JP2009260027A - 回路基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】無電解めっき層との密着性がよく、かつ、ベース樹脂に近い物性を有する絶縁樹脂層を形成する。
【解決手段】不飽和炭素結合、カルボニル基及びアルコキシル基の中の少なくとも一つを含む有機材料からなる樹脂フィラー3と、樹脂フィラー3をベース樹脂中に分散した樹脂組成物からなる絶縁樹脂層2と、絶縁樹脂層2上に形成された無電解めっき層4とを有し、絶縁樹脂層2中の樹脂フィラー3の充填密度分布が、絶縁樹脂層2の上面方向へ向けて高密度となることを特徴とする回路基板。
【選択図】図1

Description

本発明は絶縁樹脂層上に密着性が良好な配線が形成された回路基板に関する。
支持基板上に形成された絶縁樹脂層上に、金属配線をめっきにより形成した回路基板が広く使用されている。かかる配線は、絶縁樹脂層上に無電解めっき層を形成し、その無電解めっき層をシード層として用いる電解めっきにより形成される。
しかし、絶縁樹脂層と無電解めっき層とは密着性が小さく、配線層が容易に剥離するため、回路基板の高い信頼性を実現することは難しい。このため、従来は、絶縁樹脂層の表面を腐食して凹凸を形成し、この凹凸によるアンカー効果を用いて無電解めっき層の密着性を高めていた。
しかし、回路基板の配線が微細になると、従来のごとく絶縁樹脂層表面に数μmもの大きな凹凸を形成したのでは、その上に形成された配線が断線し易く信頼性が低下してしまう。このため、絶縁樹脂層表面に凹凸を形成することなく、ないし、小さな凹凸の形成により、十分な密着強度を有する無電解めっき層を形成する方法が希求されている。
絶縁樹脂層と無電解めっき層との間の密着強度を強化するため、無電解めっき金属、例えばCuとの密着性を高める基又は化合物を含有する樹脂を絶縁樹脂層の材料として用いる回路基板が知られている。かかる樹脂として、1,3,5−トリメルカプトピリジン、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール等のチオール基を含む化合物を含有する樹脂、トリアジンチオール化合物を含有する樹脂、及び、トリアジン化合物とそのトリアジン化合物の構成官能基と反応可能な官能基を含有する樹脂が知られている(例えば、特許文献1、2及び3を参照。)。また、有機チオール化合物の溶液中に樹脂を浸漬し、樹脂の表面に有機チオール化合物を担持させる方法も知られている。(例えば、特許文献4参照。)。
しかし、これらの化合物含有樹脂は、金属との十分な密着強度を得ることができない、あるいは、樹脂表面の密着強度分布のむらを生ずるという問題がある。
本発明の発明者は、不飽和炭素結合、カルボニル基及びアルコキシル基の中の少なくとも一つを含む有機材料からなる樹脂フィラーを絶縁樹脂層中に分散することで、絶縁樹脂層表面と強く密着する無電解めっき層を形成する方法を示した(例えば、特許文献5参照。)。
かかる樹脂フィラーの材料は、例えば活性酸素にさらされると、樹脂フィラーの表面に容易に官能基を発生させる。従って、樹脂フィラーを絶縁樹脂層表面に表出させた後、樹脂フィラー表面に官能基を発生させ、その後、シランカップリング剤により処理することで樹脂フィラーの表面にシランカップリング層を形成することができる。
このシランカップリング層が形成された絶縁樹脂層表面(絶縁樹脂層表面に表出する樹脂フィラーの表面)に無電解めっき層を形成することで、樹脂フィラー表面に形成されたシランカップリング層を密着層として強固に絶縁樹脂層と密着する無電解めっき層を形成することがてきる。従って、無電解めっき層の剥離強度、即ち配線の剥離強度が高い、高い信頼性を有する回路基板を実現することができる。
特開平05−158240号公報 特開平05−065466号公報 特開2005−343968号公報 特開2005−002334号公報 特開2008−041720号公報
絶縁樹脂層を構成する樹脂に無電解めっき層との密着強度を付与するための化合物を含有させる従来の回路基板では、無電解めっき層との十分な密着強度を得ることが難しい、あるいは密着強度のむらが大きいという問題がある。
これに対し、絶縁樹脂層に官能基を生成する樹脂フィラーを混入した回路基板では、一様かつ強固な密着強度を有する無電解めっき層を形成することができる。しかし、樹脂フィラーと絶縁樹脂層とでは、これらを構成する樹脂の物理的特性が異なる。このため、密着強度を高めるために樹脂フィラーを高密度に充填すると、絶縁樹脂層の物性が変化してしまうという問題がある。例えば。絶縁樹脂層の物性値、例えば剛性、熱膨張率及びガラス転移点が絶縁樹脂層を支える支持体に対して不適合になり、基板の反り等の問題を生ずるおそれがある。このため、絶縁樹脂層中の樹脂フィラーの充填密度をあまり高くすることはできず、無電解めっき層の密着強度の向上は制限される。
