JP2006245222A - 光半導体装置の製造方法および光半導体装置 - Google Patents

光半導体装置の製造方法および光半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 所望の活性層幅の制御が可能で、アルミニウムを含む活性層を空気に接触させることなく、かつ、高いメサ構造を実現する。
【解決手段】 光半導体装置の製造過程において、基板上に設けられた異なる導電性の一対のクラッド層間にアルミニウムを含む活性層を有する積層構造体に対して結晶成長炉の外で前記活性層の近傍までエッチングを行い(ステップS1)、結晶成長炉内で活性層と一対のクラッド層とに対してエッチングを行い(ステップS2)、埋め込み層を形成する(ステップS3)。そのため、高いメサ構造体を形成しても、アルミニウムを含む活性層を空気に接触させることなく光半導体装置に適した活性層幅にエッチングすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は光半導体装置の製造方法および光半導体装置に関し、特にアルミニウムを含む半導体層を活性層に用いた光半導体装置の製造方法および光半導体装置に関する。
近年、光通信システムの通信速度(伝送速度)の高速化に向けて、例えば、AlGaInAs系多重量子井戸(Multiple Quantum Well:MQW)構造を活性層に用いた高抵抗埋め込み型半導体レーザや光変調器等の開発が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
図20は、高抵抗埋め込み型の光半導体装置を示す断面図である。
図20に示す光半導体装置90は、電流路以外の領域を高い抵抗にするための高抵抗層97で埋め込んだ構造(ストライプ構造)をなしている。このような構造にすることにより、活性層のみに電流を注入することができるので動作電流を低減することができる。また、通常のpn埋め込み構造に比べて素子容量を低減でき、よって通信速度の高速化を図ることができる。
また、AlGaInAs系MQW構造は、InGaAsP系MQW構造に比べて伝導帯のバンド不連続が大きく電子の閉じ込めが強いため、活性層93に用いると高温での素子特性を向上できる。また、逆に価電子帯のバンド不連続が小さいため、正孔の引き抜きが容易で、変調特性の向上が期待できる。
この光半導体装置90は、例えば、以下のようにして作製される。
まず、n型InP基板上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相成長)装置(MOCVD法)により、少なくとも、n型InPクラッド層92、アルミニウムを含む活性層93、p型InPクラッド層94およびp型InGaAsコンタクト層95が含まれる半導体積層構造体を結晶成長する。
次に、この半導体積層構造体にストライプ状のSiO2マスクを形成し、ウェットエッチングもしくはドライエッチングにより、少なくともn型InPクラッド層中に到達するメサエッチングを行う。これにより、基板上に、n型InPクラッド層92の一部、Alを含む活性層93、p型InPクラッド層94およびp型InGaAsコンタクト層95とで構成されるストライプ状のメサ構造体98が形成される。
その後、メサ構造体98をMOCVD装置に導入し、メサ構造体98を前述した高抵抗層97で埋め込む。
その後、SiO2マスクを除去し、p側電極96、n側電極91を形成する。これにより、光半導体装置90が完成する。
ここで、p型InGaAsコンタクト層95の上面からの活性層93上面までの深さDは、活性層93の光放射がp側電極96に到達しない深さ(一例として、2μm以上)に設計するのが好ましい。したがって、形成するメサ構造体98は、その高さが3μm程度であるのが好ましい。また、活性層93の幅Wは、横高次モード(複数の横モード)を抑制するために通常2μm以下であるのが好ましい。
ところで、前述した製造過程においては、半導体積層構造体をMOCVD装置に導入する際に、活性層93が空気(外気)に触れてしまう恐れがある。
前述したように、活性層93は、アルミニウムを含んでいる。アルミニウムは、非常に酸化しやすい材料であるため、作製プロセス中にアルミニウムを含む活性層93が空気に接触すると、活性層93がすぐに酸化されてしまう。この酸化の度合いが大きいと、表面に形成されるAl23酸化膜により高抵抗層97の埋め込み再成長が阻害され、活性層93の脇にボイド(未成長による空洞)や積層欠陥が発生し、素子特性や歩留まりを低下させてしまう。また、再成長界面に高濃度の酸素が残留すると素子の信頼性を低下させる要因になる。
上述したように、アルミニウムを含む半導体層を活性層に用いた埋め込み型光半導体装置の製造においては、アルミニウムの酸化を防止することが必要となる。
