以下、図1〜図22に基づいて、この発明を実施するための形態について説明する。この実施の形態にかかる制動装置5は、可動体1及びこの可動体1を移動可能に支持する固定体2のいずれか一方に備えられて、可動体1の所定の移動位置から先の移動、典型的には、可動体1の所定往動位置から往動終了位置までの往動に制動を付与させるものである。
かかる制動装置5は、二以上のスライダーSと、これらスライダーSをそれぞれ移動可能に支持するベース40とを備えている。そして、これらスライダーSの一つが可動体1の所定の移動位置において前記可動体1及び固定体2の他方側(可動体1及び固定体2のうち制動装置5の備えられていない側)に当接されてこの所定の移動位置から先の可動体1の移動に制動を付与するようになっている。それと共に、可動体1の速度に応じて、これらスライダーSの全部又は一部の前記移動に対する抵抗が変化するようになっている。
その典型的な構成例の一つを図1〜図4に示す。この例では、制動装置5は可動体1側に備えられている。ベース40は可動体1の移動方向Fに沿って続く一対の壁W、Wを備えており、スライダーSはこのベース40の一対の壁W、W間において可動体1の移動方向Fに沿ったスライド移動可能に納められている。スライダーSは幅広の上部Saとこれより幅狭の下部Sbとを備え、その左右両側においてそれぞれ、この上部Saと下部Sbとの間に下方に向いた段差面Scを有している。ベース40の一対の壁W、Wにはそれぞれ、可動体1の移動方向に沿って続くリブ状支持部Waが形成されており、スライダーSはかかるリブ状支持部Waに段差面Scを上方から引っかけるようにしてベース40に支持されており、このリブ状支持部Waに段差面Scを摺接させながらベース40内を可動体1の移動方向に沿って走行又は相対的に走行されるようになっている。この例では、スライダーSは二個であり、可動体1の移動方向において隣り合って配されている。(以下、可動体1の移動前方側に位置されるスライダーSを前側のスライダーS’と、可動体1の移動後方側に位置されるスライダーSを後側のスライダーS”と称する。)前側のスライダーS’の上部Saには、前記所定の移動位置において、固定体2に備えられたストライカ3に当接される被当接部Sdが形成されている。かかる二つのスライダーS、Sにはそれぞれ前記移動に対する抵抗の抵抗発生手段Rが備えられている。この例では、かかる抵抗発生手段Rは、ラックRc及びこのラックRcに噛み合うと共に回転に制動力が作用されるピニオンRaにより構成されている。そして、かかるピニオンRaをスライダーS側に備えさせ、かつ、かかるラックRcをベース40側に備えさせている。ピニオンRaはステーターRbに回転可能に支持された図示しないローターに備えられており、スライダーSの下部の側面にステーターRbを固定させることでピニオンRaの回転軸線を左右方向に配させるようにしてスライダーSに備えられている。ラックRcはベース40の一方の壁W側において前記リブ状支持部Waの下部に形成されている。後側のスライダーS”のピニオンRaはラックRcに常時噛み合わされている。(以下、このピニオンRaを固定ピニオンRa’と称する。)前側のスライダーS’のピニオンRaは、ラックRcに噛み合わない非作用位置とラックRcに噛み合う作用位置との間に亘る回動可能にスライダーSに備えられている。そして、この例では、可動体1の速度が所定の速度以上であるときに、前記可動体1の所定の移動位置において作動手段Gの作用により前側のスライダーS’のピニオンRaが作用位置に移動されてラックRcに噛み合いこの前側のスライダーS’の前記移動に対する抵抗が増加するようになっている。(以下、このピニオンRaを可動ピニオンRa”と称する。)具体的には、前側のスライダーS’と後側のスライダーS”との間にはその移動方向において付勢により間隔xが形成されるようになっている。(図1)それと共に、可動体1の速度が所定の速度以上であるときにストライカ3に前側のスライダーS’の被当接部Sdが突き当てられると、前記間隔xが付勢に抗して狭まると共に、後側のスライダーS”に備えられた作動手段GがステーターRbに突き当たって可動ピニオンRa”が作用位置に移動されるようになっている。(図2)そして、二つのスライダーS、SはそれぞれラックRcにピニオンRaを噛み合わせた状態で、可動体1の速度が所定の速度未満になるまでの間、ベース40内を可動体1の移動後方側に向けて走行されるようになっている。この例では、かかる作動手段Gは、後側のスライダーS”の前部から前方に突き出されるアーム状をなすように構成されている。この例では、前記後側のスライダーS”の抵抗発生手段Rとしての固定ピニオンRaによって可動体1の速度が所定の速度未満であるときでも前記所定の移動位置から先の可動体1の移動に一定の制動を作用させるようになっている。それと共に、このように抵抗発生手段Rにより移動に常時一定の抵抗が作用される後側のスライダーS”によって、可動体1の速度が所定の速度以上であるときは、固定体2側と当接される前側のスライダーS’との間の間隔xを速やかに狭めて前記作動手段Gを機能させ、前側のスライダーS’の前記移動に対する抵抗の増加を通じて可動体1に作用される制動力を増加させるようになっている。
