JP2009256770A - 極薄めっき層およびその製造方法 - Google Patents

極薄めっき層およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピンホールの数が抑制された極薄めっき層およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のAuめっき層10は、厚さが50nm以下であり、Feの含有率が0.32at.%以上である。Auめっき層10にFeが含まれることで、このめっき層を構成する結晶が微細且つ緻密になり、厚みが50nm以下であっても出現するピンホールの数が抑制され、かつ十分な耐摩耗性を有する。また、この様な極薄のAuめっき層は、所定量のFeイオンが添加されためっき液に被めっき材を浸漬して通電させることで形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚みが50nm以下のAuを主体とする極薄めっき層およびその製造方法に関する。
コネクタ、スイッチ、端子などの電気接点部には、Cu、Cu合金またはステンレスなどのコスト性、耐食性および機械的特性に優れる部材が基材として使用されている。また、基材を構成するこれらの金属の半田付性や耐錆性、導電性を補うために、基材の表面はSn、Ag、Auまたはこれらをベースとした合金から成るめっき層により被覆される。近年では、従来のカーボン材の代替として、ステンレス鋼に、AuめっきまたはAu合金めっき(以下、Auめっきと総称する)を施した部材が燃料電池のセパレータ部材として有望視されている。
上記のように、Auめっきにより表面が被覆された基材は、他の金属(例えばSnやAg等)により表面が被覆された基材と比較して、導電性および耐食性に優れている。しかしながら、Au自体が高価な材料であるため、他の材料を使用しためっきと比較すると、Auめっきに必要とされるコストが非常に高い問題があった。
Auめっきのコストを低減させるためには、Auめっきの厚みを薄くし、必要とされる原料費を低減させることが有効である。しかしながら、Auめっきの厚みを過度に薄くすると、部分的にAuめっきが形成されない微少領域であるピンホールが多数形成されてしまう問題があった。ピンホールが多数形成されると、この領域の耐食性が劣化する。
そこで、効率的にAuめっきの厚みを薄くするための方法が提案されている。下記特許文献1および特許文献2を参照すると、めっき被膜の展延または圧縮加工により、Auから成るめっき層の厚みを薄くする方法が開示されている。
特開2003−105523号公報 特開2005−032594号公報
しかしながら、上記した特許文献1および特許文献2に記載された技術では、Auめっき層を形成した後に、そのめっき層を薄くするための機械加工が必要とされる。従って、Auめっきに係る原材料費を低減させるために、新たな工程が必要とされるので、基材を被覆するために必要とされるAuの量が低減されても、工程増加に伴うコスト増加があるので、コスト低減の効果が少なくなる。
更に、Auのみから成るAuめっき層は、耐摩耗性が十分でなく、摺動状況下にて使用された場合Auめっきが磨耗し、Auめっきの下地が表面に現れてしまう問題が有り、Auめっき層が薄い場合には特に問題であった。
本発明は上記した問題を鑑みて成されたものであり、本発明の主たる目的は、ピンホールの出現が抑制されて低コストであると共に、耐摩耗性に優れた極薄めっき層およびその製造方法を提供することにある。
本発明は、厚さが50nm以下のAuを主体とする極薄めっき層に於いて、Feの含有率が0.32at.%以上であることを特徴とする。
更に本発明は、めっき液に浸漬された被めっき材に通電する電解めっき法により、Auを主体とする厚さが50nm以下の極薄めっき層で前記被めっき材の表面を被覆する極薄めっき層の製造方法に於いて、Feを10mg/L以上含む前記めっき液を用いることを特徴とする。
本発明によれば、厚みが50nm以下のAuを主体とする極薄めっき層にFeが含まれるので、発生するピンホールの数が抑制される。従来では、使用されるAuの量を削減するためにAuを主体とするめっき層を薄くすると、ピンホールが増加して耐錆性等が劣化してしまう問題があった。一方、本願発明では、厚みを50nm以下と極めて薄くしても、Feが含有されることによりピンホールの数が低減される。従って、本発明の極薄めっき層は、使用されるAuの量を削減してコスト的に優位であると共に、ピンホールの数が低減されることでめっき層としての機能が確保されている。
更に本発明によれば、Auを主体とする極薄めっき層にFeを添加することで、この極薄めっき層の耐摩耗性が向上される。具体的には、Feが添加されたAuを主体とする極薄めっき層では、摺動痕が比較的小さくなることが確認された。
