JP2009246293A - 磁気記録用金属磁性粒子粉末及びその製造法、並びに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録用金属磁性粒子粉末及びその製造法、並びに磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、微細な粒子、殊に、平均長軸径が5〜60nmの微粒子でありながら、高い保磁力を有する金属磁性粒子粉末を提供する。
【解決手段】 平均長軸径が5〜60nmであり、高い保磁力を有する磁気記録用金属磁性粒子粉末は、アルミニウム含有量が3〜50原子%のゲータイト粒子粉末を100〜250℃で加熱処理し、次いで、300〜650℃の温度範囲であって、水蒸気が90vol%以上の条件下で加熱処理してヘマタイト粒子粉末とし、該ヘマタイト粒子粉末に対し加熱還元処理を行って金属磁性粒子粉末とすることで得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微細な粒子、殊に、平均長軸径が5〜60nmの微粒子でありながら、粒子の凝集が抑制され、微細な粒子であっても高い保磁力を有する金属磁性粒子粉末を提供する。
近年、コンピューター用などの磁気記録再生用機器の小型軽量化、長時間記録化、記録の高密度化、若しくは記憶容量の増大化が著しく進行しており、磁気記録媒体である磁気テープ、磁気ディスクに対する高性能化、高密度記録化の要求が益々高まってきている。
即ち、磁気記録媒体の高画像画質、高出力特性、殊に周波数特性の向上が要求され、その為には、磁気記録媒体に起因するノイズの低下、保磁力分布S.F.D.が優れていることが要求されている。
磁気記録媒体のこれらの諸特性は磁気記録媒体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係を有している。そこで、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末についても更なる特性改善が強く望まれている。
即ち、前記諸特性を満たす磁気記録媒体を得るためには、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末が微粒子であって、保磁力分布S.F.D.に優れていることが強く要求されている。
まず、金属磁性粒子粉末の微粒子化については、短波長領域での高出力、ノイズが低減された磁気記録媒体を得るためには、金属磁性粒子粉末の微粒子化、即ち、長軸径の低減が必要になる。
また、近年では、これまで用いられてきた誘導型磁気ヘッドに替わり、磁気抵抗型ヘッドがコンピューター用テープ再生ヘッドとして導入され始めている。磁気抵抗型ヘッドは、誘導型磁気ヘッドに比べて再生出力が得られやすく、しかも、誘導コイルに起因するインピーダンスノイズが発生しないため、システムノイズの大幅な低減に寄与する。このため、磁気記録媒体ノイズを低減することができれば、高いC/N比を達成することが可能となる。したがって、磁気記録媒体ノイズのうち、粒子性ノイズの低減の観点からも金属磁性粒子粉末の更なる微粒子化が求められている。
加えて、金属磁性粒子の微細化に伴い、全体粒子における酸化被膜の比率が上昇するため、酸化被膜生成による保磁力の低下や保磁力分布S.F.D.が拡大する傾向にある。よって、磁気記録媒体の短波長領域での出力向上のためには、微粒子でありながら、保磁力分布S.F.D.(Switching Field Distribution)に優れていることが要求されている。
従来、金属磁性粒子粉末の組成、軸比、結晶子サイズ、保磁力又は飽和磁化値等の種々の特性を制御して、高密度記録に適した磁気記録媒体用金属磁性粒子粉末とすることが知られている(特許文献1〜4)。また、金属磁性粒子粉末の製造方法として、加熱脱水時に水蒸気雰囲気とすることが知られている(特許文献5)。
また、金属磁性粒子粉末の前駆体であるゲータイト粒子粉末の製造において、過酸化水素などを用いる製造方法(特許文献6〜8)、ゲータイト粒子粉末の生成反応における温度、解砕・撹拌条件を制御する製造方法(特許文献9)が知られている。
特開2001−68318号公報 特開2002−289415号公報 特開2003−247002号公報 特開2004−35939号公報 特開平6−136412号公報 特開平5−270836号公報 特開平5−310431号公報 特開2007−81227号公報 特開2005−277094号公報
微粒子でありながら、粒子の凝集が抑制され、しかも、高い保磁力Hcを有するた金属磁性粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、前記諸特性を十分満足する鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は未だ提供されていない。
即ち、前記特許文献1〜5記載の技術では、微粒子であって、高い保磁力Hcを有する金属磁性粒子粉末は得られていない。
そこで、本発明は、平均長軸径が5〜60nmの微粒子でありながら、高い保磁力Hcを有するとともに、粒子間の凝集が抑制された金属磁性粒子粉末を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、平均長軸径(L)が5〜60nmであり、挙動粒子の粒子径の標準偏差が20%以下であり、前記平均長軸径(L)と保磁力(Hc)とが下記関係式を満たすことを特徴とする磁気記録用金属磁性粒子粉末である(本発明1)。
<式>
Hc(kA/m)≧L(nm)×2.62+79.58
また、本発明は、挙動粒子の粒度分布における累積割合が85%のときの粒子径(D85)と50%のときの粒子径(D50)との比(D85/D50)が1.4以下であることを特徴とする本発明1記載の磁気記録用金属磁性粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、アルミニウム含有量が全Feに対してAl換算で3〜50原子%のゲータイト粒子粉末を加熱処理してヘマタイト粒子粉末とした後、該ヘマタイト粒子粉末を加熱還元して金属磁性粒子粉末を得る製造方法において、前記ゲータイト粒子粉末として、第一鉄塩水溶液と、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液とからなる反応溶液に、酸化反応前に過硫酸アンモニウム水溶液を添加した後、酸化反応を行って得られたゲータイト粒子粉末を用い、該ゲータイト粒子粉末を100〜250℃で加熱処理し、次いで、300〜650℃の温度範囲であって、水蒸気が90vol%以上の条件下で加熱処理してヘマタイト粒子粉末とした後、該ヘマタイト粒子粉末を300〜650℃の温度範囲で加熱還元処理を行って金属磁性粒子粉末とし、次いで、表面酸化被膜を形成し、更に、該表面酸化被膜を形成した金属磁性粒子粉末を300〜700℃の温度範囲で、再度、加熱還元処理を行い、次いで、表面酸化被膜を形成することを特徴とする磁気記録用金属磁性粒子粉末の製造方法である(本発明3)。
また、本発明は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記磁性粒子粉末として本発明1又は2記載の磁気記録用金属磁性粒子粉末を用いることを特徴とする磁気記録媒体である(本発明4)。
本発明に係る磁気記録用金属磁性粒子粉末は、平均長軸径が5〜60nmの微粒子でありながら、高い保磁力を有し、粒子間の凝集が抑制され、しかも、磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.に優れているので、磁気抵抗ヘッドを再生に用いた短波長領域で高出力、高C/Nを満たす磁気記録媒体の磁性粒子粉末として好適である。
