JP2009255848A - チルトステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】チルト調整時におけるハンドル位置の移動動作を極めて円滑なものとし、その操作感覚を良好なものにすることができ、しかも、チルト操作機構を簡単にすること。
【解決手段】 略円弧状で幅方向両側に凸内周縁14aと凹内周縁14bとを有するチルト長孔14が形成された固定ブラケット1と、該固定ブラケット1にチルトボルト3を介して支持固定される可動ブラケット2と、前記チルトボルト3が貫通し回動自在に装着される主動カム5と、前記チルトボルト3が貫通すると共に前記固定ブラケット1に回動不能に装着される従動カムAとからなること。従動カムAは、前記チルト長孔14に挿入されるガイド突起部7が形成され、該ガイド突起部7は前記凸内周縁14a及び凹内周縁14bのいずれか一方に連続面接触され、他方には部分面接触されること。
【選択図】図1

Description

本発明は、チルト調整時におけるハンドル位置の移動動作を極めて円滑なものとし、その操作感覚を良好なものにすることができ、しかも、チルト操作機構を簡単にすることができるチルトステアリング装置に関する。
運転者の体格や運転姿勢等に応じてステアリングホイールの高さ、軸方向位置を適宜変更できるようにしたチルト・テレスコステアリング装置において、従来より、車体に取付けられた固定ブラケットの側板と、ステアリングコラムに取付けられた可動ブラケットの側板を貫通するチルトボルトに、操作レバー部材を装着して、操作レバー部材の回動により固定ブラケットと可動ブラケットとの両側板同士を互いに押圧するようにしてチルトロックさせる構造としたチルト調整機構を備えたステアリング装置が存在する。
この種のものにおいては、2つのカム部材を備え、一方のカム部材は固定ブラケット側に装着され、他方のカム部材はチルト調整用の操作レバー部材に装着されたものが存在する。これは、前記操作レバー部材の回動にて、一方のカム部材のカム面が他方のカム部材のカム面に作用して、その他方のカム部材を固定ブラケットの側部に押し付けるように作用し、前記固定ブラケットが可動ブラケットを固定する構造のものである。前記操作レバー部材に装着されるカム部材は、チルトボルトの螺子部に螺合され、前記操作レバー部材の回動操作に伴い一方のカム部材が回動し、固定ブラケット側に固定された他方のカム部材のカム面に作用して、前記可動ブラケットの側部に固定ブラケットの側部が押し付けられるものである。
実開昭60−104370号 特開2002−96744
上記特許文献1又は2等の従来タイプのカム機構において、固定ブラケットのチルト長孔は、円弧状に形成されたものが存在し、カム部材の一部が前記チルト長孔に挿入し、カム部材が前記チルト長孔に沿って移動しつつ、可動ブラケットを固定ブラケットに対して上下方向に移動させることができる。すなわち、カム部材に形成されたチルト長孔への挿入突起部はカム部材が周方向に空転しないようにすると共に、前記チルト長孔に対して円滑に移動できるように案内するものである。しかし、前記カム部材の挿入突起部aは、略正方形としたものでは、前記チルト長孔bに対してその接触箇所が全て略点接触となり、カム部材の挿入突起部が移動するときに接触部の接触圧が不均等となり、微小なガタつきが発生し、チルト操作時における感触が不良となる〔図8(A)参照〕。
さらに、前記カム部材の挿入突起aの接触面をチルト長孔bの長手方向における内周縁に沿った形状に合わせて形成されたものとした場合には、ガタつきは、ある程度防止することはできるが、接触面が広くなった分だけ摩擦による摺動抵抗が増加し、チルト操作時にハンドルの移動が重くなる〔図8(B)参照〕。特に、チルト・テレスコ調整における操作感覚を良好にすることは、重要であり、操作時における作動感覚をソフトにすることで、運転操作を良好なものにすることができる。本発明の目的は、チルト操作時のハンドルの上下方向の移動をより一層滑らかに行うことができるようにすることである。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、略円弧状で幅方向両側に凸内周縁と凹内周縁とを有するチルト長孔が形成された固定ブラケットと、該固定ブラケットにチルトボルトを介して支持固定される可動ブラケットと、前記チルトボルトが貫通し回動自在に装着される主動カムと、前記チルトボルトが貫通すると共に前記固定ブラケットに回動不能に装着される従動カムとからなり、該従動カムは、前記チルト長孔に挿入されるガイド突起部が形成され、該ガイド突起部は前記凸内周縁及び凹内周縁のいずれか一方に連続面接触され、他方には部分面接触されてなるチルトステアリング装置としたことにより、上記課題を解決したものである。
