JP2001233801A - メタン水和物の製造方法と装置 - Google Patents

メタン水和物の製造方法と装置

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孝郎 海老沼
Tsutomu Uchida
努 内田
Hideo Narita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メタン水和物の製造工程を高効率化し、かつ
製造コストを低減する製造方法を提供する。 【解決手段】 メタン水和物の製造工程において、製造
圧力に対するメタン水和物の生成平衡温度より1℃以上
低い温度で、メタンと水を接触させることを特徴とする
メタン水和物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、メタン水和物を製
造するための方法と装置に関するものである。
【0001】
【従来の技術】特開平11−130700号公報には、
メタンハイドレート(メタン水和物)の製造方法とし
て、水とメタンの反応容器内に鉛直循環流を形成し、上
昇流部ヘメタンガスを供給する製造方法が示されてい
る。当該製造方法においては、メタン水和物の製造効率
を高める温度、圧力等の条件は開示されていない。特開
平10−324646号公報、特開平10−32464
7号公報には、多孔質材料の細孔内に水和物状物を含む
材料及びその製造方法が開示されている。これらの発明
は、メタン水和物を多孔質材料に担持させる材料及びガ
ス/水の質量比が大きい水和物の製造方法に関するもの
であり、メタン水和物の製造過程を高効率化する条件を
開示したものではない。特開平04−305241号公
報には、氷によりメタン水和物等の包接水和物の核形成
を励起する方法が示されている。また、特開平10−1
96895号公報、特開平10−213296号公報及
び特開平10−238913号公報には、メタン水和物
の製造方法として、製造容器へ氷粒を供給する方法が示
されている。これらの発明は、メタン水和物の生成を開
始される方法(核形成の励起)に関するものであり、核
形成以後の結晶成長過程を効率化する条件を明示してい
ない。特開昭48−92401号公報に、日本化学会
誌、1993(No.4)、387−394、199
3)には、メタン水和物を利用した天然ガス貯蔵運搬方
法として、脂肪族アミン、テトラヒドロフラン、アセト
ンなどにより水和物の生成圧力を低下させる方法が示さ
れている。これらの文献は、天然ガスの貯蔵運搬条件を
緩和することを示すにすぎず、メタン水和物の製造を高
効率化する条件を開示したものではない。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、メタン水和
物の製造工程を高効率化し、かつ製造コストを低減する
製造方法と装置を提供するものである。
【0003】
【課題が解決するための手段】本発明によれば、以下の
発明が提供される。 (1)メタン水和物の製造工程において、製造圧力に対
するメタン水和物の生成平衡温度より1℃以上低い温度
で、メタンと水を接触させることを特徴とするメタン水
和物の製造方法。 (2)−0.3℃以上の温度及び2.77MPa以上の
圧力の条件でメタンと水を接触させることを特徴とする
(1)に記載のメタン水和物の製造方法。 (3)メタン水和部の製造装置において、製造圧力に対
するメタン水和物の生成平衡温度より1℃以上低い温度
で、メタンと水を接触させるための温度調整装置を備え
ることを特徴とするメタン水和物の製造装置。 (4)−0.3℃以上の温度及び2.77MPa以上の
圧力条件でメタンと水を接触させるための温度調整装置
及び圧力調整装置を備えることを特徴とする(3)に記
載のメタン水和物の製造装置。
【0004】
【発明の実施の形態】メタン水和物の生成速度と温度、
圧力の関係を明らかにした実施例を以下に示す。メタン
水和物生成装置としては、ガス昇圧装置、定圧ガス供給
装置及び圧力容器により構成されたものを用いた。メタ
ンガスは、ガス昇圧装置に装備された圧縮空気駆動のガ
スブースターにより加圧された後、定圧ガス供給装置に
流入する。定圧ガス供給装置は、圧力容器からのフィー
ドバック信号により電子圧力調整器をPID制御して、
圧力容器へ供給される試料ガスを定圧に保持する。ま
た、定圧ガス供給装置から圧力容器へ送られる試料ガス
の質量は、質量流量計により測定される。このガス流量
は、メタン水和物の生成により消費された容器内のメタ
ンガス量に等しいので、メタン水和物の成長速度を示す
と考えられる。圧力容器は、内容積1.2×10
-32、設計圧力19.62MPaのステンレス製であ
り、温度制御用の内部熱交換器とジャケット、観察用耐
