JP3646157B2 - 二酸化炭素ハイドレートの生産方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素(CO2)ハイドレートの生産方法及び二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化の対策として、CO2の海洋貯留法が検討されている。この方法は、CO2を水又は海水と反応させてCO2ハイドレートとして海底に貯留する方法である。
このCO2をハイドレートとして海底に貯留する方法においては、その実用化の観点から、大量のCO2を効率的にハイドレートに転換すること及び生成されるCO2ハイドレートを粗粒子化して、CO2ハイドレートを海底に投棄する際にその海水への溶解速度を低めることが重要となる。しかしながら、これまでに、このような要件を満たす方法は未だ提案されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、CO2を水又は海水と反応させてCO2ハイドレートを生成させる方法において、大量のCO2を効率的にハイドレートに転換させるとともに、生成するCO2ハイドレートの粒径を制御する方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、流動層反応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させて二酸化炭素ハイドレートを生産する方法であって、
(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、
(iii)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、
(iv)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させること、
を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子の生成方法が提供される。
また、本発明によれば、流動層反応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させるとともに、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを分解させて二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスとを併産する方法であって、
(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、
(iii)該流動層反応器内にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給し、分解させること、
(iv)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、
(v)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させること、
(vi)該流動層反応器の上部から、該メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートの分解により生成したメタンを抜出すこと、
を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子とメタンガス又は天然ガスの併産方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明によるCO2ハイドレートの生産方法は、流動層反応器を用いて液体CO2と水又は海水と反応させてCO2ハイドレートを生成させる工程(CO2ハイドレート生成工程)を含む。
図1にCO2ハイドレート生産方法のフローシートの1例を示す。
図1において、1は流動層反応器、2はCO2ハイドレート微粒子分別器、3はポンプを示す。
【0006】
図1のフローシートに従ってCO2ハイドレートを生産するには、流動層反応器1に対して、その底部(又は下部)から、ライン11を通って液体CO2を供給するとともに、水又は海水をポンプ3及びライン12を通して供給する。
流動層反応器1内へ供給された液体CO2は、水又は海水と反応して固体状のCO2ハイドレートに転換される。この場合、反応開始時には、ライン13を通してCO2ハイドレート種結晶を流動層反応器1の中間部、好ましくは反応器下部に供給して、CO2ハイドレートをこの種結晶上で生成させる。これによって、結晶成長した粗大粒子を含むCO2ハイドレート粒子が得られる。反応が定常状態になった時点でCO2ハイドレート種結晶の供給を停止する。
【0007】
流動層反応器1には、その底部からの海水又は水の供給により、その流動層反応器内には海水の上昇流が形成されている。流動層反応器内の微粒子状のCO2ハイドレートは、その水又は海水の上昇流とともに上昇し、その流動層反応器の上部からライン14を通って抜出され、CO2ハイドレート微粒子分別器2に導入される。
一方、流動層反応器1内の粗大CO2ハイドレート粒子は、上昇する水又は海水中を降下し、その流動層反応器下部からライン15を通って水又は海水とともに抜出される。
【0008】