アルミニウムの酸化を防止する埋め込み技術としては、例えば、MOCVD法を用いて、アルミニウムを含む活性層を形成し、その側面を空気に接触させること無くInP層で被覆する選択成長法(例えば、特許文献1参照)や、アルミニウムを含む半導体積層構造にストライプ状絶縁膜マスクを施したウエハを、MOCVD装置の反応炉内で気相エッチングすることによりメサ構造体を形成し、その後連続して結晶成長を行い、メサ構造体を半導体層で埋め込む気相エッチング法(例えば、特許文献2および非特許文献2参照)等が挙げられる。
いずれの方法を用いた場合も、(100)面を基板面とするとき、ストライプ方向を[011]方向に形成すると、メサ構造体の側面には(100)面に対して約55°の傾斜をなす(111)B面が形成される。
特開2003−133647号公報 特開平6−232099号公報 Jpn. Journal of Applied Physics Vol41(2002)1171−1174 Jpn. Journal of Applied Physics Vol43(2004)L1247−L1249
これらの方法では、メサ構造体の側面に(111)B面が形成されるため、比較的低いメサ構造の埋め込みには有効であるが、図20に示すような比較的高いメサ構造の埋め込みに適用した場合には、活性層の[01−1]方向の幅が広くなってしまい(一例として、3μm以上)、光の横高次モードが発生して素子特性が劣化するという問題があった。すなわち、光半導体装置90に適した2μm以下の活性層幅に制御することができないという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、所望の活性層幅の制御が可能で、アルミニウムを含む活性層を空気に接触させることなく、かつ、高いメサ構造を実現することができる光半導体装置の製造方法および光半導体装置を提供することを目的とする。
本発明では上記課題を解決するために、図1に示す製造フローによって実現可能な光半導体装置の製造方法が提供される。
本発明に係る光半導体装置の製造方法は、アルミニウムを含む活性層を有する光半導体装置の製造方法において、結晶成長装置を用いて基板上に異なる導電性の一対のクラッド層間にアルミニウムを含む活性層を成長させた積層構造体を、前記結晶成長装置の外で前記活性層の近傍までエッチングする第1の工程と、前記結晶成長装置を用いて前記活性層と前記一対のクラッド層とに対してエッチングを行ってメサ構造体を形成する第2の工程と、前記メサ構造体の露出面を覆うように、前記結晶成長装置を用いて埋め込み層を形成する第3の工程と、を有することを特徴とする。
このような光半導体装置の製造方法では、積層構造体を形成し、結晶成長装置の外でこの積層構造体を活性層の近傍までエッチングし(ステップS1)、結晶成長装置内でこの積層構造体を例えば、気相エッチングなどの方法を用いてエッチングしてメサ構造体を形成し(ステップS2)、ステップS2に連続して、このメサ構造体の露出面を覆うように、埋め込み層を形成する(ステップS3)。
この方法では、エッチングを、結晶成長炉の外でのエッチングと結晶成長炉内でのエッチングとに分けて行うことを特徴としているため、高いメサ構造体を形成しても、アルミニウムを含む活性層を空気に接触させることなく光半導体装置に適した活性層幅にエッチングすることができる。
また、本発明に係る光半導体装置は、アルミニウムを含む活性層を有する光半導体装置において、(100)面を基板面とする基板と、前記基板上に設けられ、かつ、[011]方向に延在する、異なる導電性を有する一対のクラッド層および前記一対のクラッド層間に設けられアルミニウムを含む活性層を備えるメサ構造体と、前記活性層および前記一対のクラッド層の露出面を覆うように、前記基板上に設けられた埋め込み層とを有し、前記一対のクラッド層のうちの、前記活性層を介して前記基板と反対側のクラッド層は、その側面が(100)面に対してほぼ垂直に形成され、かつ、前記活性層には、(111)B面が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、エッチングを、結晶成長炉の外でのエッチングと結晶成長炉内でのエッチングとに分けて行うため、アルミニウムを含む活性層を空気に接触させることなくエッチング加工することができる。これにより、活性層の結晶の品質を向上させることができ、高抵抗埋め込み層への電流リーク低減による動作電流の低減や、再成長界面の酸素濃度低減による素子の信頼性を向上させることができる。
また、高いメサ構造を製造しても、活性層を光半導体装置に適した幅にエッチング加工することができる。これにより、光の横高次モードの発生を低減または抑制することができるため、素子の特性の劣化を防止することができる。
