以下、図1〜図14に基づいてこの発明を実施するための最良の形態について説明する。
なお、ここで図1は実施の形態にかかるラッチ装置4が備えられた引き戸1’を示しており、また、図2、図5および図6はかかる引き戸1’の要部を上方から見て示している。また、図3および図4はその要部を断面にして示している。
また、図7はかかる装置を構成する各部品を分離させた状態で、図8はそのうちのベース40の前端側と、追加制動ユニット51でもあるラッチ体41とを、ラッチ体41の下部を上方に向けた状態として示している。また、図9はベース40の要部を示している。
また、図10および図11はラッチ体41を上方から見た状態として示しており、図11はスライダー412が後退してラッチアーム413が掛合位置に回動された状態を示している。
また、図12および図13は引き戸1’におけるラッチ装置4の内蔵箇所を断面にして示しており、図12は引き戸1’が所定の速度以上の速度で所定往動位置まで往動されてきたために基本制動ユニット52と追加制動ユニット51の間の間隔xが狭まった状態を示している。なお、図12および図13においては付勢手段42の記載を省略している。
また、図14(a)〜図14(e)は、図1〜図13に示される例における離間阻止手段6に代えて、この離間阻止手段6となり得る他の構造の構成例をそれぞれ示している。なお、この図14(a)〜図14(e)においては、キャッチャー41の走行方向に直交する向きにラッチ装置4を断面にすると共に、その側板40aの一方側のみを表して示している。
この実施の形態にかかるラッチ装置4は、固定体2に往復動可能に支持された可動体1の、その所定往動位置から往動終了位置までの往動を付勢により行わさせるようにするものである。
この実施の形態にあっては、かかるラッチ装置4は、固定体2としての戸枠2’に開閉可能に支持された可動体1としての引き戸1’を、それを閉める方向に移動操作させるとその途中から、これを戸当たり2aに突き当たる閉めきり位置まで自走させるように機能するものとなっている。また、かかる引き戸1’の所定往動位置(図5の位置)から先のかかる往動(図5の左側への図6の位置までの往動)には、後述する制動手段5によって制動を付与させるようになっている。これとは別に、かかるラッチ装置4によって、かかる引き戸1’を、それを開く方向に移動操作させるとその途中から、これを開ききった位置まで自走させるようにすることもできる。
かかるラッチ装置4は、可動体1及びこの可動体1を往復動可能に支持する固定体2のいずれか一方に備えられるストライカ3を、この可動体1の所定往動位置において捕捉した後、付勢により走行又は相対的に走行されて可動体1を往動終了位置まで往動させるキャッチャー41を備えて前記可動体1及び固定体2の他方に備えられる。
図示の例では、固定体2としての戸枠2’にストライカ3が設けられ、可動体1としての引き戸1’にラッチ装置4が設けられている。
図示の例では、ストライカ3は、戸枠2’の上枠部2bに形成された引き戸1’の上端の収まる溝2c内に備えられている。図示の例では、かかるストライカ3は、引き戸1’を閉めるときにその移動前方に位置される引き戸1’の前端1aに対する戸当たり2aとの間に間隔を開けた位置において、前記溝2cの溝底から下方に突き出すように、軸上端側をこの溝底に止着させた棒状をなすように構成されている。(図13)
一方、図示の例では、引き戸1’は、その上部に、引き戸1’の上端面1bにおいて開放されて引き戸1’の移動方向に長く続くと共に、引き戸1’の前端1aにおいて前方に開放されたラッチ装置4の組み込み空間1cを備えており、ラッチ装置4はこの組み込み空間1cに納められている。
これによって、引き戸1’を所定往動位置まで閉める方向に移動させると、ストライカ3は引き戸1’の前端1aから組み込み空間1c内に入り込み、後述する待機位置に保持されたキャッチャー41に捕捉されるようになっている。キャッチャー41は、ストライカ3を捕捉すると、これと同時に前記保持が解かれて後述する付勢手段42の付勢により引き戸1’の前端1aから離れる向きに移動される。図示の例では、固定体2としての戸枠2’に設けられたストライカ3を、可動体1としての引き戸1’の所定往動位置において、キャッチャー41が捕捉することから、前記付勢手段42の付勢によりキャッチャー41は引き戸1’の前端1aから離れる向きに相対的に移動することとなり、この移動寸法分引き戸1’は往動終了位置である閉めきり位置まで自走往動される。
図示の例とは逆に、引き戸1’の側にストライカ3を設け、戸枠2’の側にラッチ装置4を備えさせた場合、引き戸1’の所定往動位置においてストライカ3を捕捉するキャッチャー41の付勢による引き戸1’の往動先側に向けた移動によって、引き戸1’を往動終了位置である閉めきり位置まで自走往動させることとなる。
