WO2016092861A1

WO2016092861A1 - 開閉装置及び開閉装置付き構造体

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Publication number: WO2016092861A1
Application number: PCT/JP2015/006202
Authority: WO
Inventors: 有宇和家佐
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2014-12-11
Filing date: 2015-12-11
Publication date: 2016-06-16

Abstract

　本発明の課題は、操作力を軽減することにある。開閉装置（１ａ）において、第１駆動装置（４）及び第２駆動装置（５）は、第１部材（４１、５１）と第２部材（４２、５２）との相互作用により第２構造体（２０３）を第１方向（Ｄ１）へ動かす。連係機構（１６）は、可動体（２）が第１方向（Ｄ１）へ動くときに、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）とを連動させる。連係機構（１６）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置にある状態から第１方向（Ｄ１）とは反対の第２方向（Ｄ２）に動きだすときに、所定区間（Ｅ１）内で第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）との一方のみの相互作用に抗して可動体（２）を動かし、所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）との他方のみの相互作用に抗して可動体（２）を動かすように構成されている。

Description

開閉装置及び開閉装置付き構造体

　本発明は、開閉装置及び開閉装置付き構造体に関する。

　従来、開閉装置付き構造体としては、例えば、引戸の閉まり際にブレーキがかかるようにし、かつ、手動による引戸の開き動作を小さな力で軽く行えるようにした、引戸装置が提案されている（文献１（日本国特許出願公開番号２００９－１３８４００））。

　文献１に記載された引戸装置は、出入り口となる開口部に開閉自在に設けられる引戸を備えている。引戸の上端は、出入り口の上枠の下面に形成された溝内に摺動自在に嵌入している。引戸の上端の凹部内には、引戸が完全に閉まる直前でブレーキをかける制動装置が埋設されている。制動装置は、引戸引き込み手段と、ダンパと、磁石と、磁性体と、当たり部材とから構成されている。引戸引き込み手段は、ぜんまいばねを収納したぜんまいばねケースと、ぜんまいばねケースから繰り出され一端がぜんまいばねを巻回するリールに固定された索状体と、からなる。ダンパは、引戸が完全に閉まる直前においてブレーキをかけ緩衝するために設けられる。磁石は、ダンパのピストンロッドの先端に、索状体の他端と一体的に固定され、磁石の上端が上枠の下面に形成された溝内に位置するように設けられる。磁性体は、磁石と僅かな隙間をあけて吸引し合うように凹部内に設けられる。当たり部材は、出入り口の上枠の下面に形成された溝内において引戸が閉まる手前の位置で磁石が当接して吸着するように設けられる。

　上述の引戸装置では、引戸を閉まり際から閉じる方向に移動させるために、ぜんまいばねを用いており、引戸を開き始めるときにぜんまいばねケースから索状体を引き出す力がかかるが、スプリング部材を用いる場合に比べて引戸を開く操作力が非常に軽くなる。

　しかしながら、上述の引戸装置では、引戸を開き始めるときには、ぜんまいばねが引戸を閉じる方向に移動させる力に抗って開ける必要はあり、その力以下の操作力にすることはできないのでやはり重く感じられるという問題がある。

　また、上述の引戸装置では、引戸を開く操作力を軽くするため、ぜんまいばねが引戸を閉じる方向に移動させる力を弱めてしまうと、引戸が閉まりきらない可能性がある。

　本発明の目的は、操作力を軽減することが可能な開閉装置及び開閉装置付き構造体を提供することにある。

　本発明に係る一態様の開閉装置は、第１構造体の開口部を開閉する第２構造体に連結される可動体と、前記第２構造体が前記開口部を開閉するように前記可動体をガイドするガイド部と、を備える。開閉装置は、各々が、前記第２構造体の動く一方向に沿った第１方向に前記可動体を動かす第１駆動装置及び第２駆動装置を更に備える。前記第１駆動装置及び前記第２駆動装置は、それぞれ、前記可動体と前記ガイド部とのうち前記可動体側に設けられる第１部材と、前記ガイド部側に設けられる第２部材と、を備える。前記第１駆動装置及び前記第２駆動装置は、それぞれの前記第１部材と前記第２部材との相互作用により前記第２構造体を前記第１方向へ動かすように構成されている。本発明の開閉装置は、連係機構を更に備える。前記連係機構は、前記可動体が前記第１方向へ動くときに、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置とを連動させるように構成されている。前記連係機構は、前記第２構造体が前記第１方向における終点位置にある状態から前記第１方向とは反対の第２方向に動きだすときに、所定区間内で前記第１駆動装置と前記第２駆動装置との一方のみの前記相互作用に抗して前記可動体を動かすように構成されている。前記連係機構は、前記所定区間を過ぎた後に、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置との他方のみの前記相互作用に抗して前記可動体を動かすように構成されている。

　本発明に係る一態様の開閉装置付き構造体は、前記開閉装置と、前記第２構造体と、を備えることを特徴とする。

図１は、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略正面図である。図２は、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略断面図である。図３は、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置における要部の概略斜視図である。図４Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図４Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図５は、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略平面図である。図６Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置におけるソフトクローズ機構のフックの概略正面図である。図６Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置におけるソフトクローズ機構のフックの概略平面図である。図６Ｃは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置におけるソフトクローズ機構のフックの概略側面図である。図７Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図７Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図７Ｃは、実施形態１における開閉装置の第１磁石装置と第２磁石装置との相対的な位置関係を示す概略斜視図である。図８Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図８Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図８Ｃは、実施形態１における開閉装置の第１磁石装置と第２磁石装置との相対的な位置関係を示す概略斜視図である。図９Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図９Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図９Ｃは、実施形態１における開閉装置の第１磁石装置と第２磁石装置との相対的な位置関係を示す概略斜視図である。図１０Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１０Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１０Ｃは、実施形態１における開閉装置の第１磁石装置と第２磁石装置との相対的な位置関係を示す概略斜視図である。図１１Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１１Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１２Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１２Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１３Ａは、実施形態１の開閉装置付き構造体を第１方向に動かすときの操作力の説明図である。図１３Ｂは、実施形態１の開閉装置付き構造体を第２方向に動かすときの操作力の説明図である。図１４Ａは、実施形態２の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１４Ｂは、実施形態２の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１５Ａは、実施形態２の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１５Ｂは、実施形態２の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１６Ａは、実施形態３の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１６Ｂは、実施形態３の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１７Ａは、実施形態３の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１７Ｂは、実施形態３の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１８Ａは、実施形態４の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１８Ｂは、実施形態４の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図１９Ａは、実施形態４の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の一部破断した概略平面図である。図１９Ｂは、実施形態４の開閉装置付き構造体である引戸装置の一部破断した概略正面図である。図２０は、実施形態５の開閉装置の概略分解斜視図である。図２１Ａは、実施形態５の開閉装置の要部の概略平面図である。図２１Ｂは、実施形態５の開閉装置の要部の概略正面図である。図２２Ａは、実施形態５の開閉装置の要部の概略平面図である。図２２Ｂは、実施形態５の開閉装置の要部の概略正面図である。図２３Ａは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略平面図である。図２３Ｂは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略正面図である。図２３Ｃは、図２３Ａの要部の拡大図である。図２３Ｄは、図２３Ｂの要部の拡大図である。図２４Ａは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略分解斜視図である。図２４Ｂは、図２４Ａの要部の拡大図である。図２５は、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の拡大斜視図である。図２６Ａは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略平面図である。図２６Ｂは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略正面図である。図２６Ｃは、図２６Ａの要部の拡大図である。図２６Ｄは、図２６Ｂの要部の拡大図である。図２７Ａは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略平面図である。図２７Ｂは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略正面図である。図２７Ｃは、図２７Ａの要部の拡大図である。図２７Ｄは、図２７Ｂの要部の拡大図である。図２８Ａは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略平面図である。図２８Ｂは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略正面図である。図２８Ｃは、図２８Ａの要部の拡大図である。図２８Ｄは、図２８Ｂの要部の拡大図である。図２９Ａは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の概略平面図である。図２９Ｂは、実施形態６の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の概略正面図である。図２９Ｃは、図２９Ａの要部の拡大図である。図２９Ｄは、図２９Ｂの要部の拡大図である。図３０は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の正面図である。図３１は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の正面図である。図３２は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の正面側から見た斜視図である。図３３は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の左側面図である。図３４は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の右側面図である。図３５は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の正面図である。図３６は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の平面図である。図３７は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の斜視図である。図３８は、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の要部の分解斜視図である。図３９Ａは、ソフトクローズ機構の要部の平面図である。図３９Ｂは、ソフトクローズ機構の要部の正面図である。図３９Ｃは、ソフトクローズ機構において規制部材がトリガをキャッチしている状態の縦断面図である。図３９Ｄは、ソフトクローズ機構において規制部材がトリガをキャッチしていない初期状態の縦断面図である。図４０Ａは、ソフトクローズ装置の概略平面図である。図４０Ｂは、ソフトクローズ装置の概略正面図である。図４１Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の引戸を第１方向に動かすときの操作力の説明図である。図４１Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の引戸を第２方向に動かすときの操作力の説明図である。図４２Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を閉め始めたときの動作説明図である。図４２Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を閉め始めたときの要部の概略正面図である。図４３Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部の閉まり際の動作説明図である。図４３Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部の閉まり際の要部の概略正面図である。図４４Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部が閉まったときの動作説明図である。図４４Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部が閉まったときの要部の概略正面図である。図４５Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を開け始めたときの動作説明図である。図４５Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を開け始めたときの要部の概略正面図である。図４６Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を図４５Ａ、図４５Ｂのときよりも更に開けたときの動作説明図である。図４６Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を図４５Ａ、図４５Ｂのときよりも更に開けたときの要部の概略正面図である。図４７Ａは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を開けた後の動作説明図である。図４７Ｂは、実施形態７の開閉装置付き構造体である引戸装置の開口部を開けた後の要部の概略正面図である。図４８は、実施形態７の変形例の開閉装置付き構造体である引戸装置の変形例の要部の概略正面図である。

　以下の実施形態１～７等において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。

　（実施形態１）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ａ及び開閉装置付き構造体２００ａについて図１～図１３に基づいて説明する。

　開閉装置付き構造体２００ａは、開閉装置１ａと、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉自在な第２構造体２０３と、を備える。なお、図４Ａ及び図４Ｂ、図７Ａ～図７Ｃ、図８Ａ～図８Ｃ、図９Ａ～図９Ｃ、図１０Ａ～図１０Ｃ、図１１Ａ及び図１１Ｂ、図１２Ａ及び図１２Ｂは、それぞれ開閉装置１ａ及び開閉装置付き構造体２００ａの異なる状態を示している。

　開閉装置１ａは、図４Ａ、図４Ｂに示すように、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉する第２構造体２０３に連結される可動体２と、第２構造体２０３が開口部２０２を開閉するように可動体２をガイドするガイド部３と、を備える。開閉装置１ａは、各々が、第２構造体２０３の動く一方向に沿った第１方向Ｄ１に可動体２を動かす第１駆動装置４及び第２駆動装置５を更に備える。第１方向Ｄ１は、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じる向きである。

　第１駆動装置４及び第２駆動装置５は、それぞれ、可動体２とガイド部３とのうち可動体２側に設けられる第１部材４１、５１と、ガイド部３側に設けられる第２部材４２、５２と、を備える。第１駆動装置４及び第２駆動装置５は、それぞれの第１部材４１、５１と第２部材４２、５２との相互作用により第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすように構成されている。開閉装置１ａは、連係機構１６を更に備える。連係機構１６は、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くときに、第１駆動装置４と第２駆動装置５とを連動させるように構成されている。連係機構１６は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態から第１方向Ｄ１とは反対の第２方向Ｄ２に動きだすときに、所定区間Ｅ１内で第１駆動装置４と第２駆動装置５との一方のみの相互作用に抗して可動体２を動かすように構成されている。連係機構１６は、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動いて所定区間Ｅ１を過ぎた後に、第１駆動装置４と第２駆動装置５との他方のみの相互作用に抗して可動体２を動かすように構成されている。

　以上説明した構成の開閉装置１ａでは、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすときに、所定区間Ｅ１において第１駆動装置４及び第２駆動装置５の両方で可動体２を動かすことが可能となる。また、開閉装置１ａでは、人が第２構造体２０３を第２方向Ｄ２へ動かすときに、所定区間Ｅ１内では第１駆動装置４と第２駆動装置５のうち一方（ここでは、第１駆動装置４）の力に抗して動かせばよく、所定区間Ｅ１を過ぎた後に他方（ここでは、第２駆動装置５）の力に抗して動かせばよい。これにより、開閉装置１ａは、人の操作力を軽減することが可能となる。開閉装置１ａにおいて、第２構造体２０３の、第１方向Ｄ１における終点位置は、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた閉位置である。

　第１駆動装置４の第１部材４１は、可動体２に連結されている。連係機構１６は、第１連係装置６と、第２連係装置７と、を備える。第１連係装置６は、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くときに、第２駆動装置５の第１部材５１を可動体２と連動させるように構成されている。また、第１連係装置６は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動きだすときに、所定区間Ｅ１内で第２駆動装置５の第１部材５１と可動体２との連動状態を解除させるように構成されている。第２連係装置７は、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動いて所定区間Ｅ１を過ぎた後に、第２駆動装置５の第１部材５１を可動体２と連動させるように構成されている。よって、開閉装置１ａでは、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすときに、所定区間Ｅ１において第１駆動装置４及び第２駆動装置５の両方で可動体２を動かすことが可能となる。また、開閉装置１ａでは、人が第２構造体２０３を第２方向Ｄ２へ動かすときに、所定区間Ｅ１内では第１駆動装置４と第２駆動装置５のうち第１駆動装置４の相互作用の力に抗して動かせばよく、所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５の相互作用の力に抗して動かせばよい。これにより、開閉装置１ａは、操作力を軽減することが可能となる。

　第１駆動装置４では、第１部材４１が第１磁石装置９であり、第２部材４２が第２磁石装置１０である。第１駆動装置４は、図８Ａ～図８Ｃに示すように、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態で、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが、第１方向Ｄ１に直交する第３方向Ｄ３で離れて対向し吸引力が作用するように構成されている。よって、開閉装置１ａは、可動体２を第１方向Ｄ１へ動かすときに、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との吸引力により、人の操作力を補助することが可能となる。

　第２駆動装置５は、ソフトクローズ機構８である。ソフトクローズ機構８は、第２構造体２０３が開いた状態から第１方向Ｄ１へ動いたときに、所定位置で第２構造体２０３を減速させ、第２構造体２０３を自動的に終点位置まで動かすように構成されている。よって、開閉装置１ａは、可動体２が第１方向Ｄ１へ動いて所定位置まで移動したときに、ソフトクローズ機構８により、可動体２を動かすことが可能となる。

　ソフトクローズ機構８は、支持部８１と、支持部８１に第１端部８２１（図４Ｂ参照）が接続された引張ばね８２と、引張ばね８２における第１端部８２１とは反対側の第２端部８２２（図４Ｂ参照）に接続された規制部材８３と、を備える。ソフトクローズ機構８は、ガイド部３の所定位置に設けられたトリガ８５を更に備える。ソフトクローズ機構８は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに、規制部材８３がトリガ８５をキャッチするように構成されている。よって、開閉装置１ａは、可動体２を第１方向Ｄ１へ動かすときに、引張ばね８２のばね力により、可動体２を自動的に第１方向Ｄ１へ動かすことが可能となる。ソフトクローズ機構８は、規制部材８３と支持部８１との間に設けられたダンパ８４を備えるのが好ましい。これにより、ソフトクローズ機構８は、第１方向Ｄ１へ動かす可動体２の速度を、ダンパ８４により、減速させることが可能となる。したがって、ソフトクローズ機構８は、第１方向Ｄ１へ動かす第２構造体２０３の速度を、ダンパ８４により、減速させることが可能となる。第２駆動装置５では、第１部材５１が、引張ばね８２と規制部材８３とダンパ８４とで構成されている。第２駆動装置５では、第２部材５２が、トリガ８５で構成されている。ソフトクローズ機構８がダンパ８４を備えていない場合、第１部材５１は、引張ばね８２と規制部材８３とで構成される。

　開閉装置付き構造体２００ａは、引戸装置であり、第１構造体２０１が戸枠により構成され、開口部２０２が戸枠の開口部により構成され、第２構造体２０３が引戸により構成されている。開閉装置１ａにおけるガイド部３は、戸枠に取り付けられるレールにより構成されている。以下では、説明の便宜上、開閉装置付き構造体２００ａ、第１構造体２０１、第１構造体２０１の開口部２０２、及びガイド部３を、それぞれ、引戸装置２００ａ、戸枠２０１、戸枠２０１の開口部２０２、及びレール３と称することもある。

　引戸装置２００ａは、図１～図４Ｂに示すように、戸枠２０１の開口部２０２を開閉する引戸２０３と、戸枠２０１に取り付けられるレール３と、第１戸車２０５と、第２戸車２０６と、を備える。

　引戸装置２００ａの各構成要素については、以下に詳細に説明する。

　引戸装置２００ａは、図４Ａ、図４Ｂに示すように、引戸２０３の上端部２０４における長手方向の第１端部２１３が第１連結部２２５を介して第１戸車２０５と連結され、第２端部２１４が第２連結部２２６を介して第２戸車２０６と連結されている。第１戸車２０５は、４つの車輪２１５を備えている。第２戸車２０６は、４つの車輪２１６を備えている。したがって、引戸装置２００ａでは、引戸２０３と第１戸車２０５及び第２戸車２０６とが連動する。

　レール３は、引戸２０３の開閉方向に沿って配置されている。レール３は、戸枠２０１における上の横木部材２１１（図１及び図２参照）に固定されている。レール３は、下面側が開放された断面略Ｃ字形に形成されている。横木部材２１１の下面には、レール３を収納する溝２１２（図２参照）が形成されている。レール３は、横木部材２１１の溝２１２の底面に固定されている。レール３の材料としては、例えば、ステンレス鋼等を採用することができる。レール３は、第１戸車２０５及び第２戸車２０６が走行する走行レールである。よって、第１戸車２０５及び第２戸車２０６は、戸枠２０１に固定されたレール３を走行自在となっている。引戸装置２００ａは、例えば、図２に示すように、引戸２０３の下端部２２４が敷居２０７の溝２１７にスライド自在に保持される構成とすることができる。