また、埋め込み層のほぼ全部を高抵抗層で構成するため、寄生容量を小さくすることができ、高速変調等の高周波特性を向上させることができる。これらにより、光半導体装置の高性能化、高品質化を図ることができる。
以下、本発明の光半導体装置の製造方法および光半導体装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図2は、本発明の光半導体装置の第1の実施の形態を示す断面図である。
なお、以下の説明では、各層の上側の面を「上面」、下側の面を「下面」という。
また、図2の上側に進む方向を[100]方向、図2の紙面に向かって奥側に進む方向を[011]方向、図2の右側に向かって進む方向を[01−1]方向とする。
なお、括弧内の値は、一例を示す。
図2に示す光半導体装置100は、活性層に多重量子井戸構造(以下「MQW構造」という)を適用し、[011]方向を長手方向とする([011]方向に延在する)メサ構造体60(後述)以外の領域に高抵抗層を埋め込んだ構造(ストライプ構造)をなしており、n型電極1、n型基板2、n型クラッド層3、アルミニウムを含む活性層4、p型エッチストップ層5、p型クラッド層6、p型コンタクト層7、高抵抗層を構成する埋め込み層8およびp型電極9を有している。以下、各層(各部)の構成について説明する。
n型電極1およびp型電極9は、各層3〜8を挟んで対向して設けられている。このn型電極2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、AuGe/Ni/Au、AuSn/Mo/Au等が挙げられる。また、p型電極9の構成材料としては、例えば、Cr/Au、Ti/Pt/Au、AuZn/Ti/Pt/Au、Au/Zn/Au等が挙げられる。
n型電極1の上面には、n型基板2が設けられている。
n型基板2は、n型クラッド層3、活性層4、p型エッチストップ層5、p型クラッド層6、p型コンタクト層7および埋め込み層8の各層を支持するものである。
n型基板2の構成材料としては、例えば、InP、GaAs等が挙げられる。
n型基板2の上面には、側面視でほぼ台形状をなすn型クラッド層3が設けられている。
このn型クラッド層3の両側部3a、3aは、n型基板2(100面)に対して55°程度傾斜した面、(111)B面が形成されている。
n型クラッド層3の構成材料としては、例えば、n型基板2と同様のものが挙げられる。
n型クラッド層3の上面には、側面視でほぼ台形状をなす活性層4が設けられている。
この活性層4の両側部4a、4aは、n型クラッド層3の両側部3a、3aに連続して設けられており、(111)B面が形成されている。
この活性層4は、例えば、n型AlGaInAs光ガイド層、ノンドープAlGaInAs井戸層とノンドープAlGaInAs障壁層で構成されるMQW構造およびノンドープAlGaInAs光ガイド層が、それぞれ、所定の層数および所定の厚さで積み重ねられて構成されている。
この活性層4は、後述するように、アルミニウムが実質的に酸化されていない。
活性層4の上面には、側面視でほぼ台形状をなすエッチストップ層5が設けられている。
エッチストップ層5は、後述するエッチング工程(ウェットエッチング工程)において、エッチングをこの層で停止させるために設けられている。
このエッチストップ層5の両側部5a、5aは、活性層4の両側部4a、4aに連続して設けられており、(111)B面が形成されている。
エッチストップ層5の構成材料としては、例えば、p型InGaAsP等が挙げられる。
エッチストップ層5の上面には、p型クラッド層6が設けられている。
このp型クラッド層6の両側部6a、6aは、(100)面にほぼ垂直な面となっている。
p型クラッド層6の構成材料としては、例えば、InP等が挙げられる。
p型クラッド層6の上面には、p型コンタクト層7が設けられている。
このp型コンタクト層7の構成材料としては、例えば、InGaAs等が挙げられる。
n型クラッド層3、活性層4、エッチストップ層5、p型クラッド層6およびp型コンタクト層7でメサ構造体60が構成される。
メサ構造体60の両側部には、電流路以外の領域を高い抵抗(高抵抗)にして、電流狭窄構造を形成するための埋め込み層8が設けられている。この埋め込み層8の構成材料としては、例えば、FeドープInP、RuドープInP等が挙げられる。埋め込み層8の[100]方向の長さ(高さ)は、メサ構造体60の[100]方向の長さ(高さ)とほぼ等しい。
ここで、活性層4の幅(最大幅)をW1とすると、幅W1は、1〜2μm程度であるのが好ましく、1.2〜1.5μm程度であるのがより好ましい。幅W1が上記よりも大きくなると、使用時に、光の横高次モードが発生し、素子特性を劣化させるため、好ましくない。
