JP2009256915A - 建物の壁構造 - Google Patents

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建二 金井
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Abstract

【課題】壁構造において耐振や制振のために用いる部材を利用して柱そのものを補強することにより、柱、縦材の座屈、折損あるいは湾曲などを防止する。
【解決手段】上下の横架材と左右の柱とからなる壁構造3であって、横架材2と柱1以外にほぼ柱の全長にわたる柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材を備えるものにおいて、左右の柱が柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材と結合されることにより補強され、柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材の上端と下端を上横架材と下横架材へ結合することにより柱の引き抜き抵抗を向上する。左右の柱を補強する柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材を制振ダンパーで結合することがある。
【選択図】図1

Description

建物の壁構造であって、柱(枠組壁工法住宅における縦材を含む、以下同じ)と横架材(枠組壁工法住宅における横材を含む、以下同じ)とからなる構造を補強する。
建物において上下の横架材と左右の柱とからなる建物の壁構造が地震力や風力によって変形したり破損するのを防止する構造として、横架材と柱とを剛性高く結合して壁構造の耐震性能を向上させるもの(特許文献1)と、横架材と柱との回転に対する結合にはある程度の柔軟性を許容して壁構造の変形をその壁構造に結合させた制振ダンパーなどで吸収することにより地震エネルギーを吸収する制振機構のもの(特許文献2〜4)がある。
特許文献1の構成は、柱1間を横桟4で連結するとともに補強板6を貼り付けて壁構造の耐震補強を行うものであるが、耐震性能を向上させるために柱1と上下の横架材や横桟および補強板が相互に強固に固定されていると、地震などの水平力に対し柱が曲げ破壊などを起こす恐れがある。
特許文献2〜3はダンパーによる制振構造であるが、ダンパーによるエネルギー吸収機能に大きく影響する柱のたわみを補強する構造と引抜き補強をセットで考慮する技術的思想はない。
特許文献3ではA柱材に剛性補強板が使用されているが、この補強板はダンパー体2の一部として構成されているのではなく、A柱材を補強するために別途設けられたものである。
同様に、特許文献4は、A柱材に剛性補強材4を使用しているが、A柱材のほぼ全長にわたるものではなく、B柱材には全長にわたる補強材と言えるものが使用されていない。
つまり、特許文献4の構成には、一体に構成される“柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材”を壁構造に利用する技術的思想がない。
なお、耐震構造の場合も制振構造の場合も横架材に対する柱の引抜き耐力をこれら構造の性能に応じて必要により強化することは重要であり、横架材と柱とを結合する接合箇所に引抜き耐力金物やホールダウン金物などが用いられる。
特開2004−263500号公報 特開2004−218226号公報 特開2006−207290号公報 特開2006−207292号公報
この発明は、壁構造において耐振や制振のために用いる部材を利用して柱そのものを補強することにより、座屈、折損あるいはたわみなどを防止することを課題とする。
柱と横架材および柱のほぼ全長にわたり柱のたわみと引抜きに対する抵抗力を補強する部材を有する壁構造とする。前記柱のたわみと引抜きに対する抵抗力を補強する部材は柱へ結合するとともに、上下の横架材、下階の柱又は上階の柱あるいは基礎へ結合可能とする。
壁構造に存在する柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材によって柱が補強され、柱の折損やたわみが防止される。また、柱に結合された柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材の上端と下端が引抜補強金物で上下の横架材、下階の柱又は上階の柱あるいは基礎へ結合されて引抜きに対する抵抗力が強化される。このため、柱の浮き上がりが抑えられ、制振ダンパーの作動が設計した値に近づき、制振ダンパーの変形性能の低下を抑制する効果がある。また、柱と上下の横架材、下階の柱又は上階の柱あるいは基礎へ直接結合することで遊びを減らし、さらに引抜き抵抗を確保する効果があり、結果として壁の耐震性、制振性能が向上する。
この発明は、鉄骨による壁構造、木造軸組みによる壁構造及び枠組壁工法による壁構造のいずれにも適用できる。
