JP2009241846A - サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の制動時、旋回時等に十分に大きなグリップ力を発生させることができるようにする。
【解決手段】ボディ11と、車輪WLF、WRFと、サスペンション機構31とを有し、各車輪WLF、WRFのタイヤ36に、路面に対するグリップ力が大きくされた高グリップ領域39が形成される。サスペンション機構31は、第1の要素、第1の要素に対して揺動自在に配設された第2の要素、及び所定の付勢力で第2の要素を付勢する付勢部材を備え、タイヤ36に加わる横力及び所定の付勢力に応じて、各車輪WLF、WRFにキャンバ角を形成し、高グリップ領域39を路面に接地させる。各車輪WLF、WRFにキャンバ角が形成されるので、車両の制動時、旋回時等に十分に大きなグリップ力を発生させることができる。
【選択図】図1
【解決手段】ボディ11と、車輪WLF、WRFと、サスペンション機構31とを有し、各車輪WLF、WRFのタイヤ36に、路面に対するグリップ力が大きくされた高グリップ領域39が形成される。サスペンション機構31は、第1の要素、第1の要素に対して揺動自在に配設された第2の要素、及び所定の付勢力で第2の要素を付勢する付勢部材を備え、タイヤ36に加わる横力及び所定の付勢力に応じて、各車輪WLF、WRFにキャンバ角を形成し、高グリップ領域39を路面に接地させる。各車輪WLF、WRFにキャンバ角が形成されるので、車両の制動時、旋回時等に十分に大きなグリップ力を発生させることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、サスペンションシステムに関するものである。
従来、車両においては、燃費をよくするために、例えば、トレッドゴムの損失正接を小さくすることによって、転がり抵抗を小さくしたタイヤが搭載されたものが提供されている。
ところが、転がり抵抗を小さくすると、タイヤのグリップ力がその分小さくなり、制動時における制動距離が長くなったり、旋回時に横すべりが発生しやすくなったりする。
そこで、トレッドを幅方向において分割し、中央の領域、すなわち、センタ部を、損失正接が小さい材料で、センタ部の両側の領域、すなわち、ショルダ部を、損失正接が大きい材料で形成するようにしたタイヤが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−22622号公報
しかしながら、前記従来の車両においては、車両を直進で走行させているとき、すなわち、通常走行時にセンタ部と路面とを、車両の制動時、旋回時等にショルダ部と路面とを確実に接触させることができず、制動時、旋回時等にグリップ力を十分に大きくすることができない。
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、車両の制動時、旋回時等に十分に大きなグリップ力を発生させることができるサスペンションシステムを提供することを目的とする。
そのために、本発明のサスペンションシステムにおいては、車両のボディと、該ボディに対して回転自在に配設された複数の車輪と、前記ボディと各車輪との間に配設されたサスペンション機構とを有し、各車輪のタイヤに、路面に対するグリップ力が大きくされた高グリップ領域が形成されるようになっている。
そして、前記サスペンション機構は、ボディ側に配設された第1の要素、前記各車輪を回転自在に支持し、第1の要素に対してキャンバ軸を揺動中心にして揺動自在に配設された第2の要素、及び第1、第2の要素間に配設され、所定の付勢力で第2の要素を付勢する付勢部材を備え、タイヤに加わる横力及び前記所定の付勢力に応じて、第2の要素を所定の方向に回動させ、各車輪にキャンバ角を形成し、前記高グリップ領域を路面に接地させる。
本発明の他のサスペンションシステムにおいては、さらに、前記第2の要素は、回動規制部材によって、前記所定の方向に対して逆の方向への回動が規制される。
本発明の更に他のサスペンションシステムにおいては、さらに、前記車輪は、操舵輪であり、キャスタ角を付けて支持される。
本発明の更に他のサスペンションシステムにおいては、さらに、前記キャンバ角は、車両の制動時にタイヤに加わるブレーキ力、及び車両の制動時に発生するトウ角によって形成される。