かかるラッチ装置4は、可動体1の移動方向に沿った走行可能に備えられるキャッチャー41と、このキャッチャー41の付勢手段42と、この付勢手段42の付勢に抗してキャッチャー41を待機位置に保持する保持手段とを備えている。そして、かかるラッチ装置4は、可動体1及び固定体2の他方に備えられるストライカ3を、可動体1の所定往動位置において待機位置にあるキャッチャー41に捕捉させると共に保持手段による保持を解除して、付勢手段42の付勢により走行又は相対的に走行されるキャッチャー41によって可動体1を往動終了位置まで自走往動させるようになっている。
図示の例では、前記組み込み空間1c内に納め入れられるベース40に、キャッチャー41、付勢手段42、保持手段を備えさせると共に、後述する制動手段5を組み込んで、可動体1としての引き戸1’にラッチ装置4を備えさせている。
かかるベース40は、図示の例では、上面を開放させた細長い箱状をなすように構成されている。ベース40は、その一端を引き戸1’の前端1aに位置させるようにして前記組み込み空間1c内に引き戸1’の移動方向にベース40の長さ方向を沿わせるようにして納められている。ベース40は、引き戸1’の移動方向に沿った一対の側板40a、40aの内面にそれぞれ、この側板40aの上下方向略中程の位置においてこの側板40aの長さ方向に沿って長く続く後述する離間阻止手段6の被掛合部60ともなるガイド溝60aを備えている。図示の例では、このガイド溝60aに案内されてキャッチャー41がベース40内をこのベース40の長さ方向に沿って走行するようになっており、ベース40内がキャッチャー41の走行レーンとして機能するようになっている。また、一対の側板40a、40aの一方のガイド溝60aの下部には制動手段5を構成するラック55がその歯を下向きに突き出すようにして設けられている。ベース40の一端は、前記一対の側板40a、40a間が、ガイド溝60aよりも下方において前板部40cによって覆われ、この前板部40cよりも上方は開放されており、この開放されたベース40の一端からベース40内に前記ストライカ3が入り込むようになっている。ベース40の一端側にはまた、前記前板部40cの上端に連続する水平板部40dが形成されている。図中符号40eで示されるのは、かかる前板部40cの後方側に取り付けられてベース40の下縁から下方に突き出す箇所を引き戸1’にネジ止めされる取り付け用ブロックである。
かかる水平板部40dの上方においては、前記一対の側板40a、40aにそれぞれ、窓穴40fが貫通状態に設けられている。また、かかる水平板部40dには、ベース40の幅方向において他方の被ロック部40gとの間に間隔を開けて一対の被ロック部40g、40gが形成されている。一対の被ロック部40g、40gはそれぞれ、窓穴40fの後方側の側縁部に後端を連続させてこの窓穴40fの下縁部をこの窓穴40fの前後方向略中程の位置までを縁取るように形成されたリブ状をなすように構成されている。一対の被ロック部40g、40gはそれぞれ、その前端に引き戸1’の前端1a側に向いた掛合面40hを有すると共に、この掛合面40hとその後端との間の内面をこの掛合面40hに向かうに連れて被ロック部40gの幅寸法を次第に広くさせる傾斜面40iとしている。前記キャッチャー41の待機位置において、このキャッチャー41の後述する抱持片413は窓穴40f内にその外側部を入り込ませてストライカ3に掛合部413aを掛合させない非掛合位置に位置づけられると共に、この抱持片413に形成されたロック部413dはかかる被ロック部413d40gの掛合面40hと窓穴40fの前方側の側縁部との間に入り込んで被ロック部40gに引っかかるようになっている。すなわち、図示の例では、かかる被ロック部40gとロック部413dとによって前記保持手段を構成させている。
キャッチャー41は、キャッチャーベース411と、スライダー412と、抱持片413とから構成されている。