　第１戸車２０５は、可動体２に一体化されている。言い換えれば、可動体２は、第１戸車２０５を備えている。開閉装置１ａは、ソフトクローズ機構８の支持部８１に一体化された走行装置２０８を備えている。走行装置２０８は、図４Ａ、図４Ｂに示すように、支持部８１に連結された本体２０９と、本体２０９の車軸に取り付けられた一対の車輪２１８と、を備える。また、ソフトクローズ機構８では、支持部８１とは反対側の端部８６における幅方向の両側に、車輪２１０が１つずつ取り付けられている。よって、開閉装置１ａでは、可動体２及びソフトクローズ機構８それぞれが、レール３をレール３の長手方向に沿って往復移動自在となっている。

　ソフトクローズ機構８は、引戸２０３が開口部２０２を開いた状態（図４Ｂ参照）から閉じる方向へ動いたときに、図７Ａ及び７Ｂに示す所定位置で引戸２０３の減速を開始させ、引戸２０３を自動的に閉位置（図８Ｂ参照）まで動かすように構成されている。ここで、ソフトクローズ機構８は、走行装置２０８が第２戸車２０６に当たって第２戸車２０６を減速させることで、引戸２０３を減速させる。また、ソフトクローズ機構８は、引戸２０３を自動的に閉位置まで動かすときには、引張ばね８２の縮もうとする勢いを緩めつつ、第１連係装置６及び可動体２を介して第１戸車２０５を押す。「閉位置」とは、引戸２０３の戸先２３０が戸枠２０１に当たる位置（又は、戸先２３０と戸枠２０１との間に隙間があっても、戸先２３０が戸枠２０１に当たっているに等しい位置）である。言い換えれば、「閉位置」とは、開口部２０２を引戸２０３により閉鎖する位置である。以下では、引戸２０３を自動的に閉位置まで動かす機能を、「自閉機能」ともいう。要するに、ソフトクローズ機構８は、引戸２０３が開かれた状態から所定位置まで閉じられたときに、自閉機能が作動する。言い換えれば、ソフトクローズ機構８は、引戸２０３が閉じる向きに動かされたときに、引戸２０３を閉位置まで引き込むための装置である。「引き込む」とは、引戸２０３を閉位置まで自動的に動かすことを意味し、引戸２０３が閉位置まで自動的に動くように可動体２を自動的に動かすことを意味する。本明細書では、ソフトクローズ機構８が所定位置にあるときの、引戸２０３の戸先２３０と戸枠２０１との間の距離を所定距離Ｌ１（図７Ｂ参照）と称する。所定距離Ｌ１は、５０ｍｍに設定されている。所定距離Ｌ１は、例えば、３０ｍｍ～１００ｍｍ程度の範囲で設定されているのが好ましい。なお、所定位置は、閉位置（以下、「全閉位置」ともいう）と、引戸２０３を最も開いた位置（以下、「全開位置」ともいう）との間で全閉位置及び全開位置から離れている。

　支持部８１の材料は、例えば、樹脂等を採用することができる。

　ソフトクローズ機構８は、引張ばね８２と規制部材８３とダンパ８４とを収納するケース８０（図５参照）を備えているのが好ましい。ケース８０は、角筒状に形成されており、その軸方向が、レール３の長手方向に揃うように配置されている。ソフトクローズ機構８では、ケース８０の軸方向における走行装置２０８側の端部８０ｂが支持部８１により塞がれているのが好ましい。ケース８０の材料は、例えば、鉄、ステンレス鋼等を採用することができる。

　規制部材８３は、ベース８３ａと、ベース８３ａに回転自在に支持されたフック８３ｂと、を備えているのが好ましい。ベース８３ａは、平面視形状が二股のフォーク状に形成されている。フック８３ｂは、レール３の幅方向に直交する面内で回転自在となるようにベース８３ａに支持されている。言い換えれば、フック８３ｂは、第３方向Ｄ３に平行な方向に直交する面内で回転自在となるようにベース８３ａに支持されている。規制部材８３は、フック８３ｂの一部がケース８０の上壁８０ｃ（図５参照）から突出するように構成されている。開閉装置１ａでは、第２部材５２として、自閉機能を作動させるためのトリガ８５（図４Ｂ参照）が、レール３に設けられている。トリガ８５は、引戸２０３が開かれた状態（開口部２０２を開いた状態）から所定位置まで閉じられたときにフック８３ｂと連係して、自閉機能を作動させる。トリガ８５は、レール３の上壁の下面から下方に突出した突起により構成されている。トリガ８５は、レール３の幅方向に直交する断面の形状を、矩形状とすることができる。トリガ８５及びフック８３ｂのそれぞれの形状は、上述の例に限らない。

　引張ばね８２は、引張コイルばねにより構成されている。引張ばね８２は、図４Ｂに示すように、第２端部８２２が規制部材８３のベース８３ａに連結され、第１端部８２１が支持部８１に連結されている。引張ばね８２は、レール３の長手方向に沿った方向において伸縮可能となっている。ソフトクローズ機構８は、２つの引張ばね８２を備えている。２つの引張ばね８２は、ケース８０の幅方向に並んで配置されている。引張ばね８２の数は、１つでもよいし、３つ以上でもよい。

　ケース８０の上壁８０ｃの幅方向の中央部には、図５に示すように、ケース８０の長手方向に沿って形成された直線状のスリット８０ｄと、スリット８０ｄにおいて支持部８１側とは反対側の一端に連通して形成された矩形状の孔８０ｅと、が形成されている。これに対して、フック８３ｂは、図６Ａ、図６Ｂ及び図６Ｃに示すように、スリット８０ｄよりも幅広で、かつ孔８０ｅよりも幅狭の頭部８３ｂａと、スリット８０ｄよりも幅狭の案内部８３ｂｂと、を備えている。頭部８３ｂａは、正面視で上側が開放されたＣ字形の形状に形成されており、トリガ８５をキャッチ可能となっている。フック８３ｂは、頭部８３ｂａを孔８０ｅに進退自在に挿入可能となっている。フック８３ｂは、頭部８３ｂａが孔８０ｅに挿入された状態で、第１方向Ｄ１と第３方向Ｄ３とに直交する第４方向Ｄ４（図４Ｂ参照）に対して傾く。案内部８３ｂｂは、正面視矩形状に形成されている。案内部８３ｂｂは、フック８３ｂが傾いていない状態で、ケース８０をレール３の長手方向に沿ってスライド自在にガイドする機能を有する。

　フック８３ｂは、二股状のベース８３ａに回転自在に保持される２つの突起８３ｂｃを備えている。フック８３ｂでは、案内部８３ｂｂの幅方向の両面の各々から突起８３ｂｃが突出している。突起８３ｂｃは、円柱状に形成されている。

　ダンパ８４は、物体の運動エネルギを熱に変えて散逸させることにより物体の運動を抑制する装置である。ここで、物体は、第１戸車２０５及び引戸２０３を含む。ダンパ８４としては、例えば、運動エネルギを熱に変えて散逸させる媒体がオイルであるオイルダンパを採用することができる。ダンパ８４は、例えば図４Ａ、図４Ｂに示すように、オイルが封入されたシリンダ８４ａと、シリンダ８４ａから突出したロッド８４ｂと、を備えたオイルダンパを採用することができる。ダンパ８４は、シリンダ８４ａが支持部８１に連結され、ロッド８４ｂがベース８３ａに連結されている。

　ソフトクローズ機構８では、例えば図４Ａ、図４Ｂに示すように、フック８３ｂが傾いてフック８３ｂの頭部８３ｂａ（図６Ａ、図６Ｂ及び図６Ｃ参照）の一部が孔８０ｅ（図５参照）に入っている状態のとき、引張ばね８２及びダンパ８４が引っ張られている。

　ソフトクローズ機構８は、例えば図７Ａ、図７Ｂに示すようにフック８３ｂが起立してトリガ８５に固定された状態のとき、フック８３ｂを基準としてケース８０をスライド自在とすることができる。

　ソフトクローズ機構８では、引戸２０３が開口部２０２を開いた状態で、かつ自閉機能が作動していない状態では、図４Ａ、図４Ｂに示すように、引張ばね８２が自由長さよりも長い所定長さまで引っ張られており、傾いたフック８３ｂの頭部８３ｂａの一部が、孔８０ｅ内にある。「引張ばね８２の自由長さ」とは、無荷重時の引張ばね８２の長さである。「自閉機能が作動していない状態」とは、ソフトクローズ動作が開始されてない状態を意味する。

　ソフトクローズ機構８では、引戸２０３を閉じる方向において引戸２０３が所定位置まで動いたときに、トリガ８５にフック８３ｂが接触してフック８３ｂが引き起こされる（図７Ａ、図７Ｂ参照）。すると、ソフトクローズ機構８では、ソフトクローズ動作が開始され、引張ばね８２が自由長さに戻ろうとする力により、フック８３ｂを基準としてケース８０がスライドする。これにより、引戸装置２００ａでは、引戸２０３が自動的に閉位置まで閉じる。ここで、引戸２０３が閉じる速度は、引張ばね８２の引張力、ダンパ８４の減速効果、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間の磁力（吸引力）等によって決まる。開閉装置１ａは、引戸２０３が戸枠２０１の開口部２０２を閉じた閉位置にある状態で、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とに吸引力が作用するように構成されている。「引戸２０３を閉じる」とは、引戸２０３が開口部２０２を閉じることを意味する。「引戸２０３を開く」とは、引戸２０３が開口部２０２を開くことを意味する。

　引戸２０３は、操作部２２３（図１参照）を備えている。操作部２２３は、引戸２０３を開くときや閉じるときに人が手をかける引手である。より詳細には、引手は、引戸２０３を開くときや閉じるときに人が指をかける金具等により構成することができる。本明細書における引手は、引戸２０３に対して動く必要のない部材である。引手は、引戸２０３を開く方向若しくは閉じる方向に操作者の操作力が加えられる部材である。操作部２２３は、引戸２０３を開く方向に動かすとき及び閉じる方向に動かすときに操作者が特別な操作を行う必要がない部材により構成されているのが好ましい。「特別な操作」とは、例えば、回転操作等を意味する。

　可動体２は、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との相対的な位置関係（以下、「相対位置関係」ともいう。）を、操作部２２３の操作に応じて、変化できるように構成されている。言い換えれば、可動体２は、引戸２０３の動きに応じて第１磁石装置９と第２磁石装置１０との相対位置関係を変化できるように構成されている。

　第１磁石装置９は、図７Ｃに示すように、２つの第１磁石４１１を備えている。２つの第１磁石４１１は、可動体２に固定されている。

　第１磁石４１１は、長方形の板状に形成されている。第１磁石４１１は、厚さ方向の一面側がＮ極、他面側がＳ極となるように着磁されている。第１磁石装置９では、２つの第１磁石４１１が第４方向Ｄ４（図４Ｂ参照）に並んで配置されている。また、第１磁石装置９では、厚さ方向の一面において、隣り合う２つの第１磁石４１１のうち一方の第１磁石４１１の磁極面がＮ極、他方の第１磁石４１１の磁極面がＳ極、となるように配置されているが、これに限らない。第１磁石装置９は、複数の第１磁石４１１が第４方向Ｄ４に並んでいて、かつ、第４方向Ｄ４において隣り合う第１磁石４１１の磁化の向きが逆向きとなるように構成されているのが好ましい。

　可動体２は、第１磁石装置９や第２磁石装置１０の磁界に影響を与えないように、常磁性材料や樹脂材料等により形成されているのが好ましい。常磁性材料としては、例えば、アルミニウム、真鍮、銅合金等を挙げることができる。複数の第１磁石４１１の各々は、可動体２に対して接着剤等により固定することができる。

　可動体２は、可動体本体２１を備えている。可動体本体２１は、長尺の板状に形成されている。可動体本体２１は、長手方向が第１方向Ｄ１に揃い厚さ方向が第３方向Ｄ３に揃うように配置されている。

　可動体本体２１の長手方向の両端には、図４Ａに示すように、第１磁石４１１を位置決めする外鍔部２２が形成されている。外鍔部２２は、第３方向Ｄ３に平行な方向へ突出して形成されている。

　第２磁石装置１０は、図７Ｃに示すように、２つの第２磁石４２１を備えている。２つの第２磁石４２１は、レール３に固定されている。第２磁石装置１０は、レール３に対して接着剤等により固定することができる。レール３の材料は、非磁性材料であるのが好ましいが、これに限らず、非磁性材料以外の材料でもよい。

　第２磁石４２１は、長方形の板状に形成されている。第２磁石４２１は、厚さ方向の一面側がＮ極、他面側がＳ極となるように着磁されている。第２磁石装置１０では、２つの第２磁石４２１が第４方向Ｄ４に並んで配置されている。また、第２磁石装置１０では、厚さ方向の一面において、隣り合う２つの第２磁石４２１のうち一方の第２磁石４２１の磁極面がＳ極、他方の第２磁石４２１の磁極面がＮ極、となるように配置されているが、これに限らない。第２磁石装置１０は、複数の第２磁石４２１が第４方向Ｄ４に並んでいて、かつ、第４方向Ｄ４において隣り合う第２磁石４２１の磁化の向きが逆向きとなるように構成されているのが好ましい。

　第２磁石装置１０は、第１磁石装置９と同じ大きさであるのが好ましい。また、第２磁石４２１は、第１磁石４１１と同じ大きさであるのが好ましい。

　上述の第１磁石４１１及び第２磁石４２１は、永久磁石により構成されているのが好ましい。永久磁石の材料としては、例えば、ネオジム（ＮｄＦｅＢ）、サマリウムコバルト（ＳｍＣｏ）、アルニコ（Ａｌ－Ｎｉ－Ｃｏ）、フェライト等を採用することができる。

　開閉装置１ａは、２つの第２磁石装置１０を備えているのが好ましい。開閉装置１ａでは、２つの第２磁石装置１０同士が対向しているのが好ましい。そして、開閉装置１ａでは、２つの第２磁石装置１０において互いに対向する第２磁石４２１同士で磁化の向きが逆向きとなるように、２つの第２磁石装置１０が配置されている。また、開閉装置１ａは、２つの第１磁石装置９を備えているのが好ましい。そして、２つの第２磁石装置１０の各々に、互いに異なる第１磁石装置９が対向するように配置されているのが好ましい。第２磁石装置１０は、対向する第１磁石装置９の厚さ方向において第２磁石装置１０と第１磁石装置９とが所定ギャップ長だけ離れるように配置されている。より詳細には、開閉装置１ａでは、２つの第２磁石装置１０の間に各第２磁石装置１０から離れて２つの第１磁石装置９が位置するように、２つの第１磁石装置９及び２つの第２磁石装置１０の相対的な位置関係を設定してあるのが好ましい。これにより、開閉装置１ａは、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間のギャップの狭ギャップ化を図りながらも、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との接触を抑制することが可能となる。開閉装置１ａは、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とのギャップの狭ギャップ化により、磁束の利用効率の向上を図ることが可能となって、第１磁石装置９及び第２磁石装置１０の小型化を図ることが可能となる。

　第１連係装置６は、図４Ａ、図４Ｂに示すように、第１駆動装置４の第１部材４１に連結された受動部６１と、第２駆動装置５の第１部材５１に連結された押部６２と、を有する。第２連係装置７は、第２駆動装置５の第１部材５１に連結された受動部７１と、第１駆動装置４の第１部材４１に連結された押部７２と、を有する。第１連係装置６の受動部６１又は押部６２は、押部６２と受動部６１とが接触して連係する位置と、押部６２と受動部６１とが接触せず連係しない位置との間で動くことが可能である。第１連係装置６の押部６２と受動部６１とが接触している第１状態（図４Ｂ、図７Ｂ参照）では、第２連係装置７の押部７２と受動部７１とが離れている。第２連係装置７の押部７２と受動部７１は、第１連係装置６の押部６２と受動部６１とが接触していないときに、第１駆動装置４と第２駆動装置５とが第１状態よりも近づいた第２状態（図１０Ａ参照）で接触する。第１連係装置６の押部６２は、受動部６１に接触して受動部６１を押し動かすことができるように構成されている。第２連係装置７の押部７２は、受動部７１に接触して受動部７１を押し動かすように構成されている。よって、開閉装置１ａは、第２構造体２０３により開口部２０２を閉じるときに、第１方向Ｄ１に可動体２を動かす力を、第１駆動装置４と第２駆動装置５との両方によって補助することが可能となる。また、開閉装置１ａは、第２構造体２０３により開口部２０２を開くときに、可動体２を第２方向Ｄ２に動かす力を、まず、第１駆動装置４によって補助し、その後、第２駆動装置５によって補助することが可能となる。

　開閉装置１ａは、ソフトクローズ機構８のケース８０（図５参照）の両側面に１つずつ取り付けられた２つの支持体６７（図４Ａ参照）を備えている。また、開閉装置１ａでは、第１連係装置６の押部６２が、２つの支持体６７の先端部の間に架け渡された円柱状のピンにより構成されている。これにより、第１連係装置６の押部６２は、第２駆動装置５（ソフトクローズ機構８）の第１部材５１に連結されている。

　支持体６７は、ケース８０よりも長尺の板状に形成されている。支持体６７は、長手方向が第１方向Ｄ１に揃い厚さ方向が第３方向Ｄ３に揃うように配置されている。支持体６７の材料としては、例えば、金属を採用することができる。金属としては、例えば、鉄等を採用することができる。

　図４Ａ、図４Ｂに示すように、第２連係装置７の押部７２は、可動体２（可動体本体２１）から第２方向Ｄ２へ突出して設けられている。第２連係装置７の受動部７１は、第２駆動装置５（ソフトクローズ機構８の端部８６）から第１方向Ｄ１へ突出して設けられている。受動部７１は、押部７２によって押すことが可能となっている。

　開閉装置１ａは、第１連係装置６の押部６２と第２連係装置７の押部７２とが互いに干渉しないように上下方向（第４方向Ｄ４）における相対的な配置を異ならせてある。したがって、開閉装置１ａは、第１連係装置６の押部６２が受動部６１を押す動作、第２連係装置７の押部７２が受動部７１を押す動作、それぞれの動作安定性を向上させることが可能となる。これにより、開閉装置１ａは、第１連係装置６及び第２連係装置７それぞれの動作安定性を向上させることが可能となる。