本発明によれば、サスペンションシステムにおいては、車両のボディと、該ボディに対して回転自在に配設された複数の車輪と、前記ボディと各車輪との間に配設されたサスペンション機構とを有し、各車輪のタイヤに、路面に対するグリップ力が大きくされた高グリップ領域が形成されるようになっている。
そして、前記サスペンション機構は、ボディ側に配設された第1の要素、☆前記各車輪を回転自在に支持し、第1の要素に対してキャンバ軸を揺動中心にして揺動自在に配設された第2の要素、及び第1、第2の要素間に配設され、所定の付勢力で第2の要素を付勢する付勢部材を備え、タイヤに加わる横力及び前記所定の付勢力に応じて、第2の要素を所定の方向に回動させ、各車輪にキャンバ角を形成し、前記高グリップ領域を路面に接地させる。
この場合、タイヤに加わる横力及び付勢部材の付勢力に応じて、第2の要素が所定の方向に回動させられ、各車輪にキャンバ角が形成され、高グリップ領域が路面に接地させられるので、車両の制動時、旋回時等に十分に大きなグリップ力を発生させることができる。
本発明の他のサスペンションシステムにおいては、さらに、前記第2の要素は、回動規制部材によって、逆の方向への回動が規制される。
この場合、第2の要素は、回動規制部材によって、逆の方向への回動が規制されるので、正の値のキャンバ角が形成されるのを防止することができる。
本発明の更に他のサスペンションシステムにおいては、さらに、前記車輪は、操舵輪であり、キャスタ角を付けて支持される。
この場合、操舵輪にキャスタ角が付けられるので、車両の旋回時に、操舵輪にキャンバ角を形成することができる。
したがって、車両の旋回時に、旋回方向と反対側の荷重が加わる車輪において、十分に大きなグリップ力を発生させることができるので、横すべりが発生するのを防止することができる。
本発明の更に他のサスペンションシステムにおいては、さらに、前記キャンバ角は、車両の制動時にタイヤに加わるブレーキ力、及び車両の制動時に発生するトウ角によって形成される。
この場合、前記キャンバ角は、車両の制動時にタイヤに加わるブレーキ力、及び車両の制動時に発生するトウ角によって形成されるので、十分に大きなグリップ力を発生させることができる。したがって、車両の制動時に制動距離を短くすることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施の形態における車両の概念図である。
図において、11は車両の本体を表すボディ、WLF、WRF、WLB、WRBは、ボディ11に対して回転自在に配設された前方左側、前方右側、後方左側及び後方右側の車輪である。車輪WLF、WRFによって前輪が、車輪WLB、WRBによって後輪が構成される。
また、12は駆動源としてのエンジン、13は操舵装置としてのステアリングホイール、14は加速操作部材としてのアクセルペダル、15は減速操作部材としてのブレーキペダル、21は、前記エンジン12を駆動することによって発生させられた回転を駆動輪として機能する車輪WLB、WRBに伝達する回転伝達部材としてのプロペラシャフト、22はエンジン12から伝達された回転を差動させるディファレンシャル装置、24は該ディファレンシャル装置22によって差動させられた回転を各車輪WLB、WRBに伝達するドライブシャフトである。
そして、31〜34は、それぞれ、ボディ11と各車輪WLF、WRF、WLB、WRBとの間に配設され、各車輪WLF、WRF、WLB、WRBを路面に押し付けるサスペンション機構である。なお、前記各車輪WLF、WRF、WLB、WRB、サスペンション機構31〜34等によってキャンバ角調整装置が、該キャンバ角調整装置及びボディ11によってサスペンションシステムが構成される。
本実施の形態においては、駆動源としてエンジン12が使用され、該エンジン12によって発生させられた回転が、プロペラシャフト21、ディファレンシャル装置22及びドライブシャフト24を介して各車輪WLB、WRBに伝達されるようになっているが、エンジン12と車輪WLF、WRFとを図示されないドライブシャフトを介して連結し、エンジン12の回転を各車輪WLF、WRFに伝達し、車輪WLF、WRFを駆動輪として機能させることができる。また、各車輪WLF、WRF、WLB、WRBに、それぞれ駆動源としての図示されないホイールモータを配設し、各ホイールモータを駆動することによって各車輪WLF、WRF、WLB、WRBを直接回転させ、各車輪WLF、WRF、WLB、WRBを駆動輪として機能させることもできる。
