JP2009256718A - 樹脂成形用金型部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらに、(a)Nb:0.5〜3%およびTa:0.5〜3%の内の1種または2種、(b)Mo:0.1〜1%、W:0.1〜1%の内の1種または2種、上記(a)〜(b)の内の1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した成分組成を有する。
【選択図】なし
Description
さらに、酸性粉末などの腐食性物質を含む粉末や粒体などの原料物質を圧縮して医薬品、医薬部外品、化粧品、農薬、飼料、食料などのタブレット形状に成形するための金型を作製するための部材として、Cr:25〜60%、Al:0.1〜10%を含有し、さらにSi、C、Mn、Mg、TiおよびBから選らばれた少なくとも1種の元素を0.8%以下含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるFe、V、Co、Cu、W、Mo、Ta、Nb、O、Nなどを0.1%以下に調整した成分組成を有するNi−Cr−Al系合金が知られており、このNi−Cr−Al系合金にはSiがSiO2として0.002%混入することは差し支えないとされている(特許文献2参照)。
その結果、質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらに必要に応じて
(a)Nb:0.5〜3%およびTa:0.5〜3%の内の1種または2種、
(b)Mo:0.1〜1%、W:0.1〜1%の内の1種または2種、
上記(a)〜(b)の内の1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した成分組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金は、従来のNi基合金とほぼ同等の硬さを有し、さらに従来のNi基合金に比べてフッ化水素や硫黄化合物を含むガスに対する耐食性が一層優れており、このNi−Cr−Ti−Cu系合金からなる金型を用いて樹脂、特にフッ素樹脂やPPS樹脂を成形すると金型の消耗を低く抑えることができ、したがって、この金型の使用寿命が長くなる、という研究結果が得られたのである。
(1)質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらにNb:0.5〜3%およびTa:0.5〜3%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金からなる樹脂成形用金型部材、
(2)質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらにMo:0.1〜1%およびW:0.1〜1%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金からなる樹脂成形用金型部材、
(3)質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらにNb:0.5〜3%およびTa:0.5〜3%の内の1種または2種を含有し、さらにMo:0.1〜1%およびW:0.1〜1%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金からなる樹脂成形用金型部材、
(4)前記(1)〜(3)記載の樹脂成形用金型部材からなる樹脂成形用金型、に特徴を有するものである。
(5)前記(1)〜(3)記載の樹脂成形用金型部材を時効析出により硬化させた樹脂成形用金型部材、
(6)前記(5)に記載の時効析出により硬化させた樹脂成形用金型部材からなる樹脂成形用金型、に特徴を有するものである。
(7)前記(1)〜(3)および(5)記載の樹脂成形用金型部材からなる樹脂成形用金型付属部品、などに特徴を有するものである。
Cr:
Crは耐食性を向上させる作用および時効硬化によって耐摩耗性を向上させる作用を有するので添加する。この発明のNi基合金は、固溶化熱処理により、一旦、加工が容易な過飽和固溶体とし、最終形状の近くまで一次加工したのちに、時効硬化させて所望の硬さを得、最終形状に仕上げることにより所望の金型の形状を付与することができる。一旦固溶体を形成させたのちに時効析出させることにより微細で均一な析出物を分散させることも可能である。析出物が分散している状態は固溶体の状態に比べて耐食性劣化がもたらされる。析出時効によって所望の硬度と時効硬化後に耐食性劣化を抑制するためにはCrを40%を越えて含有させることが必要である。しかしCrの含有量が50%を超えて含有すると固溶体の形成が困難となるために一次加工が困難となると同時に時効後に十分な硬度が得られなくなるので好ましくない。従って、この発明の樹脂成形用金型部材に含まれるCrは40超〜50%に定めた。一層好ましくは、43.1〜47%である。
TiはCrと共存させることにより粒界反応型析出による析出硬化を促進する元素であるので添加するが、その含有量が0.8%以下では所望の効果が得られず、一方、Tiを4%を越えて含有すると、鍛造中に割れが発生するので好ましくない。したがって、Tiの含有量を0.8超〜4%の範囲内に定めた。一層好ましい範囲は1.5超〜3%である。
Cuはフッ酸や硫酸中における耐食性を向上させる効果があるので添加するが、その含有量が0.5%未満では所望の効果が得られず、一方、4%を越えて含有するとかえって耐食性が劣化することからその含有量を0.5〜4%に定めた。一層好ましい範囲は1.5〜3%である。
N、MnおよびMgを共存させることにより相安定性を向上させることができるので添加する。すなわち、N、MnおよびMgは同時に添加することにより母相であるNi−fcc相を安定化させ、第2相を析出しにくくする効果がある。これにより耐食性に有効な元素であるCrなどを40%を超えて含有しても短時間で析出しにくくなり、製造上扱いやすくなるメリットを享受することができる。すなわち、本発明合金を製造するに際して溶解後のインゴットを熱間鍛造や熱間圧延などの熱間加工工程を経ることとなるが、短時間で析出が生じてしまうと、割れなどが発生し、所望の形状への加工が困難となる。したがって、N、MnおよびMgを共存させることが必要であるが、N、MnおよびMgの個々の限定理由は、以下のとおりである。
N:
