JP2009256678A - ガスハイドレート - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスハイドレートの保存性を高め、移送時、貯蔵時等におけるガスハイドレートの分解を抑制する技術を提供する。
【解決手段】塩素イオン、フッ素イオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオンほかよりなる群から選ばれる1種または2種以上のイオン、及び/または、亜鉛、鉄およびマンガンほかよりなる群から選ばれる1種または2種以上の金属のイオンからなる、電解質が溶液中で解離したイオンを、ガスハイドレート50の分解抑制物質として含有し、且つ、表面がガスハイドレートの分解により形成された氷膜52で覆われていることを特徴とする、高い自己保存効果を有し、例えば移送時や貯蔵時の分解量の少ないガスハイドレート。
【選択図】図9

Description

本発明は、天然ガス、メタンガス、炭酸ガス等のガスハイドレート形成物質と水との包接水和物であるガスハイドレートおよび該ガスハイドレートの製造方法並びにガスハイドレートの保存性を向上させる分解抑制剤に関する。
ガスハイドレートは、水分子とガスハイドレート形成物質分子からなる氷状の固体物質であり、水分子により形成されるかご状構造の内部にガスハイドレート形成物質分子を取り込んだ構造の包接水和物である。このガスハイドレートは、所定の圧力と温度の下で水とガスハイドレート形成物質とを反応させることにより生成し、圧力および/または温度を変化させることにより、水とガスハイドレート形成物質とに解離する。また、ガスハイドレートは、高いガス包蔵性、大きな生成・解離熱や小さな温度変化により高い圧力を発生させる性質、さらにはハイドレート化分子の選択性等の性質を有するため、例えば天然ガス等の移送・貯蔵手段や、蓄熱システム、アクチュエータ、ガスの分離回収等多様な用途での利用を図るべく研究が行われている。
例えば、天然ガスをハイドレート化して移送・貯蔵する利点として、天然ガスハイドレート(以下、「NGH」と記すことがある)の大気圧下の平衡温度条件は、約−80℃(純メタンの場合)であるため、従来実用化されている液化天然ガス(LNG)の大気圧下における移送・貯蔵温度(−163℃)よりも大幅に緩やかな温度条件で移送・貯蔵が可能であり、移送・貯蔵設備の耐性や断熱性を格段に簡略化できることが期待されている。ここでは、NGHの移送・貯蔵は、ガスハイドレートを製造後、スラリー、粉体、ペレット、圧密ブロックなどの形態で行うことが考えられている。
ガスハイドレートを移送・貯蔵等する温度は、前記した液化天然ガス(LNG)に対する優位性や、設備費、運転費などの経済性を考慮すると、できるだけ0℃以下の常温に近い温度に設定することが望ましい。しかし、温度が高いとそれだけガスハイドレートの分解量が多くなるという問題がある。例えば、大気圧、−20℃の条件でNGHを貯蔵した場合、従来のNGHは2週間で約80%以上が分解してしまう。ガスハイドレートの分解量が多くなると、移送・貯蔵されるガスハイドレート単位重量当たりの包蔵ガス量が少なくなり、移送や貯蔵の効率の低下に繋がる。そして、移送や貯蔵の効率を維持するためには、移送設備や貯蔵設備に分解ガスの回収装置やタンク、再ハイドレート化を行う装置等を付設する必要が生じ、設備費や運転費が増大する要因になる。
移送や貯蔵過程におけるガスハイドレートの安定化に関しては、水の安定化剤を用いることによってガスハイドレートの貯蔵および輸送能力を増大させ得ることを示唆する提案がなされている(例えば、特許文献1)。しかし、特許文献1では、「水の安定化剤」がどのような物質であるのか、について何ら具体的に示されておらず、単なる着想の域にとどまるものであった。
以上のように、ガスハイドレートをスラリー、粉体、ペレット、圧密ブロック等の形態で安定に移送・貯蔵するためには、ガスハイドレートの分解を出来るだけ少なくすることが必要である。
本発明の課題は、ガスハイドレートの保存性を高め、移送時、貯蔵時等におけるガスハイドレートの分解を抑制する技術を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係るガスハイドレートは、ガスハイドレートの生成条件下で、原料水とガスハイドレート形成物質とを反応させてガスハイドレートを製造する方法において、ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質の存在下でガスハイドレートを生成させることを特徴とする。
この特徴によれば、ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質の存在下でガスハイドレートを生成させることにより、自己保存効果に優れ、移送時や貯蔵時の分解量が少ないガスハイドレートを製造できる。従って、この方法により製造されたガスハイドレートは、移送・貯蔵効率に優れており、例えば、分解ガスの再ハイドレート化のための設備を省略もしくは簡略化することも可能になる。