本発明の実施の形態に係る極薄めっき層は、AuまたはAu合金から成る厚みが50nm以下のめっき層であり、導電部材の基材(被めっき材)として用いられるCu、Cu合金またはステンレスの表面を被覆するものである。ここで、導電部材としては、例えば、車載用または民生用の電気配線に使用されるコネクタ、スイッチ、リレー等の接点である。また、燃料電池に用いられるセパレータ(セルの間に介装される板状の部材)として、本実施形態の極薄めっき層により被覆された板状の導電部材が採用できる。
ここで、本実施の形態の極薄めっき層は、Au以外の金属が含まれる割合が5at.%未満のめっき層であり、以下の説明ではAuめっき層と称することがある。
図1を参照して、本実施形態の極薄めっき層を説明する。本実施形態の極薄めっき層は、上記した導電部材の基材の表面に形成される。そして、この場合、図1(A)を参照して、Cuまたはステンレス等から成る基材12の表面に直にAuめっき層10(極薄めっき層)が形成されても良い。更には、図1(B)を参照して、基材の表面を、下地めっきであるNiめっき層14により被覆した後に、このNiめっき層14の上面をAuめっき層10により被覆しても良い。即ち、基材12の表面に複数層のめっき層が形成される場合は、本実施形態のAuめっき層10は最上層に形成される。
本実施の形態のAuめっき層10は、使用されるAuの量を少なくしてコストを低減させるために極めて薄く形成されている。具体的には、Auめっき層10の厚さT1は50nm以下(0は含まない)であり、更に好適な範囲は5nm以上50nm以下であり、特に好適な範囲は5nm以上30nm以下である。この様にすることで、Auめっき層10の厚みを従来のものと比較して極めて薄くすることが可能となり、必要とされるAuの量が少なくなる分コストが低減される。ここで、Auめっき層10の厚さT1が5nm未満であると多数のピンホールが出現する恐れがあり、厚さT1が30nmまたは50nmより厚いとコスト低減の効果が小さくなる。
本実施の形態では、Auめっき層10にはFeが含有されている。具体的には、Auめっき層10に含まれるFeの量は、0.32at.%以上が好適であり、更に好適な範囲は0.32at.%以上1.36at.%以下である。Auめっき層10に含まれるFeの量をこの範囲にすることで、Auめっき層10に発生するピンホールの数が少なくなり、Auめっき層10により被覆される基材や下地めっきの酸化が抑止される。AuにFeを添加せずCoを添加しためっき層と比較して、Auめっき層10にFeを添加することでピンホールの数が減少する理由は、Feの添加によりAuめっき層10を構成する結晶が微細且つ緻密になるからであると予測される。Auめっき層10に含まれるFeの量が0.32at.%未満となると、耐摩耗性が低下してしまう不具合が生じる。一方、Auめっき層10に含まれるFeの量が多すぎるとFeを添加しためっき層の脆性が高くなる不具合が生じる恐れがある。更に、Auめっき層10に含まれるFeの量が多すぎると、ピンホールの数が増大してしまう恐れがある。
更に、Auめっき層10は、上記したFeを含有していればCo等の他の金属を含有しても良い。含有するCoの量は、一例として0.8at.%程度である。Coを含有することにより、Auめっき層10の機械的強度が向上される。
次に、上記したAuめっき層10の製造方法を説明する。
先ず、Auめっき層10により被覆される被めっき材の前処理を行う。被めっき材の材料としては、例えば、ステンレス鋼部材、Cu、Cu合金等が採用される。また、前処理としては、電解脱脂および酸による活性化が被めっき材に対して行われる。
前処理が終了した後は、めっき液に被めっき材を浸漬して電解めっき処理が行われる。ここで、めっき液としては、Feイオンを含み、Auイオンを1.0g/L以上10.0g/L以下含むシアン系のめっき液が使用される。含有されるFeイオンの量としては、実験の範囲に於いては、10mg/L以上が好適であり、更に好適な範囲は10mg/L以上600mg/L以下である。めっき液に含まれるFeイオンの量が10mg/L未満となると、Auめっき層10の耐磨耗性が低くなる。一方、めっき液に含まれるFeイオンの量が多すぎるとFeを添加しためっき層の脆性が高くなる不具合が生じる恐れがあり、更にはピンホールの数が増大する場合もある。
Feイオンがめっき液に添加されることにより、成膜されるAuめっき層が50nm以下と極薄であっても、めっき層を構成する結晶が細かくなり、発生するピンホールの数が抑制され、かつ、十分な耐摩耗性を得ることができる利点がある。また、Coを含むAuめっき層を成膜するときは、AuイオンおよびFeイオンに加えて、Coイオンがめっき液に添加される。