また、p型コンタクト層7の上面から活性層4の上面までの深さ(長さ)をDとすると、深さDは、2〜3μm程度であるのが好ましい。深さDが上記の下限値未満であると、活性層4の光放射が、p型電極9に反射されてしまうため、好ましくない。
この光半導体装置100は、n型電極1とp型電極9とに、p型電極9が正電圧になる向きの電圧を印加すると、p型コンタクト層7、p型クラッド層6、エッチストップ層5を介して活性層4に正孔が注入され、n型基板2、n型クラッド層3を介して活性層4に電子が注入される。これにより、電子−正孔が再結合し、そのエネルギーが光として出射する。
この光半導体装置100によれば、活性層4のアルミニウムの酸化がなく、かつ、光の活性層4の光放射が、p型電極9に反射されることのない高いメサ構造体60と、高抵抗の埋め込み層8とを有するため、光の横高次モードが発生することによる素子特性の劣化を低減または抑制することができ、また、埋め込み層8への電流リーク低減による動作電流の低減や再成長界面の酸素濃度低減による素子の信頼性を向上させることができる。
また、埋め込み層8のほぼ全部が高抵抗層で構成されているため、寄生容量が小さく、高速変調等の高周波特性が向上した光半導体装置100を実現することができる。
このような光半導体装置100は、例えば、次のようにして製造される。
図3は、ウエハの形成工程を示す断面図である。
まず、MOCVD装置(エピタキシャル成長装置)を用いて、図3に示すように、(100)面を成長面とするn型InP基板11上に、n型InP第1クラッド層(膜厚0.5μm程度)12、活性層(膜厚0.21μm程度)13、p型InGaAsPエッチストップ層(組成波長1.0μm程度、膜厚0.02μm程度)14、p型InP第2クラッド層(膜厚2μm程度)15、p型InGaAsコンタクト層(膜厚0.5μm程度)16を[100]方向に順次結晶成長させてウエハ10を形成する。
ここで、活性層13は、n型AlGaInAs光ガイド層(膜厚0.02μm程度)上に、ノンドープAlGaInAs井戸層(膜厚6nm程度、10層)とノンドープAlGaInAs障壁層(膜厚10nm程度、11層)とを交互に積層したMQW構造を形成し、さらにその上にノンドープAlGaInAs光ガイド層(膜厚0.02μm程度)を成長させたものである。
図4は、SiO2膜の成膜工程を示す断面図である。
次に、このウエハ10をMOCVD装置外に配置し、図4に示すように、CVD法により、p型InGaAsコンタクト層16上に所定厚さのSiO2膜を成膜し、フォトリソグラフィー法により、[011]方向に幅2μm程度のマスク61をパターニングする。
図5は、ウェットエッチング工程を示す断面図である。
次に、図5に示すように、このマスク61をマスクとして、H2SO4:H22:H2O混合液を用いて、マスク61で覆われていない領域のp型InGaAsコンタクト層16を選択的にウェットエッチングし、その後、HCl:H22:H2O混合液を用いて、p型InP第2クラッド層15をウェットエッチングする。HCl:H22:H2O混合液は、液組成を調整することにより、InPに対するInGaAsPのエッチング速度比をかなり小さくできるため、p型InP第2クラッド層15の下のp型InGaAsPエッチストップ層14の表面でエッチングを停止することができる。
図6は、気相エッチング工程を示す断面図である。
次に、このウエハ10をMOCVD装置の反応炉に入れ、PH3雰囲気下で昇温し、HClガスを導入して、p型InGaAsPエッチストップ層14、活性層13、およびn型InP第1クラッド層12を気相エッチングする。この際、[100]方向の気相エッチング量は0.5μm程度にする。この気相エッチングにより、図6に示すように、p型InGaAsPエッチストップ層14より下部のメサ両側壁には(111)B面が形成される。これによりメサ構造体60が得られる。
なお、図6では、気相エッチング前のウエハ10の外形を破線で示している(以後の各実施形態においても同様)。
なお、本工程においてp型InGaAsコンタクト層16およびp型InP第2クラッド層15にはサイドエッチが入る可能性があるが、気相エッチング条件を最適化することにより、[100]方向のエッチング量に対する影響を無視できる程度に少なくすることができる。
図7は、埋め込み層を形成する工程を示す断面図である。
次に、気相エッチング工程に連続して、MOCVD装置の反応炉内でFeドープ高抵抗InP層を結晶成長する。これにより、図7に示すように、メサ構造体60の露出面を覆うように埋め込み層8を形成する。
その後、マスク61を除去し、p型InGaAsコンタクト層16の上面にp型電極9を形成し、n型InP基板11の下面にn側電極1を形成することにより図1に示す光半導体装置100が得られる。
