JP4085702B2 - 衝撃吸収ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車の衝突時の衝撃を緩和する衝撃吸収ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
例えば、衝撃吸収ステアリング装置には、ステアリングコラムを互いに相対移動可能に圧入嵌合される一対のチューブにより構成するものがある。この場合、通常時には、圧入荷重による所定の保持力で両チューブの相対移動を抑制しつつ両チューブを保持する一方、衝突時にはチューブ同士を相対摺動させて、ステアリングコラムを収縮させ、衝撃吸収する。
【0003】
この場合、アウターチューブの内周にリブ状の突起を形成し、突起の先端をインナーチューブの外周に押圧させ、両チューブの当接部同士が互いに当接するタイプがある。
このタイプの衝撃吸収機構を、操舵補助用の電動モータがステアリングコラムに支持されるパワーステアリング装置に適用する場合、通常時に、チューブ同士がモータ反力により微小な相対回動を生じることがある。その結果、直接接触し合う両チューブの部位に異常摩耗や溶着が発生することがある。溶着が発生すると、衝突時の衝撃吸収荷重が大きな初期ピークを示すことがあり、また、異常摩耗が生じると、衝撃吸収荷重が小さくなることがある。その結果、個体ごとの衝撃吸収荷重がばらつき、例えば、所要の大きさを確保できない。
【0004】
また、このような課題は、上述したような電動パワーステアリング装置に限らず存在する。
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、通常時のチューブ同士の微小な相対移動を規制でき、衝突時の衝撃吸収荷重のばらつきを抑制できる衝撃吸収ステアリング装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1に記載の発明は、ステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングコラムが、互いに嵌合されるアウターチューブおよびインナーチューブと、両チューブを通常時に所定の保持力で保持し衝突時に両チューブを相対摺動させて衝撃を吸収する衝撃吸収機構とを有する衝撃吸収ステアリング装置において、アウターチューブに設けられる弾性変形可能な規制片と、この規制片に設けられる傾斜状カム面と、インナーチューブに設けられる係合孔と、この係合孔に設けられる駆動部とを備え、通常時には、規制片の側縁が係合孔の側縁に係合することにより、両チューブの相対回転が規制され、衝撃吸収時には、傾斜状カム面と駆動部がチューブの軸方向に相対摺動することにより規制片を弾性変形させて係合孔から離脱させるようにしてあり、衝撃吸収のときのインナーチューブに対するアウターチューブの移動方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向としたときに、上記規制片は、アウターチューブの開口の第1方向側の縁部から、第2方向に対してインナーチューブ側に傾斜する方向に沿うように傾斜状に切り起こされて先細り状に形成された平板状の弾性舌片からなり、上記駆動部は、インナーチューブの係合孔の第1方向側の縁部に設けられ、上記平板状の弾性舌片は、上記駆動部に対して第2方向側に対向する板面を含み、この板面に上記傾斜状カム面が設けられていることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、通常時に、両チューブの相対回転を規制するので、例えば、チューブ同士の異常摩耗や溶着の発生を防止できる結果、溶着や異常摩耗を原因とする衝撃吸収荷重のばらつきを抑制することができる。しかも、衝撃吸収時に、規制片と係合孔とが離脱できるので、規制片が衝撃吸収荷重に悪影響を及ぼすことがない。また、弾性舌片という簡素な構造にて、上記作用効果を達成できる。
【0007】
