JP2009260093A - 光半導体装置 - Google Patents

光半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2009260093A
JP2009260093A JP2008108435A JP2008108435A JP2009260093A JP 2009260093 A JP2009260093 A JP 2009260093A JP 2008108435 A JP2008108435 A JP 2008108435A JP 2008108435 A JP2008108435 A JP 2008108435A JP 2009260093 A JP2009260093 A JP 2009260093A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
substrate
ingaas
semiconductor device
quantum well
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008108435A
Other languages
English (en)
Inventor
Masakazu Arai
昌和 荒井
Yasuhiro Kondo
康洋 近藤
Shinichi Yoda
真一 依田
Kyoichi Kinoshita
恭一 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Japan Aerospace Exploration Agency JAXA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp, Japan Aerospace Exploration Agency JAXA filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2008108435A priority Critical patent/JP2009260093A/ja
Publication of JP2009260093A publication Critical patent/JP2009260093A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】3元混晶の半導体結晶InGaAsからなる基板に、選択酸化狭窄構造を導入した光半導体装置を提供する。
【解決手段】In組成比xが低い3元混晶の半導体結晶InxGa1-xAsからなる基板11と、基板11に低温で結晶成長された、InGaAs歪量子井戸構造からなる活性層13と、活性層13上に結晶成長されたAlAs層14とを有し、AlAs14の一部を選択的に酸化して、選択酸化層14’を形成し、選択酸化狭窄構造とした光半導体装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体レーザ、半導体変調器等の光半導体装置に関する。
面発光半導体レーザは、基板に垂直に共振することを特徴とする半導体レーザであり、通常、屈折率差の大きな2種類の材料を多層膜に積層した反射鏡が用いられる。エピタキシャル成長で、半導体多層膜反射鏡を積層する際には、基板に格子整合する材料、又は、格子定数差が0.1%以下になるような材料を選ぶ。又、この反射鏡を構成する材料同士の屈折率差が大きいほど少ない積層数で高い反射鏡が得られ、広いストップバンド幅をもつ反射鏡が形成される。そのため、面発光半導体レーザのレーザ発振に必要な99%以上の反射率を得るには、2種類の材料の屈折率差が0.5以上になる材料が要求される。この大きな屈折率差の2種類の材料を、同じ格子定数の材料の中から選ぶという制限があるために、面発光半導体レーザの反射鏡の材料としては、GaAs基板上のGaAsとAlGaAsが多く用いられてきた。
GaAs基板上では、半導体レーザの発振波長を決める活性層の材料として、GaAsやAlGaAs、InGaAsなどを組み合わせた多重量子井戸構造が用いられる。多重量子井戸構造では、各層の厚さが10nm以下と薄いために、通常2%程度以下の歪が生じるような組み合わせにおいても、エピタキシャル成長が可能である。GaAsに対して、Alを入れるほどバンドギャップは大きくなり、Inを入れるほどバンドギャップは小さく、つまり、長波長側に利得を持つようになる。GaAs基板上では、比較的短波長の850nm、980nm帯の半導体レーザが実用化されており、特性温度100Kを超える優れた温度特性を示している。これは、伝導帯側の大きなバンドオフセットによるものである。しかしながら、InGaAs/GaAs歪量子井戸構造によって、1.3μmでの発光を得るためには、In組成を50%程度に高める必要がある。In組成の増加と共に、GaAs基板との格子不整合が大きくなり、3次元成長やミスフィット転位が生じるため、1.3μm以上の波長帯での高品質な量子井戸の形成は困難である。