請求項2の発明を、前述の構成において、前記ガイド突起部の適宜の1辺は、前記凸内周縁と連続面接触を行う凹状側面が形成され、該凹状側面の反対側の辺には前記凹内周縁に対して2個所で部分面接触が行われる2つの凸状小側面が離間して形成されてなるチルトステアリング装置としたことにより、上記課題を解決したものである。請求項3の発明を、前述の構成において、前記ガイド突起部の対向する2辺のそれぞれの1辺には、前記凹状側面が形成されると共に該凹状側面の両端には前記凸状小側面が形成されてなるチルトステアリング装置としたことにより、上記課題を解決したものである。請求項4の発明を、前述の構成において、前記ガイド突起部は、略正方形状とすると共に、全辺のそれぞれの1辺には、前記凹状側面が形成されると共に該凹状側面の両端には前記凸状小側面が形成されてなるチルトステアリング装置としたことにより、上記課題を解決したものである。
請求項1の発明では、従動カムには、前記チルト長孔に挿入されるガイド突起部が形成され、該ガイド突起部は凸内周縁及び凹内周縁のいずれか一方に連続面接触され、他方には部分面接触されることによって、チルト長孔に対して、凸内周縁及び凹内周縁のいずれか一方には連続面接触となり、他方で部分面接触とすることができ、連続面接触の範囲を少なくし、且つその連続面接触箇所を部分面接触によって補助することにより、従動カムのチルト長孔に対して、ガタつきの無い、円滑な動作を確保することができる。
さらに、請求項2の発明では、前記ガイド突起部の適宜の1辺は、前記凸内周縁と連続面接触を行う凹状側面として形成され、該凹状側面の反対側の辺には凹内周縁と2個所で部分面接触が行われる2つの凸状小側面が離間して形成されるのでより一層安定した従動カムの動作を確保することができる。請求項3の発明では、従動カムのガイド突起部を左右対称の形状とすることができ、組付時における装着の誤りを防止でき、さらに、長期の使用に亘って、凹状側面及び凸状小側面が摩耗しても、ガイド突起部を左右反対となるように付け替えるのみで、新たに使用することができる。請求項4の発明では、ガイド突起部の形状は点対称となり、一つの従動カムによって全部で4回の付け換えが可能となり、極めて長期の使用が可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、図1及び図7等に示すように、主に固定ブラケット1,可動ブラケット2,チルトボルト3,操作レバー部材8,主動カム5及び従動カムA等から構成される。その固定ブラケット1は、図1(A),(B)に示すように、主に固定側部11,11,連結部12及び取付部13,13により形成されている。両固定側部11,11は、略平行に対向する略平板状の部位である。両固定側部11,11には、チルト長孔14,14が略上下方向に沿って円弧形状に形成されており、後述するチルトボルト3が貫通する部位となっている。
前記チルト長孔14は、図1(B)に示すように、その長手方向に沿って円弧状に形成されている。そして、その円弧状としたチルト長孔14はステアリングホィール300側に向かって凸となるように形成されたものである。該チルト長孔14の孔の内周において、凸状に膨らむ側の内周縁を凸内周縁14aと称する。また、前記チルト長孔14の孔の内周において、凹状に窪む側の内周縁を凹内周縁14bと称する〔図1(B),(D)参照〕。
前記両固定側部11,11は、その上部箇所で連結部12により溶接手段等により連結されている。また、両固定側部11,11の上端箇所より外方に向かって水平状の取付部13,13が形成されている。その固定ブラケット1は、前記取付部13,13を介して自動車等の走行車のフロント部の枠材等に固着されている。前記可動ブラケット2は、図1(A)に示すように、主に可動側部21,21及び底部23から形成されている。
その両可動側部21,21は平行に配置され、両可動側部21,21は前記固定ブラケット1の両固定側部11,11間に配置されるものであり、そのために両可動側部21,21の間隔は、前記固定側部11,11より僅かに小さく設定されている。その両可動側部21,21には、貫通孔22,22が形成され、前記固定ブラケット1の固定側部11,11及び可動ブラケット2の両可動側部21,21に後述するチルトボルト3が貫通する構造となっている。