キャッチャーベース411は、前記付勢手段42に連係されてこの付勢手段42による付勢を受ける。図示の例では、かかるキャッチャーベース411は、ベース40の長さ方向に長い左右壁部411a、411aと下壁部411bとを有すると共に、左右壁部411a、411aの外面間の間隔を前記ベース40の一対の側板40a、40a間に隙間少なく収まる寸法とした上面開口の細長い箱状をなすように構成されている。キャッチャーベース411の前端側には左右壁部411a、411aの上端間に亘る架橋片411cが形成されており、この架橋片411cと下壁部411bとの間に、抱持片413の回動軸413cが上下方向に軸線を沿わせるようにして架設されている。かかる回動軸413cは左右にそれぞれ設けられており、左側の回動軸413cと右側の回動軸413cとの間には間隔が形成されている。キャッチャーベース411の後端部は左右壁部411a、411a間に亘る後壁部411dによって閉塞されている。また、この後壁部411dの後方には前記付勢手段42となる引っ張りコイルバネ42aのバネ前端の取り付け部411cが形成されている。かかる引っ張りコイルバネ42aのバネ後端は、ベース40の後端側においてベース40に設けられた取り付け部40jに取り付けられており、かかるバネ42aはベース40内のガイド溝60aよりも上方の空間内に収まるようになっている。
スライダー412は、前記キャッチャーベース411に前後動可能に組み合わされると共に、ストライカ3の突き当たりにより付勢に抗して後退される。図示の例では、かかるスライダー412は、前記抱持片413の左右の回動軸413cよりも前方に位置される頭部412aと、左右の回動軸413cの間を通る首部412bを介してこの頭部412aに前部を一体に連接させた胴部412cとを備えている。胴部412cはキャッチャーベース411の左右壁部411a、411aの内面間に隙間少なく納まり、このキャッチャーベース411内に前後方向にスライド移動可能に組み合わされて納められている。図示の例では胴部412cの後部とキャッチャーベース411の後壁部411dとの間に納められた圧縮コイルバネ412gによってスライダー412はその胴部412cと首部412bとの間にある前方に向いた左右肩部412d、412dをそれぞれ抱持片413の連係突部413bに後方から当接させる前進位置に向けて常時付勢されている。
抱持片413は、キャッチャーベース411に回動可能に組み付けられると共に、ストライカ3に対する掛合部413aを備えている。図示の例では、かかる抱持片413は、その片前端側に内向きに突き出す掛合部413aを備えると共に、その片後端に内向きに突き出す連係突部413bを有している。図示の例では、キャッチャー41は、左右一対の抱持片413、413を備えており、右側の抱持片413はその片後端において前記右側の回動軸413cをもってキャッチャーベース411の前端側に回動可能に組み付けられ、左側の抱持片413はその片後端において前記左側の回動軸413cをもってキャッチャーベース411の前端側に回動可能に組み付けられ、それぞれキャッチャーベース411の前端から前方に突き出すようにこのキャッチャーベース411に備えられている。
そして、図示の例では、かかる左側の抱持片413の連係突部413bが、スライダー412の左側のあご部412eと肩部412dとの間を連係凹部412fとしてこの連係凹部412fに納まり、かつ、かかる右側の抱持片413の連係突部413bが、スライダー412の右側のあご部412eと肩部412dとの間を連係凹部412fとしてこの連係凹部412fに納まるようにして、スライダー412と一対の抱持片413、413とを組み合わせている。
そして、スライダー412の後退によってあご部412eが連係突部413bを押圧して抱持片413がストライカ3に掛合部413aを掛合させる掛合位置に内向きに回動され、かつ、スライダー412の前進によって肩部412dが連係突部413bを押圧して非掛合位置に向けた抱持片413の外向きの回動がなされるようになっている。
また、前記左右の抱持片413はそれぞれ、キャッチャー41の走行方向に間隔を開けて、可動体1の往動先側となる片前端側に掛合部413aを、片後端側に回動軸413cを有すると共に、この掛合部413aと回動軸413cとの間において、その下部に後方に掛合面413eを向けたロック部413dを備えている。図示の例では、キャッチャー41の待機位置において、抱持片413はベース40の窓穴40fに、抱持片413の回動軸413cとロック部413dとの間となる箇所を被ロック部40gの上方に位置させ、かつ、ロック部413dを被ロック部40gの前方に位置させて、その外側を入り込ませるようになっている。すなわち、被ロック部40gはキャッチャー41の走行中心線を挟んだ両側に形成されている。
キャッチャー41がベース40の最も前端側(図示の例では、引き戸1’の前端1a近傍)にあるとき、抱持片413の回動軸413cよりも内方において抱持片413の連係突部413bは前方に付勢されるスライダー412の肩部412dによって後方から押圧されることから、抱持片413はベース40の窓穴40fに入り込み一対の抱持片413、413の掛合部413a間へのストライカ3の進入を許容する非掛合位置に位置づけられる。また、このとき、抱持片413のロック部413dはベース40の被ロック部40gに引っかかり、キャッチャー41は抱持片413を非掛合位置に位置づけた状態で、ベース40の最も前端側に、つまり待機位置に位置づけられる。(図2)この待機位置において付勢手段42に最も付勢力が蓄勢される。