本発明は、絶縁樹脂層と無電解めっき層とが一様かつ強固に密着し、かつ、樹脂フィラー含有に起因する絶縁樹脂層の物性変化が少ない回路基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の回路基板は、不飽和炭素結合、カルボニル基及びアルコキシル基の中の少なくとも一つを含む有機材料からなる樹脂フィラーを、ベース樹脂中に分散した樹脂組成物からなる絶縁樹脂層と、絶縁樹脂層上に形成された無電解めっき層とを有し、絶縁樹脂層中の樹脂フィラーの充填密度分布が、絶縁樹脂層の上面方向へ向けて高密度となるように構成する。
上記本発明に係る樹脂フィラーは、不飽和炭素結合、カルボニル基又はアルコキシル基を含む。これらの結合又は基は樹脂フィラーの表面処理により容易に官能基に変換されるので、樹脂フィラーの表出面にこれら官能基と結合したシランカップリング層を形成することができる。このため、絶縁樹脂層とその上に形成された無電解めっき層とは、樹脂フィラーの表出面に成形されたシランカップリング層を介して強固に密着される。
上記本発明に係る回路基板では、絶縁樹脂層中に含まれる樹脂フィラーの充填密度が、上面(無電解めっき層との界面に近い側の表面)に集中して高密度に分布する。このため、絶縁樹脂層上面の単位面積当たりの樹脂フィラーの表出面積が大きく、高い密着強度が実現される。また、樹脂フィラーは、容易に均一に分散されるので、シランカップリング層も絶縁樹脂層の上面に均一に形成され、密着強度分布のむらが少ない。
他方、絶縁樹脂層の上面近傍以外の部分は、樹脂フィラーの充填密度が小さいか又は樹脂フィラーが含まれておらず、絶縁樹脂層を構成するベース樹脂と同じ又はベース樹脂に近い物性を有する。従って、上面近傍の樹脂フィラーの充填密度を高くして密着性を高めても、絶縁樹脂層全体の平均物性の変化は小さくベース樹脂に近い物性が保持される。このように、絶縁樹脂層上面近傍の樹脂フィラー充填密度を高くして絶縁樹脂層と無電解めっき層との密着強度を大きくしても、樹脂フィラー含有に起因する絶縁樹脂層の物性変化が小さい。このため、密着性に優れた無電解めっき層(配線)と、ベース樹脂に近い物性を有する絶縁樹脂層とを備えた、高い信頼性を有する回路基板が実現される。
本発明によれば、樹脂フィラー含有に起因する絶縁樹脂層の平均的な物性変化を抑制しつつ、密着性に優れた無電解めっき層を絶縁樹脂層上に形成することができる。
本発明の第1実施形態は、絶縁樹脂層の表面に樹脂フィラーが埋め込まれた表面層を有する回路基板に関する。
図1は本発明の第1実施形態回路基板断面図であり、絶縁樹脂層上に無電解めっき層を介して配線が形成された回路基板を表している。
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る回路基板31は、板状の支持体1の上面に絶縁樹脂層2が設けられ、その絶縁樹脂層2の上にCu配線5が配設されている。
支持体1は、例えば厚さ400μmのシリコン基板からなり、その上面に例えば厚さ40μmのエポキシ樹脂からなる絶縁樹脂層2が形成されている。この絶縁樹脂層2の上面に、樹脂フィラー3が埋め込まれた表面層2aが形成されている。
表面層2aは、樹脂フィラー3の単層又は薄い複数層、例えば10層以下の薄い層から構成される。その表面層2aの最上層を構成する樹脂フィラー3は、絶縁樹脂層2の上面に突出して凹凸を形成する。なお、その樹脂フィラー3の突出部分の表面は、絶縁樹脂層2に被覆されることなく絶縁樹脂層2から露出している。
そして、この樹脂フィラー3が表出する絶縁樹脂層2の上面に、無電解めっき層4を介して配線5が形成されている。
樹脂フィラー3は、不飽和炭素結合、カルボニル基及びアルコキシル基の中のいずれかを含む樹脂、例えばゴム系樹脂からなり、後述するように、表面処理により、表面にシランカップリング層6が容易に形成される。絶縁樹脂層2上面に表出する樹脂フィラーの表出面のうち、少なくとも無電解めっき層4との界面を構成する表出面には、シランカップリング層6が形成されている。即ち、無電解めっき層4は、樹脂フィラー3との界面に形成されたシランカップリング層6を介して、樹脂フィラー3と強固に密着する。なお、樹脂フィラー3を構成する樹脂は、シアノ基又はアリール基を含有してもよく、これにより密着性をより向上することができる。
樹脂フィラー3は、平均粒径が0.5μm〜2μmのものを用いた。粒径が大き過ぎると、例えば平均粒径が5μmを超えると、絶縁樹脂層2上面に突出する樹脂フィラー3が形成する凹凸が大きくなり、配線5が断線し易くなる。従って、樹脂フィラー3の平均粒径は、5μm以下が好ましく、望ましくは2μm以下である。
他方、樹脂フィラー3の平均粒径が小さ過ぎると樹脂フィラー3の表出面積が小さくなり、絶縁樹脂層2と無電解めっき層4との界面に占めるシランカップリング層6の面積比が小さくなるので密着強度が低下する。また、凹凸によるアンカー効果も減少する。従って、密着強度を向上する観点から、樹脂フィラー3の平均粒径は大きいことが望ましい。例えば実用上十分な密着強度を確保する観点から0.2μm以上とすることが好ましく、さらにより信頼性を高めるためには0.5μm以上とすることが望ましい。
