JP2005085876A - 面発光半導体レーザおよびその製造方法および光送信モジュール - Google Patents

面発光半導体レーザおよびその製造方法および光送信モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】 エアギャップ狭窄構造をもつ垂直共振器型面発光半導体レーザであって、多層膜反射鏡側面の凹凸を抑制する。
【解決手段】 基板101上に、積層構造として、活性層104を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡102,107とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザであって、積層構造の少なくとも一部がメサ形状に形成されたメサ部となっており、メサ部に設けられているエッチング層106をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造を備えており、メサ部における多層膜反射鏡102,107はAlを含む層を有しており、前記Alを含む層のメサ側面における構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、保護層の幅はサイドエッチングの幅よりも狭いことを特徴としている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、面発光半導体レーザおよびその製造方法および光送信モジュールに関する。
従来、垂直共振器型面発光半導体レーザの電流狭窄構造として、AlAs選択酸化狭窄構造が用いられている。これは、メサ構造の側面からAlAs層を選択的に酸化してAlO絶縁領域を形成し、電流をAlAs層の非酸化領域のみに狭窄する構造である。AlAs選択酸化狭窄構造を用いた垂直共振器型面発光半導体レーザは、低閾値電流,高効率等の優れた特性を有している。
しかしながら、例えば特許文献1には、AlAs層を酸化した領域では体積の収縮が発生し、素子にクラック等の欠陥が導入されたり、活性層に対して圧縮方向の応力を加えてしまうため、素子の信頼性を低下させることが報告されている。
AlAs選択酸化狭窄構造と同様に、低閾値電流で動作する垂直共振器型面発光半導体レーザの構造としては、エアギャップ狭窄構造がある。これは、メサ構造側面からエッチング層を選択的にエッチングしてエアギャップを形成し、電流を非エッチング領域のみに狭窄する構造である。エアギャップ狭窄構造の従来例としては、非特許文献1に報告されている。
エアギャップ狭窄構造では、AlAs酸化狭窄構造のように、素子に対して応力をかけることがないため、信頼性の低下を抑制することができるという特徴がある。
上述したエアギャップ狭窄構造では、GaAsやAlAs等のエッチング層をウエットエッチングで選択的にエッチングする。一方、垂直共振器型面発光半導体レーザの多層膜反射鏡にはGaAs/Al(Ga)As材料系が用いられている。従って、GaAsあるいはAlAsからなるエッチング層を選択的にエッチングするときに、多層膜反射鏡を構成する材料のどちらかがメサ構造側面からエッチングされてしまう。多層膜反射鏡側面に形成された凹凸は、反射鏡の散乱損失や回折損失を増加させてしまうという問題を生じる。
エッチング層に対して多層膜反射鏡のAl組成を変えることにより、ウエットエッチングの選択比は増加する。しかしながら、多層膜反射鏡を構成する2層の屈折率差が小さくなるため、高反射率を得るのに積層数が増加してしまう。また、多層膜反射鏡側面の凹凸を完全になくすことはできない。
エッチング層以外のメサ構造側面がエッチングされないようにするために、特許文献2では、エッチングする層以外の側壁をレジストでカバーして、サイドエッチングを行っている。また、特許文献3には、メサ構造の上面及び側壁をSiO保護膜で覆うことが報告されている。
しかしながら、上記の方法は、側壁の保護膜としてレジストやSiOを形成し、さらにエッチング層を含むメサ側面は保護膜で覆われないようにパターニングする必要がある。従って、製造工程が複雑になるという問題があった。
特開2000−294872号公報 Appl.Phys.Lett., 1991,59(10),pp.1147−1149 特開平11−154774号公報 特開平10−125999号公報
本発明は、エアギャップ狭窄構造をもつ垂直共振器型面発光半導体レーザであって、多層膜反射鏡側面の凹凸を簡易な工程で抑制して、低閾値電流,高信頼性の面発光半導体レーザおよびその製造方法および光送信モジュールを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、基板上に、積層構造として、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザであって、積層構造の少なくとも一部がメサ形状に形成されたメサ部となっており、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造を備えており、メサ部における多層膜反射鏡はAlを含む層を有しており、前記Alを含む層のメサ側面における構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、保護層の幅はサイドエッチングの幅よりも狭いことを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、基板上に、積層構造として、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザの製造方法において、積層構造の少なくとも一部をメサ形状にエッチングしてメサ部を形成する工程と、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層について、メサ側面から構成元素の一部を置換して保護層を形成する工程と、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面から選択的にエッチングしてアンダーカット形状を形成する工程とを含むことを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載の面発光半導体レーザの製造方法において、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層を、メサ側面から選択的に酸化して保護層を形成することを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項2記載の面発光半導体レーザの製造方法において、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層を、メサ側面から選択的に窒化することを特徴としている。
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、メサ部に設けられたエッチング層がGaInPで構成されていることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、前記メサ部は、外径の異なる上部メサ部,下部メサ部の2つのメサ部で構成されており、上部メサ部の外径は下部メサ部の外径よりも狭くなっており、前記エッチング層は下部メサ部に形成されており、下部メサ部のメサ頂上部に上部電極が形成されていることを特徴としている。
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の面発光半導体レーザにおいて、上部メサ部の底面が上部多層膜反射鏡の間に設けられていることを特徴としている。
また、請求項8記載の面発光半導体レーザは、請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、メサ部に設けられたエッチング層をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造に加えて、メサ部に設けられたAlAs層をメサ側面から選択的に酸化した酸化領域を備えており、AlAsの非酸化領域の径がエッチング層における非エッチング領域の径よりも狭いことを特徴としている。
また、請求項9記載の発明は、請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、前記活性層には、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体が用いられていることを特徴としている。