また、上記弾性舌片を先細り状に形成してあるので、弾性舌片と係合孔との寸法のばらつきを吸収できて、通常時の弾性舌片と係合孔とを確実に係合でき、両チューブの相対回転を確実に規制することができる。また、上記弾性舌片は、衝撃吸収時の係合孔の相対移動する向きに向けて延びるので、衝撃吸収時に、弾性舌片と係合孔の周縁とが互いに突っ張り合わずに、弾性舌片が係合孔から確実に離脱できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、上記係合孔を、弾性舌片の先端側へ向かうほどに末広がり状に形成してあることを特徴とする。この発明によれば、弾性舌片と係合孔との寸法のばらつきを吸収できて、通常時の弾性舌片と係合孔とを確実に係合でき、両チューブの相対回転を確実に規制することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、上記弾性舌片は、アウターチューブの周方向に互いに対向する一対の側縁を有し、これら両側縁が、通常時に係合孔の両側縁と当接していることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の衝撃吸収ステアリング装置(以下、単にステアリング装置ともいう。)を図1を参照して説明する。
ステアリング装置1は、車輪(図示せず)を操向するためにステアリングホイール2の動きを伝達するステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3を内部に通して回転自在に支持するステアリングコラム4とを有している。ステアリングシャフト3の一端にステアリングホイール2が連結される。ステアリングシャフト3の他端には、ピニオン、ラック軸等を含む舵取り機構(図示せず)が連結される。ステアリングホイール2が回されると、その回転がステアリングシャフト3等を介して舵取り機構に伝達され、これにより車輪を操向することができる。
【0011】
ステアリングシャフト3は、軸方向に沿って互いに相対移動可能に且つ一体回転可能に連結されるアッパシャフト6およびロワシャフト7を有する。
ステアリングコラム4は、ステアリングホイール2側に配置されてアッパシャフト6を収容しつつ軸方向に位置決めした状態で回転自在に支持するアウターチューブ8と、ロワシャフト7を収容しつつ軸方向に位置決めした状態で回転自在に支持するインナーチューブ9とを有する。ステアリングコラム4には、インナーチューブ9に固定されるハウジング10と、インナーチューブ9にハウジング10を介して固定されるロワブラケット11と、アウターチューブ8に固定されるアッパブラケット12とが設けられる。なお、ハウジング10を省略した構成も考えられる。両チューブ8,9は、互いに軸方向に相対摺動可能に嵌合される嵌合部22,25を有する。嵌合部22の内周が嵌合部25の外周に嵌まる。
【0012】
ステアリングコラム4は、上述のロワブラケット11、アッパブラケット12等の複数の取付部材を介して車体5に取り付けられる。
また、ステアリング装置1は、コラムアシストタイプの電動パワーステアリング装置として構成され、ステアリングコラム4に設けられる操舵補助ユニットにより、操舵操作に伴い生じる操舵抵抗に見合った操舵補助力を得られるようになっている。すなわち、操舵補助ユニットは、ステアリングシャフト3に設けられて操舵トルクを検知するためのトルクセンサ18と、このトルクセンサ18からの出力信号、車速信号等に基づいて操舵補助力を発生させる電動モータ19と、この電動モータ19の回転軸の回転を減速してステアリングシャフト3に伝達するための減速機20と、減速機20、電動モータ19、トルクセンサ18等を支持する上述のハウジング10とを有している。
【0013】
また、ステアリング装置1は、衝突時にドライバがステアリングホイール2にぶつかるときの衝撃エネルギを吸収するための衝撃吸収機構21を有する。
衝撃吸収機構21は、両チューブ8,9の嵌合部22,25と、両チューブ8,9を互いにかしめる衝撃吸収用のかしめ部としての突起23および当接部26とを有する。突起23は、アウターチューブ8の嵌合部22の内周に形成され、例えば、かしめ等により形成されて径方向の内方に突出する。当接部26は、インナーチューブ9の嵌合部25の外周に設けられ、突起23と押圧状態で当接する円柱面からなる。突起23が当接部26に押圧されて、これにより圧入状態を達成する。
【0014】
衝撃吸収機構21は、圧入状態を利用して両チューブ8,9を衝突前の通常時に所定の保持力で保持し、衝突時に両チューブ8,9を相対摺動できるようにする。衝突時に、保持力を超える衝撃力を受けると、アウターチューブ8は車体5との連結を解除され、一方でインナーチューブ9は車体5に対しての移動を規制され、両チューブ8,9はその軸方向に沿って相対摺動し、衝突時の衝撃が吸収される。なお、衝撃吸収機構としては、嵌合部22,25を円柱面同士で圧入させたもの等、両チューブ8,9を衝突時に相対摺動可能な公知の構造を利用できる。
【0015】