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
まず、本発明に係る磁気記録用金属磁性粒子粉末について述べる。
本発明に係る金属磁性粒子粉末は、紡錘状であって、平均長軸径は5〜60nmである。平均長軸径が5nm未満の場合には、酸化安定性が急激に低下し、同時に高い保磁力が得られ難くなる。60nmを越える場合には、短波長領域での高出力、ノイズが低減された磁気記録媒体を得るための磁性体粒子としては、粒子サイズが大きいため好ましくない。好ましくは5〜55nmであり、より好ましくは6〜50nmである。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値は1.50以下が好ましい。長軸径の幾何標準偏差値が1.50を超える場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪影響を与えるために好ましくない。塗膜の表面平滑性を考慮すれば、長軸径の幾何標準偏差値は、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.35以下である。工業的な生産性を考慮すれば、得られる金属磁性粒子の長軸径の幾何標準偏差値の下限値は、1.01である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の長軸径の標準偏差は15以下が好ましい。長軸径の標準偏差が15を超える場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪影響を与えるために好ましくない。塗膜の表面平滑性を考慮すれば、長軸径の標準偏差は、好ましくは13以下、より好ましくは10以下である。工業的な生産性を考慮すれば、得られる金属磁性粒子の長軸径の標準偏差の下限値は、1.01である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の軸比は2.0以上が好ましく、軸比が2.0未満の場合には目的とする高い保磁力を得ることができない。より好ましくは2.0〜8.0である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の挙動粒子の粒子径の標準偏差は20.0%以下である。挙動粒子の粒子径の標準偏差が20.0%を超える場合には、粒子サイズ(形状)の不均一さに起因して分散性が不良となったり、得られる磁性塗膜のS.F.D.の低下、磁気特性の低下等の現象が起こるようになる。挙動粒子の粒子径の標準偏差は18.0%以下が好ましく、より好ましくは15.0%以下である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の挙動粒子の粒度分布において、累積割合が85%のときの粒子径(D85)と50%のときの粒子径(D50)との比(D85/D50)は、1.40以下が好ましい。挙動粒子の粒子径のD85/D50の値が1.40を超える場合には、粒子サイズ(形状)の不均一さに起因して分散性が不良となったり、得られる磁性塗膜のS.F.D.の低下、磁気特性の低下等の現象が起こるようになる。挙動粒子の粒子径の標準偏差は1.38以下が好ましい。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の挙動粒子における平均粒子径は、50nm以下が好ましい。挙動粒子の平均粒子径が50nmを超える場合には、粒子及び粒子相互間の焼結により、粒子径が増大しており、十分な表面平滑性を有する塗膜が得られない。粒子の焼結または粒子同士のスタッキングが考えられ、配向による磁気特性が得られない。挙動粒子における平均粒子径はより好ましくは5〜45nmである。
本発明に係る金属磁性粒子粉末のBET比表面積値は40〜120m/gが好ましい。BET比表面積値が40m/g未満の場合には、ノイズ、分散性を満足する金属磁性粒子粉末が得られない。BET比表面積値が120m/gを超える場合には、塗料化時に分散し難くなり、また、塗料の高粘度化を招くため好ましくない。より好ましいBET比表面積値は60〜110m/gである。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の密度化の程度は、0.5〜2.5が好ましい。密度化の程度はBET法により測定した比表面積SBET値と電子顕微鏡写真に示されている粒子から計測された長軸径及び短軸径から算出した表面積STEM値との比(SBET/STEM値)で示した。
BET/STEM値が0.5未満の場合には、金属磁性粒子粉末の高密度化が達成されてはいるが、粒子及び粒子相互間の焼結により、粒子径が増大しており、十分な表面平滑性を有する塗膜が得られない。SBET/STEM値が2.5を超える場合には、高密度化が十分ではなく、粒子内部及び粒子表面に多数の脱水孔が存在するため、ビヒクル中における分散性が不十分となる。ビヒクル中における分散性及び塗膜の表面平滑性を考慮するとSBET/STEM値は0.7〜2.0が好ましく、より好ましくは0.8〜1.6である。
また、金属磁性粒子粉末のコバルト含有量は全Feに対してCo換算で20〜50原子%が好ましい。コバルト含有量が20原子%未満の場合には、良好な保磁力分布S.F.D.を維持した状態で低い飽和磁化値を得ることができず、また、高い保磁力が得られ難い。50原子%を超える場合には、保磁力の低下、また必要以上の飽和磁化の低下を招く。コバルト含有量は30〜50原子%がより好ましい。
本発明に係る金属磁性粒子粉末のアルミニウム含有量は全Feに対してAl換算で3〜50原子%が好ましい。アルミニウム含有量が3原子%未満の場合には、加熱還元過程における焼結防止効果が低下するため、保磁力が低下し、保磁力分布S.F.D.が拡大する。50原子%を超える場合には、水素還元に必要な温度が著しく高くなり、製造上好ましくない。アルミニウム含有量は3〜48原子%がより好ましい。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の希土類元素含有量は全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%が好ましい。希土類元素含有量が前記下限値未満の場合には、加熱還元過程における焼結防止効果が低下するため、保磁力が低下し、保磁力分布S.F.D.が拡大する。上限値を超える場合には、水素還元に必要な温度が著しく高くなり、製造上好ましくない。希土類元素の含有量は10〜28原子%がより好ましい。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の結晶子サイズD110は70〜170Åが好ましい。結晶子サイズが70Å未満の場合には、磁気記録媒体にした場合に粒子性ノイズ低減の点では有利となるが、保磁力の低下や保磁力分布S.F.D.が拡大しやすく、また酸化安定性も低下する。170Åを超える場合には粒子性ノイズが増加するため好ましくない。より好ましくは70〜150Åである。
また、可溶性Naの含有量は30ppm以下が好ましく、より好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下であり、可溶性Caの含有量は100ppm以下が好ましく、より好ましくは80ppm以下、更に好ましくは70ppm以下である。前記各不純物含有量が上限値を超えた場合には、これに起因した化合物が磁性塗膜表面に析出する可能性があるため好ましくない。また、残存硫黄量は60ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の保磁力Hcは、前記平均長軸径(L)と保磁力(Hc)とが下記関係式を満たす。