図1は、第1の実施例を示す。左右の柱1(1a,1b)と上下の横架材2(梁2a,土台2b)とからなる壁構造3であり、制振補強構造4を備えている。制振補強構造4は、左右の取付金物5(5a,5b)と上下の引寄せボルト6(6a,6b)、左右に配置した長方形の耐力板7(7a,7b)及び上下のダンパー8(8a,8b)とで構成されている。
符合9はコンクリート基礎、符合10は土台2bを基礎9へ固定するアンカーボルト、符合11は引寄せボルト6bを基礎9へ結合するために後付けしたアンカーボルトである。
なお、符号について、例えば、左右の柱1(1a,1b)は、左右の柱1を区別して説明する必要のあるときは柱1a,1bとし、その必要のないときは単に柱1とする。以下、同様。
取付金物5は、この実施例において厚さ3.2mmの鋼板を、高さ2400mm、左右幅65mm、前後35mmとしたプレス加工品であり、平行に配置された両側の側壁12と側壁12の柱側を連絡した連絡壁13とを有する(図2)。両側の側壁12には固定用ボルト14(または、コーチスクリュー、ラグスクリュー)(図2、図3)の挿通孔15が上下方向に並び、かつ、双方の側壁12に貫通して形成されている。背面の連絡壁13には、取付金物5を柱1へ固定するねじ16を通すねじ孔17が形成されている(図3)。また、取付金物5の上下部(長手方向の端部寄り)には40×100mmの窓孔18(18a,18b)が両側の側壁12に貫通して形成されており、引寄せボルト6の一端を係合する係合部とされる。
引寄せボルト6は、この実施例において、M16程度の両切りボルトで、一端(柱側)を取付金物5の窓孔18に係合させ、他端を横架材2に係合させて引き締めるためのものである。
すなわち、取付金物5aの上窓孔18aについてみると、引寄せボルト6aの上部は梁2aに貫通され、その突出部に座金付きナット19をねじ込んで梁2aと係合してあり、下部は、取付金物5の窓孔18aに挿し込んだ係合座金20に貫通させ、その端部にナット21を螺合してある。ナット21を締め込むと係合座金20は上昇して窓孔18aの上辺に係合する。
長方形の耐力板7は、この実施例において350×2000mmで厚さ28mmの構造用合板である。ダンパー8は、粘弾性ダンパーと呼ばれるもので、平行に配置された金属製の第1板22と第2板23の間に合成樹脂系の粘弾性材が挟まれた構造のものである。
壁構造は次のように形成される。
(1)左右の柱1a,1bに取付金物5a,5bを対向させて配置し、ねじ16で強固に固定する。
(2)左右の取付金物5a,5bにおけるそれぞれの上部の窓孔18aと梁2aとを前記のように、引寄せボルト6aと係合座金20及びナット21で連結する。
(3)取付金物5a,5bのそれぞれ下部窓孔18bについても同様に、引寄せボルト6bの上部を窓孔18bに挿通させた係合座金20に貫通させ、その上端部にナット21を螺合し、下部のねじ部を後付けアンカーボルト11と長ナット24で結合する。これにより、取付金物5aは土台2b(実質的には、コンクリート基礎9)と連結される。
(4)左右の取付金物5a,5bの両側壁12間に耐力板7a,7bの長辺の一つをそれぞれ差込み、固定用ボルト14で固定する。固定は複数個所であり、それぞれを遊びがないように確実に行う。
(5)引寄せボルト6のナット21を締め上げ、柱1と上下の横架材2を相互に引寄せて結合する。
これにより、柱1は取付金物5と耐力板7とによってたわみに対して補強され、また、引寄せボルト6による上下の横架材2との結合によって、引抜きに対する抵抗力が補強される。
(6)最後にダンパー8を左右の耐力板7a,7bにまたがらせ、その第1板22と第2板23を左右の耐力板7a,7bの一方ずつに固定することにより、左右の耐力板7a,7bをダンパー8で結合する。
以上の構造において、左右の取付金物5a,5bと耐力板7a,7bは固定用ボルト14で結合され、壁構造3においてほぼ柱1の全長にわたる“柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材”を構成している。
この柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材は本来、ダンパー8を用いた制振機構を構成するためのものであるが、左右の柱1とねじ16によって結合されて左右の柱1a,1bをそれぞれに補強する構造でもある。そして、柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材の上端と下端が上横架材と下横架材へ結合され、柱1に作用する引抜き力に対抗することとなる。柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材の上端と下端が結合されるのは土台や梁ばかりでなく、基礎や、上階あるいは下階の柱の場合がある。例えば、上階の壁構造も制振補強構造である場合に、上下階の柱は柱脚側と柱頭側を共通した一本の引寄せボルトで結合し、上下の制振補強構造を連携させることもできる。連携により、建物全体としての制振強度が向上する。
この発明は制振機構を備えた壁構造のその制振機構における柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材を柱1の補強と引抜き防止に利用したものといえる。なお、柱に加わる力は、制振壁に期待する性能に応じて大きくなり、たわみおよび引抜に対する抵抗力もまた大きくする必要がある。この発明は、構造的にこの要請に簡単かつ十分に応えることができる。
