放収音装置(本発明の音声処理装置に相当する。)1の機能・構成について図1,2を参照して説明する。図1は、本実施形態の放収音装置の基本姿勢での平面図である。図2は、本実施形態の放収音装置の機能ブロック図である。この放収音装置1は、通信機能を備えたパーソナルコンピュータ(以下、PCと称す。)に接続され、PCを介して、他の音声通信装置やテレビ会議装置等と音声通信を行う。
図1に示すように、放収音装置1は、機構的に、主筐体10と当該主筐体10に対して回動可能に設置された二個の副筐体11,12とにより構成される。なお、以下の説明では、主筐体10及び副筐体11,12にそれぞれ設置されるマイクMIC数は四台ずつであり、主筐体10に設置されるスピーカSP数は二台であるが、マイクMIC数及びスピーカSP数は仕様に応じて適宜設定すればよい。
主筐体10は、平面視した形状が略三角形状であり、側壁に沿ってマイクMICが設置できる程度の厚みからなる。主筐体10には、三つの側壁があり、正面方向側壁(図1における下方向に壁面を有する側壁)の内側には、四台のマイクMICが正面方向側壁から外方に向く方向を収音方向として設置されている。四台のマイクMICは正面方向側壁に平行に所定間隔で配列され、これら四台のマイクMICにより正面方向側壁から外方を収音領域とするマイクアレイ1150が構成される。
主筐体10の上面(図1で平面視される面)には、複数の操作子からなる操作部110が設置されている。複数の操作子は、図1に示すように正面方向側壁に平行に配列される。ここで、複数の操作子は、例えば、放収音の開始・終了を受け付ける操作子や、放音音声のボリューム調整を受け付ける操作子や、マイクミュートを受け付ける操作子等である。
主筐体10を平面視した三角形の略中心付近の内部には、二台のスピーカSPが正面方向側壁に平行で且つステレオスピーカ制御が可能な間隔で設置されている。また、主筐体10の上面壁の操作部110以外の領域及び正面方向側壁はメッシュ加工されている。
主筐体10の正面方向側壁の対角に相当する部分には、図示しないが、入出力I/F113(図2参照)として、USB接続端子、アナログオーディオIN端子、アナログオーディオOUT端子、及び電源入力端子が設置されている。
主筐体10の正面方向側壁の両端の角に相当する部分のそれぞれは、副筐体11,12との回動接続部13A,13Bであり、当該回動接続部13A,13Bを回動中心として、副筐体11,12が主筐体10に対して回動する。この回動接続部13A,13Bには、ロータリエンコーダ1121,1122(図2参照)が設置されており、ロータリエンコーダ1121で副筐体11の回動量に応じた回動検出信号を取得し、ロータリエンコーダ1122で副筐体12の回動量に応じた回動検出信号を取得する。
副筐体11,12は、長辺方向の長さが主筐体10の三角形の一辺と略同じであり、短辺方向の長さが所定長からなり、厚みが主筐体10と同じ略直方体形状からなる。副筐体11,12は、長辺方向の一端が回動接続部13A,13Bで主筐体10に接続されている。そして、副筐体11,12は、主筐体10に長辺方向の全辺が当接する状態を回動範囲の一方端とし、長辺方向と主筐体10の正面方向側壁とが平行になる位置を経て、主筐体10の正面方向側壁よりさらに正面方向へ突出する所定角度となる位置を回動範囲の他方端とする範囲で回動する。
副筐体11には、主筐体10の一側壁(図1の場合、向かって右上側になる側壁)に当接した状態で、主筐体10側と反対の外方(図1の場合の向かって右上側方向)を収音方向として、四台のマイクMICが設置されている。これらのマイクMICは、副筐体11の長辺方向に沿って所定間隔で配列され、これら四台のマイクMICにより副筐体11のマイクMIC設置側面から外方を収音領域とするマイクアレイ1151が構成される。
副筐体12には、主筐体10の一側壁(図1の場合、向かって左上側になる側壁)に当接した状態で、主筐体10側と反対の外方(図1の場合の向かって左上側方向)を収音方向として、四台のマイクMICが設置されている。これらのマイクMICは、副筐体12の長辺方向に沿って所定間隔で配列され、これら四台のマイクMICにより副筐体12のマイクMIC設置側面から外方を収音領域とするマイクアレイ1152が構成される。
これらマイクアレイ1151,1152の各マイクMICでの収音信号は、回動接続部13A,13Bを介して主筐体10の収音ビーム形成部116(図2参照)へ与えられる。
更に図2に示すように、放収音装置1は、上述の入出力I/F113、操作部110、マイクアレイ1150〜1152、ロータリエンコーダ1121,1122とともに、主筐体10内に機能部として、制御部111、放音制御部114、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117(収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、本発明の収音制御手段に相当する。)、エコーキャンセラ118、及びスピーカSPを備える。
