JP2009256787A - 耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼 - Google Patents

耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、優れた耐銹性を持つことを特徴とするディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼を提供することである。
【解決手段】質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:2%以下、Mn:0.2%以上2.0%以下、S:0.010%以下、P:0.05%未満、N:0.005%以上0.050%以下、Cr:10%以上14%以下、Ni:2%以下、Al:0.1%以下、V:1%以下、C+N:0.06%以上0.1%以下、Sn:0.005%以上1%以下を満足する成分を含有し、(1)式で表されるγpが80以上を満足する耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
γp=420[%C]+470[%N]+23[%Ni]+9[%Cu]+7[%Mn]−11.5[%Cr]−11.5[%Si]−52[%Al]−12[%Mo]−23[%V」−47[%Nb]−49[%Ti]+189 (1)
【選択図】なし

Description

本発明は、二輪車のディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼に関し、耐銹性に優れた好適な成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼に係わるものである。
二輪車のディスクブレーキは、耐磨耗性、耐銹性、靭性等の特性が要求される。耐磨耗性は一般に硬さが高いほど大きくなる。一方、硬さが高すぎるとブレーキとパッドの間でいわゆるブレーキの鳴きが生じるため、ブレーキの硬さは、32〜38HRC(ロックウェル硬さCスケール)が求められる。これらの要求特性から、二輪車ディスクブレーキ材料にはマルテンサイト系ステンレス鋼が用いられている。
従来、SUS420J2を焼入れ焼き戻しして所望の硬さに調節し、ブレーキとしていたが、この場合、焼入れと焼き戻しの2つの熱処理工程を要する。特許文献1において、従来鋼より広い焼入れ温度域で、安定して所望の硬さを得る鋼組成が開示された。これは、低C、N化し、かつ、それによるオーステナイト温度域の縮小、つまり、焼入れ温度域が狭くなることをオーステナイト形成元素であるMn添加で補ったものである。また、特許文献2において、低Mn鋼で焼入れままで使用できるオートバイディスクブレーキ用鋼が開示されている。この鋼は、Mnを低下させる代わりに、オーステナイト形成元素として同様の効果を持つ、NiおよびCuを添加したものである。
二輪ディスクブレーキ用にマルテンサイト系ステンレス鋼が用いられている理由の1つは、優れた耐銹性を持っていることである。しかし、Cr含有量が12%程度で、Mnを大量に含有する場合、その耐銹性が十分でない場合がある。特に厳しい塩化物環境においてやや問題となる。これは鋼中のMnSが発銹起点となっていると言われているが、解明されているわけではない。
特許文献3には、Mnを低減してCuを増加させることにより耐銹性を改善させる発明が開示されている。さらに、特許文献4には、Tiを添加することにより耐銹性が改善されることが開示されている。
特許文献5には、P、As、Sb、Biを微量添加することにより、ディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼の耐銹性を向上させる発明が開示されている。
特開昭57−198249号公報 特開平8−60309号公報 特開平10−152760号公報 特開2000−26941号公報 特開2007−321245号公報
このように耐銹性の改善は進められてきたが、いまだ十分ではなく、さらに耐銹性を改善した二輪ディスクブレーキ用鋼が必要とされているのである。
本発明の目的は、優れた耐銹性を持つことを特徴とするディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼を提供することである。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.01%以上0.10%以下、Si:2%以下、Mn:0.2%以上2.0%以下、S:0.010%以下、P:0.05%未満、N:0.005%以上0.050%以下、Cr:10%以上14%以下、Ni:2%以下、Al:0.1%以下、V:1%以下、C+N:0.06%以上0.1%以下、Sn:0.005%以上1%以下を含み、さらには、下記(1)式で表されるγpが80以上を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
γp=420[%C]+470[%N]+23[%Ni]+9[%Cu]+7[%Mn]−11.5[%Cr]−11.5[%Si]−52[%Al]−12[%Mo]−23[%V」−47[%Nb]−49[%Ti]+189 (1)