第1の実施の形態の光半導体装置100の製造方法によれば、エッチングをMOCVD装置の外でのウェットエッチングとMOCVD装置の反応炉内での気相エッチングとに分けて行うため、MOCVD装置外で行う1回目のエッチングにおいて、p型InGaAsPエッチストップ層14の表面でエッチングを停止することができる。これにより、深さDの大きい(比較的高い)メサ構造体60を作製する際においても、アルミニウムを含む活性層13の外気(酸素)との接触を防止することができる。
また、1回目のエッチングを選択ウェットエッチングで行うため、メサ構造体60の高さの制御を容易かつ確実に行うことができる。これにより、活性層13の直上でエッチングを停止することができる。その結果、2回目のエッチング(気相エッチング)における活性層13の幅の制御性を向上させることができる。
また、埋め込み層8は、ほぼ全部高抵抗層で構成できるため、信頼性が高く、かつ、高周波特性に優れた光半導体装置100を製造することができる。
なお、第1の実施の形態では、活性層13上にp型InGaAsPエッチストップ層14を配置してウエハ10を構成したが、これに限らず、例えば、p型InP第2クラッド層15が、p型InGaAsPエッチストップ層14を挟むように(p型InP第2クラッド層15の内部に位置するように)、かつ、可及的に活性層13に近い位置にp型InGaAsPエッチストップ層14を配置してウエハ10を構成してもよい。
次に、第2の実施の形態の光半導体装置について説明する。
図8は、第2の実施の形態の光半導体装置を示す断面図である。
以下、第2の実施の形態の光半導体装置200について、前述した第1の実施の形態の光半導体装置100との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示す第2の実施の形態の光半導体装置200は、エッチストップ層が存在しない点が第1の実施の形態と異なっている。すなわち、n型基板22上のメサ構造体70は、n型クラッド層23と、活性層24と、p型クラッド層25と、p型コンタクト層26とで構成される。
このような光半導体装置200においても第1の実施の形態の光半導体装置100と同様の効果が得られる。
次に、第2の実施の形態の光半導体装置200の製造方法について説明する。
図9はウエハの形成工程を示す断面図である。
まず、MOCVD装置を用いて、図9に示すように、(100)面を成長面とするn型InP基板上41に、n型InP第1クラッド層(膜厚0.5μm程度)42、活性層(膜厚0.21μm程度)43、p型InP第2クラッド層(膜厚1.5μm程度)44、p型InGaAsコンタクト層(膜厚0.5μm程度)45を順次結晶成長させて、ウエハ20を形成する。ここで、活性層43は、ノンドープAlGaInAs井戸層(引っ張り歪み0.3%、各層厚10nm程度、10層)とノンドープInAlAs障壁層(圧縮歪み0.3%、各層厚10nm程度、11層)とを交互に積層したMQW構造で構成する。これにより、各層の歪みが補償される。
図10は、SiO2膜の成膜工程を示す断面図である。
次に、このウエハ20をMOCVD装置外に配置し、図10に示すように、CVD法により、ウエハ20上にSiO2膜を成膜し、フォトリソグラフィー法により、[011]方向に幅1.6μm程度のマスク62をパターニングする。
図11は、ドライエッチング工程を示す断面図である。
次に、塩素系ガスを用いて、マスク62に覆われていない領域のp型InGaAsコンタクト層45とp型InP第2クラッド層44とをドライエッチングする。この際、ドライエッチングの時間を制御することにより、活性層43の上方50nm程度の位置でエッチングを停止させる。このドライエッチングにより、図11に示すように、p型InGaAsコンタクト層45およびp型InP第2クラッド層44の側面は、(100)面にほぼ垂直になる。また、p型InGaAsコンタクト層45およびp型InP第2クラッド層44の幅W2は1.5μm程度となる。
図12は、気相エッチング工程を示す断面図である。
次に、このウエハ20をMOCVD装置の反応炉に入れ、PH3雰囲気で昇温し、HClガスを導入して、p型InGaAsコンタクト層45、p型InP第2クラッド層44、活性層43、およびn型InP第1クラッド層42の一部を気相エッチングする。この際、[100]方向の気相エッチング量は0.5μm程度にする。この気相エッチングにより、図12に示すように、活性層43、およびn型InP第1クラッド層42の両側壁には(111)B面が形成される。これによりメサ構造体70が得られる。このときの活性層43の幅(最大幅)W3は1.7μm程度になる。