また、請求項10記載の発明は、請求項1,請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザを用いたことを特徴とする光送信モジュールである。
請求項1の面発光半導体レーザは、エッチング層をサイドエッチングしたエアギャップ狭窄構造を用いており、電流はサイドエッチングされていない領域に狭窄されて活性層に注入されるため、閾電流を低減することができる。また、AlAs酸化狭窄構造のように電流狭窄部で体積変化が生じないため、活性層に応力がかかって信頼性を低下させることがない。さらに、メサ部における多層膜反射鏡においてAlを含む層はメサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、これにより、エッチング層をメサ側面からサイドエッチングして電流狭窄構造を形成するときにメサ部のAlを含む層がサイドエッチングされることを防止できる。この結果、多層膜反射鏡の損失が低減され、閾電流を低減することができる。また、メサ側面で構成元素の一部が置換された保護層は体積変化を生じるが、保護層の幅をサイドエッチングの幅よりも狭く形成して、保護層の幅を十分薄くすることで、活性層にかかる応力を低減することができ、高信頼性が得られる。
また、請求項2の面発光半導体レーザの製造方法においては、メサ部における多層膜反射鏡においてAlを含む層のメサ側面に、自己整合的に保護膜が形成されるため、製造工程が容易となる。
また、請求項3の面発光半導体レーザの製造方法においては、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層をメサ側面から選択的に酸化することで、塩酸,硫酸,フッ酸等のエッチング溶液に対して良好なエッチング保護層を形成することができる。また、メサ部エッチング側面の表面準位に起因してメサ側壁を流れる無効電流を抑制し、さらに閾電流を低減することができる。
また、請求項4の面発光半導体レーザの製造方法においては、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層をメサ側面から選択的に窒化することで、高い選択性を有するエッチング保護層が形成できる。
また、請求項5の面発光半導体レーザは、メサ部に設けられたエッチング層がGaInPで構成され、メサ部における多層膜反射鏡においてAlを含む層はメサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されているため、GaInPエッチング層をエッチングする工程で、GaInPエッチング層以外のGaAs,AlGaAs,AlAs等からなる層は、全てサイドエッチングが抑制される。これにより、多層膜反射鏡の損失が低減され、閾電流を低減することができる。
また、請求項6の面発光半導体レーザは、上部メサ部の多層膜反射鏡における自由キャリア吸収が抑制されるため、反射鏡の吸収損失が低減され、閾電流を低減することができ、また、光取り出し効率が向上する。また、上部メサ部の多層膜反射鏡側面がサイドエッチングされることを防止しており、多層膜反射鏡の損失を抑制して、閾電流を低減することができる。また、基板上部からサイドエッチング幅の観察が容易であり、電流狭窄構造を制御性良く作製することができる。
また、請求項7の面発光半導体レーザは、下部メサ部の多層膜反射鏡側面がサイドエッチングされることを防止しており、多層膜反射鏡の損失を抑制して、閾電流を低減することができる。
また、請求項8の面発光半導体レーザは、エアギャップ狭窄構造で電流狭窄を行い、AlAs酸化狭窄構造で単一横モードに光を閉じ込めることにより、電気抵抗の増加を抑制して、横モードを単一横モードで安定化させることができる。また、体積収縮するAlAs酸化層を活性層から離れた位置に設けることが可能であり、AlAs酸化層が活性層に及ぼす応力をより低減することができる。
また、請求項9の面発光半導体レーザは、活性層に、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体を用いたことにより、石英光ファイバの伝送に適した1.3μm帯の面発光半導体レーザを実現できる。また、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体を活性層に用いる場合に、高歪の層を複数積層した多重量子井戸構造を採用するが、活性層に外部から応力がかからないため、高信頼性が得られる。
また、請求項10の光送信モジュールは、請求項1,請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザを用いたことにより、光送信モジュールの消費電力低減,低コスト化,信頼性向上が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
(第1の形態)
本発明の第1の形態は、基板上に、積層構造として、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザであって、積層構造の少なくとも一部がメサ形状に形成されたメサ部となっており、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造を備えており、メサ部における多層膜反射鏡はAlを含む層を有しており、前記Alを含む層のメサ側面における構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、保護層の幅はサイドエッチングの幅よりも狭いことを特徴としている。
本発明の面発光半導体レーザは、エッチング層をサイドエッチングしたエアギャップ狭窄構造を用いている。電流はサイドエッチングされていない領域に狭窄されて活性層に注入されるため、電流を微小な領域に集中させることができ、閾電流を低減することができる。また、サイドエッチングによって形成されたエアギャップは屈折率が著しく低下するため、横方向に光を閉じ込める働きをする。また、AlAs酸化狭窄構造のように電流狭窄部で体積変化が生じないため、活性層に応力がかかって信頼性を低下させることがない。また、AlAs酸化の場合は、一度酸化工程を行った後に追加で酸化工程を行なおうとしても、酸化速度のばらつきが大きく、酸化狭窄径の制御が困難であるという問題がある。しかし、サイドエッチングの場合には追加エッチングをしてもエッチング速度が安定であり、電流狭窄径の制御が容易であるという特徴を有している。
さらに本発明では、メサ部における多層膜反射鏡においてAlを含む層は、メサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されている。保護層は、エッチング層をメサ側面からサイドエッチングして電流狭窄構造を形成するときに、メサ部のAlを含む層がサイドエッチングされることを防止する働きをする。
一方、メサ部においてAlを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)がある場合には、側面に保護層が形成されない。そこで、エッチング層はメサ部においてAlを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)と異なる材料で構成し、エッチング層をサイドエッチングする場合に、メサ部のAlを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)とのエッチング選択比が大きいエッチング溶液でウエットエッチングを行う必要がある。
これにより、メサ部において多層膜反射鏡のサイドエッチングを抑制することができるため、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制し、閾電流を低減することができる。
メサ側面で構成元素の一部が置換された保護層は、電気的に絶縁性質を有する場合があるが、活性層に対する電流狭窄を行う必要はない。エッチング層をサイドエッチングして電流経路を非エッチング領域に限定することで電流狭窄を行っている。従って、保護層の幅はサイドエッチングの幅よりも狭く形成できる。保護層は、メサ部のサイドエッチングを停止できればよいため、メサ側面近傍で1〜10nm程度の幅で十分機能する。
メサ側面で構成元素の一部が置換された保護層は体積変化を生じるが、保護層の幅をサイドエッチングの幅よりも狭く形成して、保護層の幅を十分薄くすることで、活性層にかかる応力を低減することができ、高信頼性が得られる。
(第2の形態)