(2)前記組成に加えて、P、Sb、Biから成る元素群の中から、1種または2種以上を選択し、その合計含有量が質量%で0.5%以下であることを特徴とする(1)記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
(3)前記組成に加えて、質量%で、Cu:2%以下、を含有することを特徴とする(1)または(2)記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
(4)前記組成に加えて、質量%で、Ti:0.5%以下を含有することを特徴とする(1)ないし(3)記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
(5)前記組成に加えて、さらに、Mo:2%以下、Nb:1%以下の1種以上を含有することを特徴とする(1)ないし(4)記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
本発明により、優れた耐銹性を持つことを特徴とするディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼を提供することができ、製造者のみならず本鋼を利用する者にとっても多大な利益を得ることができ、工業的価値は極めて高い。
本発明を実施するための最良の形態と限定条件について詳細に説明する。
発明者らは、焼入れままで使用できる二輪車ディスクブレーキ材料について、詳細な検討を行ってきた。その中で耐銹性に関する検討では、実際に二輪車に装着されて使用させる焼き入れ後の耐銹性だけでなく、焼き入れ前の耐銹性も重要視してきた。これはディスク製造時に焼き入れ前に発銹することがあったからである。ディスク製造においては、ディスク摺動面は研削されるため、問題ない場合がほとんどであるが、ディスクのデザインによっては、研削されない部分が存在する場合があり、その場合、焼き入れ前の発銹は問題となる。焼き入れ前後でのディスク材の耐銹性を比較すると、焼き入れ前のディスク材が劣位となるようである。これはディスク材で炭窒化物が多いことによると考えている。
発明者らは、塩化物環境での耐銹性を中心に検討し、焼き入れ後のみならず、焼き入れ前のディスク材の耐銹性を向上できる手段の検討を進めた結果、特許文献5に記載のとおり、P、As、Sb、Biの微量添加が耐銹性を高めることを見出した。さらに、研究を進めた結果、Snにも同様に耐銹性を高める効果があることを判明した。すなわち、Snを添加することにより、塩化物環境で耐銹性が向上する。また、P、As、Sb、Biの1種または2種以上を添加と組み合わせることも有効である。ただし、Asは毒性が強いのでその使用には注意を要する。また、この効果は、特にCu、Tiを含まず、Mn含有量が多い場合に顕著であるが、CuやTiと組み合わせた場合も有効であることも見出した。
発明者らは、以上の知見を基に詳細な検討を進め、発明を完成した。
初めに各成分に関する限定条件を述べる。
Cは、焼入れ後所定の硬さを得るためには必須の元素であり、所定の硬度レベルになるようにNと組み合わせて添加する。0.10%を超えて添加すると硬度が硬すぎて、ブレーキの鳴き、靭性劣化等の不具合を生じることから、0.10%を上限とする。また、0.01%未満では、硬さを得るためにNを過大に添加しなければならないことから0.01%を下限とする。
NはCと同様に焼入れ後に所定の硬度を得るためには必須の元素であり、所定の硬度レベルになるようにCと組み合わせて添加する。しかし、0.050%を超えて添加すると焼き入れ性の低下を招くため、これを上限とする。また、Nを0.005%未満とすることは製鋼コストの増大になるため、0.005%を下限とすることが好ましい。
C+Nは、焼入れ後の硬さに直接関係する量である。所定のHRC:32〜38を得るためには、0.06%以上0.1%以下とする必要がある。
Siはフェライト形成元素として非常に強力であり、この点では抑制する必要がある。よって、その好適範囲は、2%以下とする。本発明において、Siを含有していなくてもよい。
Mnは、鋼中に不可避的に含まれる成分であるが、重要なオーステナイト形成元素である。本発明では、Ni、Cuとともに高温でのオーステナイト相を確保して焼入れ性を確保するため、0.2%以上の添加を必要とする。2%を超えると、本発明をもってしても耐銹性の劣化が見られるため、2%を上限とする。
Crは、二輪ディスクブレーキ材料として必要な耐銹性を確保するための必要な基本元素であり、その含有量が10%未満では本発明をもってしても十分な耐銹性を得ることができない。また、Crはフェライト形成元素であるため、14%を超えて添加すると、オーステナイト相生成温度域が縮小し、焼入れ温度域でのマルテンサイト相の変態しないフェライト相が生成し、焼入れ後の硬さを満足することができなくなる。よって、Cr添加量は、10%以上14%以下とする。
NiはMnと同じくオーステナイト形成元素であり、高温でオーステナイト相を確保して焼入れ性を確保するために有効な元素であるが、高価であるため、その含有量はできるだけ抑制したい。また、2%を超えて添加すると靭性の低下を招くため、含有量は2%を上限とする。本発明において、Niを含有していなくてもよい。
Alは、脱酸剤として非常に有用であるが、0.1%を超えると耐銹性の低下が見られるため0.1%を上限とする。本発明において、Alを含有していなくてもよい。
