JP2009238869A - 搬送トレー及びこの搬送トレーを用いた真空処理装置 - Google Patents

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【課題】 基板が密着性よく保持され、当該基板との間で迅速な熱交換が行われるようにした真空処理装置用の搬送トレーを提供する。
【解決手段】 処理すべき基板Sに対し真空雰囲気にて所定の処理を実施する真空処理装置に搬送自在であって、当該基板の少なくとも1枚を保持できる搬送トレー1において、この搬送トレーの一面に基板の外形に対応した凹部2が形成され、当該凹部の底面2aに熱伝導性シートが貼着され、当該凹部に落とし込むことで設置される基板の外周縁部を熱伝導性シートに対して押圧する押圧手段4を設けた。
【選択図】 図2

Description

本発明は、処理すべき基板に対し真空雰囲気にて所定の処理を実施するCVD、スパッタリング装置やエッチング装置など、特にプラズマを用いた真空処理装置に搬送自在な搬送トレー及びこの搬送トレーを用いた真空処理装置に関する。
CVD装置、スパッタリング装置や反応性イオンエッチング装置などの真空処理装置では、処理すべき基板の温度が処理速度などに大きな影響を与えることから、基板をその全面に亘って略均一な温度に制御することが求められる。このため、真空処理装置の処理室内に、基板の載置を可能とするステージを設け、加熱手段を組付けたステージの基板載置面に、基板裏面との間で所定の空間を置いて被処理基板を載置できる凹部を形成し、この空間にヘリウムガスなどの冷却ガスを循環させ、基板の加熱と冷却による基板の温度制御を可能としたものが知られている(例えば、特許文献1)。
他方で、上記真空処理装置では、生産性を高めるため複数枚の基板を処理室に同時搬送して処理したり、または、装置構成を変更することなく外形寸法の異なる基板に対し同一の処理を行うために、複数枚の基板を保持できる搬送トレーを用いることが一般に知られている。このような場合には、基板の温度制御が搬送トレーを介して行われることになるが、搬送トレーに対する基板の接触が不十分になり易く、両者間に微小な隙間が生じる虞がある。
つまり、トレー及び基板の可搬性を重視して、単に基板を搬送トレーに形成した凹部に落とし込んでセットしただけでは、減圧下では両者の間が真空断熱され、基板とステージとの間の熱交換が不十分になる。そこで、搬送トレーと基板とを、発泡剥離性シート(熱剥離接着部材)で接着することが特許文献2で知られている。
特開平5−13350号公報 特開2007−201404号公報
上記特許文献2記載のものでは、基板の片面(所定の処理が施される面と反対側の面)に予め発泡剥離性シートを貼着し、この基板を搬送トレーの所定位置に配置した後、基板の周囲に配置したシール材を介して蓋を載置し、蓋を機械的に被処理材に押圧しつつ、基板、シール材及び蓋により形成される与圧室内に気体を注入することで当該基板をその全面に亘って略均等に押圧し、両者を接着させ、搬送トレーと基板に貼着された発泡剥離性シートとの間に空気が残留することを防止している。然し、このものでは、CVDなどの処理の間、基板の加熱冷却を行い、発泡剥離性シートの耐熱温度を超えた所定温度に保持するものには利用できない場合があった。
また、基板の片面に発泡剥離性シートを貼着する場合に、基板と発泡剥離性シートとの間に空気が局所的に残留しないように、当該発泡剥離性シートを貼着する方法が開示されておらず、空気が完全に残留しないように基板に発泡剥離性シートを貼着することが実質的に困難であった。
ここで、プラズマを用いて所定の処理を行う真空処理装置においては、基板と発泡剥離性シートとの間に微少な空気が残留していても、プラズマからの基板への入熱量が少ないとき、基板温度は然程上昇しない。他方で、反応性イオンエッチング装置のようにステージにバイアス電圧を印加するようなものにおいては、エッチングレートを高めるためバイアス電圧を高く設定することで基板への入熱量が増加したとき、基板と発泡剥離性シートとの間に局所的に残留する空気による熱伝導の低下に伴い、基板温度が急激上昇する場合がある。