キャッチャー41を待機位置に位置づけた状態から、引き戸1’を前記所定往動位置まで往動させると、ストライカ3がベース40内に入り込み一対の抱持片413、413の掛合部413a間を通過してスライダー412の頭部412aに前方から突き当たり付勢に抗してスライダー412を後方に押し込む。スライダー412がこのように押し込まれると、抱持片413の回動軸413cよりも内方において抱持片413の連係突部413bはスライダー412のあご部412eによって前方から押圧されることから、抱持片413はベース40の窓穴40fから抜けだす向きに回動され一対の抱持片413、413の掛合部413a間からのストライカ3の抜け出しを阻止する掛合位置に位置づけられる。すなわち、キャッチャー41は、前記所定往動位置において片前後端間にストライカ3を受け入れた後に内向きに回動されてこのストライカ3を抱持捕捉する抱持片413を有している。また、このとき、抱持片413のロック部413dの外面はベース40の被ロック部40gの掛合面40hの内縁の内方に入り込み、このロック部413dはこの被ロック部40gから外れ、前記保持手段による前記保持が解除されるようになっている。(図5)これにより、キャッチャー41はストライカ3を捕捉した状態で付勢手段42によりベース40内を後方に相対的に走行され、引き戸1’は往動終了位置まで強制的に往動される。(図6)
この実施の形態にあっては、ラッチ装置4は、キャッチャー41の前記走行又は相対的な走行時にこの抱持片413に外側から摺接して前記ストライカ3を抱持した状態を維持する壁を備えている。図示の例では、一対の抱持片413、413はベース40の窓穴40fから抜け出した後は、ベース40の一対の側板40a、40aの内面を前記壁としてこの壁によって掛合位置に位置づけられ続け、ストライカ3の捕捉は解かれることがないようになっている。
閉めきり位置、つまり往動終了位置にある引き戸1’(図6)を所定往動位置に向けて復動させると、この復動の過程で相対的に待機位置に向けて走行されるキャッチャー41によって付勢手段42に再び蓄勢がされると共に、所定往動位置に至ると抱持片413は窓穴40fに入り込み可能となることから、前方に付勢されるスライダー412により抱持片413は非掛合位置に回動されてストライカ3を解放し、かつ、ロック部413dを再び被ロック部40gに引っかけさせてキャッチャー41は再び待機位置に位置づけられる。(図2)
かかるラッチ装置4にあっては、可動体1を所定往動位置まで往動させたときにキャッチャー41のスライダー412にストライカ3を突き当てさせることで抱持片413を掛合位置に回動させてキャッチャー41にストライカ3を捕捉させることができると共に、この回動によって保持手段の保持を解除してキャッチャー41を待機位置から付勢手段42の付勢によって走行又は相対的に走行させるようにすることができる。そして、このキャッチャー41の走行又は相対的な走行により、可動体1を往動終了位置まで自走往動させることができる。保持手段の保持の解除は、抱持片413の回動によりなされることから、その解除に必要とされる力及びそのためのスライダー412の押し込み量をできるだけ小さくさせることができる。
また、この実施の形態にあっては、前記壁としてのベース40の側板40aの内面とキャッチャー41との離間を阻止するように、相互に摺動可能に組み合わされる離間阻止手段6が備えられている。前記のように抱持片413がストライカ3を捕捉抱持した状態はかかる壁が外側から抱持片413に摺接して維持されることから、かかる離間阻止手段6によってこの捕捉抱持状態を安定的に維持させることができる。これにより、ベース40の側板40aの剛性を過度に高めなくても、ストライカ3をキャッチャー41が抱持捕捉した後は両者を介して可動体1を往動終了位置まで確実に自走往動させることができ、また、往動終了位置からの可動体1の復動操作によってキャッチャー41を待機位置に確実に復帰させることができる。この結果、ベース40の側板40aを必要最小限の厚さに構成させることができラッチ装置4のコンパクト化に資することができる。また、前記組み込み空間1cの内面によってベース40の側板40aの外面を外側から押さえさせる必要がないことから、両者の間に経時的に隙間が生じてもラッチ装置4の機能が損なわれることはない。
