JP2004099843A - ガスクラスレート製造方法および製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料水と原料ガスとを反応させてガスクラスレートを製造する方法において、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスクラスレートを生成するガスクラスレート生成工程と、生成されたガスクラスレートを前記反応管路に連結された分離器にて分離する分離工程と、該分離器の圧力を検出する圧力検出工程と、該圧力検出工程で検出された圧力に基づいて、前記混合・溶解工程における供給ガス流量、前記ガスクラスレート生成工程における原料水流速のいずれか一方又は両方を調整することによって前記分離器の圧力を調整する圧力調整工程と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば天然ガスなどの原料ガスと原料液(淡水、海水、不凍液、液体ホスト物質、ホスト物質溶液等)とを反応させてガスクラスレートを製造するガスクラスレートの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスクラスレート(単に「クラスレート」と言う場合あり。なお、ホスト物質が水の場合にはガスハイドレートというが、本明細書においてガスクラスレートと言う場合にはガスハイドレートを含む。)は、ホスト物質の分子が構成する籠状構造の内部に天然ガス、二酸化炭素などの気体分子を高濃度に包蔵する氷状の固形物質である。ガスクラスレート、主にガスハイドレートは、単位体積当たり多量の気体を包蔵でき、しかも、液化天然ガスに比較して、大気圧下比較的高温にて貯蔵・輸送できることから、天然ガス等の輸送、貯蔵への応用が注目されている。
このため、従来は天然に存在するガスハイドレートの利用に関する検討が中心であったが、近年この性質に着目してこれを工業的に製造する試みが行われている。
【0003】
従来のガスクラスレート製造方法は、大径の槽からなるクラスレート生成容器内の水相にクラスレート形成物質を気泡として供給するとともに、前記クラスレート生成容器内の気相に、水を噴霧状にスプレーすることにより水和反応を起こさせるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−264851号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術には以下のような問題点がある。
クラスレート生成容器である槽の容積が大きいことから、耐圧容器の壁面の冷却だけでは十分な冷却ができず、上記の特許文献1においては、水を直接冷却するためクラスレート生成容器内部に冷却コイルを設置するという手段を採用しているが、装置が大型化、複雑化するという問題がある。
【0006】
また、他の問題点として、槽状の容器内でガスクラスレートを生成する場合には、生成したガスクラスレートが耐圧容器内の水面に浮かぶため、それを取り出すための手段(例えばガスクラスレートと水の混合物排出口、及び水面をその位置に制御する装置等)が必要となり、同じく装置の複雑化の問題がある。
このように、従来技術においては、設備が複雑で大がかりになるという問題があった。
【0007】
そして、上記課題を解決するものとして、本願出願人による特願2001−162950号出願にかかる発明がある。同発明は、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させ、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するようにしたものである。
【0008】
本発明は上記の先願発明をさらに発展させ、特許文献1に示された従来技術の問題点を解決しつつ、さらに反応管路及びその出口に設置される分離器の圧力制御を簡易な方法・装置で可能とし、全体として単純でコンパクトなガスクラスレートの製造方法および装置を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガスクラスレートを製造する方法は、原料液と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料液に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスクラスレートを生成するガスクラスレート生成工程と、生成されたガスクラスレートを前記反応管路に連結された分離器にて分離する分離工程と、該分離器の圧力を検出する圧力検出工程と、該圧力検出工程で検出された圧力に基づいて、前記混合・溶解工程における供給ガス流量、前記ガスクラスレート生成工程における原料液流速のいずれか一方又は両方を調整することによって前記分離器の圧力を調整する圧力調整工程と、を備えたものである。