CO2ハイドレート微粒子分別器2内へ導入されたCO2ハイドレート微粒子と水又は海水との混合物は、ここで水又は海水の一部がCO2ハイドレート微粒子から分離され、ライン16を通って抜出される。水又は海水が分離された後のCO2ハイドレート微粒子を高められた濃度で含む水又は海水(CO2ハイドレートの水又は海水スラリー液)はライン17を通って流動層反応器1、好ましくはその下部に循環される。この流動層反応器1内へ循環されたCO2ハイドレート微粒子は、種結晶として作用し、その粒子上にCO2ハイドレートが析出して結晶の成長が起こり、CO2ハイドレート粗大粒子が得られる。
【0009】
流動層反応器1内の温度は、0〜10℃、好ましくは0〜5℃であり、その圧力は50〜200気圧、好ましくは100〜150気圧である。また、流動層反応器1内の水又は海水の上昇速度は、線速度で0.05〜0.15m/分、好ましくは0.1〜0.15m/分である。ライン15を通して抜出されるCO2ハイドレート粗大粒子の粒径は、100〜1000μm、好ましくは200〜500μmである。
【0010】
CO2ハイドレート微粒子分別器2内の温度は、0〜10℃、好ましくは1〜5℃であり、その圧力は45〜200気圧、好ましくは50〜80気圧である。この分別器2内の圧力は、流動層反応器1内の圧力よりも低く保持される。また、その温度は、好ましくは流動層反応器内の温度よりも高く保持される。また、分別器2内には、未反応のCO2が同伴される場合があるが、このCO2はライン18を通してCO2ガスとして抜出される。
【0011】
流動層反応器1は、円筒状の中空容器を用いて構成することができる。
一方、CO2ハイドレート微粒子分別器2は、シックナー等の沈降分離機を用いて構成することができる。
【0012】
図1に示したフローシートに従って、CO2ハイドレート粗大粒子を生産する場合の主要操作条件を示すと、以下の通りである。
(1)流動層反応器1
(i)反応温度:5℃
(ii)圧力 :80気圧
(iii)水又は海水の上昇線速度:0.1m/分
(2)ライン11
(i)液体CO2流量:1重量部/h
(ii)液体CO2圧力:80気圧
(iii)液体CO2温度:5℃
(3)ライン12
(i)水又は海水流量:1重量部/h
(ii)水又は海水圧力:80気圧
(iii)水又は海水温度;5℃
(4)CO2ハイドレート微粒子分別器2
(i)温度:5℃
(ii)圧力:80気圧
(5)ライン17
(i)CO2ハイドレート微粒子の循環量:0.1重量部/h
(6)ライン15
(i)CO2ハイドレート粗大粒子の抜出量:0.01重量部/h
(ii)CO2ハイドレート粗大粒子の粒径 :100μm以上
【0013】
図1に示したCO2ハイドレートの生産方法によれば、流動層反応器内を上昇する水又は海水の流速により、ライン15を通って抜出されるCO2ハイドレート粒子の粒径を調節することができ、その流速を大きくすることにより、より大きな粒径のCO2ハイドレート粒子を得ることができる。
また、流動層反応器1は、連続方式で操作されることから、大量のCO2をハイドレート化することが容易である。
【0014】
本発明のCO2ハイドレート生産方法は、その反応系内にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給して分解させることにより、メタンガス又は天然ガスを併産する方法として利用することができる。
図2にCO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスを併産する方法のフローシートの1例を示す。
図2において示した符号において、図1に示したものと同一の符号は図1の場合と同一の意味を有する。
【0015】
図2において、流動層反応器1内においては、図1の場合と同様に、水又は海水とCO2との反応によりCO2ハイドレートが生成される。この反応系に対して、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートの粒子が供給される。即ち、図2において、流動層反応器1の中間部にライン21を通ってメタンハイドレート粒子又は天然ガスハイドレート粒子が供給される。
このCO2ハイドレート生成反応系内に供給されたメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートは、以下に示す反応式(1)及び(2)によりメタン又はメタンとエタンからなる天然ガスに分解される。
【化1】
CH4・H2O+CO2 → CH4+CO2・H2O (1)
【化2】
C2H6・H2O+CO2 → C2H6+CO2・H2O (2)
この反応により生成したメタンガス又は天然ガス(CH4+C2H6)は、CO2ハイドレート微粒子分別器2の上部からライン22を通って回収される。
【0016】
メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートとしては、メタンガス又は天然ガスをハイドレート化したものを用いることができる。このようなメタンハイドレートや天然ガスハイドレートは、メタンやエタン等の低級炭化水素の液化ガスよりもその取り扱い性及び搬送性にすぐれたものである。例えば、メタンハイドレートや天然ガスハイドレートは、−5℃程度で約40気圧という緩和な条件で安定に保持することができる。このようなメインハイドレートや天然ガスハイドレートを輸送し、これを前記CO2ハイドレート生成工程に供給して分解させ、メタンガスとして回収することは、CO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法として、非常に有利な工業的プロセスを与える。
【0017】