図13は、埋め込み層の形成工程を示す断面図である。
次に、気相エッチング工程に連続して、MOCVD装置の反応炉内でRuドープ高抵抗InP層を結晶成長する。これにより、図13に示すように、メサ構造体70の露出面を覆うように埋め込み層27を形成する。
その後、マスク62を除去し、p型InGaAsコンタクト層45の上面にp側電極28を形成し、n型InP基板41の下面にn側電極21を形成することにより図8に示す第2の実施の形態の光半導体装置200が得られる。
この第2の実施の形態の光半導体装置200の製造方法においては、MOCVD装置外でのエッチングをドライエッチングで行うことを特徴としているため、1回目のエッチングにおいて、p型InGaAsコンタクト層45およびp型InP第2クラッド層44は、n型InP基板41の(100)面に対して、その側面がより垂直な状態にエッチングされる。その結果、2回目の気相エッチング時の活性層43の幅W3の制御を、より容易かつ確実に行うことができる。
次に、第3の実施の形態の光半導体装置について説明する。
図14は、第3の実施の形態の光半導体装置を示す断面図である。
なお以下では、図14の上側に進む方向を[100]方向、図14の紙面に向かって奥側に進む方向を[01−1]方向、図14の右側に向かって進む方向を[011]方向とする。
以下、第3の実施の形態の光半導体装置300について、前述した第2の実施の形態の光半導体装置200との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図14に示す第3の実施の形態の光半導体装置300は、p型クラッド層35とp型コンタクト層36との間にp型中間層39を有している。
また、この光半導体装置300は、[01−1]方向を長手方向とするメサ構造体80が形成されている。すなわち、第3の実施の形態の光半導体装置300のメサ構造体80は、第1の実施の形態および第2の実施の形態の各光半導体装置100、200のメサ構造体60、70に対しては直交する向きで形成されている。
また、n型基板32上のn型クラッド層33の側面331と、(100)面とのなす角度は、第2の実施の形態のn型クラッド層23の(111)B面と(100)面とのなす角度に比べて小さくなっており、活性層34は、その側面341が、(100)面に対してほぼ垂直になっている。
このような光半導体装置300においても第2の実施の形態の光半導体装置100と同様の効果が得られる。
次に、第3の実施の形態の光半導体装置300の製造方法について説明する。
図15は、ウエハの形成工程を示す断面図である。
まず、MOCVD装置(エピタキシャル成長装置)を用いて、図15に示すように、(100)面を成長面とするn型InP基板51上に、n型InP第1クラッド層(膜厚0.5μm程度)52、活性層(膜厚0.21μm程度)53、p型InP第2クラッド層(膜厚2μm程度)54、p型InGaAsP中間層(膜厚0.1μm程度)55、p型InGaAsコンタクト層(膜厚0.5μm程度)56を順次結晶成長させてウエハ50を形成する。
ここで、活性層53は、n型AlGaInAs光ガイド層(膜厚0.02μm)上に、ノンドープAlGaInAs井戸層(膜厚6nm、10層)とノンドープAlGaInAs障壁層(膜厚10nm、11層)とを交互に積層したMQW構造を形成し、さらにその上にノンドープAlGaInAs光ガイド層(膜厚0.02μm)を成長させたものである。
図16は、SiO2膜の成膜工程を示す断面図である。
次に、このウエハ50をMOCVD装置の外に配置し、図16に示すように、CVD法により、p型InGaAsコンタクト層56上にマスク63を成膜し、フォトリソグラフィー法により、[01−1]方向に幅1.8μm程度のマスク63をパターニングする。
図17は、ドライエッチング工程を示す断面図である。
次に、図17に示すように、塩素系ガスを用いて、マスク63で覆われていない領域のp型InGaAsコンタクト層56、p型InGaAsP中間層55およびp型InP第2クラッド層54の一部をドライエッチングする。この際、ドライエッチング時間を制御することにより、p型InP第2クラッド層54の、活性層53の上方50nm程度の位置でエッチングを停止する。このドライエッチングにより、p型InGaAsコンタクト層56、p型InGaAsP中間層55およびp型InP第2クラッド層54の側面は、(011)面に対してほぼ平行になり、メサ幅W4は1.5μm程度となる。
図18は、気相エッチング工程を示す断面図である。
