JP3957804B2 - ガス水和物の製造方法及びガス水和物製造用添加物 - Google Patents

ガス水和物の製造方法及びガス水和物製造用添加物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガス水和物の製造方法及びガス水和物製造用添加物に関し、詳しくは、水和物生成ガスと所定の水溶液とを接触させてガス水和物を高生成率で製造するガス水和物の製造方法及びガス水和物製造用添加物に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球規模の環境汚染が問題とされ、地球の温暖化の原因となっている石油等化石燃料の燃焼による炭酸ガス排出の総量規制や、排出される炭酸ガスの処理が種々検討されている。炭酸ガス処理法のうち、炭酸ガスを固体として小容積に固定化して深海や地中等に集積する技術が提案されている。固定化法の一つとしてガス水和物化法が検討されている。一般に、炭酸ガスやメタンガス等の水和物生成ガスと水とを接触させてガス水和物を生成させる場合、その生成の必須条件は、水和物生成ガスと液状水とが共存することと、且つ、ガス水和物の生成可能な温度と圧力下にあることである。また、ガス水和物生成を促進させ、生成率を高める要因としては、水とガスとの接触を十分に行わせること、また、従来からガス水和物の生成率低下の原因の1つである水和物中へのガスまたは水の封じ込め現象を生じさせないようにすることが必要である。これらを防止するためには、水和物生成ガスと水とを激しい乱流状態にすることや、生成時に核となる異物を存在させること等が知られている。しかし、乱流状態は、少量のガスを水和物生成するための小型装置においては容易に形成できるが、例えば、上記の燃焼排ガスの炭酸ガス等の大量のガスを処理する装置に適用することは現実的でなく工業的実用性に乏しい。このため、ガス水和物の生成条件の緩和や成長促進のための添加剤も検討されている。例えば、ベントナイト、ポリアクリルアミドを添加することにより、メタンの水和物生成平衡を、高温、低圧側にシフトさせ、また同時に水和物の成長速度を増加できることが報告されている(「ジャーナル オブ フィジカル ケミストリ(Journal of Physical Chemistry) 」第92巻、第23号、第6492〜6494頁(1988年))。更にまた、アルコールを添加することによりフロンの水和物生成速度を促進させることの報告がある(「日本冷凍協会論文集」第4巻、第3号、第19〜24頁(1987年)及び「日本冷凍協会論文集」第5巻、第1号、第27〜31頁(1988年))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、生成平衡をシフトさせる場合には、一般に添加物を多量に添加する必要があり、また、上記の提案の添加物を添加するガス水和物の生成促進方法においても、水和物生成ガスまたは水のガス水和物内への封じ込め現象が生じることから、ガス水和物の生成率が低くなり実用的でない。そのため生成率を高めるためには従来と同様に激しい乱流状態の形成が必須であったり、また、長時間の反応を要する等で、大量のガス成分を、簡便、且つ安定に処理して固定化する方法としては未だ十分なものでなかった。従って、水和物生成ガスを高生成率で水和物として固定化する方法、特に大量の水和物生成ガスにも適用可能なガス水和物生成方法の開発が望まれる。このため、発明者らは、乱流状態を形成することなく、十分な水和物生成ガスと水との接触が行われ、且つ、ガスまたは水の封じ込め現象も生じることなく高生成率でガス水和物を形成させることを目的に、各種の添加物について検討した。