図5および図6は、後側のスライダーS”に二つの抵抗発生手段R、RとしてのピニオンRa、Raを備えさせると共に、このうちの一つを可動体1の速度が所定の速度以上であるときに作動手段Gによって作用位置に移動される可動ピニオンRa”とした例を示している。この例では、ベース40に上下二段にラックRc、Rcを備えさせると共に、前側のスライダーS’の可動ピニオンRa”が下段のラックRcに作用位置において噛み合い、後側のスライダーS”の固定ピニオンRa’が下段のラックRcに常時噛み合い、後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”が上段のラックRcに作用位置において噛み合うようになっている。また、前側のスライダーS’にはその後部から後方に突き出すアーム状をなす後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”に対する作動手段Gが、後側のスライダーS”にはその前部から前方に突き出す前側のスライダーS’の可動ピニオンRa”に対するアーム状をなす作動手段Gが、それぞれ備えられている。前側のスライダーS’の被当接部Sdが可動体1の所定の移動位置で固定体2側に当接されるまでは、前側のスライダーS’と後側のスライダーS”との間にはそれぞれの作動手段Gを相手方の可動ピニオンRa”のステーターRbに突き当てさせない間隔xが付勢により作り出され、それぞれの可動ピニオンRa”は非作用位置に位置されるようになっている。(図5)可動体1の速度が所定の速度以上である状態で前側のスライダーS’の被当接部Sdが可動体1の所定の移動位置で固定体2側に当接されると、前記付勢に抗して前記間隔xが狭まり、全てのピニオンRaがラックRcに噛み合う。(図6)この例では、可動体1の速度が所定の速度以上であるときは、全てのスライダーSの前記移動に対する抵抗が増加するようになっている。
図7および図8は、後側のスライダーS”に二つの抵抗発生手段R、Rを備えさせると共に、前側のスライダーS’には抵抗発生手段Rを備えさせていない例を示している。この例では、後側のスライダーS”の上側に抵抗発生手段Rとしての可動ピニオンRa”を備えさせると共に、後側のスライダーS”の下側に抵抗発生手段RとしてのラックRcを備えさせている。この例では、ベース40に、後側のスライダーS”のラックRcに常時噛み合う抵抗発生手段RとしてのピニオンRaが備えられていると共に、後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”が作用位置において噛み合うラックRcが備えられている。前側のスライダーS’にはその後部から後方に突き出すアーム状をなす後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”に対する作動手段Gが備えられている。前側のスライダーS’の被当接部Sdが可動体1の所定の移動位置で固定体2側に当接されるまでは、前側のスライダーS’と後側のスライダーS”との間には、前側のスライダーS’の作動手段Gを後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”のステーターRbに突き当てさせない間隔xが付勢により作り出され、後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”は非作用位置に位置されるようになっている。(図7)可動体1の速度が所定の速度以上である状態で前側のスライダーS’の被当接部Sdが可動体1の所定の移動位置で固定体2側に当接されると、前記付勢に抗して前記間隔xが狭まり、後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”がラックRcに噛み合う。(図8)この例では、二以上のスライダーSのうちの一部のスライダーSを抵抗発生手段Rを備えないスライダーSとしていると共に、可動体1の速度が所定の速度以上であるときは他の一部のスライダーSの前記移動に対する抵抗のみが増加するようになっている。
図9および図10は、後側のスライダーS”に二つの抵抗発生手段R、Rを備えさせると共に、前側のスライダーS’に一つの抵抗発生手段Rを備えさせた例を示している。この例では、後側のスライダーS”の上側に抵抗発生手段Rとしての可動ピニオンRa”を備えさせると共に、後側のスライダーS”の下側に抵抗発生手段Rとしての摩擦抵抗体Rdを備えさせている。また、前側のスライダーS’の下側に抵抗発生手段Rとしての可動ピニオンRa”を備えさせている。この例では、ベース40に、後側のスライダーS”の摩擦抵抗体Rdへの摺接部Reを備えさせると共に、後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”が作用位置において噛み合う上段のラックRcと、前側のスライダーS’の可動ピニオンRa”が作用位置において噛み合う下段のラックRcとが備えられている。この例では、摩擦抵抗体Rdは、スライダーSの側面に備えられており、ゴムやエラストマーなどの摩擦係数の高い材料から構成させることができる。また、この例では、摺接部Reは、ベース40の壁WにおけるスライダーSの移動過程に亘って前記摩擦抵抗体Rdに摺接する一部によって構成されている。