次に、このウエハ50をMOCVD装置の反応炉に入れ、PH3雰囲気下で昇温し、ターシャルブチルクロライドガスを導入し、残りのp型InP第2クラッド層54、活性層53、およびn型InP第1クラッド層52の一部を気相エッチングする。この際、これら各層の[100]方向の気相エッチング量は0.5μm程度にする。この気相エッチングにより、図18に示すように、メサ構造体80が得られる。このときの気相エッチング後の活性層の幅W5は1.3μm程度になる。
図19は、埋め込み層の形成工程を示す断面図である。
次に、気相エッチング工程に連続して、MOCVD装置の反応炉内でFeドープ高抵抗InP層を結晶成長する。これにより、図19に示すように、メサ構造体80の露出面を覆うように埋め込み層37を形成する。
その後、マスク63を除去し、p型InGaAsコンタクト層56の上面にp側電極38を形成し、n型InP基板51の下面にn側電極31を形成することにより図14に示す第3の実施形態の光半導体装置300が完成する。
この製造方法では、[01−1]方向にマスク63を形成したことにより、[011]方向にSiO2膜を形成する場合に比べてFeドープInPで構成される埋め込み層37のFe濃度を高くすることができるため、埋め込み層37をより高抵抗化することができる。その結果、高温や大電流での動作時でもリーク電流の少ない光半導体装置300を得ることができる。
さらに、この製造方法では、[01−1]方向へのエッチングは、ドライエッチングを行う。ここで、もし[01−1]方向に形成したマスク63に対してウェットエッチングを行うと、エッチングが下方に進むにつれて、活性層53の幅W5が漸増する(広くなる)順メサ形状になり、光半導体装置300に適した活性層の幅W5の制御が困難になる。第3の実施の形態では、ドライエッチングを適用することにより、幅W5の増加を低減または抑制することができ、その結果、光の横高次モードの発生を低減または抑制することができる。
以上本発明の好適な実施の形態について詳述したが、本発明は、その特定の実施の形態に限定されるものではない。
また、本発明の光半導体装置では、その他の構成(例えば、各層の間に、任意の目的の1層以上の層)が付加されていてもよい。
なお、p型コンタクト層は、初めに成長させないで、メサ構造体を埋め込み層で埋め込んでSiO2膜を除去した工程後に、成長させてもよい。
また、前記各実施形態では、エッチングを2回に分けて行ったが、これに限らず、1回目のウェットエッチングやドライエッチングをそれぞれ複数回に分けて行ったり、2回目の気相エッチングを複数回に分けて行ったりしてもよい。
なお、本発明の光半導体装置は、例えば、埋め込みヘテロ型AlGaInAs系半導体レーザなどの半導体レーザや、埋め込みヘテロ型AlGaInAs系光変調器などの光変調器や、さらには、例えば半導体レーザと光変調器を集積した変調器集積レーザなどに対して好適に適用することができる。また、半導体光変調器に適用する場合、前述した活性層は、光を吸収する光吸収層として機能するものである。
(付記1) アルミニウムを含む活性層を有する光半導体装置の製造方法において、
結晶成長装置を用いて基板上に異なる導電性の一対のクラッド層間にアルミニウムを含む活性層を成長させた積層構造体を、前記結晶成長装置の外で前記活性層の近傍までエッチングする第1の工程と、
前記結晶成長装置を用いて前記活性層と前記一対のクラッド層とに対してエッチングを行ってメサ構造体を形成する第2の工程と、
前記メサ構造体の露出面を覆うように、前記結晶成長装置を用いて埋め込み層を形成する第3の工程と、
を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記積層構造体は、前記一対のクラッド層のうちの一方のクラッド層の、内部または前記活性層との間に、前記第1の工程のエッチングにより実質的にエッチングされないエッチストップ層を有し、
前記第1の工程では、前記エッチストップ層までエッチングすることを特徴とする付記1記載の光半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記第1の工程のエッチングをウエットエッチングで行うことを特徴とする付記2記載の光半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記第1の工程のエッチングをドライエッチングで行うことを特徴とする付記1記載の光半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記基板が、(100)面を基板面とし、前記積層構造体の積層方向を[100]方向としたとき、
前記第1の工程は、[011]方向にマスクを形成し、前記マスクを用いて前記第1の工程のエッチングを行うことを特徴とする付記1記載の光半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記基板が、(100)面を基板面とし、前記積層構造体の積層方向を[100]方向としたとき、