Vは不可避的不純物であるが、加工性を劣化させない1%程度までの含有は許容される。
Sは、鋼中に不可避的に含まれる成分であるが、本発明では0.01%を越えて含有すると発銹起点となる可溶性のCaSが生成しやすくなるため、0.01%を上限とする。CaSの影響を実質的に無害化するためには0.005%以下がより好ましい。また、Sを0.001%未満とすることは製鋼コストの非常な増大を招くため、0.001%を下限とすることが好ましい。
Pは鋼中に不可避的に含まれる成分であるが、靭性を低下させる傾向をもつため、低い方が好ましく、0.05%未満とする。
本発明者らは、Snを微量添加することによって耐銹性を向上させることを見出した。この理由は不明であるが、表層の不動態層を強化している可能性があると考えている。添加するSn量であるが、0.005%未満であるとその効果は発現せず、1%を超えると、熱間加工性が低下する可能性があるため、0.005%以上1%未満とする。好ましくは、0.01%以上0.7%以下、より好ましくは、0.1%以上0.5%以下である。
これらの成分に加えて、P、As、Sb、Biを微量添加することにより耐銹性を向上させることができる。これらの元素は単独に添加しても、または組み合わせて添加しても有効であり、1種または2種以上添加することにより耐銹性を向上させることができる。ただし、Asは毒性が強いためにその使用を制限することが好ましいので、その添加は本発明では行わない。不可避不純物として含有される場合はこの限りではない。これらP,Sb、Biの元素含有量は、効果の発現するためには、合計で0.05%以上の添加が好ましく、靭性を確保するために合計で0.5%以下が好ましい。
これらの成分に加えて、Cu、Ti、Mo、Nbの添加によりさらに、ディスクブレーキ用鋼としての特性を向上させることができる。
Cuは、Mn、Niと同じく、オーステナイト相を確保して焼入れ性を確保するために有効な元素である。Cu添加によりMnを低減できるため耐銹性が向上する。また、Cuはブレーキ制動発熱によるディスクの軟化を抑制することに効果的である。0.01%未満の含有量では添加効果が顕著でなく、0.01%以上の含有が好ましい。また、2%を超えると靭性が劣化するため、2%以下の含有が好ましい。
Tiは耐銹性を向上させる元素である。Ti系硫化物を形成してMnSの形成を抑制するためと推定している。その効果発現のためには、0.01%以上の含有が好ましい。しかし、Tiを過剰に添加すると、炭窒化物を形成し、C,Nを消費するため好ましくない。したがって、0.5%を上限とする。
Moは適量添加することにより焼き戻し軟化抵抗は顕著に向上する。この機構はいまだ明らかではないが、Cr炭化物の析出および粗大化を抑制し、高温でも転位運動を抑制可能で焼き戻し軟化抵抗を向上させているものと考えている。0.01%未満では添加効果が顕著でないため下限を0.01%とすることが好ましい。2%を超える添加は靭性が劣化するため上限は2%とする。
Nbも本発明で非常に重要な元素である。Nを適量添加することにより焼き戻し軟化抵抗が顕著に向上する。この機構はいまだ明らかではないが、NbはNと相関が大きく、Cr窒化物の析出および粗大化を抑制し、転位運動を抑制し焼き戻し軟化抵抗を向上させているものと考えている。しかし、NbNの形で析出しやすく、この形で析出すると強化機能がなく、さらにNの固溶強化効果を減少させ、さらに、焼き入れ性を減少させる原因となり、過剰の添加は避ける必要がある。そのため、焼き戻し軟化抵抗を向上させるためには、0.01%以上の添加が好ましい。また、1%を超える添加は焼き入れ性が劣化するため上限は1%とする。
さらに、これら述べてきた各元素はその成分範囲の中で、900−1100℃の温度範囲で安定して焼入れを行えるために、次式(1)で表されるγpが、80以上を満足するよう相互に調整される必要がある。(1)式は、カストロによって提唱され、カストロの式と呼ばれる。(1)式のγpを指標にして整理したところ、焼入れの安定性をγpによって表現できることが明らかになった。即ち、γpが80未満であると、焼入れしてもフェライト相が残る場合があり、所定の硬度レベルに達しない場合があるからである。
γp=420[%C]+470[%N]+23[%Ni]+9[%Cu]+7[%Mn]−11.5[%Cr]−11.5[%Si]−52[%Al]−12[%Mo]−23[%V」−47[%Nb]−49[%Ti]+189 (1)
焼き入れ温度に関しては、あまり高温すぎる場合は、製造時間の増大、コストの増加を招くため、900℃以上1100℃以下で行うことが好ましく、その温度範囲からの焼き入れでも本発明鋼は、所定の硬さ範囲を満足する。
次に製造方法について詳細に説明する。
以上述べてきた成分と残部Feおよび不可避的不純物を含むスラブ、インゴット等の鋼片(以下、単にスラブともいう。)を溶製し、熱間圧延によって、2mm〜8mm程度の熱延板とした後、焼鈍を行って、軟化させた後、酸洗して製品とする。酸洗せずにショットブラストによる仕上げでもよい。
これらは、ディスク製造工程において、ディスク形状に加工された後、900−1100℃に加熱されてから焼き入れられ、両面を研削されて、ブレーキディスクとなる。
以下、実施例に従って、さらに詳細に本発明を説明する。