ところで、嵌合部22,25は、通常時に微小な相対回動を生じ、その結果、突起23と当接部26との溶着や、異常摩耗を生じることがある。
そこで、本ステアリング装置1の嵌合部22,25は、図2〜図5に示すように、両チューブ8,9の回り止め用の一対の係合部として、弾性変形可能な規制片としての弾性舌片37と、規制片と係合する係合孔としての貫通孔32とを有している。対をなす係合部は、複数対を設けてもよく、少なくとも単一対が設けられていれば良い。
【0016】
図2〜図5に示すように、弾性舌片37は一方のチューブとしてのアウターチューブ8に設けられる。貫通孔32は他方のチューブとしてのインナーチューブ9に形成される。
これにより、通常時に、規制片としての弾性舌片37の側縁38が係合孔としての貫通孔32の側縁41と当接して係合し、両チューブ8,9の相対回転を規制するので、例えば、チューブ8,9同士の間での異常摩耗や溶着の発生を防止することができる結果、溶着や異常摩耗を原因とする衝撃吸収荷重のばらつきを抑制することができる。しかも、衝撃吸収時に、弾性舌片37のカム面39と貫通孔32の駆動部42とがチューブ8,9の軸方向に相対摺動することにより、弾性舌片37を弾性変形させて、弾性舌片37を貫通孔32から離脱させ、両チューブ8,9の相対摺動を許容するようにしてあるので、弾性舌片37が衝撃吸収荷重に悪影響を及ぼすことがない。
【0017】
弾性舌片37および貫通孔32を、嵌合部22,25に設けることにより、溶着等の不具合が生じる虞のある部位の直近に配置できるので、微小な相対回動を確実に規制できて好ましい。
弾性舌片37は、図3に示すように、アウターチューブ8の開口34の周縁35の一部36から径方向の内方に向けて所定長さで傾斜状に切り起こされている。このような弾性舌片37という簡素な構造にて、悪影響なしに衝撃吸収荷重のばらつきを抑制する効果を達成できる。しかも、弾性舌片37は片持ち状に支持されるので、アウターチューブ8とつながる端縁を固定端として曲げ変形可能とされる結果、衝撃吸収時に弾性変形させ易く、貫通孔32から確実に離脱させることができる。
【0018】
弾性舌片37は、アウターチューブ8と一体に、周縁35の一部36からステアリングホイール2側へ延設される略矩形の板状部材である。弾性舌片37を切り起こされた跡が、開口34となる。弾性舌片37の延設された先端40は、インナーチューブ9の外周よりも径方向の内方に達する。
弾性舌片37には、インナーチューブ9の外周と対向する部位に、傾斜状カム面39が一体に形成される。カム面39は、先端40寄り部分が径方向の内方となるような傾斜とされる。カム面39は、一対の側縁38と、一対の側縁38同士の間に形成される面部とを有している。
【0019】
貫通孔32は、インナーチューブ9の嵌合部25の内外周を貫通して形成され、この貫通孔32を通るチューブ9の径方向から見て、例えば、略長方形形状の矩形とされる。貫通孔32の一対の側縁41は、互いに周方向に対向する。貫通孔32の周縁部の、傾斜状カム面39と対向する部分には、衝突時に弾性舌片37を駆動するための駆動部42が一体に形成されている。
駆動部42は、当接位置33よりも弾性舌片37の根元寄りとなる一対の側縁41の部分と、この一対の側縁41の端部同士を接続しカム面39と対向する貫通孔32の端縁とを有している。
【0020】
衝撃吸収時には、インナーチューブ9がアウターチューブ8に対して移動すると、貫通孔32と弾性舌片37との側縁同士41,38の当接位置33が変遷し(図6(a)参照)、やがて、貫通孔32の端縁と弾性舌片37のカム面39の面部とが当接する(図6(b)参照)。傾斜状カム面39と駆動部42とがチューブ8,9の軸方向に相対摺動することにより、傾斜を利用したカム係合がなされて、弾性舌片37を弾性復元力に抗しつつ弾性曲げ変形させて、貫通孔32から離脱させる(図6(c)参照)。
【0021】
また、衝撃吸収時に弾性舌片37を離脱させるには、通例、小さな弾性復元力に抗すればよく、塑性変形を伴う場合に比べて、必要な力を軽くできる。しかも、傾斜状カム面39と駆動部42とをカム係合させて利用するので、弾性舌片37を離脱させる際に必要なチューブ8,9にかける力を小さくできる。
弾性舌片37は衝撃吸収時の貫通孔32の相対移動する向きに向けて延びるのが好ましい。この場合、衝撃吸収時に、弾性舌片37と貫通孔32の周縁とが互いに突っ張り合う虞がなく、弾性舌片37が貫通孔32から確実に離脱することができる。
【0022】