【0010】
また、本発明に係るガスクラスレート製造装置は、供給する原料ガス流量を調整するガス流量調整手段と、供給する原料液の流速を調整する原料液流速調整手段と、原料液と原料ガスとをライン途中において混合して原料ガスを原料液に溶解させるラインミキサーと、原料ガスが混合・溶解された原料液を流しながら冷却する反応管路と、該反応管路に連結されて生成されたガスクラスレートを分離する分離器と、該分離器の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出された圧力に基づいて前記ガス流量調整手段のガス流量、前記原料液流速調整手段の原料液流速のいずれか一方又は両方を調整する制御手段とを備えたものである。
【0011】
また、ラインミキサーは、原料ガスの微細気泡を発生させるものであることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図3は本発明の一実施の形態のガスハイドレート製造工程の概要の説明図であり、原料ガスとして天然ガスを用いたものを示している。まず、図3に基づいてガスハイドレート製造工程の概要を説明する。
天然ガスは、1〜10℃に冷却され重質成分がコンデンセートとして分離される(S1)。一方、水も1〜10℃に冷却され(S2)、この冷却水と天然ガスが1〜10℃、50気圧の状態で反応してガスハイドレートが生成される(S3)。生成されたスラリー状のガスハイドレートは分離脱水処理され高濃度スラリーまたは固体にされ(S4)、ここで分離された水及び未反応ガスは再び反応工程(S3)に戻される。
【0013】
分離脱水処理されたガスハイドレートは−15℃程度の温度で凍結処理される(S5)。この凍結処理はS4で分離脱水処理されたガスハイドレートの表面に付着した水分を凍結させて氷の殻を作ることにより、ガスハイドレートの安定化を図るためである。
凍結処理の後、50気圧から大気圧に減圧する減圧処理を行う(S6)。その後、凍結処理されたガスハイドレートをペレット状に成形処理し(S7)、サイロ等の貯蔵設備で貯蔵され(S8)、要求に応じてベルトコンベア等の積み出し設備で積み出し処理され(S9)、輸送船等の輸送装置で長距離輸送に供される(S10)。
以上がガスハイドレート製造工程の概要であるが、本実施の形態は上記の工程の中で水と天然ガスからスラリー状のガスハイドレートを生成する工程(S3)及び分離脱水工程(S4)を工夫することで、効率的なハイドレートの製造と設備の簡略化を実現したものである。以下、この点について詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明の一実施の形態の主要な構成機器を示した系統図である。まず、図1に基づいて本実施の形態の構成機器について説明する。なお、以下の説明では、本発明が対象としているクラスレートを例に挙げて説明する。
本実施の形態のガスクラスレート製造装置は、天然ガス等の原料ガスの圧力を昇圧するガス昇圧機1、原料水(本明細書において「原料水」というときは、原料水のみのものを意味する場合と原料水に原料ガスが溶け込んだ状態のものを意味する場合の両方がある。)を供給する原料水ポンプ3、19、原料水と原料ガスを混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサー5、ラインミキサー5でミキシングされたものを冷却しながら流してガスクラスレートを生成する反応管路7、反応管路7で生成されたガスクラスレート、未反応ガス、原料水とを分離する分離器9とを備えている。
【0015】
各構成機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結されている。ラインミキサー5に原料ガスを供給する配管ラインにはガス流量を調整するガス流量制御弁12aが設けられている。また、原料ポンプ3,19からラインミキサー5に通ずる配管ラインには原料水の流速を調整する流速制御弁12bが設けられている。さらに、分離器9には分離器9内の圧力を検出する圧力検出器10が設置され、この圧力検出器10の信号に基づいて制御手段14によってガス流量制御弁12a、流速制御弁12bが制御される。
【0016】
上記の各構成機器のうち主要なものの構成をさらに詳細に説明する。
本実施の形態のラインミキサー5は、図2(西華産業株式会社「OHRラインミキサー」カタログ第7頁より引用)に示すように、入り口側が大径で出口側が小径になった2段状の筒状体11からなり、この筒状体11の大径部11a中にガイドベーンと呼ばれる翼体13を有し、その先の小径部11b内に筒の内周面から中央に延びる複数のキノコ状の衝突体15を有している。
