JP2001348584A - 二酸化炭素ハイドレートの生産方法 - Google Patents

二酸化炭素ハイドレートの生産方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 COを水又は海水と反応させてCOハイ
ドレートを生成させる方法において、大量のCOを効
率的にハイドレートに転換させるとともに、生成するC
ハイドレートの粒径を制御する方法を提供する。 【解決手段】 流動層反応器内において二酸化炭素と水
又は海水とを反応させて二酸化炭素ハイドレートを生産
する方法であって、(i)該水又は海水を該流動層反応
器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又
は海水の上昇流を形成させること、(ii)該流動層反応
器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭
素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は
海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子
上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、(ii
i)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレー
ト粗大粒子を抜出すこと、(iv)該流動層反応器の上部
から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とと
もに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した
後、該流動層反応器内に循環させること、を特徴とする
二酸化炭素ハイドレート粗大粒子の生成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二酸化炭素(CO
)ハイドレートの生産方法及び二酸化炭素ハイドレー
トとメタンガス又は天然ガスの併産方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】地球温暖化の対策として、COの海洋
貯留法が検討されている。この方法は、COを水又は
海水と反応させてCOハイドレートとして海底に貯留
する方法である。このCOをハイドレートとして海底
に貯留する方法においては、その実用化の観点から、大
量のCOを効率的にハイドレートに転換すること及び
生成されるCOハイドレートを粗粒子化して、CO
ハイドレートを海底に投棄する際にその海水への溶解速
度を低めることが重要となる。しかしながら、これまで
に、このような要件を満たす方法は未だ提案されていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、COを水
又は海水と反応させてCOハイドレートを生成させる
方法において、大量のCOを効率的にハイドレートに
転換させるとともに、生成するCOハイドレートの粒
径を制御する方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明によれば、流動層反応器内におい
て二酸化炭素と水又は海水とを反応させて二酸化炭素ハ
イドレートを生産する方法であって、(i)該水又は海
水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動
層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給すると
ともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子
の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素
ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成
させること、(iii)該流動層反応器の下部から、二酸
化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、(iv)該流
動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子
を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の
一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させるこ
と、を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子の生
成方法が提供される。また、本発明によれば、流動層反
応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させる
とともに、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレー
トを分解させて二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又
は天然ガスとを併産する方法であって、(i)該水又は
海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流
動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給すると
ともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子
の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素
ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成
させること、(iii)該流動層反応器内にメタンハイド
レート又は天然ガスハイドレートを供給し、分解させる
こと、(iv)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハ
イドレート粗大粒子を抜出すこと、(v)該流動層反応
器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は
海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除
去した後、該流動層反応器内に循環させること、(vi)
該流動層反応器の上部から、該メタンハイドレート又は
天然ガスハイドレートの分解により生成したメタンを抜
出すこと、を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒
子とメタンガス又は天然ガスの併産方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明によるCOハイドレート
の生産方法は、流動層反応器を用いて液体COと水又
は海水と反応させてCOハイドレートを生成させる工
程(COハイドレート生成工程)を含む。図1にCO
ハイドレート生産方法のフローシートの1例を示す。
図1において、1は流動層反応器、2はCOハイドレ
ート微粒子分別器、3はポンプを示す。
【0006】図1のフローシートに従ってCOハイド
レートを生産するには、流動層反応器1に対して、その
底部(又は下部)から、ライン11を通って液体CO
を供給するとともに、水又は海水をポンプ3及びライン
12を通して供給する。流動層反応器1内へ供給された
液体COは、水又は海水と反応して固体状のCO
イドレートに転換される。この場合、反応開始時には、
ライン13を通してCOハイドレート種結晶を流動層
反応器1の中間部、好ましくは反応器下部に供給して、
COハイドレートをこの種結晶上で生成させる。これ
によって、結晶成長した粗大粒子を含むCOハイドレ
ート粒子が得られる。反応が定常状態になった時点でC
ハイドレート種結晶の供給を停止する。
【0007】流動層反応器1には、その底部からの海水
又は水の供給により、その流動層反応器内には海水の上
昇流が形成されている。流動層反応器内の微粒子状のC
ハイドレートは、その水又は海水の上昇流とともに
上昇し、その流動層反応器の上部からライン14を通っ
て抜出され、COハイドレート微粒子分別器2に導入
される。一方、流動層反応器1内の粗大COハイドレ
ート粒子は、上昇する水又は海水中を降下し、その流動
層反応器下部からライン15を通って水又は海水ととも
に抜出される。
【0008】COハイドレート微粒子分別器2内へ導
入されたCOハイドレート微粒子と水又は海水との混
合物は、ここで水又は海水の一部がCOハイドレート
微粒子から分離され、ライン16を通って抜出される。
水又は海水が分離された後のCOハイドレート微粒子
を高められた濃度で含む水又は海水(COハイドレー
トの水又は海水スラリー液)はライン17を通って流動
層反応器1、好ましくはその下部に循環される。この流
動層反応器1内へ循環されたCOハイドレート微粒子
は、種結晶として作用し、その粒子上にCOハイドレ
ートが析出して結晶の成長が起こり、COハイドレー
ト粗大粒子が得られる。
【0009】流動層反応器1内の温度は、0〜10℃、
好ましくは0〜5℃であり、その圧力は50〜200気
圧、好ましくは100〜150気圧である。また、流動
層反応器1内の水又は海水の上昇速度は、線速度で0.