また、この例では、前側のスライダーS’にはその後部から後方に突き出すアーム状をなす後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”に対する作動手段Gが、後側のスライダーS”にはその前部から前方に突き出すアーム状をなす前側のスライダーS’の可動ピニオンRa”に対する作動手段Gが備えられている。前側のスライダーS’の被当接部Sdが可動体1の所定の移動位置で固定体2側に当接されるまでは、前側のスライダーS’と後側のスライダーS”との間には、それぞれの作動手段Gを相手方の可動ピニオンRa”のステーターRbに突き当てさせない間隔がx付勢により作り出され、それぞれの可動ピニオンRa”は非作用位置に位置されるようになっている。(図9)可動体1の速度が所定の速度以上である状態で前側のスライダーS’の被当接部Sdが可動体1の所定の移動位置で固定体2側に当接されると、前記付勢に抗して前記間隔xが狭まり、前側のスライダーS’の可動ピニオンRa”が下段のラックRcに噛み合い、後側のスライダーS”の可動ピニオンRa”が上段のラックRcに噛み合う。(図10)この例では、可動体1の速度が所定の速度以上であるときは、全てのスライダーSの前記移動に対する抵抗が増加するようになっている。
以上に説明した各例にかかる制動装置5によれば、前記所定の移動位置から先に向かう可動体1の移動速度が所定の速度以上であるときは、これに応じて二以上のスライダーSの全部又は一部の前記移動に対する抵抗を増加させて可動体1に作用される制動力を増加させ、この可動体1の速度が所定の速度以下であるときはこれに応じて二以上のスライダーSの全部又は一部の前記移動に対する抵抗を減らして可動体1に作用される制動力を減少させることができる。
かかる制動装置5を構成するスライダーSの数は必要に応じて適宜変更される。一つのスライダーSに備えられる抵抗発生手段Rの数も必要に応じて適宜変更される。一つのスライダーSに二以上の抵抗発生手段Rを備えさせる場合には、各抵抗発生手段RをスライダーSの片側に設けても、スライダーSの左右両側に分けて設けさせても構わない。また、複数の抵抗発生手段RをスライダーSの移動方向において間隔を開けて備えさせても、この移動方向に直交する向きに間隔を開けて備えさせても構わない。スライダーS側の抵抗発生手段Rに対応するベース40側の抵抗発生手段RはスライダーS側の抵抗発生手段Rのレイアウトに対応してレイアウトされることとなる。
(具体的構成例)
図11〜図22は、この発明を適用して構成されたラッチ装置のより具体的な構成例を示している。以下に説明する具体的な構成例における各概念(下記の右側)は、前記図1〜図10に示される制動装置5の構成例における各概念(下記の左側)に以下のように対応するその下位概念である。
スライダーS→ダンパーユニット50
抵抗発生手段R→ダンパー本体53のピニオン53aとラック55
作動手段G→押圧部52e
なお、ここで図11は実施の形態にかかる制動装置5つきのラッチ装置4が備えられた引き戸1’を示しており、また、図12〜図14はかかる引き戸1’の要部を上方から見て示している。
また、図15はかかる装置を構成する各部品を分離させた状態で、図16はそのうちのベース40の前端側と、追加制動ユニット51でもあるラッチ体41とを、ラッチ体41の下部を上方に向けた状態として示している。また、図17はベース40の要部を示している。
また、図18および図19はラッチ体41を上方から見た状態として示しており、図19はラッチスライダー412が後退してラッチアーム413が掛合位置に回動された状態を示している。
また、図20〜図22は引き戸1’におけるかかる装置の内蔵箇所を断面にして示しており、図21は引き戸1’が所定の速度以上の速度で所定往動位置まで往動されてきたために基本制動ユニット52と追加制動ユニット51の間の間隔xが狭まった状態を示している。また、図22は図11〜図21に示される例における追加制動ユニット51と基本制動ユニット52との間にさらに追加制動ユニット51を追加させて三つのダンパーユニット50によって制動装置5を構成させた例を示している。なお、図20〜図22においては付勢手段42の記載を省略している。
かかる制動装置5は、可動体1の所定の移動位置から先の移動、典型的には、可動体1の所定往動位置から往動終了位置までの往動に制動を付与させるものである。
この実施の形態にあっては、かかる制動装置5は、固定体2としての戸枠2’に開閉可能に支持された可動体1としての引き戸1’を、それを閉める方向に移動操作させるとその途中から、これを戸当たり2aに突き当たる閉めきり位置まで自走させるようにするラッチ装置4と組み合わされて、かかる引き戸1’の所定往動位置(図13の位置)から先の往動(図13の左側への図14の位置までの往動)に制動を付与させるようになっている。これとは別に、かかるラッチ装置4によって、かかる引き戸1’を、それを開く方向に移動操作させるとその途中から、これを開ききった位置まで自走させるようにすることもできる。
(ラッチ装置4)