Nの含有量が0.001%未満では相安定化の効果がなく、一方、Nが0.04%を越えて含有すると窒化物を形成し、フッ酸や硫酸中における耐食性が劣化するためにNの含有量を0.001〜0.04%に定めた。一層好ましい範囲は0.005〜0.03%である。
Mn:
Mnの含有量が0.05%未満では相安定化の効果が得られないので好ましくなく、一方、0.5%を超えて含有するとフッ酸や硫酸に対する耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Mnの含有量を0.05〜0.5%(一層好ましくは、0.1%〜0.4%)とした。
Mg:
Mgの含有量が0.001%未満では相安定化の効果が得られないので好ましくなく、一方、その含有量が0.05%を越えて含有すると、フッ酸や硫酸に対する耐食性が低下するので好ましくない。したがって、Mg含有量を0.001〜0.05%に定めた。一層好ましい範囲は0.005〜0.04%である。
Feは加工性を向上させる作用および不純物の偏析を抑制し、特に溶融フッ素樹脂に対する耐食性劣化を防止する効果があるので添加するが、その含有量が0.1%以下では前記作用に所望の効果が得られず、一方、Feを1%を越えて含有すると却って溶融フッ素樹脂に対する耐食性が劣化するので好ましくない。したがって、Feの含有量を0.1超〜1%に定めた。一層好ましい範囲は0.1超〜0.5%未満である。
Siは脱酸剤として添加することにより合金の清浄度を保つ効果があるので添加するが、Siは0.01%未満では前記作用に所望の効果が現れないので好ましくなく、一方、Siを2%以上含有すると、溶融フッ素樹脂に対する耐食性が劣化するので好ましくない。したがって、Siの含有量を0.01〜2%未満に定めた。一層好ましい範囲は0.02〜0.06%である。
Alは添加することにより硬度を増す作用を有するが、その含有量が0.01%未満では所望の効果が得られず、一方、Alが1.5%以上含有すると、溶体化処理後の硬さが高くなりすぎて成形加工時に割れが発生しやすくなり、さらに切削加工性および延性などが低下するので好ましくない。したがって、Al:0.01〜1.5%未満の範囲内に定めた。一層好ましい範囲は0.01〜0.1%未満である。
NbおよびTaは、硬度を増す効果があるので1種または2種を添加するが、Nbを0.5%以上含有することで効果を示すが、3%を越えて含有すると固溶化が困難となるために製造時の加工性を損なうことから、Nbの含有量を0.5〜3%とした。Nb含有量の一層好ましい範囲は1〜2%である。
また、Taについても同様に0.5%以上含有することで効果を示すが、3%を越えて含有すると固溶化が困難となるために製造時の加工性を損なうことから、Taの含有量を0.5〜3%とした。Ta含有量の一層好ましい範囲は1〜2%である。
MoおよびWは、フッ酸や硫酸中における耐食性を向上させる効果があるので1種または2種を添加するが、Moを0.1%以上含有することで効果を示すが、1%を越えて含有すると固溶化が困難となるために製造時の加工性を損なうことから、Moの含有量を0.1〜1%とした。Mo含有量の一層好ましい範囲は0.1〜0.5%である。
また、Wについても同様に0.1%以上含有することで効果を示すが、1%を越えて含有すると固溶化が困難となるために製造時の加工性を損なうことから、Wの含有量を0.1〜1%とした。W含有量の一層好ましい範囲は0.1〜0.5%である。
Cは結晶粒界近傍でCrと炭化物を形成し、耐食性を劣化させる。そのために不可避不純物として含まれるCを0.05%以下に定めた。
いずれもC含有量の少ない原料を用意し、これらを通常の真空高周波溶解炉を用いて溶解し鋳造した後、熱間鍛造および熱間圧延して表1〜5に示される成分組成を有する本発明金型部材1〜38、比較金型部材1〜27および従来金型部材1からなる直径:40mmを有する丸棒を作製した。これら丸棒を1200℃で1時間保持したのち水焼入れを行うことにより固溶化処理を施した。これら固溶化処理を施した本発明金型部材1〜38、比較金型部材1〜27および従来金型部材1からなる丸棒を切削加工した後、本発明金型部材1〜38、比較金型部材1〜27および従来金型部材1からなる丸棒には700℃に30時間保持の時効処理を施し、その後、時効処理した丸棒のビッカース硬さを測定し、その結果を表6〜8に示した。
Claims (7)
- 質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらにNb:0.5〜3%およびTa:0.5〜3%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金からなることを特徴とする樹脂成形用金型部材。
- 質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらにMo:0.1〜1%およびW:0.1〜1%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金からなることを特徴とする樹脂成形用金型部材。
- 質量%で、Cr:40超〜50%、Ti:0.8超〜4%、Cu:0.5〜4%、N:0.001〜0.04%、Mn:0.05〜0.5%、Mg:0.001〜0.05%、Fe:0.1超〜1.0%、Si:0.01〜2.0%未満、Al:0.01〜1.5%未満を含有し、さらにNb:0.5〜3%およびTa:0.5〜3%の内の1種または2種を含有し、さらにMo:0.1〜1%およびW:0.1〜1%の内の1種または2種を含有し、残部がNiおよび不可避不純物からなり、不可避不純物として含まれるC量を0.05%以下に調整した組成を有するNi−Cr−Ti−Cu系合金からなることを特徴とする樹脂成形用金型部材。
- 請求項1〜3記載の内のいずれかの請求項に記載の樹脂成形用金型部材からなることを特徴とする樹脂成形用金型。
- 請求項1〜3記載の内のいずれかの請求項に記載の樹脂成形用金型部材を時効析出により硬化させたことを特徴とする樹脂成形用金型部材。
- 請求項5に記載の時効析出により硬化させた樹脂成形用金型部材からなることを特徴とする樹脂成形用金型。
- 請求項1〜3および5記載の内のいずれかの請求項に記載の樹脂成形用金型部材からなることを特徴とする樹脂成形用金型付属部品。
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