本発明によるCO2ハイドレートの生産方法は、陸上、特に海岸近くの陸上や、船上等をその生産地として実施することができ、生産されたCO2ハイドレートは、深さ500m以上の海底に安定に投棄することができる。
【0018】
本発明によるCO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法は、陸上において有利に実施することができる。この場合、メタンガスハイドレート又は天然ガスハイドレートを低温船でその併産地まで運び、その併産地に降ろした後に、その低温船にCO2ハイドレートを積み、これをそのメタンガスハイドレート又は天然ガスハイドレートの生産地に帰る途中の適宜の海底に投棄する。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、CO2ハイドレートを連続的に効率よくかつ所望粒度の粗大粒子として生産することができる。
また、本発明によれば、CO2ハイドレートの生成反応系にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給することにより、CO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスを併産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二酸化炭素ハイドレートを生産する場合のフローシートの1例を示す。
【図2】二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスを併産する場合のフローシートの1例を示す。
【符号の説明】
1 流動層反応器
2 二酸化炭素ハイドレート微粒子分別器
3 ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、二酸化炭素(CO2)ハイドレートの生産方法及び二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球温暖化の対策として、CO2の海洋貯留法が検討されている。この方法は、CO2を水又は海水と反応させてCO2ハイドレートとして海底に貯留する方法である。
このCO2をハイドレートとして海底に貯留する方法においては、その実用化の観点から、大量のCO2を効率的にハイドレートに転換すること及び生成されるCO2ハイドレートを粗粒子化して、CO2ハイドレートを海底に投棄する際にその海水への溶解速度を低めることが重要となる。しかしながら、これまでに、このような要件を満たす方法は未だ提案されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、CO2を水又は海水と反応させてCO2ハイドレートを生成させる方法において、大量のCO2を効率的にハイドレートに転換させるとともに、生成するCO2ハイドレートの粒径を制御する方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、流動層反応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させて二酸化炭素ハイドレートを生産する方法であって、
(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、
(iii)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、
(iv)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させること、
を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子の生成方法が提供される。
また、本発明によれば、流動層反応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させるとともに、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを分解させて二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスとを併産する方法であって、
(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、
(iii)該流動層反応器内にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給し、分解させること、
(iv)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、
(v)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させること、
(vi)該流動層反応器の上部から、該メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートの分解により生成したメタンを抜出すこと、
を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子とメタンガス又は天然ガスの併産方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明によるCO2ハイドレートの生産方法は、流動層反応器を用いて液体CO2と水又は海水と反応させてCO2ハイドレートを生成させる工程(CO2ハイドレート生成工程)を含む。
