JP2005320438A - ガスクラスレート製造方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原料ガスを原料水に混合・溶解したものを反応管路7に流しながら該反応管路内でガスクラスレートを生成するガスクラスレート製造方法において、反応管路7の上流側7aでは反応管路をチラー8で冷却し、反応管路7の下流側7bでは反応管路を冷却しないようにした。
【選択図】 図1
Description
このような、工業的なガスクラスレートの製造方法として、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスクラスレートを生成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
一般に、ガスクラスレートの生成速度は、その圧力に対応したクラスレート生成平衡温度よりも低いほど、つまり過冷却度(=[生成平衡温度]−[実際の生成温度])が大きいほど大きい。そのため、特許文献1においては、反応管路という冷却効率のよい反応容器を用い、反応管路内では十分な生成速度を得るために必要な過冷却度となるように十分な冷却を行うようにしていた。
一方、反応管路の下流側に設置する分離器では、反応管路内で生成したガスクラスレートの分解を防ぐことができる温度であれば良く、分離器圧力におけるクラスレート生成平衡温度と等しいか、僅かに低い温度であれば足りる。
すなわち、特許文献1のものでは、冷凍機等の冷却手段に用いられる電力が生成されるクラスレートの量にみあったものとは言えず、反応管路を冷却するための冷凍機、ポンプ等の動力の一部が無駄となってしまっており、かかる無駄をなくすにはいかにするべきかという課題が残されていた。
そこで、本発明者は反応管路を用いてガスクラスレートを効率的に製造しようとした前記趣旨を没却することなく、反応管路の冷却に用いるエネルギーの利用効率を向上させるには如何にするべきかを鋭意研究した結果、冷却効率のよい反応管路で過冷却度が大きくなった流体の低温状態を利用することで、反応管路の冷却に用いたエネルギーの利用効率を高めることができるとの発想を得て本発明を完成したものである。
ここで過冷却度とは、(ガスクラスレート生成平衡温度)−(実際のガスクラスレート生成温度)をいう。
図1は本発明の一実施の形態の主要な構成機器を示した系統図である。まず、図1に基づいて本実施の形態の構成機器について説明する。
本実施の形態のガスクラスレート製造装置は、天然ガス等の原料ガスの圧力を昇圧するガス昇圧機1、2、原料水を供給する原料水ポンプ3、4、原料水と原料ガスを混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサー5、ラインミキサー5でミキシングされたものを冷却してガスクラスレートを生成する反応管路7、反応管路7の管路壁を冷却するためのチラー8、反応管路7の下流側に設けられてガスクラスレート、未反応ガス、原料水の分離を行う分離器10、を備えている。
そして、各構成機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結され、要所には圧力検出器11が設置され、この圧力検出器11の信号によって配管ラインに設置された各バルブ12が制御され、当該配管ラインの圧力、流量が調整されるように構成されている。
以下、上記構成要素の主なものについてさらに詳細に説明する。
非冷却反応管路7bの好ましい長さは、非冷却反応管路7bの出口での流体の過冷却度が2℃以下になるような長さである。さらに好ましい長さは、非冷却反応管路7bの出口での流体の温度が平衡温度にほぼ等しくなる、すなわち流体の過冷却度がほぼゼロになるような長さである。このような長さであれば、積極的な冷却をしなくても非冷却反応管路内でもクラスレート生成反応が行われ、冷却反応管路7aを冷却するために用いたエネルギーが非冷却反応管路においてクラスレートの生成に活かされる。
なお、非冷却反応管路7bは、通常の冷却を行う反応管路(冷却反応管路7a)と同様の形態である必要はなく、例えば、冷却反応管路7aと分離器10を結ぶ接続配管を長くしたものでもよい。要するに、通常の冷却を行う反応管路部分と分離器の間にあってガスクラスレート生成に必要な長さを有する非冷却の管路であればよい。
次に、以上のように構成された本実施の形態の装置によってガスクラスレートを製造する製造工程を説明する。原料ガス(必要に応じてガスクラスレート生成温度近くまで冷却したもの)の圧力をガス昇圧機1によって所定の圧力に昇圧する。また、原料水も原料水ポンプ3によって所定の圧力に昇圧する。これら、昇圧された原料ガスと原料水をそれぞれラインミキサー5に供給する。ラインミキサー5に供給された原料ガスと原料水は、前述したメカニズムによって猛烈な勢いで混合される。このとき、原料ガスは微細気泡となって原料水の中に混じり込み、原料ガスの溶解が促進される。
反応管路7の上流側である冷却反応管路7a内では、チラー8により冷却反応管路7aの外壁が効率的に冷却され、過冷却度が大きくなり、また、生成反応熱の除去が効率よく行われることからガスクラスレートが効率的に生成される。
また、反応管路7の下流側である非冷却管路7b内では、冷却反応管路7aで効率的に冷却された結果管路を流れる流体の過冷却度が大きくなっているから、外部から冷却しなくてもガスクラスレート生成反応が継続する。もっとも、非冷却管路7bでは生成反応熱を除去しないので、流体温度は徐々に上昇する。そして、非冷却管路7bの出口(分離器10の入口)では、流体の過冷却度がほぼゼロとなる。