かかる離間阻止手段6は、壁側に備えられたキャッチャー41の走行又は相対的な走行の方向に沿って続く被掛合部60と、キャッチャー41側に備えられたこの被掛合部60に対する掛合部61とから構成されている。これにより、キャッチャー41の走行又は相対的な走行がなされる範囲において壁とキャッチャー41との離間を阻止することができる。図示の例では、キャッチャーベース411の後端側においてその左右両側にそれぞれ掛合部61が形成されており、右側の掛合部61がベース40の右側の被掛合部60に掛合され、かつ、左側の掛合部61がベース40の左側の被掛合部60に掛合されるようになっている。
被掛合部60は、壁側すなわちベース40の側板40a側に形成された溝として構成されている。図1〜図13に示される例では、前記ガイド溝60aによってかかる被掛合部60を構成させている。図示の例では、ベース40の上下方向略中程の位置においてベース40の長さ方向に亘って左右側板40aの内面にそれぞれリブ状突部40bが形成されていると共に、このリブ状突部40bの基部と側板40aの内面との間に上方に溝口を向けたガイド溝60aが形成されている。図1〜図13に示される例では、掛合部61は、キャッチャーベース411におけるこのリブ状突部40bの上面に摺接される後述する摺接面51cから下方に突き出してガイド溝60aに隙間なく収まるキャッチャー41の走行方向に長く続く突部61aとして構成されている。
図14(a)〜図14(e)に示されるように、掛合部61は、キャッチャー41、具体的にはキャッチャーベース411より側方に突き出す基部61bからこの基部61bに交叉する向きに突き出される突部61cとして構成させておくこともできる。
また、図14(a)および図14(b)に示されるように、壁側すなわち側板40a側に形成された割溝40mに基部61bを入れ込ませると共に、側板40aの外側の割溝40mの縁部を被掛合部60として掛合部61を掛合させるようにしておくこともできる。
また、図14(c)〜図14(e)に示されるように、壁すなわち側板40aの上端40a’上を基部61bに跨がせると共に、側板40aの上端40a’外側を被掛合部60として掛合部61を掛合させるようにしておくこともできる。
また、この実施の形態にあっては、ラッチ装置4は制動手段5を備えている。この実施の形態にあっては、かかる制動手段5は、二つのダンパーユニット50、50をそれぞれ、前記ベース40に移動可能に支持させることで構成されている。二つのダンパーユニット50、50を、前記ベース40内にこのベース40の長さ方向に移動可能に納めさせている。この例では、二つのダンパーユニット50、50の一方は、前記キャッチャー41のキャッチャーベース411の下部に上部を一体に連接させてこのキャッチャー41と一体になってダンパーユニット50を構成させている。(以下、このダンパーユニット50を追加制動ユニット51と称する。)二つのダンパーユニット50、50の他方は、この追加制動ユニット51より後方に位置すると共に追加制動ユニット51に連係されてキャッチャー41の一部を構成している。(以下、このダンパーユニット50を基本制動ユニット52と称する。)
この実施の形態にあっては、かかる追加制動ユニット51が、可動体11の所定往動位置において、固定体2側、この例では前記ストライカ3に当接されるようになっている。
追加制動ユニット51は、前記ベース40の一対の側板40a、40a間にほぼ収まるキャッチャーベース411の下部に上部を一体に連接させてベース40における前記ガイドリブ40bよりも下方の空間に収まるブロック部413d51aを有している。このブロック部413d51aの左右方向の寸法はキャッチャーベース411の左右方向の寸法よりも小さく、キャッチャーベース411とブロック部413d51aとの間には下方に向いた摺接面51cが左右にそれぞれ形成されており、追加制動ユニット51はこの左右の摺接面51c、51cをそれぞれ対応する前記リブ状突部40bに上方から接させるようにしてベース40内にスライド移動可能に支持されている。
一方、基本制動ユニット52は、前記ベース40の一対の側板40a、40a間にほぼ収まる幅を備えた板状頭部52aと、この板状頭部52aの下部に上部を一体に連接させてベース40における前記ガイドリブ40bよりも下方の空間に収まるブロック部52bを有している。このブロック部52bの左右方向の寸法は板状頭部52aの左右方向の寸法よりも小さく、板状頭部52aとブロック部52bとの間には下方に向いた摺接面52dが左右にそれぞれ形成されており、基本制動ユニット52はこの左右の摺接面52d、52dをそれぞれ対応するガイドリブ40bに上方から引っかけるようにしてベース40内にスライド移動可能に支持されている。この実施の形態にあっては、かかる基本制動ユニットの前端側と後端側とにおいてぞれぞれその左右両側に前記ガイド溝60aに収まるキャッチャー41の走行方向に長く続く突部61dが形成されており、この突部61dによってもキャッチャー41からの壁の離間を阻止するようになっている。すなわち、この実施の形態にあっては、かかる突部61dも離間阻止手段6の掛合部61として機能するようになっている。