<式>
Hc(kA/m)≧L(nm)×2.62+79.58
平均長軸径(L(nm))と保磁力(Hc(kA/m))との関係が前記関係式の範囲外の場合、高い保磁力を有するとは言い難い。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の保磁力Hcは、前記関係式を満たすとともに、95.4〜278.5kA/m(1200〜3500Oe)が好ましい。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の飽和磁化値σsは、前記平均長軸径(L)と飽和磁化値σsとが下記関係式を満たす。
<式>
σs(Am/kg)≧L(nm)×1.9+28.5
平均長軸径(L(nm))と飽和磁化値σs(Am/kg)との関係が前記関係式の範囲外の場合、残留磁化値が低下するため、短波長領域で十分な高出力が得られない。加えて、高い保磁力、良好な保磁力分布S.F.D.を持つ金属磁性粒子粉末が得られない。
なお、本発明に係る金属磁性粒子粉末の飽和磁化値σsは、前記関係式を満たすとともに、60〜160Am/kg(60〜120emu/g)が好ましい。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の角型比(σr/σs)は、0.51以上が好ましく、より好ましくは0.52〜0.60である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末の酸化安定性Δσsは、20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。
本発明に係る金属磁性粒子粉末を用いて得られた磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.は0.70以下が好ましい。S.F.D.が0.70を超える場合には、磁化反転領域が拡大し、短波長領域で十分な出力が得られない。より好ましくは0.65以下、更に好ましくは0.60以下である。
また、本発明に係る金属磁性粒子粉末を用いて得られた磁性塗膜の保磁力Hcは111.4〜278.5kA/m(1400〜3500Oe)が好ましく、より好ましくは143.2〜278.5kA/m(1800〜3500Oe)であり、角形比(Br/Bm)は0.65以上が好ましく、より好ましくは0.82以上であり、表面粗度Raは4.0nm以下が好ましく、より好ましくは3.5nm以下であり、酸化安定性ΔBm15%未満が好ましい。
次に、本発明に係る金属磁性粒子粉末の製造法について述べる。
本発明においては、アルミニウム含有量が全Feに対してAl換算で3〜50原子%の紡錘状ゲータイト粒子粉末を100〜250℃の温度範囲で1回目の加熱処理を行った後、水蒸気90vol%以上の雰囲気下で300〜650℃の温度範囲で2回目の加熱処理を行ってヘマタイト粒子粉末を得、該ヘマタイト粒子粉末を300〜600℃で加熱還元することによって金属磁性粒子粉末を得ることができる。
ゲータイト粒子粉末の製造方法について詳述する。
本発明におけるゲータイト粒子粉末は、紡錘状ゲータイト種晶粒子を生成させ、次いで、該種晶粒子表面にゲータイト層を成長させることによって得られるものであり、紡錘状ゲータイト種晶粒子を得る際に、酸化剤として過硫酸アンモニウム水溶液を用いるものである。
紡錘状ゲータイト種晶粒子は、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶液とを反応させて得られる第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後に、該水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応によって紡錘状ゲータイト種晶粒子を生成させるにあたり、酸化反応開始前の熟成中の第一鉄含有沈澱物を含む水懸濁液に、Co化合物を添加した後、酸化剤として過硫酸アンモニウムを添加し、次いで、酸化反応を行って得られる。
その後、酸化反応の反応率(Fe2+/全Fe)が20%以降にAl化合物を添加し、引き続き酸化反応をする成長反応を行ってゲータイト粒子粉末が得られる。
熟成は、非酸化性雰囲気下の前記懸濁液を40〜80℃の温度範囲で行うことが好適である。40℃未満の場合には、軸比が小さく十分な熟成効果が得られ難く、80℃を越える場合には、マグネタイトが混在してくることがある。熟成時間は、通常、30〜300分間である。30分未満及び300分を超える場合には目的とする軸比のものが得られ難い。非酸化性雰囲気とするには、前記懸濁液の反応容器内に不活性ガス(窒素ガスなど)又は還元性ガス(水素ガスなど)を通気すればよい。
紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において、第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使用することができる。これらは単独又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。
紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において使用される混合アルカリ水溶液は、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液とを混合して得られる。この場合の混合比率(規定換算による%表示)として、水酸化アルカリ水溶液の割合は10〜40%(規定換算%)が好ましく、より好ましくは15〜35%(規定換算%)である。10%未満の場合には、目的とする軸比が得られないことがある。40%を超える場合には、粒状マグネタイトが混在してくることがある。
炭酸アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液等が使用でき、前記水酸化アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニア等が使用できる。これらはそれぞれ単独又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。
混合アルカリ水溶液の使用量は、第一鉄塩水溶液中の全Feに対する当量比として1.3〜3.5、好ましくは1.5〜2.5である。1.3未満の場合には、マグネタイトが混在することがあり、3.5を超えると工業的に好ましくない。
第一鉄塩水溶液と混合アルカリ水溶液との混合後の第一鉄濃度は、0.1〜1.0mol/lが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8mol/lである。0.1mol/l未満の場合には、収量が少なく、工業的でない。1.0mol/lを超える場合には、粒径分布が大きくなるため好ましくない。
紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において、添加するCo化合物としては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト等を使用することができる。これらは単独又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。
種晶粒子の生成反応におけるCo化合物の添加量は、全Feに対して10〜50原子%好ましい。
紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応におけるpH値は、8.0〜11.5が好ましく、より好ましくは8.5〜11.0の範囲である。pHが8.0未満の場合には、ゲータイト粒子中に酸根が多量に含まれるようになり、洗浄によっても簡単に除去することができないので、金属磁性粒子粉末とする場合に、粒子同志の焼結を引き起こす場合があり、また11.5を越えるときには目的とする保磁力が得られにくい。
紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応にあたり、まず、酸化剤として過硫酸アンモニウム水溶液を反応溶液に添加する。酸化反応の途中で添加した場合には、粒度分布を制御する効果が現れない。
酸化剤である過硫酸アンモニウム水溶液の添加量は、全Feに対して0.5〜5.0mol%である。0.5mol%未満では、粒子の核晶発生にムラができ、成長成分が残存することになるため粒子が不均一に成長し、分布の良い粒子が得られなくなるため好ましくない。5.0mol%を超える場合には、効果が飽和するので必要以上に添加する意味がない。より好ましい添加量は1.0〜4.5mol%である。
次いで、酸素含有ガス(例えば空気)を液中に通気する酸化反応を行う。
酸素含有ガスの空塔速度は、好ましくは2.3〜3.5cm/sである。2.3cm/s未満では酸化速度が遅いため、粒状マグネタイト粒子が混在し易く、且つ、目的の粒子サイズに制御することが困難になる。一方、3.5cm/sを超えると酸化速度が速すぎ、目的の粒子サイズに制御することが困難になる。なお、空塔速度とは、単位断面積(円柱反応塔の底断面積、巣板の孔径、孔数は考慮しない。)当たりの酸素含有ガスの通気量であって、単位はcm/secである。
紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応における反応温度は、ゲータイト粒子が生成する80℃以下で行えばよい。80℃を超える場合には、ゲータイト粒子中にマグネタイトが混在することがある。好ましくは40〜70℃の範囲である。
ゲータイト層の成長反応におけるpH値は8.0〜11.5であり、好ましくは8.5〜11.0の範囲である。pHが8.0未満の場合には、ゲータイト粒子中に酸根が多量に含まれるようになり、洗浄によっても簡単に除去することができないので、金属磁性粒子粉末とする場合に、粒子同志の焼結を引き起こす場合があり、また11.5を超えるときには、目的とする粒度分布のものが得られない場合がある。
ゲータイト層の成長反応は、酸素含有ガス(例えば空気)を液中に通気する酸化反応によって行う。酸素含有ガスの通気の空塔速度は、前記種晶粒子の生成反応時より大きくすることが好ましい。大きくしない場合には、Al添加時に水懸濁液の粘度が上昇し、短軸方向の成長がより促進され、軸比が低下し、目的とする軸比のものが得られないことがある。但し、種晶粒子の生成反応時の空塔速度が2.0cm/s以上の場合はこの限りではない。
ゲータイト層の成長反応における反応温度は、通常、ゲータイト粒子が生成する80℃以下の温度で行えばよい。80℃を越える場合には、ゲータイト粒子中にマグネタイトが混在することがある。好ましくは40〜70℃の範囲である。
ゲータイト層の成長反応において、添加するAl化合物としては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の酸性塩、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸アンモニウム等のアルミン酸塩を使用することができる。これらは単独又は必要に応じ2種以上混合して用いられる。
Al化合物の添加時期は、酸化率(Fe2+/全Fe)が20〜90%の範囲で行うことが好ましい。
Al化合物の添加は、酸素含有ガスの空塔速度を種晶粒子の生成反応時の空塔速度を好ましくは大きくして通気すると同時に行うことができる。Alの添加が長時間に渡る場合は、酸化反応を進行させない意味で、窒素含有ガスに切り替えて行うことができる。
Al化合物の添加量は、最終生成物であるゲータイト粒子中の全Feに対して3〜50原子%である。Alの添加量が3原子%未満では焼結防止効果が得られ難くなり、微粒子の形状を維持することが困難となる。50原子%を越える場合には本発明では比較的低軸比であるため、保磁力の調整が難しくなる。
次に、ゲータイト粒子の被覆処理について述べる。
本発明においては、常法に従って、希土類元素化合物とCoとを前記ゲータイト粒子粉末の粒子表面に被覆処理して加熱処理の出発粒子粉末とする。
希土類元素化合物としては、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、サマリウム等の1種又は2種以上の化合物が好適であり、前記希土類元素の塩化物、硫酸塩、硝酸塩等が使用できる。その処理方法は乾式又は湿式のいずれでもよく、好ましくは湿式での被覆処理である。
希土類化合物の添加量は、全Feに対して10〜30原子%である。
被覆処理に用いるCo量は、ゲータイト粒子の生成(種晶と成長反応)ゲータイト粒子に含まれている全Co量に対して20〜200%である。200%を超える場合には、Co量が多すぎるため、均一に被覆することが難しく、単独でコバルト化合物が析出しやすい。また、金属磁性粒子粉末とした場合に磁気特性の低下を引き起こしやすい。一方、20%未満の場合には、Co被覆量が少なすぎるため、本発明の効果を得ることが困難となる。
希土類元素化合物に加えてCoを被覆することにより、粒子及び粒子相互間の焼結が防止され、ゲータイト粒子粉末の粒子形状及び軸比をより一層保持継承したヘマタイト粒子粉末を得ることができ、これによって、前記形状等を保持継承し、個々に独立した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末が得られやすくなる。
本発明における表面被覆後のゲータイト粒子は、紡錘状であり、Coを全Feに対して10〜50原子%含有し、Alを全Feに対して3〜50原子%含有する。
本発明における表面被覆後のゲータイト粒子粉末は、平均長軸径が0.03〜0.10μmであることが好適である。また、軸比(平均長軸径/平均短軸径)が5〜10であることが好適である。また、ゲータイト粒子粉末のBET比表面積は150〜300m/gであることが好適である。
ゲータイト粒子粉末中のCo、Al又はYなどの希土類元素の存在状態は特に限定されるものではなく、粒子内部及び/又は粒子表面にあって、均一に存在するか、又は偏在していてもよい。
本発明におけるゲータイト粒子粉末は、平均長軸径が5〜60nm、コバルト含有量は全Feに対してCo換算で20〜50原子%、アルミニウム含有量は全Feに対してAl換算で3〜50原子%、希土類元素含有量は全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%が好ましい。
本発明におけるゲータイト粒子粉末の1回目の加熱処理の温度範囲は100〜250℃である。1回目の加熱処理の温度が100℃未満の場合は、ゲータイト超微粒子を十分にゲータイト粒子に吸収させることが困難となる。また、250℃を超えるとゲータイト超微粒子が存在したままゲータイト粒子の脱水が始まるため粒子間で焼結が起こり、粒度が均斉な粒子を得ることができない。1回目の加熱処理の温度は120〜230℃がより好ましい。
1回目の加熱処理の時間は5〜60分が好ましい。