ラッチ装置4は、可動体1及びこの可動体1を往復動可能に支持する固定体2のいずれか一方に備えられるラッチ体41を有している。可動体1及び固定体2の他方には、かかるラッチ体41に対するストライカ3が備えられる。
図示の例では、固定体2としての戸枠2’にストライカ3が設けられ、可動体1としての引き戸1’にラッチ装置4が設けられている。
図示の例では、ストライカ3は、戸枠2’の上枠部2bに形成された引き戸1’の上端の収まる溝2c内に備えられている。図示の例では、かかるストライカ3は、引き戸1’を閉めるときにその移動前方に位置される引き戸1’の前端1aに対する戸当たり2aとの間に間隔を開けた位置において、前記溝2cの溝底から下方に突き出すように、軸上端側をこの溝底に止着させた棒状をなすように構成されている。(図21)
一方、図示の例では、引き戸1’は、その上部に、引き戸1’の上端面1bにおいて開放されて引き戸1’の移動方向に長く続くと共に、引き戸1’の前端1aにおいて前方に開放されたラッチ装置4の組み込み空間1cを備えており、ラッチ装置4はこの組み込み空間1cに納められている。
これによって、引き戸1’を所定往動位置まで閉める方向に移動させると、ストライカ3は引き戸1’の前端1aから組み込み空間1c内に入り込み、後述する待機位置に保持されたラッチ体41に捕捉されるようになっている。ラッチ体41は、ストライカ3を捕捉すると、これと同時に前記保持が解かれて後述する付勢手段42の付勢により引き戸1’の前端1aから離れる向きに移動される。図示の例では、固定体2としての戸枠2’に設けられたストライカ3を、可動体1としての引き戸1’の所定往動位置において、ラッチ体41が捕捉することから、前記付勢手段42の付勢によりラッチ体41は引き戸1’の前端1aから離れる向きに相対的に移動することとなり、この移動寸法分引き戸1’は往動終了位置である閉めきり位置まで自走往動される。
図示の例とは逆に、引き戸1’の側にストライカ3を設け、戸枠2’の側にラッチ装置4を備えさせた場合、引き戸1’の所定往動位置においてストライカ3を捕捉するラッチ体41の付勢による引き戸1’の往動先側に向けた移動によって、引き戸1’を往動終了位置である閉めきり位置まで自走往動させることとなる。
かかるラッチ装置4は、可動体1の移動方向に沿った走行可能に備えられるラッチ体41と、このラッチ体41の付勢手段42と、この付勢手段42の付勢に抗してラッチ体41を待機位置に保持する保持手段とを備えている。そして、かかるラッチ装置4は、可動体1及び固定体2の他方に備えられるストライカ3を、可動体1の所定往動位置において待機位置にあるラッチ体41に捕捉させると共に保持手段による保持を解除して、付勢手段42の付勢により走行又は相対的に走行されるラッチ体41によって可動体1を往動終了位置まで自走往動させるようになっている。
図示の例では、前記組み込み空間1c内に納め入れられるベース40に、ラッチ体41、付勢手段42、保持手段を備えさせると共に、後述する制動装置5を組み込んで、可動体1としての引き戸1’にラッチ装置4及びかかる制動装置5を備えさせている。
かかるベース40は、図示の例では、上面を開放させた細長い箱状をなすように構成されている。ベース40は、その一端を引き戸1’の前端1aに位置させるようにして前記組み込み空間1c内に引き戸1’の移動方向にベース40の長さ方向を沿わせるようにして納められている。ベース40は、引き戸1’の移動方向に沿った一対の側板40a、40aの内面にそれぞれ、この側板40aの上下方向略中程の位置においてこの側板40aの長さ方向に沿って長く続くガイドリブ40bを備えている。図示の例では、このガイドリブ40bに案内されてラッチ体41がベース40内をこのベース40の長さ方向に沿って走行するようになっており、ベース40内がラッチ体41の走行レーンとして機能するようになっている。また、一対の側板40a、40aの一方のガイドリブ40bの下部には制動装置5を構成するラック55がその歯を下向きに突き出すようにして設けられている。ベース40の一端は、前記一対の側板40a、40a間が、ガイドリブ40bよりも下方において前板部40cによって覆われ、この前板部40cよりも上方は開放されており、この開放されたベース40の一端からベース40内に前記ストライカ3が入り込むようになっている。
ベース40の一端側にはまた、前記前板部40cの上端に連続する水平板部40dが形成されている。図中符号40eで示されるのは、かかる前板部40cの後方側に取り付けられてベース40の下縁から下方に突き出す箇所を引き戸1’にネジ止めされる取り付け用ブロックである。
かかる水平板部40dの上方においては、前記一対の側板40a、40aにそれぞれ、窓穴40fが貫通状態に設けられている。また、かかる水平板部40dには、ベース40の幅方向において他方の被ロック部40gとの間に間隔を開けて一対の被ロック部40g、40gが形成されている。一対の被ロック部40g、40gはそれぞれ、窓穴40fの後方側の側縁部に後端を連続させてこの窓穴40fの下縁部をこの窓穴40fの前後方向略中程の位置までを縁取るように形成されたリブ状をなすように構成されている。一対の被ロック部40g、40gはそれぞれ、その前端に引き戸1’の前端1a側に向いた掛合面40hを有すると共に、この掛合面40hとその後端との間の内面をこの掛合面40hに向かうに連れて被ロック部40gの幅寸法を次第に広くさせる傾斜面40iとしている。前記ラッチ体41の待機位置において、このラッチ体41のラッチアーム413は窓穴40f内にその外側部を入り込ませてストライカ3に掛合部413aを掛合させない非掛合位置に位置づけられると共に、このラッチアーム413に形成されたロック部413dはかかる被ロック部40gの掛合面40hと窓穴40fの前方側の側縁部との間に入り込んで被ロック部40gに引っかかるようになっている。すなわち、図示の例では、かかる被ロック部40gとロック部413dとによって前記保持手段を構成させている。