本第1実施形態では、表面層2aの厚さを3μm〜4μmとした。表面層2aを含む絶縁樹脂層4全層を平均した物性値は、絶縁樹脂層2に占める表面層2aの厚さの比及び表面層2aの物性値に依存する。即ち、表面層2aの厚さが薄く、かつ表面層2a中の樹脂フィラー3の充填密度が小さいほど、絶縁樹脂層2全層の平均物性は絶縁樹脂層2が有する本来の物性、即ちベース樹脂の物性に近ずく。
従って、表面層2aの厚さは、樹脂フィラー3の混入による絶縁樹脂層2の平均物性の変化を抑制するという観点からは、薄いほど好ましい。従って、表面層2aを単層の樹脂フィラー3から構成することが好ましい。なお、単層として、2次元的に稠密充填された1層の樹脂フィラー3層の他、1層よりも少ない、即ち2次元的な充填密度が1以下の稠密充填に至らない粗な層をも含むことができる。
他方、密着強度の観点からは、絶縁樹脂層2と無電解めっき層4との界面に占める樹脂フィラー3の表出面積(無電解めっき層4と樹脂フィラー3との界面の面積)の比率を大きくするために、表面層2aの充填密度は高いことが望ましく、少なくとも稠密充填された単層以上の厚さを有することが望ましい。また、表面層2aの下層を占める樹脂フィラーをも表出して、樹脂フィラー3の表出面積を拡大するために、2層以上とすることが好ましい。この場合、樹脂フィラー3の充填密度を、絶縁樹脂層2の上面から内部方向に向かい減少する分布とすることで、樹脂フィラー3の表出面積比を大きくして密着強度を高くする一方、樹脂フィラー3の混入に起因する表面層3aの物性変化を抑制することができる。
以下、上述した第1実施形態の回路基板31の製造方法を説明する。まず、回路基板31の製造に使用される樹脂シート41を、その製造工程に従い説明し、その後、樹脂シート41を用いて回路基板31を製造する工程を説明する。
図2は本発明の第1実施形態樹脂シート製造工程断面図である。図2(a)を参照して、樹脂シート41の製造では、予め準備されたポリプロピレンからなる保護シート11の上面に、樹脂フィラー3を3μm〜4μmの厚さに散布した。この樹脂フィラー3は、既述の通り平均粒径が0.5μm〜2μmであり、不飽和炭素結合、カルボニル基及びアルコキシル基の中のいずれかを含むゴム系樹脂からなる。さらに、シアノ基又はアリール基を含有してもよい。
次いで、図2(b)を参照して、保護シート11上に、絶縁樹脂層2の前躯体13を塗布した。次いで、図2(c)を参照して、前躯体13を重合させて厚さ40μmの半硬化状態のエポキシ樹脂からなる絶縁樹脂シート2Aを形成した。同時に、絶縁樹脂シート2Aの表面(図2の紙面下方の面)近傍に、樹脂フィラー3が埋め込まれた表面層2aが形成される。
なお、図2(a)〜(b)を参照して説明した工程において、樹脂フィラー3を保護シート上に1層に稠密充填するように散布することで、稠密充填された単層の表面層2aを形成することができる。この表面層2aは、稠密充填されるため樹脂フィラー3の表出面積が大きい。それにも拘わらず、表面層2aは薄いので、後に絶縁樹脂シート2Aをさらに硬化して絶縁樹脂層2(図1参照)としたとき、その絶縁樹脂層2の平均的な物性は樹脂フィラー3を含まないものとあまり変わらない。
また、樹脂フィラー3の散布と前躯体13の塗布及び重合工程とを複数回繰り返すことにより、表面層2aを多層に積層した絶縁樹脂シート2Aを形成することもできる。この場合、最表面層が最大充填密度を有するように表面層2aを形成して、樹脂フィラー3の表出面積を大きくし、かつ絶縁樹脂層全体の平均充填密度を小さくすることができる。これにより、無電解めっき層4との密着性に優れ、かつ、ベース樹脂本来の物性に近い物性を有する絶縁樹脂層2が実現される。
次いで、図2(d)を参照して、絶縁樹脂シート2Aの裏面(図2の紙面上方の面)に、ポリエチレンテレフタレートからなるキャリアシート12を接着する。これにより、表面に樹脂フィラー3の層からなる表面層2aが形成された絶縁樹脂層2を、キャリアシート12と保護フィルム11とで挟持した樹脂シート41が製造される。
次に、上述の工程で製造された樹脂シート41を用いて、本第1実施形態の回路基板31を製造する工程を説明する。
図3〜図5は本発明の第1実施形態製造工程断面図(その1)〜(その3)であり、樹脂シート41を用いて回路基板31を製造する工程を表している。
図3(a)を参照して、まず、図2を参照して説明した樹脂シート41からキャリアシート12を剥離し、キャリアシート12が剥離された後の絶縁樹脂シート2A及び保護シート11を、シリコン基板からなる支持体1の上面に絶縁樹脂シート2Aを支持体1上面に密着させて貼着する。なお、図3〜図5では、樹脂シートの位置関係、即ち絶縁樹脂シート2A、保護シート11及び絶縁樹脂樹脂シート2A中の表面層2aの位置は、図2とは上下を反転して描かれている。