　開閉装置１ａは、図４Ａ、図４Ｂに示すように、受動部６１を有する連係部材６０を備える。連係部材６０は、可動体２に設けられた押部７２の、第３方向Ｄ３における両側面側に配置されている。連係部材６０は、可動体２に対して、第３方向Ｄ３に直交する面内において回転自在となるように回転軸６４によって支持されている。これにより、連係部材６０は、第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２のいずれの方向へも、可動体２と一緒に移動することができる。

　連係部材６０では、回転軸６４を中心として可動体２から遠い側の部分が受動部６１を構成し、可動体２に近い側の部分が連係解除片６６を構成している。受動部６１は、可動体２とソフトクローズ機構８とを連係状態とするための機能部である。連係解除片６６は、可動体２とソフトクローズ機構８とを非連係状態とするための機能部である。連係部材６０は、可動体２とソフトクローズ機構８との間での動力の伝達、遮断を行うクラッチとして機能することができる。

　受動部６１は、回転軸６４の軸方向から見た形状が、扇状の形状に形成されており、円弧状の先端面に押部６２が当たることが可能となっている。開閉装置１ａでは、第１連係装置６の押部６２が受動部６１に当たった状態において、可動体２とソフトクローズ機構８とが一緒に動くことが可能となっている。

　連係解除片６６は、図４Ａ及び図８Ａに示すように、回転軸６４の軸方向から見た形状が、直角三角形状の形状に形成されており、その斜面が、レール３に固定されているピン３９（以下、「連係解除用ピン３９」ともいう）と当たることが可能となっている。連係解除用ピン３９は、引戸２０３が閉位置まで移動したときに、連係解除片６６を所定角度（例えば、１５°）だけ回転させて可動体２とソフトクローズ機構８とを非連係状態とする。連係部材６０は、連係解除片６６の質量が受動部６１の質量よりも大きくなるように設計してある。

　引戸装置２００ａでは、引戸２０３が開いた状態で、操作者が操作部２２３に触れて引戸２０３を閉じる向きの操作力を与えると、引戸２０３の戸先２３０が戸枠２０１に近づくように引戸２０３が移動する。

　図４Ａ及び図４Ｂは、引戸２０３が開いた状態から引戸２０３を閉め始めたときの開閉装置１ａの状態を示している。図４Ａ及び図４Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１が押部６２に押されるので、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くことができる。

　図７Ａ及び図７Ｂは、引戸２０３を閉じる方向に動かしている途中で、第１駆動装置４が動作し、かつ引戸２０３が第２駆動装置５の動作する所定位置まで移動したときの開閉装置１ａの状態を示している。第１駆動装置４は、第１磁石装置９の端部と第２磁石装置１０の端部とが第３方向Ｄ３において重なることにより、所望の吸引力を発生させることが可能となる。より詳細には、第１駆動装置４は、例えば、第１磁石装置９及び第２磁石装置１０の、第１方向Ｄ１における長さを６０ｍｍに設定してある場合、それぞれの５ｍｍ程度の端部が第３方向Ｄ３において重なることにより、所望の吸引力を発生させることが可能となる。第２駆動装置５は、フック８３ｂがトリガ８５をキャッチすることにより、ソフトクローズ動作を開始させることが可能となる。図７Ａ及び図７Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１が押部６２に押されるので、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くことができる。図７Ａ及び図７Ｂの状態から可動体２を第１方向Ｄ１へ動かすときには、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間の吸引力と、ソフトクローズ機構８の引張ばね８２によるばね力と、によって、人が引戸２０３を操作するときの操作力を補助することが可能となる。要するに、引戸装置２００ａでは、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力と、ソフトクローズ機構８による引き込み力と、によって、引戸２０３が自動的にゆっくりと閉まることができる。「引き込み力」とは、引戸２０３を閉位置に向かって動かすように作用する力を意味する。

　図８Ａ及び図８Ｂは、引戸２０３が閉位置まで移動したときの開閉装置１ａの状態を示している。つまり、図８Ａ及び図８Ｂは、ソフトクローズ動作が終了したときの開閉装置１ａの状態を示している。図８Ａ及び図８Ｂの開閉装置１ａの状態では、第１磁石装置９の一部と第２磁石装置１０の一部とが対向し、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に吸引力が発生している。図８Ａ及び図８Ｂの状態では、押部６２が受動部６１から離れており、押部６２と受動部６１とが非連係状態となっている。

　図９Ａ及び図９Ｂは、引戸２０３が閉位置にある状態から引戸２０３を開き始めたときの開閉装置１ａの状態を示している。図９Ａ及び図９Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが離れ、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが離れている。つまり、開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが非連係状態で、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが非連係状態となっている。したがって、開閉装置１ａに起因した操作負荷は、主に、第１磁石装置９と第２磁石装置１０と間の磁力（吸引力）となる。要するに、引戸装置２００ａでは、引戸２０３が閉じた状態で、操作者が操作部２２３に指をかけて引戸２０３を開く向きの操作力を与えると、引戸２０３の戸先２３０が戸枠２０１から離れるように引戸２０３が移動する。このとき、引戸装置２００ａでは、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力に抗して、引戸２０３を動かす操作力が必要となる。

　図１０Ａ及び図１０Ｂは、人が引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かしている途中で、第２連係装置７の押部７２が受動部７１に当たったときの開閉装置１ａの状態を示している。開閉装置１ａでは、引戸２０３が第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に磁力が発生する所定区間Ｅ１を過ぎた後に、第２連係装置７の押部７２が受動部７１に当たる。図１０Ａ及び図１０Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが離れ、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが当たっている。したがって、引戸２０３を開くときの開閉装置１ａに起因した操作負荷は、主に、引張ばね８２の引張力となる。

　図１１Ａ及び図１１Ｂは、図１０Ａ及び図１０Ｂの状態から人が引戸２０３を更に第２方向Ｄ２へ動かしたときの開閉装置１ａの状態を示している。図１１Ａ及び図１１Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが離れ、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが当たっている。つまり、開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが非連係状態で、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが連係状態となっている。したがって、開閉装置１ａに起因した操作負荷は、主に、引張ばね８２の引張力となる。図１１Ａ及び図１１Ｂの開閉装置１ａの状態では、図１０Ａ及び図１０Ｂの開閉装置１ａの状態よりも、引張ばね８２が伸びている。

　図１２Ａ及び図１２Ｂは、人が引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かしている途中で、ソフトクローズ機構８のフック８３ｂがトリガ８５から解除されたときの開閉装置１ａの状態を示している。図１２Ａ及び図１２Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、ソフトクローズ機構８が初期状態となる。「ソフトクローズ機構８の初期状態」とは、フック８３ｂの頭部８３ｂａが、孔８０ｅに挿入され傾いている状態である。図１２Ａ及び図１２Ｂの状態にある開閉装置１ａでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが離れ、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが当たっている。したがって、開閉装置１ａに起因した操作負荷は、主に、押部７２が受動部７１を押す力となる。

　引戸装置２００ａでは、図１２Ａ及び図１２Ｂと同様の状態において、人が引戸２０３を第１方向Ｄ１へ動かすと、押部７２が受動部７１から離れ、その後、受動部６１が押部６２により一旦押し下げられて連係部材６０が図１２Ｂにおける時計回り方向に動く。そして、引戸装置２００ａでは、第１方向Ｄ１において受動部６１が押部６２を通り過ぎると、連係解除片６６の自重により、受動部６１が図１２Ｂにおける反時計回り方向に動くことで元の高さ位置に戻って、押部６２により押される状態となる。つまり、第１連係装置６では、受動部６１と押部６２とが非連係状態から連係状態となる。これにより、開閉装置１ａは、図４Ａ及び図４Ｂの状態と同様の状態になる。

　図１３Ａは、戸枠２０１と引戸２０３との間の距離と、人が引戸２０３を閉めるときの開閉装置１ａの力との関係を示している。引戸装置２００ａでは、引戸２０３を閉めるときの開閉装置１ａの力が大きいほど、人の操作力を、より軽減することができる。開閉装置１ａでは、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間の吸引力と、ソフトクローズ機構８の引張ばね８２によるばね力とによって、人が引戸２０３を閉めるときの所定区間Ｅ１での開閉装置１ａの力を大きくしている。

　図１３Ｂは、戸枠２０１と引戸２０３との間の距離と、操作負荷との関係を示しており、実線が本実施形態の引戸装置２００ａの特性、破線が比較例の引戸装置の特性を示している。比較例の引戸装置は、開閉装置１ａの代わりに比較例の開閉装置を備える点以外では、引戸装置２００ａと共通の構成を有する。比較例の開閉装置は、開閉装置１ａにおいて、第１駆動装置４、第１連係装置６及び第２連係装置７をなくした装置である。比較例の開閉装置は、引戸を閉めるときの開閉装置の力が開閉装置１ａの力と同じになるように、ソフトクローズ機構８における各引張ばね８２の引張力を大きくしてある。開閉装置１ａ及び引戸装置２００ａでは、操作負荷が大きいほど、大きな操作力が必要となる。同様に、比較例の開閉装置及び比較例の引戸装置では、操作負荷が大きいほど、大きな操作力が必要となる。

　引戸２０３を閉めるとき及び開くときそれぞれにおける操作部２２３の荷重（以下、「操作荷重」ともいう。）は、荷重測定器により測定することができる。荷重測定器としては、例えば、アイコーエンジニアリング株式会社製のＭＯＤＥＬ－２２５６を用いることができる。上述の操作負荷は、操作荷重と同じ意味である。

　引戸装置２００ａでは、例えば人が引戸２０３を閉めるときに、所定区間Ｅ１内において、第１駆動装置４における第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に吸引力を発生させることが可能である。よって、引戸装置２００ａでは、引戸２０３を閉めるときの開閉装置１ａの力を比較例の開閉装置の力と同じにしながらも、ソフトクローズ機構８における引張ばね８２の引張力を、比較例の開閉装置に比べて弱めることが可能となる。さらに、引戸装置２００ａでは、例えば人が引戸２０３を開くときに、所定区間Ｅ１においては、可動体２とソフトクローズ機構８とが非連係状態にある。このため、引戸装置２００ａでは、人が引戸２０３を開くときの所定区間Ｅ１での操作負荷を、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力程度に留めることができる。また、引戸装置２００ａでは、例えば人が引戸２０３を開くときに、引戸２０３が所定区間Ｅ１を過ぎた後では、可動体２とソフトクローズ機構８とが連係状態にある。このため、引戸装置２００ａでは、人が引戸２０３を開くときであって、引戸２０３が所定区間Ｅ１を過ぎた後における操作負荷を、引張ばね８２の引張力程度に留めることができる。

　これにより、引戸装置２００ａでは、引戸２０３を開くときに必要な操作力を軽減することが可能となる。図１３Ｂから、開閉装置１ａ及び引戸装置２００ａでは、比較例の開閉装置及び比較例の引戸装置に比べて、操作負荷の大きさを大幅に低減でき、操作力を大幅に低減できることが分かる。

　引戸装置２００ａは、ソフトクローズ機構８における引き込み力と、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力と、により、引戸２０３をゆっくりと閉じることが可能となる。また、引戸装置２００ａでは、所定区間Ｅ１において、引戸２０３を磁力に抗して動かし、所定区間Ｅ１を過ぎてから引張ばね８２のばね力に抗して動かせばよいので、操作者が引戸２０３を開くときの操作力を軽減することが可能となる。

　本実施形態の開閉装置付き構造体２００ａは、開閉装置１ａと、第２構造体２０３と、を備える。よって、本実施形態の開閉装置付き構造体２００ａは、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた状態から第２構造体２０３が開く方向へ第２構造体２０３を人が動かすときの操作力を軽減することが可能となる。

　（実施形態２）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ｂ及び開閉装置付き構造体２００ｂについて図１４Ａ、図１４Ｂ及び図１５Ａ、図１５Ｂに基づいて説明する。

　開閉装置付き構造体２００ｂは、開閉装置１ｂと、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉自在な第２構造体２０３と、を備える。本実施形態において、図１４Ａ及び図１４Ｂと、図１５Ａ及び図１５Ｂとでは、開閉装置１ｂ及び開閉装置付き構造体２００ｂの動作時点が互いに異なる。なお、実施形態１と同様の構成要素については、実施形態１と同一の符号を付して説明を省略する。図１４Ａ及び図１４Ｂの動作時点と、図１５Ａ及び図１５Ｂの動作時点とは、それぞれ、図７Ａ及び図７Ｂの動作時点と、図１１Ａ及び図１１Ｂの動作時点とに対応する。

　つまり、図１４Ａ、図１４Ｂにおける開閉装置１ｂは、第１状態にある。また、図１５Ａ、図１５Ｂにおける開閉装置１ｂは、第２状態にある。

　本実施形態の開閉装置１ｂは、第１駆動装置４がソフトクローズ機構８Ａにより構成されている点が、実施形態１の開閉装置１ａと相違する。要するに、開閉装置１ｂでは、第１駆動装置４、第２駆動装置５が、それぞれ、ソフトクローズ機構８Ａ、ソフトクローズ機構８により構成されている。ソフトクローズ機構８Ａは、第２構造体２０３が開いた状態から第１方向Ｄ１へ動いたときに、所定位置で第２構造体２０３を減速させ、第２構造体２０３を自動的に終点位置まで動かすように構成されている。

　第１駆動装置４を構成するソフトクローズ機構８Ａは、支持部８１と、支持部８１に第１端部８２１が接続された引張ばね８２と、引張ばね８２における第１端部８２１とは反対側の第２端部８２２に接続された規制部材８３と、を備える。また、ソフトクローズ機構８Ａは、ガイド部３の所定位置に設けられたトリガ８５を更に備える。ソフトクローズ機構８Ａは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに、規制部材８３がトリガ８５をキャッチするように構成されている。第１駆動装置４では、第１部材４１が、ソフトクローズ機構８Ａの引張ばね８２と規制部材８３とで構成されている。第１駆動装置４では、第２部材４２が、ソフトクローズ機構８Ａのトリガ８５により構成されている。「第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたとき」とは、第２構造体２０３が開いた状態から閉じる方向において所定位置まで動いたときを意味する。

　本実施形態の開閉装置１ｂ及び開閉装置付き構造体２００ｂは、開閉装置１ａ及び開閉装置付き構造体２００ａと同様に、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた状態から第２構造体２０３が開く方向へ第２構造体２０３を人が動かすときの操作力を軽減することが可能となる。また、本実施形態の開閉装置１ｂでは、第１駆動装置４、第２駆動装置５が、それぞれ、ソフトクローズ機構８Ａ、ソフトクローズ機構８により構成されている。したがって、本実施形態の開閉装置１ｂでは、開閉装置１ａのように第１駆動装置４が第１磁石装置９と第２磁石装置１０とで構成されている場合に比べて、設計が容易になる。

　（実施形態３）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ｃ及び開閉装置付き構造体２００ｃについて図１６Ａ、図１６Ｂ及び図１７Ａ、図１７Ｂに基づいて説明する。

　開閉装置付き構造体２００ｃは、開閉装置１ｃと、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉自在な第２構造体２０３と、を備える。本実施形態において、図１６Ａ及び図１６Ｂと、図１７Ａ及び図１７Ｂとでは、開閉装置１ｃ及び開閉装置付き構造体２００ｃの動作時点が互いに異なる。なお、実施形態１と同様の構成要素については、実施形態１と同一の符号を付して説明を省略する。図１６Ａ及び図１６Ｂの動作時点と、図１７Ａ及び図１７Ｂの動作時点とは、それぞれ、図７Ａ及び図７Ｂの動作時点と、図１１Ａ及び図１１Ｂの動作時点とに対応する。

　つまり、図１６Ａ、図１６Ｂにおける開閉装置１ｃは、第１状態にある。また、図１７Ａ、図１７Ｂにおける開閉装置１ｃは、第２状態にある。

　本実施形態の開閉装置１ｃは、引張ばね８２の代わりに第１磁石装置９及び第２磁石装置１０を用いている点で実施形態１の開閉装置１ａと相違する。つまり、本実施形態の開閉装置１ｃでは、第２駆動装置５の第１部材５１が第１磁石装置９であり、第２部材５２が第２磁石装置１０である点が実施形態１の開閉装置１ａと相違する。第２駆動装置５は、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが、第１方向Ｄ１に直交する第３方向Ｄ３で離れて吸引力が作用するように構成されている。

　本実施形態の開閉装置１ｃ及び開閉装置付き構造体２００ｃは、開閉装置１ａ及び開閉装置付き構造体２００ａと同様に、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた状態から第２構造体２０３が開く方向へ第２構造体２０３を人が動かすときの操作力を軽減することが可能となる。また、本実施形態の開閉装置１ｃでは、第１駆動装置４と第２駆動装置５との両方が、第１磁石装置９と第２磁石装置１０との相互作用により第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすように構成されている。これにより、本実施形態の開閉装置１ｃでは、実施形態１の開閉装置１ａのように第２駆動装置５がソフトクローズ機構８で構成されている場合に比べて、設計が容易になる。

　（実施形態４）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ｄ及び開閉装置付き構造体２００ｄについて図１８Ａ、図１８Ｂ及び図１９Ａ、図１９Ｂに基づいて説明する。

　開閉装置付き構造体２００ｄは、開閉装置１ｄと、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉自在な第２構造体２０３と、を備える。本実施形態において、図１８Ａ及び図１８Ｂと、図１９Ａ及び図１９Ｂとでは、開閉装置１ｄ及び開閉装置付き構造体２００ｄの動作時点が互いに異なる。なお、実施形態１と同様の構成要素については、実施形態１と同一の符号を付して説明を省略する。図１８Ａ及び図１８Ｂの動作時点と、図１９Ａ及び図１９Ｂの動作時点とは、それぞれ、図７Ａ及び図７Ｂの動作時点と、図１１Ａ及び図１１Ｂの動作時点とに対応する。

　つまり、図１８Ａ、図１８Ｂにおける開閉装置１ｄは、第１状態にある。また、図１９Ａ、図１９Ｂにおける開閉装置１ｄは、第２状態にある。

　本実施形態の開閉装置１ｄは、第１駆動装置４の第１部材４１が、第１戸車２０５であり、第２部材４２が、レール３の傾斜部３３である点が相違する。傾斜部３３は、レール３のうち第１戸車２０５が走行する部位の一部である。傾斜部３３は、第１方向Ｄ１において戸枠２０１に近づくにつれて下方傾斜している。