本発明における2回目の加熱処理の温度は300〜650℃である。2回目の加熱処理の温度が300℃未満では高密度化が不十分であるためヘマタイト粒子の粒子内部及び粒子表面に脱水孔が多数存在しており、その結果、磁気記録媒体製造時の分散性が不十分となり磁性の低下が起こる。また、650℃を超えると高密度化はされているが粒子及び粒子相互間の焼結が生じるため、粒子径(挙動粒径)が増大し、配向性や分散性が低下し、磁性の低下が起こる。2回目の加熱処理の温度は350〜600℃がより好ましい。
本発明における2回目の加熱処理においては、加熱処理時の雰囲気を水蒸気が90体積%以上存在する条件で行う。水蒸気が90体積%未満の場合には、粒子及び粒子相互間の焼結が生じるため、粒子径(挙動粒径)が増大し、配向性や分散性が低下し、磁性の低下が起こる。より好ましくは93体積%以上である。
なお、2回目の加熱処理の時間は5〜180分が好ましい。
次に、ヘマタイト粒子粉末の加熱還元処理を行う。
本発明における還元装置としては、固定層を形成させた還元装置が好ましく、具体的には、静置式還元装置(バッチ式)もしくはベルト上に固定層を形成して該ベルトを移送させながら還元する移動式還元装置(連続式)が好ましい。
本発明における固定層の層高は、30cm以下が好ましい。30cmを超える場合には、多量にCoを含有するため還元促進作用が顕著であるのと同時に、固定層の層下部の急激な還元による水蒸気分圧の増大によって、固定層上部の保磁力が低下する等の問題が起こり、全体として特性が劣化する。工業的な生産性を考慮すると、3〜30cmがより好ましい。なお、バッチ式(特開昭54−62915号公報、特開平4−224609号公報等)、連続式(特開平6−93312号公報等)では生産性が異なるため、バッチ式の固定層還元装置では4cmを超え、30cm以下が好ましい。
本発明においては、加熱還元処理及び表面酸化処理を2回繰り返して行うことが好ましい。
即ち、ヘマタイト粒子粉末に対して300〜650℃の温度範囲で1回目の加熱還元処理を行って金属磁性粒子粉末を得、次いで、得られた金属磁性粒子粉末を酸素含有不活性ガス雰囲気下で60〜200℃の温度範囲で1回目の表面酸化処理を行って該金属磁性粒子粉末の粒子表面に酸化被膜を形成し、更に、表面酸化被膜を形成した金属磁性粒子粉末を300〜700℃の温度範囲で2回目の加熱還元処理を行い、次いで、得られた金属磁性粒子粉末に2回目の表面酸化処理を行って表面酸化被膜を形成する工程からなる。
本発明では、1回目及び2回目の加熱還元処理の処理温度まで昇温する期間の雰囲気は不活性ガス雰囲気又は還元性ガス雰囲気のいずかを用いる。不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が好ましく、殊に、窒素ガスが好適である。還元性ガス雰囲気で昇温する場合、40分以下、好ましくは20分以下の時間で急速昇温することで、金属磁性粒子生成時の還元温度が一定にすることが出来る。
なお、1回目及び2回目の加熱還元処理における昇温速度は、還元性雰囲気の場合、20〜100℃/minが好ましい。
本発明の1回目及び2回目の加熱還元処理における雰囲気は、還元性ガスであり、還元性ガスとしては水素が好適である。
本発明における1回目の加熱還元温度は300〜650℃であり、好ましくは350〜650℃である。加熱還元温度は、出発原料の被覆処理に用いた化合物の種類、量に応じて上記温度範囲から適宜選択することが好ましい。加熱還元温度が300℃未満の場合には、還元の進行が非常に遅く工業的でなく、得られた金属磁性粒子粉末の飽和磁化値も低いものとなる。650℃を超える場合には、還元反応が急激に進行して粒子の形状破壊や粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしまい、保磁力が低下する。
本発明における1回目の加熱還元処理の還元性ガスのガス空塔速度は、40〜150cm/sが好ましい。ガス空塔速度が40cm/s未満の場合、出発原料の還元で発生した水蒸気が系外に運ばれる速度が非常に遅くなるため、層上部の保磁力、S.F.D.が低下し、全体として高い保磁力が得られない。150cm/sを超える場合、目的とする金属磁性粒子粉末は得られるが、還元温度が高温を要したり、造粒物が飛散し破壊されるなどの問題が起こり易く好ましくない。
本発明における1回目の表面酸化処理は、酸素を含んだ不活性ガス雰囲気で表面酸化処理を行う。不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が好ましく、殊に窒素ガスが好適である。酸素の含有量は0.1〜5vol%が好ましく、所定量まで徐々に酸素量を増加させることが好ましい。
本発明における1回目の表面酸化処理の処理温度は、60〜200℃であり、好ましくは60〜180℃である。処理温度が60℃未満の場合には、十分な厚さを有する表面酸化層を形成することが困難である。処理温度が200℃を超える場合には、粒子の形骸変化、特に酸化物が多量に生成されるため短軸が極端に膨張し、場合によっては、形骸破壊が起こりやすいため好ましくない。
1回目の表面酸化処理を終了した金属磁性粒子粉末は、飽和磁化値が85〜135Am/kg(85〜135emu/g)であり、好ましくは90〜130Am/kg(90〜130emu/g)である。飽和磁化値が85Am/kg未満の場合には、表面酸化層が厚くなりすぎるため、2回目の加熱還元処理を行っても保磁力の大きな金属磁性粒子粉末を得ることができない。130Am/kgを超える場合には、表面酸化層の形成が不十分であるため、緻密な表面酸化層を形成することができない。
なお、1回目の表面酸化処理において粒子全体を酸化した場合には、粒子の形骸変化、特に短軸成長が起こり、酸化物が多量に生成されるため短軸が極端に膨張し、場合によっては、形骸破壊が起こるため、再度還元しても既に形状が崩れているので、保磁力は向上しない。
本発明における2回目の加熱還元処理の温度は、300〜700℃の温度範囲である。300℃未満の場合には、還元の進行が非常に遅く工業的でなく、1回目の表面酸化処理で形成した表面酸化層の還元及び粒子全体の緻密化が困難となる。700℃を超える場合には、粒子の形状破壊や粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしまい、保磁力が低下する。2回目の加熱還元処理の温度は、好ましくは450〜650℃である。
本発明における2回目の加熱還元処理における還元性ガスのガス空塔速度は、前記1回目と同様に40〜150cm/sが好ましい。
なお、2回目の加熱還元処理においては、加熱還元処理の後、アニール処理を行ってもよく、処理温度は500〜700℃が好ましく、雰囲気は水素ガス、不活性ガスが好ましく、殊に、窒素ガスが好ましい。
本発明における2回目の表面酸化処理は、5〜10g/mの水蒸気と酸素を含んだ不活性ガス雰囲気で表面酸化処理を行う。水蒸気の含有量が5g/m未満の場合には、緻密で薄い表面酸化層を形成することが難しく、保磁力の向上も十分とは言い難いものである。水蒸気の含有量が10g/mを超える場合には、目的とする効果が得られるため、必要以上に含有させる意味がない。水蒸気の含有量は好ましくは、2〜8g/mである。また、酸素の含有量は0.1〜5vol%が好ましく、所定量まで徐々に増加させることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス及びアルゴンガス等が好ましく、殊に、窒素ガスが好適である。
本発明における2回目の表面酸化処理の処理温度は40〜160℃であり、好ましくは40〜140である。なお、2回目の表面酸化処理の反応温度は、1回目の表面酸化処理温度よりも低いことが好ましい。40℃未満の場合には、表面酸化層の形成が不十分なため好ましくない。160℃を超える場合には、表面酸化層が厚くなり、磁性塗膜のS.F.Dが劣化するため好ましくない。