ラッチ体41は、ラッチベース411と、ラッチスライダー412と、ラッチアーム413とから構成されている。
ラッチベース411は、前記付勢手段42に連係されてこの付勢手段42による付勢を受ける。図示の例では、かかるラッチベース411は、ベース40の長さ方向に長い左右壁部411a、411aと下壁部411bとを有すると共に、左右壁部411a、411aの外面間の間隔を前記ベース40の一対の側板40a、40a間に隙間少なく収まる寸法とした上面開口の細長い箱状をなすように構成されている。ラッチベース411の前端側には左右壁部411a、411aの上端間に亘る架橋片411cが形成されており、この架橋片411cと下壁部411bとの間に、ラッチアーム413の回動軸413cが上下方向に軸線を沿わせるようにして架設されている。かかる回動軸413cは左右にそれぞれ設けられており、左側の回動軸413cと右側の回動軸413cとの間には間隔が形成されている。ラッチベース411の後端部は左右壁部411a、411a間に亘る後壁部411dによって閉塞されている。また、この後壁部411dの後方には前記付勢手段42となる引っ張りコイルバネ42aのバネ前端の取り付け部が形成されている。かかる引っ張りコイルバネ42aのバネ後端は、ベース40の後端側においてベース40に設けられた取り付け部40kに取り付けられており、かかるバネはベース40内のガイドリブ40bよりも上方の空間内に収まるようになっている。
ラッチスライダー412は、前記ラッチベース411に前後動可能に組み合わされると共に、ストライカ3の突き当たりにより付勢に抗して後退される。図示の例では、かかるラッチスライダー412は、前記ラッチアーム413の左右の回動軸413c、413cよりも前方に位置される頭部412aと、左右の回動軸413c、413cの間を通る首部412bを介してこの頭部412aに前部を一体に連接させた胴部412cとを備えている。胴部412cはラッチベース411の左右壁部411a、411aの内面間に隙間少なく納まり、このラッチベース411内に前後方向にスライド移動可能に組み合わされて納められている。図示の例では胴部412cの後部とラッチベース411の後壁部411dとの間に納められた圧縮コイルバネ412gによってラッチスライダー412はその胴部412cと首部412bとの間にある前方に向いた左右肩部412d、412dをそれぞれラッチアーム413の連係突部413bに後方から当接させる前進位置に向けて常時付勢されている。
ラッチアーム413は、ラッチベース411に回動可能に組み付けられると共に、ストライカ3に対する掛合部413aを備えている。図示の例では、かかるラッチアーム413は、その前端に内向きに突き出す掛合部413aを備えると共に、その後端に内向きに突き出す連係突部413bを有している。図示の例では、ラッチ体41は、左右一対のラッチアーム413、413を備えており、右側のラッチアーム413はその後端において前記右側の回動軸413cをもってラッチベース411の前端側に回動可能に組み付けられ、左側のラッチアーム413はその後端において前記左側の回動軸413cをもってラッチベース411の前端側に回動可能に組み付けられ、それぞれラッチベース411の前端から前方に突き出すようにこのラッチベース411に備えられている。
そして、図示の例では、かかる左側のラッチアーム413の連係突部413bが、ラッチスライダー412の左側のあご部412eと肩部412dとの間を連係凹部412fとしてこの連係凹部412fに納まり、かつ、かかる右側のラッチアーム413の連係突部413bが、ラッチスライダー412の右側のあご部412eと肩部412dとの間を連係凹部412fとしてこの連係凹部412fに納まるようにして、ラッチスライダー412と一対のラッチアーム413、413とを組み合わせている。
そして、ラッチスライダー412の後退によって連係凹部412fの後方に向いた壁部(あご部412e)が連係突部413bを押圧してラッチアーム413がストライカ3に掛合部413aを掛合させる掛合位置に回動され、かつ、ラッチスライダー412の前進によって連係凹部412fの前方に向いた壁部(肩部412d)が連係突部413bを押圧して非掛合位置に向けたラッチアーム413の回動がなされるようになっている。