次いで、図3(b)を参照して、保護シート11を剥離して、絶縁樹脂シート2Aの上面(表面層2aが形成されている面)を表出する。その後、180℃で1時間の熱処理により、絶縁樹脂シート2Aは硬化されて絶縁樹脂層2に変換された。
次いで、図4(c)を参照して、絶縁樹脂層2の上面を、励起電力200Wの酸素プラズマ22に5分間暴露した。これにより、絶縁樹脂層2の上面に表出するベース樹脂が選択的にエッチングされ、表面層2aを構成する樹脂フィラー3が絶縁樹脂層2の上面に表出する。樹脂フィラー3は絶縁樹脂層のベース樹脂に比べて酸素プラズマ22に対するエッチング速度が遅く、樹脂フィラー3は絶縁樹脂層2の上面に表出して凹凸を形成する。なお、このエッチングは表面層2aの最表面層を構成する樹脂フィラー3を表出するのみならず、2層目以下の樹脂フィラー3をも表出してもよい。このように、下層の樹脂フィラ3ーをも表出すると、絶縁樹脂層2上面の凹凸及び樹脂フィラー3の表出面積が大きくなり、密着強度が向上する。
さらに、酸素プラズマ22に暴露された樹脂フィラー3の表出面には、樹脂フィラー3を構成する樹脂に含まれる不飽和炭素結合、カルボニル基又はアルコキシル基の分解によりシランカップリング剤と結合する官能基、例えば水酸基及びカルボキシル基等のヒドロキシル基、カルボニル基又はカルボキシル基が形成される。この官能基の表面密度は、樹脂フィラー2の表面で高密度に生成され、絶縁樹脂層2のベース樹脂、例えばエポキシ樹脂の表面での生成密度は低い。
なお、この樹脂フィラー3中に、シアノ基又はアリール基を加えることで、官能基の生成が促進されより、密着性が向上する。
上述した酸素プラズマに暴露する工程は、凹凸を形成するエッチング作用と官能基の生成作用とが同時に又は別工程でなされる他の工程に置き換えてもよい。例えば、樹脂フィラー3に対して絶縁樹脂層2のベース樹脂を選択的にエッチング除去するドライエッチング又はウエットエッチングを行った後に、活性酸素へ暴露することでなすことができる。この活性酸素は、例えば空気中で、低圧水銀ランプ又はエキシマランプにより発生される波長240nm未満の紫外線を照射することにより、又は、コロナ放電により生成することができる。
次いで、図4(d)を参照して、酸素プラズマへの暴露工程後、支持体1をシランカップリング剤6a、例えばγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越シリコーン社製品:KBM−802)の1wt%水溶液に1分間浸漬した。その後、支持体1を、オープン1に入れ、120℃で30分間加熱して脱水することで、樹脂フィラー3の表出面にシランカップリング層6を形成した。
図6はシランカップリング剤化学構造図であり、シランカップリング剤の化学構造の一例を表している。図7はシランカップリング層構造図及び図8はメタライズされたシランカップリング層構造図であり、それぞれシランカップリング剤により樹脂フィラーの表出面に形成されたシランカップリング層及びメタライズ処理後のシランカップリング層を表している。
図6を参照して、本第1実施形態で用いたシランカップリング剤6aは、シリコン原子に3個の加水分解してシラノール基を生成する官能基OR(例えば、エトキシ基又はメトキシ基)と、1個の金属捕捉能を有する官能基15が結合した分子構造を有する。金属捕捉能を有する官能基15は、例えば、アゾール基、メルカプト基又はトリアジンチオール基がある。
酸素プラズマ処理によりシランカップリング剤と反応する官能基12が形成された絶縁樹脂層2の表面に、図6に図示するシランカップリング剤を作用させると(シランカップリング処理すると)、図7を参照して、シランカップリング剤を構成する官能基ORと樹脂フィラー3表面1aの官能基とが吸着乃至化学反応して、シランカップリング剤が樹脂フィラー3表面1aに密着する。同時に、残りの官能基ORが加水分解して重合し、シランカップリング剤の重合膜からなるシランカップリング層6が樹脂フィラー3の表面上に形成される。このとき、シランカップリング層6の表面には、金属捕捉能を有する官能基15の層が形成される。なお、シランカップリング層6は、絶縁樹脂層2のベース樹脂表面(樹脂フィラー3が表出していない表面)にも形成され得るが、べース樹脂表面に形成される官能基の密度は樹脂フィラー3表面に比べて小さく、密着強度にあまり貢献しない。
次いで、図4(e)を参照して、上記シランカップリング層6を形成後、金属触媒を用いる無電解めっきにより、絶縁樹脂層2の上面にシランカップリング層6を介して無電解めっき層4を形成した。以下、金属触媒を用いた無電解めっき層4の形成工程を説明する。
図8を参照して、例えば塩化パラジウムのコロイドを含むロームアンドハース社製の商品名キャタポジット44の55℃の溶液に3分間浸漬する触媒処理により金属触媒層7を形成する。この金属触媒層4は、図6を参照して、シランカップリング層6の表面に形成された金属捕捉能を有する官能基21に金属触媒となるバラジウムが捕捉されて、シランカップリング層13の表面に単層のPd金属触媒層7として形成される。