本発明の第2の態様に係るガスハイドレートの製造方法は、ガスハイドレートの生成条件下で、原料水とガスハイドレート形成物質とを反応させてガスハイドレートを製造する方法において、前記原料水中に、ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質および/または水中で該物質を生成する物質を添加することを特徴とする。この特徴によれば、前記第1の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第3の態様に係るガスハイドレートの製造方法は、前記第1の態様または第2の態様において、前記ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質が、電解質が溶液中で解離したイオンであることを特徴とする。この特徴によれば、前記第1の態様または第2の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第4の態様に係るガスハイドレートの製造方法は、前記第3の態様において、前記イオンが、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、リン(P)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)よりなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を構成要素として含むものであることを特徴とする。この特徴によれば、前記第1の態様または第2の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第5の態様に係るガスハイドレートの製造方法は、前記第1の態様または第2の態様において、前記ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質が、次のaおよび/またはb; a:塩素イオン(Cl)、フッ素イオン(F)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、炭酸イオン(CO32−)、リン酸イオン(PO43−)およびアンモニウムイオン(NH4+)よりなる群から選ばれる1種または2種以上のイオン; b:亜鉛、鉄およびマンガンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の金属、または該金属のイオン;から選ばれる1種または2種以上の物質であることを特徴とする。
この特徴によれば、ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質として、上記a、bの範囲から選択される、1種以上のイオンまたは金属を用いることにより、自己保存性に優れ、分解量の少ないガスハイドレートを製造できる。
本発明の第6の態様に係るガスハイドレートは、電解質が溶液中で解離したイオンを含有することを特徴とする。
このガスハイドレートの発明によれば、電解質が溶液中で解離したイオンを含有することによって、自己保存性に優れ、移送時や貯蔵時の分解量の少ないガスハイドレートとなる。なお、本態様において「含有する」とは、結晶中に含有する状態およびガスハイドレート粒子と不可分な状態でガスハイドレート周囲に存在している状態も含むものである。
本発明の第7の態様に係るガスハイドレートは、前記第6の態様において、前記イオンが、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、リン(P)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)よりなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を構成要素として含むものであることを特徴とする。この特徴によれば、前記第6の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第8の態様に係るガスハイドレートは、次のaおよび/またはb; a:塩素イオン(Cl)、フッ素イオン(F)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、炭酸イオン(CO 2−)、リン酸イオン(PO 3−)およびアンモニウムイオン(NH4+)よりなる群から選ばれる1種または2種以上のイオン; b:亜鉛、鉄およびマンガンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の金属、または該金属のイオン;から選ばれる1種または2種以上の物質を含有することを特徴とする。
このガスハイドレートの発明によれば、上記a、bの範囲から選択される1種以上のイオンまたは金属を含有することにより、自己保存性に優れ、移送時や貯蔵時の分解量の少ないガスハイドレートとなる。なお、本態様において、「含有する」とは、結晶中に含有する状態およびガスハイドレート粒子と不可分な状態でガスハイドレート周囲に存在している状態も含むものである。
本発明の第9の態様に係るガスハイドレートの分解抑制剤は、電解質が溶液中で解離したイオンを含有することを特徴とする。このガスハイドレートの分解抑制剤を用いることにより、ガスハイドレートの保存性を向上させて分解を抑えることができる。
本発明の第10の態様に係るガスハイドレートの分解抑制剤は、前記第9の態様において、前記イオンが、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、リン(P)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)よりなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を構成要素として含むものであることを特徴とする。この特徴によれば、前記第9の態様と同様の作用効果が得られる。