このようなラインミキサー5においては、原料水ポンプ3によってラインミキサー5に供給された原料水が翼体13によって旋回流となり、猛烈な遠心力によって外側へ押しやられ、それがキノコ状の衝突体15によってさらに強烈に攪拌され、その中に原料ガスが巻き込まれて超微細な気泡群に砕かれ、原料水と原料ガスとが混合される。これによって、原料ガスと原料水との接触面積が大きくなり原料ガスは原料水に効率よく溶け込む。
【0017】
反応管路7は屈曲した管からなり、この管の周面をチラー17で冷却するようになっている。このように、反応管路7を用いたことで、周囲からの冷却を効率よく行えるようになったので、従来一般的に行われていたように冷却コイル等によってガス・原料水を直接冷却する必要がなくなり、装置の構成が単純かつコンパクト化できる。
【0018】
なお、このような反応管路7を用いることができるのは、原料ガスと原料水の混合・溶解を予めラインミキサー5によって行い、反応管路7では冷却を中心に装置構成を考えることができるからである。すなわち、特許文献1に示される従来例では原料ガスと原料水の混合・溶解と反応冷却を槽状のクラスレート生成容器内で行っていたため、混合・溶解には一定の広がりをもった空間が必要となり、冷却を容器の周囲からのみ行うことはできなかったのに対して、本実施の形態においては、原料ガスと原料水の混合・溶解と反応冷却とを分離したので、反応工程では冷却を中心に考えることができ、上記の例のように単純な構成での冷却が可能となるのである。
【0019】
分離器9は、ガスクラスレート、未反応ガス、原料水とを分離するものであるが、分離器9の例としては、デカンター、サイクロン、遠心分離器、ベルトプレス、スクリュー濃縮・脱水機、回転ドライヤー等が考えられる。
【0020】
次に、以上のように構成された本実施の形態の装置によるガスクラスレート製造方法を説明する。
原料ガスの圧力をガス昇圧機1によって所定圧力に昇圧し、ガス流量制御弁12aを介してラインミキサー5に供給される。また、原料水も原料水ポンプ3によって所定の圧力に昇圧され、流速制御弁12bを介してラインミキサー5に供給される。なお、運転開始時においては、ガス流量制御弁12a、流速制御弁12bはそれぞれ最大値に設定されている。ラインミキサー5に供給された原料ガスと原料水は、前述したメカニズムによって猛烈な勢いで混合される。このとき、原料ガスは微細気泡となって原料水の中に混じり込み、原料ガスの溶解が促進される。
【0021】
原料水に原料ガスが溶け込んだもの(未溶解の微細気泡も含んだ状態のもの)は反応管路7に送られ、チラー17によって冷却されて分離器9に送られる。運転開始時においては、反応管路7の圧力がクラスレート生成圧力になっていないので、クラスレートは生成されることがなく、未溶解の原料ガスが分離器9に供給される結果、分離器9の圧力が上昇する。以上のようにして運転開始時から一定の時間が経過すると、分離器9内の圧力が上昇し、分離器9に連通する反応管路7の圧力が上昇してクラスレート生成圧力になると、反応管路7においてガスクラスレートの生成が開始される。そして、ここで生成されたガスクラスレートは未反応ガス、原料水と共に管路を流れてゆき分離器9に送られる。
【0022】
未反応ガスが分離器9に送られると、分離器9内の圧力が上昇するが、これが予め設定した値を超えると、制御手段14によって、ガス流量制御弁12a、原料水流速制御弁12bのいずれか一方又は両方が制御され、これによって分離器9の圧力及び反応管路7の圧力が調整される。
【0023】
このように、分離器9の圧力は各制御弁12a,12bを調整することによって行われるが、ここで各制御弁を調整したときに分離器9の圧力が変化するメカニズムについて説明する。
その前提として、反応管路7におけるクラスレート生成のメカニズムを説明する。
ラインミキサー5によって、原料ガスと原料水が混合され、原料ガスは微細気泡となり、原料水に溶解して原料水全体が平衡濃度に到達する。
【0024】
原料水が平衡濃度に到達すると、反応管路7の圧力Pがクラスレート生成最低圧力P0より高く、反応管路7の各部の温度Tがクラスレート生成最高温度T0より低い条件になっていればガスクラスレートの生成が開始される。ガスクラスレートの生成には発熱を伴うことになるが、発熱量に相当する熱量をチラー17の冷却で奪うことで、反応管路7の温度はクラスレート生成最高温度T0より低い温度に保たれる。なお、冷却しすぎると原料水が凝固して反応管路7内の流れが阻害されるので、チラー17での冷却能力は、原料水が凝固点以下にならないように設定されている。
【0025】
ガスクラスレートが生成されると溶解ガス濃度が下がり、平衡濃度になるまで原料ガスがさらに溶け込み、平衡濃度以上になるとさらにガスクラスレートが生成される。このようにして生成されたガスクラスレートは反応管路7内を流れてゆき、原料水、未反応ガス(全量クラスレート化した場合には未反応ガスはない)と共に、分離器9に送られる。
【0026】