制御部111は、放収音装置1の全体制御を行う。制御部111は、操作部110の各操作子により入力されたコマンドに基づいて制御を行う。例えば、制御部111は、放収音の開始・終了の操作入力を受け付けると、放音制御部114に対して放音音声信号の放音開始指示及び放音終了指示を行い、収音ビーム合成部117に対して収音ビーム信号MBの出力開始指示及び出力終了指示を行う。制御部111は、放音音声のボリューム調整の操作入力を受け付けると、放音制御部114に対してボリューム調整の放音制御指示を行う。制御部111は、マイクミュートの操作入力を受け付けると、収音ビーム合成部117に対して収音ビーム信号MBの出力停止指示を行うとともに、マイクミュートの操作子を点滅させる。
また、制御部111は、入出力I/F113から入力された放音指向性情報付きの放音音声信号から放音指向性情報を取得し、放音制御部114へ放音指向性指示を与える。
更に、制御部111は、ロータリエンコーダ1121,1122からの回動検出信号の値(回動量)に基づいて、収音指向性及び出力用音声信号を決定し、該収音指向性を形成させる収音指向性指示を収音ビーム形成部116へ与える。また、制御部111は、出力用音声信号を選択取得させる出力用音声信号指示を収音ビーム合成部117へ与える。制御部111は、回動量の変化を検出する(副筐体11,12の回動を検出する)と、その都度、検出した回動量に応じた収音指向性及び出力用音声信号を決定し、収音指向性指示を収音ビーム形成部116へ与え、出力用音声信号指示を収音ビーム合成部117へ与える。なお、主筐体10に対する副筐体11,12の回動量に基づく、収音制御の詳細について、後述する。
入出力I/F113は、上述のような構成からなり、本実施形態では、USBケーブルを介してPCに接続する。入出力I/F113は、放音音声信号の受信、収音ビーム信号MBの送信を行う。入出力I/F113は、放音音声信号とともに放音指向性情報を受信すると、放音指向性情報を制御部111へ与え、エコーキャンセラ118を介して放音音声信号を放音制御部114へ与える。また、入出力I/F113は、制御部111とPCとの間の各種制御信号の送受信を行う。
放音制御部114は、入出力I/F113を介して取得した放音音声信号と、制御部111からの放音指向性指示とに基づいて、二台のスピーカSPのそれぞれに与える個別放音駆動信号を生成する。具体的には、放音制御部114は、モノラル再生やステレオダイポール再生等を実現するような信号処理を施した個別放音駆動信号を生成して、二台のスピーカSPへ出力する。この際、放音制御部114は、ボリューム調整の放音制御指示に応じて、個別放音駆動信号の信号レベル制御を行う。
二台のスピーカSPは、上述のような予め設定された間隔で配置され、個別放音駆動信号により放音する。二台のスピーカSPの間隔と、それぞれに与えられる個別放音駆動信号とは、予めステレオスピーカとして機能するように設定されており、これらの条件により、ステレオ放音を実現する。
マイクアレイ1150の四台のマイクMICは、主筐体10の正面方向側壁の外方からの音声を収音して収音信号を生成する。マイクアレイ1151の四台のマイクMICは、副筐体11のマイク設置面の外方からの音声を収音して収音信号を生成し、マイクアレイ1152の四台のマイクMICは、副筐体12のマイク設置面の外方からの音声を収音して収音信号を生成する。
収音ビーム形成部116は、各マイクアレイ1150〜1152のマイクMICでの収音信号に対して、制御部111から与えられた収音指向性指示に基づく遅延処理や加算処理を行うことで、収音ビーム信号MB10〜MB12を形成し、収音ビーム合成部117へ出力する。
収音ビーム合成部117は、収音ビーム形成部116から収音ビーム信号MB10〜MB12が入力されると、制御部111から与えられた出力用音声信号指示に基づいて、出力する収音ビーム信号を選択する。また、収音ビーム合成部117は、選択した収音ビーム信号に対して、位相制御を行い、加算して収音ビーム信号MBを形成し、エコーキャンセラ118へ出力する。
エコーキャンセラ118は、適応型フィルタと、加算器を含むポストプロセッサとを備える。適応型フィルタは放音音声信号に基づく疑似回帰音信号を生成して、ポストプロセッサの加算器へ疑似回帰音信号を与える。ポストプロセッサの加算器は、収音ビーム信号MBから疑似回帰音信号を減算することでエコーキャンセルして、入出力I/F113へ出力する。この際、ポストプロセッサは、出力結果を適応型フィルタにフィードバックする。