また、本発明の第2の形態は、基板上に、積層構造として、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザの製造方法において、積層構造の少なくとも一部をメサ形状にエッチングしてメサ部を形成する工程と、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層について、メサ側面から構成元素の一部を置換して保護層を形成する工程と、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面から選択的にエッチングしてアンダーカット形状を形成する工程とを含むことを特徴としている。
メサ部における多層膜反射鏡において、Alを含む層は、メサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されている。この保護層は、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面から選択的にエッチングしてアンダーカット形状を形成する場合に、メサ部のAlを含む層がサイドエッチングされることを防止している。
一方、エッチング層はAlを含まない材料で構成されており、メサ側面に保護層は形成されない。従って、自己整合的にメサ側面に保護膜が形成されるため、従来例のように一度全面に保護膜を形成してから、エッチング層側面に保護膜が形成されないようにパターニングを行う必要がない。これにより、製造工程が容易となる。
メサ部において、エッチング層以外にAlを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)がある場合、Alを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)の側面には保護層が形成されない。そのため、エッチング層と、メサ部においてAlを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)とを異なる材料で構成し、エッチング層をサイドエッチングする場合に、メサ部のAlを含まない層(またはAlの含有量が少量である層)とのエッチング選択比が大きいエッチング溶液でウエットエッチングを行う必要がある。
(第3の形態)
また、本発明の第3の形態は、上述した第2の形態の面発光半導体レーザの製造方法において、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層を、メサ側面から選択的に酸化することを特徴としている。
選択的に酸化する方法としては、例えば、素子を400℃程度の高温で水蒸気雰囲気中におくことで実現される。Alを含む層、例えばAlAsやAl組成の高いAlGaAsが選択的に酸化されると、側面にAlO膜が形成される。AlO膜は、塩酸,硫酸,フッ酸等のエッチング溶液に対するエッチングレートが低いため、エッチング保護層として機能する。これにより、メサ部において多層膜反射鏡のサイドエッチングを抑制することができるため、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制し、閾電流を低減することができる。
また、水蒸気酸化で安定に形成されたAlO膜は、非発光再結合準位が非常に少ない。従って、AlO膜は、メサ部エッチング側面の表面準位に起因してメサ側壁を流れる無効電流を抑制できるため、さらに閾電流を低減することができる。
(第4の形態)
本発明第4の形態は、上述した第2の形態の面発光半導体レーザの製造方法において、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層を、メサ側面から選択的に窒化することを特徴としている。
Alを含む層を窒化する方法としては、素子を水素または窒素雰囲気中で400℃以上の高温に加熱し、NHガスや有機窒素原料を供給することで実現される。AlはNとの結合が強く非常に窒化されやすいため、側面にAlN膜が形成される。AlN膜は、塩酸,硫酸,フッ酸,燐酸等の酸や、アルカリに対してエッチングされにくい性質を有しており、非常に高い選択性を有するエッチング保護層が形成できる。これにより、メサ部において多層膜反射鏡のサイドエッチングを抑制することができて、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制し、閾電流を低減することができる。
(第5の形態)
本発明の第5の形態は、上述した第1の形態の面発光半導体レーザにおいて、メサ部に設けられたエッチング層がGaInPで構成されていることを特徴としている。
GaInPは、塩酸系エッチング溶液でエッチングすることが可能である。一方、多層膜反射鏡の高屈折率層や共振器のスペーサ層の材料として用いられるGaAs、Al組成の低いAlGaAsは、塩酸でほとんどエッチングされない。従って、大きなエッチング選択比が得られ、GaInPエッチング層をアンダーカットエッチングすることが可能である。
しかしながら、多層膜反射鏡の低屈折率層に用いられるAlAs、Al組成の高いAlGaAs等は塩酸でエッチングされる性質がある。そのため、メサ部の多層膜反射鏡に、Al組成の高いAlGaAs,AlAs等の材料を用いている場合には、GaInPエッチング層と同時にサイドエッチングされてしまう。特にAlAsはGaInPよりもエッチング速度が大きいため、GaInPエッチング層で電流狭窄構造を形成することができなくなってしまう。
本発明では、AlGaAs,AlAs等のAlを含む層のメサ側面に、構成元素の一部が置換された保護層が形成されている。より具体的には、保護層としてAlO膜やAlN膜が形成される。これらの保護層は、塩酸でエッチングされないため、AlGaAs,AlAs等のAlを含む層がサイドエッチングされることを抑制している。
従って、本発明によれば、GaInPエッチング層以外のGaAs、Al組成の低いAlGaAs、Al組成の高いAlGaAs、AlAs等からなる層は、全てサイドエッチングが抑制される。これにより、メサ部において多層膜反射鏡のサイドエッチングを抑制することができるため、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制し、閾電流を低減することができる。また、自己整合的にAlを含む層のメサ側面に保護膜が形成されるため、製造工程が容易となる。
GaInPエッチング層は、メサ部において共振器内や多層膜反射鏡の途中に設けることができる。また、GaInPエッチング層には、微量のB,N,Al,As,Sb等を含んでいてもよい。
(第6の形態)
本発明の第6の形態は、上述した第1の形態の面発光半導体レーザにおいて、前記メサ部は、外径の異なる2つのメサ部(上部メサ部,下部メサ部)で構成されており、上部メサ部の外径は下部メサ部の外径よりも狭くなっており、前記エッチング層は下部メサ部に形成されており、下部メサ部のメサ頂上部に上部電極が形成されていることを特徴としている。
このような構造では、上部電極は下部メサ部のメサ頂上部に形成されており、上部メサ部の多層膜反射鏡は電流が流れない構造となっている。そのため、上部メサ部の多層膜反射鏡にはドーピングする必要がない。これにより、上部メサ部の多層膜反射鏡における自由キャリア吸収が抑制されるため、反射鏡の吸収損失が低減され、閾電流の低減や光取り出し効率の向上が可能となる。また、低抵抗化するために高屈折率層と低屈折率層のバンドギャップ差を小さくしたり、高屈折率層と低屈折率層の界面に組成傾斜層を設ける必要がない。従って、上部メサ部の多層膜反射鏡を、例えばGaAs/AlAsを急峻に積層した分布ブラッグ反射鏡で構成することが可能である。そのため、より少ない積層数で高反射率を得ることができる。
また、下部メサ部に設けられたエッチング層をサイドエッチングするときに、下部メサ部をエッチングで形成したエッチングマスクを、上部メサ側面のサイドエッチング保護層として用いることが可能である。しかしながら、エッチングマスクは上部メサ部頂上、上部メサ部側面、下部メサ部頂上に積層されているため、基板上部から観察したときに、サイドエッチング幅が観察しにくくなってしまう。
本発明では、上部メサ部の多層膜反射鏡においてAlを含む層は、メサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、メサ部のAlを含む層がサイドエッチングされることを防止している。そのため、下部メサ部のエッチングに用いたエッチングマスクを除去した状態で、上部メサ側面に凹凸を形成することなくエッチング層をサイドエッチングすることができる。従って、基板上部から観察したときに、サイドエッチング幅を明瞭に観察することが可能であり、サイドエッチング幅を上部から観察しながらエッチングを行い、電流狭窄構造を制御性良く作製することができる。