圧ガラス(有効直径20mm)、攪拌機、シース熱電
対、圧力変換器及び過飽和を解除するための冷却用銅棒
を備えている。攪拌機の中空のシャフトには、メタンガ
スと水の接触を促進するために、スパージャ型翼が取り
付けられた。スパージャ翼により、気相部から吸引され
たガスを液相部へ微細気泡として噴出させることが可能
である。これにより、メタンガスと水の気液接触を促進
することが可能である。生成温度は、低温恒温槽より、
内部熱交換器とジャケットへ、温度調整された不凍液を
循環して制御された。温度、圧力及びメタンガスの質量
流量は、インテリジェントレコーダーにアナログ記録さ
れるとともに、サンプリング間隔1〜30秒でデジタル
記録された。
【0005】メタン水和物の生成には、イオン交換水と
メタンガス(純度99.5%以上)が使われた。メタン
ガスの初期充填は、メタン水和物の生成湿度以上の温度
で行なわれて、攪拌により溶解が促進された。溶解が終
了した後、試料は、実験温度まで冷却された。冷却時の
溶解度増大にともなうガス流入が終了した後に、過飽和
解除用冷却棒を液体窒素で冷却することにより、メタン
水和物の生成が開始された。
【0006】図1は、成長速度係数と過冷却度の関係を
示す。ここで、成長速度係数は、水単位質量あたりのメ
タン水和物の質量増加速度である。また、過冷却度は、
メタン水和物の生成平衝条件の測定結果から決定された
次式の関係を用いて、生成圧力Pに対する生成平衡温度
Tと実温度の差として求められた。 lnP=−8076/T+30.51 P<10MPa, lnP=−10145/T+37.78 P≧10MPa. P:圧力(MPa) T:絶対温度(K)
【0007】成長速度係数は、過冷却度1℃以上の範囲
において、有意な値を持った。すなわち、メタン水和物
の成長は、過冷却度1℃以上で加速されることが明らか
となった。メタン水和物の成長速度は、過冷却度に比例
して増大する。しかし、過冷却度が過大であると、製造
工程を冷却するためのコストが増大するために不都合で
ある。一方、過冷却度1℃未満においては、メタン水和
物の成長速度が無視できるほどに遅いために、不都合で
ある。メタン水和物の生成は、温度−0.3℃以下の温
度範囲において、氷の発生を伴なうことが分かった。氷
の発生は、メタン水和物を製造するためには好ましくな
い。以上の製造試験から、メタン水和物を生成させる温
度は、温度−0.3℃以上でかつ生成圧力Pにおける生
成平衝温度Tより1℃以上低い温度、好ましくは1.5
〜1.5℃以上低い温度であることが明らかとなった。
なお、当該温度条件においてメタン水和物を製造するた
めには、圧力2.77MPa以上で操作する必要があ
る。
【0008】
【発明の効果】このように、本発明に係わるメタン水和
物の製造方法を用いれば、冷却能力を過大に設定するこ
となく、メタン水和物の生成速度を増大させることが可
能である。公知の製造方法と比較すると、低コストで、
メタン水和物を高効率に製造できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタン水和物の生成速度は、過冷却度1℃以上
の温度条件において加速することを示すグラフを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 成田 英夫 北海道札幌市豊平区月寒東2条17丁目2番 1号 工業技術院北海道工業技術研究所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AA04 AC90 BC10 BC11 BE60

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタン水和物の製造工程において、製造
    圧力に対するメタン水和物の生成平衡温度より1℃以上
    低い温度で、メタンと水を接触させることを特徴とする
    メタン水和物の製造方法。
  2. 【請求項2】 −0.3℃以上の温度及び2.77MP
    a以上の圧力の条件でメタンと水を接触させることを特
    徴とする請求項1に記載のメタン水和物の製造方法。
  3. 【請求項3】 メタン水和部の製造装置において、製造
    圧力に対するメタン水和物の生成平衡温度より1℃以上
    低い温度で、メタンと水を接触させるための温度調整装
    置を備えることを特徴とするメタン水和物の製造装置。
  4. 【請求項4】 −0.3℃以上の温度及び2.77MP
    a以上の圧力の条件でメタンと水を接触させるための温
    度調整装置及び圧力調整装置を備えることを特徴とする
    請求項3に記載のメタン水和物の製造装置。
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