次に、主筐体10に対する副筐体11,12の回動量に基づく、収音制御の詳細について、図3〜図5を参照して説明する。図3は、放収音装置の周囲に着席する例を示す図である。図4は、放収音装置の前面に複数人が着席する例を示す図である。図5は、放収音装置の前面に一人が着席する例を示す図である。
まず、収音ビーム信号MB10〜MB12の収音方向について詳述する。図3〜図5に示すように、収音ビーム信号MB10は、収音ビーム信号MB10A〜MB10Cの少なくとも1つの収音ビーム信号を含む。収音ビーム信号MB10Aの収音方向は、マイクアレイ1150に対して垂直な方向であり、収音ビーム信号MB10Bの収音方向は、収音ビーム信号MB10Aの収音方向に対して時計回り方向に45度傾斜した方向である。また、収音ビーム信号MB10Cの収音方向は、収音ビーム信号MB10Aの収音方向に対して反時計回り方向に45度傾斜した方向である。
また、収音ビーム信号MB11は、収音ビーム信号MB11A〜MB11Cの少なくとも1つの収音ビーム信号を含み、収音ビーム信号MB12は、収音ビーム信号MB12A〜MB12Cの少なくとも1つの収音ビーム信号を含む。収音ビーム信号MB11A,MB12Aの収音方向は、マイクアレイ1151,1152に対してそれぞれ垂直な方向であり、収音ビーム信号MB11B,MB12Bの収音方向は、収音ビーム信号MB11A,MB12Aの収音方向に対して、それぞれ時計回り方向に45度傾斜した方向である。また、収音ビーム信号MB11C,MB12Cの収音方向は、収音ビーム信号MB11A,MB12Aの収音方向に対して、それぞれ反時計回り方向に45度傾斜した方向である。
以下、収音制御について説明する。図3に示すように、副筐体11,12の長辺方向の全辺が主筐体10に当接する回動状態(マイクアレイ1150〜1152を用いて全方位を収音範囲とする状態、回動量が0度の場合)では、放収音装置1の周囲を均等に収音することができるので、放収音装置1の周囲に複数人のユーザ200〜202が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、次の第1の処理を行う。
収音ビーム形成部116は、主筐体10のマイクアレイ1150が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB10A〜MB10Cを形成する。また、収音ビーム形成部116は、副筐体11のマイクアレイ1151が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB11A〜MB11Cを形成する。更に、収音ビーム形成部116は、副筐体12のマイクアレイ1152が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB12A〜MB12Cを形成する。そして、収音ビーム合成部117は、収音ビーム信号MB10A〜MB10C,MB11A〜MB11C,MB12A〜MB12Cに対して回動角に応じた位相制御を行い、その後加算して、収音ビーム信号MBを形成する。
具体的には、収音ビーム合成部117は、収音ビーム信号MB11Aの位相を収音ビーム信号MB10Aに対してマイクアレイ1150とマイクアレイ1151との角度差に等しい位相差分ずらす。同様に、収音ビーム信号MB11B,MB11Cの位相を収音ビーム信号MB10B,MB10Cに対してそれぞれマイクアレイ1150とマイクアレイ1151との角度差に等しい位相差分ずらす。また、収音ビーム信号MB12Aの位相を収音ビーム信号MB10Aに対してマイクアレイ1150とマイクアレイ1152との角度差に等しい位相差分ずらす。同様に、収音ビーム信号MB12B,MB12Cの位相を収音ビーム信号MB10B,MB10Cに対してそれぞれマイクアレイ1150とマイクアレイ1152との角度差に等しい位相差分ずらす。そして、収音ビーム信号MB10A〜MB10C,MB11A〜MB11C,MB12A〜MB12Cを加算する。このように、マイクアレイ1150に対するマイクアレイ1151,1152の角度と等しいだけ位相をずらすことにより、放収音装置1は、筐体の全周囲から均等に収音するとともに、各マイクアレイ1150〜1152が収音したスピーカSPからの放音音声信号を取り除くことができる。
図4に示すように、副筐体11,12の長辺方向の辺が主筐体10に当接しない回動状態から、主筐体10の正面方向側壁と平行な回動状態の間では(回動量が0度を超え、120度以下の場合)、主筐体10の正面方向側壁の背面方向側にディスプレイを設置し、主筐体10の正面方向側壁の正面方向側に複数人のユーザ200〜202が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、次の第2の処理を行う。