表1に示す化学成分を有する厚み200mmの鋼片を溶製した後、熱間圧延によって、厚さ6mmの熱延板を得た。さらに、850℃まで加熱して徐冷する軟化焼鈍を施した。
これらの鋼板から、耐銹性評価試験片、焼き入れ性評価試験片を採取し、残りは950℃〜1000℃で10分間保持後、水冷する焼入れ処理を行った。
耐銹性評価試験は、試験片両面を#240研磨し、240時間の塩水噴霧試験(Salt Spray Test:SSTともいう。)(JISZ 2371準拠)を行い、発銹程度を調査した。発銹しないものを合格、発銹したものを不合格とした。
焼き入れ性評価試験は、850℃〜1100℃の温度に10分間保持した後に、水冷した焼入れ材を、JIS Z 2245に準拠した、ロックウェル硬さ試験(HRC)で行った。HRCで32から38が合格である。
焼き入れ処理した鋼板から、各種試験片を採取し、評価試験を行った。焼き戻し軟化特性に関しては、500℃から650℃で1時間の焼き戻しを行った後、焼入れ材の硬さ試験と同様にロックウェル試験で評価した。焼き戻し後の硬さがHRC30を下回わらない温度を耐熱温度と規定した。耐熱温度500℃以上が合格である。また、耐銹性試験は、焼き入れ前の材料と同様に試験片両面を#240研磨し、240時間の塩水噴霧試験(JIS Z 2371準拠)を行い、発銹程度を調査した。発銹しないものを合格、発銹したものを不合格とした。
表2に評価結果を示す。A鋼からG鋼は、Sn添加量を変化させた鋼であり、比較鋼であるSn無添加のA鋼は焼入れ前後のSSTで発銹している。これに対し発明鋼であるB鋼からF鋼は、焼き入れ前後の耐銹性は合格であり、焼き入れ硬度および耐熱温度も合格であり、非常に優れた性質を示している。しかし、Sn添加量の多いG鋼では非常に優れた性質を示すが、熱延および冷延時に疵が多発したために本発明の外とした。
H鋼からAP鋼は、焼き入れ前後の耐銹性は合格であり、焼き入れ硬度および耐熱温度も合格であり、非常に優れた性質を示している。これらの鋼のうち、Asを含むものは本発明の外として、参考鋼とした。それ以外が本発明鋼である。
優れた特性を示す本発明鋼に対し、比較鋼である、AQ鋼はγpが80未満であるため、焼き入れ後の硬度が合格基準に達せず好ましくない。AR鋼はC+Nが多いために焼き入れ後の硬度が合格基準より硬くなるすぎたため好ましくない。AS鋼はC+Nが少ないため、焼き入れ後の硬度が合格基準に達せず好ましくない。AT鋼はCrが少ないため、本発明をもってしても耐銹性が劣っている。AU鋼はCrが多いために、γpが80未満となり焼き入れ後の硬度が合格基準に達しなかったため好ましくない。
AV鋼は、P、Sb、Biの合計量が0.5%超であるため、靭性劣化を引き起こし好ましくない。AW鋼はMnが多いため、靭性劣化を引き起こし好ましくない。
以上から、本発明鋼は、焼き入れ硬度、耐熱性を満足しつつ、非常に耐銹性に優れていることが明らかである。
Figure 2009256787
Figure 2009256787

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.01%以上0.10%以下、
    Si:2%以下
    Mn:0.2%以上2.0%以下
    S :0.010%以下、
    P :0.05%未満
    N :0.005%以上0.050%以下、
    Cr:10%以上14%以下、
    Ni:2%以下
    Al:0.1%以下
    V :1%以下
    C+N:0.06%以上0.1%以下
    Sn:0.005%以上1%以下を含み、
    さらには、
    下記(1)式で表されるγpが80以上を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からなる耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
    γp=420[%C]+470[%N]+23[%Ni]+9[%Cu]+7[%Mn]−11.5[%Cr]−11.5[%Si]−52[%Al]−12[%Mo]−23[%V」−47[%Nb]−49[%Ti]+189 (1)
  2. 前記組成に加えて、
    P、Sb、Biから成る元素群の中から、1種または2種以上を選択し、その合計含有量が、質量%で、0.5%以下であることを特徴とする請求項1記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
  3. 前記組成に加えて、質量%で、
    Cu:2%以下
    を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
  4. 前記組成に加えて、質量%で、
    Ti:0.5%以下
    を含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
  5. 前記組成に加えて、さらに、
    Mo:2%以下
    Nb:1%以下
    の1種以上を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼。
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