その可動ブラケット2の両可動側部21,21の上端箇所には図7に示すように、ステアリングコラム100が固着されている。該ステアリングコラム100と前記両可動側部21,21とは溶接手段等にて固着されるものである。そのステアリングコラム100には、ステアリングシャフト200が回動自在に装着され、該ステアリングシャフト200の先端にはステアリングホィール300が装着される。
次に、チルトボルト3は、図1(A),図2(A)に示すように、ボルト軸部31,ボルト螺子部32及びボルト頭部33から構成され、そのボルト軸部31の軸方向一端にボルト螺子部32が形成され、軸方向他端にボルト頭部33が形成されている。またボルト軸部31において前記ボルト頭部33側寄りの箇所には圧入領域34が形成され、後述する主動カム5の装着孔53に圧入固定され、チルトボルト3の軸周方向の回転に伴って主動カム5も共に回動する構成となっている。その圧入領域34は、ボルト軸部31の軸径よりも僅かに大きな軸径となるように形成されたり、或いは略スプライン形状となるようにローレットが形成されるものである。前記チルトボルト3は、前記固定ブラケット1の両固定側部11,11間に可動ブラケット2の両可動側部21,21が配置され、その両固定側部11,11のチルト長孔14,14及び可動ブラケット2の両貫通孔22,22に貫通される。
このようにして前記チルトボルト3は、チルト長孔14において上下動可能となり、固定ブラケット1に対して可動ブラケット2が上下動自在となる。前記操作レバー部材8は、図2に示すように、回動中心部81にレバー部82が一体的に形成されたものである。前記回動中心部81には、固定孔81aが形成されており、該固定孔81aに後述する主動カム5が装着されるようになっている。
次に、主動カム5と従動カムAとについて説明する。まず、その主動カム5は、図2(A),(B)に示すように、略円板形状のカムベース部51に、複数のカム作動部52,52 ,…が形成されたものである。また、カムベース部51の中心には、装着孔53が形成されている。該装着孔53は、前記チルトボルト3の圧入領域34に圧入されるものであって、前述したように主動カム5がチルトボルト3の軸周方向と共に回動することができるようになっている。
各カム作動部52 は、前記カムベース部51の表面より略台形状の突起として形成されたものであり、傾斜面を有している。このカム作動部52 ,52 ,…は、複数個が形成されており、これらが等間隔として配置されたものである。具体的には、図2(A),(B)に示すように、カムベース部51の外周が4等分され、その4等分したそれぞれの領域に一つのカム作動部52が形成され、一つのカムベース部51に4個のカム作動部52 ,52 ,…が形成されることになる。カム作動部52 ,52 ,…は、主動カム5と後述する従動カムAとを離間状態にする役目をなすカム面である。
そのカムベース部51のカム作動部52 ,52,…が形成されている側に対して、反対側面には、図2(A),(F)及び(G)に示すように、そのカムベース部51の中心を同一中心とする非円形状の係止膨出部54が形成されている。該係止膨出部54は、長円形状,長方形状又は楕円形或いは一部が平坦状とした円形状等に形成されたものである。前記係止膨出部54は、前述した操作レバー部材8の固定孔81aに挿入するようにして装着され、操作レバー部材8と主動カム5とが一体的に回動するようになっている。したがって、前記操作レバー部材8の固定孔81aは、前記係止膨出部54と略同一形状の孔であるか、又は係止膨出部54に対して空転不能な状態にすることができる孔形状となっている。
次に、従動カムAは、図2に示すように、カム部6,ガイド突起部7及び貫通孔63とから形成されている。従動カムAは、前記固定ブラケット1の一方側の固定側部11のチルト長孔14,14箇所に配置され、前記ガイド突起部7が前記チルト長孔14に挿入され、前記固定側部11に対して空転することなく、チルト長孔14を上下方向に移動することができるようにしたものである。前記カム部6は、カムベース部61とカム作動部62とから構成され、カム作動部62は、カムベース部61の表面より略台形状の突起として形成されたものであり、傾斜面を有している。このカム作動部62 ,62 ,…は、複数個が形成されており、これらが等間隔として配置されたものであり、前記主動カム5のカム作動部52の構成と同一である。