本発明の第11の態様に係るガスハイドレートの分解抑制剤は、次のa、b、cおよび/またはd; a:塩素イオン(Cl)、フッ素イオン(F)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)およびアンモニウムイオン(NH4+)よりなる群から選ばれる1種または2種以上のイオン; b:亜鉛、鉄およびマンガンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の金属、または該金属のイオン; c:水中で解離して前記aのイオンを生成する物質; d:水中で前記bの金属または該金属のイオンを生成する物質;から選ばれる1種または2種以上の物質を含有することを特徴とする。このガスハイドレートの分解抑制剤を用いることにより、ガスハイドレートの保存性を向上させて分解を抑えることができる。
実施例1のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 実施例2のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 実施例3のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 実施例4のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 実施例5のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 実施例6のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 実施例7のメタンハイドレートと比較メタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 参考例のメタンハイドレートの分解率の時間的推移を示すグラフ図面。 天然ガスハイドレートの自己保存効果の機構の説明に供する原理図。
本発明のガスハイドレートの製造方法は、ガスハイドレートの分解抑制作用を持つ物質(以下、「分解抑制物質」と記すことがある)が存在する状態で、原料水とガスハイドレート形成物質とを反応させることにより実施される。
<原料水>
通常、ガスハイドレートの生成のための原料水には、ガスハイドレートの生成に影響を与える夾雑物が含まれていない純水や精製水が用いられる。本発明では、このような純水や精製水に分解抑制物質を添加できるほか、原料水中に分解抑制物質を適量含有する場合には、そのまま用いることもできる。
<ガスハイドレート形成物質>
本発明におけるガスハイドレートの種類は、特に制限はない。すなわち、所定の圧力、温度条件でガスハイドレートを形成するものであればガスハイドレート形成物質の種類は特に限定されず、例えば、メタン、天然ガス(メタンを主成分とし、エタン、プロパン、ブタン等を含む混合ガス)、炭酸ガス(二酸化炭素)等の常温・常圧で気体である物質(ガス)を挙げることができる。
<ガスハイドレートの生成条件>
ガスハイドレートの生成のための温度・圧力等の条件は、物質により異なるが、既知の条件である。例えば、メタンハイドレートの場合は、後記実施例に示す条件で製造できる。
水とガスハイドレート形成物質との反応は、例えばガスハイドレート形成物質がガスである場合には、水とガスとを接触状態において気液界面でガスハイドレートを形成させることにより行われる。
<分解抑制物質>
分解抑制物質としては、ガスハイドレートの自己保存効果を向上させ得るものであれば特に制限はないが、以下のものが好ましい。
電解質が溶液中で解離することによって生成するイオンは、分解抑制物質として好適に使用できる。前記イオンとしては、例えば、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、ハロゲン元素、非金属元素、金属元素(前記アルカリ金属元素およびアルカリ土類金属元素を除く)等を構成要素として含むイオンを挙げることができる。ここで、前記「電解質」としては、上記元素を構成要素に持つものであれば特に制限はないが、後記するように原料水中で分解してガス状物質を生成することがない電解質が好ましい。
前記アルカリ金属元素としては、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等を挙げることができる。また、前記アルカリ土類金属元素としては、例えば、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等を挙げることができる。また、前記ハロゲン元素としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等を挙げることができる。また、前記非金属元素としては、例えば、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、リン(P)等を挙げることができる。また、前記金属元素としては、例えば、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を挙げることができる。