また、この発明は、枠壁工法の際のスタッドの曲げ破壊やたわみあるいは鉄骨柱のたわみを防止することにも適用できる。
なお、上方の引寄せボルト6aは、図4のように、梁2aの下面に固定したナット部材25に上部を螺合させることにより梁2aと結合させることもできる。
窓孔18に係合させる係合座金20は、実施例(図2)のように、窓孔18の上辺あるいは下辺における側壁12と嵌合する2条の溝を備えていると、取付金物5に対する位置ずれが生じず、また、取付金物5の両側壁12の間隔が変化するような座屈を抑止する効果がある。
図5は、第2の実施例である。基本的に実施例1と同様の構造であるが、取付金物5が一本の連続したものではなく、上部分5u、中部分5m、下部分5dの3部分に分離されている点が異なる。実施例1と同一の部材には同一の符合を付して詳しい説明を省略する。符合26は天井面であり、符合27は床面である。
取付金物5は3個の部分(5u、5m、5d)に分離されているが、分離された各部分(5u、5m、5d)は柱1にねじ16によって強固に固定され(ねじ16は使用本数の一部だけ図示している)、これらのそれぞれに耐力板7が固定用ボルト14で確実に固定されている。したがって、これら各部分(5u、5m、5d)と耐力板7は、壁構造3において“柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材”を構成している。そして、この柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材が、上部分5uと下部分5dの箇所で引寄せ金物6a,6bにより梁2a及びコンクリート基礎9と連結された構造である。
実施例1の場合と同様に、柱1が補強され、また、柱1のたわみ及び引抜きに対する抵抗力が向上する。
図6は、第3の実施例である。基本的に実施例2と同様の構造であるが、耐力板7を天井面26の位置よりも上方まで延長し、柱1が全長にわたり補強されるようにしたものである。実施例2と同じ部材には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図6において符号28a,28bは座屈防止部材であり、断面コ字形の溝を備えた部材である。一方の耐力板7bの上端及び下端に一端を固定し、他端をもう一方の耐力板7aの対応した端部に嵌合により結合してある。これにより、左右の耐力板7a,7bの上端間と下端間が左右方向に広がる面内では相対移動可能に、これに直交する前後方向では移動できないようにしてある。
一般に耐力板は市場に2000mm長までのものしか出回っていないので、この場合、耐力板7は上下方向で2枚に分割し、中央の当接箇所をダンパー8cで結合している。
この実施例は、新築の際に施工される。
図7は、第4の実施例を示し、実施例1〜3が制振補強構造であったのに対して、左右の柱間を一枚の耐力板7(構造用合板)で結合した耐震補強構造である。他は、実施例1の場合と同じであるが、左右の柱1a,1bは、左右の縦辺がそれぞれ取付金物5a,5bを介して柱1に固定されている。一枚の耐力板7によって左右の柱1a,1bは剛に結合され、また、上下は梁2aと土台2bとに引寄せボルト6a,6bを介して結合されている。
柱1a,1bは断面コ字形で剛性が高く、長い取付金物5と耐力板7とによって、たわみと引抜きに対する抵抗力が補強されている。取付金物5と耐力板7がたわみと引抜きに対する抵抗力を補強する部材となっている。
すなわち、耐力壁であると通常、柱1および横架材2に構造用合板などの面材を外から打ち付けるが、この実施例4の補強方法は柱1および横架材2の内側で面材が補強してあることが特徴である。
なお、柱のたわみ防止と引抜補強ができているので、例えば壁幅が狭くても強度の高い耐力壁を作れる可能性がある。一方、幅が狭いのに強い耐力壁を作ろうとすると今までより大きな引抜力が発生し、また、狭くなった分だけ壁全体としても曲がりやすくなる上、さらに外から面材を張った場合で大きな耐力を期待すると止めつける釘やビスの数が増え、柱や横架材に大きな力が働き繊維方向に開く壊れ方(繊維に対して直角方向に引張られる力は木材にとって弱い)を誘発する。
しかし、実施例4のように、長い取付金物5を介する固定方法だと壁全体の回転を抑え、引抜補強ができ、さらに、繊維に直角方向に開く木材の苦手な力のかかりかたでない(繊維に対し直角までは同じですが、開く力のかかり方ではなく垂直に引張られる力)かかり方に変わり、高い固定強度が発揮される。
図8は、第5の実施例であり、この発明を枠組壁工法住宅の枠組30(壁構造3に相当)に適用した例である。枠組30は、左右の縦材31(左縦材31a,右縦材31b・・・柱1に相当)と横材32(上横材32a,下横材32b・・・横架材2に相当)とからなる。符号33は左右の縦材31a,31bの上部を結合したまぐさであり、枠組壁工法に特徴的なものである。
縦材(スタッド)31は、複数本のランバーを重ねた構造である。