また、かかる二つのダンパーユニット50、50はそれぞれ、ピニオン53aを有しこのピニオン53aの回転に制動力を作用させるダンパー本体53を備えており、
一方、ベース40には、前記のようにダンパー本体53のピニオン53aに対するラック55が備えられており、
可動体11の速度に応じて(つまり、可動体11の運動エネルギーの大きさに応じて)、具体的には、所定往動位置での引き戸1’1’の速度に応じて、ラック55にダンパーのピニオン53aをかみ合わせるダンパーユニット50の数が変わるようになっている。
基本制動ユニット52は、そのブロック部52bの一面側に左右方向に沿った回転軸を中心に回転されるピニオン53aを備えたダンパー本体53を有していると共に、このダンパー本体53のピニオン53aをベース40における一対の側板40a、40aの一方に形成されたガイドリブ40bの下側部に形成されたラック55に常時かみ合わせるようにベース40側と組み合わされている。
一方、追加制動ユニット51は、そのブロック部51aの一面側に、左右方向に沿った回転軸を中心に回転されるピニオン53aを備えたダンパー本体53を可動可能に備えている。そして、前記可動体1としての引き戸1’の所定往動位置での速度が所定の速度未満であるときは、付勢によりピニオン53aをラック55にかみ合わせない離隔位置にダンパー本体53を位置づけさせるようになっている。
具体的には、追加制動ユニット51のダンパー本体53は、ピニオン53aの回転中心を挟んだ一方側において前記ブロック部51aに左右方向に沿った回動軸51dを中心に回動可能に支持されている。図示の例では、かかるダンパー本体53は、このダンパー本体53の保持部51fを備えた可動基盤51eのこの保持部51fにはめ込まれてこの可動基盤51eと一体化されてダンパー本体53を構成している。可動基盤51eはその前部をブロック部51aに前記回動軸51dをもって回動可能に組み付けている。また、可動基盤51eの回動軸51dとピニオン53aの回転中心との間であって、この可動基盤51eの上方には、バネ一端をこの間において可動基盤51eの側部に上方から押し当てて、可動基盤51eの下側部がブロック部51aの下部規制壁51hに突き当たり、かつ、ピニオン53aの上端とラック55との間に間隔を開けた離隔位置に可動基盤51e、すなわちまたダンパー本体53を付勢により位置づけさせるねじりコイルバネ(以下、このバネを第一バネ手段51iと称する。)が備えられている。
また、この実施の形態にあっては、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51とが、付勢により間隔xを開けた状態で連接されている。具体的には、図示の例では、追加制動ユニット51のブロック部51aの後端51bと、基本制動ユニット52のブロック部52bの前端52cとの間に、圧縮コイルバネが介在されている。(以下、このバネを第二バネ手段54と称する。)このバネにより基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との間に間隔xが形成されるようになっている。
また、基本制動ユニット52には、追加制動ユニット51のダンパー本体53に対する押圧部52eが形成されており、この押圧部52eによって前記間隔xを形成させた状態で基本制動ユニット52と追加制動ユニット51とが連接されている。具体的には、図示の例では、基本制動ユニット52のブロック部52bの前端52cにおける第二バネ手段54との係当箇所の下方に前方に突き出すホーン状をなす押圧部52eが形成されており、一方、追加制動ユニット51のブロック部51aにはこのブロック部51aの後端51bにおいて後方に開放されて前方に続く押圧部52eの受け入れ穴51jが形成されている。このブロック部51aにはこの受け入れ穴51jに側方から連通する窓穴51kが形成されており、(図12、図13)押圧部52eの中間に形成された掛合突起52fをこの窓穴51kに入れ込み掛合させることで、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51とが前記付勢により間隔xを開けた状態で連接されている。