下部電極は、基板の裏面側に形成することができる。あるいは、下部メサ部のエッチング底面に形成することも可能である。下部メサ部のエッチング底面が共振器内の下側スペーサ層内であれば、下部電極は共振器内の下側スペーサ層に設けられる。また、下部メサ部のエッチング底面が下部多層膜反射鏡の途中であれば、下部電極は下部多層膜反射鏡の途中に設けられる。
下部電極を下部メサ部のエッチング底面に形成した場合、エッチング面より下側の下部多層膜反射鏡には電流を流す必要がない。従って、エッチング面より下側の下部多層膜反射鏡をノンドープ層として反射鏡の吸収損失を低減し、より一層、閾電流の低減や光取り出し効率の向上を図ることができる。また、高屈折率層と低屈折率層との界面を急峻に形成することができ、より少ない積層数で高反射率を得ることができる。また、熱伝導率の高いGaAsとAlAsとを積層して下部多層膜反射鏡を形成することで、素子の放熱性も向上する。
(第7の形態)
本発明の第7の形態は、上述した第6の形態の面発光半導体レーザにおいて、上部メサ部の底面は上部多層膜反射鏡の間に設けられていることを特徴としている。
第7の形態では、上部メサ部の底面を上部多層膜反射鏡の間に設けることにより、上部電極とエッチング層の距離を離すことができるため、素子の電気抵抗を低減することができる。
また、上記構造では下部メサ部に多層膜反射鏡が設けられている。下部メサ部の側面は、下部メサ部をエッチングで形成したエッチングマスクによっては覆われない。そのため、下部メサ部側面においてエッチング層以外の層がサイドエッチングされないように保護する必要がある。
本発明では、下部メサ部の多層膜反射鏡においてAlを含む層は、メサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、メサ部のAlを含む層がサイドエッチングされることを防止している。これにより、下部メサ部に形成された多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制し、閾電流を低減することができる。
なお、上部メサ部についても、多層膜反射鏡のAlを含む層においてメサ側面で構成元素の一部を置換し保護層を形成することが可能であり、上部メサ部に形成された多層膜反射鏡側面に凹凸が形成されることを抑制できる。
(第8の形態)
本発明の第8の形態は、上述した第1の形態の面発光半導体レーザにおいて、メサ部に設けられたエッチング層をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造に加えて、メサ部に設けられたAlAs層をメサ側面から選択的に酸化した酸化領域を備えており、AlAsの非酸化領域の径がエッチング層における非エッチング領域の径よりも狭いことを特徴としている。
本構造では、活性層に注入する電流を、エッチング層をメサ側面からサイドエッチングしたエアギャップ狭窄構造により狭窄している。エアギャップ狭窄構造は、エッチング層と空気で屈折率が異なるため、横方向の光閉じ込めが行われる。しかしながら、エッチング層と空気との屈折率差が大きすぎるため、単一横モードのみで発振させるためには、エアギャップ狭窄構造の狭窄径を非常に狭くしなければならなくなってしまう。その場合、構造的に脆弱になったり、電気抵抗が増加する等の問題が生じてしまう。
そこで、本素子では、メサ部に設けられたAlAs層をメサ側面から選択的に酸化した酸化領域が別に設けられている。AlAs層が酸化された領域はAlOとなるため、屈折率がAlAsよりも低下する。そのため、横方向に屈折率差が生じて、横方向に光を閉じ込める作用をする。AlAsとAlOとの屈折率差は、エッチング層と空気との屈折率差よりも小さいため、より大きな狭窄径で単一横モードを実現できる。また、AlO領域は構造的に接続されているため、酸化狭窄径が小さくなってもエアギャップ狭窄構造のように構造が脆弱化することはない。
すなわち、AlAsの非酸化領域の径をエッチング層における非エッチング領域の径よりも狭く形成することで、AlAs酸化狭窄構造では単一横モードに光を閉じ込め、エアギャップ狭窄構造では電気抵抗が増加しないようなサイズで電流を狭窄している。
なお、狭窄径の狭いAlAs酸化狭窄構造において、電気抵抗が増加してしまわないようにするために、AlAs酸化層はn型半導体層側に設けるか、または活性層に注入する電流経路の外側に設ける必要がある。これにより、電気抵抗の増加を抑制して、横モードを単一横モードで安定化させることができる。
従来例として、電流狭窄を行うAlAs酸化層と、単一横モードに光を安定化させるAlAs酸化層との2つのAlAs酸化層を設ける構造が提案されている(特開平11−4040、特開2003−69151)。しかし、体積収縮が発生するAlA酸化層を複数設けると、活性層にかかる応力がさらに増加してしまい、素子の劣化が加速される懸念がある。本構造では、一方をエアギャップ狭窄構造にすることで、活性層にかかる応力を減少させている。
また、電流狭窄構造は、活性層からの距離が離れすぎると、電流広がりが生じて閾電流が増加してしまう。そのため、電流狭窄構造は活性層に近接して設ける必要がある。一方、横モードを制御するAlAs酸化層は活性層からの距離を離して設けても機能する。よって、AlAs酸化層と活性層との距離を、エッチング層と活性層との距離よりも離れた距離に設けることで、AlAs酸化層が活性層に及ぼす応力の影響をさらに低減することができる。これにより、さらに素子の信頼性を向上させることができる。
また、メサ部における多層膜反射鏡において、Alを含む層は、メサ側面で構成元素の一部が置換されて保護層が形成されている。この保護層を選択酸化工程で形成すると、AlAs酸化層の選択酸化とメサ側面の保護層形成とを1回の工程で行うことができるため、製造工程が容易となる。
なお、保護層はメサ側面近傍に形成されていれば十分機能するため、保護層の酸化幅はAlAs酸化狭窄構造の酸化幅よりも小さくする必要がある。従って、メサ部における多層膜反射鏡においてAlを含む層の酸化速度がAlAs層の酸化速度よりも十分遅くなるように組成を制御する必要がある。
(第9の形態)
本発明の第9の形態は、上述した第1の形態の面発光半導体レーザにおいて、前記活性層には、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体が用いられていることを特徴としている。
窒素と他のV族元素を含む混晶半導体としては、GaNAs、GaInNAs、GaNAsSb、GaInNAsSb、GaNAsP、GaInNAsP、GaInNAsPSb等がある。これらの半導体を活性層に用いることで、GaAs基板上に1.3μm帯の発光波長を有する素子を形成することができる。従って、石英光ファイバの伝送に適した1.3μm帯の面発光半導体レーザが実現できる。
窒素は他のV族元素との非混和性が大きいため、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体において窒素組成を増加させていくと結晶品質の低下が起こることが知られている。そのため、窒素組成をできるだけ小さくして1.3μm帯の発光を得るために、混晶半導体の圧縮歪量が例えば2〜2.5%と非常に高くなっている。
さらに、面発光半導体レーザでは端面型半導体レーザに比べて共振器長が極端に短いため、レーザ発振させるために高い利得が必要であり、上記の高歪層を複数積層した多重量子井戸構造を用いる必要がある。従って、活性層は高歪を内在しており、できるだけ外部から応力をかけないようにすることが望ましい。
本発明では、AlAs酸化層のように体積収縮が発生しないエアギャップ狭窄構造を電流狭窄として用いており、活性層に外部から応力がかからないようにしている。これにより、高歪多重量子井戸活性層を有する面発光半導体レーザにおいて高い信頼性が得られる。
(第10の形態)
本発明の第10の形態は、上述した第1,第5〜第9のいずれかの形態の面発光半導体レーザを用いた光送信モジュールである。
第1,第5〜第9の形態の面発光半導体レーザは、メサ側面の凹凸を抑制することで、反射鏡の損失を低減し、閾電流を低減している。そして、自己整合的にメサ側面に保護膜を形成できるため、製造工程が容易であり、製造コストを低減することができ、また、活性層にかかる応力を低減することで、高い信頼性を有している。