一方、1.3μm〜1.55μmを用いた光ファイバ通信用光源としては、バンドギャップ、格子定数の関係上、作製しやすいInP基板上のInGaAsP系量子井戸構造の半導体レーザが用いられてきた。構成材料としては、InP基板との格子定数差を考慮して、井戸層には、1%前後の圧縮歪となるInGaAsPを用い、障壁層には、InP基板と格子整合した組成となるInGaAsPを用いることが一般的である。このような従来のInP基板上の半導体レーザでは、伝導帯側の量子井戸と障壁層間のバンド不連続が小さいために、高温条件下にすると、電子のオーバーフローによる光学利得の低下が生じ、閾値電流の増加、効率の低下を引き起こす。閾値電流の温度依存性を示す特性温度は50K程度と低く、温度調整器の使用が不可欠であった。更に、面発光半導体レーザに必要な高い屈折率差をもつ材料は、InP基板に格子整合する材料の中には少ないという問題がある。このような格子定数とバンドギャップ波長の問題を改善する手段として、GaAsより格子定数が大きく、1.3μm帯のレーザ発振と高い温度特性が期待できるInGaAs基板上の半導体レーザの提案がなされ、初期的な検討もなされてきた。
又、面発光半導体レーザのモード制御、閾値電流低減に有効な技術として、AlAs選択酸化がある。これは、GaAs基板上の面発光半導体レーザの反射鏡として用いられるGaAs/AlGaAsの一部分にAlAs層を導入し、加工プロセスのエッチング後に高温の水蒸気雰囲気にて酸化することで、一部分をアルミナAlxyに変化させる技術である。これにより、横方向の屈折率差による光閉じ込めやアルミナが絶縁体であることによる電流狭窄が可能となる。従って、現在、単一モードの面発光半導体レーザに不可欠な技術となっている。しかしながら、InP基板やInGaAs基板においては、AlAsとの格子定数差が大きいため、この技術は使えないという問題があった。そのため、これらの基板上においては、低閾値動作や単一モード動作が困難であった。
特開2007−066930号公報
以上のように、GaAs基板上の半導体レーザの高性能化には、AlAs選択酸化狭窄構造が有効であるが、GaAs基板上では、格子定数とエネルギーバンドギャップの関係から、通信波長帯である1.3μm帯でのレーザ発振が困難である。一方、1.3μm帯の半導体レーザが実現可能なInP基板やInGaAs基板上では、格子定数の差が大きいため、AlAs層自体のエピタキシャル成長が困難であり、選択酸化狭窄構造を用いた半導体レーザの実現が困難という課題がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、3元混晶の半導体結晶InGaAsからなる基板に、選択酸化狭窄構造を導入した光半導体装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係る光半導体装置は、
In組成比xが低い3元混晶の半導体結晶InxGa1-xAsからなる基板と、
前記基板に低温で結晶成長された、InGaAs歪量子井戸構造からなる活性層と、
前記活性層上に結晶成長された、Alを含む半導体からなるAl含有半導体層とを有し、
前記Al含有半導体層の一部を選択的に酸化して、選択酸化狭窄構造としたことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係る光半導体装置は、
上記第1の発明に記載の光半導体装置において、
前記基板のIn組成比xを、0.1≦x≦0.2の範囲としたことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係る光半導体装置は、
上記第1、第2の発明に記載の光半導体装置において、
前記Al含有半導体層を、AlAsとしたことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係る光半導体装置は、
上記第1〜第3のいずれか1つの発明に記載の光半導体装置において、
前記基板、前記歪量子井戸構造を、1.1μm以上1.4μm以下の範囲の波長域に利得を有する組成から構成すると共に、前記歪量子井戸構造の量子井戸層を、当該波長域を達成する厚みとしたことを特徴とする。
上記課題を解決する第5の発明に係る光半導体装置は、
上記第1〜第4のいずれか1つの発明に記載の光半導体装置において、
更に、半導体多層膜反射鏡を設け、
前記半導体多層膜反射鏡を、前記基板に格子整合するInGaAsとInAlAsの周期構造から構成したことを特徴とする。