上記のようなガスクラスレート生成メカニズムにおいて、ガス流量制御弁12aを調整してガス流量を少なくすると、供給ガス量に対する反応管路7内でクラスレート化する割合を増加させることができ、分離器9に送られる未反応ガス量が減少する。そして、供給ガス量をある量以下にすると、原料ガスは反応管路7内で全量がクラスレート化し、分離器9に未反応ガスが供給されなくなる。このように、ガス流量制御弁12aを調整してガス流量を少なくすることで、分離器9に供給される未反応ガス量を調整できる。
他方、分離器9内もクラスレートが生成される環境にあるので、分離器9内の未反応ガスが溶解・クラスレート化し、分離器9内の圧力は低下する傾向にある。
したがって、分離器9に供給される未反応ガス量が少なくなり、あるいは無くなると分離器9内でのクラスレート化による未反応ガスの減少の方が多くなり、その結果、分離器9の圧力を低下させることができる。
【0027】
逆に、ガス流量制御弁12aを調整してガス流量を多くすると、供給ガス量に対する反応管路7内でクラスレート化するガス割合を減少させることができ、供給ガス量をある量以上にすると、原料ガスは反応管路7内で全量クラスレート化することなく、分離器9に未反応ガスが供給される。このように、ガス流量制御弁12aを調整してガス流量を多くすることで、分離器9に供給される未反応ガス量を多くでき、その結果、分離器9の圧力を上昇させることができる。
【0028】
また、流速制御弁12bを調整して反応管路7を流れる流体の流速を速くした場合には、原料水の反応管路7内における滞留時間が短くなるので、原料ガスの溶解、クラスレート化の量が少なくなり、分離器9に送られる未反応ガス量が増えることになる。その結果、分離器9の圧力を上昇させることができる。
【0029】
逆に、流速制御弁12bを調整して反応管路7を流れる流体の流速を遅くした場合には、原料水の反応管路7内における滞留時間が長くなるので、原料ガスの溶解、クラスレート化の量が多くなり、分離器9に送られる未反応ガス量が少なくなる。その結果、分離器9の圧力上昇を停止し、又は圧力を低下させることができる。
【0030】
以上の説明から明らかなように、分離器9の圧力を上昇させるには、ガス流量制御弁12aを調整してガス流量を多くする、または、流速制御弁12bを調整して反応管路7を流れる流体の流速を速くすればよい。
逆に、分離器9の圧力を低下させるには、ガス流量制御弁12aを調整してガス流量を少なくする、または、流速制御弁12bを調整して反応管路7を流れる流体の流速を遅くすればよい。
【0031】
以上のように、各制御弁12a,12bを調整することにより、分離器9の圧力が調整され、分離器9内は生成されたガスクラスレートが安定する圧力に保持され、その結果、反応管路7の圧力もクラスレート化に最適な圧力に保持される。
なお、分離器9では、ガスクラスレート、未反応ガス、原料水が分離され、分離された原料水はポンプ19によって再びラインミキサー5に供給される。
一方、生成されたガスクラスレートは分離器9から取り出され、後処理工程(図3におけるS5以降の工程)に送られる。
【0032】
また、分離器9においては、分離器9内の水位がレベル計21で検知され、分離器9内の水位が一定レベル以上になるように制御されている。これは、ガスが原料水戻しラインに流入しないように、原料水に封水効果をもたせるためである。そして、封水に不要な原料水は原料水ポンプ19によって所定の圧力に昇圧されてラインミキサー5に供給される。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ガス流量制御弁12a、流速制御弁12bを設け、これらの各制御弁12a,12bを分離器9に設けた圧力検出器10の検出値に基づいて制御するようにしたので、分離器9内の圧力制御を簡単な装置で実現でき、装置の簡略化ができる。
また、本実施の形態では、原料水と原料ガスの反応を管路で移動させながら行うようにしたので、このガスクラスレート生成工程では、すべてのもの(生成されたガスクラスレート、未反応ガス、原料水)が一旦分離器9まで送られることになり、ガスクラスレートのみを取り出す仕組みが不要であり、装置の構成が単純化できるという効果もある。
【0034】
さらに、原料ガスの原料水への溶解を、筒体からなるラインミキサー5で連続的に行うようにしたので、省スペースでかつ効率的に行うことができる。
また、原料ガスの原料水への溶解をクラスレート生成容器とは別のラインミキサー5によって行うようにした結果、大径のクラスレート生成容器に代えてパイプ状の反応管路7を用いることができ、管路の周面を冷却するという単純かつコンパクトな冷却手段が可能となる。
しかも、ラインミキサー5による原料ガスの溶解、反応管路7におけるガスクラスレートの生成のいずれも連続的に行うようにしているので、ガスクラスレートの製造効率を飛躍的に高めることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態の説明においては各工程における温度、圧力について特に明示しないが、一例としては図3で示したものを挙げることができる。ただ、各工程における温度、圧力は種々の条件によって最適値が選択される。