収音ビーム形成部116は、主筐体10のマイクアレイ1150が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB10A〜MB10Cを形成する。また、収音ビーム形成部116は、副筐体11のマイクアレイ1151が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB11A,MB11Bを形成する。更に、収音ビーム形成部116は、副筐体12のマイクアレイ1152が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB12A,MB12Cを形成する。そして、収音ビーム合成部117は、収音ビーム信号MB10A〜MB10C,MB11A,MB11B,MB12A,MB12Cに対して回動角に応じた位相制御を行い、その後加算して、収音ビーム信号MBを形成する。以上のように、この使用態様では、放収音装置1は、ユーザが着席していないであろう方向からの音声信号を収音しないことで、スピーカの放音音声信号をできるだけ収音しないとともに、スピーカSPからの放音音声信号の影響を抑圧することができる。
図5に示すように、副筐体11,12の長辺方向の辺が、主筐体10の正面方向側壁と平行な回動状態を超え、主筐体10の正面方向側壁より主筐体10の正面方向へ突出する回動状態(回動量が120度を超える場合)では、主筐体10の正面方向側壁の正面方向側に一人のユーザ200が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、次の第3の処理を行う。
収音ビーム形成部116は、主筐体10のマイクアレイ1150が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB10A〜MB10Cを形成する。また、収音ビーム形成部116は、副筐体11のマイクアレイ1151が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB11A,MB11Bを形成する。更に、収音ビーム形成部116は、副筐体12のマイクアレイ1152が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB12A,MB12Cを形成する。そして、収音ビーム合成部117は、収音ビーム信号MB11A,MB11B,MB12A,MB12Cに対して回動角に応じた位相制御を行い、その後加算して、収音ビーム信号MBを形成する。以上のように、放収音装置1は、スピーカからの放音音声信号を最も収音しやすい主筐体10のマイクアレイ1150が収音した収音ビーム信号を加算しないので、スピーカSPからの放音音声信号の影響を抑圧することができる。なお、この使用態様では、収音ビーム形成部116は、主筐体10のマイクアレイ1150が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB10A〜MB10Cを形成したが、形成しなくてもよい。
以上のように、放収音装置1は、副筐体11,12を回動させるだけで、収音範囲を容易に変更することができ、ユーザの使用ケースに応じて収音範囲を変更することができる。また、放収音装置1は、使用態様に応じた収音制御を行うとともに、各マイクアレイ1150〜1152が収音したスピーカSPからの放音音声信号を抑圧することができるので、エコーキャンセラ118の負荷を低減することができる。
なお、本実施形態では、ロータリエンコーダ1121,1122からの回動量に基づいて、制御部111が収音指向性及び出力用音声信号を決定した。しかし、制御部111は、回動量をPCへ出力し、PC側で収音指向性及び出力用音声信号を決定してもよい。これにより、放収音装置1の負荷を低減することができる。
また、本実施形態では、ロータリエンコーダ1121,1122を用いて回動量を検出した。しかし、主筐体10に対する副筐体の変位を検出できればよいので、他の手段を用いてもよい。
加えて、本実施形態では、収音ビーム信号MB10A〜MB10C,MB11A〜MB11C,MB12A〜MB12Cを形成した。しかし、収音ビーム信号数はこれに限らず、仕様に応じて適宜設計すればよい。例えば、主筐体10のマイクアレイ1150がマイクアレイに対して垂直な方向の収音ビーム信号MB10Aと、収音ビーム信号MB10Aの収音方向に対して時計回りに30度傾斜した方向の収音ビーム信号と、収音ビーム信号MB10Aの収音方向に対して時計回りに60度傾斜した方向の収音ビーム信号と、収音ビーム信号MB10Aの収音方向に対して反時計回りに30度傾斜した方向の収音ビーム信号と、収音ビーム信号MB10Aの収音方向に対して反時計回りに60度傾斜した方向の収音ビーム信号と、を形成してもよい。