このような低閾電流,低コスト,高信頼性の光源を用いることで、光送信モジュールの消費電力低減,低コスト化,信頼性向上が可能となる。
また、上記光送信モジュールを、光送受信ユニットや光伝送システム,光交換装置等に用いることもできる。
図1,図2は、本発明の実施例1の面発光半導体レーザを示す図である。なお、図2は図1の分布ブラッグ反射鏡(DBR)の詳細を示す図である。図1,図2を参照すると、n型GaAs基板101上には、n型分布ブラッグ反射鏡(DBR)102が形成されている。ここで、n型DBR 102は、n型Al0.2Ga0.8As高屈折率層102aとn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102bとが交互に積層されて構成されている。n型DBR 102上には、Al0.4Ga0.6As下部スペーサ層103、GaAs/Al0.2Ga0.8As MQW活性層104、Al0.4Ga0.6As上部スペーサ層105、GaInPエッチング層106、p型DBR 107が順に積層されている。ここで、p型DBR 107は、p型Al0.2Ga0.8As高屈折率層107aとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bとが交互に積層されて構成されている。また、n型Al0.2Ga0.8As高屈折率層102aとn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102bの界面や、p型Al0.2Ga0.8As高屈折率層107aとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bの界面には組成傾斜層が設けられている。
なお、図1において、108はGaInPエッチング層がサイドエッチングされて形成されたエアギャップであり、109はp型DBR 107上に形成されたp側電極であり、110は、n型GaAs基板101裏面に形成されたn側電極である。
次に、図1の面発光半導体レーザの製造工程を説明する。最初に、n型GaAs基板101上に、n型DBR 102、Al0.4Ga0.6As下部スペーサ層103、GaAs/Al0.2Ga0.8As MQW活性層104、Al0.4Ga0.6As上部スペーサ層105、GaInPエッチング層106、p型DBR 107を順に積層する。結晶成長は有機金属気相成長法で行った。
次に、p型DBR 107表面にフォトリソグラフィーで円形のマスクを形成し、マスクで覆われていない領域をドライエッチングでエッチングし、メサ構造を形成した。エッチングは、n型DBR 102に達する深さまで行った。
次に、基板を400℃程度の高温に加熱して水蒸気雰囲気中におくことにより、メサ部のn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102bとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bとを、メサ側面から選択的に酸化してAlO膜201を形成した。図2には、メサ側面の構造の詳細が示されている。このとき、n型Al0.2Ga0.8As高屈折率層102a、p型Al0.2Ga0.8As高屈折率層107a、Al0.4Ga0.6As下部スペーサ層103、Al0.4Ga0.6As上部スペーサ層105はAl含有量が少ないため、酸化速度が非常に遅く、ほとんど酸化されない。また、GaInPエッチング層106は、Alを含んでいないため、酸化層が形成されない。
次に、GaInPエッチング層106をメサ側面から塩酸エッチング溶液で選択的にエッチングしてエアギャップ108を形成する。
次に、p型DBR 107のメサ頂上部に、リング状のp側電極109を形成する。そして、n型GaAs基板101裏面にn側電極110を形成する。
以上の工程で積層した面発光半導体レーザにおいては、p側電極109から注入された電流はp型DBR 107を通り、GaInPエッチング層106の非エッチング領域に電流が狭窄されて、活性層104に注入される。そして、0.85μm帯の波長でレーザ発振し、メサ頂上部のp側電極109で覆われていない窓部から垂直上方に光が出射される。
本発明の面発光半導体レーザは、GaInPエッチング層106をサイドエッチングして形成したエアギャップ108により電流を狭窄している(エアギャップ狭窄構造)。電流はサイドエッチングされていない領域に狭窄されて活性層104に注入されるため、電流を微小な領域に集中させることができ、閾電流を低減することができる。また、サイドエッチングによって形成されたエアギャップ108は屈折率が著しく低下するため、横方向に光を閉じ込める働きをし、回折損失を低減している。また、AlAs酸化狭窄構造のように電流狭窄部で体積変化が生じないため、活性層104に応力がかかって信頼性を低下させることがない。
GaInPエッチング層106のサイドエッチングは、塩酸エッチング溶液を用いて行っている。塩酸は、n型Al0.2Ga0.8As高屈折率層102a、p型Al0.2Ga0.8As高屈折率層107a、Al0.4Ga0.6As下部スペーサ層103、Al0.4Ga0.6As上部スペーサ層105といったAl組成の少ないAlGaAs材料のエッチングレートが非常に小さいため、上記層のサイドエッチングは抑制される。
一方、n型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102b、p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bはAl組成が高いため、塩酸でエッチングされてしまう。そこで、本発明では、メサ部のn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102b、p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bの側面に、選択酸化によりAlO膜201を形成している。AlO膜は、塩酸に対してエッチング保護層となるため、メサ部におけるn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102b、p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bのサイドエッチングが抑制される。
従って、GaInPエッチング層106のみが選択的にエッチングされて、アンダーカット形状が形成される。そして、メサ部の側面がサイドエッチングされないため凹凸が形成されず、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制することができる。これにより、エアギャップ狭窄構造を有する面発光半導体レーザの閾電流を低減することができる。
また、GaInPエッチング層106をサイドエッチングする場合、一度エッチングを停止しても、追加エッチングのエッチング速度が比較的安定である。従って、所望の電流狭窄径を得るのにサイドエッチングを繰り返して調整できるため、電流狭窄径の制御が容易となっている。
また、メサ側面に形成されたAlOエッチング保護層201は、塩酸エッチング溶液のエッチング速度が速いn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102b、p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bの側面に、自己整合的に形成されている。従って、従来例のように一度全面に保護膜を形成してから、エッチング層側面に保護膜が形成されないようにパターニングを行う必要がない。そのため、製造工程が容易となっている。
また、水蒸気酸化で安定に形成したAlO膜201は、非発光再結合準位が非常に少ないため、AlO膜はメサ部エッチング側面の表面準位に起因してメサ側壁を流れる無効電流を抑制できる。これにより、閾電流がさらに低減する効果を有している。
なお、メサ側面に形成されたAlO膜201は絶縁層であるが、活性層に対する電流狭窄を行うために設けているのではない。電流の狭窄はGaInPエッチング層106をサイドエッチングすることで行っている。AlO膜201は、n型Al0.9Ga0.1As低屈折率層102b、p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層107bのサイドエッチングを抑制できればよく、AlO膜201の酸化幅はサイドエッチング幅よりも狭くてよい。好ましくは、10nm以下として、できるだけ薄く形成すべきである。AlO膜201の酸化幅を薄く形成することで、AlO膜201が活性層に与える応力を低減することができるため、高い信頼性が得られる。