図1にCO2ハイドレート生産方法のフローシートの1例を示す。
図1において、1は流動層反応器、2はCO2ハイドレート微粒子分別器、3はポンプを示す。
【0006】
図1のフローシートに従ってCO2ハイドレートを生産するには、流動層反応器1に対して、その底部(又は下部)から、ライン11を通って液体CO2を供給するとともに、水又は海水をポンプ3及びライン12を通して供給する。
流動層反応器1内へ供給された液体CO2は、水又は海水と反応して固体状のCO2ハイドレートに転換される。この場合、反応開始時には、ライン13を通してCO2ハイドレート種結晶を流動層反応器1の中間部、好ましくは反応器下部に供給して、CO2ハイドレートをこの種結晶上で生成させる。これによって、結晶成長した粗大粒子を含むCO2ハイドレート粒子が得られる。反応が定常状態になった時点でCO2ハイドレート種結晶の供給を停止する。
【0007】
流動層反応器1には、その底部からの海水又は水の供給により、その流動層反応器内には海水の上昇流が形成されている。流動層反応器内の微粒子状のCO2ハイドレートは、その水又は海水の上昇流とともに上昇し、その流動層反応器の上部からライン14を通って抜出され、CO2ハイドレート微粒子分別器2に導入される。
一方、流動層反応器1内の粗大CO2ハイドレート粒子は、上昇する水又は海水中を降下し、その流動層反応器下部からライン15を通って水又は海水とともに抜出される。
【0008】
CO2ハイドレート微粒子分別器2内へ導入されたCO2ハイドレート微粒子と水又は海水との混合物は、ここで水又は海水の一部がCO2ハイドレート微粒子から分離され、ライン16を通って抜出される。水又は海水が分離された後のCO2ハイドレート微粒子を高められた濃度で含む水又は海水(CO2ハイドレートの水又は海水スラリー液)はライン17を通って流動層反応器1、好ましくはその下部に循環される。この流動層反応器1内へ循環されたCO2ハイドレート微粒子は、種結晶として作用し、その粒子上にCO2ハイドレートが析出して結晶の成長が起こり、CO2ハイドレート粗大粒子が得られる。
【0009】
流動層反応器1内の温度は、0〜10℃、好ましくは0〜5℃であり、その圧力は50〜200気圧、好ましくは100〜150気圧である。また、流動層反応器1内の水又は海水の上昇速度は、線速度で0.05〜0.15m/分、好ましくは0.1〜0.15m/分である。ライン15を通して抜出されるCO2ハイドレート粗大粒子の粒径は、100〜1000μm、好ましくは200〜500μmである。
【0010】
CO2ハイドレート微粒子分別器2内の温度は、0〜10℃、好ましくは1〜5℃であり、その圧力は45〜200気圧、好ましくは50〜80気圧である。この分別器2内の圧力は、流動層反応器1内の圧力よりも低く保持される。また、その温度は、好ましくは流動層反応器内の温度よりも高く保持される。また、分別器2内には、未反応のCO2が同伴される場合があるが、このCO2はライン18を通してCO2ガスとして抜出される。
【0011】
流動層反応器1は、円筒状の中空容器を用いて構成することができる。
一方、CO2ハイドレート微粒子分別器2は、シックナー等の沈降分離機を用いて構成することができる。
【0012】
図1に示したフローシートに従って、CO2ハイドレート粗大粒子を生産する場合の主要操作条件を示すと、以下の通りである。
(1)流動層反応器1
(i)反応温度:5℃
(ii)圧力 :80気圧
(iii)水又は海水の上昇線速度:0.1m/分
(2)ライン11
(i)液体CO2流量:1重量部/h
(ii)液体CO2圧力:80気圧
(iii)液体CO2温度:5℃
(3)ライン12
(i)水又は海水流量:1重量部/h
(ii)水又は海水圧力:80気圧
(iii)水又は海水温度;5℃
(4)CO2ハイドレート微粒子分別器2
(i)温度:5℃
(ii)圧力:80気圧
(5)ライン17
(i)CO2ハイドレート微粒子の循環量:0.1重量部/h
(6)ライン15
(i)CO2ハイドレート粗大粒子の抜出量:0.01重量部/h
(ii)CO2ハイドレート粗大粒子の粒径 :100μm以上
【0013】
図1に示したCO2ハイドレートの生産方法によれば、流動層反応器内を上昇する水又は海水の流速により、ライン15を通って抜出されるCO2ハイドレート粒子の粒径を調節することができ、その流速を大きくすることにより、より大きな粒径のCO2ハイドレート粒子を得ることができる。
また、流動層反応器1は、連続方式で操作されることから、大量のCO2をハイドレート化することが容易である。
【0014】
本発明のCO2ハイドレート生産方法は、その反応系内にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給して分解させることにより、メタンガス又は天然ガスを併産する方法として利用することができる。
図2にCO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスを併産する方法のフローシートの1例を示す。
図2において示した符号において、図1に示したものと同一の符号は図1の場合と同一の意味を有する。
【0015】
図2において、流動層反応器1内においては、図1の場合と同様に、水又は海水とCO2との反応によりCO2ハイドレートが生成される。この反応系に対して、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートの粒子が供給される。即ち、図2において、流動層反応器1の中間部にライン21を通ってメタンハイドレート粒子又は天然ガスハイドレート粒子が供給される。