05〜0.15m/分、好ましくは0.1〜0.15m
/分である。ライン15を通して抜出されるCOハイ
ドレート粗大粒子の粒径は、100〜1000μm、好
ましくは200〜500μmである。
【0010】COハイドレート微粒子分別器2内の温
度は、0〜10℃、好ましくは1〜5℃であり、その圧
力は45〜200気圧、好ましくは50〜80気圧であ
る。この分別器2内の圧力は、流動層反応器1内の圧力
よりも低く保持される。また、その温度は、好ましくは
流動層反応器内の温度よりも高く保持される。また、分
別器2内には、未反応のCOが同伴される場合がある
が、このCOはライン18を通してCOガスとして
抜出される。
【0011】流動層反応器1は、円筒状の中空容器を用
いて構成することができる。一方、COハイドレート
微粒子分別器2は、シックナー等の沈降分離機を用いて
構成することができる。
【0012】図1に示したフローシートに従って、CO
ハイドレート粗大粒子を生産する場合の主要操作条件
を示すと、以下の通りである。 (1)流動層反応器1 (i)反応温度:5℃ (ii)圧力 :80気圧 (iii)水又は海水の上昇線速度:0.1m/分 (2)ライン11 (i)液体CO流量:1重量部/h (ii)液体CO圧力:80気圧 (iii)液体CO温度:5℃ (3)ライン12 (i)水又は海水流量:1重量部/h (ii)水又は海水圧力:80気圧 (iii)水又は海水温度;5℃ (4)COハイドレート微粒子分別器2 (i)温度:5℃ (ii)圧力:80気圧 (5)ライン17 (i)COハイドレート微粒子の循環量:0.1重量
部/h (6)ライン15 (i)COハイドレート粗大粒子の抜出量:0.01
重量部/h (ii)COハイドレート粗大粒子の粒径 :100μ
m以上
【0013】図1に示したCOハイドレートの生産方
法によれば、流動層反応器内を上昇する水又は海水の流
速により、ライン15を通って抜出されるCOハイド
レート粒子の粒径を調節することができ、その流速を大
きくすることにより、より大きな粒径のCOハイドレ
ート粒子を得ることができる。また、流動層反応器1
は、連続方式で操作されることから、大量のCOをハ
イドレート化することが容易である。
【0014】本発明のCOハイドレート生産方法は、
その反応系内にメタンハイドレート又は天然ガスハイド
レートを供給して分解させることにより、メタンガス又
は天然ガスを併産する方法として利用することができ
る。図2にCOハイドレートとメタンガス又は天然ガ
スを併産する方法のフローシートの1例を示す。図2に
おいて示した符号において、図1に示したものと同一の
符号は図1の場合と同一の意味を有する。
【0015】図2において、流動層反応器1内において
は、図1の場合と同様に、水又は海水とCOとの反応
によりCOハイドレートが生成される。この反応系に
対して、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレート
の粒子が供給される。即ち、図2において、流動層反応
器1の中間部にライン21を通ってメタンハイドレート
粒子又は天然ガスハイドレート粒子が供給される。この
COハイドレート生成反応系内に供給されたメタンハ
イドレート又は天然ガスハイドレートは、以下に示す反
応式(1)及び(2)によりメタン又はメタンとエタン
からなる天然ガスに分解される。
【化1】 CH・HO+CO → CH+CO・HO (1)
【化2】 C・HO+CO → C+CO・HO (2) この反応により生成したメタンガス又は天然ガス(CH
+C)は、COハイドレート微粒子分別器2
の上部からライン22を通って回収される。
【0016】メタンハイドレート又は天然ガスハイドレ
ートとしては、メタンガス又は天然ガスをハイドレート
化したものを用いることができる。このようなメタンハ
イドレートや天然ガスハイドレートは、メタンやエタン
等の低級炭化水素の液化ガスよりもその取り扱い性及び
搬送性にすぐれたものである。例えば、メタンハイドレ
ートや天然ガスハイドレートは、−5℃程度で約40気
圧という緩和な条件で安定に保持することができる。こ
のようなメインハイドレートや天然ガスハイドレートを
輸送し、これを前記COハイドレート生成工程に供給
して分解させ、メタンガスとして回収することは、CO
ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法と
して、非常に有利な工業的プロセスを与える。
【0017】本発明によるCOハイドレートの生産方
法は、陸上、特に海岸近くの陸上や、船上等をその生産
地として実施することができ、生産されたCOハイド
レートは、深さ500m以上の海底に安定に投棄するこ
とができる。
【0018】本発明によるCOハイドレートとメタン
ガス又は天然ガスの併産方法は、陸上において有利に実
施することができる。この場合、メタンガスハイドレー
ト又は天然ガスハイドレートを低温船でその併産地まで
運び、その併産地に降ろした後に、その低温船にCO
ハイドレートを積み、これをそのメタンガスハイドレー
ト又は天然ガスハイドレートの生産地に帰る途中の適宜