本発明によれば、In組成比が低いInGaAs基板に、InGaAs歪量子井戸構造の活性層を低温で結晶成長させ、その上に、Al含有半導体層を結晶成長させると共に一部を選択的に酸化して、選択酸化狭窄構造としたので、つまり、波長1.3μm帯において優れた温度特性が期待されるInGaAs基板上に、半導体レーザの低閾値化と単一モード化が可能な選択酸化狭窄構造を設けたので、通信波長帯の発振波長を有し、温度特性に優れ、低閾値電流かつ単一モード動作する高性能な半導体レーザの実現が可能となる。
加えて、In組成比xが低いInGaAs基板に格子整合するInGaAs/InAlAsの周期構造からなる半導体多層膜反射鏡を更に設けることで、通信波長帯の発振波長を有し、温度特性に優れ、低閾値電流かつ単一モード動作する高性能な面発光半導体レーザの実現も可能となる。
なお、本発明は、半導体レーザと略同等の構成の半導体変調器へも適用可能であり、その場合、通信波長帯に利得を有し、温度特性に優れ、低閾値電流かつ単一モード動作する高性能な半導体変調器の実現が可能となる。
本発明は、半導体レーザ等の光半導体装置に用いる基板として、In組成を低くした3元混晶のInGaAs基板(In組成比:0.1以上0.2以下)を用い、その基板に、低温で結晶成長したInGaAs歪量子井戸構造の活性層を導入すると共に、Alを含む薄い半導体層を選択酸化した選択酸化狭窄構造を導入するものであり、又、面発光半導体レーザとする場合には、更に、その基板に格子整合するInGaAs/InAlAsの半導体多層膜反射鏡を導入するという新たな発想をもとにしたものである。
従来、InGaAs基板上に1.3μm帯の半導体レーザを作製する場合には、用いられるInGaAs基板のIn組成が0.3程度であった。これは、活性層に用いるInGaAs歪量子井戸構造とInGaAs基板の組成の差で決まる格子定数差により制限されてきた。この傾向は、後述する図2に示すように、通常用いられる結晶成長温度では、1%以上の歪みを持つInGaAs歪量子井戸構造を成長するのは困難とされていたからである。
そこで、本発明では、従来よりも低温でInGaAs歪量子井戸構造の活性層を結晶成長させることにより、In組成が0.1程度のInGaAs基板においても、1.3μm帯での利得を持つ半導体レーザを実現している。そして、従来よりもIn組成の低いInGaAs基板を用いることにより、Alを含む半導体、例えば、AlAsとの格子定数差が0.6%程度と小さくなるため、基板上にAlAs層をエピタキシャル成長することが可能となり、低閾値電流かつ単一モード動作に有効な選択酸化狭窄構造を構成して、低閾値電流かつ単一モード動作の半導体レーザの実現が可能となる。加えて、従来よりもIn組成の低いInGaAs基板を用いることにより、この基板に格子整合するInGaAs/InAlAsも結晶成長することが可能となり、材料の屈折率差が0.5程度と大きいInGaAs/InAlAsを用いて半導体多層膜反射鏡を構成して、高い屈折率の反射鏡を用いた低閾値の半導体レーザの実現も可能となる。
以下、本発明に係る光半導体装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<面発光半導体レーザ>
図1は、本発明に係る光半導体装置の実施形態の一例を示す要部断面図である。具体的には、波長1.3μmでのレーザ発振を実現するため、3元混晶の半導体結晶InGaAsの基板上に、AlAsを選択酸化した選択酸化狭窄構造を設け、更に、InGaAs/InAlAsの半導体多層膜反射鏡を設けた面発光半導体レーザの断面構造を示すものである。
本実施例の光半導体装置の概略は、図1に示すように、3元混晶の半導体結晶InGaAsからなる基板11と、基板11上に形成され、n−InGaAs/InAlAsの周期構造からなる半導体多層膜反射鏡12と、半導体多層膜反射鏡12上に形成され、低温で結晶成長されたInGaAsからなる多重歪量子井戸構造の活性層13と、活性層13上に形成されたAl含有半導体層となるAlAs層14と、AlAs層14上に形成され、p−InGaAs/InAlAsの周期構造からなる半導体多層膜反射鏡15と、半導体多層膜反射鏡15上に形成されたp−InGaAsからなるコンタクト層16と、活性層13、AlAs層14、半導体多層膜反射鏡15及びコンタクト層16の周囲を埋め込むポリイミドからなる埋込層17と、コンタクト層16上に形成されたp電極18と、基板11の裏面側に形成されたn電極19とを有し、AlAs層14の一部を選択的に酸化してAlAs選択酸化層14’を形成することにより、選択酸化狭窄構造としたものである。
又、活性層13の多重歪量子井戸構造は、基板11より高いIn組成をもつInGaAsからなる量子井戸層22、24、26と、基板11と同じIn組成をもつInGaAsからなる障壁層21、23、25、27から構成され、両者を複数回成長したものである。