ところで、該各車輪WLF、WRF、WLB、WRBは、アルミニウム合金等によって形成された図示されないホイール、及び該ホイールの外周に嵌(かん)合させて配設されたタイヤ36を備える。そして、各車輪WLF、WRF、WLB、WRBのうちの車輪WLF、WRFにおいては、タイヤ36のトレッド37が幅方向における複数の領域に、本実施の形態においては、二つの領域に分割され、トレッド37の幅方向における中心を表す中心線を区分線Ld1としたとき、該区分線Ld1より外側(ボディ11から離れる側)に、損失正接が小さい特性を有する低転がり抵抗領域38が、区分線Ld1より内側(ボディ11側)に、損失正接が大きい特性を有する高グリップ領域39が形成される。
そのために、前記低転がり抵抗領域38及び高グリップ領域39の各外周面には、溝のパターン(以下「トレッドパターン」という。)が異ならせて形成される。すなわち、低転がり抵抗領域38には、タイヤ36の円周方向において溝が連続するリブタイプのトレッドパターンが形成され、高グリップ領域39には、タイヤ36の幅方向において溝が連続するラグタイプのトレッドパターンが形成される。また、高グリップ領域39に、独立した複数のブロックを備えるブロックタイプのトレッドパターンを形成することもできる。
なお、前記損失正接は、トレッド37が変形する際のエネルギーの吸収度合いを示し、貯蔵剪断弾性率に対する損失剪断弾性率の比で表すことができる。損失正接が小さいほどエネルギーの吸収が少なくなるので、路面との摩擦によってタイヤ36に発生する転がり抵抗が小さくなり、路面を掴む力を表すグリップ力も小さくなる。また、タイヤ36に発生する摩耗が少なくなる。これに対して、損失正接が大きいほどエネルギーの吸収が多くなるので、転がり抵抗が大きくなり、グリップ力も大きくなる。また、タイヤ36に発生する摩耗が多くなる。
本実施の形態においては、区分線Ld1がトレッド37の中心線にされるようになっているが、区分線Ld1をトレッド37の幅方向における任意の位置に置き、低転がり抵抗領域38及び高グリップ領域39の各接地面積を互いに異ならせることができる。
前記構成の車両においては、通常走行時に低転がり抵抗領域38を路面に接地させると、転がり抵抗が小さくされるので、燃費をよくすることができる。また、車両の制動時、旋回時等に高グリップ領域39を路面に接地させると、グリップ力が大きくされるので、制動距離を短くしたり、横すべりが発生するのを防止したりすることができる。
そのために、本実施の形態においては、前記各サスペンション機構31、32において、車両の走行の態様に応じてタイヤ36のキャンバ角が調整されるようになっている。
そこで、各サスペンション機構31、32について説明する。なお、サスペンション機構31、32は同じ構造を有するので、サスペンション機構31についてだけ説明する。
図1は本発明の実施の形態における通常走行時のキャンバ角調整装置の状態を示す側面図、図3は本発明の実施の形態における制動時のキャンバ角調整装置の状態を示す側面図、図4は本発明の実施の形態における通常走行時のキャンバ角調整装置の状態を示す平面図、図5は本発明の実施の形態における旋回時のキャンバ角調整装置の状態を示す平面図である。
図において、11はボディ、WLFは車輪、31はサスペンション機構、36はタイヤ、37はトレッド、38は低転がり抵抗領域、39は高グリップ領域である。
前記サスペンション機構31は、ダブルウィッシュボーン式の懸架構造を有し、車輪WLFの図示されないホイールに取り付けられたナックルユニット51、該ナックルユニット51の上端部においてナックルユニット51とボディ11とを連結し、車輪WLFを移動自在に支持する第1のアームとしてのアッパアーム52、前記ナックルユニット51の下端部においてナックルユニット51とボディ11とを連結し、車輪WLFを移動自在に支持する第2のアームとしてのロワアーム53、前記ボディ11とロワアーム53との間を連結する図示されないショックアブソーバ等を備える。