次いで、ロームアンドハース社製の商品名アクセレレータ19Eの室温の溶液に6分間浸漬して活性化処理を行なった。
次いで、図4(e)を参照して、無電解銅めっき液、例えばロームアンドハース社製の商品名カッパーミックス溶液に室温で20分間浸漬して、金属触媒層4が形成されているシランカップリング層13の表面に銅を析出させ、絶縁樹脂層2の上面に厚さ0.5μmの銅無電解めっき層4を形成した。以上の工程を経て、無電解めっき層4が形成された。
次いで、図5(f)を参照して、無電解めっき層4上にレジスト21を塗布し、配線5パターンを画定する開口21aを開設した。
次いで、図5(g)を参照して、無電解めっき層4をシードとする電解めっきにより、開口21a底面に表出する無電解めっき層4上に、開口21aを途中まで埋め込む厚さ30μmのCu電解めっき層からなる配線5を形成した。
なお、この電解めっきでは、硫酸銅5水和物を50〜100g/L、硫酸を150〜300g/L、塩素イオンを30〜100mg/L及び光沢剤及び平滑剤等の添加剤を0.1〜2wt%含む水溶液を電解銅めっき液として用いた。また、めっき電流密度は3A/dm2 とした。
次いで、図5(h)を参照して、レジスト21を除去した後、150℃、1時間の熱処理を行った。なお、配線5及び無電解めっき層5はともに金属からなり、互いに強固に密着する。また、無電解めっき層5は、絶縁樹脂層2の表面層2aに含まれる樹脂フィラー3と、シランカップリング層6及び触媒金属層7を介して強固に結合する。従って、配線5は、絶縁樹脂層2と強固に密着する。
次いで、配線5をマスクとするエッチングにより、配線5の外側に延在する無電解めっき層4、触媒金属層7及び必要ならばシランカップリング層6を除去する。以上の工程を経て、本第1実施形態に係る回路基板31が製造された。
上述した本第1実施形態の工程により製造された回路基板について、配線5の密着強度及び絶縁樹脂層4の物性変化を確認する実験を行った。
実験は、配線5パターンを除き、上述した本第1実施形態と同一条件でCu電解めっき層を絶縁樹脂層2上全面に形成した第1実験試料を作成し、この第1実験試料のCu電解めっき層の剥離強度及び絶縁樹脂層2の物性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2009260027
表1中には、第1実験試料の他、第1比較試料及びベース樹脂試料を作成して比較した結果もあわせて示した。第1比較試料は、樹脂フィラーを均一に分散した絶縁樹脂層上に、上記第1実験試料と同一条件でCu電解めっき層を形成している。ベース樹脂試料は、ベース樹脂(エポキシ樹脂)からなる絶縁樹脂層上に、上記実験試料と同一条件でCu電解めっき層を形成した。
なお、Cu電解めっき層のピール強度は、第1実験試料、第1比較試料、ベース樹脂試料をそれぞれ幅1cmの短冊状に切り出し、その一端からCu電解めっき層を引き剥がす90度引き剥がし試験により測定した。
表1を参照して、第1実験試料のピール強度は1.2kgf/cmであった。比較試料のピール強度が1.0kgf/cmを超えるのは、絶縁樹脂層中の樹脂フィラー充填密度が30wt%以上の場合であった。なお、樹脂フィラーを含まないベース樹脂試料では、0.3kgf/cm以下と非常に低い。
絶縁樹脂層の物性として、ガラス転移点及び熱膨張係数を測定した。また、剛性を評価するため、樹脂フィラーの平均充填密度を測定した。なお、剛性は、回路基板31の反り等に大きな影響を与える重要な因子である。この剛性は、絶縁樹脂層2に含まれる樹脂フィラー3の平均充填密度にほぼ比例して変化するので、平均充填密度により評価することができる。即ち、樹脂フィラー3の材料にゴム系樹脂のような柔らかな樹脂を用い、ベース樹脂としてポキシ等のより硬い樹脂を用いた場合、絶縁樹脂層2の剛性は、樹脂フィラーの平均充填密度の増加とともに単調に減少するので、その減少の勾配と平均充填密度から剛性を評価することができる。
第1実験試料の絶縁樹脂層2の樹脂フィラー3の平均充填密度は、絶縁樹脂層2の厚さが40μm、表面層2aの厚さが3〜4μmのとき、3〜5wt%であった。これに対して、第1比較試料では、1.0kgf/cmのピール強度を有するもので、平均充填密度は30wtである。
上述したビール強度と平均充填密度の実験結果は、第1実験試料の密着強度(ピール強度)が比較試料のそれと同一乃至それ以上であっても、絶縁樹脂層2の樹脂フィラー3の平均充填密度が比較試料の1/10以下に止まること、言い換えれば、第1実験試料は、比較試料の1/10以下の樹脂フィラー3の平均充填密度で同等の密着強度を有することを示している。即ち、同じ密着強度を有する場合、第1実験試料の剛性の変化は、比較試料の1/10以下に止まると考察される。
絶縁樹脂層2のガラス転移点は、第1実験試料が175℃であり、樹脂フィラー充填密度が30wt%の比較試料の178℃、及び、樹脂フィラー3を含まない比較試料の172℃と比べて、その差は実用上は無視し得る程度に小さい。