　開閉装置１ｄは、第１戸車２０５を有する可動体２における可動体本体２１と押部７２とが、第３方向Ｄ３に沿って配置される軸ピン２３により連結されている。第１戸車２０５は、第３方向Ｄ３に平行な方向に直交する面内において、軸ピン２３のまわりで回転自在となっている。可動体本体２１は、平面視において第２方向Ｄ２側が開放されたＵ字状に形成されている。押部７２の受動部７１側とは反対側の端部において、第３方向Ｄ３の両側には車輪７５が設けられている。

　本実施形態の開閉装置１ｄでは、可動体２が第１方向Ｄ１へ動いたときに第１戸車２０５が所定区間Ｅ１内に入ると、第１戸車２０５が傾斜部３３の傾斜角だけ回転し、傾斜部３３に沿って第１戸車２０５が移動する。また、開閉装置１ｄでは、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた状態から人が第２構造体２０３を開く方向（第２方向Ｄ２）へ動かすときに、所定区間Ｅ１にある第１戸車２０５が傾斜部３３を下ろうとする力に抗して第２構造体２０３を動かすことになる。

　本実施形態の開閉装置１ｄ及び開閉装置付き構造体２００ｄは、開閉装置１ａ及び開閉装置付き構造体２００ａと同様に、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた状態から第２構造体２０３が開く方向へ第２構造体２０３を人が動かすときの操作力を軽減することが可能となる。また、本実施形態の開閉装置１ｄは、実施形態１の開閉装置１ａのように第１駆動装置４が第１磁石装置９と第２磁石装置１０とで構成されている場合に比べて、設計が容易になる。

　（実施形態５）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ｅ及び開閉装置付き構造体２００ｅについて図２０、図２１Ａ、図２１Ｂ、図２２Ａ、図２２Ｂに基づいて説明する。

　図２０は、開閉装置１ｅの概略分解斜視図である。本実施形態において、図２１Ａ及び図２１Ｂと、図２２Ａ及び図２２Ｂとでは、開閉装置１ｅ及び開閉装置付き構造体２００ｅの動作時点が互いに異なる。なお、実施形態１と同様の構成要素については、実施形態１と同一の符号を付して説明を省略する。図２１Ａ及び図２１Ｂの動作時点と、図２２Ａ及び図２２Ｂの動作時点とは、それぞれ、図７Ａ及び図７Ｂの動作時点と、図１１Ａ及び図１１Ｂの動作時点とに対応する。

　つまり、図２１Ａ、図２１Ｂにおける開閉装置１ｅは、第１状態にある。また、図２２Ａ、図２２Ｂにおける開閉装置１ｅは、第２状態にある。

　本実施形態の開閉装置１ｅは、レール３の長手方向の両側それぞれにおいて、第１駆動装置４、第２駆動装置５、第１連係装置６及び第２連係装置７を備えている。要するに、開閉装置１ｅは、２つの第１駆動装置４と、２つの第２駆動装置５と、２つの第１連係装置６と、２つの第２連係装置７と、を備えている。図２０における左側の第１駆動装置４及び第２駆動装置５の各々から見て、第１方向Ｄ１は、第２構造体２０３が開口部２０２（図１参照）を閉じる方向であり、第２方向Ｄ２は、第２構造体２０３が開口部２０２を開く方向である。また、図２０における右側の第１駆動装置４及び第２駆動装置５から見て、第１方向Ｄ１は、第２構造体２０３が開口部２０２を開く方向であり、第２方向Ｄ２は、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じる方向である。

　開閉装置付き構造体２００ｅは、開閉装置１ｅと、第２構造体２０３と、を備える。

　可動体２は、平面視形状がＵ字状に形成されており、第１戸車２０５側とは反対側が開放されている。また、ソフトクローズ機構８は、規制部材８３から見て第１戸車２０５に近い側の端部８６に連結された突出部８７を備える。突出部８７の平面視形状は、二股のフォーク状である。車輪２１０は、突出部８７に取り付けられている。突出部８７は、一対の側片８７１を有している。

　第１連係装置６の受動部６１は、平面視形状がＵ字状の可動体２の両側片の先端部間に架け渡された円柱状のピンにより構成されている。また、第１連係装置６の押部６２は、突出部８７の一対の側片８７１間に配置された連係片により構成されている。押部６２は、突出部８７に連結されている。より詳細には、押部６２は、突出部８７の一対の側片８７１に架け渡された軸ピン７６により、突出部８７に連結されている。これにより、押部６２は、第３方向Ｄ３に沿って配置された軸ピン７６を回転軸として回転自在となっている。要するに、押部６２は、第３方向Ｄ３に直交する面内で回転自在となっている。

　開閉装置１ｅでは、正面視において突出部８７に段差が形成されている。第２連係装置７の受動部７１は、ソフトクローズ機構８の突出部８７の一部により構成されている。また、第２連係装置７の押部７２は、平面視形状がＵ字状の可動体２の一対の側片２６の先端部間に架け渡された円柱状のピンにより構成されている。要するに、開閉装置１ｅでは、第１連係装置６の受動部６１と第２連係装置７の押部７２とが１つの部材で構成されている。

　また、開閉装置１ｅでは、連係解除片６６が、押部６２と一体に形成されている。連係解除片６６は、突出部８７の一対の側片８７１間において、押部６２よりもソフトクローズ機構８の端部８６に近い側に配置されている。連係解除片６６の質量は、押部６２の質量よりも大きい。

　引戸装置（開閉装置付き構造体）２００ｅでは、図２１Ａ及び図２１Ｂと同様の状態において、人が引戸（第２構造体）２０３を閉じる第１方向Ｄ１へ動かすと、押部６２が受動部６１により一旦押し下げられて図２１Ｂにおける反時計回り方向に動く。そして、引戸装置２００ｅでは、第１方向Ｄ１において押部６２が受動部６１を通り過ぎると、連係解除片６６の自重により、押部６２が元の高さ位置に戻る。

　本実施形態の開閉装置１ｅ及び開閉装置付き構造体２００ｅは、実施形態１の開閉装置１ａ及び開閉装置付き構造体２００ａと同様、操作力を軽減することが可能となる。

　開閉装置１ｅでは、第２構造体２０３を、開口部２０２を閉じる方向に動かすときに、終点位置（閉位置）付近の所定区間Ｅ１内で、図２０の左側のソフトクローズ機構８による自閉機能と第１駆動装置４の吸引力とによって、終点位置までゆっくり動かすことが可能となる。また、開閉装置１ｅでは、第２構造体２０３を開く方向に動かすときに終点位置（開位置）付近の所定区間内で、図２０の右側のソフトクローズ機構８による自閉機能と第１駆動装置４の吸引力とによって、終点位置までゆっくり動かすことが可能となる。「開位置」とは、第２構造体２０３が開口部２０２を完全に開いた位置を意味する。

　（実施形態６）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ｆ及び開閉装置付き構造体２００ｆについて図２３Ａ～図２９Ｄに基づいて説明する。図２３Ａ～図２３Ｄ、図２６Ａ～図２９Ｄでは、開閉装置１ｆ及び開閉装置付き構造体２００ｆの異なる状態を示している。なお、実施形態１と同様の構成要素については、実施形態１と同一の符号を付して説明を適宜省略する。

　開閉装置１ｆは、図２３Ａ～図２３Ｄに示すように、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉する第２構造体２０３に連結される可動体２と、第２構造体２０３が開口部２０２を開閉するように可動体２をガイドするガイド部３と、を備える。開閉装置１ｆは、各々が、第２構造体２０３の動く一方向に沿った第１方向Ｄ１に可動体２を動かす第１駆動装置４及び第２駆動装置５を更に備える。

　第１駆動装置４及び第２駆動装置５は、それぞれ、可動体２とガイド部３とのうち可動体２側に設けられる第１部材４１、５１と、ガイド部３側に設けられる第２部材４２、５２と、を備える。第１駆動装置４及び第２駆動装置５は、それぞれの第１部材４１、５１と第２部材４２、５２との相互作用により、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすように構成されている。開閉装置１ｆは、連係機構１６を更に備える。連係機構１６は、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くときに、第１駆動装置４と第２駆動装置５とを連動させるように構成されている。連係機構１６は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態から第１方向Ｄ１とは反対の第２方向Ｄ２に動きだすときに、所定区間Ｅ１内で第１駆動装置４と第２駆動装置５との一方のみの相互作用に抗して可動体２を動かすように構成されている。連係機構１６は、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動いて所定区間Ｅ１を過ぎた後に、第１駆動装置４と第２駆動装置５との他方のみの相互作用に抗して可動体２を動かすように構成されている。以上説明した構成の開閉装置１ｆでは、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすときに、所定区間Ｅ１において第１駆動装置４及び第２駆動装置５の両方で可動体２を動かすことが可能となる。また、開閉装置１ｆでは、人が第２構造体２０３を第２方向Ｄ２へ動かすときに、所定区間Ｅ１内では第１駆動装置４と第２駆動装置５のうち第１駆動装置４の力に抗して動かせばよく、所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５の力に抗して動かせばよい。これにより、開閉装置１ｆは、操作力を軽減することが可能となる。

　第１駆動装置４の第２部材４２は、ガイド部３に連結されている。

　連係機構１６は、第１連係装置６と、第２連係装置７と、を備える。可動体２は、状態切替部材２５を更に備える。第１連係装置６は、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くときに、第２駆動装置５の第２部材５２の変位を抑制するように構成されている。状態切替部材２５は、第２構造体２０３が終点位置にきたときに、第１連係装置６によって変位を抑制されていた第２駆動装置５の第２部材５２を第１連係装置６から解放するように構成されている。第１連係装置６は、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動きだすときに、所定区間Ｅ１内で第２駆動装置５の第２部材５２を可動体２と連動させるように構成されている。第２連係装置７は、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動いて所定区間Ｅ１を過ぎた後に、第２駆動装置５の第２部材５２の変位を抑制して、第２駆動装置５の第２部材５２と可動体２との連動状態を解除させるように構成されている。よって、開閉装置１ｆでは、第２構造体２０３を終点位置へ動かすときに、所定区間Ｅ１において、第１駆動装置４及び第２駆動装置５の両方で可動体２を動かすことが可能となる。また、開閉装置１ｆでは、人が第２構造体２０３を終点位置から第２方向Ｄ２へ動かすときに、所定区間Ｅ１内では第１駆動装置４と第２駆動装置５のうち第１駆動装置４の相互作用の力に抗して動かせばよく、所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５の相互作用の力に抗して動かせばよい。これにより、開閉装置１ａは、操作力を軽減することが可能となる。

　第１駆動装置４では、第１部材４１が第１磁石装置９であり、第２部材４２が第２磁石装置１０である。第１駆動装置４は、図２７Ａ～図２７Ｄに示すように、第２構造体２０３が終点位置にある状態で、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが、第１方向Ｄ１に直交する第３方向Ｄ３で離れて対向し吸引力が作用するように構成されている。よって、開閉装置１ｆは、可動体２を第１方向Ｄ１へ動かすときに、第１駆動装置４における第１磁石装置９と第２磁石装置１０との吸引力により、人の操作力を補助することが可能となる。終点位置は、図２７Ａ～図２７Ｄでは第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた閉位置である。

　第１駆動装置４の第２部材４２は、平面視Ｕ字状の固定ベース１７（図２９Ｂ～図２９Ｄ参照）に保持されている。固定ベース１７は、ガイド部３の第１側面３０１に接触しており、複数のねじによってガイド部３に取り付けられている。第１駆動装置４は、第２部材４２を２つ備えている。固定ベース１７の一対の側片１７１それぞれに、第２部材４２が１つずつ固定されている。２つの第２部材４２は、第３方向Ｄ３において互いに対向している。

　第２駆動装置５では、第１部材５１が第１磁石装置９であり、第２部材５２が第２磁石装置１０である。第２駆動装置５は、図２７Ａ～図２７Ｄに示すように、第２構造体２０３が終点位置にある状態で、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが、第１方向Ｄ１に直交する第３方向Ｄ３で離れて対向し吸引力が作用するように構成されている。よって、開閉装置１ｆは、可動体２を第１方向Ｄ１へ動かすときに、第２駆動装置５における第１磁石装置９と第２磁石装置１０との吸引力により、人の操作力を補助することが可能となる。

　第２駆動装置５の第２部材５２は、平面視Ｕ字状の可動ベース１８（図２５及び２９Ｃ参照）に保持されている。可動ベース１８は、可動ブロック３５０の縦片３５２に対して、複数のねじによって取り付けられている。可動ブロック３５０は、第１方向Ｄ１に直交する断面形状がＬ字状である。第２駆動装置５は、第２部材５２を２つ備えている。可動ベース１８の一対の側片１８１それぞれに、第２部材５２が１つずつ固定されている。２つの第２部材５２は、第３方向Ｄ３において互いに対向している。

　開閉装置１ｆは、図２３Ｂに示すように、２つの連係機構１６を備えている。２つの連係機構１６の各々は、第１連係装置６と、第２連係装置７と、を備えている。また、開閉装置１ｆは、２つの第１駆動装置４と、２つの第２駆動装置５と、を備えている。開閉装置１ｆでは、２つの第１駆動装置４で１つの第１部材４１が共用され、２つの第２駆動装置５で１つの第１部材５１が共用されている。

　図２３Ｂにおける右側の第１駆動装置４の第２部材４２及び第２駆動装置５の第２部材５２において、第１方向Ｄ１は、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じる方向である。また、図２３Ｂにおける左側の第１駆動装置４の第２部材４２及び第２駆動装置５の第２部材５２において、第１方向Ｄ１は、第２構造体２０３が開口部２０２を開く方向である。要するに、開閉装置１ｆでは、対をなす第１駆動装置４と第２駆動装置５とが可動体２を引き込む方向を第１方向Ｄ１とし、その逆向きの方向を第２方向Ｄ２としてある。

　開閉装置付き構造体２００ｆは、引戸装置であり、第１構造体２０１が戸枠により構成され、開口部２０２が戸枠の開口部により構成され、第２構造体２０３が引戸により構成されている。開閉装置１ｆにおけるガイド部３は、戸枠に取り付けられるレールにより構成されている。以下では、説明の便宜上、開閉装置付き構造体２００ｆ、第１構造体２０１、第１構造体２０１の開口部２０２、及びガイド部３を、それぞれ、引戸装置２００ｆ、戸枠２０１、戸枠２０１の開口部２０２、及びレール３と称することもある。

　引戸装置２００ｆは、戸枠２０１の開口部２０２を開閉する引戸２０３と、戸枠２０１に取り付けられるレール３と、第１戸車２０５と、第２戸車２０６と、走行装置２０８と、を備える。

　引戸装置２００ｆは、第１駆動装置４及び第２駆動装置５とは別に、２つの減速機構８８（図２４Ａ、図２４Ｂ参照）を備えている。減速機構８８は、例えば、図４Ａ、図４Ｂに示した引戸装置２００ａにおけるソフトクローズ機構８と略同じ構成で、ソフトクローズ機構８における引張ばね８２をなくした構成を採用している。減速機構８８においてソフトクローズ機構８と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。減速機構８８は、図４Ａ、図４Ｂに示したソフトクローズ機構８における、支持部８１と、規制部材８３と、ダンパ８４と、トリガ８５と、を備えた構成とすることができる。図４Ｂに示したように、トリガ８５は、レール３に設けられる。減速機構８８は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに、規制部材８３がトリガ８５をキャッチするように構成されている。よって、開閉装置１ｆでは、第１方向Ｄ１へ動かす可動体２の速度を、減速機構８８におけるダンパ８４（図４Ａ、図４Ｂ参照）により、減速させることが可能となる。２つの減速機構８８は、ケース８０同士が一体に形成されている。

　可動体２は、引戸２０３に連結されており、引戸２０３と連動する。可動体２は、レール３の幅方向に交差する第１側面３０１（図２３Ｂ参照）側に配置され、レール３の長手方向に沿って移動可能となっている。したがって、可動体２は、第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２それぞれに移動することができる。可動体２には、第１駆動装置４の第１部材４１と第２駆動装置５の第１部材５１とが、第４方向Ｄ４に並んで配置されている。より詳細には、可動体２は、第１駆動装置４の第１部材４１がレール３の第１側面３０１に対向し、第１駆動装置４よりも上方に第２駆動装置５の第１部材５１が位置するように、引戸２０３に取り付けられている。可動体２は、図２３Ｂに示すように、可動体本体２１と、可動体本体２１の下端部に連結されたベース２４と、を備え、ベース２４が引戸２０３に取り付けられている。第１駆動装置４の第１部材４１及び第２駆動装置５の第１部材５１は、可動体本体２１に保持されている。

　また、開閉装置１ｆでは、図２４Ａ、図２５に示すように、レール３の上面３０２に、スライドレール３４が配置されている。スライドレール３４は、図２５に示すように、レール３に固定され上方が開放されたアウターレール３４１と、アウターレール３４１にスライド自在に保持されたインナーレール３４２と、を備える。アウターレール３４１は、複数のねじによってレール３に取り付けられている。インナーレール３４２は、第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２それぞれの方向にスライドすることができる。

　インナーレール３４２は、可動ブロック３５０の横片３５１と連結されている。これにより、第２駆動装置５の第２部材５２は、インナーレール３４２に連結された可動ブロック３５０に支持されている。したがって、第２部材５２は、インナーレール３４２と同じ方向へ移動することができる。

　開閉装置１ｆは、図２３Ａ、図２５に示すように、第２部材５２を初期位置に復帰させるための引張ばね３８を備えている。引張ばね３８の一端は、可動ブロック３５０の縦片３５２に固定されたボルト３７に連結されている。引張ばね３８の他端は、レール３に固定されたボルト３６に連結されている。ボルト３６は、レール３の上面３０２から突出している。ボルト３６、３７は、それぞれ、ねじでもよい。

　ところで、実施形態５の開閉装置１ｅでは、ソフトクローズ機構８を備えているので、引戸２０３が開いた初期状態に復帰するためには、引戸２０３が動く速度よりも速くソフトクローズ機構８を移動させる復帰力を与える必要がある。開閉装置１ｅでは、このような復帰力を与える復帰ばね等を追加すると、操作荷重が増加してしまうが、引戸２０３が動く速度よりも速くソフトクローズ機構８が移動する復帰力を与えるために、復帰ばねのばね力を比較的強くする必要がある。

　これに対して、本実施形態の開閉装置１ｆは、引張ばね３８のばね力を、上述の復帰ばねのばね力よりも弱くすることが可能であり、操作荷重の増加を抑制することが可能となる。