弾性舌片37は、チューブ8の周方向に沿う弾性舌片37の幅寸法が先端40に近くなるほどに小さくなるようにされ、弾性舌片37の一対の側縁38は、互いに対向しつつ交差する方向に真直に延びる。一方で貫通孔32は略長方形形状とされ、その側縁41はチューブ8の軸方向と略平行とされる(図4参照)。弾性舌片37の一対の側縁38が、これと対向する貫通孔32の周縁部の一対の側縁41と、当接位置33でそれぞれ当接して係合する。
【0023】
このように弾性舌片37を先細り状に形成する場合には、弾性舌片37の弾性変形により傾斜角度を自動的に調節でき、弾性舌片37と貫通孔32との寸法のばらつきを吸収しつつ、側縁38,41同士を確実に当接させることができる。また、ステアリングコラム4を曲げるような力がステアリングコラム4に作用する場合に、弾性舌片37と貫通孔32との、チューブ8,9の径方向のがたつきを抑制できる。なお、このような弾性舌片37を先細り状にすることによる効果は、貫通孔32の形状が略長方形の場合でも、以下の末広がり形状の場合でも得られる。
【0024】
また、貫通孔32を、図7に示すように、弾性舌片37の先端40側へ向かうほどに末広がり状に形成してもよい。貫通孔32の一対の側縁41は、互いに交差する方向に真直に延び、先端40側へ向かうほどに互いに遠ざかる。このように貫通孔32を末広がり状とする場合、弾性舌片37を先細りにするのと同様に、側縁38,41同士を確実に当接させることができる。なお、このような貫通孔32を末広がり状にすることによる効果は、弾性舌片37の形状が略長方形形状の場合でも得られるし、先細り状の場合にも得られる。
【0025】
また、チューブ8の周方向について、貫通孔32および弾性舌片37の寸法を合わせて、貫通孔32および弾性舌片37の形状をともに長方形とする場合も考えられる。
また、弾性舌片37は、一方向に長い断面形状とされ、この長手方向がチューブ8の周方向とされる場合には、弾性舌片37を周方向に高剛性にでき、チューブ8,9同士の相対回転の規制に好ましい。
【0026】
また、本実施形態では、通常時に両チューブ8,9の相対回動を規制し、衝撃吸収時に両チューブ8,9の軸方向の相対摺動を許容するように両チューブ8,9を互いに係合させる手段(以下、単に係合させる手段ともいう。)としての回り止め用の一対の係合部、例えば、弾性舌片37および貫通孔32を、チューブ8,9の周方向および軸方向の少なくとも一方について、衝撃吸収機構21のかしめ部と異なる位置に配置し、衝撃吸収機構21を併用してこれと別に設けるようにしている。これにより、衝撃吸収荷重は、衝撃吸収機構21により主に得られ、係合部の影響を受けずに済む。従って、衝撃吸収荷重のばらつきを抑制でき、衝撃吸収に悪影響を与えることがない。
【0027】
なお、カム面39を弾性舌片37と別体で形成しこれに固定してもよい。駆動部42をインナーチューブ9と別体で形成しこれに固定してもよい。上述の係合孔を有底のものにすることも考えられる。
また、上述の作用効果を得るには、上述の規制片をインナーチューブ9に設け、上述の係合孔をアウターチューブ8に設けることも考えられるが、規制片はアウターチューブ8に設けるのが好ましい。この場合、規制片をチューブ8の径方向の外側から貫通孔32に係合させ易い。上述の変形例では、変更された点を主に説明し、同様の点については、同じ符号を付して説明を省略した。また、以下の変形例や実施形態についても同様とする。
【0028】
第1の参考例のステアリング装置102は、図8〜図10に示すように、上述のチューブ8,9同士の回り止め用の一対の係合部として、上記実施形態の弾性舌片37および貫通孔32に代えて、突起53と凹溝54とを有している。
突起53は、アウターチューブ8の内周に、その径方向の内方に突出して形成される。凹溝54は、インナーチューブ9の外周に窪んで軸方向に沿って延びていて、所要の衝撃吸収ストローク量を得ることができる長さとされる。図示した例では、凹溝54は、チューブ8,9の周方向に離間した複数箇所、例えば、3箇所に形成される。各凹溝54に、チューブ8,9の軸方向に離間した複数、例えば、2つの突起53が当接している。
【0029】
通常時には、突起53の側面と凹溝54の側面とが当接して係合することにより、両チューブ8,9の相対回転が規制される。また、凹溝54はチューブ8,9の軸方向に沿って延び、突起53の移動する向きへ開放されるので、衝撃吸収時に、チューブ8,9が軸方向に相対摺動することを許容する。従って、上述のように、悪影響なしに衝撃吸収荷重のばらつきを抑制する効果を達成できる。