また、本実施形態では、スピーカSPを備える放収音装置1を例にあげて説明したが、スピーカSPを備えない収音装置であってもよい。この場合、収音装置にスピーカ装置を外部接続して用いればよい。また、収音機能のみを使用する場合、スピーカ装置は不要である。
他の実施形態に係る放収音装置2について、図6〜図8を参照して説明する。図6は、放収音装置の周囲に着席する例を示す図である。図7は、放収音装置の前面に複数人が着席する例を示す図である。図8は、放収音装置の前面に一人が着席する例を示す図である。放収音装置2は、平面視して、主筐体10’の形状が略楕円状である点で、放収音装置1と相違する。以下、放収音装置1との相違点についてのみ説明する。
図6に示すように、放収音装置2の主筐体10’は、楕円柱形状からなる。放収音装置2は、主筐体10’の正面方向側壁(図6における下方向に壁面を有する側壁、楕円の長軸と平行とする外周の側壁)の内側に、マイクアレイ1150の四台のマイクMICを正面方向側壁から外方に向く方向を収音方向として設置する。四台のマイクMICは、楕円の長軸に平行に配列される。
放収音装置2は、主筐体10’を平面視した楕円の略中心付近の内部には、正面方向側壁に平行に二台のスピーカSPを設置する。スピーカSPは、主筐体10’の上面(図6で平面視される面)から外方に向く方向を放音方向とするように設置される。
放収音装置2は、主筐体10’の上面には、複数の操作子からなる操作部110を設置する。複数の操作子は、楕円の長軸に平行に配列される。
放収音装置2は、主筐体10’のマイクアレイ1150の両端に、それぞれ副筐体11,12との回動接続部13A,13Bを設け、当該回動接続部13A,13Bを回動中心として、副筐体11,12が主筐体10’に対して回動する。
放収音装置2の基本姿勢は、図6に示すように、各副筐体11,12が主筐体10’の上面から内方に向く方向に回動しており、これ以上回動できない状態となる。この際、各副筐体11,12の端部(主筐体10’に接続されていない側の端部)が最も近づく。
放収音装置2は、副筐体11,12の回動量に応じて、次のように収音ビーム信号MBを生成する。放収音装置2の基本姿勢(マイクアレイ1150〜1152を用いて全方位を収音範囲とする状態、回動量が0度の場合)では、放収音装置2の周囲を均等に収音することができるため、放収音装置の周囲に複数人のユーザ200〜202が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、上述した第1の処理を行う。
図7に示すように、基本姿勢を除く、副筐体11及び副筐体12の長辺方向の辺が主筐体10’の正面方向側壁(マイクアレイ1150が設置された一辺)と平行な回動状態の間(回動量が0度を超え、120度以下の場合)では、主筐体10’の正面方向側壁の背面方向側にディスプレイを設置し、主筐体10’の正面方向側壁の正面方向側に複数人のユーザ200〜202が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、上述した第2の処理を行う。
図8に示すように、副筐体11,12の長辺方向の辺が、主筐体10’の正面方向側壁と平行な回動状態を超え、主筐体10’の正面方向側壁より主筐体10’の正面方向へ突出する回動状態(回動量が120度を超える場合)では、主筐体10’の正面方向側壁の正面方向側に一人のユーザ200が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、上述した第3の処理を行う。
以上のように、放収音装置2は、使用態様に応じた収音制御を行うとともに、各マイクアレイ1150〜1152が収音したスピーカSPからの放音音声信号を抑圧することができるので、エコーキャンセラ118の負荷を低減することができる。
なお、上述の実施形態では、平面視して、主筐体10’の形状を略楕円状としたが、略円形状でもよい。
他の実施形態に係る放収音装置3について、図9〜図11を参照して説明する。図9は、放収音装置の周囲に着席する例を示す図である。図10は、放収音装置の前面に複数人が着席する例を示す図である。図11は、放収音装置の前面に一人が着席する例を示す図である。放収音装置3は、平面視して、主筐体10’’の形状が方形状であり、四台のマイクアレイを備える点で、放収音装置1と相違する。以下、放収音装置1との相違点についてのみ説明する。
図9に示すように、放収音装置3の主筐体10’’は、平面視して方形状で、所定の厚みを有する直方体形状である。放収音装置3は、主筐体10’’の正面方向側壁(図9における下方向に壁面を有する側壁)の内側に、マイクアレイ1150の四台のマイクMICを正面方向側壁から外方に向く方向を収音方向として設置し、主筐体10’’の背面方向側壁(図9における上方向に壁面を有する側壁)の内側に、マイクアレイ1153の四台のマイクMICを背面方向側壁から外方に向く方向を収音方向として設置する。