前記ガイド突起部7は、略長方形又は正方形等の方形状に形成されたものであり、4個所の角部には、円形状の面取部7aが形成されている。前記ガイド突起部7は、前記カムベース部61の裏面側(被作動カムが形成されている側とは反対側)に膨出形成されたものである。該ガイド突起部7は、前記チルト長孔14の凸内周縁14a又は凹内周縁14bのいずれか一方に連続面接触され、他方には部分面接触されるようにしたものである〔図1(D)参照〕。
前記ガイド突起部7にはその形状において、種々の実施形態が存在する。第1実施形態は、図3に示すように、略長方形を構成する4辺の内の適宜の1辺が、凹状側面71として形成されている。該凹状側面71の反対側の辺には、2つの凸状小側面72が離間して形成されている。該凸状小側面72は、前記面取部7aに交わりつつ形成される。前記凹状側面71は、前記チルト長孔14の凸内周縁14aと連続面接触が行われる。この接触部分を連続面接触領域Sと称する。
また、前記凸状小側面72は、前記チルト長孔14の凹内周縁14bと部分面接触が行われ、この接触部分を部分面接触領域Pと称する。前記部分面接触とは、ガイド突起部7とチルト長孔14の接触部分が極めて狭い範囲の接触状態のことであり、具体的には、面接触であるが、前記連続面接触に比較して極めて狭い接触領域であり、略点接触状態となることも含まれる。
前記連続面接触領域Sでは、ガイド突起部7の凹状側面71と、チルト長孔14の凸内周縁14aとが、ガイド突起部7の1辺の略一端から他端に亘って、広い範囲で連続状に接触するものである。そして、前記凹状側面71の曲率半径raは、前記凸内周縁14aの曲率半径Raに等しい(略等しい状態も含む)。また、凹状側面71の反対側の辺に形成されている凸状小側面72は、ガイド突起部7の1辺の一端及び他端にそれぞれ離間した状態で形成されている。
前記凸状小側面72の曲率半径rbは、前記凹内周縁14bの曲率半径Rbに等しい(略等しい状態も含む)。また、前記ガイド突起部7の2つの離間した凸状小側面72,72間は、略直線状としたり、或いは円弧状に形成されるものであるが、この凸状小側面72,72の間の範囲は、前記チルト長孔14の凹内周縁14bとは、接触しない非接触状態である〔図3(A)参照〕。
前記ガイド突起部7は、前記チルト長孔14の凸内周縁14aと凹内周縁14bに対して、連続面接触領域Sと部分面接触領域Pとを有するものであり、従来タイプのように点接触のみに発生するガタツキが存在しない。また、面接触のみの場合に比較して、従動カムAが、凸内周縁14aと凹内周縁14bから受ける摩擦が大きなものとならず、したがってチルト調整で操作が重く又はきつくならず、円滑で良好な摺動動作を得ることができる。
ガイド突起部7の第2実施形態は、図4に示すように、略長方形を構成する4辺において、その対向する2辺のそれぞれの辺に前記凹状側面71と前記凸状小側面72が共に形成されたものである。凹状側面71は、前述の第1実施形態の構成と同様であり、凸状小側面72も前述の第1実施形態の構成と同様である。そして、前記凹状側面71の両端に前記凸状小側面72,72が形成された形状となる。この実施形態のガイド突起部7は、左右対称形状となる。このような構成によって、適宜の一辺に形成された凹状側面71は、チルト長孔14の凸内周縁14aに連続面接触を行い、連続面接触領域Sを有するものである。また前記適宜の一辺の反対側における2個の凸状小側面72,72は、チルト長孔14の凹内周縁14bと部分面接触を行い部分面接触領域Pを有するものである。
この第2実施形態のガイド突起部7は、図4(B)に示すように、左右対称形状であり、組付作業において、従動カムAの装着の誤りが発生しにくい。さらに、長期に亘って使用した後、前記凹状側面71及び凸状小側面72が摩耗した場合には、従動カムAを一旦所定位置から外し、従動カムAを左右反対にしてから再度装着することによって、使用されていなかった凹状側面71が凸内周縁14aに、また凸状小側面72が凹内周縁14bにそれぞれ接触し、新たな状態で使用することができる。適宜の1辺に形成された凹状側面71の両端には、凸状小側面72が形成されており、これによって、離間した2個の凸状小側面72,72は前記凹内周縁14bに接触しても、前記両凸状小側面72,72の間に位置する凹状側面71は、前記凹内周縁14bには接触しない構造となる〔図4(C)参照〕。
