JP2009302160A - 半導体装置製造方法および半導体装置 - Google Patents

半導体装置製造方法および半導体装置 Download PDF

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智雄 今瀧
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里奈 村山
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Abstract


【課題】 容易にかつ環境に影響を与えないように薄型化された半導体装置を製造することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供する。
【解決手段】 イミド環を開環してポリイミド基板1に改質層2を設け、改質層2上に金属層7を析出させる。配線層3は、析出した金属層7を厚膜化して形成し、所定のパターン形状となるようにパターン配線5を形成する。半導体素子4を搭載して樹脂封止したのち、封止樹脂6側からダイシングにより分割溝9を形成する。その後、改質層2を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層2と、金属層7またはポリイミド基板1とを剥離する。剥離後に残存する金属層7または改質層2を除去し、個片化された半導体装置を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に関する。
携帯機器の小型化、薄型化の要求に伴い、搭載部品である半導体装置の小型化および薄型化への要求がますます高まっている。半導体装置の小型化のために、プロセスの微細化による半導体素子の小型化、半導体素子を実装する配線基板の微細配線化、ワイヤボンドやフリップチップボンドの端子ピッチの微細化、アウターリードやはんだボール端子などの外部接続端子ピッチの微細化等が進められている。また、半導体装置の薄型化のためには、半導体素子の薄型化、実装された半導体素子を封止する封止樹脂厚みの薄型化、アウターリードやはんだボール端子等の外部接続端子の低背化、配線基板の薄型化等が進められている。
図15は、従来の半導体装置の構成を示す模式図である。
配線基板aは、図に示すように、半導体装置の半導体素子4から出力される電気信号をアウターリード等の外部端子14へと伝送するための、パターン配線5が形成された基板である。配線基板は、ポリイミドやガラスエポキシ等の絶縁性を有する樹脂からなる基材1の表層、内層に、銅等からなるパターン配線5を電気めっき等で形成したものである。
半導体装置は一般的に、配線基板a上に半導体素子4を搭載し、金ワイヤ8等により配線基板aのパターン配線5と半導体素子4とを電気的に接続したのち、配線基板a上の半導体素子4とワイヤ8とをエポキシ系などの封止樹脂6により封止し、配線基板aの半導体素子4搭載面とは反対側の面にてパターン5配線と外部接続端子14とを電気的に接続した構造としている。
ここで、配線基板aの薄型化のために、配線基板aのパターン配線5を除くポリイミドやガラスエポキシ樹脂等からなる基材1の薄型化も進められてはいるが、配線基板aの搬送等の作業性の問題から、現在では数十ミクロン程度までの薄型化が限界となっている。半導体装置の総厚みが300〜400μm程度のものが開発されている中では、数十ミクロンの配線基板厚みは、半導体装置薄型化の障害の1つとなっている。
また、図16は、従来の表面実装型の発光ダイオード装置の構成を示す模式図である。
銅に金めっき等を施してなるパターン配線5を形成した配線基板a上に、発光ダイオード素子4aを銀等の導電性ペースト15でダイボンディングして搭載する。このとき発光ダイオード素子4aの正電極と配線基板aの正側のパターン配線5とを接合させる。次に、金ワイヤ8等により発光ダイオード素子4aの負電極と配線基板aの負側のパターン配線5とを電気的に接続し、配線基板上の発光ダイオード素子4aと金ワイヤ8とをエポキシ系やシリコーン系の封止樹脂6により封止する(特許文献1参照)。このとき、封止樹脂6中に蛍光体を混入させて色度を調整するものや、配線基板a上に反射板を設けるものもある。
発光ダイオードは、携帯機器の液晶モニタのバックライトとして使用されており、携帯機器の薄型化、小型化にともなって、発光ダイオードパッケージの薄型化も進められている。パッケージの薄型化をはかるために、封止樹脂の厚みや配線基板の厚みを薄くする開発がすすめられている。発光ダイオードパッケージの配線基板aの配線は単層であり、配線基板aの基材1部分はなくてもよいが、パッケージの製造上、配線基板の搬送性や取扱の観点から数十ミクロンの厚みが必要とされており、パッケージ薄型化の妨げの原因の1つとなっている。
したがって、さらなる薄型化のために、基材上にパターン配線の形成、半導体素子の実装などを行ったのち、基材を除去する製造方法が開発されている。
特許文献2,3記載の製造方法は、金属の基材上にパターン配線の形成、半導体素子の実装などを行ったのち、金属基材をエッチングなどによって除去することで薄型化を実現している。また、特許文献4記載の製造方法では、基材となるシリコン基板上に剥離用樹脂層を形成し、その上にインターポーザーを形成する。半導体素子を実装したインターポーザーをダイシングによりシリコン基板を残すように個片化し、剥離用樹脂層で剥離して半導体装置を得る。
特許文献5記載の製造方法は、ポリイミド樹脂基板上に導体を形成し、半導体チップ搭載後、樹脂封止し、加熱により導体とポリイミド基板との密着性を低下させてポリイミド基板を剥離する方法が示されている。
特開2001−215899号公報 特表2002−527906号公報 特開2007−109914号公報 特開2003−347470号公報 特開2003−78076号公報
従来の製造方法では、基材を除去して薄型化するに当たり、エッチング液を用いて金属基材を除去する必要がある。また、シリコン基板を用いる場合でも剥離用樹脂層を形成するとともに、個片化後はこれを除去する必要がある。また、剥離用樹脂層は、容易に剥離できる反面、剥離させたくない場合であっても工程中に不用意に剥離してしまうおそれがある。
また従来の半導体装置の製造方法では、更なる薄型化を図るためには、基材の薄型化が挙げられる。しかし、基材の薄型化が進むと搬送性やハンドリング性が損なわれて、作業性の悪化や寸法精度が低下するという問題がある。
一方、特許文献3記載の製造方法では、金属ベースの除去を溶解により行うが、金属ベースは搬送性やハンドリング性向上のため、厚さ120μm〜150μm程度必要であり、溶解残りが発生するという問題がある。
さらに、特許文献5記載の製造方法では、半導体装置の端子部の外部電極接続側はニッケル合金となるため、外部電極との接続時にはんだ付け性が悪いという問題がある。
本発明の目的は、特性を劣化させることなく、容易にかつ環境に影響を与えないように薄型化された半導体装置を製造することができる半導体装置の製造方法および半導体装置を提供することである。
本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に金属層を析出させる工程と、
析出した金属層を厚膜化した配線層を形成する工程と、
配線層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する工程と、
改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、金属層またはポリイミド基板とを剥離する工程と、
剥離後に残存する金属層または改質層を除去し、個片化された半導体装置を得る工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に金属層を析出させる工程と、
析出した金属層を厚膜化した配線層を形成する工程と、
ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子と配線層との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する工程と、
封止樹脂に保持基板を貼り付ける工程と、
改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、金属層またはポリイミド基板とを剥離する工程と、
剥離後に残存する金属層または改質層を除去して配線層を露出させる工程と、
配線層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
保持基板を除去して個片化された半導体装置を得る工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に金属板を貼り合わせる工程と、
貼り合わせた金属板が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する工程と、
改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、パターン配線またはポリイミド基板とを剥離する工程と、
剥離後に残存する改質層を除去し、個片化された半導体装置を得る工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、金属層を析出させる工程および配線層を形成する工程では、
永久レジストを用いて予め所定の形状のマスクを改質層上に形成したのち、金属層を析出させることで、パターン配線を形成することを特徴とする。
また本発明は、金属層を析出させる工程では、
改質層に金属イオン含有溶液で処理して金属イオンを吸着させたのち、還元溶液に浸漬させて改質層上に金属層を析出させることを特徴とする。
また本発明は、前記金属層上に反射板を形成することを特徴とする。
また本発明は、上記の製造方法によって製造されることを特徴とする半導体装置である。
また本発明は、上記の製造方法によって製造される半導体装置であって、
個片化された1つの半導体装置が1または複数の半導体素子を有することを特徴とする半導体装置である。
また本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に第1の金属層を析出させる工程と、
前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程と、
前記第2の金属層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に第1の金属層を析出させる工程と、
前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程と、
前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子と第2の金属層との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
前記第2の金属層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に所定のパターン形状となるように第1の金属層を析出させる工程と、
前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程と、
前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
改質層上に第1の金属層を析出させる工程と、
前記第1の金属層上に所定のパターン形状となるように第2の金属層を形成する工程と、
前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
また本発明は、前記改質層上に析出させる第1の金属層は、複数の金属を共析させたものであることを特徴とする。
また本発明は、前記改質層上に析出させる第1の金属層は、銅およびニッケルの共析させたものであることを特徴とする。
また本発明は、前記改質層上に析出させる第1の金属層は、無電解めっきにより形成されることを特徴とする。
また本発明は、前記還元剤溶液のpHは、8.0以上とすることを特徴とする。
また本発明は、前記第1の金属層上に析出させる第2の金属層は、銅であることを特徴とする。