放収音装置3は、主筐体10’’を平面視した方形状の略中心付近の内部には、正面方向側壁に平行に二台のスピーカSPを設置する。
放収音装置3は、主筐体10’’の上面(図9で平面視される面)には、複数の操作子からなる操作部110を設置する。複数の操作子は、図9に示すように正面方向側壁に平行に配列される。
放収音装置3は、主筐体10’’の正面方向側壁の両端の角に相当する部分に、それぞれ副筐体11,12との回動接続部13A,13Bを設け、当該回動接続部13A,13Bを回動中心として、副筐体11,12が主筐体10’’に対して回動する。
放収音装置3の基本姿勢は、図9に示すように、各副筐体11,12が主筐体10’’の上面から内方に向く方向に回動しており、これ以上回動できない状態となる。この際、各副筐体11,12は、それぞれ主筐体10’’の正面方向側壁とのなす角が90度となる。各副筐体11,12の端部(主筐体10’’に接続されていない側の端部)は、主筐体10’’のマイクアレイ1153の両端に最も近づく。
放収音装置3は、副筐体11,12の回動量に応じて、次のように収音ビーム信号MBを生成する。基本姿勢(マイクアレイ1150〜1153を用いて全方位を収音範囲とする状態、回動量が0度の場合)では、放収音装置2の周囲を均等に収音することができるため、放収音装置の周囲に複数人のユーザ200〜203が着席する使用態様に好適である。
この場合、収音ビーム形成部116は、主筐体10’’のマイクアレイ1150が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB10A〜MB10Cを形成する。収音ビーム形成部116は、副筐体11のマイクアレイ1151が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB11A〜MB11Cを形成する。収音ビーム形成部116は、副筐体12のマイクアレイ1152が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB12A〜MB12Cを形成する。収音ビーム形成部116は、主筐体10’’のマイクアレイ1153が収音した収音信号に基づいて、収音ビーム信号MB13A〜MB13Cを形成する。そして、収音ビーム合成部117は、収音ビーム信号MB10A〜MB10C,MB11A〜MB11C,MB12A〜MB12C,MB13A〜MB13Cに対して回動角に応じた位相制御を行い、その後加算して、収音ビーム信号MBを形成する。この結果、放収音装置3は、筐体の全周囲から均等に収音するとともに、各マイクアレイ1150〜1153が収音したスピーカSPからの放音音声信号を取り除くことができる。
図10に示すように、基本姿勢を除く、副筐体11及び副筐体12の長辺方向の辺が主筐体10’’の正面方向側壁(マイクアレイ1150が設置された一辺)と平行な回動状態の間(回動量が0度を超え、90度以下の場合)では、主筐体10’’の正面方向側壁の背面方向側にディスプレイを設置し、主筐体10’’の正面方向側壁の正面方向側に複数人のユーザ200〜202が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、上述した第2の処理を行う。なお、主筐体10’’のマイクアレイ1153が収音した収音信号に基づく収音ビーム信号MB13A〜MB13Cを収音ビーム合成部117にて加算しないため、収音ビーム形成部116は、収音ビーム信号MB13A〜MB13Cを形成しなくてもよい。
図11に示すように、副筐体11,12の長辺方向の辺が、主筐体10’’の正面方向側壁と平行な回動状態を超え、主筐体10’’の正面方向側壁より主筐体10’’の正面方向へ突出する回動状態(回動量が90度を超える場合)では、主筐体10’’の正面方向側壁の正面方向側に一人のユーザ200が着席する使用態様に好適である。この場合、収音ビーム形成部116、収音ビーム合成部117は、上述した第3の処理を行う。なお、主筐体10’’のマイクアレイ1153が収音した収音信号に基づく収音ビーム信号MB13A〜MB13Cを収音ビーム合成部117にて加算しないため、収音ビーム形成部116は、収音ビーム信号MB13A〜MB13Cを形成しなくてもよい。
以上のように、放収音装置3は、使用態様に応じた収音制御を行うとともに、各マイクアレイ1150〜1153が収音したスピーカSPからの放音音声信号を抑圧することができるので、エコーキャンセラ118の負荷を低減することができる。
なお、上述の実施形態では、平面視して、主筐体10’’の形状を方形状としたが、略多角形状であってもよい。