分離器10においては、分離器10内の水位がレベル計13で検知され、分離器10内の水位が一定レベル以上になるように制御されている。これは、ガスが原料水戻しラインに流入しないように、原料水に封水効果をもたせるためである。そして、封水に不要な原料水は原料水ポンプ4によって所定の圧力に昇圧されてラインミキサー5に供給される。
なお、ガス昇圧機1によって昇圧された原料ガスを直接分離器10に供給しているが、これは分離器10内の圧力を一定以上に保つためである。
しかし、例えば、図2に示すように、反応管路7の出口側に温度検出手段15を設けると共に、この温度検出手段15の検出信号に基づいて反応管路7の下流側7cを冷却して流体温度を制御する温度制御手段17を設けるようにしてもよい。
このように、温度制御手段17を設けることにより、例えば原料ガス量が多く図1の非冷却管路7bではその出口手前で過冷却度がゼロとなるような場合であっても、温度制御手段17の冷却により反応管路7の出口での過冷却度がほぼゼロになるように制御可能になる。これによって、反応管路7をその全長に亘ってガスクラスレートの生成に活用できると共に、反応管路7内での分解反応が起こるのを防止できる。
また、温度制御手段17としてチラーを用いた場合に、その制御方法としては、チラーを直接制御してもよいし、あるいはチラーから供給する冷媒流量を制御するようにしてもよい。
解析実験は、100mの冷却反応管路だけの場合と、同じ100mの冷却反応管路の下流側に50mの非冷却反応管路を設けた場合について比較したものである。
本解析実験においては、前述したように、0〜100mまでが冷却反応管路、100〜150mが非冷却反応管路である。したがって、100mの冷却反応管路だけの場合は図3の100mの位置にある丸印が反応管路出口の状態を示し、更に50mの非冷却反応管路を設けた場合は図3の右端150mの位置が反応管路出口の状態を示している。
なお、本解析実験においては反応管路の下流側に設置した分離器の圧力が8MPaの場合であり、この分離器圧力に対応するハイドレートの生成平衡温度は10.9℃である。また、この例では非冷却反応管路の径を冷却反応管路の径と等しく設定した。
一方、50mの非冷却反応管路を追加した場合には、冷却反応管路内での過冷却度を利用して非冷却反応管路内でハイドレート生成反応が更に進行している。この時、非冷却反応管路内ではハイドレート生成に伴う反応熱が発生するが、非冷却であるため、非冷却反応管路内の流体温度は上昇する。
100mの冷却反応管路のみの場合と、その下流側に50mの非冷却反応管路を設けた場合について、反応管路出口温度、反応管路出口におけるハイドレート体積割合、及びハイドレート製造量を比較して下記の表1に示す。
一方、ハイドレート製造量は50mの非冷却反応管路を設けた方が28.5kg/h増加している。つまり、冷却に要する動力は同じであるにもかかわらず、この例では50mの非冷却反応管路を設けるだけでハイドレート生成量は約22%増加したのである。
以上から、100mの冷却反応管路での冷却に要したエネルギーを、下流側の50mの非冷却反応管路においてハイドレート生成に利用できたことになり、50mの非冷却反応管路を設けることにより、ハイドレート生成のエネルギー効率が良くなることを意味する。
もっとも、非冷却反応管路の径を十分に大きくすれば、50mよりも短い非冷却反応管路で出口の過冷却度がゼロにすることも可能である。
3,4 原料ポンプ
5 ラインミキサー
7 反応管路
7a 冷却反応管路
7b 非冷却反応管路
17 温度制御手段
Claims (6)
- 原料ガスを原料水に混合・溶解したものを反応管路に流しながら該反応管路内でガスクラスレートを生成するガスクラスレート製造方法において、前記反応管路の上流側では反応管路を冷却し、前記反応管路の下流側では反応管路を冷却しないことを特徴とするガスクラスレート製造方法。
- 反応管路の出口における流体の過冷却度が2℃以下となるように、下流側の反応管路の管径及び長さ、または下流側の反応管路内を流れる流体の流速を設定したことを特徴とする請求項1記載のガスクラスレート製造方法。
- 原料ガスを原料水に混合・溶解したものを反応管路に流しながらガスクラスレートを生成するガスクラスレート製造方法において、前記反応管路の上流側では反応管路を冷却し、前記反応管路の下流側では反応管路の出口における流体の過冷却度が2℃以下となるように流体温度を調整するようにしたことを特徴とするガスクラスレート製造方法。
- 原料ガスを原料水に混合・溶解したものを反応管路に流しながら該反応管路内でガスクラスレートを生成するガスクラスレート製造装置において、
前記反応管路の下流側に、冷却されない非冷却反応管路部を設けたことを特徴とするガスクラスレート製造装置。 - 非冷却反応管路部は、非冷却反応管路部の出口における流体の過冷却度が2℃以下となるように、非冷却反応管路部の管径及び長さが設定されていることを特徴とする請求項4記載のガスクラスレート製造装置。
- 原料ガスを原料水に混合・溶解したものを反応管路に流しながらガスクラスレートを生成するガスクラスレート製造装置において、前記反応管路の上流側を冷却する冷却手段と、前記反応管路の下流側に設けられて前記反応管路の出口における流体の過冷却度が2℃以下となるように流体温度を調整する温度調整手段を設けたことを特徴とするガスクラスレート製造装置。
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