JP2004107512A - ガス輸送方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置を単純でコンパクトにできると共に効率的なガスの輸送ができるガス輸送方法及び装置を得る。
【解決手段】原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガス等のガス輸送方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
国内の近距離、小口天然ガス輸送は、圧縮状態(CNG)あるいは液化状態(LNG)での輸送が主流である。
しかしながら、LNG輸送は天然ガス液化設備の設備費が高いため、生産量が大きなガス田であれば投資コストに見合うが、輸送量が少ない場合には投資回収に時間を要する。また、−160℃での輸送であるため、輸送用タンクローリーの製造コスト、維持コストも高い。
【0003】
他方、CNG輸送では、輸送時の安全性確保の必要があり、そのために必要とされる高圧輸送用タンクは高価であり、そのため輸送コストが高くなる。また、ガス輸送先タンクと同圧までしか払い出し出来ないという問題もある。
【0004】
このようにLNG輸送、CNG輸送には種々の問題があることから、経済的な天然ガスの輸送・貯蔵方法として以下の提案がなされている。
ガスを加圧・冷却して槽状の反応容器に供給して、その中に霧状の水を添加してハイドレートを生成する。そして、ハイドレートを反応容器から取り出し、場合により冷却装置中で冷却し、集塊化ステップに移して水和物を集塊化し、水和物の密度を増しそして水和物粒子の間の隙間中にさらにガスを埋める。集塊化された水和物粒子を適切な輸送装置又は貯蔵容器に輸送して、0℃未満の温度で、で大気圧又は僅かなゲージ圧で断熱条件で水和物を輸送/貯蔵する(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特表平6−511500号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術には以下のような問題点がある。
ハイドレートを槽状の容器内で生成しているので、容器内の水面に浮かんだハイドレートを取り出すための手段(例えば、ガスハイドレートと水の混合物排出口、及び水面をその位置に制御する装置等)が必要となり、装置が複雑化する。また、槽状の容器内でガスハイドレートを生成して取り出すという方法のため、生成がバッチ式とならざるを得ず効率的な輸送ができない。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、装置を単純でコンパクトにできると共に効率的なガス輸送方法及び装置を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガス輸送方法は、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えたものである。
【0009】
また、生成されたガスハイドレートを濃縮する濃縮工程又は生成されたガスハイドレートと原料水を分離する分離工程を備えたものである。
【0010】
本発明に係るガス輸送装置は、原料水と原料ガスを反応させてハイドレート化して原料ガスを輸送するものであって、原料水と原料ガスをライン途中において混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサーと、混合・溶解されたものを冷却する反応管路と、該反応管路に対して着脱可能に連結されて前記反応管路で生成されたガスハイドレートを貯留すると共に、ガスハイドレート充填後に取り外されて輸送に供される輸送用タンクとを備えたものである。
【0011】
また、生成されたガスハイドレートを濃縮する濃縮装置又は生成されたガスハイドレートと原料水を分離する分離装置を備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本実施の形態のガス輸送方法は、原料ガスとなる天然ガスをハイドレート化し、これを輸送用タンクに連続的に供給貯留して効率的な輸送をするというものである。
図1はこのような方法を実現するための装置の主要な構成機器を示した系統図である。まず、図1に基づいて本実施の形態の構成機器について説明する。