分解抑制物質として好ましいイオンの具体例としては、以下のaに示すイオンを挙げることができる。
a:塩素イオン(Cl)、フッ素イオン(F)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、アンモニウムイオン(NH4+)等のイオン。
また、分解抑制物質として好ましい金属および金属イオンの具体例としては、以下のbに示す金属またはイオンを挙げることができる。
b:亜鉛、鉄、マンガン等の金属、もしくは該金属のイオン。
上記分解抑制物質は、単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することが可能であり、後記実施例に示すように、複数の分解抑制物質を組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
分解抑制物質の量(存在量、添加量)は、前記電解質が溶液中で解離したイオンや前記aのイオンの場合は原料水中に0.1ppm以上10000ppm(1重量%)以下の量で含まれるようにすることが好ましく、1ppm以上1000ppm以下が望ましい。また、bの金属または該金属のイオンの場合は、原料水中に0.01ppm以上1000ppm(0.1重量%)以下の量で含まれるようにすることが好ましく、0.01ppm以上100ppm以下が望ましい。
原料水に電解質を添加する場合には、原料水中で前記イオンが上記と同程度に含まれるようにすればよい。後記するように分解抑制剤としてc、dの物質を用いる場合も、原料水中でa、bの物質が上記と同程度の量で含まれるようにすればよい。
なお、分解抑制物質の中には、ガスハイドレートの生成阻害物質として知られているもの(例えばNa、Clなど)が含まれているが、通常これらによる阻害は、数重量%存在する条件で起こる。これに対して分解抑制物質による分解抑制効果は格段に低い濃度レベルで作用を奏するため、生成阻害が生じないか、生じても僅かな影響に留めることができる。なお、生成阻害が生じる濃度でも、自己保存性の向上を優先させる場合には、上記範囲を超えて存在させることも可能である。
以上のようにして得られる本発明のガスハイドレートは、分解抑制物質によって自己保存効果が高められ、ガスハイドレート分解条件における移送・貯蔵の効率を向上させることができる。移送時・貯蔵時の圧力と温度は、エネルギー消費や設備負担を軽減すると、圧力は大気圧程度、温度は−20℃以上0℃以下が望ましいが、分解抑制物質の存在下で製造されたガスハイドレートは、さらに緩やかな条件、例えば大気圧下で−15℃程度の温度での移送・貯蔵も可能になる。
<分解抑制剤>
前記分解抑制物質(電解質が溶液中で解離したイオンや、前記aのイオン、bの金属もしくはイオン)は、ガスハイドレートの分解抑制剤として使用できる。また、水中で分解抑制物質を生成する物質を、ガスハイドレートの分解抑制剤として使用することもできる。ここで、「水中で分解抑制物質を生成する物質」としては、例えばc:水中で解離して前記aのイオンを生成する物質、d:水中で前記bの金属または該金属のイオンを生成する物質等を挙げることが可能であり、これらの中には好ましいものとして電解質を含んでいる。
前記cの「水中で解離して前記aのイオンを生成する物質」としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化ナトリウム、臭化カルシウム、アンモニアなどを挙げることができる。また、「水中で前記bの金属または該金属のイオンを生成する物質」としては、例えば、塩化鉄(FeCl)、塩化亜鉛(ZnCl)、塩化マンガン(MnCl)などを挙げることができる。
これらの分解抑制剤は、ガスハイドレートの原料水等に前記した量になるように添加することが好ましい。分解抑制剤を使用することによって、ガスハイドレートの自己保存性を向上させることができる。
[作用]
ガスハイドレートは、平衡温度以上の温度において自己保存効果(セルフプリザベーション効果)と呼ばれる、分解が抑制される効果を有することが知られている。この自己保存効果については、未解明な点も多いが、以下のような説明がなされている(兼子弘、日本造船学会誌第842号、p38−48)。
図9は、ガスハイドレート粒子の断面を模式的に示した図面である。低温高圧で生成したガスハイドレート50[図9(a)]を大気圧などの分解条件におくと、表面から部分的に分解が始まり、ガスハイドレート形成物質はガス化するとともに、水膜51がガスハイドレート表面を覆う[同図(b)]。表面でのガスハイドレートの分解により熱が奪われると、ガスハイドレート表面の水膜51は氷の膜52となってガスハイドレート表面を覆う[同図(c)]。この氷の膜52がある厚さ以上まで成長すると、内部のガスハイドレートと外部との熱交換が遮断され、大気圧などの分解条件でも内部のガスハイドレートは安定する。つまり、この氷の膜52が、分解(ガス化)しようとするガスハイドレートの圧力に抗するだけの機械的強度を持つことにより、ガスハイドレートが安定化して、それ以上の分解が抑制される自己保存効果が生ずると考えられている。
本発明は、分解抑制物質の存在下でガスハイドレートを生成させることにより、自己保存効果を向上させ、ガスハイドレートの安定性が高くなる、との知見に基づきなされたものである。分解抑制物質の中には、従来ガスハイドレートの生成を阻害する作用を持つと指摘されているものも含まれているが、これらが自己保存効果を向上させる性質を持つことは全く予想外の結果である。分解抑制物質が自己保存性を向上させる作用機構については未だ解明されていないが、以下のように考えれば合理的な説明が可能になる。