前記第1の工程は、[01−1]方向にマスクを形成し、前記マスクを用いて前記第1の工程のエッチングを行うことを特徴とする付記1記載の光半導体装置の製造方法。
(付記7) アルミニウムを含む活性層を有する光半導体装置において、
(100)面を基板面とする基板と、
前記基板上に設けられ、かつ、[011]方向に延在する、異なる導電性を有する一対のクラッド層および前記一対のクラッド層間に設けられアルミニウムを含む活性層を備えるメサ構造体と、
前記活性層および前記一対のクラッド層の露出面を覆うように、前記基板上に設けられた埋め込み層とを有し、
前記一対のクラッド層のうちの、前記活性層を介して前記基板と反対側のクラッド層は、その側面が(100)面に対してほぼ垂直に形成され、かつ、前記活性層には、(111)B面が形成されていることを特徴とする光半導体装置。
本発明の光半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。 第1の実施の形態の光半導体装置を示す断面図である。 ウエハの形成工程を示す断面図である。 SiO2膜の成膜工程を示す断面図である。 ウェットエッチング工程を示す断面図である。 気相エッチング工程を示す断面図である。 埋め込み層の形成工程を示す断面図である。 第2の実施の形態の光半導体装置を示す断面図である。 ウエハの形成工程を示す断面図である。 SiO2膜の成膜工程を示す断面図である。 ドライエッチング工程を示す断面図である。 気相エッチング工程を示す断面図である。 埋め込み層の形成工程を示す断面図である。 第3の実施の形態の光半導体装置を示す断面図である。 ウエハの形成工程を示す断面図である。 SiO2膜の成膜工程を示す断面図である。 ドライエッチング工程を示す断面図である。 気相エッチング工程を示す断面図である。 埋め込み層の形成工程を示す断面図である。 高抵抗埋め込み型の光半導体装置を示す断面図である。
符号の説明
2、22、32 n型基板
3、23、33 n型クラッド層
4、24、34 活性層
5 エッチストップ層
6、25、35 p型クラッド層
7、26、36 p型コンタクト層
8、27、37 埋め込み層
10、20、50 ウエハ
39 中間層
61、62、63 マスク
60、70、80 メサ構造体
100、200、300 光半導体装置

Claims (5)

  1. アルミニウムを含む活性層を有する光半導体装置の製造方法において、
    結晶成長装置を用いて基板上に異なる導電性の一対のクラッド層間にアルミニウムを含む活性層を成長させた積層構造体を、前記結晶成長装置の外で前記活性層の近傍までエッチングする第1の工程と、
    前記結晶成長装置を用いて前記活性層と前記一対のクラッド層とに対してエッチングを行ってメサ構造体を形成する第2の工程と、
    前記メサ構造体の露出面を覆うように、前記結晶成長装置を用いて埋め込み層を形成する第3の工程と、
    を有することを特徴とする光半導体装置の製造方法。
  2. 前記積層構造体は、前記一対のクラッド層のうちの一方のクラッド層の、内部または前記活性層との間に、前記第1の工程のエッチングにより実質的にエッチングされないエッチストップ層を有し、
    前記第1の工程では、前記エッチストップ層までエッチングすることを特徴とする請求項1記載の光半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1の工程のエッチングをドライエッチングで行うことを特徴とする請求項1記載の光半導体装置の製造方法。
  4. 前記基板が、(100)面を基板面とし、前記積層構造体の積層方向を[100]方向としたとき、
    前記第1の工程は、[011]方向にマスクを形成し、前記マスクを用いて前記第1の工程のエッチングを行うことを特徴とする請求項1記載の光半導体装置の製造方法。
  5. アルミニウムを含む活性層を有する光半導体装置において、
    (100)面を基板面とする基板と、
    前記基板上に設けられ、かつ、[011]方向に延在する、異なる導電性を有する一対のクラッド層および前記一対のクラッド層間に設けられアルミニウムを含む活性層を備えるメサ構造体と、
    前記活性層および前記一対のクラッド層の露出面を覆うように、前記基板上に設けられた埋め込み層とを有し、
    前記一対のクラッド層のうちの、前記活性層を介して前記基板と反対側のクラッド層は、その側面が(100)面に対してほぼ垂直に形成され、かつ、前記活性層には、(111)B面が形成されていることを特徴とする光半導体装置。
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