図3,図4は、本発明の実施例2の面発光半導体レーザを示す図である。なお、図4は図3の分布ブラッグ反射鏡(DBR)の詳細を示す図である。図3,図4を参照すると、n型GaAs基板101上には、n型分布ブラッグ反射鏡(DBR)301が形成されている。ここで、n型DBR 301は、n型GaAs高屈折率層301aとn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層301bとが交互に積層されて構成されている。n型DBR 301上には、Al0.2Ga0.8As下部スペーサ層302、InGaAs/GaAs MQW活性層303、Al0.2Ga0.8As上部スペーサ層304、GaInPエッチング層106、p型DBR 305が順に積層されている。ここで、p型DBR 305は、p型GaAs高屈折率層305aとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層305bとが交互に積層されて構成されている。また、n型GaAs高屈折率層301aとn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層301bの界面や、p型GaAs高屈折率層305aとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層305bの界面には組成傾斜層が設けられている。
なお、図3において、108はGaInPエッチング層106がサイドエッチングされて形成されたエアギャップであり、109はp型DBR 305上に形成されたp側電極であり、110は、n型GaAs基板101裏面に形成されたn側電極である。
図3の面発光半導体レーザにおいては、p側電極109から注入された電流はp型DBR305を通り、GaInPエッチング層106の非エッチング領域に電流が狭窄されて、活性層303に注入される。そして、0.98μm帯の波長でレーザ発振し、メサ頂上部のp側電極109で覆われていない窓部から垂直上方に光が出射される。
また、図4を参照すると、図3の面発光半導体レーザのメサ部側面にはAlN保護層401が形成されている。AlN保護層401は、次のように形成される。すなわち、基板を水素雰囲気中で500〜700℃に加熱し、有機窒素原料であるジメチルヒドラジンを供給することにより、メサ側面のAsをNに置換してAlN保護層401を形成することができる。AlはNとの結合が強く非常に窒化されやすいため、メサ部のn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層301bとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層305bが選択的に窒化されてAlN保護層401が形成される。
AlN膜は、塩酸に対するエッチング速度が非常に低く、高い選択性を有するエッチング保護層が形成できる。これにより、メサ部のn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層301bとp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層305bのサイドエッチングが抑制される。また、n型GaAs高屈折率層301a、Al0.2Ga0.8As下部スペーサ層302、InGaAs/GaAs MQW活性層303、Al0.2Ga0.8As上部スペーサ層304、n型GaAs高屈折率層305aは、塩酸に対してほとんどエッチングされない。従って、GaInPエッチング層106のみが選択的にエッチングされて、アンダーカット形状が形成される。そして、メサ部の側面がサイドエッチングされないため凹凸が形成されず、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制することができる。これにより、エアギャップ狭窄構造を有する面発光半導体レーザの閾電流を低減することができる。
図5は、本発明の実施例3の面発光半導体レーザを示す図である。図5を参照すると、n型GaAs基板101上には、下部分布ブラッグ反射鏡(DBR)501が形成されている。ここで、下部DBR 501は、ノンドープGaAs高屈折率層とノンドープAlAs低屈折率層とが交互に積層されて構成されている。下部DBR 501上には、GaAs下部スペーサ層502、GaInNAs/GaAs MQW活性層503、GaAs上部スペーサ層504、GaInPエッチング層106、p型DBR 505が順に積層されている。ここで、p型DBR 505は、p型GaAs高屈折率層とp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層とが交互に積層されて構成されている。さらに、p型DBR 505上にはノンドープGaAs高屈折率層とノンドープAlAs低屈折率層とが交互に積層された上部DBR 506が積層されている。p型DBR 505の高屈折率層と低屈折率層の界面には組成傾斜層が設けられているが、下部DBR 501と上部DBR 506には組成傾斜層は設けられていない。
また、積層構造表面からp型DBR 505の上面までエッチングして、上部メサ部が形成されている。さらに、上部メサ部の外径よりも大きいサイズで下部DBR 501の上面までエッチングして、下部メサ部が形成されている。
そして、p側電極109は下部メサ部の頂上部(上部メサ部の底面)に形成されており、n側電極110は下部メサ部の底面に形成されている。
また、GaInPエッチング層106が塩酸エッチング溶液でサイドエッチングされて、エアギャップ108が形成されている。
図5の構造では、電流は下部DBR 501と上部DBR 506を通らずに活性層503に注入される構造となっている。そのため、下部DBR 501と上部DBR 506はノンドープ層で構成されている。これにより、下部DBR 501と上部DBR 506における自由キャリア吸収が抑制されるため、反射鏡の吸収損失が低減され、閾電流が低減し、光取り出し効率も向上する。
また、低抵抗化するために高屈折率層と低屈折率層との界面に組成傾斜層を設ける必要がないため、下部DBR 501と上部DBR 506は屈折率差の大きいGaAsとAlAsを急峻に積層して構成している。従って、より少ない積層数で高反射率を得ることができる。
また、GaAsとAlAsはAlGaAsと比較して熱伝導率が高いため、下部DBR 501の熱伝導性が高くなり、素子の放熱性が向上する。
図5には図示されていないが、p型DBR 505のAl0.9Ga0.1As低屈折率層のメサ部側面には、AlO保護層201が形成されている。これにより、p型DBR 505のAl0.9Ga0.1As低屈折率層が塩酸でサイドエッチングされることを抑制している。また、p型DBR 505のp型GaAs高屈折率層、GaAs下部スペーサ層502、GaInNAs/GaAs MQW活性層503、GaAs上部スペーサ層504は、塩酸に対してエッチングされない。従って、GaInPエッチング層106のみが選択的にエッチングされて、アンダーカット形状が形成される。また、下部メサ部側面に凹凸が形成されないため、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失を抑制することができ、閾電流が低減される。
一方、上部メサ部においては、下部メサ部を形成するときのドライエッチングマスク(例えばSiOマスク)が上部メサ側面を覆った状態で、選択酸化工程、サイドエッチング工程を行っている。そのため、サイドエッチング工程で上部メサ部側面に凹凸が発生することがない。
また、本実施例においては、活性層503の量子井戸層に、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体であるGaInNAsを用いている。GaInNAsは、GaAs基板上に1.3μm帯のバンドギャップ波長を有してエピタキシャル成長することが可能である。従って、石英光ファイバの伝送に適した1.3μm帯で発振する面発光半導体レーザを形成できる。
活性層503のGaInNAs量子井戸層は2.3%程度の高い圧縮歪を有しており、これをGaAs障壁層ではさんで3重量子井戸構造を形成している。また、GaInNAs量子井戸層の層厚は臨界膜厚に近い値となっている。そのため、GaInNAs井戸層にさらに外部から応力が加わると、結晶欠陥が発生してしまう。本実施例では、体積変化が発生しないエアギャップ狭窄構造を電流狭窄として用いており、活性層に外部から応力がかからないようにしている。また、AlO保護層は下部メサ側面近傍のみに形成している。これにより、高歪のGaInNAs/GaAs 3重量子井戸活性層を有する面発光半導体レーザにおいて、高い信頼性を得ることができる。