なお、選択酸化を行うAl含有半導体層は、Alの酸化作用を用いているので、酸化して絶縁性を有する程度の高濃度のAlが含まれていればよい。従って、Al含有半導体層としては、AlAsに限らず、例えば、AlGaAs、AlInAs、AlInGaAs等が適用可能である。但し、このAl含有半導体層は、歪量が大きすぎると、格子緩和等の結晶品質の劣化が生じるので、結晶品質の劣化が生じない程度の歪量を有する組成であることが望ましい。
本発明において、InGaAs量子井戸層のIn組成とInGaAs基板のIn組成は、以下のような検討により決定する。
InGaAsのエネルギーバンドギャップは、In組成の増大とともに小さくなり、これに伴い、バンドギャップの逆数に比例する発光波長は長波長化する。又、InGaAsの格子定数はIn組成の増大とともに大きくなる。そのため、InGaAs量子井戸層からの発光波長を決めると、一意に格子定数が決まる。これにより、InGaAs基板との格子定数差、つまり、歪量が一意に決まる。そこで、計算により求めたInGaAs基板上のInGaAs量子井戸層の発光波長とその歪量との関係を図2に示す。なお、比較のため、In組成がゼロのときのInGaAs基板の場合、つまり、GaAs基板の場合も併記した。
図2に示すように、波長1.3μmでの発光を得るには、In組成0.1のInGaAs基板では2.5%の歪み、In組成0.2のInGaAs基板では1.8%の歪みがかかることがわかる。この歪量の結晶構造を、通常用いる有機金属気相成長法で作製すると、歪みによる格子緩和や3次元成長がおこり、結晶性が悪化する。このような現象を抑え、高い歪みの結晶を成長するには、成長温度を下げた低温成長が有効とされている。成長温度を下げるほどこの抑制効果は大きく、高い歪みの結晶でも成長できるようになるが、これまでの半導体レーザのための結晶成長による実験的検討により、InGaAs基板のIn組成0.1の場合には、成長温度が450℃以上600℃以下の範囲がよく、InGaAs基板のIn組成0.2の場合には、成長温度450℃以上700℃以下の範囲がよい。中でも、成長温度が550℃のとき、良好な特性の半導体レーザを実現できることを確認している。この場合、550℃で成長できる最大の歪量が、結晶成長できる最大の歪量となる。
そこで、成長温度550℃において、InGaAs量子井戸層の歪量、つまり、In組成を変えて成長検討を行った。図3は、In組成0.1のInGaAs基板上に成長させたInGaAs量子井戸層のIn組成と、そのフォトルミネッセンススペクトルの関係である。3種類の試料において、InGaAs量子井戸層はIn組成を0.24、0.38、0.4と変化させた。なお、試料の構造は、In組成0.1のInGaAs基板上に、InGaAsバッファー層100nm成長後、歪量子井戸構造を成長させたものであり、歪量子井戸構造におけるInGaAs量子井戸層の両側は20nmのIn0.1Ga0.9As障壁層としている。
図3に示すように、In組成0.1のInGaAs基板上においても、低温成長を行うことにより、1.3μmまでのフォトルミネッセンス発光を得られた。最大波長のフォトルミネッセンススペクトルの試料では、スペクトルの半値全幅の増大、発光強度の減少など、劣化の兆候がみられていた。そのため、1.3μmで発光させるための成長条件から考えて、InGaAs基板のIn組成の下限は0.1であることがわかった。
次に、InGaAs基板のIn組成とAlAs層の歪量との関係を検討してみると、図4に示すようになっている。具体的には、InGaAs基板のIn組成0.1のときは、AlAs層の歪量は0.4%となり、In組成0.2のときは、AlAs層の歪量は1.1%程度必要となる。つまり、In組成0.1から0.2のInGaAs基板では、AlAs層の歪量は0.4から1.1%と十分低い値となることがわかる。
このAlAs層は、その一部を選択的に酸化したAlAs選択酸化層を設けることにより、選択酸化狭窄構造とされており、この選択酸化狭窄構造は、光閉じ込めと電流狭窄という2つの機能を果たす。
光閉じ込めについては、酸化により外側に形成されるアルミナと酸化されずに内側に残ったAlAs層との屈折率差から等価的に光の導波路とみなされることから、その機能を果たしている。この残ったAlAs層の幅を小さくしてゆくと、あるところで、光のモードのうち、基本モードのみしか伝播できなくなる。このモードのカットオフとなる酸化狭窄領域幅は、AlAs層の膜厚も含めて計算される等価屈折率により決まる。AlAs層の膜厚が厚いほど光閉じ込めが強くなるため、酸化領域幅を小さくしないと、単一モード動作しない。
一方、電流狭窄については、酸化したアルミナが絶縁体になり、中心のAlAs層の領域にのみ電流が注入されることから、その機能を果たしている。酸化狭窄領域が小さくなると、電流注入領域、つまり、発光領域が小さくなるため、光出力あたりの発熱の影響が大きくなり、光出力を制限してしまう。そのため、単一モードの光出力を大きくするには、薄いAlAs層が必要となる。