また、前記ナックルユニット51は、ボディ11側に配設され、ボディ11に対して上下方向に移動自在に配設された第1の要素としてのナックルアーム55、車輪WLF側に配設され、前記ホイールに固定されるとともに、ナックルアーム55に対してキャンバ軸56を揺動中心にして揺動自在に配設された第2の要素としてのキャンバプレート57、前記ナックルアーム55とキャンバプレート57との間に配設され、該キャンバプレート57をナックルアーム55に近づける側に向けて(図1及び3において反時計回りに)所定の付勢力で付勢する付勢部材としてのスプリング58等を備える。そして、キャンバプレート57の下方の所定の箇所に、スプリング58と隣接させて回動規制部材としての突起59が形成される。
該突起59は、キャンバプレート57がナックルアーム55に近づく側に回動させられるのを規制し、所定の箇所で停止させる。本実施の形態において、突起59はスプリング58より下方において、ナックルアーム55側に向けて突出させて形成され、図3に示されるように、先端がナックルアーム55に当接したときにキャンバプレート57とナックルアーム55とが平行になるような寸法を有する。なお、本実施の形態において、突起59はスプリング58の下方に形成されるようになっているが、スプリング58の上方に形成することができる。また、本実施の形態において、突起59はキャンバプレート57に形成されるようになっているが、ナックルアーム55に形成することもできる。
そして、前記アッパアーム52は、「V」字状の形状を有し、ナックルユニット51側において一体にされ、ボディ11側に向けて広がるように延在させて形成された2本のアーム部52a、52bを備える。また、前記アッパアーム52は、ナックルユニット51側において1箇所で連結要素としてのボールジョイント61によってナックルアーム55に対して揺動自在に連結され、ボディ11側において、2箇所で連結要素としての筒状のブッシュ62によってボディ11に対して揺動自在に連結される。
前記ロワアーム53は、前記アッパアーム52と同様に、「V」字状の形状を有し、ナックルユニット51側において一体にされ、ボディ11側に向けて広がるように延在させて形成された図示されない2本のアーム部を備える。そして、前記ロワアーム53は、ナックルユニット51側において1箇所で連結要素としてのボールジョイント63によってナックルアーム55に対して揺動自在に連結され、ボディ11側において、2箇所で連結要素としての筒状のブッシュ64によってボディ11に対して揺動自在に連結される。なお、前記各ブッシュ62、64は、ボディ11に固定されたビーム65を包囲するように外嵌させられる。
なお、車両の走行方向においてボールジョイント63はボールジョイント61より前方に位置させられ、ボールジョイント61、63を結ぶ仮想線は、ボディ11に対して所定のキャスタ角を形成するように傾斜させられる。すなわち、車輪WLFは、操舵輪として機能し、キャスタ角を付けて支持される。
前記構成のキャンバ角調整装置において、タイヤ36に横力が加わらない場合は、スプリング58の付勢力が保持力として働き、キャンバプレート57はナックルアーム55に近づく側に向けて付勢され、突起59の先端がナックルアーム55と当接させられる。その結果、キャンバプレート57とナックルアーム55とが平行になり、図3に示されるように、サスペンション機構31はキャンバ角が調整されない状態を表す非調整状態に置かれ、車輪WLFは路面に対して垂直に置かれる。なお、前記非調整状態において、車両の走行を安定させるために、わずかな値の正のキャンバ角(ポジティブキャンバ)が形成される。このとき、トレッド37において、低転がり抵抗領域38及び高グリップ領域39のいずれも路面と接触するので、転がり抵抗を小さくし、かつ、適正なグリップ力を発生させながら車輪WLFを回転させ、車両を走行させることができる。
これに対して、タイヤ36に、回転軸上の外側(ボディ11から離れる側)に向けて横力が加わると、図1及び5に示されるように、スプリング58の付勢力に抗してキャンバプレート57は、所定の方向、本実施の形態においては、ナックルアーム55から離れる側に向けて回動させられ、突起59の先端がナックルアーム55から離される。その結果、キャンバプレート57はナックルアーム55に対して傾斜させられ、サスペンション機構31はキャンバ角が調整された状態を表す調整状態に置かれ、車輪WLFは路面に対して傾斜させた状態に置かれ、負の値のキャンバ角(ネガティブキャンバ)が形成される。このとき、トレッド37において、高グリップ領域39だけが路面と接触するので、大きいグリップ力を発生させながら車輪WLFを回転させ、車両を走行させることができる。