また本発明は、前記第1の金属層上に析出させる第2の金属層は、電解めっきにより形成されることを特徴とする。
また本発明は、永久レジストを用いて予め所定の形状のマスクを改質層上に形成したのち、金属層を析出させることで、パターン配線を形成し、
前記封止樹脂を分断する工程では、前記永久レジスト上を分断することを特徴とする。
また本発明は、金属層を析出させる工程では、
改質層に金属イオン含有溶液で処理して金属イオンを吸着させたのち、還元溶液に浸漬させて改質層上に金属層を析出させることを特徴とする。
また本発明は、前記第2の金属層上に反射板を形成することを特徴とする。
また本発明は、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程ではこれらを、機械的に剥離することを特徴とする。
また本発明は、上記の製造方法によって製造されることを特徴とする半導体装置である。
また本発明は、上記の製造方法によって製造される半導体装置であって、
個片化された1つの半導体装置が1または複数の半導体素子を有することを特徴とする半導体装置である。
本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に金属層を析出させる。配線層は、析出した金属層を厚膜化して形成する。配線層を所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成し、ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する。搭載された半導体素子とパターン配線とは電気的に接続される。搭載された半導体素子を樹脂封止し、封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する。
改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、金属層またはポリイミド基板とを剥離する。剥離後に残存する金属層または改質層を除去し、個片化された半導体装置を得る。
イミド環を開環して得られる改質層は、吸水して膨潤しやすい性質を持つ。改質層を吸水させることで改質層の体積は膨張するが、ポリイミド基板、金属層は膨張しないので、膨潤時の体積差により応力が発生し、容易にポリイミド基板を剥離することができる。
このように、基材であるポリイミド基板を剥離するにあたって、従来のようにエッチング液を用いることなく水のみで剥離させることができるので、容易にかつ環境に影響を与えない製造工程を実現することができる。また、改質層は吸水しない限りポリイミド基板および金属層と強度に密着しているので、工程中に不用意に剥離してしまうおそれもない。さらに、剥離したポリイミド基板は、再生が可能であり、繰り返し使用することによって、半導体装置製造にかかるコストを低減することができる。
また本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に金属層を析出させる。配線層は、析出した金属層を厚膜化して形成する。ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する。搭載された半導体素子と配線層とは電気的に接続される。搭載された半導体素子を樹脂封止し、封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成し、封止樹脂に保持基板を貼り付ける。
改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、金属層またはポリイミド基板とを剥離する。剥離後に残存する金属層または改質層を除去して配線層を露出させる。配線層を所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成し、保持基板を除去することで個片化された半導体装置を得る。
イミド環を開環して得られる改質層は、吸水して膨潤しやすい性質を持つ。改質層を吸水させることで改質層の体積は膨張するが、ポリイミド基板、金属層は膨張しないので、膨潤時の体積差により応力が発生し、容易にポリイミド基板を剥離することができる。
このように、基材であるポリイミド基板を剥離するにあたって、従来のようにエッチング液を用いることなく水のみで剥離させることができるので、容易にかつ環境に影響を与えない製造工程を実現することができる。また、改質層は吸水しない限りポリイミド基板および金属層と強度に密着しているので、工程中に不用意に剥離してしまうおそれもない。さらに、剥離したポリイミド基板は、再生が可能であり、繰り返し使用することによって、半導体装置製造にかかるコストを低減することができる。
また本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に金属板を貼り合わせる。配線層は、貼り合わせた金属板を所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成し、ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する。搭載された半導体素子とパターン配線とは電気的に接続される。搭載された半導体素子を樹脂封止し、封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する。
改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、パターン配線またはポリイミド基板とを剥離する。剥離後に残存する改質層を除去し、個片化された半導体装置を得る。
イミド環を開環して得られる改質層は、吸水して膨潤しやすい性質を持つ。改質層を吸水させることで改質層の体積は膨張するが、ポリイミド基板、パターン配線は膨張しないので、膨潤時の体積差により応力が発生し、容易にポリイミド基板を剥離するこいとができる。
このように、基材であるポリイミド基板を剥離するにあたって、従来のようにエッチング液を用いることなく水のみで剥離させることができるので、容易にかつ環境に影響を与えない製造工程を実現することができる。また、改質層は吸水しない限りポリイミド基板およびパターン配線と強度に密着しているので、工程中に不用意に剥離してしまうおそれもない。さらに、剥離したポリイミド基板は、再生が可能であり、繰り返し使用することによって、半導体装置製造にかかるコストを低減することができる。
また本発明によれば、金属層を析出させる工程および配線層を形成する工程では、永久レジストを用いて予め所定の形状のマスクを改質層上に形成したのち、金属層を析出させることで、パターン配線を形成する。
これにより、金属層を析出すると同時にパターン配線を形成することができる。
また本発明によれば、金属層を析出させる工程では、改質層に金属イオン含有溶液で処理して金属イオンを吸着させたのち、還元溶液に浸漬させて改質層上に金属層を析出させる。
これにより、改質層上に容易に金属層を形成することができる。
また本発明によれば、前記金属層上に反射板を形成することで、半導体素子として発光素子を用いた場合に、光の取り出し効率を向上させることができる。
また本発明によれば、上記の製造方法によって製造されることで、より薄型化された半導体装置が得られる。
また本発明によれば、上記の製造方法によって製造されることで、より薄型化された複多機能な半導体装置が得られる。
また本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に第1の金属層を析出させる。前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、第2の金属層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する。ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載し、半導体素子とパターン配線とを電気的に接続する。搭載された半導体素子を樹脂封止し、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離して、封止樹脂を分断する。
前記第1の金属層と前記第2の金属層との密着強度を低下させることで剥離を容易にする。
このように、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離することで、容易にポリイミド基板を除去することができるので、薄型化された半導体装置を製造することができる。
また本発明によれば、上記の製造方法によって製造されることで、より薄型化された複多機能な半導体装置が得られる。
また本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に第1の金属層を析出させる。前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する。搭載された半導体素子と第2の金属層とを電気的に接続し、搭載された半導体素子を樹脂封止する。前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離し、第2の金属層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成して封止樹脂を分断する。
前記第1の金属層と前記第2の金属層との密着強度を低下させることで剥離を容易にする。
このように、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離することで、容易にポリイミド基板を除去することができるので、薄型化された半導体装置を製造することができる。
また本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に所定のパターン形状となるように第1の金属層を析出させる。前記第1の金属層上に第2の金属層を形成し、ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載し、半導体素子とパターン配線とを電気的に接続する。搭載された半導体素子を樹脂封止し、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離して、封止樹脂を分断する。
前記第1の金属層と前記第2の金属層との密着強度を低下させることで剥離を容易にする。
このように、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離することで、容易にポリイミド基板を除去することができるので、薄型化された半導体装置を製造することができる
また本発明によれば、イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設け、改質層上に第1の金属層を析出させる。前記第1の金属層上に所定のパターン形状となるように第2の金属層を形成する。ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載し、半導体素子とパターン配線とを電気的に接続する。搭載された半導体素子を樹脂封止し、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離して、封止樹脂を分断する。
前記第1の金属層と前記第2の金属層との密着強度を低下させることで剥離を容易にする。
このように、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離することで、容易にポリイミド基板を除去することができるので、薄型化された半導体装置を製造することができる
また本発明によれば、前記改質層上に析出させる第1の金属層は、複数の金属を共析させたものであり、銅およびニッケルの共析させたものである。
これにより、容易に記第1の金属層と前記第2の金属層との密着強度を低下させることができる。
また本発明によれば、前記改質層上に析出させる第1の金属層は、無電解めっきにより形成することができる。
また本発明によれば、還元剤溶液のpHを、8.0以上とすることで、容易に記第1の金属層と前記第2の金属層との密着強度を低下させることができる。