上記分解抑制物質のうち、塩素イオン(Cl)、フッ素イオン(F)、アンモニウムイオン(NH4+)などの物質は、氷結晶の水分子と置換して氷結晶中の格子点へ少量入り込むと考えられている(例えば、「基礎雪氷学講座 雪氷の構造と結晶」:前野紀一、福田正己)。ガスハイドレートのかご状構造の結晶中における、これらの物質の水分子との置換についての報告例はないが、氷の場合と同様に結晶中に入り込むと推測される。結晶中にこれらの物質が入ると、物質が入った格子点では結晶の欠陥となる。
一般に、金属材料学の分野では、結晶中にいろいろな欠陥がある場合、欠陥が少量であれば結晶の転移運動を阻害し、強度が高くなることが知られている。氷やガスハイドレートの場合、格子欠陥が氷強度やガスハイドレート強度に影響を及ぼすとの報告例は見当たらないが、金属の場合と同様に、上記物質が氷やガスハイドレートの格子点に入り、格子欠陥を生じ、氷およびガスハイドレートの機械的強度を増加させていることが推測される。
また、上記イオン以外の分解抑制物質は、ガスハイドレートのかご状構造や、氷結晶中に格子点として直接入り込むことはないが、ガスハイドレートの結晶粒界や氷結晶の粒界中の不純物として存在するようになると推測される。これらの結晶中に存在する不純物も、結晶の転移運動を阻害し、氷およびガスハイドレートの機械的強度を高くする作用があると推測される。
ガスハイドレート生成条件では、上記分解抑制物質は、ガスハイドレートの周囲に付着する氷中に存在し、周囲の氷強度を増大させる。ガスハイドレートが緩やかな分解条件に置かれると、ガスハイドレートの周囲の氷も一旦は溶解するが、前記ガスハイドレート粒子を覆う氷膜[図9(c)]が形成されるときには、分解抑制物質も氷膜中に取り込まれる。そして、分解抑制物質が存在することによって、氷膜の機械的強度が向上し、内部の分解ガスに対する耐圧力が高まり、自己保存効果を向上させる作用を奏するものと考えられる。したがって、分解抑制剤としては、上記例示の分解抑制物質に限らず、氷の機械的強度を高める性質のもの、特に結晶格子として水分子と置換可能な物質であればよいと考えられる。
また、上記した結晶中の格子欠陥による機械的強度の向上という推定と両立し得る作用として、以下に述べるようなイオン効果に基づく説明も可能である。
すなわち、分解抑制物質としての電解質は、正イオンと負イオンが等しい電荷量を有している。正、負のイオンはお互いに引き合う性質を有するため、これらの微量なイオンが、ガスハイドレートの結晶構造の中、あるいは間に存在することによって、ガスハイドレートの電気的な性質が変化する。イオンが添加されたガスハイドレートは、静電気を帯び易くなり、電気的な性質が通常のガスハイドレートとは明らかに異なることが確認された。イオンの性質により、電気的な結合力がハイドレートの構造にも作用する。この結合力が、包摂する水分子の籠状構造を強固なものとして内部のガスの放出を抑制し、保存性の向上に寄与しているものと推測される。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら制約されるものではない。
実施例1
蒸留水(原料水)200gに塩化カルシウム(CaCl、2HO、分子量M=147.02)を溶解させて塩化カルシウム溶液とした。この溶液を、ステンレス製容器に入れ、密閉した後、メタンガス(純度99%以上)を8MPaの圧力で充填した。
容器を4℃に保ち、攪拌機により攪拌を行いながら、ガスハイドレートを生成させた。メタンハイドレートの生成に伴い、ガス圧力が低下するので、圧力が一定となるようにメタンを供給した。
メタンハイドレート生成後、容器温度を−20℃(0℃以下であればよい)とし、内部の余剰水分を凍結させた後、容器内圧力を大気圧まで減圧し、生成したメタンハイドレートを周囲温度−20℃にて大気中に取り出した。
分解ガスが抜けるための小穴付き容器にガスハイドレート試料を入れ、試料重量を測定し、以下の測定方法で重量変化よりガスハイドレートの分解率を求めた。
<分解率の測定>
(1)メタンハイドレート試料を容器に入れ、容器の重量を測定し、試料重量(w1)を求める。
(2)−20℃に維持し、所定の時間ごとに試料容器の重量を測定し、試料重量を求める。
(3)所定時間終了後、試料を完全に分解し、残水(氷)の重量(w2)を求める。
(4)ハイドレート化率および分解率を以下の式により求める。
Figure 2009256678
本実施例のメタンハイドレートの初期ハイドレート化率は、90%であった。また、分解抑制物質としての塩素イオンの量は100ppm、カルシウムイオンの量は57ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率の測定結果を図1に示す。
実施例2
蒸留水(原料水)200gに塩化ナトリウム(NaCl、分子量M=58.44)を0.016g溶解させ、塩化ナトリウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。分解抑制物質としての塩素イオンの量は50ppm、ナトリウムイオンの量は32ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率の測定結果を図2に示す。
実施例3