次に、車両の旋回時におけるキャンバ角調整装置の動作について説明する。
図6は本発明の実施の形態における旋回時の横力を説明する第1の図、図7は本発明の実施の形態における旋回時の横力を説明する第2の図、図8は本発明の実施の形態における横力によって形成されるキャンバ角の説明図、図9は本発明の実施の形態におけるトウ角によって形成されるキャンバ角の説明図、図10は本発明の実施の形態における旋回時に形成されるキャンバ角の説明図である。
図において、WLFは前方左側の車輪、WRFは前方右側の車輪、36はタイヤ、37はトレッド、38は低転がり抵抗領域、39は高グリップ領域、56はキャンバ軸、GRDは路面である。なお、図7において、前記キャンバ軸56は、路面GRDからの距離を表すために、車輪WLF、WRF内に置かれているが、実際は、図1及び3に示されるように車輪WLF、WRF外に置いたり、車輪WLF、WRF内に置いたりすることができる。
例えば、運転者がステアリングホイール13(図2)を操作して、車両を左側に向けて旋回させようとすると、図6及び7に示されるように、各タイヤ36における路面GRDとの接地面に、車輪WLF、WRFの回転軸と平行な方向に、かつ、旋回する側(図7においては、左側)に向けて横力Faが発生させられる。また、スプリング58は車輪WLF、WRFを付勢力Fsでボディ11側に向けて付勢する。
したがって、図7に示されるように、前記キャンバ軸56とスプリング58の中心との間の距離をL1とし、キャンバ軸56と路面GRDとの間の距離をL2としたとき、車輪WLFにおいては、キャンバ軸56を中心として、横力Fa及び付勢力Fsよって互いに逆方向にモーメントが発生する。この場合、各モーメントが釣り合うと、
Fs・L1=Fa・L2
になり、そのときの付勢力Fsは、
Fs=Fa・L2/L1
になる。そこで、付勢力Fsが値Fa・L1/L2より小さくなるように設定すると、図8に示されるように、横力Faを発生源として、車輪WLFに負の値のキャンバ角θLaが形成される。
Fs・L1=Fa・L2
になり、そのときの付勢力Fsは、
Fs=Fa・L2/L1
になる。そこで、付勢力Fsが値Fa・L1/L2より小さくなるように設定すると、図8に示されるように、横力Faを発生源として、車輪WLFに負の値のキャンバ角θLaが形成される。
一方、車輪WRFにおいては、キャンバ軸56を中心として、横力Fa及び付勢力Fsよって同じ方向にモーメントが発生する。したがって、車輪WRFに正の値のキャンバ角が形成されようとするが、突起59によって、キャンバプレート57の、前記所定の方向に対して逆の方向への回動が規制されるので、図8に示されるように、車輪WRFは路面GRDに対して垂直に置かれる。したがって、横力Faを発生源として、車輪WRFにキャンバ角θRaは形成されず、
θRa=0
になる。
θRa=0
になる。
ところで、一般に、前記各車輪WLF、WRFは、キャスタ角を付けて支持されるようになっているので、例えば、運転者がステアリングホイール13を操作して、車両を左側に向けて旋回させようとすると、各車輪WLF、WRFにトウ角が形成される。それに伴って、図9に示されるように、トウ角を発生源として、車輪WLFに正の値のキャンバ角θLtが、車輪WRFに負の値のキャンバ角θRtが形成される。
したがって、横力Faを発生源とするキャンバ角θLa、θRaと、トウ角を発生源とするキャンバ角θLt、θRtとを合成すると、図10に示されるように、車輪WLFにおけるキャンバ角θLは、
θL=θLa+θLt
≒0
になり、車輪WRFにおけるキャンバ角θRは、図10に示されるように、
θR=0+θRt
=θRt
になる。したがって、旋回に伴って、旋回方向と反対側の車輪WRFに加わる荷重が大きくなり、大きな負荷が発生するが、図10に示されるように、車輪WRFに負の値のキャンバ角θRが形成されるので、トレッド37において、高グリップ領域39だけが路面GRDと接触する。その結果、大きいグリップ力を発生させながら車輪WRFを回転させ、車両を走行させることができる。