そこで、本発明は、上記点に鑑み、基板が密着性よく保持され、当該基板との間で迅速な熱交換が行われるようにした真空処理装置用の搬送トレー及びこの搬送トレーを用いた真空処理装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1記載の搬送トレーは、処理すべき基板に対し真空雰囲気にて所定の処理を実施する真空処理装置に搬送自在であって、当該基板の少なくとも1枚を保持できる搬送トレーにおいて、この搬送トレーの基板載置面に基板の外形に対応した凹部が形成され、当該凹部の底面に熱伝導性シートが貼着され、当該凹部に落とし込むことで設置される基板の外周縁部を熱伝導性シートに対して押圧する押圧手段を設けたことを特徴とする。
これによれば、搬送トレーに、例えば押圧ローラを用いて空気残留しないように熱伝導シートを予め貼着しておく。そして、基板を、凹部の熱伝導シート表面に落とし込むことでセットし、押圧手段によって基板を押圧して熱伝導シートに密着させる。この場合、搬送トレーと基板との間に熱伝導シートを介在させているため、当該搬送トレーと基板との間で迅速な熱交換が行われるようにできる。所定の処理後は、押圧手段による押圧を解除し、熱伝導性シートはそのままで基板のみを交換する。従って、熱伝導シートを一度貼着しておけばよいため、搬送トレーへの基板の搬出入の作業性が損なわれることがない。
ところで、上記のように押圧手段によって基板の外周縁部を押圧する場合、基板に反りが生じていると、当該基板の中央部が浮き上ってしまう虞がある。本発明においては、前記凹部の底面を、その外周縁部から中央部に向うに従い上方に突出するアール面とした構成を採用しておけば、基板の外周縁部を押圧したときに当該基板がアール面に沿って湾曲することで、簡単な構成で熱伝導シートに基板をその全面に亘って密着させることができてよい。
上記構成の発明においては、押圧手段によって押圧力を加えた場合に基板と熱伝導性シートとの間に空気が残留し難くするためには、前記熱伝導性シートは、基板との密着面に接着層を有しないものであることが望ましい。
また、上記課題を解決するために、請求項4記載の真空処置装置は、請求項1乃至請求項3記載の搬送トレーが用いられる真空処理装置において、所定圧力に保持可能な処理室と、この処理室内で搬送トレーを保持するステージとを備え、このステージに搬送トレーが保持されたとき、搬送トレーにセットされた基板の加熱または冷却を可能とする加熱冷却手段を組み付けたことを特徴とする。
前記ステージに、静電気力によって搬送トレーを吸着する静電チャック用の電極を配置したものであれば、静電チャックによってステージに搬送トレーがその全面に亘って一様な力で吸着されるため、ステージと搬送トレーとの間で熱伝達率が悪くなることはない。
図1及び図2を参照して説明すれば、1は、CVD装置、スパッタリング装置や反応性性イオンエッチング装置など、特にプラズマを用いる真空処理装置に用いられる本発明の搬送トレーである。搬送トレー1は、例えば真空処理装置の処理室に設けられ、この搬送トレー1が載置されるステージ(図示せず)の上面の輪郭に略一致させて形成され、所定の板厚を有する円板から構成されている。搬送トレー1は、真空処理装置の処理室内で実施される処理に応じて、熱伝導が良く、その処理に影響を与えない材料から適宜選択され、例えば、SiC、SiNやアルミナ等の材料から形成される。
搬送トレー1の上面(基板の処理面S1側)には、処理すべき基板Sを処理室内に同時搬送して処理できるように、例えば同形状の4個の凹部2が同一円周上で所定の間隔を存して形成されている。凹部2の開口面の形状は基板Sの輪郭に略一致させて形成され、当該凹部2に、基板Sの処理面S1が凹部2と背向するようにして落とし込むことで、搬送トレー1に基板Sがセットされる。