また、上記の実施の形態においては、原料ガスとしてメタンガスを主成分とする天然ガスについて説明したが、その他の例として、エタン、プロパン、ブタン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素等がある。
【0036】
さらに、ラインミキサーの他の例としては、筒状体の途中を細くして負圧を発生させることにより、原料ガスを吸引して混合するいわゆるベンチュリ管方式のものであってもよいし、またあるいは円錐または円錐台状の容器内の旋回流を利用して気液混合するようなもの、例えば特開2000−447号公報に開示された旋回式微細気泡発生装置のようなものでもよい。要するに、本明細書におけるラインミキサーとは、ライン上にあって気液を連続的に混合できるものを広く含む。
また、上記の実施の形態においては反応管路7の例として、単数または複数の屈曲管を示したが、分岐した複数本の直管で構成してもよい。
【0037】
また、上記の実施の形態においては、原料水の種類を明示しなかったが、例えば、淡水、海水、不凍液等が考えられる。また、原料水に代えて、液体ホスト物質やホスト物質溶液のような原料液を用いることも考えられる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、原料液と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料液に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスクラスレートを生成するガスクラスレート生成工程と、生成されたガスクラスレートと原料液と原料ガスを前記反応管路に連結された分離器にて分離する分離工程と、該分離器の圧力を検出する圧力検出工程と、該圧力検出工程で検出された圧力に基づいて、前記混合・溶解工程における供給ガス流量、前記ガスクラスレート生成工程における原料液流速のいずれか一方又は両方を調整することによって前記分離器の圧力を調整する圧力調整工程と、を備えたので、反応管路及びその出口に設置される分離器の圧力制御が簡易な方法で可能となると共に、効率的なクラスレートの製造が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の工程図である。
【図2】本発明の一実施の形態のラインミキサー5の説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態であるガスハイドレート製造工程の説明図である。
【符号の説明】
1 ガス昇圧機
3、19 原料水ポンプ
5 ラインミキサー
7 反応管路
9 分離器
10 圧力検出器
12a ガス流量制御弁
12b 流速制御弁
14 制御手段
Claims (3)
- 原料液と原料ガスとを反応させてガスクラスレートを製造する方法において、
原料液と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料液に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスクラスレートを生成するガスクラスレート生成工程と、生成されたガスクラスレートを前記反応管路に連結された分離器にて分離する分離工程と、該分離器の圧力を検出する圧力検出工程と、該圧力検出工程で検出された圧力に基づいて、前記混合・溶解工程における供給ガス流量、前記ガスクラスレート生成工程における原料液流速のいずれか一方又は両方を調整することによって前記分離器の圧力を調整する圧力調整工程と、を備えたことを特徴とするガスクラスレート製造方法。 - 原料液と原料ガスとを反応させてガスクラスレートを製造する装置において、
供給する原料ガス流量を調整するガス流量調整手段と、供給する原料液の流速を調整する原料液流速調整手段と、原料液と原料ガスとをライン途中において混合して原料ガスを原料液に溶解させるラインミキサーと、原料ガスが混合・溶解された原料液を流しながら冷却する反応管路と、該反応管路に連結されて生成されたガスクラスレートを分離する分離器と、該分離器の圧力を検出する圧力検出手段と、該圧力検出手段で検出された圧力に基づいて前記ガス流量調整手段のガス流量、前記原料液流速調整手段の原料液流速のいずれか一方又は両方を調整する制御手段とを備えたことを特徴とするガスクラスレート製造装置。 - 前記ラインミキサーは、原料ガスの微細気泡を発生させるものであることを特徴とする請求項2記載のガスクラスレート製造装置。
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