また、上述の係合させる手段としての突起53および凹溝54は、チューブ8,9の周方向および軸方向の少なくとも一方について、衝撃吸収機構21のかしめ部と異なる位置に配置される。上述のように、衝撃吸収用のかしめ部と別に設けた係合させる手段によって、衝撃吸収荷重のばらつきを抑制でき、衝撃吸収に悪影響を与えることがない。
【0030】
また、第1の参考例の上述の作用効果を得るには、突起53をインナーチューブ9に設け、凹溝54をアウターチューブ8に設けることも考えられる。
第2の参考例のステアリング装置103は、図11および図12に示すように、上述のチューブ8,9同士の回り止め用の一対の係合部として、上記実施形態の弾性舌片37および貫通孔32に代えて、第2のかしめ部としての変形可能な突起63および係合孔としての貫通孔64を有する。
【0031】
突起63は、アウターチューブ8の内周に径方向の内方へ突出し、貫通孔64の大きさ、位置に合わせてかしめ等により現合で形成される。通常時、突起63の側面と貫通孔64の側面とが確実に当接して係合し、両チューブ8,9の周方向の相対回動および軸方向の相対摺動を規制する。衝撃吸収時には、突起63およびその周縁部が変形して、突起63が浮き上がるように貫通孔64から離脱し、これにより、両チューブ8,9の相対摺動が許容される。両チューブ8,9が相対移動すると、突起63はインナーチューブ9の外周に沿って摺動する。なお、突起63が離脱する際に、突起63の少なくとも一部が塑性変形したり、削り取られても構わない。このように、第2の参考例においても、上述のように、悪影響なしに衝撃吸収荷重のばらつきを抑制する効果を達成できる。
【0032】
また、上述の係合させる手段としての突起63および貫通孔64は、チューブ8,9の周方向および軸方向の少なくとも一方について、衝撃吸収機構21の第1のかしめ部としての突起23および当接部26とは異なる位置に配置される。上述のように、衝撃吸収用の第1のかしめ部と別に設けた係合させる手段としての第2のかしめ部によって、衝撃吸収荷重のばらつきを抑制でき、衝撃吸収に悪影響を与えることがない。
また、第2の参考例の上述の各作用効果を得るには、突起63をインナーチューブ9に設け、貫通孔64をアウターチューブ8に設けることも考えられるが、突起63は、アウターチューブ8に設けるのが、現合により係合するのに都合がよい。
【0033】
第3の参考例としてのステアリング装置104は、図13に示すように、上記実施形態の弾性舌片37および貫通孔32に代えて貫通孔73,74を有している。また、貫通孔73と貫通孔74とを貫通する連結部材75が設けられている。連結部材75および貫通孔73,74とが、協働して、チューブ8,9同士の回り止めを達成し、少なくとも一組が設けられていればよい。
連結部材75は、貫通孔73および貫通孔74に圧入され、隙間のない嵌合状態で固定される。連結部材75はピン状の柱状部材である。連結部材75としては、金属製の細線材、合成樹脂により形成される柱状部材等を例示でき、衝突時に破断できるような材料、寸法で形成される。
【0034】
通常時には、連結部材75を介して両チューブ8,9の相対回転を規制する。衝撃吸収時に、連結部材75を破断させて、両チューブ8,9の連結を解除し、両チューブ8,9の相対摺動を許容する。従って、第3の参考例でも、上述のように、悪影響なしに衝撃吸収荷重のばらつきを抑制する効果を達成できる。
また、上述の係合させる手段としての連結部材75および貫通孔73,74は、チューブ8,9の周方向および軸方向の少なくとも一方について、衝撃吸収機構21のかしめ部と異なる位置に配置される。上述のように、衝撃吸収用のかしめ部と別に設けた係合させる手段によって、衝撃吸収荷重のばらつきを抑制でき、衝撃吸収に悪影響を与えることがない。
【0035】
また、上記実施形態および第1〜第3の参考例において、上述の係合させる手段を、操舵補助用の電動モータ19をステアリングコラム4に支持する電動パワーステアリング装置に適用するのが好ましい。この場合、電動モータ19の反力により両チューブ8,9が相対回転し易い傾向にある。しかし、係合させる手段により、相対回転を確実に規制することができる。従って、例えば、規制するために嵌合部22,25の保持力を大きくせずに済み、また、嵌合部22,25の嵌合長を長くせずに済む。その結果、所要の衝撃吸収ストローク量を確保するのに好ましい。
【0036】
また、上記実施形態および第1〜第3の参考例で、上述の係合させる手段を、衝撃吸収機構21と兼用することも考えられる。兼用する場合であっても、衝撃吸収荷重全体のなかで、係合させる手段が寄与する割合が、係合させる手段以外の部分が寄与する割合よりも小さくされる場合には、上述の悪影響を抑制できる。