また、凹部の底面2aは、その外周縁部から中央部に向うに従い上方に突出するアール面として形成されている(図2参照)。この場合、底面2aの曲率は、後述する押圧手段により基板Sの外周縁部に押圧力を加えたときに、後述の熱伝導シートに基板Sをその全面に亘って密着させることができるが、基板Sが必要以上に湾曲されて破損しないように設定されている。
凹部2の底面2aには、熱伝導性シート3がその全面に亘って貼着されている。熱伝導性シートとしては、基板Sと搬送トレー1との間の熱交換を迅速に行い得るものであればよく、GELTEC社製のCOHシリーズ、WIDEWORK社製のSTTシリーズや親和産業社製のSS−TCTシリーズ等が用いられる。また、熱伝導性シートSの一面には、耐熱性を有する公知の粘着剤(図示せず)が形成され、当該粘着剤を介して、例えば押圧ローラを用いて空気残留しないように予め貼着されている。他方で、熱伝導シート3の他面(基板との当接面)には、接着層が形成されておらず、平滑な面として形成されている。
また、搬送トレー1には、基板Sの外周縁部に対して押圧力を加える押圧手段4が着脱自在に設けられている。押圧手段4は、基板Sが臨む中央開口が形成された所定厚さの環状の円板であり、搬送トレー1と同様に、真空処理装置の処理室内で実施される処理に応じてその材質が適宜選択されている。また、押圧手段4には複数個の貫通孔(図示せず)が形成され、この貫通孔を介して、搬送トレー1の凹部2の外側に形成したねじ孔にボルト5を螺着することで搬送トレー1に装着されるようになっている。
これにより、基板Sを、凹部2aの熱伝導シート3上に落とし込むことでセットし、押圧手段3によって基板Sの外周縁部を押圧することで、基板Sはアール面に沿って湾曲され、その全面に亘ってかつ空気が残留することなく、熱伝導シート3に密着するようになる。その結果、搬送トレー1と基板Sとの間に存する熱伝導シート3により、当該搬送トレー1と基板Sとの間で迅速な熱交換が行われる。
尚、搬送トレー1に、基板Sまたは熱伝導シート3に通じるガス通路(図示せず)を開設し、当該ガス通路にヘリウムガスなどの冷却ガスを循環させ、基板Sまたは熱伝導シート3に直接冷媒を作用させて冷却する構造を採用するようにしてもよい。
次に、図3及び図4を参照して、本発明の搬送トレー1が用いられる真空処理装置についてエッチング装置を例に説明する。図3(a)及び図3(b)に示すように、エッチング装置10は、公知の構造を有し、図示省略した排気管が接続された真空チャンバ11を有する。真空チャンバ11の天井部中央には開口12が形成され、開口12を覆うように真空チャンバ11の天井部には石英板13が装着されている。
真空チャンバ11の底部には、絶縁体11aを介してステージ14が開口12と同心に対向配置されている。略円筒形状のステージ14は高周波電源14aに接続され、処理中に、プラズマと被処理物たる基板Sとの間に自己バイアス電位が生じるようになっている。また、ステージ14には、シリコン基板などのエッチング処理すべき基板Sの複数枚を保持した搬送トレー1(図1及び図2参照)が載置できるようになっている。
ステージ14の上面は、搬送トレー1の外形に略一致させて形成され、搬送トレー1の載置面を形成する。この場合、載置面にその上方に向かって突出するピンを複数立設すると共に、搬送トレー1の裏面にこのピンが係合する孔を設け、公知の多間接式ロボットによって搬送トレー1を真空チャンバ11に搬送し、ステージ14に載置する際、搬送トレー1が位置決めして載置される構成を採用することが好ましい。
ステージ14の載置面には、静電気によって搬送トレー1を吸着する公知の構造の静電チャック用の電極14bが設けられている(図4参照)。ステージ14の内部には、図示省略した抵抗加熱式のヒータと、冷却水などの冷媒の循環用の循環路とが組み込まれ、処理中に搬送トレー1の加熱または冷却により、搬送トレー1に設置した基板Sの間接的な温度制御ができるようになっている。この場合、静電チャックによってステージ14の載置面に対し搬送トレー1がその全面に亘って一様な力で吸着されるため、ステージ14と搬送トレー1との間で局所的に熱伝達率が悪くなることを防止できる。