枠組30は、制振補強構造34を備えている。制振補強構造34は、左右それぞれに上下の取付金物35(35a,35b)と上下の引寄せボルト36(36a,36b)と、左右に配置した長方形の耐力板37(37a,37b)及び上下のダンパー38(38a,38b)とで構成されている。
下横材32bは、コンクリート基礎39に載置固定された端根太40上に固定されている。符号41は、後付けのアンカーボルトである。
取付金物35、耐力板37(図9に左側部分のみを示す)は、厚さ3.2mmの鋼板製である。取付金物35(図9)は、縦材側の取付け面部42と耐力板側の取付け面部43とが直交してつながったアングル材型であり(図10)、縦材側の取付け面部42には縦材へのねじ止め用に第1のビス孔44が複数個、上下方向で等間隔に形成され、また、耐力板側の取付け面部43には、耐力板結合用に第2のねじ孔45が所定の間隔d1とd2で上下方向に配置されている。第2のねじ孔45は、左右方向に長い長孔となっている。間隔d2は間隔d1の2倍である。
また、上取付金物35aの上部と下取付金物35bの下部にそれぞれアングル材の切片が溶接されてボルト受け部46が形成されている。ボルト受け部46は、引寄せボルト36bが挿通できる大きさである。なお、引寄せボルト36bは、ボルト受け部46に下方から差し込んで、その上部に係合座金47(図10)を嵌め、先端にナット48を螺合して、ボルト受け部46に係合させる。引寄せボルト36bの下部はコンクリート基礎39に固定した後付けアンカーボルト41と長ナット49(図8)を介して連結する。ボルト受け部46の上辺に沿って形成されている角孔50は、係合座金47の一端を貫通させるためのものである。係合座金47は、下面に平行な溝を備えて、耐力板側の取付け面部43とボルト受け部46とにわたって横架される。
上方の引寄せボルト36aは、下方の引寄せボルト36bの場合と方向が逆になるが、同様である。角孔50は、ボルト受け部46aの下辺に沿った位置となる。また、引寄せボルト36aの上部は上横材32aを貫通して座金付きナット51によって上横材32aと係合される(図8)。
耐力板37a(図9)は上下方向において対称の形態をしており、縦材31a側の辺に沿って、第3のねじ孔52が等間隔d1で全長にわたり形成され、また、中央側にダンパー38を取り付けるための第4のねじ孔53と振れ止め(後述)を取り付けるための長孔54が形成されている。符号55は、係合座金47との干渉を避けるために設けた長方形状の切り欠きである。
取付金物35aと耐力板37aは、図11イのように、上下の取付金物35a,35bを近接させて上下方向に短く結合する場合と、同図ロのように、上下に1ピッチ(1ピッチ=d1)ずつずらして間隔を空け、上下方向に長く結合する場合とがある。また、取付金物35における第2のねじ孔45(長孔)に対する耐力板37における第3のねじ孔52の位置を変えることで、取付金物35に対する耐力板37の左右方向位置を調整して固定することができる。いずれの場合も、第2のねじ孔45に第3のねじ孔52を重ね、双方にボルトを貫通させて強固に結合する。すなわち、これにより枠組30の“柱(縦材)のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材”55が形成される。
柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55は、取付け面部42における第1のねじ孔44を利用して縦材31へ強固に固定し、また、ボルト受け部46a、46bに一端を係合させ、他端を上横材32aと後付けアンカーボルト41へ連結した、引寄せボルト36a,36bで枠組30と結合する。ついで、左右の耐力板37a,37bの中央側に上下のダンパー38a,38bを取付け、両側の柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55を結合する。図8において、符号56は耐力板37a,37bが座屈するのを防止するための鋼板であり、両端を左右の長孔54にねじ止めする。
実施例5においても、柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55(図11)は、制振補強構造34を構成するためのものであるが、枠組30から見ると、上下の横材32と左右の縦材31以外の柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55に左右の縦材31a,31bがそれぞれ結合されて補強されており、かつ、柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55の上端と下端が上横材32aと下横材32bへ結合されることにより補強されている。
この柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55は、縦材31のほぼ全長にわたる。このため、枠組30に作用する地震力や風力によって縦材31が曲げ破壊を起こしたり、たわんだりする事態を防止することができる。この結果、耐震構造においては縦材と横材の結合に剛性の高いものを採用でき、制振構造においては枠組の変形を効率よくダンパーに伝達することができる。また、柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材55の上下を上横材32aと下横材32b(実質的には後付けアンカーボルト41)に結合した引寄せボルト36a,36bによって、引抜きに対する大きな抵抗力が付与されている。
図12は、第6の実施例であり、枠組壁工法住宅の枠組60に適用したものである。
枠組60は、縦材61(左右の縦材61a,61b)と横材62(上枠材62a,下枠材62b)、上横滑り防止部材63a及び下横滑り防止部材63bからなり、この実施例では制振補強構造64を隣り合う枠組60の双方に備えている。上横滑り防止部材63aはいわゆるまぐさ位置にある。
制振補強構造64は、縦材61に固定する補強板65、X字形に配置する連結部材66、ダンパー67とからなる。補強板65は厚さ3.2mmの細長い鋼板であり、縦材61のほぼ全長に渡る長さを有し、上端部と下端部にボルト受け部68を対照的に固定してある。ボルト受け部68は、実施例2における上下の取付金物5u、5dの構造を持つものでも良い(図13参照)。制振補強構造64はこれらの部材を相互に溶接などにより結合したダンパー67を中心としたX字形のブレース構造であり、両側の補強板65を縦材61の対向面に強固に固定することにより枠組30に取付ける。
ついで、上方のボルト受け部68に引寄せボルト69の下端を係合して、上部を上横材62aに貫通させて座金付きナット70により上横材62aに係合させホールダウン構造とする。さらに、下方のボルト受け部68に引寄せボルト69の上端を係合させて、下端をコンクリート基礎71に固定した後付けアンカーボルト72に長ナットを利用して連結してホールダウン構造とする。
隣接した枠組30においても同様に構成される。ただし、図12のように、中央となる縦材61a両側面の補強板65における上下のボルト受け部68には引寄せボルト69によるホールダウン構造を構成しなくてもよい。
以上のように、制振補強構造64における補強板65と上下の連結部材66は、ダンパー67で結合された“柱(縦材)のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材”となっており、これが縦材61に結合されることで縦材61が補強され、折損やたわみを防止することができる。
この実施例6では縦材61と横材62との結合構造にも特徴があり、左右の縦材61a,61bの上端間に固定された上横滑り防止部材63aと同下端間に固定された横すべり止め部材63bによって、地震力や風力で縦材61が横材62に対して横すべりするのを抑止する。縦材61の横すべりはわずかでもダンパー67のエネルギー吸収機能に大きく影響するが、この横すべりを防止する構造によって、改善することができる。
図13は、第7の実施例であり、実施例6に同様の構成であるが、ボルト受け部68を実施例2における上下の取付金物5u、5dの構造を持つものにしているとともに、前記の上横滑り防止部材63a、横滑り防止部材63bを用いておらず、これらに変えて、縦材61の上下端を断面コ字形の固定用金物80a,80bに嵌め込んで横材62へ取付けている。断面コ字形の固定用金物80a,80bは、左右の立ち上がり部の間隔が縦材61の左右方向寸法(幅あるいは厚さ)と等しくしてあり、複数本の部材からなる縦材61の端部を束ねると共に、風力や地震力で縦材61が横材62に対して左右へ滑るのを防止している。
また、断面コ字形の固定用金物80a,80bは、縦材61の端面が当接する水平部を備え、その水平部で横材62と当接するので、風力や地震力で縦材61が傾斜するとき、傾斜側の角に集中する圧力を分散する機能があり、縦材61の端部角が横材62へめり込む事態を防止できる。この機能もまた、ダンパーによる制振効果を向上させる。他の構成は実施例6と同様なので、同じ部材に同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図14は実施例8を示し、実施例7において、縦材61a、61bに固定された補強板65を省略して上下の連結部材66によるブレース構造を縦材61a、61bの“柱(縦材)のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材”としたものである。ダンパー67などで左右の連結部材66が結合されることが必要であるが、この構造によっても縦材61はたわみと引抜きに対する抵抗力を補強する部材となっている。
以上、いくつかの実施例について説明したが、この発明は、制振補強構造、耐震補強構造などによって形成される柱(縦材)のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材を壁構造における柱(縦材)の補強を兼ねるものとしたことを特徴とするものである。
壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例1)。 左取付金物の下部を分解して示す斜視図。 左取付金物の上部取付け状態を示す一部の正面図。 左取付金物の他の取付け状態を示す上部の正面図。 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例2)。 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例3)。 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例4) 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例5)。 実施例5における柱(縦材)のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材を分解して示す正面図。 要部を拡大して示す分解斜視図。 柱(縦材)のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材の二つの態様をイ、ロとして示す正面図。 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例6)。 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例7)。 壁構造の制振補強構造を概略で示した正面図(実施例8)。
符号の説明
1 柱
1a 左柱
1b 右柱
2 横架材
2a 梁
2b 土台
3 壁構造
4 制振補強構造
5 取付金物
5a 左取付金物
5b 右取付金物
5u 上部分
5m 中部分
5d 下部分
6 引寄せボルト
6a 上引寄せボルト
6b 下引寄せボルト
7 耐力板
7a 左耐力板
7b 右耐力板
8 ダンパー
8a 上ダンパー
8b 下ダンパー
8c 中間ダンパー
9 コンクリート基礎
10 アンカーボルト
11 後付けアンカーボルト
12 側壁
13 連絡壁
14 固定用ボルト
15 挿通孔
16 ねじ
17 ねじ孔
18 窓孔
18a 上窓孔
18b 下窓孔
19 座金付きナット
20 係合座金
21 ナット
22 第1板
23 第2板
24 長ナット
25 ナット部材
26 天井面
27 床面
28a,28b 座屈防止部材
29 空き番号
30 枠組(実施例3)
31 縦材
31a 左縦材
31b 右縦材
32 横材
32a 上横材
32b 下横材
33 まぐさ
34 制振補強構造
35 取付金物
35a 上取付金物
35b 下取付金物
36 引寄せボルト
36a 上引寄せボルト
36b 下引寄せボルト
37 耐力板
37a 左耐力板
37b 右耐力板
38 ダンパー
38a 上ダンパー
38b 下ダンパー
39 コンクリート基礎
40 端根太
41 後付けアンカーボルト
42 縦材側の取付け面部
43 耐力板側の取付け面部
44 第1のねじ孔
45 第2のねじ孔
46 ボルト受け部
46a 上ボルト受け部
46b 下ボルト受け部
47 係合座金
48 ナット
49 長ナット
50 角孔
51 座金付きナット
52 第3のねじ孔
53 第4のねじ孔
54 長孔
55 柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材
56 座屈防止用の鋼板
57,58,59 空き番号
60 枠組(実施例6)
61 縦材
62 横材
63a 上方の横滑り防止部材
63b 下方の横滑り防止部材
64 制振補強構造
65 補強板
66 連結部材
67 ダンパー
68 ボルト受け部
69 引寄せボルト
70 座金付きナット
71 コンクリート基礎
72 後付けアンカーボルト
73〜79 空き番号
80 固定用金物
80a 上方の固定用金物
80b 下方の固定用金物

Claims (4)

  1. 建物の壁構造であって、柱と横架材および柱のほぼ全長にわたり柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材を有し、柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材は柱へ結合されるとともに、上下の横架材、下階の柱又は上階の柱あるいは基礎へ結合可能な構造を備えていることを特徴とした建物の壁構造。
  2. 柱のたわみ及び引抜きに対する抵抗力を補強する部材はさらに、制振ダンパーと結合されていることを特徴とした請求項1に記載する建物の壁構造。
  3. 柱のたわみおよび引抜きに対する抵抗力を補強する部材は、複数の取付金物と耐力伝達部材で構成された1部材として柱に固定され、上下の取付金物が上下の横架材、下階の柱又は上階の柱あるいは基礎へ結合可能とされていることを特徴とした請求項1又は2に記載する建物の壁構造。
  4. 柱のたわみおよび引抜きに対する抵抗力を補強する部材における取付金物は、柱のほぼ全長にわたる長さを有し、両端部に上下の横架材、下階の柱又は上階の柱あるいは基礎と結合するための引寄せボルトを係合可能とされていることを特徴とした請求項1又は2に記載する建物の壁構造。
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