その結果、ガス水和物生成時に、所定の現象を生じる界面活性剤を添加することにより、従来の水和物生成ガスと液状水との共存下で、且つ、ガス水和物の生成温度及び圧力条件下の静置状態において、少量の添加量で短時間に高生成率でガス水和物を製造できることを見出し、本発明をするに到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、水と、メタンガスまたは炭酸ガスとを接触させてガス水和物を製造する方法において、エマルジョン型消泡剤であるシリコーン樹脂含有界面活性剤を0.15重量%より多く5重量%以下になるように水に添加した水溶液と、メタンガスまたは炭酸ガスとを接触させ、かつ、ガス−液界面で無泡状態でガス水和物が成長する現象を発現させてガス水和物を得ることを特徴とするガス水和物の製造方法が提供される
【0005】
更に、本発明によれば、水と、メタンガスまたは炭酸ガスとを接触させてガス水和物を製造する際に水に添加して用いるガス水和物製造用添加物であって、エマルジョン型消泡剤であるシリコーン樹脂含有の界面活性剤からなり、かつ、メタンガスまたは炭酸ガスと、該界面活性剤を0.15重量%より多く5重量%以下になるように添加した水溶液とを、メタンガスまたは炭酸ガスの水和物生成条件下において接触させた場合に、生成するガス水和物が、ガス−液界面で無泡状態で成長する現象を発現するものであることを特徴とするガス水和物製造用添加物が提供される。
【0006】
本発明は上記のように構成され、水和物生成ガスと接触することにより、ガスと水溶液面とのほぼ界面でガス水和物が無泡状態で順次に成長して生成するガス水和物生成成長現象を発現するようなシリコーン樹脂含有の界面活性剤を含有する水溶液を用いて、当該水和物生成ガスと所定の温度、圧力等の水和物生成条件下で接触させることから、乱流状態を形成することなく高生成率でガス水和物を製造することができる。
また、本発明では水和物の生成平衡は変化せず、生成速度が増大することから、単なる水系との接触に比し、ガス水和物製造に必要な時間が短く、更に、静置状態の固体面でガス水和物の成長が進行することから、従来のガス水和物生成時に必須である激しい乱流状態のための設備及びその操作を必要とせず、大量ガスの水和物生成に好適である。
本発明のシリコーン樹脂含有の界面活性剤は、水和物を生成可能な圧力及び温度の条件下で、その界面活性剤を含有する水溶液と水和物生成ガスとを接触させて、上記のようなガス−液界面でガス水和物が成長する現象が発現されるか否かガス水和物生成試験により、予め、その水和物生成ガスに好適なものを簡便に決定でき、大規模なガス水和物製造を円滑に行うことができる。
なお、本発明の上記のガス−液界面でのガス水和物の生成成長現象を、以下、「ガス水和物の成長現象」と称するか、または、単に本発明の界面活性剤の特性現象と略称する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のシリコーン樹脂含有の界面活性剤は、その界面活性剤を添加した水溶液と水和物生成ガスとを接触させた場合に、気液接触面で急速に水和物が成長する状態、即ち「ガス水和物の成長現象」を示すものであればよく、水和物生成ガスの種類により適宜選択することができる。この「ガス水和物の成長現象」は、シリコーン樹脂含有の界面活性剤を添加した水溶液に所定の水和物生成ガスを接触させた場合に、初期の反応時に起こる固有の特性である。従って、下記するような簡便なガス水和物生成試験を行うことによって、そのガスへの適用の可能性の有無を判断することができる。
【0008】