このCO2ハイドレート生成反応系内に供給されたメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートは、以下に示す反応式(1)及び(2)によりメタン又はメタンとエタンからなる天然ガスに分解される。
【化1】
CH4・H2O+CO2 → CH4+CO2・H2O (1)
【化2】
C2H6・H2O+CO2 → C2H6+CO2・H2O (2)
この反応により生成したメタンガス又は天然ガス(CH4+C2H6)は、CO2ハイドレート微粒子分別器2の上部からライン22を通って回収される。
【0016】
メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートとしては、メタンガス又は天然ガスをハイドレート化したものを用いることができる。このようなメタンハイドレートや天然ガスハイドレートは、メタンやエタン等の低級炭化水素の液化ガスよりもその取り扱い性及び搬送性にすぐれたものである。例えば、メタンハイドレートや天然ガスハイドレートは、−5℃程度で約40気圧という緩和な条件で安定に保持することができる。このようなメインハイドレートや天然ガスハイドレートを輸送し、これを前記CO2ハイドレート生成工程に供給して分解させ、メタンガスとして回収することは、CO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法として、非常に有利な工業的プロセスを与える。
【0017】
本発明によるCO2ハイドレートの生産方法は、陸上、特に海岸近くの陸上や、船上等をその生産地として実施することができ、生産されたCO2ハイドレートは、深さ500m以上の海底に安定に投棄することができる。
【0018】
本発明によるCO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスの併産方法は、陸上において有利に実施することができる。この場合、メタンガスハイドレート又は天然ガスハイドレートを低温船でその併産地まで運び、その併産地に降ろした後に、その低温船にCO2ハイドレートを積み、これをそのメタンガスハイドレート又は天然ガスハイドレートの生産地に帰る途中の適宜の海底に投棄する。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、CO2ハイドレートを連続的に効率よくかつ所望粒度の粗大粒子として生産することができる。
また、本発明によれば、CO2ハイドレートの生成反応系にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給することにより、CO2ハイドレートとメタンガス又は天然ガスを併産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】二酸化炭素ハイドレートを生産する場合のフローシートの1例を示す。
【図2】二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスを併産する場合のフローシートの1例を示す。
【符号の説明】
1 流動層反応器
2 二酸化炭素ハイドレート微粒子分別器
3 ポンプ
Claims (2)
- 流動層反応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させて二酸化炭素ハイドレートを生産する方法であって、
(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、
(iii)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、
(iv)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させること、
を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子の生産方法。 - 流動層反応器内において二酸化炭素と水又は海水とを反応させるとともに、メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを分解させて二酸化炭素ハイドレートとメタンガス又は天然ガスとを併産する方法であって、
(i)該水又は海水を該流動層反応器の底部又は下部から供給して該流動層反応器内に水又は海水の上昇流を形成させること、
(ii)該流動層反応器内に液体二酸化炭素を供給するとともに、該二酸化炭素を二酸化炭素ハイドレート微粒子の存在下で該水又は海水とを反応させて、該二酸化炭素ハイドレート微粒子上に二酸化炭素ハイドレートを生成させること、
(iii)該流動層反応器内にメタンハイドレート又は天然ガスハイドレートを供給し、分解させること、
(iv)該流動層反応器の下部から、二酸化炭素ハイドレート粗大粒子を抜出すこと、
(v)該流動層反応器の上部から、二酸化炭素ハイドレート微粒子を水又は海水とともに抜出すとともに、該水又は海水の一部を除去した後、該流動層反応器内に循環させること、
(vi)該流動層反応器の上部から、該メタンハイドレート又は天然ガスハイドレートの分解により生成したメタンを抜出すこと、
を特徴とする二酸化炭素ハイドレート粗大粒子とメタンガス又は天然ガスの併産方法。
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