また本発明によれば、第2の金属層として、銅を用いることができる。
また本発明によれば、前記第1の金属層上に析出させる第2の金属層は、電解めっきにより形成することができる。
また本発明によれば、永久レジストを用いて予め所定の形状のマスクを改質層上に形成したのち、金属層を析出させることで、パターン配線を形成し、前記封止樹脂を分断する工程では、前記永久レジスト上を分断する。
これにより、容易に分断することができる。
また本発明によれば、金属層を析出させる工程では、改質層に金属イオン含有溶液で処理して金属イオンを吸着させたのち、還元溶液に浸漬させて改質層上に金属層を析出させる。
これにより、改質層上に容易に金属層を形成することができる。
また本発明によれば、前記第2の金属層上に反射板を形成することで、半導体素子として発光素子を用いた場合に、光の取り出し効率を向上させることができる。
また本発明によれば、前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程ではこれらを、機械的に容易に剥離することができる。
また本発明によれば、上記の製造方法によって製造されることで、より薄型化された半導体装置が得られる。
また本発明によれば、上記の製造方法によって製造されることで、より薄型化された複多機能な半導体装置が得られる。
図1は、本発明の実施の一形態である半導体装置の製造方法を示す工程図である。
本発明の製造方法は、ポリイミド基板1の表面を強アルカリ溶液で処理し、イミド環を開環した改質層2を設ける改質工程(a)と、改質層2に金属イオン含有溶液で処理する金属イオン吸着工程(b)と、金属イオンを吸着したポリイミド基板1を還元溶液に浸漬させて改質層2上に金属層7を析出させる還元工程(b)と、改質層2をアルカリ金属溶液に浸漬して、改質層にアルカリ金属イオンを吸着する工程(c)と、析出した金属層7上に電解または無電解めっき液による処理にて金属を厚膜化した配線層3を形成する配線層形成工程(c)と、配線層3をフォトリソ法などにより、エッチング液などで処理してパターン配線5を形成するパターン形成工程(d)と、ポリイミド基板1上に接着剤にて半導体素子4を搭載する搭載工程(e)と、ポリイミド基板1のパターン配線5と半導体素子4との電気的接続を行う接続工程(e)と、ポリイミド基板1上を封止樹脂6によって樹脂封止する封止工程(f)と、封止樹脂6側から改質層2の上部まで、または改質層2の下部まで、ダイシングにより分割溝9を、形成させるダイシング工程と、ポリイミド基板1に吸水させることにより改質層2を膨潤させる膨潤工程(g)と、膨潤した改質層2と、改質層2上に形成された金属層7またはポリイミド基板1とを剥離する剥離工程(g)と、剥離後に残存する金属層7または改質層2を除去し、パターン配線5を露出させて、半導体装置ごとに分断され、個片化された半導体装置を得る分断工程(h)とからなる。
なお、本実施形態では、半導体素子として発光ダイオード素子を搭載した半導体装置を例にした製造方法を説明する。
ポリイミド樹脂基板1を構成するポリイミド樹脂は、PMDA(ピロメリット酸二無水物)とODA(芳香族ジアミン)を反応させることで得られる。得られたポリイミド樹脂の構造を下記構造式(1)に示す。
ポリイミド樹脂を強アルカリ溶液、例えばKOH(水酸化カリウム)溶液により改質すると、ポリイミドの分子構造は、下記構造式(2)に示すように変化する。
具体的には、加水分解によってイミド環が開環し、強アルカリ溶液中のアルカリ金属イオンと結合する。この改質されたポリイミド樹脂は、たとえば、KOHを用いて加水分解を行った場合は、構造式(2)に示すようにカルボキシル基にKが結合した構造となる。
改質工程では、ポリイミド基板1の表面を強アルカリ溶液で処理し、深さ5μm程度まで改質して、改質層2を形成させる。改質工程以降では、強アルカリ溶液で改質された部分を改質層2とし、改質されなかった部分を改めてポリイミド基板1とする。
改質工程に用いられるアルカリ溶液の濃度は、一般的に0.1〜5mol/Lであり、溶液温度は20〜70℃、処理時間は1〜10分間である。
ポリイミド基板を水洗処理した後、金属イオン吸着工程で改質層2への金属イオン吸着を行う。改質工程においてカルボキシル基に結びついたKイオンと金属イオンとの交換を行う。イオン交換に用いる溶液は、金属塩の水溶液であり、濃度は0.01〜0.1mol/Lで、処理温度は20〜30℃、処理時間は5分間以上である。ここで用いる溶液としては、例えば析出させる金属が銅の場合は、硫酸銅水溶液を用いることができる。また、異なる金属塩の水溶液を組み合わせてもよい。
ポリイミド基板を水洗処理した後、還元工程で吸着された金属イオンを還元溶液に浸漬し還元し、析出させて金属イオンによる金属層7を得る。本還元工程に使用される還元溶液は、一般的な無電解めっきで使用される還元剤で、例えば、水素化ホウ素ナトリウムやジメチルアミンボラン等のホウ素化合物の水溶液や、次亜リン酸ナトリウムなどが使用可能である。還元時の温度は、使用する還元剤によって異なるが、一般的に20〜50℃が好ましい。還元剤の濃度は、使用する還元剤の種類によって異なるが、水素化ホウ素ナトリウムの場合は、0.0005mol/L〜0.01mol/Lである。
交換工程では、ポリイミド樹脂基板を、KOHやNaOH等の強アルカリ溶液に浸漬することにより、改質層2中に残存する金属イオンをアルカリイオンと交換する。本工程に用いられるアルカリ溶液の濃度は、一般的に0.1〜5mol/Lであり、溶液温度は20〜70℃、処理時間は1〜10分間である。
このとき、析出させた金属層7表面が酸化した場合には、希酸溶液、例えば濃度0.2mol/L、温度25℃のクエン酸溶液に浸漬して、表面の酸化金属膜を除去する。
ポリイミド基板を水洗処理した後、配線層形成工程で、析出した金属層7上に従来からの電解および無電解めっきにより、金属めっきして厚膜化し、配線層3を形成する。
めっきによる金属厚膜化の終わったポリイミド基板を水洗処理した後、ポリイミド基板を乾燥させることが好ましい。乾燥方式としては、熱風の吹き付け、オーブンやヒーターによる直接加熱、赤外線照射など既存の方式を用いることができ、熱風やオーブンによる加熱が好ましい。乾燥条件は、温度が80〜140℃、時間は30〜60分間程度である。析出して得られた配線層3の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気中で加熱処理することが望ましい。
真空雰囲気中で乾燥を行う場合には、特に加熱の必要はなく、常温で実施してもよい。
パターン形成工程では、配線層3上にレジストによるエッチングマスクを形成し、配線層3を従来からのエッチング液で処理して所望のパターン形状とし、レジストを剥離してパターン配線5を得る。
形成されたパターン配線5上には、発光ダイオード素子から照射される光の反射率を高めるために、ニッケルおよび銀めっきを施してもよい。
搭載工程では、熱硬化性の接着剤等でパターン配線5の所定の実装位置上に発光ダイオード素子4を搭載、すなわちダイボンドする。
このとき、発光ダイオード素子4とパターン配線の負極側のパターンとは、導電性の接着剤などで接着してもよい。
また、このときの基板上への発光ダイオード素子4搭載の位置参照用に、あらかじめポリイミド基板1の一部にスリットや貫通孔を設けておいてもよい。
接続工程では、搭載された発光ダイオード素子4とパターン配線5とを電気的に接続するために、発光ダイオード素子4の端子とパターン配線5との間を、例えばボンディングワイヤ8で接続する。
このとき、発光ダイオード素子4とパターン配線5の負極側とが導電性接着剤で接続されている場合は、ボンディングワイヤ8は発光ダイオード素子4の正極側とパターン配線5の正極側とを接続すればよい。
封止工程では、ポリイミド基板1の発光ダイオード素子4搭載面上、すなわち、パターン配線5上を、例えば熱硬化性の封止樹脂6にて封止する。このとき、使用する封止樹脂6は、その後の工程で使用される金属層7を除去するためのエッチング液および剥離後にパターン形成する場合のエッチング液に対して耐性を有するものを使用する。
このとき、封止樹脂6中に、出射する光の色度を調整するための蛍光体を混入させてもよい。
ダイシング工程では、各半導体素子4毎に分断するための界面(分割溝)9を、封止樹脂側から改質層2の上部まで、または改質層2の下部まで、ダイシングにより形成させる。ダイシング工程によって、封止樹脂6は分割溝9によって個別の樹脂領域に分けられる。なお、分断後に得られる1個の半導体装置当たりに1つの半導体素子4が搭載されていてもよいし、複数の半導体素子4が搭載されていてもよく、製造する製品形態によって種々選択して分断することができる。
膨潤工程では、改質層2に吸水させて膨潤させる。吸水は、基板全体を純水または弱アルカリ性溶液に浸漬させて行う。必要な浸漬時間は、改質層2の厚みや、ダイシングした樹脂領域のサイズによって変化するが、例えば改質層2の厚みが3μmで、ダイシングされた樹脂領域サイズが10mm角〜30mm角の場合には、10〜30分間である。
剥離工程では、改質層2と金属層7との間を剥離させる。吸水して膨潤した改質層2は、改質層2と金属層7との界面、もしくは、改質層2とポリイミド基板1との界面で容易に剥離する。
分断工程では、ポリイミド基板1剥離後に残存する金属層7、または改質層2の除去を行い、パターン配線5を露出させる。これによって、半導体装置ごとに分断され、個片化された半導体装置が得られる。
改質層2の除去は吸水を利用するため水洗洗浄で行い、金属層7の除去は、構成する金属に対するエッチング溶液に浸漬させて行う。
以下では、改質層2の膨潤状態および剥離機構について詳しく説明する。
前述のように、改質されたポリイミド分子は、構造式(2)に示すように変化する。改質層2のKは強く水和し、水分子(HO)を引き寄せる性質がある。このため、水分子を含む溶液中に改質層2を浸漬させると、改質層2が吸水し、吸水したことによる体積膨張(膨潤)が起こる。一方金属層7は、吸水しないので膨潤は起こらず、これにより改質層2と金属層7との間に膨張差による応力が発生し、改質層2と金属層7との界面で剥離が発生する、もしくは、外部からの弱い荷重によって容易に剥離することができる。
また、改質処理がされていないポリイミド分子は改質された分子と比較するとほとんど吸水しないため、吸水する改質層2と、吸水しないポリイミド基板1との界面でも、上記と同様に、体積膨張差による応力が発生し、剥離が発生する、もしくは弱い荷重によって剥離することができる。改質されていないポリイミド基板1の吸水率は1%程度であるが、改質層2の吸水率は10%程度である。
また、還元工程では、直接めっき法により、改質層2に含まれるKと、金属イオン、例えばCu(銅)イオンとを交換させ、Cuを析出させて改質層2上に金属層7を形成する。
改質層2を、例えば硫酸銅溶液(CuSO)に浸漬させて、KイオンとCu2+イオンとをイオン交換して改質層2に吸着させると、改質されたポリイミドの分子構造は、下記構造式(3)に示すように変化する。
このような構造状態では、カルボキシル基に結びついているCu2+イオンは水和しにくいため、イオン交換後のCu2+イオンを吸着した改質層は吸水しにくく、膨潤による改質層2の剥離は発生しない。
Cu2+イオンが吸着された改質層2を還元処理し、銅が析出して形成された金属層7を得た後でも、改質層2にはまだCu2+イオンが残存しているため、このままでは改質層2は膨潤しにくい状態となっている。
そこで、還元工程でCu2+イオンを吸着した改質層2に還元処理を行って金属7層を得たのち、交換工程では、改質層2を強アルカリ溶液、例えばKOH(水酸化カリウム)溶液に浸漬し、残存するCu2+イオンをKイオンと交換する。Kイオンが吸着された改質層2は、構造式(2)の分子構造に戻り、吸水率が高く膨潤させることができるようになる。
例えば上記の改質層2の厚みが5μmで金属層7の厚みが数十nmの場合、1時間の吸水によって、改質層2は十分に膨潤するが、金属層7には膨潤は確認されず、改質層2を金属層7から容易に剥離することができた。
また、改質層2は、約300℃以上の熱処理を施さない限り、構造式(1)の分子構造に戻ることがないので、改質層2は安定して存在することができる。