上記の各種シリコーン樹脂含有の界面活性剤のガス水和物の製造への適用の可能性は、以下の試験法で判断することができる。即ち、覗き窓付き反応器内にシリコーン樹脂含有の界面活性剤が添加された水溶液と水和物生成ガスを仕込み、圧力をその水和物生成ガスのガス水和物生成平衡圧力よりも高く、温度をガス水和物生成平衡温度よりも低くした条件下、例えば、ガスがメタンであれば圧力60atm、温度8℃以下で、また、炭酸ガスであれば、圧力36atm、温度8℃以下として、反応器内に生成するガス水和物の成長現象を目視観察する。図1はこのガス水和物生成試験における断面概要説明図であり、(A)がガス水和物への適用が可能である「ガス水和物の成長現象」の性質を有する界面活性剤であることを示し、(B)はその可能性がないことを示すものである。図1より明らかなように、添加したシリコーン樹脂含有の界面活性剤が適用可能な場合は、ガス−液界面で、ガス水和物が水平方向、下方及び上方方向に無泡状態で順次成長する。この場合、ガス−液界面に反応器内壁や生成ガス水和物固相等の固体面が存在すると、ガス水和物が、特に、ガス−液界面に接する固体面で水平、下方、及び上方方向に無泡状態で生成して順次延びて成長する。一方、可能性のない界面活性剤の場合は、ガス−液界面で内部にガスまたは水を封じ込んだような粒状の水和物が浮遊状態で生成し、更に、このときガス液界面を攪拌しガス液接触をより十分に行わせた場合は、粒状の水和物がブドウの房状に成長するのが観察される。
【0009】
本発明は、上記したような水和物生成試験により、その水和物生成ガスに対し図1(A)に示されるような「ガス水和物の成長現象」の性質を示すシリコーン樹脂含有の界面活性剤を選択する。具体的には、通常、消泡剤と呼ばれる食品工業、発酵工業、医薬品工業等で広く使用されているエマルジョン型の消泡剤等が適用できる。市販品を用いてもよく、また、適宜、基剤の水にシリコーン樹脂を添加し、その他、乳化剤、安定剤、結合剤、界面活性剤等を添加して所定のシリコーン樹脂含有の界面活性剤を形成して用いてもよい。市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のシリコーン樹脂含有の消泡剤の商品名:KM−72、KM−72A、KM−72F、KM−85及びKM−82Fと、東芝シリコーン(株)製のシリコーン樹脂含有の消泡剤の商品名:TSA737、TSA737F及びTSA737Kを好適に用いることができる。本発明において、上記「ガス水和物の成長現象」特性を有するシリコーン樹脂含有の界面活性剤の添加量は、用いる消泡剤の種類により「ガス水和物の成長現象」を確認して適宜選択することができる。一般的な消泡剤であれば、通常、水に対し0.15重量%を超えて5重量%以下、好ましくは0.25〜1.5重量%である。添加量が0.15重量%以下ではガス水和物の高生成率が得られず、一方、5重量%を超えて添加してもそれ以上の効果は得られないためである。但し、後記する実施例及び比較例に示したように、上記商品名KM−85の消泡剤では、その添加量1重量%でも「ガス水和物の成長現象」が生じないが、5重量%であれば生じる。従って、消泡剤の種類により「ガス水和物の成長現象」特性の有無で、その添加量を適宜選択することが好ましい。
【0010】
本発明において、水和物生成ガスとしては、所定の条件下で水と接触して水和物を形成するガスであればよく、具体的には、炭酸ガス等の無機ガス、メタン、エタン、プロパン及びブタン等の炭化水素系有機ガス、フロンR−11及びフロンR−12等のフロン系ガスがある。本発明の水和物生成ガスは、ガス状または液状のいずれでもよく、水和物生成条件下で液化するもの、例えば炭酸ガス等は、液状で反応器に供給することもできる。上記水和物生成ガスのうち、特に前記したように地球温暖化で問題となっている炭酸ガスやメタンガス、オゾン層破壊で問題のフロン系ガスに対し効果的に適用できる。例えば、(1)火力発電所からでる排ガスに大量に含まれる炭酸ガスのクラスレート処分への適用、(2)排ガス中の炭酸ガスでガス水和物を生成し、そのガス水和物を分解させることにより効果的に海水を淡水化することへの適用、また、(3)形成させたクラスレートを冷熱蓄熱材として用いる蓄冷システムへの適用等を、具体的に挙げることができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
(ガス水和物生成装置)