電解めっき処理を行うときは、めっき液中に配置された被めっき材および対極をそれぞれ陰極および陽極として、外部電源により通電することで被めっき材の表面にAuめっき層が成膜される。ここで、電解電流密度は、0.1A/dm以上20.0A/dm以下が好適である。電流密度が0.1A/dm未満となるとAuめっき層の成膜速度が遅く、20.0A/dmよりも大きいとめっきヤケ等の不具合が発生する恐れがある。
本実施の形態のめっき方法によれば、後述の方法で検出されるピンホールの出現を抑制して、数十nm程度に極めて薄いAuめっき層を成膜することができる。具体的には、上記したように、コストを低減させるためにCoが添加されたAuめっき層の厚みを数十nm程度以下に薄くすると、ピンホールが多数出現して耐錆性等が低下してしまう。この問題は、Coを添加しないことにより解決可能であるが、その場合には、耐摩耗性が低下してしまうことがわかった。
本実施形態では、ピンホールの出現を抑制するために、めっき液にFeイオンを加えてFeを含むAuめっき層を生成している。このことにより、Auめっき層の厚みを数nm〜数十nm程度としても、出現するピンホールの数を極めて少なくすることができ、かつ、十分な耐摩耗性を維持することが出来る。結果的に、極薄のAuめっき層10が形成されてAuの使用量が少なくなる分コストが低減され、更にピンホールの数が少なく、十分な耐摩耗性を有する高品質なAuめっき層10が成膜される。
図2はめっき層の表面を撮影したSEM画像である。具体的には、図2(A)はFeが200mg/L添加されためっき液を用いて成膜されたAuめっき層を撮影した画像である。図2(B)はCoが300mg/L添加されためっき液を用いて成膜されたAuめっき層を撮影した画像である。図2(C)はAu−Niめっき(めっき液にFe化合物添加なし)を撮影した画像である。これら3つの例に於いて、形成されたAuめっき層の膜厚は50nmであり、SEM画像の倍率は50000倍である。
図2(A)を、図2(B)および図2(C)と比較すると、図2(A)に示された本実施形態のAuめっき層は、含まれる結晶が比較的に小さいことが明らかである。結晶粒子径は、図2(A)で10nm〜30nm程度に対して、図2(B)、(C)では、50nm〜100nm程度であった。本実施形態では、Auめっき層にFeを添加することにより、めっき層を構成する結晶を微細にしてピンホールの出現を抑制している。
図3に示す表を参照して、本発明の実験例を説明する。以下の実験例では、めっき液に含まれるFeイオンの量を変化させてAuめっき層を電解めっき処理により生成し、得られたAuめっき層に含まれるFeの量と、ピンホールの数を測定した。ここで、ピンホールの数の測定は、Auめっき層の厚みを5nm、10nm、15nm、20nm、30nmおよび50nmとして行った。
(実験例1)
先ず、被めっき材であるステンレス鋼(SUS316L)にAuめっき層を形成する前に、前処理としてアルカリ電解処理および酸による活性化処理を行った。酸による活性化処理は、具体的には、温度50℃で20体積%の硫酸水溶液中にステンレス鋼を浸漬し、電解電流密度1.5A/dmで30秒間通電することで酸による活性化処理を行った。次に、pH4の希薄硫酸水溶液で水洗し、スルファミン酸Niめっき液にステンレス鋼を浸漬して電解めっき処理を行い、ステンレス鋼の表面を、下地めっきであるNiめっき層により被覆した。このNiめっき層を成膜するときの電解電流密度は5.0A/dmである。その後、水洗処理によりNiめっき層の表面を洗浄し、Auめっき層を形成するための電解めっき処理を行った。具体的には先ず、Auイオンを2g/L含むシアン系めっき液を用意する。本実験例では、Feイオンはめっき液に添加されていない。そして、このめっき液にNiめっき液により表面が被覆されたステンレス鋼を浸漬し、ステンレス鋼およびこのステンレス鋼に対して平行に配置された対極に電圧を印可して通電し、Auめっき層によりNiめっき層の表面を被覆する。ここで、電解電流密度は2.0A/dmである。この様な条件で電解めっき処理を行った後に、Auめっき層に含まれるFeの含有量を測定した。また、Auめっき層の為のめっき液にCoイオンを添加したときは、Auめっき層に含まれるCoの量も測定した。
Auめっき層に含まれるFe及びCoの含有量を測定する方法は次の通りである。先ず、生成されたAuめっき層を素材と共に試験片として切り出し、試験片中のAu、Fe、Coの含有量A1、F1、C1(質量%)を、ICP装置(ジャーレルアッシュ社製のIRIS/AR)を用いてプラズマ分光分析法によって測定した。更に、Auめっき層を形成していない素材について、Fe、Coの含有量F2、C2(質量%)を同じくプラズマ分光分析法により測定した。そして、Auめっき層に含まれるFe、Coの含有量F、Cは以下の式により算出した。