改質層2と改質層2上に形成された金属層7との密着強度は、通常0.5〜1.0N/mmであり、その強度に値する剥離荷重をかけなければ剥離せず、通常の半導体装置製造工程では剥離は発生しない。
よって、改質層2は、約300℃以上の熱処理をしてポリイミド分子に戻さない状態であれば、吸水をさせない限り、改質層2上に形成した金属層7およびポリイミド基板1とは容易に剥離することがなく、吸水をさせた場合にのみ、容易に剥離することができる、という性質を有する。
このように基材であるポリイミド基板1を剥離するにあたって、従来のようにエッチング液を用いることなく水のみで剥離させることができるので、容易にかつ環境に影響を与えない製造工程を実現することができる。
また、剥離したポリイミド基板1は、再生が可能であり、繰り返し使用することによって、半導体装置製造にかかるコストを低減することができる。
1回の製造当たりの改質層2の好適な厚みは、1〜5μmであり、ポリイミド基板1の厚さは、12.5〜125μmであるので、ポリイミド基板1は、数回から数十回繰り返し使用することができる。
本発明の他の実施形態として、配線層形成工程において、改質層2上への配線層3の形成方法は、上記のように直接めっき法にて金属層7析出後、電解および無電解めっきにて金属層7の厚膜化を行う方法以外に、改質層2上に銅などの金属板を接着材で貼り付けて形成してもよい。
本発明の他の実施形態として、パターン形成工程では、ポリイミド基板1上に金属、例えば銅を析出し、電解または無電解めっきにて厚膜化した後、または改質層上に銅板を貼付けた後、エッチング処理によりパターン配線5を形成するが、このエッチング処理によるパターン配線5の形成は、封止工程および剥離工程の後に行ってもよい。パターン配線5の形成のためにエッチング溶液に浸漬することによって改質層2が吸水してしまう可能性があるため、パターン形成工程は、ポリイミド基板1の剥離工程よりも後工程にすることが望ましい。
パターン形成工程をポリイミド基板1の剥離工程よりも後工程にする場合、配線層形成工程において全面に配線層3を形成した状態で所定の搭載位置に半導体素子4を実装するとともに、ワイヤボンディングなどにより半導体素子4と配線層3の所定位置とを電気的に接続する。樹脂封止した状態でポリイミド基板1を剥離したのち、半導体素子4の搭載面とは反対側の面からエッチングによってパターン配線5を形成する。
ダイシング工程は、ポリイミド基板1上を樹脂封止した後、ポリイミド基板1および改質層2を吸水させる前に、封止樹脂6の表面側から、改質層2の上部まで、または改質層2の下部まで、ダイシングにより界面(ダイシング溝)を形成させておくことが望ましいが、剥離工程後にダイシングするようにしてもよい。
改質されていないポリイミド基板1の吸水率は低いため、ポリイミド基板1面から改質層2への水分吸収速度は遅く、剥離工程後にダイシングする場合は、ポリイミド基板1への水分の浸入経路が、ポリイミド基板1とパターン配線5との間の改質層のポリイミド基板側面部のみからとなり、ポリイミド基板1全体の改質層2に吸水させるには長時間を要する。直接水とふれる改質層2の面積を増やして水分の浸入経路を多くするために、剥離工程よりも先にダイシングをするほうが好ましい。
本発明の半導体装置の製造方法について実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、半導体素子4として発光ダイオード素子を搭載した半導体装置を製造した。
図2は、実施例1の製造方法を示す工程図である。
厚みが125μmの汎用のポリイミドフィルムを幅10cm×長さ20cmの短冊状の形状にしたものをポリイミド基板1とした。まず、改質処理を行わない片方の面にはレジストを塗布した上で、30℃の1mol/LのKOH溶液に3分間浸漬し、ポリイミド基板の片側の表面のみに対して改質処理を行った。その後、レジストを除去した(以上図2(a)参照)。
次に、25℃の0.05mol/Lの硫酸銅水溶液に、ポリイミド基板を10分間浸漬した後、2リットル/分の流水で5分間洗浄した。
次に、25℃の0.001mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液に30分間浸漬した後、2リットル/分の流水で30分間洗浄し、銅を析出させて金属層7を形成した(以上図2(b)参照)。
次に、0℃の1mol/LのKOH溶液に3分間浸漬し、改質層中に残存するCu2+イオンをKイオンに交換した。
次に、25℃の0.2mol/Lのクエン酸溶液に1分間浸漬し、金属層7の表面の酸化銅を除去した。
次に、析出した銅の金属層7上に従来からの電解および無電解めっきにより、銅をめっきして厚膜化し、厚み18μmの配線層3を形成した後、2リットル/分の流水で5分間洗浄した。
その後、配線層3上に、従来からの電解および無電解めっきにより、厚み2μmのニッケル層、厚み0.3μmの金層を形成し、2リットル/分の流水で5分間洗浄した(以上図2(c)参照)。
配線層3を形成した基板の乾燥は、10hPaの真空雰囲気中で、温度25℃、時間は180分間にて行った。
次に、従来からのエッチング方法により、配線層3からパターン配線5を得た(以上図2(d)参照)。
次に、窒化ガリウムからなる青色発光ダイオード素子4を熱硬化性の導電性接着剤でパターン配線5上に搭載し、接着剤を硬化させた。発光ダイオード素子4を搭載するピッチは、半導体装置の大きさとほぼ等しいピッチ、ここでは、XY方向とも5.0mmピッチとした。
次に、ワイヤボンディングによって、発光ダイオード素子4の端子とパターン配線5とを金ワイヤ8で電気的に接続した。
次に、発光ダイオード素子4上に蛍光体を含む封止樹脂11を塗布した(以上図2(e)参照)。
次に、基板のダイオード素子4搭載面側を、エポキシ系の透明封止樹脂6にて封止成型し、熱硬化させた(以上図2(f)参照)。
次に、封止樹脂6を、発光ダイオード素子4を含む個別の樹脂領域に分断するため、樹脂封止した面側から改質層2の上部または改質層2の下部まで、ダイシングにより界面(分割溝)9を形成した(以上図2(g)参照)。
次に、封止樹脂6の上部に保持基板10を、熱可塑性の接着剤により接着させて、封止樹脂を保持した(以上図2(h)参照)。
次に、保持基板10ごと基板を、純水に浸漬させて改質層2に吸水させた。浸漬時間は20分間とした。
その後、純水から取り出し、保持基板10に固定された状態で、金属層7と改質層2との間で剥離させた。
ポリイミド基板1を除去した面には、金属層7と改質層2とが残存しているので、改質層2を2リットル/分の流水で2分間洗浄し、金属層7は従来からの銅のエッチング液による除去を行った(以上図2(i)参照)。
次に、封止樹脂6に接着させていた保持基板10を加熱して、保持基板10と封止樹脂6とを剥離させ、個片化した半導体装置として発光ダイオード装置を得た(以上図2(j)参照)。
上記によって、基材を有しない薄型の発光ダイオード装置を、1枚のポリイミド配線基板当りの取り数を多くして、得ることができた。
(実施例2)
本実施例では、改質層2上への配線層形成を、銅の金属層7析出とめっきによる厚膜化によるものではなく、改質層2上に、厚み18ミクロン9.5×19.5cmの銅板を熱硬化性のエポキシ系接着材によって貼り付ける方法で行ったものであり、配線層形成工程以外は、実施例1と同様であるため、他の工程についての説明は省略する。
(実施例3)
図3は、実施例3の製造方法を示す工程図である。
本実施例では、改質工程(a)ののち、金属イオン吸着工程(c)および還元工程(c)よりも前に、レジスト形成工程(b)で、予めパターン配線を形成したくない領域に永久レジスト16を設けておいてから金属層7を析出させるものである。永久レジストとは、金属析出の際のマスクレジストとして機能するとともに、それ以降は剥離せずにそのままソルダーレジストとして使用するものである。
エポキシ系のレジストを永久レジスト16として設けることで、配線層形成工程(d)で金属層7上に配線層3を形成すると同時にパターン配線5が形成されることになる。
最終的に製造される半導体装置は、パターン配線5間に永久レジスト16が埋まった状態で得られる。
搭載工程以降の工程は実施例1と同様であるため、他の工程についての説明は省略する。
(実施例4)
図4は、実施例4の製造方法を示す工程図である。
本実施例では、改質工程(a)、金属イオン吸着工程(b)および還元工程(b)、配線層形成工程(c)ののち、パターン形成工程(d)において、パターン配線5を形成するとともに、搭載工程よりも前に発光ダイオード素子4の位置の周囲に、反射板13を形成するものである。反射板とは、発光ダイオード素子4から出射される光を反射させて装置の外部に拡散させるためのものであり、銅などの金属板かエポキシ系などの樹脂版に銀メッキしたものを、各半導体装置の個片化後の装置の外周にあたる位置にエポキシ系の接着剤でポリイミド基板もしくはパターン配線上に接着する。
搭載工程以降の工程は実施例1と同様であるため、他の工程についての説明は省略するが、ダイシング工程では、封止樹脂6と反射板13とを同時にダイシングして分割溝を形成する。
最終的に製造される半導体装置は、端面に反射板13が設けられた状態で得られる。
(実施例5)
図5は、実施例5の半導体装置を示す模式図である。
本実施例では、1つの発光ダイオード装置に複数の発光ダイオード素子4を有するものである。複数の発光ダイオード素子4が必要な場合、例えば携帯電話装置のバックライト光源などに使用する場合、または、発光ダイオード素子4を面状あるいは線状に配置した照明装置等に使用する場合、本実施例のような構成は好適に使用される。携帯電話装置のバックライト光源として使用する場合には、3〜4個を等間隔に線状に配置し、照明装置に使用する場合は、4〜9個を面状に2個×2個もしくは3個×3個のマトリクス状に配置する。
1つの半導体装置に1または複数の発光ダイオード素子を有することにより、複数の発光ダイオード装置間を電気的に接続する配線のために必要であった実装基板を設ける必要がなくなる。
ダイシングを行う際に、封止樹脂6を所望のサイズに分断することにより、複数の発光ダイオード素子を有する発光ダイオード装置を得ることができる。製造工程としては、上記の実施例1と同様に製造することができる。
次に本発明の他の実施形態について説明する。
本実施形態では、前述の実施形態と類似の製造工程であるが、たとえば、改質層上に金属層を2層設ける点などが異なっている。前述の実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略化している。
本実施形態の半導体装置の製造方法は、詳しくは、
(a)アルカリ性溶液によりポリイミド樹脂表面を処理してイミド環を開環し、改質層を形成する工程;
(b)金属イオン含有溶液により該改質層を処理して、改質層に該金属イオンを吸着させる工程;
(c)還元剤溶液により前記改質層を処理して、前記金属イオンを還元した第1の金属層を形成する工程;
(d)前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程;
(e)第2の金属層を配線層として、フォトリソ法などにより、エッチング液などで処理してパターン配線を形成する工程;
(f)パターン配線上に1または複数の半導体素子を搭載してパターン配線と電気的に接続する工程;
(g)ポリイミド基板を樹脂により封止する工程;
(h)ポリイミド基板上の第1の金属層と第2の金属層とを剥離する工程;
(i)封止樹脂を分断する工程;
を含むことを特徴とする。
図6は、本発明の実施の他の形態である半導体装置の製造方法を示す工程図である。
(1)改質工程
本実施形態におけるポリイミド基板上への金属の析出方法において、直接めっき法を用いるに際し、金属薄膜製造のためにポリイミド樹脂表面を開環処理する必要がある。
ポリイミド基板21をアルカリ性溶液に浸漬することで、表面に改質層22を形成し、水洗する(図6(a)、(b))。この工程により、ポリイミド樹脂表面におけるポリイミド分子のイミド環が加水分解によって開環し、カルボキシル基が生成すると同時に、カルボキシル基の水素イオンがアルカリ性溶液中の金属イオンと置換され、改質層22が形成される。
改質工程については、前述の実施形態における改質工程と同様であるので、詳細な説明は省略する。