θL=θLa+θLt
≒0
になり、車輪WRFにおけるキャンバ角θRは、図10に示されるように、
θR=0+θRt
=θRt
になる。したがって、旋回に伴って、旋回方向と反対側の車輪WRFに加わる荷重が大きくなり、大きな負荷が発生するが、図10に示されるように、車輪WRFに負の値のキャンバ角θRが形成されるので、トレッド37において、高グリップ領域39だけが路面GRDと接触する。その結果、大きいグリップ力を発生させながら車輪WRFを回転させ、車両を走行させることができる。
このように、本実施の形態においては、車両を左に旋回させる場合、旋回方向と反対側の車輪WRFにおいて、十分に大きなグリップ力を発生させることができるので、横すべりが発生するのを防止することができ、車両を安定させて走行させることができる。
なお、前記付勢力Fsを更に小さく設定し、横力Faを発生源とするキャンバ角θLaの負の値を絶対値において大きくすると、車輪WLFにおけるキャンバ角θLを負の値にすることができる。その場合、旋回方向と同じ側の車輪WLFにおいても、十分に大きなグリップ力を発生させることができるので、横すべりが発生するのを一層防止することができる。
次に、車両の制動時におけるキャンバ角調整装置の動作について説明する。
図11は本発明の実施の形態における制動時の横力を説明する第1の図、図12は本発明の実施の形態における制動時の横力を説明する第2の図、図13は本発明の実施の形態における横力によって形成されるキャンバ角の説明図である。
図において、WLFは前方左側の車輪、WRFは前方右側の車輪、36はタイヤ、37はトレッド、38は低転がり抵抗領域、39は高グリップ領域、56はキャンバ軸、GRDは路面である。なお、図12において、前記キャンバ軸56は、路面GRDからの距離を表すために、便宜的に車輪WLF、WRF内に置かれているが、実際は、図1及び3に示されるように車輪WLF、WRF外に置いたり、車輪WLF、WRF内に置いたりすることができる。
この場合、例えば、運転者がブレーキペダル15(図2)を踏み込み、車両を制動しようとすると、車輪WLF、WRFに、互いにトウアウトの方向に、トウ角αが形成されるようになっている。そのために、前記それぞれ二つのブッシュ62、64のうちの前方のブッシュ62、64は、変形しやすく剛性の低い材料を介してビーム65に外嵌され、後方のブッシュ62、64は、変形しにくく剛性の高い材料を介してビーム65に外嵌される。したがって、車両が制動されると、前方のブッシュ62、64は、後方のブッシュ62、64に対して外側に移動させられ、車輪WLF、WRFが開かれ、トウ角αが形成される。
そして、車両の制動に伴って、図11に示されるように、各タイヤ36における路面GRDとの接地面に、車両の走行方向と反対側に向けてブレーキ力Fbが発生すると、該ブレーキ力Fbにおける車輪WLF、WRFの回転軸と平行な方向の分力が横力Fc
Fc=Fb・sinα
として発生する。
Fc=Fb・sinα
として発生する。
この場合、図12に示されるように、各タイヤ36における路面GRDとの接地面に、外側に向けて横力Fcが発生させられる。また、スプリング58は車輪WLF、WRFを付勢力Fsでボディ11側に向けて付勢する。
したがって、図12に示されるように、前記キャンバ軸56とスプリング58の中心との間の距離をL1とし、キャンバ軸56と路面GRDとの間の距離をL2としたとき、車輪WLFにおいては、キャンバ軸56を中心として、横力Fc及び付勢力Fsよって互いに逆方向にモーメントが発生する。この場合、各モーメントが釣り合うと、
Fs・L1=Fc・L2
になり、そのときの付勢力Fsは、
Fs=Fc・L2/L1
になる。そこで、付勢力Fsが値Fc・L1/L2より小さくなるように設定すると、図13に示されるように、横力Fcを発生源として、車輪WLF、WRFに負の値のキャンバ角θLc、θRcが形成される。
Fs・L1=Fc・L2
になり、そのときの付勢力Fsは、
Fs=Fc・L2/L1
になる。そこで、付勢力Fsが値Fc・L1/L2より小さくなるように設定すると、図13に示されるように、横力Fcを発生源として、車輪WLF、WRFに負の値のキャンバ角θLc、θRcが形成される。