本発明における加熱還元後の金属磁性粒子粉末は、周知の方法、例えば、トルエン等の有機溶剤中に浸漬する方法、還元後の金属磁性粒子の雰囲気を一旦不活性ガスに置換した後、不活性ガス中の酸素含有量を徐々に増加させながら最終的に空気とする方法及び酸素と水蒸気を混合したガスを使用して徐酸化する方法等により空気中に取り出すことができる。
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上と該非磁性支持体上に形成される本発明に係る金属磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層とからなる。
非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使用することができ、その厚みは、その材質により種々異なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0〜50μmである。
磁気ディスクの場合、非磁性支持体としてはポリエチレンテレフタレートが通常用いられ、その厚みは、通常50〜300μmである。磁気テープの場合は、ポリエチレンテレフタレートの場合、その厚みは、通常3〜100μm、ポリエチレンナフタレートの場合、その厚みは、通常3〜50μm、ポリアミドの場合、その厚みは、通常2〜10μmである。
結合剤樹脂としては、現在、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使用することができる。
また、各結合剤樹脂には−OH、−COOH、−SOM、−OPO、−NH等の極性基(但し、MはH、Na、Kである。)が含まれていてもよい。
非磁性支持体上に形成された磁気記録層の塗膜厚さは、0.01〜5.0μmの範囲である。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難で塗りむら等が生じやすくなるため好ましくない。5.0μmを超える場合には、反磁界の影響のため、所望の電磁変換特性が得られにくくなる。
磁気記録層中における複合磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して複合磁性粒子粉末が5〜2000重量部である。
尚、磁気記録層に、磁気記録媒体に用いられている周知の潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により結合剤樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部程度含まれていてもよい。
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含む非磁性下地層が形成されてもよい。
非磁性下地層用非磁性粒子粉末としては、通常、磁気記録媒体用非磁性下地層に用いられる非磁性無機質粉末を使用することができる。具体的には、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、二酸化ケイ素、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタンカーバイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、チタン酸バリウム等を単独又は組み合わせて用いることができ、殊に、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン等が好ましい。
なお、非磁性塗料製造時におけるビヒクル中での分散性改善のため、必要により、これら非磁性粒子粉末の粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物、ケイ素の酸化物等で表面処理してもよく、また、得られる磁気記録媒体の光透過率、表面電気抵抗値、機械的強度、表面平滑性、耐久性等の諸特性改善のため、必要により、粒子内部にAl,Ti,Zr,Mn,Sn,Sb等を含有させてもよい。
非磁性粒子粉末には各種形状の粒子があり、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子粉末、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子粉末及び板状粒子粉末等がある。得られる磁気記録媒体の表面平滑性を考慮すれば、非磁性粒子粉末の粒子形状は針状が好ましい。
非磁性粒子粉末の粒子サイズは、通常、平均粒子径が0.01〜0.3μmであり、粒子形状は粒状、針状及び板状である。
また、粒子形状が針状の場合、通常、軸比が2〜20であり、粒子形状が板状の場合、板状比(平均板面径/平均厚み)が2〜50である。
非磁性下地層は、塗膜厚さが0.2〜10.0μmの範囲が好ましい。0.2μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となる。
非磁性下地層における結合剤樹脂は、磁気記録層を形成する場合に用いた前記結合剤樹脂が使用できる。
非磁性下地層における非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して非磁性粒子粉末が5〜2000重量部である。
なお、非磁性下地層に、磁気記録媒体に用いられている周知の潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等が必要により結合剤樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部程度含まれていてもよい。
本発明における非磁性下地層を有する磁気記録媒体は前記非磁性下地層を有さない磁気記録媒体とほぼ同様の特性を有する。本発明における非磁性下地層を有する磁気記録媒体は特に、カレンダーによる表面平滑化が容易となり、また、非磁性下地層から潤滑剤が供給させるため走行耐久性が向上する。
<作用>
本発明において重要な点は、平均長軸径が5〜60nmの微粒子でありながら、高い保磁力を有するとともに、粒子間の凝集が抑制されているという事実である。
本発明においては、平均長軸径が5〜60nmの微細な金属磁性粒子粉末を得ることを目的としている。通常、粒子が微細になれば、粒子間の焼結、凝集が起こりやすいものである。粒子間の焼結を抑制するためには、アルミニウムなどの異種金属を含有することが行われているが、微細な粒子であるため多量の異種元素を存在させている。その結果、金属磁性粒子粉末とした場合に、磁気記録媒体の磁気特性に寄与しない粒子も存在することとなる。
そこで、本発明においては、ゲータイト粒子粉末の製造条件において、酸化反応前に酸化剤を用いることによって、ゲータイトの種晶粒子が均一に発生し、その後成長反応を行うので、超微細なゲータイト粒子が極力存在せず、より均一に成長した状態でヘマタイト粒子粉末に変態させたものである。その後、該ヘマタイト粒子粉末を加熱還元処理して得られた金属磁性粒子粉末は、磁気特性に寄与しない超微細な金属磁性粒子粉末が極力低減され、その結果、金属磁性粒子粉末として高い保磁力を有することになったものである。
しかも、本発明においては、ゲータイト粒子粉末の加熱処理の条件を制御し、且つ、水蒸気の存在下で行うことによって、微細なゲータイト粒子が極力存在しない状態でヘマタイト粒子粉末に変態させたものである。その後、該ヘマタイト粒子粉末を加熱還元処理して得られた金属磁性粒子粉末は、凝集が抑制され、挙動粒子の粒度分布に優れるものとなった。
本発明に係る金属磁性粒子粉末を用いて製造した磁性塗膜(磁気テープ)は、磁気特性に寄与しない微細な粒子がなく、しかも、挙動粒子がより均斉な粒度分布を有するので、表面平滑性がより向上し、S.F.D.に優れた磁気記録媒体が得られるものである。