改質工程に用いられるアルカリ性溶液はポリイミドのイミド環を開環できる限り特に制限されるものではなく、例えば、K、Na等のアルカリ金属の水酸化物を含有する水溶液、Mg、Ca等のアルカリ土類金属の水酸化物を含有する水溶液等が使用可能である。アルカリ性溶液に含有され、本工程で水素イオンと置換する金属イオンを以下、金属イオンAと呼ぶものとする。
改質工程に用いられるアルカリ性溶液は通常は、濃度が0.1〜10M(mol/l)、溶液温度が20〜70℃であり、処理時間は1分〜2時間である。好ましくは、溶液温度は30〜50℃、処理時間は3〜7分間である。処理温度が高すぎるとポリイミドの主鎖が切れる可能性があり、処理時間が長すぎると改質層の厚さが厚くなりポリイミド樹脂全体の強度低下のため、プロセス継続が困難になる可能性がある。
改質層22の厚さはその後の工程で得られる第1の金属層の厚さと相関がある。さらに後の工程で第2の金属層を形成するのに必要な金属の厚さを得る観点からは、改質層22の厚さは1〜5μmが好ましい。
水洗は、ポリイミド樹脂表面に付着したアルカリ性溶液を除去するために行う。従って、流水による水洗が望ましい。通常は、1〜5L/minの水量で、5分間以上の水洗を行う。
(2)金属イオン吸着工程
金属イオン吸着工程では、金属イオン含有溶液により改質層22を処理して、金属イオン含有溶液に含有される金属イオンを改質層に吸着させる。
詳しくは、改質層22を有するポリイミド基板21を、金属イオン含有溶液に浸漬して、改質層22中の金属イオンAを、金属イオン含有溶液中の金属イオンと置換させ、水洗する。
金属イオン含有溶液中に含まれる金属イオンは、後述の工程で還元されて第1の金属層として析出するものである。用いることができる金属イオンの種類としては、ポリイミド基板の種類によって決定され、例えば、Niイオン、Cuイオン、およびそれらの組み合わせを用いることが好ましい。そのような金属イオンを含有する溶液として、具体的には、例えば、NiSO水溶液、CuSO水溶液、NiCl水溶液、およびそれらの混合液などが使用可能である。
金属イオン含有溶液に含有され、金属イオン吸着工程で金属イオンAと置換する金属イオンを以下、金属イオンBと呼ぶものとする。
金属イオン吸着工程に用いられる金属イオン含有溶液は通常は、濃度が0.01〜0.1M(mol/l)であり、処理温度が20〜30℃であり、処理時間は5分間以上である。特に、金属イオン吸着工程での処理時間は、改質工程における改質処理の条件により適宜設定される。例えば、ポリイミド改質層の厚さが約3μmの場合、少なくとも3分間吸着処理を行えば十分である。
水洗は、ポリイミド樹脂表面に付着した金属イオン含有溶液を除去するために行う。水洗は通常、1〜5L/minの水量で、5分間以上の条件で行う。
(3)還元工程
還元工程では、還元溶液により改質層22を処理して、改質層22に吸着した金属イオンを還元させる(図6(c))。これにより、改質層22上に金属粒子が析出し、第1の金属層27が形成される。
還元溶液は、金属イオンBとの接触によって金属イオンBを還元できる液体であれば特に制限されず、一般的な無電解めっきで使用される還元剤の水溶液が使用可能である。具体的には、例えば、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等のホウ素化合物の水溶液や、次亜リン酸ナトリウムの水溶液などが使用可能である。
これらの還元溶液の中でも、比較的、還元速度の速い水素化ホウ素ナトリウムを用いるのがもっとも望ましい。金属粒子の析出に伴うポリイミド基板21に生じる応力は微細な金属粒子であった方が周囲に均一に分散され、そのような微細な金属粒子の析出には、還元速度が比較的速い還元溶液が好適なためである。そのような還元溶液は核成長反応よりも核生成反応が優勢となる傾向が強い。
例えば、水素化ホウ素ナトリウムを単独で使用する場合、溶液温度は5℃〜30℃、特に10〜30℃が好適である。還元剤溶液の濃度は0.0002〜0.1mol/Lが好適である。ここで、量産時における還元溶液の安定性向上のため、還元溶液の濃度を0.01〜0.1mol/Lとする場合がある。この場合には、処理時間は0.5〜30分間、特に5〜20分間が好適である。
また例えば、ジメチルアミンボランを単独で使用する場合、溶液温度は30〜70℃、特に40〜60℃が好適である。還元剤溶液の濃度は0.05〜5mol/L、望ましくは0.5〜1mol/Lが好適である。処理時間は1〜30分間、特に5〜15分間が好適である。
溶液温度が低すぎると、還元反応において金属の核生成反応よりも核成長反応が優勢となり、金属薄膜の被覆率が大きくなり過ぎる。温度が高すぎると、改質層22が剥がれてしまう原因となりやすい。
還元溶液は、還元剤を1つの種類だけでなく、複数種類を混合して使用しても良い。 例えば、水素化ホウ素ナトリウムをジメチルアミンボランなど他の還元剤と混合して用いても構わない。
還元剤溶液には、必要に応じてpH調整剤や錯化剤等の添加剤を添加しても良い。そのような添加剤としては、従来より一般的な無電解めっきで使用される還元溶液に添加され得る添加剤が使用可能である。なお、還元剤溶液のpHは8.0以上、望ましくは8.5〜9.6が好適である。
還元工程で析出する第1の金属層27の厚みは、特に制限されるものではなく、通常は60〜300nm、特に100〜150nmである。
金属イオンが還元されるのに伴い、金属イオンが吸着されていた改質層22の分子構造はポリアミック酸塩から金属イオンが引き離されて、ポリアミック酸になる。
還元処理後は通常、ポリイミド樹脂表面に付着した還元溶液を除去するために水洗を行う。水洗は、0〜5L/minの水量で、5分間以上の条件で行う。
(4)第2の金属層形成工程
第2の金属層形成工程では、第1の金属層27を有するポリイミド基板に対して、所望により電解/無電解めっき等により第1の金属層27上に第2の金属層23を形成する(図6(d))。
第2の金属層形成工程に用いられる金属形成方法としては、特に限定されることなく、一般的な様々な方法を用いることができる。例えば、第2の金属層23として電解めっきにより銅層を形成する場合には、陰極をポリイミド基板21とし、陽極を溶解性アノードとする。ここでは、0.03〜0.05%の燐を含む含燐銅アノードを使用する。これによって、銅めっきを行う際のスライムの生成を抑制することができる。めっき液としては、例えば硫酸銅を含む液を用いる。この硫酸銅を用いためっき液は、液管理が簡便であるという利点がある。また、めっき速度を高くするために、めっき液の濃度を高くして電流密度を上げることにより、めっき膜の析出量を増加させて、生産効率を上げることができる。
めっき液は、電解反応において発生した水素がポリイミド基板21の表面に付着するのを防ぐためおよびめっき効率を上げるために攪拌され、噴流循環している。なお、通常めっき電流密度は、1〜50A/dm2程度である。
(5)乾燥工程
次に、水洗が終了したポリイミド基板を乾燥させる。乾燥条件は特に制限されず、通常は温度が80〜140℃、望ましくは100〜120℃、時間は30〜60分間である。得られた金属層の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気で加熱処理することが望ましい。真空雰囲気で乾燥を行う場合は、特に加熱の必要はなく常温で実施しても良い。その場合は乾燥時間を120分間以上とする等、時間を長くすることが望ましい。
(6)レジストパターニング工程
次に、図6(e)に示すように、乾燥させたポリイミド基板1上に、例えば、印刷によりレジストパターン31を形成し、第2の金属23を選択的に露出させる。ここで、露出する部分が後のパターン配線領域となる。レジストパターニング工程に用いられるレジスト材料としては、特に限定されることなく、市販されている様々な材料を用いることができる。例えば、エポキシ系のレジストが使用される。
ここで、レジストとしては、永久レジストを使用することが好ましい。なお、レジストパターンの形成方法としては、以下に説明する方法で行うことも可能である。例えば、フォトリソグラフィ法によって、ポリイミド基板上にレジストパターンを形成する。レジストパターニング工程に用いられるレジスト材料としては、特に限定されることなく、市販されている様々な材料を用いることができる。例えば、ノボラック樹脂を主成分とし、感光剤、乳酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどの溶剤を含有する液状ポジレジストを使用することができる。そのような液状ポジレジストは例えば、市販のOFPR(東京応化製)として入手可能である。また、レジストフィルムを貼り付けることによりレジスト形成してもよい。
例えば、日立化成製PhotecRY−3325SGを用いる場合には、市販のフィルムラミネータを用いて110℃で加熱しながら、0.4MPa程度の圧力でポリイミド基板上に貼り付けを行う。レジスト形成後露光し、それぞれのレジスト材料に対応する溶液を用いて現像を行う。
(7)配線層形成工程
配線層形成工程では、第2の金属23上にさらに金属からなる配線層25を形成する(図6(f))。配線層形成工程に用いられる金属形成方法としては、特に限定されることなく、一般的な電解/無電解めっきにより、銀、ニッケル、金、銅等の金属を1層もしくは複数層形成する。
(8)乾燥工程
次に、ポリイミド基板21を乾燥させる。乾燥条件は特に制限されず、通常は温度が80〜140℃、望ましくは100〜120℃、時間は30〜60分間である。得られた金属薄膜の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気で加熱処理することが望ましい。真空雰囲気で乾燥を行う場合は、特に加熱の必要はなく常温で実施しても良い。その場合は乾燥時間を120分以上とする等、時間を長くすることが望ましい。
(9)半導体素子搭載、電気的接続工程
次に、熱硬化性の接着剤等で配線層25上に半導体素子24を搭載、すなわちダイボンドする。このとき、半導体素子24と配線層25の負極側同士は導電性の接着剤で接着してもよい。
また、このときの配線層25上への半導体素子24搭載の実装位置合せ用に、あらかじめポリイミド基板21の一部にスリットや貫通孔を設けておいてもよい。
次に、搭載された半導体素子24と配線層23との電気的接続をとるために、半導体素子24と配線層23との間を、例えばボンディングワイヤにて接続を行う。このとき、半導体素子24と配線層25の―極側とが導電性接着剤で接続している場合は、ワイヤボンドは半導体素子24の陽極側と配線層5の陽極側とを接続すればよい(図6(g))。
(10)樹脂封止工程
次に、ポリイミド基板21の半導体素子24搭載面側を、例えば熱硬化性の樹脂にて封止する(図6(i))。このとき、使用する封止樹脂26は、その後の工程で使用される配線層25のエッチング溶液に対して耐性を有するものを使用する。
なお、本工程前に、半導体素子24上に、出射する光の色度を調整するための蛍光体樹脂29を塗布してもよい(図6(h))。
(11)剥離工程
次に、ポリイミド基板21上の第1の金属層27と第2の金属層25とを剥離する(図6(j))。第1の金属層27および第2の金属層25との間の密着強度が低いため、ポリイミド基板21の端部を鋭利な刃物等により引き剥がすことにより、容易に剥離することができる。
次に、配線層25側の剥離面に残存する金属の除去を行う。金属の除去方法は特に制限されず、エッチング溶液への浸漬もしくは機械研磨等により行う(図6(k))。
(12)分断工程
最後に、半導体装置毎への分断を行う(図6(l))。分断方法は、一般的なダイシングにより行う。なお、各半導体装置に複数の半導体素子を含むように分断してもよい。
本実施形態による半導体装置の製造方法について、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例6)
本実施例では、以下に説明する工程により、半導体装置を製造した。
ポリイミド基板21には、1mm厚のカプトンを使用した(図6(a))。