蒸留水(原料水)200gに塩化マグネシウム(MgCl・6HO、分子量M=203.3)を0.0573g溶解させ、塩化マグネシウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。分解抑制物質としての塩素イオンの量は100ppm、マグネシウムイオンの量は34ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率の測定結果を図3に示す。
実施例4
蒸留水(原料水)200gに塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄およびマンガンを溶解させた(ナトリウムイオン 20ppm;塩素イオン20ppm;カルシウム 50ppm;マグネシウム 50ppm;亜鉛 0.012ppm;鉄 0.08ppm、マンガン 0.043ppm)。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。本実施例のガスハイドレート(粒径4mm)の分解率の測定結果を図4に示す。
実施例5
蒸留水(原料水)200gにフッ化ナトリウム(NaF、分子量M=42)を0.0044g溶解させ、フッ化ナトリウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。分解抑制物質としてのフッ素イオンの量は10ppm、ナトリウムイオンの量は12ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率の測定結果を図5に示す。
実施例6
蒸留水(原料水)200gに臭化カルシウム(CaBr)を0.03g溶解させ、臭化カルシウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。分解抑制物質としての臭素イオンの量は100ppm、カルシウムイオンの量は50ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径0.5mm)の分解率の測定結果を図6に示す。
実施例7
蒸留水(原料水)200gに電解質としての硫酸アンモニウム[(NH)2SO;分子量132]を0.088g溶解させ、硫酸アンモニウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。
分解抑制物質としてのアンモニウムイオンNH4+の量は120ppm、硫酸イオンSO42−の量は320ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率の測定結果を図7に示す。
比較例1〜7
比較例として、分解抑制物質を添加しない蒸留水を用いる以外は実施例1〜7と同様の条件によりメタンハイドレートを製造した。各実施例と同じ粒径における比較メタンハイドレートの分解率の測定結果を、図1〜図7にそれぞれ併記した。
実施例8
蒸留水(原料水)450gに電解質としての炭酸マグネシウム(MgCO;分子量84)を0.055g溶解させ、炭酸マグネシウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。
分解抑制物質としての炭酸イオンCO 2−の量は90ppm、マグネシウムイオンMg2+の量は35ppmであった。本実施例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率を測定した結果、無添加の場合に比べて分解が抑制されていることが確認された。
実施例9
蒸留水(原料水)200gに電解質としてのリン酸水素カリウム(KHPO;分子量133)を0.060g溶解させ、リン酸水素カリウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。
分解抑制物質としてのリン酸イオンPO 3−の量は、200ppm、カリウムイオンK+の量は80ppmであった。本実施例のガスハイドレートの分解率を測定した結果、無添加の場合に比べて分解が抑制されていることが確認された。
実施例10
蒸留水(原料水)200gに電解質としての塩化リチウム(LiCl;分子量41)を0.140g溶解させ、塩化リチウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。
分解抑制物質としてのリチウムイオンLiの量は100ppm、塩素イオンClの量は、580ppmであった。本実施例のガスハイドレートの分解率を測定した結果、無添加の場合に比べて分解が抑制されていることが確認された。
実施例11
蒸留水(原料水)200gに電解質としてのヨウ化ナトリウム(NaI;分子量150)を0.0236g溶解させ、ヨウ化ナトリウム溶液とした。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。
分解抑制物質としてのヨウ素イオンIの量は100ppm、ナトリウムイオンNaの量は200ppmであった。本実施例のガスハイドレートの分解率を測定した結果、無添加の場合に比べて分解が抑制されていることが確認された。
参考例
蒸留水(原料水)200gに次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を溶解し、ClO濃度を1ppmの溶液とした。残留塩素濃度はオルトトリジン法で測定した。この溶液を用いる以外は、実施例1と同様にしてメタンハイドレートを製造し、分解率を測定した。