式1:F=(F1−F2)/(A1+F1−F2)
式2:C=(C1−C2)/(A1+C1−C2)
上記式1により算出されたAuめっき層のFe含有量は0.02wt.%(重量%)であり、これから0.07at.%(原子%)が換算される。
(実験例2)
実験例2では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を10mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様とした。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.09wt.%(0.32at.%)であった。
(実験例3)
実験例3では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を50mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.10wt.%(0.35at.%)であった。
(実験例4)
実験例4では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を100mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.14wt.%(0.49at.%)であった。
(実験例5)
実験例5では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を200mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.18wt.%(0.63at.%)であった。
(実験例6)
実験例6では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を300mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.24wt.%(0.84at.%)であった。
(実験例7)
実験例7では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を400mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.27wt.%(0.95at.%)であった。
(実験例8)
実験例8では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を600mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.39wt.%(1.36at.%)であった。
(実験例9)
実験例9では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を800mg/Lとし、他の条件は実験例1と同様である。この結果、生成されたAuめっき層のFe含有量は、0.43wt.%(1.50at.%)であった。
(実験例10)
実験例10では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液にCoイオンを200mg/L添加し、Feイオンを添加せず、他の条件は実験例1と同様とした。この結果、成膜されたAuめっき層のCo含有量は0.26wt.%(0.86at.%)であり、Feは計測されなかった。
(実験例11)
実験例11では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を200mg/Lとし、更にCoイオンが200mg/L含有されている。他の条件は実験例1と同様である。この様にすることで、形成されるAuめっき層は、Auの他にFeとCoとを含むこととなる。生成されたAuめっき層のFe含有量は0.09wt.%(0.32at.%)であり、Co含有量は0.24wt.%(0.80at.%)であった。
(実験例12)
実験例12では、Auめっき層の成膜に使用されるめっき液のFe含有量を300mg/Lとし、更にCoイオンが200mg/L含有されている。他の条件は実験例1と同様である。生成されたAuめっき層のFe含有量は0.11wt.%(0.39at.%)であり、Co含有量は0.25wt.%(0.83at.%)であった。