熱膨張率は樹脂フィラー3の平均充填密度が高密度になるほど大きくなる。絶縁樹脂層2の熱膨張率は、第1実験試料では65ppm/℃であった。この値は、樹脂フィラー充填密度が30wt%である比較試料の102ppm/℃のほぼ64%であり、樹脂フィラー3を含まない(即ち絶縁樹脂層2がベース樹脂からなる)ベース樹脂試料の熱膨張率61ppm/℃に近い値である。
この実験結果が示すように、第1実験試料は、絶縁樹脂層2の樹脂フィラー3の平均密度が3〜5wt%に過ぎず、剛性もベース樹脂に近いと評価される。さらに、熱膨張率もベース樹脂より僅か4ppm/℃増加するに止まる。これに対して、同等の密着強度を有する第1比較試料では、樹脂フィラー3の平均密度が30wt%と高いので、剛性の変化も大きいと評価される。また、熱膨張率も31ppm/℃と大きく増加する。このように、第1第1実験試料では、同じ密着強度を得るために、第1比較試料と比べて剛性の変化も少なく、かつ、絶縁樹脂層2の熱膨張率の変化も第1比較試料の1/10以下に抑制することができた。
上述したように、本第1実施形態に係る回路基板31は、無電解めっき層4と絶縁樹脂層2との高い密着強度(即ち配線5と絶縁樹脂層2との高い密着強度)を有し、かつ、樹脂フィラー3混入に伴う絶縁樹脂層2の物性変化、とくに剛性及び熱膨張率の変化が少ない。
上述した第1実施形態形態の製造工程では、予め表面層2aが形成されている樹脂シート41を支持体1上面に接着して絶縁樹脂層2を形成した。他に、絶縁樹脂層2を支持体1上に直接形成することもできる。
例えば、図3(a)を参照して、初めに支持基板1にベース樹脂からなる絶縁樹脂層2を形成し、その表面に樹脂フィラー3を散布した後、ベース樹脂の前躯体を塗布・固化して表面層2aを形成することで、第1実施形態と同様の回路基板を製造することができる。さらに、かかる樹脂フィラー3の散布と前躯体の塗布・固化工程を繰り返し、厚い表面層2aあるいは樹脂フィラー3の充填密度が表面から下方へ小さくなる分布を有する表面層2aを形成することもできる。
本発明の第2実施形態は、樹脂フィラーを含まない下層絶縁樹脂層と、樹脂フィラーを含む上層絶縁樹脂層とから構成される絶縁樹脂層を有する回路基板32に関する。
図9は本発明の第2実施形態回路基板断面図であり、下層絶縁樹脂層2c及び上層絶縁樹脂層2bからなる絶縁樹脂層2を有する回路基板32を表している。
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る回路基板32は、絶縁樹脂層2の構造及び樹脂フィラー3の成分が異なる他、第1実施形態に係る回路基板31と同様である。従って、説明を簡明にするため、以下、主として絶縁樹脂層2と樹脂フィラー3について説明する。
支持体1上に形成された絶縁樹脂層2は、下層絶縁樹脂層2cと、その上に形成された上層絶縁樹脂層2bとの2層から構成されている。下層絶縁樹脂層2cは、エポキシ系の樹脂から構成されている。上層絶縁樹脂層2bは、エポキシ系の樹脂をベース樹脂とし、その中に樹脂フィラー3が均一に分散されている。
樹脂フィラー3は第1実施形態と同様に、不飽和炭素結合、カルボニル基又はアルコキシル基を含むゴム系樹脂をベースとし、これにシアノ基又はアリール基を含有させた。
上層絶縁樹脂層2bの表面は、ベース樹脂が選択的に除去され、樹脂フィラー3の表面を表出する凹凸面となっている。そして、絶縁樹脂層2上に、無電解めっき層4を介して配線5が形成されている。この無電解めっき層4と上層絶縁樹脂層2bの表面に表出する樹脂フィラー3の表出面との界面には、第1実施形態と同様、シランカップリング層6が形成されている。
以下第2実施形態に係る回路基板32の製造方法を説明する。まず、回路基板32の製造に用いられる樹脂シート42を、その製造工程に沿って説明す。
図10は本発明の第2実施形態樹脂シート製造工程断面図であり、第2実施形態で用いた絶縁シート32の製造工程を表している。
図10(a)を参照して、まず、後に上層絶縁樹脂層2bとなる上層絶縁樹脂シート2B、例えばエポキシ系樹脂からなるベース樹脂中にフィラー3を均一に分散した樹脂シート2Bを準備する。上層絶縁樹脂シート2Bは、エポキシ樹脂の前躯体中に樹脂フィラー3を混練し、シート状に成形した後、硬化させて半硬化状の上層絶縁樹脂シート2Bとして製造される。また、後に下層絶縁樹脂層2cとなるエポキシ系樹脂からなる下層絶縁樹脂シート2Cを準備する。
次いで、ポリエチレンテレフタレートからなるキャリアシート12上に、下層絶縁樹脂シート2C、上層絶縁樹脂シート2B及びポリプロピレンからなる保護シート11をこの順に重ねてラミネートして、図10(b)を参照して、キャリアシート12と保護シート11により挟持された2層の上層及び下層絶縁樹脂シート2B、2Cからなる樹脂シート42を製造する。なお、上層絶縁樹脂シート2B及び下層絶縁樹脂シート2Cからなる絶縁樹脂シート2Aは、後に支持体1上に接着された後に硬化されて絶縁樹脂層2となる。