まず、ポリイミド基板21を50℃のKOH水溶液に3分間浸漬し、改質工程を実施した。この際、KOH水溶液は、5M(mol/l)の濃度に設定した。この工程により、ポリイミド基板21の表面には、ポリイミド分子中のイミド環の加水分解により、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された改質層22を形成した(図6(b))。改質層22の厚さは、ポリイミド基板21の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察することにより、約3μmであることが判った。次に、ポリイミド基板21を、2L/minの流水で5分間、水洗した。
次に、ポリイミド基板21について、金属イオン吸着のための処理を実施した。金属イオン吸着には、硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液を混合した金属イオン混合溶液を用いた。
処理条件は、金属イオン濃度0.05M(mol/l)、銅イオンおよびニッケルイオンの混合比1:3、温度は25℃、浸漬処理時間は60分である。なお、溶液は攪拌している。この処理により改質層22は銅イオンおよびニッケルイオン付改質層22に変わる。
次に、ポリイミド基板21の水洗を行った。水洗は、2L/minの流水で5分間実施した。
次に、ポリイミド基板21について、還元処理を行った。還元溶液は、水素化ホウ素ナトリウム水溶液であり、濃度は0.005M(mol/L)、pHは9.8、温度は25℃、浸漬処理時間は30分間とした。なお、還元剤溶液は攪拌を行っている。この処理により、銅イオンは還元され、改質層22の最表部に、第1の金属層である銅−ニッケルの共析金属層27が形成された(図6(c))。次に、ポリイミド基板21を水素化ホウ素ナトリウム還元剤溶液から取り出し、水洗処理を行った。水洗は、2L/minの流水で5分間実施した。
ここで、形成した銅−ニッケル共析の金属の組成比(原子の存在比)を、エネルギー分散型X線分析装置(EDX: Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて調べた結果を表1に示す(A)。なお、銅イオンおよびニッケルイオンの混合比を変えた場合の組成比を併せて表中に示す(B、C)。
表1よりわかるように、ポリイミド基板21の改質層22には、ニッケルイオンよりも銅イオンが吸着されやすいため、金属イオン混合溶液の混合比率に比べて、析出させた金属層27におけるニッケルの含有率は非常に少なくなっている。しかし、金属イオン混合溶液のニッケルイオン量の増加に伴って、直接めっき膜のニッケル組成比は上がっており、金属イオン混合溶液の混合比率によって、銅−ニッケル共析金属の組成を制御できることがわかった。
ここで、図には示さないが、改質層22を元のポリイミド分子構造に戻すために、ポリイミドの改質層22に残存した金属イオンを除去する金属イオン除去工程、加熱処理を行う再イミド化工程のいずれかもしくは両方の工程を行う場合もある。
以下に、金属イオン除去工程および再イミド化工程の詳細を説明する。
(金属イオン除去工程)
金属イオン除去工程はアルカリ性溶液処理および酸性溶液処理の両方もしくはいずれかからなる。
まず、アルカリ性溶液により改質層22を処理する。詳しくは、還元工程を終えたポリイミド樹脂をアルカリ性溶液に浸漬すればよい。金属イオン除去工程を行う目的は、還元工程後の改質層内部に残存する金属イオンを、アルカリ性溶液内に存在する水酸化物イオンとの反応物として析出させることにある。この工程により、ポリイミド改質層22内に残存する金属イオンはすべて金属酸化物となる。金属イオン除去工程で用いるアルカリ性溶液としては、水酸化物イオンを生成するものが使用でき、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を含有するアルカリ性水溶液が使用される。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。第2のアルカリ性溶液は、金属イオンBとの組み合わせについて、特に制限はなく、上記したアルカリ性水溶液であればよい。
次に、酸性溶液により改質層22を処理する。詳しくは、アルカリ性溶液処理工程を終えたポリイミド樹脂を第2の酸性溶液に浸漬すればよい。本工程を行う目的は、析出した金属酸化物を酸性溶液にて溶出させ、改質層22内から金属酸化物を除去することである。金属イオン除去工程で使用される酸性溶液は、金属薄膜を溶かしにくいものが望まれる。好ましい具体例として、例えば、硫酸水溶液、硝酸水溶液、クエン酸水溶液等が使用できる。
(再イミド化工程)
再イミド化工程ではイミド環を閉環する。詳しくは、前工程で得られたポリイミド樹脂を加熱することで、改質層22が再イミド化される(再イミド化ベーク処理)。これによって、機械的強度、耐熱性、耐薬品性に劣る改質層22を、元のポリイミド分子構造に戻すことができる。
処理条件は、改質層22の再イミド化を達成できる限り特に制限されず、例えば、温度が250℃以上、時間は1時間以上である。得られた金属薄膜の酸化防止のため、窒素ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気、真空雰囲気で加熱処理することが望ましい。
次に、銅−ニッケルの共析金属上の酸化物(水酸化物)を除去した。ここで、酸化物(水酸化物)の除去としては、硫酸、塩酸、クエン酸等による方法があるが、第1の金属の溶け出しを抑制するために、クエン酸を用いた。処理条件は、クエン酸濃度0.2M(mol/l)、温度は25℃、浸漬処理時間は1分とした。
次に、銅−ニッケルの共析金属層27上に銅層23を形成した(図6(d))。銅層23の形成は、銅−ニッケルの共析金属層27を給電層とした電解めっきにより行った。陰極をポリイミド基板21とし、陽極を溶解性アノードとした。ここでは、0.03〜0.05%の燐を含む含燐銅アノードを使用した。これによって、銅めっきを行う際のスライムの生成を抑制することができた。めっき液としては、硫酸銅を含む液を用いた。該めっき液は、電解反応において発生した水素がポリイミド基板の表面に付着するのを防ぐためおよびめっき効率を上げるために攪拌した。なお、電流密度は、1.5A/dm2とし、めっき時間を20分とすることで、銅層23の厚みを10μmとした。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行った。乾燥処理は、まず、窒素ブローによりポリイミド樹脂表面に付着した水分を除去した。次に、真空(10hPa)雰囲気中で、温度は80℃、時間は60分間の乾燥処理を実施した。
次に、印刷により、ポリイミド基板上にレジストパターン31を形成し、銅層23を選択的に露出させた(図6(e))。ここで、露出する部分が後の配線領域となる。
本実施例では、印刷により、ポリイミド基板21上にレジストパターン31を形成したが、レジストパターン31の形成方法としては、以下に説明する方法で行うことも可能である。例えば、フォトリソグラフィ法によって、ポリイミド基板21上にレジストパターン31を形成する。本工程に用いられるレジスト材料としては、特に限定されることなく、市販されている様々な材料を用いることができる。例えば、ノボラック樹脂を主成分とし、感光剤、乳酸エチル、酢酸ノルマルブチルなどの溶剤を含有する液状ポジレジストを使用することができる。そのような液状ポジレジストは例えば、市販のOFPR(東京応化製)として入手可能である。また、レジストフィルムを貼り付けることによりレジスト形成してもよい。例えば、日立化成製PhotecRY−3325SGを用いる場合には、市販のフィルムラミネータを用いて110℃で加熱しながら、0.4MPa程度の圧力でポリイミド基板21上に貼り付けを行う。レジスト形成後露光し、それぞれのレジスト材料に対応する溶液を用いて現像を行う。
次に、銅層23上に銅層、ニッケル層および銀層からなる配線層25を形成した(図6(f))。配線層25の形成は無電解めっきにより行い、厚さはそれぞれ、3μm、2μm、0.3μmとした。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行った。乾燥処理は、まず、窒素ブローによりポリイミド樹脂表面に付着した水分を除去した。次に、真空(10hPa)雰囲気中で、温度は80℃、時間は60分の乾燥処理を実施した。
次に、熱硬化性の導電性接着剤で配線層25上に半導体素子(発光ダイオード素子)24を搭載、すなわちダイボンドした。半導体素子24を搭載するピッチは、半導体装置の大きさとほぼ同等のピッチとし、ここでは、XY方向とも5mmピッチとした。
次に、搭載された半導体素子24と配線層25との電気的接続をとるために、半導体素子24と配線層25との間を、金ワイヤ8によるワイヤボンディングにより接続を行った(図6(g))。
次に、半導体素子24上に出射する光の色度を調整するための蛍光体樹脂29をディスペンサにより塗布し、熱処理により硬化させた(図6(h))。
次に、ポリイミド基板21の半導体素子搭載側をエポキシ系の透明封止樹脂26にて封止成型し、熱硬化させて形成した(図6(i))。
次に、ポリイミド基板21上の銅−ニッケルの共析金属27と銅層23とを剥離した(図6(j))。
ここで、銅−ニッケルの共析金属層27と電解めっきにより形成した銅層23との密着性をピール強度測定により評価した結果を図7に示す。ピール強度は0.6kN/mとなっている。通常の配線のピール強度は、1.2kN/m程度であり、本サンプルの密着性が低くなっていることがわかる。
銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23との密着性が低下した原因としては、銅−ニッケルの共析金属層27のニッケル析出領域において、水酸化物が生じているからである。
以下、ニッケルを析出させた場合のニッケル表面の状態を調べた実験結果を示す。
ポリイミド基板21上にニッケル単体を析出させたサンプルの断面を斜め上からSEM(走査型電子顕微鏡)により観察した。SEMによる断面写真を図8に示す。図8より、ポリイミド基板21上のニッケルは二層構造となっていることがわかる。下層36aは析出したニッケルであり、上層36bは、下層36aの表面が酸化して水酸化物となった層である。なお、図9に示すpH−電位線図からも、ニッケルが弱アルカリ性領域において不働態膜(酸化物(または酸化物))を形成することがわかる。
よって、本実施例においては還元工程でのpHが9.8であるため、銅−ニッケルの共析金属層27の表面にはニッケル水酸化物が形成されている。
このように、ポリイミド基板21上の銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23との間の密着強度が低いため、ポリイミド基板21の端部で、鋭利な刃物を銅−ニッケルの共析金属27と銅層23との間に挿入し、機械的に引き剥がすことにより、容易に剥離することができる。
ここで、前述の実施形態と同様に、剥離したポリイミド基板21は、再生が可能であり、繰り返し使用することによって、半導体装置製造にかかるコストを低減させることができる。
次に、配線層25側に残存する銅層23の除去を行った。銅層23の除去方法はエッチング溶液への浸漬により行った(図6(k))。
次に、半導体装置毎への分断を行った(図6(l))。分断は、ダイシングソーにより行った。
これにより、基板のない半導体装置を製造することができるため、半導体装置の薄型化が可能となる。
(実施例7)
図10は、実施例7である半導体装置の製造方法を示す工程図である。
本実施例で用いたポリイミド基板および各工程の実施内容のうち、実施例6と同様である場合については、詳細な説明を省略する。
本実施例では、まず、ポリイミド基板21(図10(a))について、改質工程を実施し、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された改質層22を形成した(図10(b))。
次に、ポリイミド基板21について、金属イオン吸着のための処理を実施した。金属イオン吸着には、硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液を混合した金属イオン混合溶液を用いた。
次に、ポリイミド基板21の水洗を行った後、還元処理を行った。この処理により、金属イオンは還元され、改質層22の最表部に銅−ニッケルの共析金属層27が形成された(図10(c))。次に、ポリイミド基板21を水素化ホウ素ナトリウム還元溶液から取り出し、水洗処理を行った。