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び金属磁性粒子粉末の平均長軸径、平均短軸径及び軸比は、いずれも透過型電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
電子顕微鏡による試料の観察にあたっては、下記方法によって試料を調製した。
即ち、金属磁性粒子粉末を0.5重量部、分散剤を0.5重量部、分散媒(分散溶剤)99重量部を超音波分散機にて30秒から3分ほど調整し、分散体とする。
試料支持膜であるメッシュ上に前記分散溶液をのせ、自然乾燥後、試料を観察する。予備分散をしているため、試料支持膜上で均一に分散し、ほぐれた粒子が観察できる。
このようにして観察された透過型電子顕微鏡の写真データを粒度自動解析ソフト(画像解析ソフトA像くん、会社名 旭化成エンジニアリング)にとりこみ粒度分布の解析を行う。
金属磁性粒子粉末の長軸径の標準偏差は、前記粒度の自動解析ソフトのデータに基づいて算出した。
また、金属磁性粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差(D84.2/D50)は、上記解析ソフトのデータを用いて得られた粒子の測定値から計算して求めた粒子径とその個数から統計学的手法に従って対数正規確立紙上に横軸に粒子径を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.2%に相当する粒子径の値を読み取り、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.2%における粒子径/積算フルイ下50%における粒子径(幾何平均径)にしたがって算出した値で示した。幾何標準偏差値が小さいほど、粒子の粒度分布が優れていることを意味する。
金属磁性粒子粉末の挙動粒子の平均粒子径、標準偏差及びD85/D50は、上記組成で作成した分散体を用いて、動的光散乱法を利用した溶液中の挙動粒度分布測定装置(装置名FPAR−1000 大塚電子株式会社製)で測定を行った。また、解析方法はキュムラント法の解析手法を用いた。
金属磁性粒子粉末の密度化の程度は、前述した通り、SBET/STEM値で示した。ここで、SBET値は、上記BET法により測定した比表面積の値である。STEM値は、前記電子顕微鏡写真から測定した粒子の平均長軸径lcm、平均短軸径wcmを用いて粒子を直方体と仮定して数1に従って算出した値である。
<数1>
TEM値(m/g)=〔(4lw+2w)/(lw・ρ)〕×10−4
(但し、ρは金属磁性粒子粉末の真比重であり、マルチボリウム密度計(島津製作所株式会社)を用いて得られた値の5.5g/cmを用いた。)
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び金属磁性粒子粉末のCo量、Al量、希土類元素量、Na量、Ca量及びその他の金属元素の含有量は、「誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS4000」(セイコー電子工業(株)製)を使用して測定した。
金属磁性粒子粉末の残存硫黄分量は、「炭素・硫黄測定装置」(Horiba製)を使用して測定した。
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び金属磁性粒子粉末のBET比表面積値は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム(株)製)を使用して、BET法により測定した値で示した。
結晶子サイズD110(金属磁性粒子粉末のX線結晶粒径)は、「X線回折装置」(Rigaku製)(測定条件:ターゲットCu、管電圧40kV、管電流40mA)を使用して、X線回折法で測定される結晶粒子の大きさを、金属磁性粒子粉末の(110)結晶面のそれぞれに垂直な方向における結晶粒子の厚さを表したものであり、各結晶面についての回折ピーク曲線から、下記のシェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
110=Kλ/βcosθ
但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピークの半値幅(ラジアン単位)。
K=シェラー定数(=0.9)、
λ=X線の波長(Cu Kα線 0.1542nm)、
θ=回折角((110)面の回折ピークに対応)。
金属磁性粒子粉末及び磁性塗膜片の磁気特性は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で測定した。
磁性塗膜片の磁気特性は、下記の成分を140mlのポリビンに下記の割合で入れた後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で8時間混合分散を行うことにより調製した磁性塗料を厚さ25μmのポリエチレンテレフタートフィルム上にアプリケータを用いて50μmの厚さに塗布し、次いで、500mT(5kGauss)の磁場中で乾燥させることにより得た磁性塗膜片の磁気特性を測定した。
金属磁性粒子粉末: 100重量部、
スルホン酸カリウム基を有する塩化ビニル系共重合樹脂 10重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂: 10重量部、
研磨剤(AKP−50) 10重量部、
潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 5重量部、
シクロヘキサノン: 65.8重量部、
メチルエチルケトン: 164.5重量部、
トルエン: 98.7重量部。
金属磁性粒子粉末の飽和磁化値の酸化安定性を示すΔσs及び磁性塗膜の飽和磁束密度Bmの耐候性を示すΔBmは、温度60℃、相対湿度90%の恒温槽に粒子粉末又は磁性塗膜片を一週間静置する促進経時試験の後に、粒子粉末の飽和磁化値σs’及び磁性塗膜の飽和磁束密度Bm’をそれぞれ測定し、試験開始前に測定したσs及びBmと促進経時試験一週間後のσs’及びBm’との差(絶対値)を試験開始前のσs及びBmでそれぞれ除した値をΔσs、ΔBmとして算出した。Δσs、ΔBmが0%に近いほど酸化安定性が優れていることを示す。
実施例1
炭酸アンモニウムを20molとアンモニア水を60mol(混合アルカリに対し水酸化アンモニア水溶液は規定換算で75mol%に該当する。)を含む混合アルカリ水溶液28lを、気泡分散翼を備えた攪拌機付き反応塔の中に投入し、毎分700回転の速度で攪拌機を回転させながら、毎分60lの流量で窒素ガス雰囲気にしながら50℃に調整する。次いで、Fe2+として20molを含む硫酸第一鉄水溶液16l(硫酸第一鉄に対し混合アルカリ水溶液は規定換算で3.75当量に該当する。)を気泡塔中に投入して30分熟成した後、Co2+として6.0molを含む硫酸コバルト水溶液4l(全Feに対しCo換算で30原子%に該当する。)を添加し2.5時間熟成した。
次いで、毎分450回転の速度で攪拌機を回転させながら、酸化剤として過硫酸アンモニウム水溶液(全Feに対して1.8mol%)を添加し、均一混合のため10分間、保持した。その後、毎分0.82lの流量で空気を通気しながら全Fe2+の30%が酸化するまで反応を行った。
次いで、Al3+ 1.6molを含む硫酸アルミニウム水溶液1l(全Feに対しAl換算で8原子に該当する。)を添加し、さらに反応終了まで毎分0.82lの流量で空気を通気しながら酸化反応を行った。反応終了時のpHは8.3であった。