しかしながら、この酸化したアルミナは誘電体であり、電気的にはコンデンサーとみなされる。高速直接変調時には、このコンデンサー成分によるCR時定数による電気的な制限により、変調帯域が制限されてしまうという問題がある。そのため、このCR時定数を考えると、厚いほどよいということになり、前述の単一モード光出力とのトレードオフが生じる。これまでの数多くの実験的検討から、AlAs層の膜厚は20から30nm程度が最適とされている。
そこで、InGaAs基板のIn組成とAlAs層の臨界膜厚との関係を計算してみると、図5に示すような結果になっている。図5からわかるように、InGaAs基板のIn組成0.2が上限であることがわかる。
以上の検討内容から、半導体レーザにおいて、1.3μm帯で発光させると共に、低閾値かつ単一モード動作させるには、In組成0.1以上0.2以下の範囲のInGaAs基板を用いると共に、選択酸化狭窄構造を用いることが必要であることがわかる。
又、上記検討内容から、In組成0.1以上0.2以下の範囲のInGaAs基板において、低温成長によりInGaAs量子井戸層の組成を適宜に設定することで、1.1μm以上1.4μm以下の範囲の波長域に利得を有する構成とすることができる。このとき、InGaAs量子井戸層は、当該波長域を達成する厚みとしている。
ここで、上述した検討内容を踏まえた本実施例の光半導体装置の構成の一例を、図1を参照しながら、具体的に説明する。
基板11は、バルク結晶から切り出して、研磨を行ったn−InxGa1-xAs基板であり、そのIn組成xは0.1を用いる。
その基板11上に、Siをドープしたn−In0.1Ga0.9Asバッファー層(図示省略)を成長し、更に、Siを5×1017ドープした1/4周期のn−In0.1Ga0.9As/In0.1Ga0.9As(35ペア)の半導体多層膜反射鏡12を成長する。その上に、光閉じ込め層として、ドーピングしないAl0.2Ga0.72In0.08As層(図示省略)を成長し、その上に、活性層13を成長する。
この活性層13は、レーザ発振に必要な1.3μmでの利得を持つような歪量子井戸構造を用いる。具体的には、10nmのIn0.4Ga0.6Asからなる量子井戸層22、24、26の両側を、20nmのIn0.1Ga0.9Asの障壁層21、23、25、27としており、量子井戸層/障壁層を3周期とした3層歪量子井戸構造の活性層であり、成長温度550℃で成長した。
更に、活性層13上に、Al0.2Ga0.72In0.08As層からなる光閉じ込め層(図示省略)を成長し、その上に、亜鉛をドープしたp−In0.1Ga0.9As/In0.1Ga0.9As(21ペア)の半導体多層膜反射鏡15を成長するが、この半導体多層膜反射鏡15の最下部、つまり、活性層13と半導体多層膜反射鏡15の間には、30nmのAlAs層14(Al含有半導体)を成長している。AlAs層14は、面発光半導体レーザの光の定在波の節になるような位置に配置され、光の吸収、散乱を防ぐために、定在波の節に薄く導入されている。
このようにして結晶成長した後、フォトリソグラフィ技術を用いてマスクパターンを形成し、その後、ドライエッチングにより正方形メサを形成する。マスクを有機洗浄により剥離後、450℃に加熱した炉の中に入れ、水蒸気を導入し、水蒸気雰囲気でメサ周囲から酸化させる。この酸化温度は通常400℃から500℃で行われる。この際、AlAs層14のみメサ中心方向に向かって、アルミナに変化し、選択酸化層14’が形成される。酸化領域幅は、炉から取り出した後に光学顕微鏡により測定を行う。酸化が足りない場合は再度炉に入れ、昇温後再度酸化する。酸化されていないAlAs層14の領域が5μm角になったところで酸化を停止する。その後、ポリイミドを塗布して、埋込層17を形成し、基板裏面を研磨後に金属蒸着によりp電極18、n電極19を形成する。
このように作製した面発光半導体レーザは、波長が1.25μmであり、最高光出力は室温で0.1mWであった。
<インナーストライプ型ファブリペローレーザ>
図6は、本発明に係る光半導体装置の実施形態の他の一例を示す要部断面図である。具体的には、波長1.3μmでのレーザ発振を実現するため、3元混晶の半導体結晶InGaAsの基板上に、AlAsを選択酸化した選択酸化狭窄構造を設けた端面発光半導体レーザの断面構造を示すものである。