図2は、本実施例に用いたガス水和物生成装置の断面概要説明図である。図2において、ガス水和物生成装置20は、ステンレス製の内径145mmφ、奥行195mmの円筒形で、内容積3200mlの高圧容器の高圧セル1からなる。高圧セル1の内部には撹拌器2を具備し、また、端部側には覗き窓3を設け、内部に生成するガス水和物の成長状態が目視観察できるようにした。更に、高圧セル1は、筒部外周に配設したジャケット4を備え、ジャケット4に冷媒Rを循環させるジャケット冷却方式を採用して高圧セル1内の温度を一定に保持するようにした。高圧セル1内の圧力及び温度は、高圧セル1に配備した圧力計5及び温度計6で、それぞれ計測するようにした。更にまた、高圧セル1にはガス流量計9を配置した水和物生成ガス供給ライン7、水流量計10を配置した水供給ライン8を配備すると同時に、放出ガス流量計12を配置したガス排出用のベントライン11を配備した。
【0012】
実施例1〜12及び比較例1〜8
上記のように形成された図2のガス水和物生成装置の高圧セル1に、純水または各種消泡剤等の添加物を添加した水溶液をそれぞれ導入した後、メタンガスを導入して表4及び5に示す温度範囲及び圧力範囲の条件下に、ガス水和物の生成の増加が観察されなくなるまでの約20〜40時間保持してメタンガス水和物の生成を観察した。添加物として、市販の信越化学工業(株)製のシリコーン樹脂含有の消泡剤で商品名:KM−72、KM−72A、KM−72F、KM−85、KM−82F及びKS604の各消泡剤、東芝シリコーン(株)製のシリコーン樹脂含有の消泡剤で商品名:TSA737、TSA737F及びTSA737Kの各消泡剤と、日産化学工業(株)製の無水珪酸(SiO2 )含有のコロイダルシリカで商品名:スノーテックス20及びスノーテックス20Lの各コロイド溶液をそれぞれ用いた。使用した各消泡剤の成分組成等を表1及び表2に、コロイダルシリカの成分組成等を表3にそれぞれ示した。なお、上記のKM−85とKS−604は、シリコーン樹脂が含有されているが、その含有量及びその他の含有成分は不明である。また、CMCはカルボキシメチルセルロースナトリウムを表示する。
【0013】
メタンガス水和物生成の実施例の観察結果を表4に、比較例の観察結果を表5にそれぞれ示した。表4及び5中、用いた添加物をそれぞれ商品名で示した。なお、温度及び圧力を範囲で示したのは、保持時間中にガス水和物の生成により変化したためである。また、本発明の界面活性剤の特性現象を「成長現象」として表示し、その有無を成長現象を生じた場合を○とし、生じない場合を×としてそれぞれ示した。また、メタンガス水和物の生成率W(%)は、次の数式(1)により求めた。
W(%)=X/Y×100 (1)
但し、Xはメタンガス水和物中のメタン量(モル)を、また、Yはメタンガス水和物をCH4 ・5.75H2 Oとして高圧セル1への導入水量(水流量計10で測定)に対し全量がメタン水和物となる場合に要するメタン量を、それぞれ表わす。また、メタンガス水和物中のメタン量Xは、ガス流量計9で測定した導入メタン量から、試験後の高圧セル1内のガス容積とガス密度より求めた気相中のメタン量を差し引いて算出した。
【0014】
【表1】
Figure 0003957804
【0015】
【表2】
Figure 0003957804
【0016】
【表3】
Figure 0003957804
【0017】
【表4】
Figure 0003957804
【0018】
【表5】
Figure 0003957804
【0019】