真空チャンバ11内には、防着板15が取り付けられ、防着板15で区画された空間が処理室を構成し、当該処理室には図示省略したガス導入手段を介して所定のエッチングガスが所定の流量で導入できるようになっている。石英板13の上方には複数個の永久磁石16が放射状に配置され、永久磁石16の上方にはアンテナコイル17が配置され、アンテナコイル17が高周波電源17aに接続され、処理室に導入されたエッチングガスをプラズマ化できるようになっている。ここで、エッチングガスは、処理をしようとする基板Sに応じて適宜選択され、また、不活性ガスなどのキャリアガスを所定の混合比で混合して処理室に供給するようにしてもよい。例えば、被処理物たる基板Sがサファイア基板表面にGaNが成膜されたものであり、このような基板Sをエッチング処理する場合には、エッチングガスとして塩素等が用いられる。
そして、ステージ14の載置面に、基板Sがセットされた搬送トレー1を載置した後、真空チャンバ11を真空引きし、当該真空チャンバ11内の圧力が所定値に達すると、当該真空チャンバ11内にガス導入手段を介して所定のエッチングガスを導入すると共に、各高周波電源14a、17aを介して高周波電位を印加する。これにより、エッチングガスがプラズマ化され、プラズマ中のイオン種やラジカルが基板Sに衝突し、当該基板Sがエッチングされる。
尚、本実施の形態では、エッチング装置10を例として説明したが、真空処理装置は、これに限定されるものではく、基板Sの温度制御が必要な真空処置装置であれば、本発明を適用でき、特に、高いバイアス電圧を印加することで、プラズマからの入熱により基板温度が高くなり得るものに最適である。また、搬送トレー1として、複数枚の被処理基板を処理室に搬送して同時処理できるものについて説明したが、これに限定されるものではなく、装置構成を変更することなく外形寸法の異なる被処理基板に対し同一の処理をするように構成した搬送トレーにも本発明を適用できる。
本発明の搬送トレーを説明する平面図。 図1に示す搬送トレーのII−II線に沿った断面図。 本発明の搬送トレーを用いるエッチング装置の模式的断面図。 ステージへの搬送トレーの載置を説明する平面図。
符号の説明
1 搬送トレー
2 凹部
2a 底面
3 熱伝導性シート
4 押圧手段

Claims (5)

  1. 処理すべき基板に対し真空雰囲気にて所定の処理を実施する真空処理装置に搬送自在であって、当該基板の少なくとも1枚を保持できる搬送トレーにおいて、
    この搬送トレーの一面に基板の外形に対応した凹部が形成され、当該凹部の底面に熱伝導性シートが貼着され、
    当該凹部に落とし込むことで設置される基板の外周縁部を熱伝導性シートに対して押圧する押圧手段を設けたことを特徴とする搬送トレー。
  2. 前記凹部の底面を、その外周縁部から中央部に向うに従い上方に突出するアール面としたことを特徴とする請求項1記載の搬送トレー。
  3. 前記熱伝導性シートは、基板との密着面に接着層を有しないものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の搬送トレー。
  4. 請求項1乃至請求項3記載の搬送トレーが用いられる真空処理装置において、所定圧力に保持可能な処理室と、この処理室内で搬送トレーを保持するステージとを備え、このステージに搬送トレーが保持されたとき、搬送トレーにセットされた基板の加熱または冷却を可能とする加熱冷却手段を組み付けたことを特徴とする真空処理装置。
  5. 前記ステージに、静電気力によって搬送トレーを吸着する静電チャック用の電極を配置したことを特徴とする請求項4記載の真空処理装置。
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