更に、上記の実験例1乃至実験例12に対して、生成されたAuめっき層に発生したピンホールの数を計測した。ピンホールの数の計測は、Auめっき層の膜厚を、5nm、10nm、15nm、20nm、30nmおよび50nmとして行った。
ピンホールの数の計測方法としては硝酸曝気試験を採用した。また、曝気を行った時間は、Auめっき層の厚みが5nmの場合は5minであり、10nm乃至50nmの場合は10minとし、その他の条件はJIS−H8620に準じて行った。さらに、ピンホールの観察には超深度顕微鏡を倍率1000倍で用いた。また、客観的にピンホールの数を計測するために、計測には画像処理ソフトを用いた。更に、本実験では、ピンホールの計測を容易にするために、Niめっき層の上面にAuめっき層を成膜している。この様にすることで、Auめっき層のピンホールから露出するNiめっき層が硝酸により腐食され、腐食したNiめっき層を観察することで、ピンホールの数が容易に計測される。ステンレスを基材として、基材とAuめっき層の間にNiめっき層を介さずにAuめっき層を形成した場合には、前記の方法でピンホールを評価すると、ピンホールを検出することができなかった。これは、Auめっき層の直下にある材質の硝酸に対する腐食性が小さいことによると考えられる。
上記した方法により計測されたピンホールの数を、図3の表に示す。先ず、めっき液にFeイオンが添加されない実験例1を参照すると、Auめっき層の厚みが薄いほどピンホールの数が多くなることが示されている。具体的には、Auめっき層の厚みが50nmの場合ではピンホールの数は15×10/mmであり、厚みが5nmの場合ではピンホールの数は45×10/mmである。ここで、出現するピンホールの数は、めっき液にFeイオンを10mg/L添加した場合と比較すると殆ど相違ない。しかしながら、めっき液にFeイオンが添加されない実験例1では、製造されるAuめっき層にFeが含有されないので、耐摩耗性が低い問題がある。Auめっき層の耐摩耗性に関しては、後述する試験にて確認している。
一方、めっき液にFeイオンを添加した実験例2乃至実験例8では、上記した実験例1と比較すると若干ピンホール数が増加する場合も有るが、Auめっき層により被覆される基材の耐腐食性を大きく劣化させるものではない。例えば、めっき液にFeイオンが600mg/L添加される実験例8でAuめっき層の厚みが5nmの場合、ピンホール数が82×10/mmであるが、この程度のピンホール数であれば、上記耐腐食性が大きく劣るものではない。
一方、Feイオンが800mg/L添加される実験例9を参照してみると、Auめっき層の厚みが5nmで、ピンホール数が108×10/mmとなっている。このようにピンホール数が多いと、Auめっき層により被覆される基材の耐腐食性が劣化してしまう恐れがある。
また、Auめっき層の厚みが15nm以上50nm以下の場合に於いては、ピンホール数を30×10個/mm以下とすることができる。そして、Auめっき層の厚みが5nm以上15nm以下では、ピンホール数を82×10個/mm以下とすることができる。従って、本実施の形態によれば、Auめっき層の膜厚を極めて薄くしても、発生するピンホールの数を少なくすることができる。更に、圧延加工等の工程を追加することなく、ピンホールの数が少ない極薄めっき膜が提供されるので、高品質の極薄めっき膜が低コストで製造できる。
図4を参照して、次に、上記方法により製造されたAuめっき層の耐摩耗性(硬度)を検証するために行った実験の結果を説明する。図4(A)は本実験の結果を示す表であり、図4(B)乃至図4(F)は本実験を行ったAuめっき層を撮影した画像である。これらの画像では、摺動痕の幅を実線の矢印にて示している。
実験の条件を説明すると、先ず、SUS316Lの上面に上記した実験例と同様の方法にてAuめっき層を形成する。次に、SUS316Lの裸材から成るインデント(圧子)の先端部を、Auめっき層の表面で直線的に摺動させる。具体的には、インデントの加重を50gf、摺動速度を60mm/min、摺動距離を7000μm、摺動回数を1往復とした。次に、インデントの摺動によりAuめっき層の表面に形成された摺動痕の幅を測定する。この実験を、上記した実験例1、実験例2、実験例3、実験例5、実験例8、実験例10および実験例11にて成膜されたAuめっき層に対して行った。この摺動痕の幅は、50nm以下であることが望ましく、40nm以下であることが更に望ましい。50nmを超える場合には、磨耗による下地現出の不具合が早期に起こる恐れがある。
図4(A)および図4(B)を参照して、Auめっき層にFeが含まれない実験例1では、摺動痕の幅が62μmとなっており、以下に述べる他の実験例と比較して摺動痕幅が大きく、耐摩耗性に劣る結果と成っている。