したがって、各車輪WLF、WRFのトレッド37において、高グリップ領域39だけが路面GRDと接触させられる。したがって、十分に大きなグリップ力を発生させながら車輪WRFを停止させ、車両を停止させることができる。
このように、本実施の形態においては、制動時に、各車輪WLF、WRFにおいて、十分に大きなグリップ力を発生させることができるので、制動距離が長くなるのを防止することができる。
また、キャンバ角θL、θR、θLc、θRcを形成するために、アクチュエータを配設する必要がないので、旋回時、制動時等に消費されるエネルギーを少なくすることができる。したがって、燃費をよくすることができる。
本実施の形態においては、ナックルユニット51における上側にキャンバ軸56が、下側にスプリング58が配設されるようになっているが、ナックルユニット51における下側にキャンバ軸56を、上側にスプリング58を配設することができる。その場合、スプリング58は負の値のキャンバ角を形成するために、キャンバプレート57をナックルアーム55から離れる側に向けて付勢する。
また、本実施の形態においては、各車輪WLF、WRFのタイヤ36のトレッド37において、区分線Ld1より外側に低転がり抵抗領域38が、区分線Ld1より内側に高グリップ領域39が形成されるようになっているが、トレッド37の幅方向に三つ以上の領域が形成される場合、各領域のうちの最も内側に高グリップ領域が形成され、負の値のキャンバ角が形成されるのに伴って、高グリップ領域が路面に接地させられる。
また、本実施の形態において、各サスペンション機構31〜34はダブルウィッシュボーン式の懸架構造を有するようになっているが、本発明をストラット式の懸架構造を有するサスペンション機構に適用することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
11 ボディ
31〜34 サスペンション機構
36 タイヤ
39 高グリップ領域
55 ナックルアーム
56 キャンバ軸
57 キャンバプレート
58 スプリング
59 突起
Fa、Fc 横力
Fb ブレーキ力
Fs 付勢力
GRD 路面
WLF、WRF、WLB、WRB 車輪
α トウ角
θLa、θRa キャンバ角
31〜34 サスペンション機構
36 タイヤ
39 高グリップ領域
55 ナックルアーム
56 キャンバ軸
57 キャンバプレート
58 スプリング
59 突起
Fa、Fc 横力
Fb ブレーキ力
Fs 付勢力
GRD 路面
WLF、WRF、WLB、WRB 車輪
α トウ角
θLa、θRa キャンバ角
Claims (4)
- 車両のボディと、該ボディに対して回転自在に配設された複数の車輪と、前記ボディと各車輪との間に配設されたサスペンション機構とを有し、各車輪のタイヤに、路面に対するグリップ力が大きくされた高グリップ領域が形成されたサスペンションシステムにおいて、前記サスペンション機構は、ボディ側に配設された第1の要素、前記各車輪を回転自在に支持し、第1の要素に対してキャンバ軸を揺動中心にして揺動自在に配設された第2の要素、及び第1、第2の要素間に配設され、所定の付勢力で第2の要素を付勢する付勢部材を備え、タイヤに加わる横力及び前記所定の付勢力に応じて、第2の要素を所定の方向に回動させ、各車輪にキャンバ角を形成し、前記高グリップ領域を路面に接地させることを特徴とするサスペンションシステム。
- 前記第2の要素は、回動規制部材によって、前記所定の方向に対して逆の方向への回動が規制される請求項1に記載のサスペンションシステム。
- 前記車輪は、操舵輪であり、キャスタ角を付けて支持される請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
- 前記キャンバ角は、車両の制動時にタイヤに加わるブレーキ力、及び車両の制動時に発生するトウ角によって形成される請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
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- 2008-03-31 JP JP2008092809A patent/JP2009241846A/ja active Pending
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