また、前記左右のラッチアーム413はそれぞれ、ラッチ体41の走行方向に間隔を開けて、可動体1の往動先側となる前方に掛合部413aを、これの後方に回動軸413cを有すると共に、この掛合部413aと回動軸413cとの間において、その下部に後方に掛合面413eを向けたロック部413dを備えている。図示の例では、ラッチ体41の待機位置において、ラッチアーム413はベース40の窓穴40fに、ラッチアーム413の回動軸413cとロック部413dとの間となる箇所を被ロック部40gの上方に位置させ、かつ、ロック部413dを被ロック部40gの前方に位置させて、その外側を入り込ませるようになっている。すなわち、被ロック部40gはラッチ体41の走行中心線を挟んだ両側に形成されている。
ラッチ体41がベース40の最も前端側(図示の例では、引き戸1’の前端1a近傍)にあるとき、ラッチアーム413の回動軸413cよりも内方においてラッチアーム413の連係突部413bは前方に付勢されるラッチスライダー412の肩部412dによって後方から押圧されることから、ラッチアーム413はベース40の窓穴40fに入り込み一対のラッチアーム413、413の掛合部413a間へのストライカ3の進入を許容する非掛合位置に位置づけられる。また、このとき、ラッチアーム413のロック部413dはベース40の被ロック部40gに引っかかり、ラッチ体41はラッチアーム413を非掛合位置に位置づけた状態で、ベース40の最も前端側に、つまり待機位置に位置づけられる。(図12)この待機位置において付勢手段42に最も付勢力が蓄勢される。
ラッチ体41を待機位置に位置づけた状態から、引き戸1’を前記所定往動位置まで往動させると、ストライカ3がベース40内に入り込み一対のラッチアーム413、413の掛合部413a間を通過してラッチスライダー412の頭部412aに前方から突き当たり付勢に抗してラッチスライダー412を後方に押し込む。ラッチスライダー412がこのように押し込まれると、ラッチアーム413の回動軸413cよりも内方においてラッチアーム413の連係突部413bはラッチスライダー412のあご部412eによって前方から押圧されることから、ラッチアーム413はベース40の窓穴40fから抜けだす向きに回動され一対のラッチアーム413、413の掛合部413a間からのストライカ3の抜け出しを阻止する掛合位置に位置づけられる。また、このとき、ラッチアーム413のロック部413dの外面はベース40の被ロック部40gの掛合面40hの内縁の内方に入り込み、このロック部413dはこの被ロック部40gから外れ、前記保持手段による前記保持が解除されるようになっている。(図13)これにより、ラッチ体41はストライカ3を捕捉した状態で付勢手段によりベース40内を後方に相対的に走行され、引き戸1’は往動終了位置まで強制的に往動される。(図14)図示の例では、一対のラッチアーム413、413はベース40の窓穴40fから抜け出した後は、ベース40の一対の側板40a、40aの内面によって掛合位置に位置づけられ続け、ストライカ3の捕捉は解かれることがないようになっている。
閉めきり位置、つまり往動終了位置にある引き戸1’(図14)を所定往動位置に向けて復動させると、この復動の過程で相対的に待機位置に向けて走行されるラッチ体41によって付勢手段42に再び蓄勢がされると共に、所定往動位置に至るとラッチアーム413は窓穴40fに入り込み可能となることから、前方に付勢されるラッチスライダー412によりラッチアーム413は非掛合位置に回動されてストライカ3を解放し、かつ、ロック部413dを再び被ロック部40gに引っかけさせてラッチ体41は再び待機位置に位置づけられる。(図12)
なお、図示の例では、ストライカ3を保持しないのに保持手段の保持が解けてラッチ体41が付勢手段の付勢により後方に走行されきってしまったときに、引き戸1’を閉め切ることでこのように後方に移動されたラッチ体41の一対のラッチアーム413、413の掛合部413aにストライカ3を掛合させて初期状態に復帰させるための、ラッチアーム413の非掛合位置への回動を許容させる弾性変形部40jがベース40の一対の側板40a、40aにそれぞれ設けられている。(図15)
かかるラッチ装置4にあっては、可動体1を所定往動位置まで往動させたときにラッチ体41のラッチスライダー412にストライカ3を突き当てさせることでラッチアーム413を掛合位置に回動させてラッチ体41にストライカ3を捕捉させることができると共に、この回動によって保持手段の保持を解除してラッチ体41を待機位置から付勢手段の付勢によって走行又は相対的に走行させるようにすることができる。そして、このラッチ体41の走行又は相対的な走行により、可動体1を往動終了位置まで自走往動させることができる。保持手段の保持の解除は、ラッチアーム413の回動によりなされることから、その解除に必要とされる力及びそのためのラッチスライダー412の押し込み量をできるだけ小さくさせることができる。
(制動装置5)
制動装置5は、二以上のダンパーユニット50をそれぞれ前記ベース40に移動可能に支持させることで構成されている。
図11〜図21に示される例では、二つのダンパーユニット50、50を、前記ベース40内にこのベース40の長さ方向に移動可能に納めさせている。この例では、二つのダンパーユニット50、50の一方は、前記ラッチ体41のラッチベース411の下部に上部を一体に連接させてこのラッチ体41と一体になってダンパーユニット50を構成させている。(以下、このダンパーユニット50を追加制動ユニット51と称する。)二つのダンパーユニット50、50の他方は、この追加制動ユニット51より後方に位置されている。(以下、このダンパーユニット50を基本制動ユニット52と称する。)