ここで、改質層22を元のポリイミド分子構造に戻すために、ポリイミド改質層22に残存した金属イオンを除去する金属イオン除去工程、加熱処理を行う再イミド化工程のいずれかもしくは両方の工程を行う場合もある。金属イオン除去工程および再イミド化工程については実施例6において示したため、詳細の説明を省略する。
次に、銅−ニッケルの共析金属層27上の酸化物(水酸化物)を除去し、銅−ニッケルの共析金属上に銅層23を形成した。銅層23の厚みは10μmとした。
次に、銅層23上に銅層、ニッケル層および銀層からなる配線層25を形成した。配線層25の形成は無電解めっきにより行い、厚さはそれぞれ、3μm、2μm、0.3μmとした(図10(d))。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行い、熱硬化性の導電性接着剤で配線層25上に半導体素子(発光ダイオード素子)24を搭載し、半導体素子24と配線層25との間を、金ワイヤ28によるワイヤボンディングにより接続を行った(図10(e))。
次に、半導体素子24上に出射する光の色度を調整するための蛍光体樹脂29をディスペンサにより塗布し、熱処理により硬化させた(図10(f))。
次に、ポリイミド基板21の半導体素子搭載側をエポキシ系の透明樹脂26にて封止成型し、熱処理により硬化させた(図10(g))。
次に、ポリイミド基板21上の銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23とを剥離した(図10(h))。剥離方法については、実施例6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、印刷により、銅層23上にレジスト31を形成し、銅層23を選択的に露出させた(図10(i))。
次に、エッチング溶液に浸漬することにより、銅層23および配線層25の露出した領域を除去し(図10(j))、レジスト31を除去した(図10(k))。
次に、半導体装置毎への分断を行った(図10(l))。分断は、ダイシングソーにより行った。
上記により、基板のない半導体装置を製造することができるため、半導体装置の薄型化が可能となる。
(実施例8)
図11は、実施例8である半導体装置の製造方法を示す工程図である。
本実施例で用いたポリイミド基板21および各工程の実施内容のうち、実施例6,7と同様である場合については、詳細な説明を省略する。
本実施例では、まず、ポリイミド基板21(図11(a))について、改質工程を実施し、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された改質層22を形成した(図11(b))。
次に、ポリイミド基板21について、金属イオン吸着のための処理を実施した。金属イオン吸着には、硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液を混合した金属イオン混合溶液を用いた。
次に、ポリイミド基板21の水洗を行った後、還元処理を行った。この処理により、金属イオンは還元され、改質層22の最表部に銅−ニッケルの共析金属層27が形成された(図11(c))。次に、ポリイミド基板21を水素化ホウ素ナトリウム還元溶液から取り出し、水洗処理を行った。
ここで、改質層22を元のポリイミド分子構造に戻すために、ポリイミド改質層22に残存した金属イオンを除去する金属イオン除去工程、加熱処理を行う再イミド化工程のいずれかもしくは両方の工程を行う場合もある。金属イオン除去工程および再イミド化工程については実施例6において示したため、詳細な説明を省略する。
次に、銅−ニッケルの共析金属層27上の酸化物(水酸化物)を除去し、銅−ニッケルの共析金属層27上に銅層23を形成した。銅層23の厚みは10μmとした。
次に、銅層23上に銅層、ニッケル層および銀層からなる配線層25を形成した。配線層25の形成は無電解めっきにより行い、厚さはそれぞれ、3μm、2μm、0.3μmとした(図11(d))。
次に、銀層上に反射板30を搭載した(図11(e))。反射板30は、半導体素子24からの光を反射させて装置の外部に拡散させるためのものである。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行い、熱硬化性の導電性接着剤で配線層25上に半導体素子(発光ダイオード素子)24を搭載し、半導体素子24と配線層25との間を、金ワイヤ28によるワイヤボンディングにより接続を行った(図11(f))。
次に、半導体素子24上に出射する光の色度を調整するための蛍光体樹脂29をディスペンサにより塗布し、熱処理により硬化させた(図11(g))。
次に、ポリイミド基板21の半導体素子搭載側をエポキシ系の透明樹脂26にて封止成型し、熱処理により硬化させた(図11(h))。
次に、ポリイミド基板21上の銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23とを剥離した(図11(i))。剥離方法については、実施例6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、印刷により、銅層23上にレジスト31を形成し、銅層23を選択的に露出させた(図11(j))。
次に、エッチング溶液に浸漬させることにより、銅層23および配線層25の露出した領域を、除去した(図11(k))。
次に、レジスト31を除去し(図11(l))、半導体装置毎への分断を行った(図11(m))。分断は、ダイシングソーにより行い、反射板30部分についても分断を行った。
これにより、基板のない半導体装置を製造することができるため、半導体装置の薄型化が可能となる。
(実施例9)
図12は、実施例9である半導体装置の製造方法を示す工程図である。
本実施例で用いたポリイミド基板および各工程の実施内容のうち、実施例6,7,8と同様である場合については、詳細な説明を省略する。
本実施例では、まず、ポリイミド基板21(図12(a))について、改質工程を実施し、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された改質層22を形成した(図12(b))。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行い、印刷により、ポリイミド基板21上にレジストパターン31を形成し、改質層22を選択的に露出させた(図12(c))。ここで、露出する部分が後の配線領域となる。レジスト材料としては、エポキシ系の永久レジストを使用した。
次に、ポリイミド基板21について、金属イオン吸着のための処理を実施した。金属イオン吸着には、硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液を混合した金属イオン混合溶液を用いた。
次に、ポリイミド基板21の水洗を行った後、還元処理を行った。この処理により、金属イオンは還元され、改質層22のレジストパターン31が形成された領域以外の配線領域に銅−ニッケルの共析金属層27が形成された(図12(d))。次に、ポリイミド基板21を水素化ホウ素ナトリウム還元溶液から取り出し、水洗処理を行った。
次に、銅−ニッケルの共析金属層27上の酸化物(水酸化物)を除去し、銅−ニッケルの共析金属層27上に銅層23を形成した。銅層23の厚みは10μmとした。
次に、銅層23上にニッケル層および銀層からなる配線層25を形成した。配線層25の形成は無電解めっきにより行い、厚さはそれぞれ、2μm、0.3μmとした(図12(e))。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行い、熱硬化性の導電性接着剤で配線層25上に半導体素子(発光ダイオード素子)24を搭載し、ワイヤボンディングにより接続を行った(図12(f))。
次に、半導体素子24上に出射する光の色度を調整するための蛍光体樹脂29をディスペンサにより塗布し、熱処理により硬化させた(図12(g))。
次に、ポリイミド基板21の半導体素子搭載側をエポキシ系の透明封止樹脂26にて封止成型し、熱処理により硬化させた(図12(h))。
次に、ポリイミド基板21上の銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23とを剥離した(図12(i))。剥離方法については、実施例6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、配線層25の銅層23の除去を行った。銅層23の除去方法はエッチング溶液への浸漬により行った。
次に、半導体装置毎への分断を行った(図12(j))。分断は、ダイシングソーにより行った。
(実施例10)
図13は、実施例10である半導体装置の製造方法を示す工程図である。
本実施例で用いたポリイミド基板および各工程の実施内容のうち、実施例6,7,8,9と同様である場合については、詳細な説明を省略する。
本実施例では、まず、ポリイミド基板21(図13(a))について、改質工程を実施し、カルボキシル基にカリウムイオンが配位したカルボン酸カリウム塩が形成された改質層22を形成した(図13(b))。
次に、ポリイミド基板21について、金属イオン吸着のための処理を実施した。金属イオン吸着には、硫酸銅水溶液および硫酸ニッケル水溶液を混合した金属イオン混合溶液を用いた。
次に、ポリイミド基板21の水洗を行った後、還元処理を行った。この処理により、金属イオンは還元され、改質層22の最表部に銅−ニッケルの共析金属層27が形成された(図13(c))。次に、ポリイミド基板21を水素化ホウ素ナトリウム還元溶液から取り出し、水洗処理を行った。
ここで、改質層22を元のポリイミド分子構造に戻すために、ポリイミド改質層22に残存した金属イオンを除去する金属イオン除去工程、加熱処理を行う再イミド化工程のいずれかもしくは両方の工程を行う場合もある。金属イオン除去工程および再イミド化工程については実施例6において示したため、詳細な説明を省略する。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行い、銅−ニッケルの共析金属層27上にレジストパターン31を形成し、銅−ニッケルの共析金属層27を選択的に露出させた(図13(d))。ここで、露出する部分が後の配線領域となる。
次に、銅−ニッケルの共析金属層27上の酸化物(水酸化物)を除去し、銅−ニッケルの共析金属層27が露出している領域に銅層23を形成した。銅層23の厚みは10μmとした(図13(e))。
次に、銅層23上に銅層、ニッケル層および銀層からなる配線層25を形成した。配線層25の形成は無電解めっきにより行い、厚さはそれぞれ、3μm、2μm、0.3μmとした。
次に、ポリイミド基板21について、乾燥処理を行い、熱硬化性の導電性接着剤で配線層25上に半導体素子(発光ダイオード素子)24を搭載し、ワイヤボンディングにより接続を行った(図13(f))。
次に、半導体素子24上に出射する光の色度を調整するための蛍光体樹脂29をディスペンサにより塗布し、熱処理により硬化させた(図13(g))。
次に、ポリイミド基板21の半導体素子搭載側をエポキシ系の透明封止樹脂26にて封止成型し、熱処理により硬化させた(図13(h))。
次に、ポリイミド基板21上の銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23とを剥離した(図13(i))。剥離方法については、実施例6と同様であるため、詳細な説明は省略する。
次に、半導体装置毎への分断を行った(図13(j))。分断は、ダイシングソーにより行った。
(実施例11)
図14は、実施例11の半導体装置を示す模式図である。
本実施例では、1つの発光ダイオード装置に複数の発光ダイオード素子24を有するものである。複数の発光ダイオード素子24が必要な場合、例えば携帯電話装置のバックライト光源などに使用する場合、または、発光ダイオード素子24を面状あるいは線状に配置した照明装置等に使用する場合、本実施例のような構成は好適に使用される。携帯電話装置のバックライト光源として使用する場合には、3〜4個を等間隔に線状に配置し、照明装置に使用する場合は、4〜9個を面状に2個×2個もしくは3個×3個のマトリクス状に配置する。