なお、上記実施形態および第1〜第3の参考例で、上述の係合させる手段を、操舵補助力を得られないマニアルタイプのステアリング装置や、コラムタイプ以外の電動パワーステアリング装置や、電動以外のパワーステアリング装置に適用してもよい。その他、本発明の特許請求の範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の衝撃吸収ステアリング装置の概略構成の側面図。
【図2】 図1に示す衝撃吸収ステアリング装置の両チューブの嵌合部の斜視図。
【図3】 図2に示す弾性舌片と貫通孔の縦断面図であり、図4のB−B断面を示す。
【図4】 図3に示す弾性舌片と貫通孔のA方向矢視図。
【図5】 図3に示す弾性舌片と貫通孔の横断面図であり、図4のC−C断面を示す。
【図6】 図2に示す衝撃吸収機構と弾性舌片と貫通孔の模式図であり、衝撃吸収時の両チューブの相対移動に伴う弾性舌片の動作を(a)〜(c)に順に示す。
【図7】 弾性舌片と貫通孔の変形例を、図3のA方向から見た状態で示す。
【図8】 第1の参考例の衝撃吸収ステアリング装置の嵌合部の斜視図。
【図9】 図8に示す衝撃吸収機構の縦断面図であり、中心線から上方のみ図示した。
【図10】 図9に示す衝撃吸収機構の横断面図。
【図11】 第2の参考例の衝撃吸収ステアリング装置の嵌合部の斜視図。
【図12】 図11に示す衝撃吸収機構を横断面図。
【図13】 第3の参考例の衝撃吸収ステアリング装置の係合部の横断面図。
【符号の説明】
1 衝撃吸収ステアリング装置
3 ステアリングシャフト
4 ステアリングコラム
5 車体(車体側部材)
8 アウターチューブ(一方のチューブ)
9 インナーチューブ(他方のチューブ)
21 衝撃吸収機構
23 突起(かしめ部)
26 当接部(かしめ部)
32 貫通孔(係合孔、係合させる手段)
34 アウターチューブの開口
35 開口の周縁
36 開口の周縁の一部(開口の第1方向側の縁部)
37 弾性舌片(規制片、係合させる手段)
38 弾性舌片の側縁
39 傾斜状カム面
41 係合孔の側縁
42 駆動部
S チューブの軸方向(衝撃吸収時に係合孔の相対移動する向き)
Claims (3)
- ステアリングシャフトを回転自在に支持するステアリングコラムが、互いに嵌合されるアウターチューブおよびインナーチューブと、両チューブを通常時に所定の保持力で保持し衝突時に両チューブを相対摺動させて衝撃を吸収する衝撃吸収機構とを有する衝撃吸収ステアリング装置において、
アウターチューブに設けられる弾性変形可能な規制片と、
この規制片に設けられる傾斜状カム面と、
インナーチューブに設けられる係合孔と、
この係合孔に設けられる駆動部とを備え、
通常時には、規制片の側縁が係合孔の側縁に係合することにより、両チューブの相対回転が規制され、衝撃吸収時には、傾斜状カム面と駆動部がチューブの軸方向に相対摺動することにより規制片を弾性変形させて係合孔から離脱させるようにしてあり、
衝撃吸収のときのインナーチューブに対するアウターチューブの移動方向を第1方向とし、その反対方向を第2方向としたときに、上記規制片は、アウターチューブの開口の第1方向側の縁部から、第2方向に対してインナーチューブ側に傾斜する方向に沿うように傾斜状に切り起こされて先細り状に形成された平板状の弾性舌片からなり、
上記駆動部は、インナーチューブの係合孔の第1方向側の縁部に設けられ、
上記平板状の弾性舌片は、上記駆動部に対して第2方向側に対向する板面を含み、この板面に上記傾斜状カム面が設けられていることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置。 - 請求項1に記載の衝撃吸収ステアリング装置において、上記係合孔を、弾性舌片の先端側へ向かうほどに末広がり状に形成してあることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置。
- 請求項1または2に記載の衝撃吸収ステアリング装置において、
上記弾性舌片は、アウターチューブの周方向に互いに対向する一対の側縁を有し、これら両側縁が、通常時に係合孔の両側縁と当接していることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置。
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