なお、本実施例では、上部DBRをノンドープのGaAs/AlAsで形成した例を示しているが、誘電体で構成することも可能である。
図6は、本発明の実施例4の面発光半導体レーザを示す図である。図6を参照すると、n型GaAs基板101上には、n型分布ブラッグ反射鏡(DBR)301が形成されている。ここで、n型DBR 301は、n型GaAs高屈折率層とn型Al0.9Ga0.1As低屈折率層とが交互に積層されて構成されている。n型DBR 301上には、AlAs層601、GaAs下部スペーサ層502、GaInNAs/GaAs MQW活性層503、GaAs上部スペーサ層504、GaInPエッチング層106、p型DBR 305が順に積層されている。ここで、p型DBR 305は、p型GaAs高屈折率層とp型Al0.9Ga0.1As低屈折率層とが交互に積層されて構成されている。
また、積層構造表面からn型DBR 301に達するまでエッチングして、メサ部が形成されている。そして、p側電極109はメサ部の頂上部リング状に形成されており、n側電極110はn型GaAs基板101の裏面に形成されている。
さらに、AlAs層601はメサ側面から選択的に酸化されて酸化領域602が形成されている。また、GaInPエッチング層106が塩酸エッチング溶液でサイドエッチングされて、エアギャップ108が形成されている。
本実施例では、活性層503に注入する電流を、GaInPエッチング層106をメサ側面からサイドエッチングしたエアギャップ狭窄構造により狭窄している。エアギャップ狭窄構造においては、GaInPエッチング層106と空気で屈折率が異なるため、横方向の光閉じ込めが行われる。しかしながら、GaInPエッチング層106と空気との屈折率差が大きすぎるため、単一横モードで発振させるためには、エアギャップ狭窄構造の狭窄径を非常に狭くしなければならなくなってしまう。この場合、構造的に脆弱になったり、電気抵抗が増加する等の問題が生じてしまう。
そこで、本実施例では、メサ部に設けられたAlAs層601をメサ側面から選択的に酸化した酸化領域602が別に設けられている。AlAs層601が酸化された領域はAlOとなるため、屈折率がAlAsよりも低下する。そのため、横方向に屈折率差が生じて、横方向に光を閉じ込める作用をする。AlAsとAlOとの屈折率差は、GaInPエッチング層106と空気との屈折率差よりも小さいため、より大きな狭窄径で単一横モードを実現できる。また、AlAs酸化領域602は構造的に上下の層と接続されているため、酸化狭窄径が小さくなってもエアギャップ狭窄構造のように構造が脆弱化することはない。
そして、AlAs層601の非酸化領域の径をGaInPエッチング層106における非エッチング領域の径よりも狭く形成することで、AlAs酸化狭窄構造では単一横モードに光を閉じ込め、エアギャップ狭窄構造では電気抵抗が増加しないようなサイズで電流を狭窄している。
AlAs層601はn型半導体層側に設けられており、GaInPエッチング層はp型半導体層側に設けられている。正孔は電子に比べて移動度が小さいため、横方向のキャリア広がりが小さい。従って、GaInPエッチング層をサイドエッチングしたエアギャップ狭窄構造をp型半導体層側に設けて、電流を狭窄している。
一方、n型半導体層はp型半導体層に比べて同じキャリア濃度であれば抵抗が低くなる。従って、AlAs選択酸化構造で電流が微小面積に絞られるが、AlAs層601がn型半導体層側に設けられているため、抵抗の増加を抑制することができる。これにより、電気抵抗の増加を抑制して、横モードを単一横モードで安定化させることができる。
また、本構造では、電流狭窄を行うAlAs酸化層と単一横モードに光を安定化させるAlAs酸化層との2つのAlAs酸化層を設けるのではなく、一方をエアギャップ狭窄構造にすることで、活性層にかかる応力を減少させて、高信頼性を得ている。
AlAs層601を選択酸化する工程において、メサ部におけるn型DBR 301のAl0.9Ga0.1As低屈折率層と、p型DBR 305のAl0.9Ga0.1As低屈折率層のメサ側面に、AlO保護層が形成される。AlO保護層は、GaInPエッチング層106をサイドエッチングするときに、n型DBR 301のAl0.9Ga0.1As低屈折率層とp型DBR 305のAl0.9Ga0.1As低屈折率層の側面がサイドエッチングされることを抑制する。そのため、メサ部側面に凹凸が形成されず、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失が抑制され、閾電流が低減される。
また、AlAs層601の選択酸化とメサ側面の保護層形成とを1回の酸化工程で行うことができるため、製造工程が容易となる。
図7は、本発明の実施例5の面発光半導体レーザを示す図である。図7を参照すると、n型GaAs基板101上には、下部分布ブラッグ反射鏡(DBR)501が形成されている。ここで、下部DBR 501は、ノンドープGaAs高屈折率層とノンドープAlAs低屈折率層とが交互に積層されて構成されている。下部DBR 501上には、GaAs下部スペーサ層502、GaInNAs/GaAs MQW活性層503、第1のGaAs上部スペーサ層701、GaInPエッチング層106、第2のGaAs上部スペーサ層702、上部DBR 705が順に積層されている。ここで、上部DBR 705は、ノンドープGaAs高屈折率層とノンドープAl0.9Ga0.1As低屈折率層とが交互に積層されて構成されている。また、上部DBR 705の途中には、AlAs層703が設けられている。
そして、積層構造表面から第2のGaAs上部スペーサ層702の上面までエッチングして、上部メサ部が形成されている。さらに、上部メサ部の外径よりも大きいサイズで下部DBR 501の上面までエッチングして、下部メサ部が形成されている。p側電極109は、下部メサ部の頂上部(上部メサ部の底面)に形成されており、n側電極110は下部メサ部の底面に形成されている。
さらに、AlAs層703はメサ側面から選択的に酸化されて酸化領域704が形成されている。また、GaInPエッチング層106が塩酸エッチング溶液でサイドエッチングされて、エアギャップ108が形成されている。
本実施例では、実施例4と同様に、エアギャップ狭窄構造とAlAs酸化狭窄構造との両方を備えている。そして、AlAs層703の非酸化領域の径をGaInPエッチング層106における非エッチング領域の径よりも狭く形成することで、AlAs酸化狭窄構造では単一横モードに光を閉じ込め、エアギャップ狭窄構造では電気抵抗が増加しないようなサイズで電流を狭窄している。
実施例4と異なっているのは、AlAs層703が上部DBR 705の途中に設けられている点である。図7においては、電流は下部DBR 501と上部DBR 705を通らずに活性層503に注入される構造となっている。そのため、AlAs選択酸化構造で狭い酸化狭窄径が形成されても、素子の電気抵抗は増加しない。従って、電気抵抗の増加を抑制して、横モードを単一横モードで安定化させることができる。
また、横モードを単一モードに制御するAlAs酸化層704は、活性層503とGaInPエッチング層106との距離よりも離れた位置に設けられている。電流狭窄を行うGaInPエッチング層106は、活性層503からの距離が離れすぎると、電流広がりが生じて閾電流が増加してしまう。そのため、GaInPエッチング層106は活性層503に近接して設ける必要がある。本実施例においては、GaInPエッチング層106を上部スペーサ層の途中に設けている。
一方、横モードを制御するAlAs酸化層704は活性層503からの距離を離して設けても機能する。従って、活性層503に近い電流狭窄は体積変化のないエアギャップ狭窄構造を用い、活性層503から遠い位置には体積収縮するAlAs酸化層704を設けて横モードを制御している。これにより、AlAs酸化層704が活性層503に及ぼす応力を低減し、高信頼性が得られる。
AlAs層703を選択酸化する工程において、上部DBR 705のAl0.9Ga0.1As低屈折率層のメサ側面に、AlO保護層が形成される。AlO保護層は、GaInPエッチング層106をサイドエッチングするときに、上部DBR 705のAl0.9Ga0.1As低屈折率層側面がサイドエッチングされることを抑制する。これにより、メサ部側面に凹凸が形成されず、多層膜反射鏡の散乱損失や回折損失が抑制され、閾電流が低減される。