本実施例の光半導体装置の概略は、図6に示すように、3元混晶の半導体結晶InGaAsからなる基板31と、基板31上に形成され、n−InGaPからなるクラッド層32と、クラッド層32上に形成され、低温で結晶成長されたInGaAsからなる多重歪量子井戸構造の活性層33と、活性層33上に形成されたAl含有半導体層となるAlAs層34と、AlAs層34上に形成され、p−InGaPからなるクラッド層35と、クラッド層35上に形成されたp−InGaAsからなるコンタクト層36と、活性層33、AlAs層34、クラッド層35及びコンタクト層36の側面を埋め込むポリイミドからなる埋込層37と、コンタクト層36上に形成されたp電極38と、基板31に裏面側に形成されたn電極39とを有し、AlAs層34の一部を選択的に酸化してAlAs選択酸化層34’を形成することにより、選択酸化狭窄構造としたものである。
更に、実施例1で説明した検討内容を踏まえた本実施例の光半導体装置の構成の一例を、図6を参照しながら、具体的に説明する。なお、成長は有機金属気相成長法(MOVPE)を用いて行った。
基板31は、バルク結晶から切り出して、研磨を行ったIn組成0.1のn−In0.1Ga0.9As基板である。
この基板31上に、成長温度700℃、成長圧力76TorrにてSiをドープしたn−In0.1Ga0.9Asバッファー層(図示省略)を成長し、更に、Siを5×1017ドープしたn−In0.58Ga0.42AsPのクラッド層32を1.5μmの厚さに成長した。
そのクラッド層32上に、活性層33として、圧縮歪みとなる量子井戸層42、44、46の両側に、引張り歪みとなるInGaAs/GaAs歪補償障壁層41、43、45、47を配し、これらを3周期とした3層歪量子井戸構造を、成長温度550℃で成長した。
更に、詳細には、1.3μm発光が可能となる組成であるIn0.5Ga0.5Asを用いた厚さ10nmの量子井戸層42、44、46の両側に、厚さ5nmのIn0.1Ga0.9As障壁層を配し、更に、GaAs歪補償障壁層を配する。GaAs歪補償障壁層は厚さが15nmであり、In0.1Ga0.9As障壁層の間に配する。
この活性層33上に、p−AlAs層34を30nm導入する。更に、この上に亜鉛を5×1017(cm-3)ドープしたP−In0.58Ga0.42Pのクラッド層35を1.5μmの厚さに成長し、その上に、2×1019(cm-3)ドープした厚さ100nmのp−In0.1Ga0.9Asのコンタクト層36を成長する。
成長後、幅20μmのストライプ状のSiO2マスクを、スパッタリングとフォトリソグラフィにより形成し、ウェットエッチングによりストライプメサ構造を形成する。その後、450℃に加熱した炉の中に入れ、水蒸気を導入し、水蒸気雰囲気でストライプメサの側面から酸化させる。この際、AlAs層34のみストライプメサの中心方向に向かって、アルミナに変化し、選択酸化層34’が形成される。この酸化領域幅は、炉から取り出した後に光学顕微鏡により測定を行う。酸化が足りない場合は再度炉に入れ、昇温後再度酸化する。酸化されて無い領域が3μm幅になったところで酸化を停止する。その後、ポリイミドを塗布して、埋込層37を形成し、裏面研磨後、p電極38、n電極39を形成し、インナーストライプ型ファブリペローレーザへ加工した。
このように作製した端面発光半導体レーザは、発振波長が1.3μmであり、単峰性の遠視野像が得られた。又、閾値電流密度は1kA/cm2で85℃までのレーザ発振が得られた。
なお、選択酸化を行うAl含有半導体層は、実施例1と同様に、AlAsに限らず、例えば、AlGaAs、AlInAs、AlInGaAs等が適用可能である。
本発明に係る光半導体装置は、半導体レーザに好適であり、発振特性を向上する選択酸化狭窄構造を実現して、低い駆動電流で単一モード動作を可能とする。又、半導体レーザと略同等の構成の半導体変調器へも適用可能である。
本発明に係る光半導体装置の実施形態の一例(実施例1)を示す要部断面図である。 InGaAs基板、GaAs基板上の量子井戸層の波長と歪量の関係を示すグラフである。 In組成0.1のInGaAs基板上のInGaAs量子井戸層からのフォトルミネッセンススペクトルの歪量依存性を示すグラフである。 InGaAs基板のIn組成とAlAsの歪量の関係を示すグラフである。 InGaAs基板のIn組成とAlAsの臨界膜厚の関係を示すグラフである。 本発明に係る光半導体装置の実施形態の他の一例(実施例2)を示す要部断面図である。
符号の説明
11、31 基板(InGaAs)
12 多層膜反射鏡(n−InGaAs/InAlAs)
13、33 活性層(InGaAs/InGaAs)
14、34 Al含有半導体層(AlAs)
14’、34’ 選択酸化層
15 多層膜反射鏡(p−InGaAs/InAlAs)
16、36 コンタクト層(p−InGaAs)
17、37 埋込層
18、38 p電極
19、39 n電極
21、23、25、27 障壁層(InGaAs)
22、24、26 量子井戸層(InGaAs)
31 クラッド層(n−InGaP)
35 クラッド層(p−InGaP)
41、43、45、47 障壁層(InGaAs/GaAs)
42、44、46 量子井戸層(InGaAs)