本実施の形態の装置は、天然ガス等の原料ガスの圧力を昇圧するガス昇圧機1、原料タンク2に貯留された原料水を後述のラインミキサー5に供給する原料水ポンプ3、原料水と原料ガスを混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサー5、ラインミキサー5でミキシングされたものを冷却しながら流してガスハイドレートを生成する反応管路7、反応管路7を冷却するチラー17、反応管路7に対して着脱可能に設置されて反応管路7で生成されたガスハイドレートを貯留する輸送用タンク9とを備えている。
【0013】
各構成機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結されており、ラインミキサー5に原料ガスを供給する配管ラインには圧力検出器6及び該圧力検出器6の検出値に基づいて作動するバルブ4が設けられている。
また、輸送用タンク9とラインミキサー5の上流側とは輸送用タンク9のガスをラインミキサー5側に戻す配管ラインが設けられ、この配管ラインには輸送用タンク9に設置された圧力検出器8の信号に基づいて制御されるバルブ10が設けられている。さらに、このラインにはガス昇圧機12が設置されている。
【0014】
また、輸送用タンク9と原料水タンク2間には原料水を原料タンク2に戻す配管ラインが設けられ、該配管ラインには原料水ポンプ19が設置されている。
【0015】
上記の各構成機器のうち主要なものの構成をさらに詳細に説明する。
本実施の形態のラインミキサー5は、図2(西華産業株式会社「OHRラインミキサー」カタログ第7頁より引用)に示すように、入り口側が大径で出口側が小径になった2段状の筒状体11からなり、この筒状体11の大径部11a中にガイドベーンと呼ばれる翼体13を有し、その先の小径部11b内に筒の内周面から中央に延びる複数のキノコ状の衝突体15を有している。
このようなラインミキサー5においては、原料水ポンプ3によってラインミキサー5に供給された原料水が翼体13によって旋回流となり、猛烈な遠心力によって外側へ押しやられ、それがキノコ状の衝突体15によってさらに強烈に攪拌され、その中に原料ガスが巻き込まれて超微細な気泡群に砕かれ、原料水と原料ガスとが混合される。これによって、原料ガスと原料水との接触面積が大きくなり原料ガスは原料水に効率よく溶け込む。
【0016】
反応管路7は屈曲した管からなり、この管の周面をチラー17で冷却するようになっている。このように、反応管路7を用いたことで、周囲からの冷却を効率よく行えるようになったので、従来一般的に行われていたように冷却コイル等によってガス・原料水を直接冷却する必要がなくなり、装置の構成が単純かつコンパクト化できる。
【0017】
なお、このような反応管路7を用いることができるのは、原料ガスと原料水の混合・溶解を予めラインミキサー5によって行い、反応管路7では冷却を中心に装置構成を考えることができるからである。すなわち、特許文献1に示される従来例では原料ガスと原料水の混合・溶解と反応冷却を槽状の耐圧容器内で行っていたため、混合・溶解には一定の広がりをもった空間が必要となり、冷却を反応槽の周囲からのみ行うことはできなかったのに対して、本実施の形態においては、原料ガスと原料水の混合・溶解と反応冷却とを分離したので、反応工程では冷却を中心に考えることができ、上記の例のように単純な構成での冷却が可能となるのである。
【0018】
輸送用タンク9は反応管路7に対して着脱可能に設置され、ハイドレートが所定量溜まれば取り外してトラック20(図1参照)等の輸送手段による輸送に供することができる。なお、輸送用タンク9の入り口に流体の密度差を利用した濃縮器を取り付け、これを通過させることによりガスハイドレートを濃縮して、濃縮されたガスハイドレートを輸送用タンク9に導くようにしてもよい。また、例えば、デカンター、サイクロン、遠心分離器、ベルトプレス、スクリュー濃縮・脱水機、回転ドライヤー等のガスハイドレートと原料水を分離する機器を設け、これらの機器によって原料水と分離されたガスハイドレートを輸送用タンク9に導くようにしてもよい。
【0019】
輸送用タンク9はガスハイドレートを圧力によって定まる平衡温度以下の状態で輸送する。例えば、メタンハイドレートの場合の平衡温度は次の通りである。大気圧では−80℃以下、25気圧では0℃以下、80気圧では10℃以下である。
したがって、輸送用タンク9は上記圧力に耐えられ、かつ、上記圧力で定まる平衡温度以下となるように、耐圧断熱構造である必要がある。もっとも、長距離輸送用として、輸送用タンクに冷凍機を設けるようにしてもよい。