次に、樹脂シート42を用いた回路基板32の製造工程を説明する。図11は本発明の第2実施形態製造工程断面図であり、樹脂シート42を用いて製造される回路基板32を表している。
図11(a)を参照して、まず、ラミネートされた樹脂シート42からキャリアシート12を剥離し、残る2層の上層及び下層絶縁樹脂シート2B、2C及び保護シート11の積層を支持体1上面に接着する。次いで、図11(b)を参照して、保護シート11を剥離する。次いで、180℃で1時間の熱処理により上層及び下層絶縁樹脂層2B、2Cからなる絶縁樹脂シート2Aを硬化させた。これら硬化された上層及び下層絶縁樹脂層2C、2Bは、それぞれ絶縁樹脂層2の下層及び上層を構成する上層絶縁樹脂層2b及び下層絶縁樹脂層2cとなる。
次いで、図11(c)を参照して、絶縁樹脂層2の上面を酸素プラズマに暴露する。これにより、上層絶縁樹脂層2bの上面近傍のベース樹脂が樹脂フィラー3に対して選択的に除去され、上層絶縁樹脂層2bの上面に樹脂フィラー3が凹凸状をなして表出する。この樹脂フィラー3の表出面には、第1実施形態の酸素プラズマ処理と同様に、不飽和炭素結合、カルボニル基又はアルコキシル基の分解により生じた官能基が形成されている。
次いで、第1実施形態形態の図4(d)〜図4(e)と同様の工程により、絶縁樹脂層2上(即ち、上層絶縁樹脂層上面)にCu無電解めっき層4を形成する。次いで、第1実施形態形態の図5(f)〜図5(h)と同様の工程を経て、図9を参照して、上層絶縁樹脂層2b上にCu無電解めっき層4を介してCu電解めっき層からなる配線5が形成された回路基板32が製造される。この回路基板32では、樹脂フィラー3の表面に形成されたシランカップリング層6(必要により形成された触媒金属層を含んでもよい。)を介して、絶縁樹脂層2と無電解めっき層4とが強固に密着している。
上述の第2実施形態の工程により製造された配線5の剥離強度を、第1実施形態と同様の実験により調べた。即ち、配線パターンが異なる他は上述した第2実施形態と同様の工程により配線層(配線5に相当する)を形成し、幅1cmの短冊状に切り出した第2実験試料を作成してピール強度を測定した。なお、実験試料の下層絶縁樹脂層2cの厚さは30μm、上層絶縁樹脂層2bの厚さは10μmである。また、上層絶縁樹脂層2bの樹脂フィラー3の充填密度は、35wt%であった。
さらに、比較例として、樹脂フィラー3の充填密度が35wt%の絶縁樹脂層2を有する第2比較試料を作成し、第1実験試料と同様の測定を行った。その結果を、表2に示す。なお、表1に示したベース樹脂試料の結果も表2中に示した。
Figure 2009260027
表2を参照して、第2実験試料のCu電解めっき層のピール強度は、1.1kgf/cmであり、これは第2比較試料と同等の密着強度であった。他方、第2実験試料の絶縁樹脂層2は、樹脂フィラー3の平均充填密度が略10wt%であり、これは比較試料の絶縁樹脂層2の樹脂フィラー3の平均充填密度、35wt%の略1/10の値である。従って、第1実験試料における絶縁樹脂層2の樹脂フィラー3含有に起因する弾性率の変化は、ほぼ同じピール強度を与える第2比較試料の1/10に止まる。
絶縁樹脂層2のガラス転移点は、第2実験試料が178℃、ベース樹脂のエポキシ樹脂が172℃、及び、第2比較試料が178℃であり、実用上の差異は認められない。
熱膨張率は、第2実験試料が75ppm/℃、エポキシ樹脂試料が61ppm/℃、及び、第2比較試料が109ppm/℃であった。この結果は、第1実施形態と同様、絶縁樹脂層2の樹脂フィラー3の平均充填密度が最大の第2実験試料の熱膨張率が最も大きく、平均充填密度が小さな第2実験試料の熱膨張率は小さくエポキシ樹脂試料より14ppm/℃増加するだけである。
なお、第2実験試料及び第2比較試料の熱膨張率は、第1実験試料及び第1比較試料より大きい。これは、第2実験試料及び第2比較試料の方が、樹脂フィラー3の平均充填密度が大きいためである。
上述の表2の結果は、第2実施形態に係る配線5は、樹脂フィラー3の充填密度が35wt/%の絶縁樹脂層を有する第2比較試料と同等の密着強度(即ち、無電解めっき層4の密着強度)を有する。その一方で、第2実施形態に係る絶縁樹脂層の平均物性、例えば剛性、ガラス転移点及び熱膨張率は、第2比較例より小さくベース樹脂試料に近い。このように、第2実施形態でも第1実施形態と同様、配線5の高い密着強度を、樹脂フィラー3含有による物性変化が小さな絶縁樹脂層2上に形成することができる。
本発明の第3実施形態は、第2実施形態の下層絶縁樹脂層にシリカフィラーを含有した回路基板32に関する。
本第3実施形態の絶縁樹脂層は、図9を参照して、下層絶縁樹脂層2cが40wt%のシリカフィラーを含有する以外は、第2実施形態の回路基板と同様である。このシリカフィラーは、絶縁樹脂層2の熱膨張率を小さくして、シリコン基板の熱膨張率に近づけるために混入される。なお、第3実施形態の回路基板の形状は図9と同様なので、以下図9を参照して説明する。