上記実施例及び比較例より明らかなように、添加物を添加しない比較例1及び2の純水でのメタンガス水和物の生成率が17〜29%であるのに対し、実施例1〜5の消泡剤である商品名KM−72を0.25重量%添加した水溶液では生成率75%、添加量0.5重量%水溶液では生成率68%及び77%、添加量1.3重量%水溶液では生成率64%、添加量4重量%水溶液では生成率78%、実施例6の消泡剤である商品名KM−72Aを0.5重量%添加した水溶液では生成率81%、実施例8の商品名KM−85を5重量%添加した水溶液では生成率78%、また、実施例7及び実施例9〜12において、それぞれ商品名KM−72F、KM−82F、TSA737、TSA737F及びTSA737Kの消泡剤を各1重量%添加した水溶液では、それぞれ生成率81%、78%、78%、79%及び77%と、メタンガス水和物の生成率が2.2倍〜4.8倍に増加することが分かる。従って、純水に比して消泡剤を、その種類より適宜選択し所定量添加した水溶液が、メタンガスのガス水和物生成に対し顕著な効果を示すことが明らかである。また、消泡剤KM−72の添加量が0.25〜4重量%の範囲内であれば、いずれも生成収率60%以上の高い生成率でメタンガス水和物を生成することが分かる。これに対し、比較例3及び4から、同一の消泡剤KM−72を0.1及び0.15重量%添加しても効果がないことも明らかである。一方、比較例5〜8の消泡剤KS−604及びKM−85をそれぞれ1重量%添加した水溶液や、コロイダルシリカのスノーテックス20及びスノーテックス20Lを5重量%添加した水溶液では、本発明のガス水和物生成に必須のシリコーン樹脂含有の界面活性剤の特性の「ガス水和物の成長現象」を示さず、またメタンガス水和物の生成率も21〜31%と低率であり不適当であることが分かる。
【0020】
また、メタンガス水和物を生成時の撹拌の有無の要否については、表4に示したように、攪拌の有無が異なる以外はほぼ同様な条件下で実施した実施例2及び3から明らかなように、特性の「ガス水和物の成長現象」を有するシリコーン樹脂含有の界面活性剤が添加された水溶液を用いる限り、攪拌の有無によらず高い生成率でメタンガス水和物が得られることが分かる。即ち、従来のガス水和物の生成時には、必須とされた激しい乱流状態を必要とせず、上記の本発明の特性現象を発現するシリコーン樹脂含有の界面活性剤を添加した水溶液と接触させる場合は静置状態で高い生成率でメタンガス水和物を製造できることが明らかである。
更に、実施例1、実施例4及び比較例1のメタンガス水和物の経過時間に対する生成率の変化を図3に示した。この図3から明らかなように、純水導入量が71と67モルと異なる以外は温度と圧力がほぼ同一の条件下で行われた実施例4と比較例1のメタンガス水和物の生成反応において、比較例1の消泡剤を添加していない純水との接触に比し、実施例4の消泡剤KM−72を添加含有する水溶液との接触の方が、時間の経過と共にメタンガス水和物の生成率が急速な増加を示すことが分かる。例えば、図3において5時間後及び20時間後のメタンガス水和物の生成率を比較すると、比較例1ではメタンガス水和物の生成率が約18%及び29%であるのに対し、実施例4では約47%及び64%であり、メタンガス水和物の生成率が約2.2〜2.7倍増加していることが分かる。これからも、上記の特性現象を発現するシリコーン樹脂含有の界面活性剤を添加した水溶液とメタンガスとを接触することによりメタンガス水和物の生成反応が促進されること、従って、特性現象を発現するシリコーン樹脂含有の界面活性剤がメタンガス水和物の生成に顕著な効果を示すことが明らかである。
【0021】
実施例13及び比較例9〜10
メタンガスの代わりに炭酸ガスを用い、表6に示した条件下で炭酸ガス水和物生成を実施例1と同様に行い観察した。その結果を表6に示した。なお、炭酸ガス水和物の生成率は、炭酸ガス水和物=CO2 ・6H2 Oとして前記数式(1)と同様の方法で算出した。
【0022】
【表6】
Figure 0003957804
【0023】