ガイド突起部7の第3実施形態は、図5に示すように、略正方形を構成する4辺の全ての辺に、前記凹状側面71と前記凸状小側面72が共に形成されたものである。凹状側面71及び凸状小側面72は、前述の第1,2実施形態の構成と同様であり、また前記凹状側面71の両端に前記凸状小側面72,72が形成された形状も第1,2実施形態と同様となる。この実施形態のガイド突起部7は、点対称形状となる。このような構成によって、適宜の一辺に形成された凹状側面71は、チルト長孔14の凸内周縁14aに連続面接触を行い、連続面接触領域Sを有するものであり、前記適宜の一辺の反対側における2個の凸状小側面72,72は、チルト長孔14の凹内周縁14bと部分面接触を行い部分面接触領域Pを有するものである。
この第3実施形態のガイド突起部7は、点対称形状であり、90度回転させることで、略同一形状の状態にすることができる。そのために、従動カムAの固定ブラケット1への組付作業において、前記従動カムAの装着の誤りはより一層発生しにくいものである。さらに、長期に亘って使用した後、前記凹状側面71及び凸状小側面72が摩耗し、チルト長孔14の内周面に接触することができなくなってしまった場合には、従動カムAを一旦、固定ブラケット1の所定位置から外し、摩耗箇所tを除くようにして、従動カムAを角度90度だけ回転させてから再度装着する。これによって、未使用の新しい凹状側面71が凸内周縁14aに接触し、また前記凸状小側面72が凹内周縁14bにそれぞれ接触し、新たな状態で使用できる〔図5(C)参照〕。この従動カムAでは、全部で4回の取付け直しが可能であり、極めて長期に亘って使用することができる。
第4実施形態では、図6(A),(B)に示すように、長方形を構成する4辺の内の適宜の1辺が、凹状側面71として形成され、該凹状側面71の反対側の辺に、一つの凸状小側面72が形成されたものである。該凸状小側面72は、前記ガイド突起部7の1辺の略中央に形成されたものであり、前述の第1乃至第3実施形態における凸状側面72よりも、比較的長い範囲で凹内周縁14bに接触可能に形成されている。さらに、第5実施形態では、図6(C),(D)に示すようにガイド突起部7は前記チルト長孔14の凸内周縁14a側で部分面接触領域Pを有し、前記凹内周縁14b側で連続面接触領域Sを有するものである。
この実施形態において、前記チルト長孔14の凸内周縁14a側に接触するガイド突起部7の1辺には、凹状小側面73が適宜の間隔をおいて形成されている。凹状小側面73は、前記ガイド突起部7の適宜の1辺においてその両端側に突出状に形成されており〔図6(D)参照〕、前記凸内周縁14aと部分面接触を行うものである〔図6(C)参照〕。そして、ガイド突起部7の他方側(前記凹状小側面73が形成されている側とは反対側)の辺には、凸状側面74が形成され、前記凹内周縁14bと連続面接触を行うものである。
次に、装置全体の構成について説明する。まず、前記固定ブラケット1の両固定側部11,11間に可動ブラケット2の両可動側部21,21が配置される。そして、前記固定側部11,11に形成されたチルト長孔14,14と、可動側部21,21に形成された貫通孔22,22との位置が一致するように合わせる。その固定側部11,11のチルト長孔14,14及び可動側部21,21の貫通孔24に前記チルトボルト3のボルト軸部31が貫通するようにセットされる〔図1(A),(C)参照〕。
ここで、固定ブラケット1及び可動ブラケット2が組み合わされた状態を運転者側(すなわちステアリングホィール300側)から見て、前記チルトボルト3のボルト頭部33は、左側に位置するようにセットされ、ボルト螺子部32は右側に位置している。該ボルト螺子部32は、右側の固定側部11のチルト長孔14から固定ブラケット1の外方に向かって突出する。また、固定ブラケット1の運転者から見て左側の固定側部11のチルト長孔14には、前記従動カムAが非回動状態で装着される。このとき該従動カムAのガイド突起部7は、前記チルト長孔14に挿入され、従動カムAが固定ブラケット1に対して非回動状態となる(図1参照)。
さらに、前記チルトボルト3のボルト螺子部32は、前記従動カムAの貫通孔63に遊挿状態で貫通される。チルトボルト3の圧入領域34には、前記主動カム5が圧入固定される。さらに該主動カム5には、操作レバー部材8が装着され、該操作レバー部材8の回動操作により、前記主動カム5がチルトボルト3を軸周方向に回動操作することができる。そのチルトボルト3を固定ブラケット1及び可動ブラケット2に適正に装着することによって、前記主動カム5のカム作動部52が形成された面と、従動カムAのカム作動部62とが対向して設置される〔図1(A),(C),図2(A),(F),(G)参照〕。