の海底に投棄する。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、COハイドレートを
連続的に効率よくかつ所望粒度の粗大粒子として生産す
ることができる。また、本発明によれば、COハイド
レートの生成反応系にメタンハイドレート又は天然ガス
ハイドレートを供給することにより、COハイドレー
トとメタンガス又は天然ガスを併産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二酸化炭素ハイドレートを生産する場合のフロ
ーシートの1例を示す。
【図2】二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然
ガスを併産する場合のフローシートの1例を示す。
【符号の説明】
1 流動層反応器 2 二酸化炭素ハイドレート微粒子分別器 3 ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 61/00 C07B 63/02 B 63/02 C07C 5/00 C07C 5/00 9/04 9/04 C10L 3/00 A

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流動層反応器内において二酸化炭素と水
    又は海水とを反応させて二酸化炭素ハイドレートを生産
    する方法であって、(i)該水又は海水を該流動層反応
    器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又
    は海水の上昇流を形成させること、(ii)該流動層反応
    器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭
    素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は
    海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子
    上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、(ii
    i)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレー
    ト粗大粒子を抜出すこと、(iv)該流動層反応器の上部
    から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とと
    もに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した
    後、該流動層反応器内に循環させること、を特徴とする
    二酸化炭素ハイドレート粗大粒子の生産方法。
  2. 【請求項2】 流動層反応器内において二酸化炭素と水
    又は海水とを反応させるとともに、メタンハイドレート
    又は天然ガスハイドレートを分解させて二酸化炭素ハイ
    ドレートとメタンガス又は天然ガスとを併産する方法で
    あって、(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又
    は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上
    昇流を形成させること、(ii)該流動層反応器内に液体
    二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化
    炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反
    応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化
    炭素ハイドレートを生成させること、(iii)該流動層
    反応器内にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレー
    トを供給し、分解させること、(iv)該流動層反応器の
    下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこ
    と、(v)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイ
    ドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、
    該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に
    循環させること、(vi)該流動層反応器の上部から、該
    メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートの分解に
    より生成したメタンを抜出すこと、を特徴とする二酸化
    炭素ハイドレート粗大粒子とメタンガス又は天然ガスの
    併産方法。
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