上記の実施例及び比較例より明らかなように、炭酸ガスの水和物生成においても、メタンガス水和物生成と同様に上記特性現象を発現するKM−72の消泡剤を添加した水溶液との接触により生成率が著しく向上することが分かる。また、比較例9の純水と接触では攪拌を行ったのに対し、実施例13では攪拌を行うことなく生成率が約1.6倍向上することが明らかであり、特性現象「ガス水和物の成長現象」を発現するシリコーン樹脂含有の界面活性剤である消泡剤を添加した水溶液との接触が、炭酸ガス水和物生成にも効果を示すことが分かる。また、炭酸ガス水和物生成においても、消泡剤KM−72の添加量が0.1重量%では水和物生成向上の効果が得られないが、添加量が0.5重量%になれば生成向上の効果が著しいことが分かる。
【0024】
実施例14
炭酸ガスの代わりに液化炭酸ガスを導入した以外は、実施例13と同様にして炭酸ガス水和物の生成試験を行った。その結果を表7に示した。この結果、液化炭酸ガスでもガスの場合と同様に効率よく水和物が生成することが分かる。
【0025】
【表7】
Figure 0003957804
【0026】
上記したように、図1(A)に示したような「ガス水和物の成長現象」発現特性を有するシリコーン樹脂含有の界面活性剤を、水和物生成ガスと接触させる水系に添加することにより、ガス水和物の生成率を向上させることができ、大型のガス水和物製造が簡便となる。また、上記実施例では、メタン及び炭酸ガスを水和物生成ガスとして、シリコーン樹脂含有の所定の消泡剤を純水に添加した水溶液を用いたものを示したが、他のエタン、プロパン、ブタン等の炭化水素ガス類やフロンR−11、フロンR−12等のフロンガス類の水和物生成ガスに対しても、同様に予めガス水和物生成試験をし、所定の水和物の成長現象の発現特性を有する添加物を選択することにより、生成を促進し短時間で高生成率のガス水和物を製造することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、水和物生成ガスと所定のガス水和物生成成長現象を発現するシリコーン樹脂含有の界面活性剤を含有する水溶液とを、ガス水和物が生成しうる温度及び圧力の条件下で接触させることにより、容易に高生成率で製造することができ、特に、大型のガス水和物製造に好適に適用することができ、大量のガスを簡便に処理することができる。また、従来のガス水和物製造において必須であった攪拌操作による乱流状態や長い反応時間を不要とし、静置状態で高生成率でガス水和物を短時間に製造することができ、工業的実用性を著しく高めるものである。本発明のガス水和物の製造方法及びガス水和物製造用添加物は、ガス水和物製造技術を利用する殆どの分野に適用することができ、高生成率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明のガス水和物生成試験の概念を模式的に示した断面説明図及び(B)従来法によるガス水和物生成時の概念を模式的に示した断面説明図
【図2】本発明の実施例に用いたガス水和物生成装置を模式的に示した断面説明図
【図3】本発明の実施例のメタンガス水和物生成における経過時間と生成率との関係図

Claims (2)

  1. 水と、メタンガスまたは炭酸ガスとを接触させてガス水和物を製造する方法において、エマルジョン型消泡剤であるシリコーン樹脂含有界面活性剤を0.15重量%より多く5重量%以下になるように水に添加した水溶液と、メタンガスまたは炭酸ガスとを接触させ、かつ、ガス−液界面で無泡状態でガス水和物が成長する現象を発現させてガス水和物を得ることを特徴とするガス水和物の製造方法。
  2. 水と、メタンガスまたは炭酸ガスとを接触させてガス水和物を製造する際に水に添加して用いるガス水和物製造用添加物であって、エマルジョン型消泡剤であるシリコーン樹脂含有の界面活性剤からなり、かつ、メタンガスまたは炭酸ガスと、該界面活性剤を0.15重量%より多く5重量%以下になるように添加した水溶液とを、メタンガスまたは炭酸ガスの水和物生成条件下において接触させた場合に、生成するガス水和物が、ガス−液界面で無泡状態で成長する現象を発現するものであることを特徴とするガス水和物製造用添加物。
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