【0020】
なお、メタンハイドレートの大気圧での平衡温度は−80℃であるが、これより高温である−20℃〜−10℃で保存できることが知られている。これはメタンハイドレート表面から解離によりガスが抜け、表面に氷殻が形成され、この氷殻が保護容器となって内部のハイドレートの解離を妨げるからである(「自己保存性」と呼ばれる)。従って、前記平衡温度以上での輸送が可能となる場合もある。
【0021】
次に、以上のように構成された本実施の形態の装置によるガス輸送方法を説明する。
原料ガスの圧力をガス昇圧機1によって所定の圧力に昇圧する。また、原料水も原料水ポンプ3によって所定の圧力に昇圧する。昇圧された原料ガスはガス流量制御弁4によって制御されて一定量がラインミキサー5に供給され、同じくラインミキサー5に供給された原料水と共に、前述したメカニズムによって猛烈な勢いで混合される。このとき、原料ガスは微細気泡となって原料水の中に混じり込み、原料ガスの溶解が促進される。
【0022】
原料水に原料ガスが溶け込んだもの(未溶解の微細気泡も含んだ状態のもの)は反応管路7に送られ、チラー17によって冷却されてガスハイドレートが生成される。
ここで、反応管路7におけるハイドレート生成のメカニズムを説明する。ラインミキサー5によって、原料ガスと原料水が混合され、原料ガスは微細気泡となり、原料水に溶解して原料水全体が平衡濃度に到達する。
【0023】
原料水が平衡濃度に到達すると、反応管路7の圧力Pがハイドレート生成最低圧力P0より高く、反応管路7の各部の温度Tがハイドレート生成最高温度T0より低くなるように設定されているので、ガスハイドレートの生成が開始される。ガスハイドレートの生成には発熱を伴うことになるが、発熱量に相当する熱量をチラー17の冷却で奪うことで、反応管路7の温度はハイドレート生成最高温度T0より低い温度に保たれる。なお、冷却しすぎると原料水が凝固して反応管路7内の流れが阻害されるので、チラー17での冷却能力は、原料水が凝固点以下にならないように設定されている。
【0024】
ガスハイドレートが生成されると溶解ガス濃度が下がり、平衡濃度になるまで原料ガスがさらに溶け込み、平衡濃度以上になるとさらにガスハイドレートが生成される。
このようにして生成されたガスハイドレートは未反応ガス、原料水と共に管路を流れてゆき輸送用タンク9に送られる。スラリー状態で、輸送用タンク9に搬入後、タンクの底部より未反応水を原料水ポンプ19により抜き取る。もっとも、原料水ポンプ19に依らず、低部から自然流下により抜き取ってもよい。
【0025】
上記のようにしてガスハイドレートおよび未反応水が充填された輸送用タンクを、トレーラー等により目的地に向けて輸送する。目的地に到着後、大気圧まで減圧し、ガスハイドレートに含まれる原料ガスを放出する。このとき、輸送用タンク9にヒータを内蔵しておき、ヒーターで加温するようにしてもよい。
なお、ガス放出管の経路中に、必要に応じて除湿器を設けておき、原料ガスに含まれる水分を除去するようにする。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態においては、原料水と原料ガスの反応を管路で移動させながら行うようにしたので、ガスハイドレート生成工程では、すべてのもの(生成されたガスハイドレート、未反応ガス、原料水)が輸送用タンク9まで送られることになり、ガスハイドレートのみを取り出す仕組みが不要であり、装置の構成が単純化できる。
【0027】
また、原料ガスの原料水への溶解を、筒体からなるラインミキサー5で連続的に行うようにしたので、省スペースでかつ効率的に行うことができる。
さらに、原料ガスの原料水への溶解を反応槽とは別のラインミキサー5によって行うようにした結果、特許文献1に示されるような大径の反応槽に代えてパイプ状の反応管路7を用いることができ、管路の周面を冷却するという単純かつコンパクトな冷却手段が可能となる。
しかも、ラインミキサー5による原料ガスの溶解、反応管路7におけるガスハイドレートの生成のいずれも連続的に行うようにしているので、ガスハイドレートの製造効率を飛躍的に高めることができ、効率的な輸送が実現できる。
【0028】
なお、上記実施の形態においては各工程における温度、圧力について特に明示していないが、各工程における温度、圧力は種々の条件によって最適値が選択される。