本比較例のガスハイドレート(粒径1mm)の分解率の測定結果を図8に示す。図8から、次亜塩素酸ナトリウムを添加した場合、ガスハイドレートの分解抑制作用は得られず、逆に無添加の場合よりも分解率が大きくなって保存性が低下することが確認された。
次亜塩素酸ナトリウムを添加しても分解抑制効果が得られない理由は明らかではないが、以下のように推測される。
すなわち、次亜塩素酸ナトリウムは、水溶液中で解離して次亜塩素酸イオン(ClO)を生ずるが、この次亜塩素酸イオンは不安定で分解しやすく、最終的には分子状酸素を生じる。つまり、次亜塩素酸ナトリウムは、以下の反応式に従い徐々に分解していくことになる。

2NaClO → 2NaCl + O

なお、次亜塩素酸カルシウム[Ca(ClO)]においても、同様に分子状酸素の放出が起きる。

Ca(ClO) → CaCl + O

これらの反応で発生する酸素ガスは、ガスハイドレートの形成過程において放散し続けるため、ガスハイドレートの物理的性質に好ましくない影響を与えている可能性がある。具体的には、例えば、ガスハイドレートが形成されていく過程でガス状酸素が揮散することによって、ガスハイドレートに微細孔が形成され、その結果、ガスハイドレートの表面積が増大し、温度や圧力の変化に対して分解しやすい性質を持つようになることが推測される。このことから、本発明で用いる電解質としては、水溶液中で酸素分子のようなガス状物質を生成しない性質の電解質(非ガス生成電解質)が好ましいと考えられる。また、ガス状物質を生成する可能性のある次亜塩素酸ナトリウムなどの電解質を用いる場合には、例えばpHなどの条件を調整してガスの発生が起こり難い状態でハイドレートの形成を行うことが好ましい。
以上の実施例、比較例の結果から、分解抑制物質の存在下で製造したメタンハイドレートは、比較メタンハイドレートに比べて同一条件での分解率が低いことが示された。従って、分解抑制物質の存在下で、あるいは分解抑制物質を添加してガスハイドレートを製造することにより、移送時や貯蔵時における分解率の低いガスハイドレートを製造できることが明らかになった。
[発明の効果]
本発明のガスハイドレートの製造方法によれば、高い自己保存効果を有し、例えば移送時や貯蔵時の分解量が少ないガスハイドレートを製造できる。
また、本発明の方法により製造されたガスハイドレートは、移送・貯蔵効率に優れ、移送時や貯蔵時の分解量が少ないため、ボイルオフガスの再ハイドレート化のための設備を省略もしくは簡略化できる。
より具体的には、例えば、NGHの場合では、以下の(1)〜(5)のような効果が得られる。
(1)通常のNGHの分解領域(例えば大気圧、−15℃程度の条件)でもNGHの自己保存効果が十分に得られ、少ないガス分解量で移送、貯蔵が可能になる。従って移送天然ガス量、貯蔵天然ガス量を増加させることができ、高い移送・貯蔵効率が確保される。
(2)移送・貯蔵温度を例えば−15℃程度まで高くすることができるので、冷却に要するエネルギーを低減し、設備を簡略化できる。
(3)移送・貯蔵温度を例えば−15℃程度まで高くすることができるので、再ガス化に要するエネルギーを低減し、設備を簡略化できる。
(4)侵入熱が小さくなるので、保温材の厚み(保温材量)を低減できる。従って、同一体積の容器では、外形寸法を小さくすることが可能になり、体積効率が上昇する。
(5)分解ガス量を低減できるので、分解ガスの回収装置、再ハイドレート化設備が不要になる。
さらに、本発明の分解抑制剤を用いることによっても、上記と同様の効果が得られる。
50 天然ガスハイドレート
51 水膜
52 氷の膜
特許第3173611号公報

Claims (3)

  1. 電解質が溶液中で解離したイオンを、ガスハイドレートの分解性に影響する物質として含有し、且つ、表面がガスハイドレートの分解により形成された氷膜で覆われていることを特徴とするガスハイドレート。
  2. 請求項1に記載のガスハイドレートにおいて、前記イオンが、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、炭素(C)、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、リン(P)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)よりなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を構成要素として含むものであることを特徴とするガスハイドレート。
  3. 次のaおよび/またはb;
    a:塩素イオン(Cl)、フッ素イオン(F)、臭素イオン(Br)、ヨウ素イオン(I)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、炭酸イオン(CO 2−)、リン酸イオン(PO 3−)およびアンモニウムイオン(NH )よりなる群から選ばれる1種または2種以上のイオン;
    b:亜鉛、鉄およびマンガンよりなる群から選ばれる1種または2種以上の金属、または該金属のイオン;
    から選ばれる1種または2種以上の物質をガスハイドレートの分解抑制物質として含有し、且つ、表面がガスハイドレートの分解により形成された氷膜で覆われているガスハイドレート。
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