図11〜図22に示される例では、かかる追加制動ユニット51が、可動体1の所定往動位置において、固定体2側、この例では前記ストライカ3に当接されるようになっている。
追加制動ユニット51は、前記ベース40の一対の側板40a、40a間にほぼ収まるラッチベース411の下部に上部を一体に連接させてベース40における前記ガイドリブ40bよりも下方の空間に収まるブロック部51aを有している。このブロック部51aの左右方向の寸法はラッチベース411の左右方向の寸法よりも小さく、ラッチベース411とブロック部51aとの間には下方に向いた摺接面51cが左右にそれぞれ形成されており、追加制動ユニット51はこの左右の摺接面51c、51cをそれぞれ対応するガイドリブ40bに上方から引っかけるようにしてベース40内にスライド移動可能に支持されている。
一方、基本制動ユニット52は、前記ベース40の一対の側板40a、40a間にほぼ収まる幅を備えた板状頭部52aと、この板状頭部52aの下部に上部を一体に連接させてベース40における前記ガイドリブ40bよりも下方の空間に収まるブロック部52bを有している。このブロック部52bの左右方向の寸法は板状頭部52aの左右方向の寸法よりも小さく、板状頭部52aとブロック部52bとの間には下方に向いた摺接面52dが左右にそれぞれ形成されており、基本制動ユニット52はこの左右の摺接面52d、52dをそれぞれ対応するガイドリブ40bに上方から引っかけるようにしてベース40内にスライド移動可能に支持されている。
また、かかる二つのダンパーユニット50、50はそれぞれ、ピニオン53aを有しこのピニオン53aの回転に制動力を作用させるダンパー本体53を備えており、
一方、ベース40には、前記のようにダンパー本体53のピニオン53aに対するラック55が備えられており、
可動体1の速度に応じて(つまり、可動体1の運動エネルギーの大きさに応じて)、具体的には、所定往動位置での引き戸1’の速度に応じて、ラック55にダンパーのピニオン53aをかみ合わせるダンパーユニット50の数が変わるようになっている。
図11〜図21に示される例にあっては、基本制動ユニット52は、そのブロック部52bの一面側に左右方向に沿った回転軸を中心に回転されるピニオン53aを備えたダンパー本体53を有していると共に、このダンパー本体53のピニオン53aをベース40における一対の側板40a、40aの一方に形成されたガイドリブ40bの下側部に形成されたラック55に常時かみ合わせるようにベース40側と組み合わされている。
一方、追加制動ユニット51は、そのブロック部51aの一面側に、左右方向に沿った回転軸を中心に回転されるピニオン53aを備えたダンパー本体53を可動可能に備えている。そして、前記可動体1としての引き戸1’の所定往動位置での速度が所定の速度未満であるときは、付勢によりピニオン53aをラック55にかみ合わせない離隔位置にダンパー本体53を位置づけさせるようになっている。
具体的には、追加制動ユニット51のダンパー本体53は、ピニオン53aの回転中心を挟んだ一方側において前記ブロック部51aに左右方向に沿った回動軸51dを中心に回動可能に支持されている。図示の例では、かかるダンパー本体53は、このダンパー本体53の保持凹部51fを備えた可動基盤51eのこの保持凹部51fにはめ込まれてこの可動基盤51eと一体化されてダンパー本体53を構成している。可動基盤51eはその前部をブロック部51aに前記回動軸51dをもって回動可能に組み付けている。また、可動基盤51eの回動軸51dとピニオン53aの回転中心との間であって、この可動基盤51eの上方には、バネ一端をこの間において可動基盤51eの側部に上方から押し当てて、可動基盤51eの下側部がブロック部51aの下部規制壁51hに突き当たり、かつ、ピニオン53aの上端とラック55との間に間隔を開けた離隔位置に可動基盤51e、すなわちまたダンパー本体53を付勢により位置づけさせるねじりコイルバネ(以下、このバネを第一バネ手段51iと称する。)が備えられている。
また、この実施の形態にあっては、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51とが、付勢により間隔xを開けた状態で連接されている。具体的には、図示の例では、追加制動ユニット51のブロック部51aの後端51bと、基本制動ユニット52のブロック部52bの前端52cとの間に、圧縮コイルバネが介在されている。(以下、このバネを第二バネ手段54と称する。)このバネにより基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との間に間隔xが形成されるようになっている。