そして、この実施の形態にあっては、所定往動位置における可動体1の速度が所定の速度以上であるときに、ラック55にダンパー本体53のピニオン53aを常時かみ合わせている基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との前記間隔xが付勢に抗して狭まって追加制動ユニット51のダンパー本体53がそのピニオン53aをラック55にかみ合わせる位置まで前記押圧部52eにより移動されるようになっている。(図13)具体的には、図示の例では、前記受け入れ穴51jは追加制動ユニット51の可動基盤51eの後端側51gに臨んだ箇所においても開放されており、所定往動位置における可動体1の速度が所定の速度以上であるときに、前記第二バネ手段54の付勢に抗して前方に前記間隔x分基本制動ユニット52が移動されたときに受け入れ穴51jを通じて押圧部52eの先端が可動基盤51eの後端側51gに押し当たって、ダンパー本体53がそのピニオン53aをラック55にかみ合わせる位置まで前記第一バネ手段51iの付勢に抗して可動基盤51eが回動されるようになっている。(図13)この後、可動体1の速度が所定の速度未満になったときは、前記第二バネ手段54の付勢によって前記間隔x分基本制動ユニット52は後方に移動され押圧部52eの先端は可動基盤51eの後端側51gを押さなくなることから、ダンパー本体53は離隔位置まで前記第一バネ手段51iの付勢により回動される。(図12)
より具体的には、前記付勢手段42によって引き戸1’に作用される力をE1と、引き戸1’を閉める方向に移動操作させる力をE2と、第一バネ手段51iによるダンパー本体53を離隔位置に位置づけさせる力をE3と、第二バネ手段54による基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との間隔xを保つ力をE4とした場合に、E1+E2>E3+E4であるときは、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51のダンパー本体53のピニオン53aを共にラック55にかみ合わせて可動体1としての引き戸1’の移動に二つのダンパー本体53による制動を付与し、E1+E2<E3+E4であるときは、基本制動ユニット52のダンパー本体53のピニオン53aのみをラック55にかみ合わせて可動体1としての引き戸1’の移動に一つのダンパー本体53による制動を付与するようになっている。
これにより、この例にあっては、前記所定往動位置から往動終了位置までの可動体1としての引き戸1’の速度が所定の速度以上であるときは、これに応じて引き戸1’に作用される制動力を増加させ、この引き戸1’の速度が所定の速度以下であるときはこれに応じて引き戸1’に作用される制動力を減少させることができるようになっている。引き戸1’を復動させるときは、ラック55にピニオン53aを常時かみ合わせる基本制動ユニット52には引き戸1’の往動時と逆向きの力が作用されることから、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との前記間隔xは狭められることはなく、この復動には基本制動ユニット52のダンパー本体53の制動力のみが作用される。
図示の例では、ダンパー本体53は、ローター53bとこれを回転可能に支持するステーター53cとからなり、ステーター53c内に封入されたシリコンオイルなどの流体の粘性抵抗をローター53bの回転に作用させる、いわゆるロータリーダンパーとして構成されている。こうした粘性抵抗によらず、例えば、ローター53bとステーター53cとの間に、ローター53bの回転に伴って互いに摺接する構造を備えさせて、ローター53bの回転に一定の摩擦抵抗を生じさせるようにしても良い。ピニオン53aはローター53bのステーター53cの外側に位置される外端に組み付けられ、ローター53bの回転軸がピニオン53aの回転軸となるようにしてある。
なお、制動手段5はキャッチャー41の走行に制動力を作用させてこのキャッチャー41を介して可動体1の所定往動位置から往動終了位置までの往動のスピードを低下させるものであれば良く、図示のものに限られない。かかる制動手段5として、例えば、シリンダーとピストンとを備えると共にこのピストンの押し込み又は相対的な押し込みに制動力を付与するピストンダンパーを用いる場合には、走行又は相対的に走行されるキャッチャー41によってこのピストンの押し込み又は相対的な押し込みが生じるように、ベース40内にかかるピストンダンパーを組み込むこととなる。