一方、Auめっき層にFeが含まれる実験例では、上記した摺動痕幅が小さくなる結果と成っている。具体的には、図4(C)を参照して、Feを0.32at.%含むAuめっき層では、摺動痕の幅が29μmである。そして、図4(D)を参照して、Feを0.35at.%含むAuめっき層では、摺動痕の幅が30μmである。さらに、図4(E)を参照して、Feを0.63at.%含むAuめっき膜では、摺動痕の幅が31μmである。また、図4(A)の表を参照すると、Feを1.36at.%含むAuめっき膜に関しても、摺動痕の幅が30μmと小さくなる結果が出ている。
また、図4(F)を参照して、Feを含まずにCoを0.86at.%含む実験例10では、摺動痕の幅が42μmと計測されており、この結果は上記した実験例1と比較すると優れた結果と成っているが、Auめっき膜にFeが含まれる実験例2乃至実験例8と比較すると劣る結果である。
また、Auめっき膜にFeおよびCoの両方が含まれる実験例11では、摺動痕の幅が31μmであり、CoのみがAuめっき膜に含まれる実験例10と比較すると優れた結果が計測されている。
以上の実験結果により、Auめっき層にFeを添加させることで、Auめっき層の耐摩耗性が向上することが明らかとなった。
ここで、金を鉄との合金から成る被覆層については特開平5−339703号公報に開示されている。当該公報によると、Niアレルギーを防止するために、Au−Ni合金めっきの代替として、ステンレス鋼等の基材の表面を、厚みが0.05〜0.1μmの金−鉄合金から成る皮膜により被覆している。しかしながら、本実施形態の極薄めっき層は、当該公報に開示された皮膜と大きく異なる。
第1に、本実施形態の極薄めっき層は、当該公報の皮膜よりも極めて薄く形成されている。具体的には、本実施形態の極薄めっき層の厚みが例えば5nmであるのに対して、当該公報の皮膜の厚みは、薄くても0.05μm(50nm)程度である。従って、当該公報記載の発明では、皮膜が比較的厚いので、本願発明が課題としているピンホールの問題は発生しない。
第2に、当該公報では、皮膜を構成する鉄成分の量が特定されていない。一方、本願発明では、ピンホールの数を低減させるために必要とされるFeの量を上記実験により特定している。
第3に、めっき層の製造方法が異なる。当該公報ではイオンプレーティングまたはスパッタリングにより皮膜を形成している。一方、本実施形態では、湿式の電解めっき法により極薄めっき層を被めっき材の表面に被着している。
本発明の極薄めっき層を示す図であり、(A)および(B)は断面図である。 (A)は本発明の極薄めっき層を撮影したSEM画像であり、(B)はCoを含むAuめっき層を撮影したSEM画像であり、(C)はNiを含むAuめっき層を撮影したSEM画像である。 本発明の実験例のAuめっき層に含まれるFeおよびCoの量とピンホールの数を示す表である。 本発明の実験例のAuめっき層に対して耐摩耗試験を行った結果を示す図であり、(A)は試験結果を示す表であり、(B)乃至(F)は各試験を経ためっき膜を撮影した画像である。
符号の説明
10 Auめっき層
12 基材
14 Niめっき層

Claims (9)

  1. 厚さが50nm以下のAuを主体とする極薄めっき層に於いて、
    Feの含有率が0.32at.%以上であることを特徴とする極薄めっき層。
  2. 前記Feの含有率は、0.32at.%以上1.36at.%以下であることを特徴とする請求項1記載の極薄めっき層。
  3. 厚さが5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1記載の極薄めっき層。
  4. Coが含有されることを特徴とする請求項1記載の極薄めっき層。
  5. 厚さが15nm以上50nm以下であり、ピンホール数が30×10個/mm以下であることを特徴とする請求項1記載の極薄めっき層。
  6. 厚さが5nm以上15nm以下であり、ピンホール数が82×10個/mm以下であることを特徴とする請求項1記載の極薄めっき層。
  7. めっき液に浸漬された被めっき材に通電する電解めっき法により、Auを主体とする厚さが50nm以下の極薄めっき層で前記被めっき材の表面を被覆する極薄めっき層の製造方法に於いて、
    Feを10mg/L以上含む前記めっき液を用いることを特徴とする極薄めっき層の製造方法。
  8. 前記めっき液に含まれる前記Feの割合は、10mg/L以上600mg/L以下であることを特徴とする請求項7記載の極薄めっき層の製造方法。
  9. 前記めっき液にCoが含有されることを特徴とする請求項8記載の極薄めっき層の製造方法。

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