Claims (5)

  1. In組成比xが低い3元混晶の半導体結晶InxGa1-xAsからなる基板と、
    前記基板に低温で結晶成長された、InGaAs歪量子井戸構造からなる活性層と、
    前記活性層上に結晶成長された、Alを含む半導体からなるAl含有半導体層とを有し、
    前記Al含有半導体層の一部を選択的に酸化して、選択酸化狭窄構造としたことを特徴とする光半導体装置。
  2. 請求項1に記載の光半導体装置において、
    前記基板のIn組成比xを、0.1≦x≦0.2の範囲としたことを特徴とする光半導体装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光半導体装置において、
    前記Al含有半導体層を、AlAsとしたことを特徴とする光半導体装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光半導体装置において、
    前記基板、前記歪量子井戸構造を、1.1μm以上1.4μm以下の範囲の波長域に利得を有する組成から構成すると共に、前記歪量子井戸構造の量子井戸層を、当該波長域を達成する厚みとしたことを特徴とする光半導体装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光半導体装置において、
    更に、半導体多層膜反射鏡を設け、
    前記半導体多層膜反射鏡を、前記基板に格子整合するInGaAsとInAlAsの周期構造から構成したことを特徴とする光半導体装置。
JP2008108435A 2008-04-18 2008-04-18 光半導体装置 Pending JP2009260093A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008108435A JP2009260093A (ja) 2008-04-18 2008-04-18 光半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008108435A JP2009260093A (ja) 2008-04-18 2008-04-18 光半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009260093A true JP2009260093A (ja) 2009-11-05

