を表し、R1およびR2は互いに同一でも異なっていてもよい。mは2〜8の整数を表す。Lは置換されてもよい2価の連結基または単結合を表す。VはL以外に置換基を有していてもよい原子団を表す。ただし、Lが単結合の場合、Vは酸素原子ではない。]
  2. 前記一般式(I)におけるLが、以下に示す2価の連結基のうちのいずれか又は単結合であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
    2価の連結基:−O−、−S−、−SO2O−、−SO2NR3−、−COO−、−CONR4−、アルキレン基(ここで、R3、R4は水素原子または置換基を表し、Lの結合方向は問わない。)
  3. 前記一般式(I)におけるLが単結合であることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 前記一般式(I)におけるLが−O−であることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  5. 前記一般式(I)におけるAが置換基を有してもよいベンゼン環であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  6. 前記一般式(I)におけるVが置換基を有してもよい芳香環であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  7. 前記一般式(I)におけるR1及びR2のいずれもがシアノ基であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  8. 前記基板が、その表面に0.2〜0.8μmのトラックピッチのプレグルーブを有する透明な円盤状基板であり、前記記録層が該プレグルーブが形成された側の表面に設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  9. 前記記録層とは別に金属からなる光反射層が設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  10. 前記記録層とは別に保護層が設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
  11. 請求項1から10のいずれか1項に記載の光情報記録媒体に、波長440nm以下のレーザー光を照射して情報を記録することを特徴とする情報記録方法。
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