　また、開閉装置１ｆは、可動ブロック３５０の復帰方向（第１方向Ｄ１）への移動範囲を規制するストッパ３５を備えているのが好ましい。「可動ブロック３５０の復帰方向」は、初期状態から伸びた状態の引張ばね３８が初期状態へ戻るときに可動ブロック３５０が移動する方向である。

　第１連係装置６は、第１駆動装置４の第２部材４２に連結された受動部６１と、第２駆動装置５の第２部材５２に連結された押部６２と、を有する。第２連係装置７は、第１駆動装置４の第２部材４２に連結された受動部７１と、第２駆動装置５の第２部材５２に連結された押部７２とを有する。第１連係装置６の受動部６１又は押部６２は、押部６２と受動部６１とが接触して連係する位置と、押部６２と受動部６１とが接触せず連係しない位置との間で動くことが可能である。第１連係装置６の押部６２と受動部６１とが接触している第１状態（図２３Ｄ、図２６Ｄ参照）では、第２連係装置７の押部７２と受動部７１とが離れている。第２連係装置７の押部７２と受動部７１は、第１連係装置６の押部６２と受動部６１とが接触していないときに、第１駆動装置４と第２駆動装置５とが第１状態よりも近づいた第２状態（図２９Ｂ、図２９Ｄ参照）で接触する。第１連係装置６の押部６２は、受動部６１に接触して受動部６１を押し動かすことができるように構成されている。第２連係装置７の押部７２は、受動部７１に接触して受動部７１を押し動かすように構成されている。よって、開閉装置１ｆは、第２構造体２０３により開口部２０２を閉じるときに、第１方向Ｄ１に可動体２を動かす力を、第１駆動装置４と第２駆動装置５との両方によって補助することが可能となる。また、開閉装置１ｆは、第２構造体２０３により開口部２０２を開くときに、まず、第１駆動装置４の力に抗して可動体２を第２方向Ｄ２に動かし、その後、第２駆動装置５の力に抗して可動体２を第２方向Ｄ２に動かすことが可能となる。

　押部６２及び押部７２は１つの部材により構成されており、第３方向Ｄ３に沿った方向から見た正面視形状がＬ字状となっている。押部６２及び押部７２は、図２５に示すように、可動ベース１８に連結されている。

　開閉装置１ｆでは、第１連係装置６の押部６２と第２連係装置７の受動部７１とが一体化されており、これらは第１駆動装置４の第２部材４２に連結され第３方向Ｄ３に突出しているピン３９１を中心として回転自在となっている。受動部７１の質量は、押部６２の質量よりも大きい。ピン３９１は、固定ベース１７の一対の側片１７１のうちレール３から遠い側片１７１に連結されている（図２９Ｃ、図２９Ｄ参照）。

　図２３Ａ及び図２３Ｂは、引戸２０３が開いた状態から引戸２０３を閉め始めたときの引戸装置２００ｆの状態を示している。図２３Ａ及び図２３Ｂの状態にある引戸装置２００ｆでは、右側の第１連係装置６の受動部６１が押部６２に接触するので、第２駆動装置５の第２部材５２の変位が抑制される。

　図２６Ａ及び図２６Ｂは、引戸２０３を第１方向Ｄ１（引戸２０３を閉じる方向）に動かして終点位置に近づいたときの引戸装置２００ｆの状態を示している。第１駆動装置４及び第２駆動装置５では、それぞれ第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが第３方向Ｄ３において重なっている。引戸装置２００ｆでは、第１駆動装置４における第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力と、第２駆動装置５における第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力と、によって、引戸２０３が自動的に終点位置に到達するまで動く。

　図２７Ａ及び図２７Ｂは、引戸２０３が終点位置（閉位置）まで移動したときの引戸装置２００ｆの状態を示している。第１駆動装置４及び第２駆動装置５では、それぞれ第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが第３方向Ｄ３において重なっている。図２７Ａ及び図２７Ｂの開閉装置１ｆの状態では、第２連係装置７の受動部７１が状態切替部材２５により押し上げられ、第１連係装置６の押部６２と受動部６１とが非連係状態となっている（図２７Ｂ、図２７Ｄ参照）。状態切替部材２５は、第２構造体２０３が終点位置にきたときに、第１連係装置６によって変位を抑制されていた第２駆動装置５の第２部材５２を第１連係装置６から解放する。

　図２８Ａ及び図２８Ｂは、引戸２０３が終点位置（閉位置）にある状態から第２方向Ｄ２（引戸２０３を開く方向）へ動かし始めたときの引戸装置２００ｆの状態を示している。図２８Ａ及び図２８Ｂの状態にある開閉装置１ｆでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが離れ、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが離れている（図２８Ｂ、図２８Ｄ参照）。つまり、図２８Ａ及び図２８Ｂの開閉装置１ｆの状態では、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが非連係状態で、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが非連係状態となっている。したがって、開閉装置１ｆに起因した操作負荷は、主に、第１駆動装置４の第１磁石装置９と第２磁石装置１０と間の磁力（吸引力）となる。要するに、引戸装置２００ａでは、引戸２０３が第１方向Ｄ１の終点位置にある状態で、操作者が操作部２２３に指をかけて引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かす向きの操作力を与えると、引戸２０３が第２方向Ｄ２へ移動する。このとき、引戸装置２００ｆでは、第１駆動装置４の第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力に抗して、引戸２０３を動かす操作力が必要となる。受動部７１は、押部６２よりも質量が大きいので、状態切替部材２５から離れると、状態切替部材２５により押し上げられる前の状態に戻る。

　図２９Ａ及び図２９Ｂは、人が引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かしている途中で第２連係装置７の押部７２が受動部７１に当たったときの引戸装置２００ｆの状態を示している。開閉装置１ｆでは、第１駆動装置４の第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に磁力が発生する所定区間Ｅ１を引戸２０３が過ぎた後に、第２連係装置７の押部７２が受動部７１に当たる。図２９Ａ及び図２９Ｂの状態にある開閉装置１ｆでは、第１連係装置６の受動部６１と押部６２とが離れ、かつ、第２連係装置７の受動部７１と押部７２とが当たっている。したがって、引戸２０３を第２方向Ｄ２に動かすときの開閉装置１ｆに起因した操作負荷は、主に、第２駆動装置５の第１磁石装置９と第２磁石装置１０との間に発生する磁力（吸引力）となる。　開閉装置１ｆの第１変形例では、第１駆動装置４と第２駆動装置５との少なくとも一方が、ソフトクローズ機構８（図４Ａ、図４Ｂ参照）である。ソフトクローズ機構８は、第２構造体が第１方向Ｄ１へ動いたときに、所定位置で第２構造体２０３を減速させ、第２構造体２０３を自動的に終点位置まで動かすように構成されている。

　ソフトクローズ機構８は、図４Ａ、図４Ｂに示す構成と同様、支持部８１と、支持部８１に第１端部８２１が接続された引張ばね８２と、引張ばね８２における第１端部８２１とは反対側の第２端部８２２に接続された規制部材８３と、を備える。ソフトクローズ機構８は、ガイド部３の所定位置に設けられたトリガ８５を更に備え、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに規制部材８３がトリガ８５をキャッチするように構成されているのが好ましい。

　開閉装置１ｆの第２変形例では、第１駆動装置４と第２駆動装置５との一方のみが、第１部材が第１磁石装置９であり、第２部材が第２磁石装置１０である。開閉装置１ｆの第２変形例は、第２構造体２０３が終点位置にある状態で、第１磁石装置９と第２磁石装置１０とが、第１方向Ｄ１に直交する第３方向Ｄ３で離れて対向し吸引力が作用するように構成されている。

　（実施形態７）
　以下では、本実施形態の開閉装置１ｇ及び開閉装置付き構造体２００ｇについて図３０～図４７Ｂに基づいて説明する。

　開閉装置付き構造体２００ｇは、開閉装置１ｇと、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉自在な第２構造体２０３と、を備える。なお、実施形態１と同様の構成要素については、実施形態１と同一の符号を付して説明を適宜省略する。

　開閉装置１ｇは、図３０、図３１に示すように、第１構造体２０１の開口部２０２を開閉する第２構造体２０３に連結される可動体２と、第２構造体２０３が開口部２０２を開閉するように可動体２をガイドするガイド部３と、を備える。開閉装置１ｇは、各々が、第１方向Ｄ１に可動体２を動かす第１駆動装置４及び第２駆動装置５を更に備える。開閉装置１ｇは、連係機構１６を更に備える。連係機構１６は、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くときに、第１駆動装置４と第２駆動装置５とを連動させるように構成されている。また、連係機構１６は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動きだすときに、所定区間Ｅ１内で第１駆動装置４の力に抗して可動体２を動かし、所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５のみの力に抗して可動体２を動かすように構成されている。

　第１駆動装置４は、可動体２とガイド部３とのうち可動体２側に設けられる第１部材４１と、ガイド部３側に設けられる第２部材４２と、を備える（図３９Ｃ参照）。第１駆動装置４は、第１部材４１と第２部材４２との相互作用により、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かす力を生じるように構成されている。第２駆動装置５は、可動体２とガイド部３とのうち可動体２側に設けられる第１部材５１と、ガイド部３側に設けられる第２部材５２と、を備える（図３１参照）。第２駆動装置５は、第１部材５１と第２部材５２との相互作用により、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かす力を生じるように構成されている。

　以上説明した構成の開閉装置１ｇでは、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かすときに、所定区間Ｅ１において第１駆動装置４及び第２駆動装置５の両方で可動体２を動かすことが可能となる。また、開閉装置１ｇでは、人が第２構造体２０３を第２方向Ｄ２へ動かすときに、所定区間Ｅ１内では第１駆動装置４と第２駆動装置５のうち第１駆動装置４の力に抗して動かせばよく、所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５の力に抗して動かせばよい。これにより、開閉装置１ｇは、操作力を軽減することが可能となる。開閉装置１ｇにおいて、第２構造体２０３の、第１方向Ｄ１における終点位置は、第２構造体２０３が開口部２０２を閉じた閉位置である。

　連係機構１６は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動きだすときに、所定区間Ｅ１（以下、「第１所定区間Ｅ１」という。図３１参照）内で第１駆動装置４の力に抗して可動体２を動かし、第１所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５のみの力に抗して可動体２を動かすように構成されている。開閉装置１ｇは、第１方向Ｄ１へ動く第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置に至る直前の第２所定区間Ｅ２（図３１参照）における第２構造体２０３の移動速度を、第２所定区間Ｅ２に至る直前の第３所定区間Ｅ３（図３１参照）における第２構造体２０３の移動速度よりも減速させる緩衝装置１１（図３９Ｄ参照）を更に備える。第１所定区間Ｅ１の長さは、第２所定区間Ｅ２の長さ以上である。第３所定区間Ｅ３の長さは、第２所定区間Ｅ２の長さよりも短い。第１駆動装置４の第１部材４１は、連係機構１６を介することなく第２構造体２０３に連結できるように構成されている。第１駆動装置４の第２部材４２は、連係機構１６を介することなく第１構造体２０１に連結できるように構成されている。緩衝装置１１は、連係機構１６を介することなく可動体２に連結されている。よって、開閉装置１ｇは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１に動いた場合に、緩衝装置１１による第２構造体２０３の減速時の衝撃が、連係機構１６に影響するのを抑制することが可能となる。これにより、開閉装置１ｇは、実施形態６の開閉装置１ｆと比べて、信頼性を向上させることが可能となる。第１所定区間Ｅ１は、第１駆動装置４が可動体２を第１方向Ｄ１へ動かす区間である。第２所定区間Ｅ２は、緩衝装置１１が可動体２の移動速度（つまり、第２構造体２０３の移動速度）を減速する区間である。第３所定区間Ｅ３は、第２構造体２０３が第２方向Ｄ２に動くときに、第２駆動装置５が第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かそうとする向きの力が発生する区間である。

　開閉装置付き構造体２００ｇは、引戸装置であり、第１構造体２０１が戸枠により構成され、開口部２０２が戸枠の開口部により構成され、第２構造体２０３が引戸により構成されている。開閉装置１ｇにおけるガイド部３は、戸枠に取り付けられるレールにより構成されている。

　以下では、説明の便宜上、開閉装置付き構造体２００ｇ、第１構造体２０１、第１構造体２０１の開口部２０２、第２構造体２０３及びガイド部３を、それぞれ、引戸装置２００ｇ、戸枠２０１、戸枠２０１の開口部２０２、引戸２０３及びレール３とも称する。

　引戸装置２００ｇは、戸枠２０１の開口部２０２を開閉する引戸２０３と、戸枠２０１に取り付けられるレール３と、第１戸車２０５（図３１、図３３、図３５～図３８参照）と、走行装置２０８と、第２戸車２０６（図３１、図３４～図３８参照）と、走行装置２０６０と、を備える。走行装置２０８（以下、「第１走行装置２０８」ともいう）は、第１戸車２０５と一緒に走行する。走行装置２０６０（以下、「第２走行装置２０６０」ともいう）は、第２戸車２０６に連結されている。これにより、第２走行装置２０６０は、第２戸車２０６と一緒に走行する。

　引戸２０３は、操作部２２３（図３０参照）を備えている。操作部２２３は、引戸２０３を開くとき、閉じるとき等に人が手をかける引手である。

　引戸装置２００ｇの各構成要素については、以下に詳細に説明する。

　引戸装置２００ｇは、図３１に示すように、引戸２０３の上端部２０４における長手方向の第１端部２１３が第１連結部２２５を介して第１戸車２０５と連結され、第２端部２１４が第２連結部２２６を介して第２戸車２０６と連結されている。したがって、引戸装置２００ｇでは、引戸２０３と第１戸車２０５と走行装置２０８と第２戸車２０６と走行装置２０６０とが連動する。

　レール３は、引戸２０３による開口部２０２の開閉方向に沿って配置されている。レール３は、戸枠２０１における上の横木部材（フレーム）２１１に固定されている。レール３は、下面側が開放された断面略Ｃ字形に形成されている。横木部材２１１の下面には、レール３を収納する溝２１２が形成されている（図３３参照）。レール３は、横木部材２１１の溝２１２の底面に固定されている。

　可動体２は、第１戸車２０５を備えている。可動体２は、レール３の長手方向に沿って配置されている。可動体２は、第１戸車２０５とは反対側に配置される走行装置２０８を備えている（図３５参照）。走行装置２０８は、図３６に示すように、本体２０９と、本体２０９の車軸に取り付けられた一対の車輪２１８と、を備える。

　第１駆動装置４は、ソフトクローズ機構８である。ソフトクローズ機構８は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１へ動いたときに、所定位置で第２構造体２０３を減速させ、第２構造体２０３を自動的に終点位置まで動かすように構成されているのが好ましい。よって、開閉装置１ｇは、可動体２が第１方向Ｄ１へ動いて所定位置まで移動したときに、ソフトクローズ機構８により、可動体２を動かすことが可能となる。

　ソフトクローズ機構８は、可動体２に設けられている。よって、開閉装置１ｇは、可動体２及びソフトクローズ機構８それぞれが、レール３をレール３の長手方向に沿って往復移動自在となっている。

　ソフトクローズ機構８は、引戸２０３が開いた状態（図４２Ｂ参照）から閉じる方向へ動いたときに、所定位置で引戸２０３の減速を開始させ、引戸２０３を自動的に閉位置（図４４Ｂ参照）まで動かすことができるように構成されている。

　ソフトクローズ機構８は、図３９Ａ～図３９Ｄに示すように、支持部８１と、支持部８１に第１端部８２１が接続された引張ばね８２と、引張ばね８２における第１端部８２１とは反対側の第２端部８２２に接続された規制部材８３と、を備える。ソフトクローズ機構８は、ガイド部３の所定位置に設けられたトリガ８５を更に備える。ソフトクローズ機構８は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに規制部材８３がトリガ８５をキャッチするように構成されているのが好ましい。よって、開閉装置１ｇでは、可動体２が第１方向Ｄ１において所定位置まで動かされたときに、引張ばね８２のばね力により、可動体２を第１方向Ｄ１へ動かす力を生じる。

　緩衝装置１１は、第１駆動装置４と第２駆動装置５とのうち第１駆動装置４のみに固定されているのが好ましい。これにより、開閉装置１ｇでは、緩衝装置１１による衝撃吸収を、より確実に行うことが可能となる。

　開閉装置１ｇでは、第１駆動装置４が、ソフトクローズ機構８であり、緩衝装置１１が、ダンパ８４である。これにより、開閉装置１ｇでは、第１方向Ｄ１へ動かす可動体２の速度を、ダンパ８４により減速させることが可能となる。ダンパ８４は、規制部材８３と支持部８１との間に設けられているのが好ましい。

　第１駆動装置４の第１部材４１は、引張ばね８２と規制部材８３とで構成されている。第１駆動装置４の第２部材４２は、トリガ８５で構成されている。

　ソフトクローズ機構８は、引張ばね８２と規制部材８３とを収納するケース８０を備えている。開閉装置１ｇでは、可動体２の一部が、ケース８０を兼ねている。ダンパ８４は、ケース８０内に収納されている。

　規制部材８３は、ベース８３ａと、ベース８３ａに回転自在に支持されたフック８３ｂと、を備えているのが好ましい。ベース８３ａは、平面視形状が二股のフォーク状に形成されている。フック８３ｂは、レール３の幅方向に直交する面内で回転自在となるようにベース８３ａに支持されている。言い換えれば、フック８３ｂは、第３方向Ｄ３に方向に直交する面内で回転自在となるようにベース８３ａに支持されている。

　規制部材８３は、フック８３ｂの一部がケース８０の上壁８０ｃ（図３６参照）から突出するように構成されている。開閉装置１ｇでは、第１駆動装置４の第２部材４２として、自閉機能を作動させるためのトリガ８５が、レール３に設けられている。トリガ８５は、引戸２０３が開かれた状態から所定位置まで閉じられたときにフック８３ｂと連係して、自閉機能を作動させる。トリガ８５は、レール３の上壁の下面から下方に突出した突起により構成されている。

　フック８３ｂは、頭部８３ｂａが孔８０ｅに挿入された状態で、第１方向Ｄ１と第３方向Ｄ３とに直交する第４方向Ｄ４（図３９Ｃ参照）に対して傾く。案内部８３ｂｂは、フック８３ｂが傾いていない状態で、ケース８０をレール３の長手方向に沿ってスライド自在にガイドする機能を有する。