また、上記の実施の形態においては、原料ガスとしてメタンガスを主成分とする天然ガスを念頭において説明したが、その他の原料ガス例として、エタン、プロパン、ブタン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素等がある。
【0029】
さらに、ラインミキサーの他の例としては、筒状体の途中を細くして負圧を発生させることにより、原料ガスを吸引して混合するいわゆるベンチュリ管方式のものであってもよいし、またあるいは円錐または円錐台状の容器内の旋回流を利用して気液混合するようなもの、例えば特開2000−447号公報に開示された旋回式微細気泡発生装置のようなものでもよい。要するに、本明細書におけるラインミキサーとは、ライン上にあって気液を連続的に混合できるものを広く含む。
【0030】
また、上記実施の形態においては反応管路7の例として、単数の屈曲管を示したが、複数の屈曲管を用いてもよいし、また、屈曲管に代えて直管を用いてもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、原料水の種類を明示しなかったが、例えば、淡水、海水、不凍液等が考えられる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えたので、装置を単純でコンパクトにできると共に効率的な天然ガスの輸送が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の主要な装置の系統図である。
【図2】本発明の一実施の形態のラインミキサーの説明図である。
【符号の説明】
1、2 ガス昇圧機
3、19 原料水ポンプ
4 バルブ
5 ラインミキサー
7 反応管路
9 輸送用タンク
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガス等のガス輸送方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
国内の近距離、小口天然ガス輸送は、圧縮状態(CNG)あるいは液化状態(LNG)での輸送が主流である。
しかしながら、LNG輸送は天然ガス液化設備の設備費が高いため、生産量が大きなガス田であれば投資コストに見合うが、輸送量が少ない場合には投資回収に時間を要する。また、−160℃での輸送であるため、輸送用タンクローリーの製造コスト、維持コストも高い。
【0003】
他方、CNG輸送では、輸送時の安全性確保の必要があり、そのために必要とされる高圧輸送用タンクは高価であり、そのため輸送コストが高くなる。また、ガス輸送先タンクと同圧までしか払い出し出来ないという問題もある。
【0004】
このようにLNG輸送、CNG輸送には種々の問題があることから、経済的な天然ガスの輸送・貯蔵方法として以下の提案がなされている。
ガスを加圧・冷却して槽状の反応容器に供給して、その中に霧状の水を添加してハイドレートを生成する。そして、ハイドレートを反応容器から取り出し、場合により冷却装置中で冷却し、集塊化ステップに移して水和物を集塊化し、水和物の密度を増しそして水和物粒子の間の隙間中にさらにガスを埋める。集塊化された水和物粒子を適切な輸送装置又は貯蔵容器に輸送して、0℃未満の温度で、で大気圧又は僅かなゲージ圧で断熱条件で水和物を輸送/貯蔵する(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特表平6−511500号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術には以下のような問題点がある。
ハイドレートを槽状の容器内で生成しているので、容器内の水面に浮かんだハイドレートを取り出すための手段(例えば、ガスハイドレートと水の混合物排出口、及び水面をその位置に制御する装置等)が必要となり、装置が複雑化する。また、槽状の容器内でガスハイドレートを生成して取り出すという方法のため、生成がバッチ式とならざるを得ず効率的な輸送ができない。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、装置を単純でコンパクトにできると共に効率的なガス輸送方法及び装置を得ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るガス輸送方法は、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えたものである。