Family

ID=41387135

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008108435A Pending JP2009260093A (ja) 2008-04-18 2008-04-18 光半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009260093A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014167993A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 半導体多層膜反射鏡構造
JP2016513889A (ja) * 2013-03-15 2016-05-16 プレビウム リサーチ インコーポレイテッド 広帯域可変掃引光源
JP2018113324A (ja) * 2017-01-11 2018-07-19 国立大学法人 和歌山大学 光デバイス及び光デバイスの製造方法
CN111711063A (zh) * 2020-06-30 2020-09-25 度亘激光技术(苏州)有限公司 衬底、半导体器件及半导体器件的制作方法
WO2023243298A1 (ja) * 2022-06-13 2023-12-21 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 垂直共振器型面発光レーザ素子及び垂直共振器型面発光レーザ素子アレイ

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002217492A (ja) * 2001-01-17 2002-08-02 Fujitsu Ltd 面発光半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2003273459A (ja) * 2002-03-13 2003-09-26 Fujitsu Ltd 面発光レーザおよびその製造方法
JP2003298186A (ja) * 2002-04-05 2003-10-17 Furukawa Electric Co Ltd:The 面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システム
JP2007066930A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光半導体装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002217492A (ja) * 2001-01-17 2002-08-02 Fujitsu Ltd 面発光半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2003273459A (ja) * 2002-03-13 2003-09-26 Fujitsu Ltd 面発光レーザおよびその製造方法
JP2003298186A (ja) * 2002-04-05 2003-10-17 Furukawa Electric Co Ltd:The 面発光レーザ素子、面発光レーザ素子を用いたトランシーバ、光送受信器および光通信システム
JP2007066930A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 光半導体装置

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014167993A (ja) * 2013-02-28 2014-09-11 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 半導体多層膜反射鏡構造
JP2016513889A (ja) * 2013-03-15 2016-05-16 プレビウム リサーチ インコーポレイテッド 広帯域可変掃引光源
US10263394B2 (en) 2013-03-15 2019-04-16 Praevium Research, Inc. Widely tunable swept source
JP2018113324A (ja) * 2017-01-11 2018-07-19 国立大学法人 和歌山大学 光デバイス及び光デバイスの製造方法
CN111711063A (zh) * 2020-06-30 2020-09-25 度亘激光技术(苏州)有限公司 衬底、半导体器件及半导体器件的制作方法
WO2023243298A1 (ja) * 2022-06-13 2023-12-21 ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 垂直共振器型面発光レーザ素子及び垂直共振器型面発光レーザ素子アレイ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002299742A (ja) 垂直空洞面発光レーザ及びその製造方法、並びに、通信システム
JP2009182145A (ja) 半導体光素子
JPH10233557A (ja) 半導体発光素子
JPH05275798A (ja) レーザダイオード
US8228964B2 (en) Surface emitting laser, surface emitting laser array, and image formation apparatus
JP5475398B2 (ja) 半導体発光素子
JP5182363B2 (ja) 半導体発光素子及びその製造方法
JP5698267B2 (ja) 半導体デバイス
JP2009260093A (ja) 光半導体装置
JP2006245222A (ja) 光半導体装置の製造方法および光半導体装置
JP4168202B2 (ja) 垂直空洞半導体面発光レーザ素子および該レーザ素子を用いた光学システム
JP4440571B2 (ja) 量子カスケードレーザ
JPWO2007135772A1 (ja) 発光素子
JP2004031925A (ja) n型半導体分布ブラッグ反射器および面発光半導体レーザ素子および面発光レーザアレイおよび面発光レーザモジュールおよび光インターコネクションシステムおよび光通信システム
JP2006229008A (ja) 半導体レーザ素子
JP4345673B2 (ja) 半導体レーザ
JP2010021430A (ja) 半導体光素子
JP2000353858A (ja) 面発光レーザとその作製方法
JP4722404B2 (ja) 長波長帯面発光半導体レーザ
JP4443674B2 (ja) InP系半導体レーザ素子及びその作製方法
JP4983791B2 (ja) 光半導体素子
JP2004103679A (ja) 半導体発光素子および半導体発光素子モジュール
JP2014022690A (ja) 面発光半導体レーザ
JP4163343B2 (ja) 発光素子および発光素子モジュール
JP2005085876A (ja) 面発光半導体レーザおよびその製造方法および光送信モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100907

A521 Written amendment

Effective date: 20100907

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

A977 Report on retrieval

Effective date: 20120326

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20120724

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120921

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121009