　ダンパ８４は、物体の運動エネルギを熱に変えて散逸させることにより物体の運動を抑制する装置である。ダンパ８４は、図３９Ｃ、図３９Ｄに示すようにシリンダ８４ａが支持部８１に連結され、ロッド８４ｂがベース８３ａに連結されている。

　ソフトクローズ機構８は、フック８３ｂの頭部８３ｂａの一部が孔８０ｅに入っている状態（図３９Ｄ参照）のとき、引張ばね８２及びダンパ８４が規制部材８３に引っ張られている。

　ソフトクローズ機構８は、フック８３ｂがトリガ８５をキャッチした状態（図３９Ｃ参照）のとき、フック８３ｂを基準としてケース８０をスライド自在とすることができる。

　ソフトクローズ機構８において、引戸２０３が開口部２０２を開いた状態で、かつ自閉機能が作動していない状態では、引張ばね８２が自由長さよりも長い所定長さまで引っ張られており、フック８３ｂの頭部８３ｂａの一部が孔８０ｅ内にある。

　ソフトクローズ機構８では、引戸２０３が開口部２０２を閉じる第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに、トリガ８５にフック８３ｂが接触して、フック８３ｂがトリガ８５をキャッチする。すると、ソフトクローズ機構８では、ソフトクローズ動作が開始され、引張ばね８２が自由長さに戻ろうとする力により、フック８３ｂを基準としてケース８０がスライドする。これにより、引戸装置２００ｇでは、引戸２０３が自動的に閉位置まで閉じる。ここで、引戸２０３が閉じる速度は、引張ばね８２の引張力、ダンパ８４の減速効果等によって決まる。

　連係機構１６は、図３１～図３８に示すように、抑制部材１６１と、状態切替部材１６２と、を備える。抑制部材１６１は、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１へ動くときに、第２駆動装置５の第２部材５２の変位を抑制するように構成されている。状態切替部材１６２は、第２構造体２０３が終点位置にきたときに、抑制部材１６１が第２駆動装置５の第２部材５２の変位を抑制する状態を解除するように構成されている。抑制部材１６１は、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動いて第１所定区間Ｅ１を過ぎた後に、第２駆動装置５の第２部材５２の第１方向Ｄ１への変位を抑制するように構成されているのが好ましい。よって、開閉装置１ｇでは、第２構造体２０３を終点位置へ動かすときに第１所定区間Ｅ１において第２駆動装置５により可動体２を動かすことが可能となる。また、開閉装置１ｇでは、人が第２構造体２０３を終点位置から第２方向Ｄ２へ動かすときに、第１所定区間Ｅ１内では第１駆動装置４と第２駆動装置５とのうち第２駆動装置５の影響を受けず、第１駆動装置４の力に抗して動かすことができる。開閉装置１ｇでは、第２構造体２０３が第１所定区間Ｅ１を過ぎた後には第１駆動装置４の影響を受けず、第２駆動装置５の力に抗して動かすことができる。これにより、開閉装置１ｇでは、第２構造体２０３に対する人の操作力を軽減することが可能となる。なお、抑制部材１６１及び状態切替部材１６２については、第２駆動装置５の説明の後で、より詳細に説明する。

　第２駆動装置５の第１部材５１は、図３１、図３２に示すように、第２構造体２０３に連結されて第２構造体２０３と連動するように構成されている。第２駆動装置５の第２部材５２は、ガイド部３側に固定された駆動用ベース５２１と、駆動用ベース５２１に保持され第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２へスライド可能な駆動用可動ブロック５２２と、を備える。また、第２部材５２は、第１方向Ｄ１において駆動用可動ブロック５２２から離れた位置でガイド部３側に固定された駆動用支持体５２３と、駆動用可動ブロック５２２と駆動用支持体５２３とを連結し駆動用可動ブロック５２２を駆動用支持体５２３に対する初期位置に復帰させる復帰ばね５２４と、を備える。抑制部材１６１は、第１方向Ｄ１と直交する第３方向Ｄ３に直交する面内において回転自在となるように駆動用ベース５２１に連結されて駆動用可動ブロック５２２の変位を抑制するように構成されている。状態切替部材１６２は、第２駆動装置５の第１部材５１に固定されており、抑制部材１６１を回転させることにより駆動用可動ブロック５２２の変位を抑制する状態を解除する。開閉装置１ｇでは、第２駆動装置５が復帰ばね５２４を備えることにより、駆動用可動ブロック５２２を駆動用支持体５２３に対する初期位置に復帰させることが可能となる。また、開閉装置１ｇでは、第２構造体２０３が終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動いたときに、状態切替部材１６２が抑制部材１６１から離れ、抑制部材１６１が自動的に元の状態に戻ることが可能となる。

　第２駆動装置５の第１部材５１は、図３６～図３８に示すように、第２走行装置２０６０の本体２０６１に取り付ける取付ベース５１１と、取付ベース５１１に結合されたトリガ部材５１２と、を備えている。第１部材５１では、取付ベース５１１とトリガ部材５１２とが２本のねじにより結合されている。取付ベース５１１は、矩形板状に形成されている。トリガ部材５１２は、第３方向Ｄ３に沿った方向から見た正面視形状がＴ字状である。第１部材５１では、取付ベース５１１の下面にトリガ部材５１２が配置されている。第１部材５１では、取付ベース５１１の第３方向Ｄ３における第１端において、トリガ部材５１２が配置されている。第１部材５１は、レール３の下方に配置される（図３４参照）。第１部材５１では、取付ベース５１１の第３方向Ｄ３における第２端が、第２走行装置２０６０の本体２０６１に対して３本のねじにより結合されている。これにより、第１部材５１は、第２走行装置２０６０及び第２戸車２０６を介して引戸２０３に連結される。よって、第１部材５１は、引戸２０３と連動することができる。トリガ部材５１２は、第３方向Ｄ３から見て引戸２０３の上端部２０４と重なるように配置される（図３４参照）。トリガ部材５１２は、第３方向Ｄ３において引戸２０３から離れて配置される（図３４参照）。

　第２駆動装置５の第２部材５２は、図３２、図３７及び図３８に示すように、スライドレール５２５を備えている。スライドレール５２５は、駆動用可動ブロック５２２を第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２それぞれへスライド可能としている。スライドレール５２５は、下方が開放されたインナーレール５２５１と、上方が開放されインナーレール５２５１にスライド自在に保持されたアウターレール５２５２と、を備える。アウターレール５２５２は、第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２それぞれの方向にスライドすることができる。

　第２部材５２における駆動用ベース５２１は、ガイド部３側、より詳細には横木部材２１１に取り付けられる（図３１参照）。駆動用ベース５２１は、ベース部材５２１１と、スペーサ５２１２と、インナーレール５２５１と、を備えている。ベース部材５２１１は、第１方向Ｄ１に沿った方向に直交する断面形状がＬ字状であり、横木部材２１１の一側面と下面とに接触するように配置される。

　ベース部材５２１１は、図３８に示すように、長手方向が第３方向Ｄ３に直交する取付片５２４１と、取付片５２４１の下端から第３方向Ｄ３に沿って延びたレール固定片５２４２と、を一体に備える。駆動用ベース５２１では、ベース部材５２１１のレール固定片５２４２とスペーサ５２１２とが４本のねじにより結合されている。ベース部材５２１１は、横木部材２１１の一側面と下面とに接触するように配置される。ベース部材５２１１は、横木部材２１１の一側面に接触する取付片５２４１が、４本のねじにより、横木部材２１１に取り付けられる。

　スペーサ５２１２は、矩形板状に形成されている。第１方向Ｄ１に沿った方向において、スペーサ５２１２の長さは、ベース部材５２１１の長さよりもやや短い。インナーレール５２５１は、スペーサ５２１２の下面に配置されている。第１方向Ｄ１に沿った方向において、インナーレール５２５１の長さは、スペーサ５２１２の長さと略同じである。駆動用ベース５２１では、インナーレール５２５１とスペーサ５２１２とが３本のねじにより固定されている。

　駆動用可動ブロック５２２は、図３８に示すように、駆動用ベース５２１の下方に配置されている。駆動用可動ブロック５２２は、可動ベース５２２１と、アウターレール５２５２と、ソフトクローズ装置（ソフトクローズ機構）８Ｂと、ストッパ５２２３と、ボルト５２２４と、を備えている。

　可動ベース５２２１は、細長の矩形板状に形成されている。可動ベース５２２１は、スペーサ５２１２よりも長尺かつ幅広の矩形板状に形成されている。

　第１方向Ｄ１に沿った方向において、アウターレール５２５２の長さは、インナーレール５２５１の長さと略同じであり、可動ベース５２２１の長さよりも短い。アウターレール５２５２の長さは、可動ベース５２２１の長さの半分程度である。

　駆動用可動ブロック５２２では、可動ベース５２２１の第１面（上面）にアウターレール５２５２及びストッパ５２２３が配置され、可動ベース５２２１の第２面（下面）にソフトクローズ装置８Ｂが配置されている。駆動用可動ブロック５２２では、可動ベース５２２１の第１面上においてアウターレール５２５２とストッパ５２２３とが第３方向Ｄ３で並び、かつ、第３方向においてストッパ５２２３がアウターレール５２５２よりも引戸２０３から離れている。アウターレール５２５２は、３本のねじにより可動ベース５２２１に結合されている。ストッパ５２２３は、３本のねじにより可動ベース５２２１に結合されている。ソフトクローズ装置８Ｂは、４本のねじにより可動ベース５２２１に結合されている。

　駆動用可動ブロック５２２では、アウターレール５２５２が駆動用ベース５２１のインナーレール５２５１にスライド自在に保持される。これにより、駆動用可動ブロック５２２は、駆動用ベース５２１に保持され第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２へスライド可能となる。

　ソフトクローズ装置８Ｂは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１へ動いたときに、所定位置で第２構造体２０３を減速させ、第２構造体２０３を自動的に終点位置まで動かすように構成されている。これにより、開閉装置１ｇでは、可動体２が第１方向Ｄ１へ動いて所定位置まで移動したときに、ソフトクローズ装置８Ｂにより、可動体２を動かすことが可能となる。

　ソフトクローズ装置８Ｂは、図４０Ａ、図４０Ｂに示すように、ケース８００と、支持部８１０と、引張ばね８２０と、フック８３０と、を備える。引張ばね８２０の第１端部８２３は、支持部８１０に接続されている。引張ばね８２０の第２端部８２４は、フック８３０に接続されている。フック８３０は、第１方向Ｄ１においてアウターレール５２５２に近い側の第１爪８３１と、アウターレール５２５２から遠い側の第２爪８３２と、を有している。ソフトクローズ装置８Ｂでは、支持部８１０と引張ばね８２０とフック８３０とがケース８００に収納されている。ケース８００において、第２構造体２０３（図３８参照）に対向する側壁には、フック８３０をスライド自在とする直線状の第１スリット８０１が第１方向Ｄ１に沿って形成されている。ケース８００の上壁には、フック８３０から突出している２つのピン８３３をスライド自在とするＪ字状の第２スリット８０２が形成されている。第２スリット８０２は、第２方向Ｄ２側の端部においてフック８３０の第２爪８３２がケース８０内に収納されるように曲がっている。これにより、ソフトクローズ装置８Ｂでは、フック８３０の第２爪８３２が、ケース８００の第１スリット８０１を通してケース８００の外側に突出する位置と、ケース８００に収納される位置との間で進退自在となっている。

　ソフトクローズ装置８Ｂは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに、フック８３０がトリガ部材５１２（図３８参照）をキャッチするように構成されている。より詳細には、ソフトクローズ装置８Ｂでは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１において所定位置まで動いたときに、フック８３０の第１爪８３１にトリガ部材５１２が当たる。そして、ソフトクローズ装置８Ｂでは、第２構造体２０３が更に第１方向Ｄ１へ動いたときに、トリガ部材５１２によって第１爪８３１が押されて第１爪８３１と第２爪８３２との間にトリガ部材５１２が配置される。これにより、ソフトクローズ装置８Ｂでは、引張ばね８２０のばね力により、可動体２を第１方向Ｄ１へ動かす力を生じる。

　駆動用支持体５２３は、図３８に示すように、ボルトにより構成されている。駆動用支持体５２３は、第１方向Ｄ１において駆動用可動ブロック５２２から離れた位置で、横木部材２１１に取り付けられている（図３２参照）。これにより、駆動用支持体５２３は、ガイド部３側に固定されている。駆動用支持体５２３は、ボルトの軸方向を第４方向Ｄ４に揃えるように横木部材２１１に取り付けられている。

　復帰ばね５２４は、図３５に示すように、一端が駆動用支持体５２３に連結され、他端が駆動用可動ブロック５２２のボルト５２２４に連結されている。復帰ばね５２４は、第１方向Ｄ１に沿って配置されている。これにより、復帰ばね５２４は、駆動用可動ブロック５２２と駆動用支持体５２３とを連結している。復帰ばね５２４は、駆動用可動ブロック５２２を駆動用支持体５２３に対する初期位置に復帰させることが可能となる。開閉装置１ｇでは、駆動用可動ブロック５２２を駆動用支持体５２３に対する初期位置に復帰させることにより、ソフトクローズ装置８Ｂのフック８３０が第２スリット８０２の端部まで戻ることになる。開閉装置１ｇでは、第２構造体２０３を人が操作するときの操作荷重の増加を抑制する観点から、復帰ばね５２４のばね力が弱いほうが好ましい。

　ストッパ５２２３は、駆動用可動ブロック５２２の移動範囲を規制するための部材である。ストッパ５２２３は、第２構造体２０３が開口部２０２（図３０参照）を閉じた状態以外のときに抑制部材１６１が当たるように配置されている。

　ストッパ５２２３は、第３方向Ｄ３に沿った方向から見た正面視形状が直角三角形状である。ストッパ５２２３は、抑制部材１６１から離れるにつれて可動ベース５２２１からの突出量が少なくなるように配置されている。

　連係機構１６は、可動体２と第２駆動装置５との間での動力の伝達、遮断を行うクラッチとして機能する。

　抑制部材１６１には、図３１に示すように、ストッパ５２２３が嵌る凹部６１０が形成されている。抑制部材１６１は、第３方向Ｄ３に沿った方向から見た正面視形状がＪ字状となっている。

　抑制部材１６１は、図３１及び図３８に示すように、駆動用ベース５２１におけるベース部材５２１１の取付片５２４１に固定する回転軸１６４（図３１参照）に回転自在に保持される。回転軸１６４の軸方向は、第３方向Ｄ３に沿った方向である。これにより、抑制部材１６１は、第３方向Ｄ３に直交する面内において回転自在となるように駆動用ベース５２１に連結されている。

　抑制部材１６１は、回転軸１６４を基準として第１方向Ｄ１側の部分が第１連係部６１１を構成している。また、抑制部材１６１は、回転軸１６４を基準として第１部分（図３１における左端部）側とは反対の第２部分（図３１における右端部）が第２連係部６１２を構成している。抑制部材１６１では、第１連係部６１１の質量が第２連係部６１２の質量よりも大きい。抑制部材１６１は、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くときに、第１連係部６１１の先端面がストッパ５２２３に当たることで、駆動用可動ブロック５２２の第２方向Ｄ２への変位を抑制する（図３１参照）。抑制部材１６１は、可動体２が第２方向Ｄ２へ動くときに、第２連係部６１２がストッパ５２２３に当たることで駆動用可動ブロック５２２の変位を抑制する（図３５参照）。よって、抑制部材１６１は、駆動用可動ブロック５２２の変位を抑制するように構成されている。

　状態切替部材１６２は、図３６～図３８に示すように、ボルトにより構成されている。状態切替部材１６２は、取付ベース５１１に固定されている。これにより、状態切替部材１６２は、第２駆動装置５の第１部材５１に固定されている。より詳細には、状態切替部材１６２は、取付ベース５１１における第１方向Ｄ１に沿った一側縁から第３方向Ｄ３に沿って突出している。

　状態切替部材１６２は、引戸２０３が閉位置まで移動したときに、抑制部材１６１を正面視で時計回りに回転させることにより、駆動用可動ブロック５２２の変位を抑制する状態を解除する。つまり、状態切替部材１６２は、引戸２０３が開位置から閉位置まで移動したときに、抑制部材１６１と駆動用可動ブロック５２２とが連係する連係状態から、抑制部材１６１と駆動用可動ブロック５２２とが連係しない非連係状態へ切り替える。開閉装置１ｇでは、引戸２０３が閉位置から第２方向Ｄ２へ動くと、第１連係部６１１の自重により、抑制部材１６１が正面視で反時計回りに回転する。

　図４１Ａは、戸枠２０１と引戸２０３との間の距離と、人が引戸２０３を動かして開口部２０２を閉めるときの開閉装置１ｇにおける第１駆動装置４及び第２駆動装置５それぞれの力との関係を示している。開閉装置１ｇ及び引戸装置２００ｇでは、引戸２０３を動かして開口部２０２を閉めるときの開閉装置１ｇの力の総和が大きいほど、人の操作力を、より軽減することができる。開閉装置１ｇは、第２構造体２０３により開口部２０２を閉めるときに、第１方向Ｄ１に可動体２を動かす力を、第１駆動装置４及び第２駆動装置５によって補助することが可能となる。第１駆動装置４の力の向きと第２駆動装置５の力の向きとは、同じ向きである。

　図４１Ｂは、戸枠２０１と引戸２０３との間の距離と、人が引戸２０３を第２方向Ｄ２に動かすときの開閉装置１ｇにおける第１駆動装置４及び第２駆動装置５それぞれの力との関係を示している。開閉装置１ｇ及び引戸装置２００ｇでは、引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かすときの開閉装置１ｇの力が小さいほど、人の操作力を、より軽減することができる。

　引戸装置２００ｇでは、引戸２０３が開いた状態で、人が操作部２２３に触れて引戸２０３が開口部２０２を閉じる向きの操作力を与えると、引戸２０３の戸先２３０が戸枠２０１に近づくように引戸２０３が移動する。

　以下では、引戸装置２００ｇの動作について図４２Ａ～図４７Ｂに基づいて説明する。図４２Ａ、図４３Ａ、図４４Ａ、図４５Ａ、図４６Ａ、図４７Ａは、それぞれ引戸２０３－戸枠２０１間の距離と開閉装置１ｇで発生する力との関係の模式説明図において、引戸２０３の戸先２３０の位置を示した図である。