得られたゲータイト粒子含有スラリーを常法により濾別し水洗後、水中に再分散し、酢酸コバルト水溶液(全Feに対して10原子%)を添加し充分に攪拌した。次いで攪拌しながら、炭酸ナトリウム水溶液を添加して水溶液のpHを8.8に調整し、次いで、硝酸イットリウム水溶液(全Feに対して22原子%)を添加して攪拌混合し、炭酸ナトリウム水溶液を添加してスラリーのpHを9.3に調整する。その後、常法を用いて濾過、水洗、乾燥し、ゲータイト粒子粉末の乾燥固形物を得た。
得られたゲータイト粒子粉末は、平均長軸径が0.074μm、軸比が7.7、BET比表面積値が208.5m/g、Co含有量は全Feに対して40原子%、Al含有量は全Feに対して20原子%、Y含有量は21原子%であった。
<加熱処理>
ゲータイト粒子1を用いて、180℃で10分間、加熱処理を行った後、水蒸気量が98体積%、残部が空気の雰囲気下で、350℃で45分間加熱処理を行った。
<加熱還元処理>
ここに得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物100g(平均径:2.6mm)を内径72mmのバッチ式固定層還元装置に入れ、層高を7cmとした後、水素ガス空塔速度50cm/sで通気しながら、550℃で排気ガス露点が−30℃に達するまで加熱還元して金属磁性粒子粉末を得た。
その後、再び窒素ガスに切り替えて80℃まで冷却し、品温を80℃で保持し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて品温が[保持温度+1]℃になるまで(最大品温140℃、処理時間2時間)表面酸化処理を行い、粒子表面に表面酸化層を形成した。
表面酸化層を形成した金属磁性粒子粉末の飽和磁化値は89.3Am/kg(89.3emu/g)であった。次に、水素ガス雰囲気下で600℃まで10分で昇温し、600℃で水素ガス空塔速度60cm/sにて排気ガス露点が−30℃に達するまで再度加熱還元した。
その後、再び窒素ガスに切り替えて80℃まで冷却し、品温を80℃で保持し、次いで水蒸気6g/mと空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて、品温が[保持温度+1]℃となるまで(最大品温110℃、処理時間3時間)表面酸化処理を行い、粒子表面に安定な表面酸化層を形成して金属磁性粒子の成型物を得た。
ここに得た金属磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.037μm、軸比が3.5、BET比表面積値が68.5m/g、結晶子サイズD110が102Åの粒子からなり、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。また、該粒子中のCo含有量は全Feに対して40原子%、Al含有量は全Feに対して20原子%、Y含有量は21原子%であった。
また、該金属磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力Hcが185.3kA/m(2328Oe)、飽和磁化値σsが105.0Am/kg(105.0emu/g)、角型比(σr/σs)が0.550、飽和磁化値の酸化安定性Δσsが絶対値として12.0%(実測値−12.6%)であった。
また、磁性塗膜の特性は、保磁力Hcが198.2kA/m(2490Oe)、角形比(Br/Bm)が0.850、S.F.D.が0.49、酸化安定性ΔBmが絶対値として7.6%(実測値−7.2%)であった。
実施例2〜8、比較例1〜6:
種々の特性を有する紡錘状ゲータイト粒子粉末を用意した。ゲータイト粒子粉末の製造条件を表1に示す。
原料として用いたゲータイト粒子粉末の種類、1回目の加熱処理の温度及び時間、2回目の加熱処理の温度、水蒸気量及び時間を種々変化させた以外は前記実施例1と同様にして金属磁性粒子粉末を得た。このときの製造条件を表2に示す。
得られた金属磁性粒子粉末の諸特性を表3に、該金属磁性粒子粉末を用いて製造した磁気テープの諸特性を表4に示す。
本発明に係る金属磁性粒子粉末は、平均長軸径が5〜60nmの微粒子でありながら、高い保磁力を有するので、磁気抵抗ヘッドを再生に用いた短波長領域で高出力、高C/Nを発揮である磁気記録媒体用磁性粒子粉末として好適である。
本発明で得られた実施例・比較例の金属磁性粒子粉末について、平均長軸径(L)と保磁力Hc(kA/m)との関係を示すグラフである。 本発明で得られた実施例・比較例の金属磁性粒子粉末について、平均長軸径(L)と飽和磁化値σs(Am/kg)との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 平均長軸径(L)が5〜60nmであり、挙動粒子の粒子径の標準偏差が20%以下であり、前記平均長軸径(L)と保磁力(Hc)とが下記関係式を満たすことを特徴とする磁気記録用金属磁性粒子粉末。
    <式>
    Hc(kA/m)≧L(nm)×2.62+79.58
  2. 挙動粒子の粒度分布における累積割合が85%のときの粒子径(D85)と50%のときの粒子径(D50)との比(D85/D50)が1.4以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録用金属磁性粒子粉末。
  3. アルミニウム含有量が全Feに対してAl換算で3〜50原子%のゲータイト粒子粉末を加熱処理してヘマタイト粒子粉末とした後、該ヘマタイト粒子粉末を加熱還元して金属磁性粒子粉末を得る製造方法において、前記ゲータイト粒子粉末として、第一鉄塩水溶液と、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液とからなる反応溶液に、酸化反応前に過硫酸アンモニウム水溶液を添加した後、酸化反応を行って得られたゲータイト粒子粉末を用い、該ゲータイト粒子粉末を100〜250℃で加熱処理し、次いで、300〜650℃の温度範囲であって、水蒸気が90vol%以上の条件下で加熱処理してヘマタイト粒子粉末とした後、
    該ヘマタイト粒子粉末を300〜650℃の温度範囲で加熱還元処理を行って金属磁性粒子粉末とし、次いで、表面酸化被膜を形成し、更に、該表面酸化被膜を形成した金属磁性粒子粉末を300〜700℃の温度範囲で、再度、加熱還元処理を行い、次いで、表面酸化被膜を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録用金属磁性粒子粉末の製造方法。
  4. 非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記磁性粒子粉末として請求項1又は2記載の磁気記録用金属磁性粒子粉末を用いることを特徴とする磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2011052631A1 (ja) 2009-10-27 2011-05-05 積水化成品工業株式会社 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子、ポリスチレン系樹脂発泡成形体、建材用断熱材、盛土用部材及び車両内装材
JP2011238845A (ja) * 2010-05-12 2011-11-24 Arizona Board Of Regents On Behalf Of Univ Of Arizona 金属磁性粉末およびその製造方法、磁性塗料、磁気治療用磁性粉末、並びに磁気記録媒体

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