【0009】
また、生成されたガスハイドレートを濃縮する濃縮工程又は生成されたガスハイドレートと原料水を分離する分離工程を備えたものである。
【0010】
本発明に係るガス輸送装置は、原料水と原料ガスを反応させてハイドレート化して原料ガスを輸送するものであって、原料水と原料ガスをライン途中において混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサーと、混合・溶解されたものを冷却する反応管路と、該反応管路に対して着脱可能に連結されて前記反応管路で生成されたガスハイドレートを貯留すると共に、ガスハイドレート充填後に取り外されて輸送に供される輸送用タンクとを備えたものである。
【0011】
また、生成されたガスハイドレートを濃縮する濃縮装置又は生成されたガスハイドレートと原料水を分離する分離装置を備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本実施の形態のガス輸送方法は、原料ガスとなる天然ガスをハイドレート化し、これを輸送用タンクに連続的に供給貯留して効率的な輸送をするというものである。
図1はこのような方法を実現するための装置の主要な構成機器を示した系統図である。まず、図1に基づいて本実施の形態の構成機器について説明する。
本実施の形態の装置は、天然ガス等の原料ガスの圧力を昇圧するガス昇圧機1、原料タンク2に貯留された原料水を後述のラインミキサー5に供給する原料水ポンプ3、原料水と原料ガスを混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサー5、ラインミキサー5でミキシングされたものを冷却しながら流してガスハイドレートを生成する反応管路7、反応管路7を冷却するチラー17、反応管路7に対して着脱可能に設置されて反応管路7で生成されたガスハイドレートを貯留する輸送用タンク9とを備えている。
【0013】
各構成機器は図中矢印を付した実線で示した配管によって連結されており、ラインミキサー5に原料ガスを供給する配管ラインには圧力検出器6及び該圧力検出器6の検出値に基づいて作動するバルブ4が設けられている。
また、輸送用タンク9とラインミキサー5の上流側とは輸送用タンク9のガスをラインミキサー5側に戻す配管ラインが設けられ、この配管ラインには輸送用タンク9に設置された圧力検出器8の信号に基づいて制御されるバルブ10が設けられている。さらに、このラインにはガス昇圧機12が設置されている。
【0014】
また、輸送用タンク9と原料水タンク2間には原料水を原料タンク2に戻す配管ラインが設けられ、該配管ラインには原料水ポンプ19が設置されている。
【0015】
上記の各構成機器のうち主要なものの構成をさらに詳細に説明する。
本実施の形態のラインミキサー5は、図2(西華産業株式会社「OHRラインミキサー」カタログ第7頁より引用)に示すように、入り口側が大径で出口側が小径になった2段状の筒状体11からなり、この筒状体11の大径部11a中にガイドベーンと呼ばれる翼体13を有し、その先の小径部11b内に筒の内周面から中央に延びる複数のキノコ状の衝突体15を有している。
このようなラインミキサー5においては、原料水ポンプ3によってラインミキサー5に供給された原料水が翼体13によって旋回流となり、猛烈な遠心力によって外側へ押しやられ、それがキノコ状の衝突体15によってさらに強烈に攪拌され、その中に原料ガスが巻き込まれて超微細な気泡群に砕かれ、原料水と原料ガスとが混合される。これによって、原料ガスと原料水との接触面積が大きくなり原料ガスは原料水に効率よく溶け込む。
【0016】
反応管路7は屈曲した管からなり、この管の周面をチラー17で冷却するようになっている。このように、反応管路7を用いたことで、周囲からの冷却を効率よく行えるようになったので、従来一般的に行われていたように冷却コイル等によってガス・原料水を直接冷却する必要がなくなり、装置の構成が単純かつコンパクト化できる。
【0017】
なお、このような反応管路7を用いることができるのは、原料ガスと原料水の混合・溶解を予めラインミキサー5によって行い、反応管路7では冷却を中心に装置構成を考えることができるからである。すなわち、特許文献1に示される従来例では原料ガスと原料水の混合・溶解と反応冷却を槽状の耐圧容器内で行っていたため、混合・溶解には一定の広がりをもった空間が必要となり、冷却を反応槽の周囲からのみ行うことはできなかったのに対して、本実施の形態においては、原料ガスと原料水の混合・溶解と反応冷却とを分離したので、反応工程では冷却を中心に考えることができ、上記の例のように単純な構成での冷却が可能となるのである。