　図４２Ａでは、開口部２０２が開いた状態から引戸２０３を第１方向Ｄ１へ動かし始めたときの引戸２０３の戸先２３０の位置を示してある。図４２Ｂは、引戸２０３の戸先２３０が図４２Ａの位置にあるときの引戸装置２００ｇの状態を示している。引戸装置２００ｇでは、図４２Ｂの状態において、第１連係部６１１とストッパ５２２３とが接触しており、第２駆動装置５の第２部材５２の変位が抑制され、かつ、可動体２が第１方向Ｄ１へ動くことができる。

　図４３Ａでは、開口部２０２の閉まり際の引戸２０３の戸先２３０の位置を示してある。図４３Ｂは、引戸２０３の戸先２３０が図４３Ａの位置にあるときの引戸装置２００ｇの状態を示している。引戸装置２００ｇでは、図４３Ｂの状態において、第１駆動装置４及び第２駆動装置５それぞれの力が発生しており、第１駆動装置４の力と第２駆動装置５の力とで引戸２０３を引き込むことができる。よって、開閉装置１ｇ及び引戸装置２００ｇでは、人が引戸２０３を操作するときの操作力を補助することが可能となる。

　図４４Ａでは、引戸２０３が閉位置にあるときの引戸２０３の戸先２３０の位置を示してある。図４４Ｂは、引戸２０３の戸先２３０が図４４Ａの位置にあるときの引戸装置２００ｇの状態を示している。引戸装置２００ｇでは、図４４Ｂの状態において、引戸２０３が終点位置（閉位置）にある。図４４Ｂの状態では、抑制部材１６１の第２連係部６１２に状態切替部材１６２が接触して、抑制部材１６１がストッパ５２２３に接触していない非連係状態となっている。状態切替部材１６２は、第２構造体２０３が終点位置にきたときに、第１連係部６１１によって変位を抑制されていた第２駆動装置５の第２部材５２を第１連係部６１１から解放する。

　図４５Ａでは、閉位置にあった引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かし始めたときの引戸２０３の戸先２３０の位置を示してある。図４５Ｂは、引戸２０３の戸先２３０が図４５Ａの位置（第１所定区間Ｅ１の途中）にあるときの引戸装置２００ｇの状態を示している。引戸装置２００ｇでは、引戸２０３が閉じた状態で、人が操作部２２３に指をかけて引戸２０３が開口部２０２を開く向きの操作力を与えると、引戸２０３の戸先２３０が戸枠２０１から離れるように引戸２０３が移動する。図４５Ｂの状態において、引戸装置２００ｇでは、ストッパ５２２３と抑制部材１６１の第２連係部６１２とが接触していない非連係状態となっている。このため、引戸装置２００ｇでは、引戸２０３が開き始めたときに、第２駆動装置５の第２部材５２が引戸２０３と連動するので、第２駆動装置５は引戸２０３に力を及ぼさない。よって、引戸装置２００ｇでは、第１駆動装置４と第２駆動装置５とのうち第１駆動装置４のみの力に抗して引戸２０３を動かせばよいので、人の操作力を軽減することができる。引戸装置２００ｇでは、閉位置にあった引戸２０３を人が第２方向Ｄ２へ動かすと、ストッパ５２２３が抑制部材１６１の凹部６１０に入り、かつ、状態切替部材１６２が抑制部材１６１から離れる。そして、引戸装置２００ｇでは、抑制部材１６１の第１連係部６１１の自重により、第１連係部６１１が反時計回りに回転して元の高さ位置に戻る。

　図４６Ａでは、図４５Ａのときよりも更に引戸２０３が第２方向Ｄ２へ動かされたときの引戸２０３の戸先２３０の位置を示してある。図４６Ｂは、引戸２０３の戸先２３０が図４６Ａの位置（第１所定区間Ｅ１を過ぎて第３所定区間Ｅ３の途中）にあるときの引戸装置２００ｇの状態を示している。このとき、引戸装置２００ｇでは、ストッパ５２２３が抑制部材１６１の第２連係部６１２と接触して連係状態となっているので、第２駆動装置５の第２部材５２の変位が抑制される。引戸装置２００ｇでは、人が引戸２０３を第２方向Ｄ２へ動かしている途中で第１所定区間Ｅ１を過ぎると、ソフトクローズ機構８のフック８３ｂ（図３９Ｃ参照）がトリガ８５（図３９Ｃ参照）から解除される。これにより、ソフトクローズ機構８は、初期状態となる。「ソフトクローズ機構８の初期状態」とは、フック８３ｂの頭部８３ｂａが、孔８０ｅに挿入されている状態である。

　したがって、図４６Ｂの引戸装置２００ｇの状態では、人は第２駆動装置５の力に抗して引戸２０３を操作することになる。よって、開閉装置１ｇに起因した操作負荷は、主に、第２駆動装置５におけるソフトクローズ装置８Ｂの引張ばね８２０（図４０Ａ参照）の引張力となる。図４６Ｂの引戸装置２００ｇの状態では、図４５Ｂの状態の引戸装置２００ｇよりも、引張ばね８２０が伸びている。

　図４７Ａでは、引戸２０３を開けた後の引戸２０３の戸先２３０の位置を示してある。図４７Ｂは、引戸２０３の戸先２３０が図４７Ａの位置にあるときの引戸装置２００ｇの状態を示している。図４７Ｂの引戸装置２００ｇの状態では、図４６Ｂの状態の引戸装置２００ｇよりも、復帰ばね５２４が縮んでいる。

　開閉装置１ｇでは、例えば人が引戸２０３を第１方向Ｄ１へ動かすときに、第１所定区間Ｅ１内において、第１駆動装置４による力を発生させることが可能である。ここで、開閉装置１ｇでは、第１所定区間Ｅ１よりもやや狭い区間において、第２駆動装置５による力も発生させることが可能である。つまり、開閉装置１ｇでは、引戸２０３が第１方向Ｄ１に動くときに、第１駆動装置４及び緩衝装置１１が機能し始めた後、第１駆動装置４及び緩衝装置１１に加えて第２駆動装置５が機能した状態となる。これにより、開閉装置１ｇでは、第１駆動装置４が機能し始めた後に第１駆動装置４と第２駆動装置５とが連動し、かつ、第１駆動装置４と第２駆動装置５とが連動する前に緩衝装置１１が機能し始めるので、連係機構１６に生じる衝撃を緩和することが可能となる。また、引戸装置２００ｇでは、第１駆動装置４による力と第２駆動装置５による力とによって、引戸２０３を第１方向Ｄ１へ動かす力を補助することができ、かつ、緩衝装置１１によって第２構造体２０３を減速させることが可能となる。よって、引戸装置２００ｇでは、人が引戸２０３を動かして開口部２０２を閉めるときの操作力を軽減することが可能となる。

　ところで、開閉装置１ｇは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１に動くときに、第２所定区間Ｅ２における第２構造体２０３の移動速度を、第３所定区間Ｅ３における第２構造体２０３の移動速度よりも減速させる緩衝装置１１を備えている。開閉装置１ｇでは、第１所定区間Ｅ１の長さは、第１方向Ｄ１において、第１駆動装置４におけるトリガ８５の位置と、第２構造体２０３の第１方向Ｄ１における終点位置（第２構造体２０３が開口部２０２を閉じる閉位置）と、の距離で規定される。また、開閉装置１ｇでは、緩衝装置１１を構成するダンパ８４が、第１駆動装置４を構成するソフトクローズ機構８の支持部８１と規制部材８３との間に設けられているので、第２所定区間Ｅ２が第１所定区間Ｅ１と同じ区間で、かつ、同じ長さとなる。また、開閉装置１ｇでは、第３所定区間Ｅ３は、第２構造体２０３が第２方向Ｄ２に動くときに、第２駆動装置５が第２構造体２０３を第１方向Ｄ１へ動かそうとする向きの力が発生する区間である。第２構造体２０３が第２方向Ｄ２へ動くときに、第２駆動装置５が第２構造体２０３に力を及ぼす第２所定区間Ｅ２の始点は連係機構１６により規定することができる。また、第２所定区間Ｅ２の長さは、ソフトクローズ装置８Ｂにより規定することができる。ここで、第２構造体２０３が第２方向Ｄ２へ動くときに、第２駆動装置５が第２構造体２０３に力を及ぼす第２所定区間Ｅ２の始点は、第２方向Ｄ２に沿った方向における連係機構１６の駆動用ベース５２１の取付位置を変えることで、変更することができる。第３所定区間Ｅ３の長さは、第２所定区間Ｅ２の長さよりも短い。これにより、開閉装置１ｇでは、実施形態６の開閉装置１ｆと比べて、人が第２構造体２０３を第２方向Ｄ２に動かすときに、第２駆動装置５による負荷がかかる第３所定区間Ｅ３を短くすることが可能となる。よって、開閉装置１ｇでは、人による引戸装置２００ｇの操作性を向上させることが可能となる。

　第１駆動装置４の第１部材４１は、連係機構１６を介することなく第２構造体２０３に連結できるように構成されている。緩衝装置１１は、連係機構１６を介することなく可動体２に連結されている。よって、開閉装置１ｇは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１に動いた場合に、緩衝装置１１による第２構造体２０３の減速時の衝撃が、連係機構１６に影響するのを抑制することが可能となる。これにより、開閉装置１ｇは、実施形態６の開閉装置１ｆと比べて、信頼性を向上させることが可能となる。

　開閉装置付き構造体２００ｇは、開閉装置１ｇと、第２構造体２０３と、を備える。よって、開閉装置付き構造体２００ｇは、第２構造体２０３を第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２それぞれへ人が動かすときの操作力を軽減することが可能となる。

　図４８は、実施形態７の変形例である開閉装置１ｈ及び開閉装置付き構造体２００ｈの概略正面図である。開閉装置１ｈでは、実施形態７の開閉装置１ｇとは緩衝装置１１の配置等が相違する。なお、実施形態７と同様の構成要素については、実施形態７と同一の符号を付して説明を適宜省略する。

　連係機構１６は、実施形態７の開閉装置１ｇと同じであり、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置にある状態から第２方向Ｄ２に動きだすときに、第１所定区間Ｅ１内で第１駆動装置４の力に抗して可動体２を動かし、第１所定区間Ｅ１を過ぎた後に第２駆動装置５のみの力に抗して可動体２を動かすように構成されている。開閉装置１ｇは、第１方向Ｄ１へ動く第２構造体２０３が第１方向Ｄ１における終点位置に至る直前の第２所定区間Ｅ２における第２構造体２０３の移動速度を、第２所定区間Ｅ２に至る直前の第３所定区間Ｅ３における第２構造体２０３の移動速度よりも減速させる緩衝装置１１を更に備える。第１所定区間Ｅ１の長さは、第２所定区間Ｅ２の長さ以上である。第３所定区間Ｅ３の長さは、第２所定区間Ｅ２の長さよりも短い。第１駆動装置４の第１部材４１は、連係機構１６を介することなく第２構造体２０３に連結できるように構成されている。第１駆動装置４の第２部材４２は、連係機構１６を介することなく第１構造体２０１に連結できるように構成されている。緩衝装置１１は、第１構造体２０１に固定できるように構成されている。よって、開閉装置１ｈは、第２構造体２０３が第１方向Ｄ１に動いた場合に、緩衝装置１１による第２構造体２０３の減速時の衝撃が、連係機構１６に影響するのを抑制することが可能となる。これにより、開閉装置１ｈは、実施形態６の開閉装置１ｆと比べて、信頼性を向上させることが可能となる。開閉装置１ｈでは、緩衝装置１１が第１構造体２０１に固定できるように構成されているので、第２所定区間Ｅ２と第１所定区間Ｅ１とを各別に設定することができる。例えば、開閉装置１ｈでは、第２所定区間Ｅ２を第１所定区間Ｅ１と同じ区間に設定する場合に限らず、第２所定区間Ｅ２を第１所定区間Ｅ１よりも長く設定することが可能となる。

　緩衝装置１１は、ダンパ８４により構成されている。緩衝装置１１は、ダンパ８４のシリンダ８４ａが第１構造体２０１を構成する壁２０１０に埋込配置されており、ロッド８４ｂが第２構造体２０３側へ突出できるようになっている。ロッド８４ｂの先端には、磁石１１１が取り付けられている。第２構造体２０３における磁石１１１との対向面には、磁石１１２が取り付けられている。磁石１１１と磁石１１２との互いの対向面は、磁極が異なっている。磁石１１１と磁石１１２とは、緩衝装置１１を初期位置に復帰させるために設けてある。

　以上、本発明の構成を、実施形態１～７に基づいて説明したが、本発明は、実施形態１～７の構成に限らず、例えば、実施形態１～７の部分的な構成を、適宜組み合わせてある構成であってもよい。また、実施形態１～７に記載した材料、数値等は、好ましい例を挙げているだけであり、それに限定する主旨ではない。更に、本発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることが可能である。例えば、開閉装置は、第１駆動装置と第２駆動装置とが１つの部材を共有した構成としてもよい。

　第２構造体２０３は、引戸に限らず、開き戸、折れ戸、雨戸、窓部材、サッシ、ＡＶボード開き戸、収納引き出し、棚の収納引き出し、冷蔵庫の引き出し、シャッター、玄関扉等でもよい。

　以上述べたように、開閉装置（１ａ～１ｈ）は、以下の第１の特徴を有する。

　第１の特徴では、開閉装置（１ａ～１ｈ）は、第１構造体（２０１）の開口部（２０２）を開閉する第２構造体（２０３）に連結される可動体（２）と、第２構造体（２０３）が開口部（２０２）を開閉するように可動体（２）をガイドするガイド部（３）と、を備える。開閉装置（１ａ～１ｈ）は、各々が、第２構造体（２０３）の動く一方向に沿った第１方向（Ｄ１）に可動体（２）を動かす第１駆動装置（４）及び第２駆動装置（５）を更に備える。

　第１駆動装置（４）及び第２駆動装置（５）は、それぞれ、可動体（２）とガイド部（３）とのうち可動体（２）側に設けられる第１部材（４１、５１）と、ガイド部（３）側に設けられる第２部材（４２、５２）と、を備える。第１駆動装置（４）及び第２駆動装置（５）は、それぞれの第１部材（４１、５１）と第２部材（４２、５２）との相互作用により第２構造体（２０３）を第１方向（Ｄ１）へ動かすように構成されている。

　開閉装置（１ａ～１ｈ）は、連係機構（１６）を更に備える。連係機構（１６）は、可動体（２）が第１方向（Ｄ１）へ動くときに、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）とを連動させるように構成されている。連係機構（１６）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置にある状態から第１方向（Ｄ１）とは反対の第２方向（Ｄ２）に動きだすときに、所定区間（Ｅ１）内で第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）との一方のみの相互作用に抗して可動体（２）を動かすように構成されている。連係機構（１６）は、第２構造体（２０３）が終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動いて所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）との他方のみの相互作用に抗して可動体（２）を動かすように構成されている。

　また、開閉装置は、第１の特徴に加えて、以下の第２の特徴を有していてもよい。

　第２の特徴では、第１方向（Ｄ１）は、第２構造体（２０３）が開口部（２０２）を閉じる方向である。

　また、開閉装置は、第１又は第２の特徴に加えて、以下の第３の特徴を有していてもよい。

　第３の特徴では、第１駆動装置（４）の第１部材（４１）は、可動体（２）に連結されている。連係機構（１６）は、第１連係装置（６）と、第２連係装置（７）と、を備える。第１連係装置（６）は、可動体（２）が第１方向（Ｄ１）へ動くときに、第２駆動装置（５）の第１部材（５１）を可動体（２）と連動させるように構成されている。また、第１連係装置（６）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動きだすときに、所定区間（Ｅ１）内で第２駆動装置（５）の第１部材（５１）と可動体（２）との連動状態を解除させるように構成されている。第２連係装置（７）は、第２構造体（２０３）が終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動いて所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に、第２駆動装置（５）の第１部材（５１）を可動体（２）と連動させるように構成されている。

　また、開閉装置は、第３の特徴に加えて、以下の第４の特徴を有していてもよい。

　第４の特徴では、第１連係装置（６）は、第１駆動装置（４）の第１部材（４１）に連結された受動部（６１）と、第２駆動装置（５）の第１部材（５１）に連結された押部（６２）と、を有する。第２連係装置（７）は、第２駆動装置（５）の第１部材（５１）に連結された受動部（７１）と、第１駆動装置（４）の第１部材（４１）に連結された押部（７２）と、を有する。第１連係装置（６）の受動部（６１）又は押部（６２）は、第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触して連係する位置と、第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触せず連係しない位置との間で動くことが可能である。第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触している第１状態では、第２連係装置（７）の押部（７２）と受動部（７１）とが離れている。第２連係装置（７）の押部（７２）と受動部（７１）は、第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触していないときに、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）とが第１状態よりも近づいた第２状態で接触する。

　また、開閉装置は、第１又は第２の特徴に加えて、以下の第５の特徴を有していてもよい。

　第５の特徴では、第１駆動装置（４）の第２部材（４２）は、ガイド部（３）に連結されている。連係機構（１６）は、第１連係装置（６）と、第２連係装置（７）と、を備える。可動体（２）は、状態切替部材（２５）を更に備える。第１連係装置（６）は、可動体（２）が第１方向（Ｄ１）へ動くときに、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）の変位を抑制するように構成されている。状態切替部材（２５）は、第２構造体（２０３）が終点位置にきたときに、第１連係装置（６）によって変位を抑制されていた第２駆動装置（５）の第２部材（５２）を第１連係装置（６）から解放するように構成されている。第１連係装置（６）は、第２構造体（２０３）が終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動きだすときに、所定区間（Ｅ１）内で第２駆動装置（５）の第２部材（５２）を可動体（２）と連動させるように構成されている。第２連係装置（７）は、第２構造体（２０３）が終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動いて所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）の変位を抑制して、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）と可動体（２）との連動状態を解除させるように構成されている。

　また、開閉装置は、第５の特徴に加えて、以下の第６の特徴を有していてもよい。

　第６の特徴では、第１連係装置（６）は、第１駆動装置（４）の第２部材（４２）に連結された受動部（６１）と、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）に連結された押部（６２）と、を有する。第２連係装置（７）は、第１駆動装置（４）の第２部材（４２）に連結された受動部（７１）と、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）に連結された押部（７２）とを有する。第１連係装置（６）の受動部（６１）又は押部（６２）は、第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触して連係する位置と、第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触せず連係しない位置との間で動くことが可能である。第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触している第１状態では、第２連係装置（７）の押部（７２）と受動部（７１）とが離れている。第２連係装置（７）の押部（７２）と受動部（７１）は、第１連係装置（６）の押部（６２）と受動部（６１）とが接触していないときに、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）とが第１状態よりも近づいた第２状態で接触する。