また、基本制動ユニット52には、追加制動ユニット51のダンパー本体53に対する押圧部52eが形成されており、この押圧部52eによって前記間隔xを形成させた状態で基本制動ユニット52と追加制動ユニット51とが連接されている。具体的には、図示の例では、基本制動ユニット52のブロック部52bの前端52cにおける第二バネ手段54との係当箇所の下方に前方に突き出すホーン状をなす押圧部52eが形成されており、一方、追加制動ユニット51のブロック部51aにはこのブロック部51aの後端51bにおいて後方に開放されて前方に続く押圧部52eの受け入れ穴51jが形成されている。このブロック部51aにはこの受け入れ穴51jに側方から連通する窓穴51kが形成されており、(図21、図21)押圧部52eの中間に形成された掛合突起52fをこの窓穴51kに入れ込み掛合させることで、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51とが前記付勢により間隔xを開けた状態で連接されている。
そして、この実施の形態にあっては、所定往動位置における可動体1の速度が所定の速度以上であるときに、ラック55にダンパー本体53のピニオン53aを常時かみ合わせている基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との前記間隔xが付勢に抗して狭まって追加制動ユニット51のダンパー本体53がそのピニオン53aをラック55にかみ合わせる位置まで前記押圧部52eにより移動されるようになっている。(図21)具体的には、図示の例では、前記受け入れ穴51jは追加制動ユニット51の可動基盤51eの後端側51gに臨んだ箇所においても開放されており、所定往動位置における可動体1の速度が所定の速度以上であるときに、前記第二バネ手段54の付勢に抗して前方に前記間隔x分基本制動ユニット52が移動されたときに受け入れ穴51jを通じて押圧部52eの先端が可動基盤51eの後端側51gに押し当たって、ダンパー本体53がそのピニオン53aをラック55にかみ合わせる位置まで前記第一バネ手段51iの付勢に抗して可動基盤51eが回動されるようになっている。(図21)この後、可動体1の速度が所定の速度未満になったときは、前記第二バネ手段54の付勢によって前記間隔x分基本制動ユニット52は後方に移動され押圧部52eの先端は可動基盤51eの後端側51gを押さなくなることから、ダンパー本体53は離隔位置まで前記第一バネ手段51iの付勢により回動される。(図21)
より具体的には、図11〜図21に示される例にあっては、前記付勢手段42によって引き戸1’に作用される力をE1と、引き戸1’を閉める方向に移動操作させる力をE2と、第一バネ手段51iによるダンパー本体53を離隔位置に位置づけさせる力をE3と、第二バネ手段54による基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との間隔xを保つ力をE4とした場合に、E1+E2>E3+E4であるときは、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51のダンパー本体53のピニオン53aを共にラック55にかみ合わせて可動体1としての引き戸1’の移動に二つのダンパー本体53による制動を付与し、E1+E2<E3+E4であるときは、基本制動ユニット52のダンパー本体53のピニオン53aのみをラック55にかみ合わせて可動体1としての引き戸1’の移動に一つのダンパー本体53による制動を付与するようになっている。
これにより、この例にあっては、前記所定往動位置から往動終了位置までの可動体1としての引き戸1’の速度が所定の速度以上であるときは、これに応じて引き戸1’に作用される制動力を増加させ、この引き戸1’の速度が所定の速度以下であるときはこれに応じて引き戸1’に作用される制動力を減少させることができるようになっている。引き戸1’を復動させるときは、ラック55にピニオン53aを常時かみ合わせる基本制動ユニット52には引き戸1’の往動時と逆向きの力が作用されることから、基本制動ユニット52と追加制動ユニット51との前記間隔xは狭められることはなく、この復動には基本制動ユニット52のダンパー本体53の制動力のみが作用される。
図22は、ダンパーユニット50を、追加制動ユニット51としてのラッチ体41と、基本制動ユニット52との間に、さらに追加制動ユニット51を配させた例を示している。この例では、中間の追加制動ユニット51に追加制動ユニット51としてのラッチ体41のダンパー本体53に対する押圧部52eが備えられている。このようにした場合、可動体1の速度に応じて、ラック55にピニオン53aをかみ合わせるダンパー本体53の数を、1個〜3個の範囲で可変させることが可能とされる。
図示の例では、ダンパー本体53は、ローター53bとこれを回転可能に支持するステーター53cとからなり、ステーター53c内に封入されたシリコンオイルなどの流体の粘性抵抗をローター53bの回転に作用させる、いわゆるロータリーダンパーとして構成されている。こうした粘性抵抗によらず、例えば、ローター53bとステーター53cとの間に、ローター53bの回転に伴って互いに摺接する構造を備えさせて、ローター53bの回転に一定の摩擦抵抗を生じさせるようにしても良い。ピニオン53aはローター53bのステーター53cの外側に位置される外端に組み付けられ、ローター53bの回転軸がピニオン53aの回転軸となるようにしてある。