【0018】
輸送用タンク9は反応管路7に対して着脱可能に設置され、ハイドレートが所定量溜まれば取り外してトラック20(図1参照)等の輸送手段による輸送に供することができる。なお、輸送用タンク9の入り口に流体の密度差を利用した濃縮器を取り付け、これを通過させることによりガスハイドレートを濃縮して、濃縮されたガスハイドレートを輸送用タンク9に導くようにしてもよい。また、例えば、デカンター、サイクロン、遠心分離器、ベルトプレス、スクリュー濃縮・脱水機、回転ドライヤー等のガスハイドレートと原料水を分離する機器を設け、これらの機器によって原料水と分離されたガスハイドレートを輸送用タンク9に導くようにしてもよい。
【0019】
輸送用タンク9はガスハイドレートを圧力によって定まる平衡温度以下の状態で輸送する。例えば、メタンハイドレートの場合の平衡温度は次の通りである。大気圧では−80℃以下、25気圧では0℃以下、80気圧では10℃以下である。
したがって、輸送用タンク9は上記圧力に耐えられ、かつ、上記圧力で定まる平衡温度以下となるように、耐圧断熱構造である必要がある。もっとも、長距離輸送用として、輸送用タンクに冷凍機を設けるようにしてもよい。
【0020】
なお、メタンハイドレートの大気圧での平衡温度は−80℃であるが、これより高温である−20℃〜−10℃で保存できることが知られている。これはメタンハイドレート表面から解離によりガスが抜け、表面に氷殻が形成され、この氷殻が保護容器となって内部のハイドレートの解離を妨げるからである(「自己保存性」と呼ばれる)。従って、前記平衡温度以上での輸送が可能となる場合もある。
【0021】
次に、以上のように構成された本実施の形態の装置によるガス輸送方法を説明する。
原料ガスの圧力をガス昇圧機1によって所定の圧力に昇圧する。また、原料水も原料水ポンプ3によって所定の圧力に昇圧する。昇圧された原料ガスはガス流量制御弁4によって制御されて一定量がラインミキサー5に供給され、同じくラインミキサー5に供給された原料水と共に、前述したメカニズムによって猛烈な勢いで混合される。このとき、原料ガスは微細気泡となって原料水の中に混じり込み、原料ガスの溶解が促進される。
【0022】
原料水に原料ガスが溶け込んだもの(未溶解の微細気泡も含んだ状態のもの)は反応管路7に送られ、チラー17によって冷却されてガスハイドレートが生成される。
ここで、反応管路7におけるハイドレート生成のメカニズムを説明する。ラインミキサー5によって、原料ガスと原料水が混合され、原料ガスは微細気泡となり、原料水に溶解して原料水全体が平衡濃度に到達する。
【0023】
原料水が平衡濃度に到達すると、反応管路7の圧力Pがハイドレート生成最低圧力P0より高く、反応管路7の各部の温度Tがハイドレート生成最高温度T0より低くなるように設定されているので、ガスハイドレートの生成が開始される。ガスハイドレートの生成には発熱を伴うことになるが、発熱量に相当する熱量をチラー17の冷却で奪うことで、反応管路7の温度はハイドレート生成最高温度T0より低い温度に保たれる。なお、冷却しすぎると原料水が凝固して反応管路7内の流れが阻害されるので、チラー17での冷却能力は、原料水が凝固点以下にならないように設定されている。
【0024】
ガスハイドレートが生成されると溶解ガス濃度が下がり、平衡濃度になるまで原料ガスがさらに溶け込み、平衡濃度以上になるとさらにガスハイドレートが生成される。
このようにして生成されたガスハイドレートは未反応ガス、原料水と共に管路を流れてゆき輸送用タンク9に送られる。スラリー状態で、輸送用タンク9に搬入後、タンクの底部より未反応水を原料水ポンプ19により抜き取る。もっとも、原料水ポンプ19に依らず、低部から自然流下により抜き取ってもよい。
【0025】
上記のようにしてガスハイドレートおよび未反応水が充填された輸送用タンクを、トレーラー等により目的地に向けて輸送する。目的地に到着後、大気圧まで減圧し、ガスハイドレートに含まれる原料ガスを放出する。このとき、輸送用タンク9にヒータを内蔵しておき、ヒーターで加温するようにしてもよい。