配線パターンを絶縁樹脂層2上全面に形成する以外、第2実施形態と同様の工程により同様に形成された第3実験試料を作成し、物性を測定した。即ち、第3実験試料の絶縁樹脂層2は、樹脂フィラー3の充填密度が35wt%の厚さ10μmの上層絶縁樹脂層2bと、ベース樹脂(エポキシ系樹脂)中に40wt%のシリカフィラーを含有する厚さ30μmの下層絶縁樹脂層2cから構成される。
その結果を表3に示す。表3には、下層絶縁樹脂層2cにシリカフィラーを含有する他は第2比較試料と同様の第3比較試料について比較のために示した。また、表3中のベース樹脂試料は、ベース樹脂にシリカフィラーを含有する他、表2に示すベース樹脂と同様である。
Figure 2009260027
表3を参照して、第3実験試料の配線の剥離強度は、1.1kgf/cmであり、第3比較試料と同じ強度を有する。他方、第3実験試料の樹脂フィラー3の平均充填密度は10wt%であり、第3比較試料の35wt%の30%以下に過ぎない。従って、第3実験試料における樹脂フィラー3の含有に起因する剛性の変化は、第3比較試料の1/3以下に止まる。
ガラス転移点は、第3実験試料と第3比較試料とで同等であり、いずれもベース樹脂試料より僅か上昇するに過ぎない。
熱膨張率は、第3実験試料が52ppm/℃であり、ベース樹脂試料の49ppm/℃より僅かに大きい。他方、第3比較試料は61ppm/℃であり第3実験試料より大きいが、いずれの試料も実用上問題とされる大きさではない。これは、シリカフィラーの含有により、熱膨張率が十分シリコン基板の熱膨張率に近くされているためである。
この第3実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様、配線5の高い密着強度と、絶縁樹脂層2のベース樹脂に近い物性が確保される。
上述の第1〜第3実施形態において、電解めっきを用いることなく、無電解めっき層4により配線を形成することもできる。かかる配線の形成方法は、とくに薄い配線の形成に適している。また、第2〜第3実施形態において、上層絶縁樹脂層2bを複数層で構成することもできる。この構成では、各層の樹脂フィラー3の充填密度を任意に制御することがてきるので、樹脂フィラー3の密度分布を精密に制御することが容易である。さらに、絶縁樹脂層の物性を制御するために、下層絶縁樹脂層2cに樹脂フィラー3を含有させることもできる。
本発明を半導体チップを搭載する回路基板に適用することで、信頼性の高い半導体装置を製造することがてきる。
本発明の第1実施形態回路基板断面図 本発明の第1実施形態樹脂シート製造工程断面図 本発明の第1実施形態製造工程断面図(その1) 本発明の第1実施形態製造工程断面図(その2) 本発明の第1実施形態製造工程断面図(その3) シランカップリング剤化学構造図 シランカップリング層構造図 メタライズされたシランカップリング層構造図 本発明の第2実施形態樹脂回路基板断面図 本発明の第2実施形態樹脂シート製造工程断面図 本発明の第2実施形態樹脂製造工程断面図
符号の説明
1 支持体
3 樹脂フィラー
2 絶縁樹脂層
2a 表面層
2b 上層絶縁樹脂層
2c 下層絶縁樹脂層
2A 絶縁樹脂シート
2B 上層絶縁樹脂シート
2C 下層絶縁樹脂シート
4 無電解めっき層
5 配線
6 シランカップリング層
6a シランカップリング剤
7 金属触媒層
11 保護シート
12 キャリアシート
13 前躯体
15 金属補足能を有する官能基
21 レジスト
21a 開口
22 プラズマ
31、32 回路基板
41、42 樹脂シート

Claims (5)

  1. 不飽和炭素結合、カルボニル基及びアルコキシル基の中の少なくとも一つを含む有機材料からなる樹脂フィラーと、
    前記樹脂フィラーをベース樹脂中に分散した樹脂組成物からなる絶縁樹脂層と、
    前記絶縁樹脂層上に形成された無電解めっき層とを有し、
    前記絶縁樹脂層中の前記樹脂フィラーの充填密度分布が、前記絶縁樹脂層の上面方向へ向けて高密度となることを特徴とする回路基板。
  2. 前記絶縁樹脂層は、
    下層絶縁樹脂層と、
    前記下層絶縁樹脂層上に形成され、前記下層樹脂層より高密度に前記樹脂フィラーを含む上層絶縁層とを有することを特徴とする請求項1記載の回路基板。
  3. 前記絶縁樹脂層は、表面に前記樹脂フィラーが埋め込まれた表面層を有することを特徴とする請求項1記載の回路基板。
  4. 前記樹脂フィラーと前記無電界めっき層との間に、シランカップリング層が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の回路基板。
  5. 前記フィラーは、さらにシアノ基及びアリール基の中の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の回路基板。
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