　また、開閉装置は、第１～第６のいずれかの特徴に加えて、以下の第７の特徴を有していてもよい。

　第７の特徴では、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）との少なくとも一方は、ソフトクローズ機構（８）である。ソフトクローズ機構（８）は、第２構造体（２０３）が開いた状態から第１方向（Ｄ１）へ動いたときに、所定位置で第２構造体（２０３）を減速させ、第２構造体（２０３）を自動的に終点位置まで動かすように構成されている。

　また、開閉装置は、第７の特徴に加えて、以下の第８の特徴を有していてもよい。

　第８の特徴では、ソフトクローズ機構（８）は、支持部（８１）と、支持部（８１）に第１端部（８２１）が接続された引張ばね（８２）と、引張ばね（８２）における第１端部（８２１）とは反対側の第２端部（８２２）に接続された規制部材（８３）と、ガイド部（３）の所定位置に設けられたトリガ（８５）と、を備える。ソフトクローズ機構（８）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）において所定位置まで動いたときに規制部材（８３）がトリガ（８５）をキャッチするように構成されている。

　また、開閉装置は、第１～第８のいずれかの特徴に加えて、以下の第９の特徴を有していてもよい。

　第９の特徴では、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５）との少なくとも一方では、第１部材（４１、５１）が第１磁石装置（９）であり、第２部材（４２、５２）が第２磁石装置（１０）である。上記少なくとも一方は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置にある状態で、第１磁石装置（９）と第２磁石装置（１０）とが、第１方向（Ｄ１）に直交する第３方向（Ｄ３）で離れて対向し吸引力が作用するように構成されている。

　また、開閉装置は、第１又は第２の特徴に加えて、以下の第１０の特徴を有していてもよい。

　第１０の特徴では、連係機構（１６）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動きだすときに、第１所定区間（Ｅ１）内で第１駆動装置（４）の力に抗して可動体（２）を動かし、第１所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に第２駆動装置（５）のみの力に抗して可動体（２）を動かすように構成されている。開閉装置は、第１方向（Ｄ１）へ動く第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置に至る直前の第２所定区間（Ｅ２）における第２構造体（２０３）の移動速度を、第２所定区間（Ｅ２）に至る直前の第３所定区間（Ｅ３）における第２構造体（２０３）の移動速度よりも減速させる緩衝装置（１１）を更に備える。第１所定区間（Ｅ１）の長さは、第２所定区間（Ｅ２）の長さ以上である。第３所定区間（Ｅ３）の長さは、第２所定区間（Ｅ２）の長さよりも短い。第１駆動装置（４）の第１部材（４１）は、連係機構（１６）を介することなく第２構造体（２０３）に連結できるように構成されている。第１駆動装置（４）の第２部材（４２）は、連係機構（１６）を介することなく第１構造体（２０１）に連結できるように構成されている。緩衝装置（１１）は、連係機構（１６）を介することなく可動体（２）に連結されている。

　また、開閉装置は、第１０の特徴に加えて、以下の第１１の特徴を有していてもよい。

　第１１の特徴では、緩衝装置（１１）は、第１駆動装置（４）と第２駆動装置（５９とのうち第１駆動装置（４）のみに固定されている。

　また、開閉装置は、第１又は第２の特徴に加えて、以下の第１２の特徴を有していてもよい。

　第１２の特徴では、連係機構（１６）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動きだすときに、第１所定区間（Ｅ１）内で第１駆動装置（４）の力に抗して可動体（２）を動かし、第１所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に第２駆動装置（５）のみの力に抗して可動体（２）を動かすように構成されている。開閉装置は、第１方向（Ｄ１）へ動く第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）における終点位置に至る直前の第２所定区間（Ｅ２）における第２構造体（２０３）の移動速度を、第２所定区間（Ｅ２）に至る直前の第３所定区間（Ｅ３）における第２構造体（２０３）の移動速度よりも減速させる緩衝装置（１１）を更に備える。第１所定区間（Ｅ１）の長さは、第２所定区間（Ｅ２）の長さ以上である。第３所定区間（Ｅ３）の長さは、第２所定区間（Ｅ２）の長さよりも短い。第１駆動装置（４）の第１部材（４１）は、連係機構（１６）を介することなく第２構造体（２０３）に連結できるように構成されている。第１駆動装置（４）の第２部材（４２）は、連係機構（１６）を介することなく第１構造体（２０１）に連結できるように構成されている。緩衝装置（１１）は、第１構造体（２０１）に固定できるように構成されている。

　また、開閉装置は、第１０～第１２のいずれかの特徴に加えて、以下の第１３の特徴を有していてもよい。

　第１３の特徴では、第１駆動装置（４）は、ソフトクローズ機構（８）であり、緩衝装置（１１）が、ダンパ（８４）である。

　また、開閉装置は、第１０～第１３のいずれかの特徴に加えて、以下の第１４の特徴を有していてもよい。

　第１４の特徴では、連係機構（１６）は、抑制部材（１６１）と、状態切替部材（１６２）と、を備える。抑制部材（１６１）は、第２構造体（２０３）が第１方向（Ｄ１）へ動くときに、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）の変位を抑制するように構成されている。状態切替部材（１６２）は、第２構造体（２０３）が終点位置にきたときに、抑制部材（１６１）が第２駆動装置（５）の第２部材（５２）の変位を抑制する状態を解除するように構成されている。抑制部材（１６１）は、第２構造体（２０３）が終点位置にある状態から第２方向（Ｄ２）に動いて第１所定区間（Ｅ１）を過ぎた後に、第２駆動装置（５）の第２部材（５２）の第１方向（Ｄ１）への変位を抑制するように構成されている。

　また、開閉装置は、第１４の特徴に加えて、以下の第１５の特徴を有していてもよい。

　第１５の特徴では、第２駆動装置（５）の第１部材（５１）は、第２構造体（２０３）に連結されて第２構造体（２０３）と連動するように構成されている。第２駆動装置（５）の第２部材（５２）は、ガイド部（３）側に固定された駆動用ベース（５２１）と、駆動用ベース（５２１）に保持され第１方向（Ｄ１）及び第２方向（Ｄ２）へスライド可能な駆動用可動ブロック（５２２）と、を備える。また、第２部材（５２）は、第１方向（Ｄ１）において駆動用可動ブロック（５２２）から離れた位置でガイド部（３）側に固定された駆動用支持体（５２３）と、駆動用可動ブロック（５２２）と駆動用支持体（５２３）とを連結し駆動用可動ブロック（５２２）を駆動用支持体（５２３）に対する初期位置に復帰させる復帰ばね（５２４）と、を備える。抑制部材（１６１）は、第１方向（Ｄ１）と直交する第３方向（Ｄ３）に直交する面内において回転自在となるように駆動用ベース（５２１）に連結されて駆動用可動ブロック（５２２）の変位を抑制するように構成されている。状態切替部材（１６２）は、第２駆動装置（５）の第１部材（５１）に固定されており、抑制部材（１６１）を回転させることにより駆動用可動ブロック（５２２）の変位を抑制する状態を解除する。

　また、第１６の特徴を有する開閉装置付き構造体は、第１～第１５のいずれかの特徴を有する開閉装置と、第２構造体（２０３）とを備える。

　開閉装置及び開閉装置付き構造体は、操作力を軽減することが可能になる。

Claims

　第１構造体の開口部を開閉する第２構造体に連結される可動体と、前記第２構造体が前記開口部を開閉するように前記可動体をガイドするガイド部と、を備え、
　各々が、前記第２構造体の動く一方向に沿った第１方向に前記可動体を動かす第１駆動装置及び第２駆動装置を更に備え、
　前記第１駆動装置及び前記第２駆動装置は、それぞれ、前記可動体と前記ガイド部とのうち前記可動体側に設けられる第１部材と、前記ガイド部側に設けられる第２部材と、を備え、それぞれの前記第１部材と前記第２部材との相互作用により前記第２構造体を前記第１方向へ動かすように構成され、
　連係機構を更に備え、
　前記連係機構は、前記可動体が前記第１方向へ動くときに、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置とを連動させ、前記第２構造体が前記第１方向における終点位置にある状態から前記第１方向とは反対の第２方向に動きだすときに、所定区間内で前記第１駆動装置と前記第２駆動装置との一方のみの前記相互作用に抗して前記可動体を動かし、前記所定区間を過ぎた後に、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置との他方のみの前記相互作用に抗して前記可動体を動かすように構成されている、
　ことを特徴とする開閉装置。
　前記第１方向は、前記第２構造体が前記開口部を閉じる方向である
　ことを特徴とする請求項１記載の開閉装置。
　前記第１駆動装置の前記第１部材は、前記可動体に連結されており、
　前記連係機構は、第１連係装置と、第２連係装置と、を備え、
　前記第１連係装置は、前記可動体が前記第１方向へ動くときに、前記第２駆動装置の前記第１部材を前記可動体と連動させ、前記第２構造体が前記終点位置にある状態から前記第２方向に動きだすときに、前記所定区間内で前記第２駆動装置の前記第１部材と前記可動体との連動状態を解除させるように構成され、
　前記第２連係装置は、前記第２構造体が前記終点位置にある状態から前記第２方向に動いて前記所定区間を過ぎた後に、前記第２駆動装置の前記第１部材を前記可動体と連動させるように構成されている、
　ことを特徴とする請求項１又は２記載の開閉装置。
　前記第１連係装置は、前記第１駆動装置の前記第１部材に連結された受動部と、前記第２駆動装置の前記第１部材に連結された押部と、を有し、
　前記第２連係装置は、前記第２駆動装置の前記第１部材に連結された受動部と、前記第１駆動装置の前記第１部材に連結された押部と、を有し、
　前記第１連係装置の受動部又は押部は、前記第１連係装置の押部と受動部とが接触して連係する位置と、前記第１連係装置の押部と受動部とが接触せず連係しない位置との間で動くことが可能であり、
　前記第１連係装置の押部と受動部とが接触している第１状態では、前記第２連係装置の押部と受動部とが離れており、
　前記第２連係装置の押部と受動部は、前記第１連係装置の押部と受動部とが接触していないときに、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置とが第１状態よりも近づいた第２状態で接触する、
　ことを特徴とする請求項３記載の開閉装置。
　前記第１駆動装置の前記第２部材は、前記ガイド部に連結されており、
　前記連係機構は、第１連係装置と、第２連係装置と、を備え、
　前記可動体は、状態切替部材を更に備え、
　前記第１連係装置は、前記可動体が前記第１方向へ動くときに、前記第２駆動装置の前記第２部材の変位を抑制するように構成され、
　前記状態切替部材は、前記第２構造体が前記終点位置にきたときに、前記第１連係装置によって変位を抑制されていた前記第２駆動装置の前記第２部材を前記第１連係装置から
解放するように構成され、
　前記第１連係装置は、前記第２構造体が前記終点位置にある状態から前記第２方向に動きだすときに、前記所定区間内で前記第２駆動装置の前記第２部材を前記可動体と連動させるように構成され、
　前記第２連係装置は、前記第２構造体が前記終点位置にある状態から前記第２方向に動いて前記所定区間を過ぎた後に、前記第２駆動装置の前記第２部材の変位を抑制して、前記第２駆動装置の前記第２部材と前記可動体との連動状態を解除させるように構成されている、
　ことを特徴とする請求項１又は２記載の開閉装置。
　前記第１連係装置は、前記第１駆動装置の前記第２部材に連結された受動部と、前記第２駆動装置の前記第２部材に連結された押部と、を有し、
　前記第２連係装置は、前記第１駆動装置の前記第２部材に連結された受動部と、前記第２駆動装置の前記第２部材に連結された押部と、を有し、
　前記第１連係装置の受動部又は押部は、前記第１連係装置の押部と受動部とが接触して連係する位置と、前記第１連係装置の押部と受動部とが接触せず連係しない位置との間で動くことが可能であり、
　前記第１連係装置の押部と受動部とが接触している第１状態では、前記第２連係装置の押部と受動部とが離れており、
　前記第２連係装置の押部と受動部は、前記第１連係装置の押部と受動部とが接触していないときに、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置とが第１状態よりも近づいた第２状態で接触する、
　ことを特徴とする請求項５記載の開閉装置。
　前記第１駆動装置と前記第２駆動装置との少なくとも一方は、ソフトクローズ機構であり、
　前記ソフトクローズ機構は、前記第２構造体が前記第１方向へ動いたときに、所定位置で前記第２構造体を減速させ、前記第２構造体を自動的に前記終点位置まで動かすように構成されている、
　ことを特徴とする請求項１乃至６のいずれか一項に記載の開閉装置。
　前記ソフトクローズ機構は、支持部と、前記支持部に第１端部が接続された引張ばねと、前記引張ばねにおける前記第１端部とは反対側の第２端部に接続された規制部材と、前記ガイド部の所定位置に設けられたトリガと、を備え、
　前記ソフトクローズ機構は、前記第２構造体が前記第１方向において前記所定位置まで動いたときに前記規制部材が前記トリガをキャッチするように構成されている、
　ことを特徴とする請求項７記載の開閉装置。
　前記第１駆動装置と前記第２駆動装置との少なくとも一方では、前記第１部材が第１磁石装置であり、前記第２部材が第２磁石装置であり、
　前記少なくとも一方は、前記第２構造体が前記終点位置にある状態で、前記第１磁石装置と前記第２磁石装置とが、前記第１方向に直交する第３方向で離れて対向し吸引力が作用するように構成されている、
　ことを特徴とする請求項１乃至８のいずれか一項に記載の開閉装置。
　前記連係機構は、前記第２構造体が前記第１方向における終点位置にある状態から前記第２方向に動きだすときに、前記所定区間である第１所定区間内で前記第１駆動装置の力に抗して前記可動体を動かし、前記第１所定区間を過ぎた後に前記第２駆動装置のみの力に抗して前記可動体を動かすように構成され、
　前記第１方向へ動く前記第２構造体が前記第１方向における終点位置に至る直前の第２所定区間における前記第２構造体の移動速度を、前記第２所定区間に至る直前の第３所定区間における前記第２構造体の移動速度よりも減速させる緩衝装置を更に備え、
　前記第１所定区間の長さは、前記第２所定区間の長さ以上であり、
　前記第３所定区間の長さは、前記第２所定区間の長さよりも短く、
　前記第１駆動装置の前記第１部材は、前記連係機構を介することなく前記第２構造体に連結できるように構成され、
　前記第１駆動装置の前記第２部材は、前記連係機構を介することなく前記第１構造体に連結できるように構成され、
　前記緩衝装置は、前記連係機構を介することなく前記可動体に連結されている、
　ことを特徴とする請求項１又は２記載の開閉装置。
　前記緩衝装置は、前記第１駆動装置と前記第２駆動装置とのうち前記第１駆動装置のみに固定されている、
　ことを特徴とする請求項１０記載の開閉装置。
　前記連係機構は、前記第２構造体が前記第１方向における終点位置にある状態から前記第２方向に動きだすときに、前記所定区間である第１所定区間内で前記第１駆動装置の力に抗して前記可動体を動かし、前記第１所定区間を過ぎた後に前記第２駆動装置のみの力に抗して前記可動体を動かすように構成され、
　前記第１方向へ動く前記第２構造体が前記第１方向における終点位置に至る直前の第２所定区間における前記第２構造体の移動速度を、前記第２所定区間に至る直前の第３所定区間における前記第２構造体の移動速度よりも減速させる緩衝装置を更に備え、
　前記第１所定区間の長さは、前記第２所定区間の長さ以上であり、
　前記第３所定区間の長さは、前記第２所定区間の長さよりも短く、
　前記第１駆動装置の前記第１部材は、前記連係機構を介することなく前記第２構造体に連結できるように構成され、
　前記第１駆動装置の前記第２部材は、前記連係機構を介することなく前記第１構造体に連結できるように構成され、
　前記緩衝装置は、前記第１構造体に固定できるように構成されている、
　ことを特徴とする請求項１又は２記載の開閉装置。
　前記第１駆動装置は、ソフトクローズ機構であり、前記緩衝装置は、ダンパである、
　ことを特徴とする請求項１０乃至１２のいずれか一項に記載の開閉装置。
　前記連係機構は、抑制部材と、状態切替部材と、を備え、
　前記抑制部材は、前記第２構造体が前記第１方向へ動くときに、前記第２駆動装置の前記第２部材の変位を抑制するように構成され、
　前記状態切替部材は、前記第２構造体が前記終点位置にきたときに、前記抑制部材が前記第２駆動装置の前記第２部材の変位を抑制する状態を解除するように構成され、
　前記抑制部材は、前記第２構造体が前記終点位置にある状態から前記第２方向に動いて前記第１所定区間を過ぎた後に、前記第２駆動装置の前記第２部材の前記第１方向への変位を抑制するように構成されている、
　ことを特徴とする請求項１０乃至１３のいずれか一項に記載の開閉装置。
　前記第２駆動装置の前記第１部材は、前記第２構造体に連結されて前記第２構造体と連動するように構成され、
　前記第２駆動装置の前記第２部材は、前記ガイド部側に固定された駆動用ベースと、前記駆動用ベースに保持され前記第１方向及び前記第２方向へスライド可能な駆動用可動ブロックと、前記第１方向において前記駆動用可動ブロックから離れた位置で前記ガイド部側に固定された駆動用支持体と、前記駆動用可動ブロックと前記駆動用支持体とを連結し前記駆動用可動ブロックを前記駆動用支持体に対する初期位置に復帰させる復帰ばねと、を備え、
　前記抑制部材は、前記第１方向と直交する第３方向に直交する面内において回転自在となるように前記駆動用ベースに連結されて前記駆動用可動ブロックの変位を抑制するように構成され、
　前記状態切替部材は、前記第２駆動装置の前記第２部材に固定されており、前記抑制部材を回転させることにより前記駆動用可動ブロックの変位を抑制する状態を解除する、
　ことを特徴とする請求項１４記載の開閉装置。
　請求項１乃至１５のいずれか一項に記載の開閉装置と、前記第２構造体と、を備える、
　ことを特徴とする開閉装置付き構造体。