なお、ガス放出管の経路中に、必要に応じて除湿器を設けておき、原料ガスに含まれる水分を除去するようにする。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態においては、原料水と原料ガスの反応を管路で移動させながら行うようにしたので、ガスハイドレート生成工程では、すべてのもの(生成されたガスハイドレート、未反応ガス、原料水)が輸送用タンク9まで送られることになり、ガスハイドレートのみを取り出す仕組みが不要であり、装置の構成が単純化できる。
【0027】
また、原料ガスの原料水への溶解を、筒体からなるラインミキサー5で連続的に行うようにしたので、省スペースでかつ効率的に行うことができる。
さらに、原料ガスの原料水への溶解を反応槽とは別のラインミキサー5によって行うようにした結果、特許文献1に示されるような大径の反応槽に代えてパイプ状の反応管路7を用いることができ、管路の周面を冷却するという単純かつコンパクトな冷却手段が可能となる。
しかも、ラインミキサー5による原料ガスの溶解、反応管路7におけるガスハイドレートの生成のいずれも連続的に行うようにしているので、ガスハイドレートの製造効率を飛躍的に高めることができ、効率的な輸送が実現できる。
【0028】
なお、上記実施の形態においては各工程における温度、圧力について特に明示していないが、各工程における温度、圧力は種々の条件によって最適値が選択される。
また、上記の実施の形態においては、原料ガスとしてメタンガスを主成分とする天然ガスを念頭において説明したが、その他の原料ガス例として、エタン、プロパン、ブタン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素等がある。
【0029】
さらに、ラインミキサーの他の例としては、筒状体の途中を細くして負圧を発生させることにより、原料ガスを吸引して混合するいわゆるベンチュリ管方式のものであってもよいし、またあるいは円錐または円錐台状の容器内の旋回流を利用して気液混合するようなもの、例えば特開2000−447号公報に開示された旋回式微細気泡発生装置のようなものでもよい。要するに、本明細書におけるラインミキサーとは、ライン上にあって気液を連続的に混合できるものを広く含む。
【0030】
また、上記実施の形態においては反応管路7の例として、単数の屈曲管を示したが、複数の屈曲管を用いてもよいし、また、屈曲管に代えて直管を用いてもよい。
さらに、上記の実施の形態においては、原料水の種類を明示しなかったが、例えば、淡水、海水、不凍液等が考えられる。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えたので、装置を単純でコンパクトにできると共に効率的な天然ガスの輸送が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の主要な装置の系統図である。
【図2】本発明の一実施の形態のラインミキサーの説明図である。
【符号の説明】
1、2 ガス昇圧機
3、19 原料水ポンプ
4 バルブ
5 ラインミキサー
7 反応管路
9 輸送用タンク
Claims (4)
- 原料水と原料ガスとをライン途中で混合して原料ガスを原料水に溶解させる混合・溶解工程と、混合・溶解されたものを反応管路に流しながら冷却してガスハイドレートを生成するガスハイドレート生成工程と、生成されたガスハイドレートを前記反応管路に連結された輸送用タンクに順次貯留する工程と、輸送用タンクを取り外して目的地に搬送する工程とを備えたことを特徴とするガス輸送方法。
- 生成されたガスハイドレートを濃縮する濃縮工程又は生成されたガスハイドレートと原料水を分離する分離工程を備えたことを特徴とする請求項1記載のガス輸送方法。
- 原料水と原料ガスを反応させてハイドレート化して原料ガスを輸送する原料ガス輸送装置であって、
原料水と原料ガスをライン途中において混合して原料ガスを原料水に溶解させるラインミキサーと、混合・溶解されたものを冷却する反応管路と、該反応管路に対して着脱可能に連結されて前記反応管路で生成されたガスハイドレートを貯留すると共に、ガスハイドレート充填後に取り外されて輸送に供される輸送用タンクとを備えたことを特徴とするガス輸送装置。 - 生成されたガスハイドレートを濃縮する濃縮装置又は生成されたガスハイドレートと原料水を分離する分離装置を備えたことを特徴とする請求項3記載のガス輸送装置。
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