また、前記チルトボルト3のボルト頭部33形成側の他端側においては、固定ブラケット1の固定側部1からワッシャー91,スラストベアリング92,及びロックナット93が配置構成され、そのチルトボルト3を固定ブラケット1及び可動ブラケット2に対して回動自在に締結固着されている。そして、操作レバー部材8,チルトボルト3,及び主動カム5が共に回動する構成となっている。
前記操作レバー部材8を下方から上方,すなわち反時計方向へ、前記チルトボルト3の軸周方向に回動させることにより(図7参照)、前記主動カム5とともにチルトボルト3が(従動カムAは固定)回動するため、主動カム5と従動カムAとが相互に回動しあうことになり、その結果として互いのカム作動部52及びカム作動部62が相互に移動しあうことになる〔図2(F),(G)参照〕。このように、前記主動カム5と従動カムAとがチルトボルト3の軸方向に沿って離間することにより〔図2(G)参照〕、前記固定ブラケット1の固定側部11,11と、前記可動ブラケット2の可動側部21,21とが相互に押圧することになりチルトロック状態とすることができる。
(A)は本発明の要部縦断正面図、(B)は固定ブラケットの要部側面図、(C)は本発明の要部拡大縦断正面図、(D)は(C)のXa−Xa矢視断面図である。 (A)は主動カム,従動カム,チルトボルト及び操作レバー部材等のチルト調整部材の分解斜視図、(B)は従動カム(主動カム)の正面図、(C)は従動カムの背面図、(D)は従動カムの縦断側面図、(E)は従動カムの斜視図、(F)は主動カムと従動カムとが近接した状態の側面図、(G)は主動カムと従動カムとが近接した状態の側面図である。 (A)は第1実施形態の従動カムのガイド突起部とチルト長孔とを示す拡大図、(B)は第1実施形態における従動カムのガイド突起部の正面図、(C)は(B)の(ア)部拡大図である。 (A)は第2実施形態の従動カムのガイド突起部とチルト長孔とを示す拡大図、(B)は第2実施形態における従動カムのガイド突起部の正面図、(C)は(B)の(イ)部拡大図である。 (A)は第3実施形態の従動カムのガイド突起部の正面図、(B)は(A)の(ウ)部拡大図、(C)は第3実施形態の作用図である。 (A)は第4実施形態の従動カムのガイド突起部とチルト長孔とを示す拡大図、(B)は第4実施形態における従動カムのガイド突起部の正面図、(C)は第5実施形態の従動カムのガイド突起部とチルト長孔とを示す拡大図、(D)は第5実施形態における従動カムのガイド突起部の正面図である。 本発明におけるステアリング装置の側面図である。 (A)は従来技術における従動カムがチルト長孔に点接触のみで作動するチルト装置の構成図、(B)は従来技術における従動カムがチルト長孔に面接触のみで作動するチルト装置の構成図である。
符号の説明
1…固定ブラケット、14…チルト長孔、14a…凸内周縁、14b…凹内周縁、
2…可動ブラケット、3…チルトボルト、5…主動カム、A…従動カム、
7…ガイド突起部、71…凹状側面、72…凸状小側面。

Claims (4)

  1. 略円弧状で幅方向両側に凸内周縁と凹内周縁とを有するチルト長孔が形成された固定ブラケットと、該固定ブラケットにチルトボルトを介して支持固定される可動ブラケットと、前記チルトボルトが貫通し回動自在に装着される主動カムと、前記チルトボルトが貫通すると共に前記固定ブラケットに回動不能に装着される従動カムとからなり、該従動カムは、前記チルト長孔に挿入されるガイド突起部が形成され、該ガイド突起部は前記凸内周縁及び凹内周縁のいずれか一方に連続面接触され、他方には部分面接触されてなることを特徴とするチルトステアリング装置。
  2. 請求項1において、前記ガイド突起部の適宜の1辺は、前記凸内周縁と連続面接触を行う凹状側面が形成され、該凹状側面の反対側の辺には前記凹内周縁に対して2個所で部分面接触が行われる2つの凸状小側面が離間して形成されてなることを特徴とするチルトステアリング装置。
  3. 請求項1において、前記ガイド突起部の対向する2辺のそれぞれの1辺には、前記凹状側面が形成されると共に該凹状側面の両端には前記凸状小側面が形成されてなることを特徴とするチルトステアリング装置。
  4. 請求項1において、前記ガイド突起部は、略正方形状とすると共に、全辺のそれぞれの1辺には、前記凹状側面が形成されると共に該凹状側面の両端には前記凸状小側面が形成されてなることを特徴とするチルトステアリング装置。
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