また、AlAs層703の選択酸化とメサ側面の保護層形成とを1回の酸化工程で行うことができるため、製造工程が容易となる。
また、下部メサ部のエッチングに用いたエッチングマスクを除去した状態で、GaInPエッチング層106のサイドエッチングを行っている。そのため、基板上部から観察したときに、サイドエッチング幅を明瞭に観察することが可能であり、サイドエッチング幅を上部から観察しながらエッチングを行い、電流狭窄構造を制御性よく作製することができる。
以上の実施例においては、活性層としてGaAs, InGaAs, GaInNAsを用いた例を示してきたが、他の材料で構成することもできる。GaInP, AlGaInP, GaInAsP, AlGaInAsP等を活性層に用いることで、可視の面発光半導体レーザを作製することが可能である。
図8は、本発明の面発光半導体レーザ素子を用いた光伝送モジュールの構成例を示す図である。図8を参照すると、1対の光送受信モジュール806が石英光ファイバケーブル805で接続された構成となっている。
一方の光送受信モジュール806に入力された電気信号に応じて駆動用IC 802が動作し、面発光半導体レーザ801の光強度が変調される。これにより、電気信号が光信号に変換される。面発光半導体レーザ801から出力された光信号は、石英光ファイバケーブル805を伝送して、他方の光送受信モジュール806中の受光素子803に入力される。受光素子803で光信号が電気信号に変換された後に、信号処理IC 804で信号の増幅,波形整形が行われ、外部に出力される。
光送受信モジュール806は、光の送信部と受信部の両方を備えており、双方向に情報伝送することが可能である。
図8の光伝送モジュールにおいては、上記実施例に示した面発光半導体レーザを光源として備えている。本発明の面発光半導体レーザは、メサ側面の凹凸を抑制することで反射鏡の損失を低減し、閾電流を低減している。また、自己整合的にメサ側面に保護膜を形成できるため、製造工程が容易であり、製造コストを低減することができる。また、活性層にかかる応力を低減することで高い信頼性を有している。従って、光伝送モジュールの消費電力低減、低コスト化、信頼性向上を実現できる。
実施例1の面発光半導体レーザを示す図である。 図1の面発光半導体レーザのメサ側面を示す図である。 実施例2の面発光半導体レーザを示す図である。 図3の面発光半導体レーザのメサ側面を示す図である。 実施例3の面発光半導体レーザを示す図である。 実施例4の面発光半導体レーザを示す図である。 実施例5の面発光半導体レーザを示す図である。 実施例6の光伝送モジュールの構成例を示す図である。
符号の説明
101 n型GaAs基板
102 n型Al0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1As DBR
103 Al0.4Ga0.6As下部スペーサ層
104 GaAs/Al0.2Ga0.8As MQW活性層
105 Al0.4Ga0.6As上部スペーサ層
106 GaInPエッチング層
107 p型Al0.2Ga0.8As/Al0.9Ga0.1As DBR
108 エアギャップ
109 p側電極
110 n側電極
102a n型Al0.2Ga0.8As高屈折率層
102b n型Al0.9Ga0.1As低屈折率層
107a p型Al0.2Ga0.8As高屈折率層
107b p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層
201 AlO保護層
301 n型GaAs/Al0.9Ga0.1As DBR
302 Al0.2Ga0.8As下部スペーサ層
303 InGaAs/GaAs MQW活性層
304 Al0.2Ga0.8As上部スペーサ層
305 p型GaAs/Al0.9Ga0.1As DBR
301a n型GaAs高屈折率層
301b n型Al0.9Ga0.1As低屈折率層
305a p型GaAs高屈折率層
305b p型Al0.9Ga0.1As低屈折率層
401 AlN保護層
501 下部GaAs/AlAs DBR
502 GaAs下部スペーサ層
503 GaInNAs/GaAs MQW活性層
504 GaAs上部スペーサ層
505 p型GaAs/Al0.9Ga0.1As DBR
506 上部GaAs/AlAs DBR
601 AlAs層
602 AlAs酸化領域
701 第1の上部GaAsスペーサ層
702 第2の上部GaAsスペーサ層
703 AlAs層
704 AlAs酸化領域
705 上部GaAs/Al0.9Ga0.1As DBR
801 面発光半導体レーザ
802 駆動用IC
803 受光素子
804 信号処理IC
805 石英光ファイバ
806 光送受信モジュール

Claims (10)

  1. 基板上に、積層構造として、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザであって、積層構造の少なくとも一部がメサ形状に形成されたメサ部となっており、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造を備えており、メサ部における多層膜反射鏡はAlを含む層を有しており、前記Alを含む層のメサ側面における構成元素の一部が置換されて保護層が形成されており、保護層の幅はサイドエッチングの幅よりも狭いことを特徴とする面発光半導体レーザ。
  2. 基板上に、積層構造として、活性層を含む共振器領域と、共振器領域の上下に形成された多層膜反射鏡とを有する垂直共振器型面発光半導体レーザの製造方法において、積層構造の少なくとも一部をメサ形状にエッチングしてメサ部を形成する工程と、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層について、メサ側面から構成元素の一部を置換して保護層を形成する工程と、メサ部に設けられているエッチング層をメサ側面から選択的にエッチングしてアンダーカット形状を形成する工程とを含むことを特徴とする面発光半導体レーザの製造方法。
  3. 請求項2記載の面発光半導体レーザの製造方法において、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層を、メサ側面から選択的に酸化して保護層を形成することを特徴とする面発光半導体レーザの製造方法。
  4. 請求項2記載の面発光半導体レーザの製造方法において、メサ部における多層膜反射鏡中のAlを含む層を、メサ側面から選択的に窒化することを特徴とする面発光半導体レーザの製造方法。
  5. 請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、メサ部に設けられたエッチング層がGaInPで構成されていることを特徴とする面発光半導体レーザ。
  6. 請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、前記メサ部は、外径の異なる上部メサ部,下部メサ部の2つのメサ部で構成されており、上部メサ部の外径は下部メサ部の外径よりも狭くなっており、前記エッチング層は下部メサ部に形成されており、下部メサ部のメサ頂上部に上部電極が形成されていることを特徴とする面発光半導体レーザ。
  7. 請求項6記載の面発光半導体レーザにおいて、上部メサ部の底面が上部多層膜反射鏡の間に設けられていることを特徴とする面発光半導体レーザ。
  8. 請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、メサ部に設けられたエッチング層をメサ側面からサイドエッチングした電流狭窄構造に加えて、メサ部に設けられたAlAs層をメサ側面から選択的に酸化した酸化領域を備えており、AlAsの非酸化領域の径がエッチング層における非エッチング領域の径よりも狭いことを特徴とする面発光半導体レーザ。
  9. 請求項1記載の面発光半導体レーザにおいて、前記活性層には、窒素と他のV族元素を含む混晶半導体が用いられていることを特徴とする面発光半導体レーザ。
  10. 請求項1,請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の面発光半導体レーザを用いたことを特徴とする光送信モジュール。
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