1つの半導体装置に1または複数の発光ダイオード素子を有することにより、複数の発光ダイオード装置間を電気的に接続する配線のために必要であった実装基板を設ける必要がなくなる。
ダイシングを行う際に、封止樹脂26を所望のサイズに分断することにより、複数の発光ダイオード素子を有する発光ダイオード装置を得ることができる。
上記により、基板のない半導体装置を製造することができるため、半導体装置の薄型化が可能となる。
本発明の実施の一形態である半導体装置の製造方法を示す工程図である。 実施例1の製造方法を示す工程図である。 実施例3の製造方法を示す工程図である。 実施例4の製造方法を示す工程図である。 実施例5の半導体装置を示す模式図である。 本発明の実施の他の形態である半導体装置の製造方法を示す工程図である。 銅−ニッケルの共析金属層27と銅層23とのピール強度の測定結果を示す図である。 SEMによるポリイミド基板21上にニッケル単体を析出させたサンプルの断面写真を示す図である。 ニッケルのpH−電位線図である。 実施例7である半導体装置の製造方法を示す工程図である。 実施例8である半導体装置の製造方法を示す工程図である。 実施例9である半導体装置の製造方法を示す工程図である。 実施例10である半導体装置の製造方法を示す工程図である。 実施例11の半導体装置を示す模式図である。 従来の半導体装置の構成を示す模式図である。 従来の表面実装型の発光ダイオード装置の構成を示す模式図である。
符号の説明
1,21 ポリイミド基板
2,22 改質層
3,25 配線層
4,24 半導体素子
5 パターン配線
6,26 封止樹脂
7 金属層
8,28 ボンディングワイヤ
9 ダイシング溝
10 保持基板
11 蛍光体を含む封止樹脂
13 反射板
14 外部端子
15 接着剤
16 永久レジスト
23 第1の金属層
27 第2の金属層

Claims (24)

  1. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に金属層を析出させる工程と、
    析出した金属層を厚膜化した配線層を形成する工程と、
    配線層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
    ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する工程と、
    改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、金属層またはポリイミド基板とを剥離する工程と、
    剥離後に残存する金属層または改質層を除去し、個片化された半導体装置を得る工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に金属層を析出させる工程と、
    析出した金属層を厚膜化した配線層を形成する工程と、
    ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子と配線層との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する工程と、
    封止樹脂に保持基板を貼り付ける工程と、
    改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、金属層またはポリイミド基板とを剥離する工程と、
    剥離後に残存する金属層または改質層を除去して配線層を露出させる工程と、
    配線層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
    保持基板を除去して個片化された半導体装置を得る工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  3. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に金属板を貼り合わせる工程と、
    貼り合わせた金属板が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
    ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    封止樹脂側から改質層の上部まで、または改質層の下部まで、ダイシングにより分割溝を形成する工程と、
    改質層を吸水により膨潤させて、膨潤した改質層と、パターン配線またはポリイミド基板とを剥離する工程と、
    剥離後に残存する改質層を除去し、個片化された半導体装置を得る工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 金属層を析出させる工程および配線層を形成する工程では、
    永久レジストを用いて予め所定の形状のマスクを改質層上に形成したのち、金属層を析出させることで、パターン配線を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  5. 金属層を析出させる工程では、
    改質層に金属イオン含有溶液で処理して金属イオンを吸着させたのち、還元溶液に浸漬させて改質層上に金属層を析出させることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記金属層上に反射板を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法によって製造されることを特徴とする半導体装置。
  8. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の製造方法によって製造される半導体装置であって、
    個片化された1つの半導体装置が1または複数の半導体素子を有することを特徴とする半導体装置。
  9. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に第1の金属層を析出させる工程と、
    前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程と、
    前記第2の金属層上にパターン配線を形成する工程と、
    前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
    前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  10. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に第1の金属層を析出させる工程と、
    前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程と、
    前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子と第2の金属層との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
    前記第2の金属層が所定のパターン形状となるようにパターン配線を形成する工程と、
    前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  11. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に所定のパターン形状となるように第1の金属層を析出させる工程と、
    前記第1の金属層上に第2の金属層を形成する工程と、
    前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
    前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  12. イミド環を開環してポリイミド基板に改質層を設ける工程と、
    改質層上に第1の金属層を析出させる工程と、
    前記第1の金属層上に所定のパターン形状となるように第2の金属層を形成する工程と、
    前記ポリイミド基板上に1または複数の半導体素子を搭載する工程と、
    搭載された半導体素子とパターン配線との電気的接続を行う工程と、
    搭載された半導体素子を樹脂封止する工程と、
    前記ポリイミド基板上の前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程と、
    前記封止樹脂を分断する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 前記改質層上に析出させる第1の金属層は、複数の金属を共析させたものであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記改質層上に析出させる第1の金属層は、銅およびニッケルの共析させたものであることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記改質層上に析出させる第1の金属層は、無電解めっきにより形成されることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記還元剤溶液のpHは、8.0以上とすることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記第1の金属層上に析出させる第2の金属層は、銅であることを特徴とする請求項9〜16のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  18. 前記第1の金属層上に析出させる第2の金属層は、電解めっきにより形成されることを特徴とする請求項9〜17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  19. 永久レジストを用いて予め所定の形状のマスクを改質層上に形成したのち、金属層を析出させることで、パターン配線を形成し、
    前記封止樹脂を分断する工程では、前記永久レジスト上を分断することを特徴とする請求項9〜18のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  20. 金属層を析出させる工程では、
    改質層に金属イオン含有溶液で処理して金属イオンを吸着させたのち、還元溶液に浸漬させて改質層上に金属層を析出させることを特徴とする請求項9〜19のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  21. 前記第2の金属層上に反射板を形成することを特徴とする請求項9〜20のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  22. 前記第1の金属層と前記第2の金属層とを剥離する工程ではこれらを、機械的に剥離することを特徴とする請求項9〜21のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
  23. 請求項9〜22のいずれか1つに記載の製造方法によって製造されることを特徴とする半導体装置。
  24. 請求項9〜23のいずれか1つに記載の製造方法によって製造される半導体装置であって、
    個片化された1つの半導体装置が1または複数の半導体素子を有することを特徴とする半導体装置。
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KR101476771B1 (ko) * 2013-04-24 2014-12-29 주식회사 씨티랩 반도체 소자 구조물 및 반도체 소자 구조물을 제조하는 방법
KR101649300B1 (ko) * 2015-04-13 2016-08-19 주식회사 루멘스 발광 소자 패키지 제조 방법 및 발광 소자 패키지

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