JP2009235579A - リードフレーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】素材金属10の表面に下地めっき層を介して貴金属めっき層13が形成されたリードフレームにおいて、下地めっき層を、素材金属10上に極性反転成分を有しない直流電流又はパルス電流を用いてめっきされた平滑Niめっき層11と、平滑Niめっき層11の上に極性反転パルスを含む電流を用いてめっきされた粗面化Niめっき層12とによって形成した。
【選択図】図1
Description
スタンピング法又はエッチング法により作られたリードフレーム素材を脱脂、酸洗などの前処理をした後、このリードフレーム素材にNiめっき浴に浸漬してNiめっき層を形成し、その上にPdめっき層、又はPdめっき層の上にさらにAuめっき層を付着させている。なお、NiめっきはPPF以外にも半導体装置に広く採用され、例えば、自動車などの専用半導体装置において、耐熱性の要求を満たすため、又は素材となる銅や銅合金の拡散を防止するために、リードフレーム表面にまず下地Niめっきを実施し、その上に全面或いは部分的にAuめっきや銀(以下、Ag)めっきが行われている。
現行めっき方法により得られた下地Niめっき層の柔軟性が不十分であるため、IC封止後の曲げ加工の時クラックが発生し易い。すなわち、通常のNiめっきにおいて、電源からめっき素材に通じた電流は全てNiイオンからメタルNiへの還元反応に消費されず、一部分の電流は副反応として水素イオンの還元反応に消費され、この還元された水素原子の大部分は水素分子になり水素ガスとして放出されるが、その一部はNi結晶格子中に取り込まれ、Niと固溶体を形成するか又はNi結晶粒界に吸着原子として残る。その結果、Niめっき層内に残留応力と水素脆性があるため、曲げ加工の時、クラックが発生し、本来目的とする下地金属の拡散の防止、半田濡れ性及びワイヤーボンディング性を失う。
そこで、PPF中の下地Niめっき層に関して緻密性が異なる複数のNi層を形成することによりモールド樹脂との密着性の向上を図る技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。すなわち下地Niめっき層の下層は平滑且つ緻密な層を形成するNiめっきにより形成され、その上層は縦方向への結晶成長を優先する脈流(パルス)のNiめっきにより形成されている。
しかしながら、このNiめっきでは上層のNiめっきに十分な表面粗さが得られず、アンカ効果が弱い。従ってモールド樹脂との密着性が不十分である。
前記下地めっき層を、前記素材金属上に形成された平滑Niめっき層と、該平滑Niめっき層の上に形成され、表面が不定形の角状又は針状に粗面化された粗面化Niめっき層とによって形成し、前記貴金属めっき層の表面を前記粗面化Niめっき層に合わせて粗面化している。
なお、本発明に係るリードフレームにおいて、前記平滑Niめっき層の厚みは0.001〜0.1μmの範囲にあり、前記粗面化Niめっき層の表面粗さRaが0.1〜0.8μmの範囲にあるのが好ましい。
前記平滑Niめっき層の上面に極性反転パルスを含む電流を用いてめっきされた粗面化Niめっき層を形成する第2工程と、
前記粗面化Niめっき層の上面全部又はその一部に貴金属めっき層を形成する第3工程とを有し、
しかも、前記第2工程の粗面化Niめっき層を形成する過程での極性反転パルスによって生じる減肉厚みより、前記平滑Niめっき層の厚みを十分大きくしている。
なお、このリードフレーム及びそのめっき方法において、貴金属めっきとは、例えば、半田との接合性がよいPd、Pd合金、Au、Pt、Ag、Ag合金の少なくとも1からなるものをいう。また、本発明は、前記した具体的な数字に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での数値変更をすることもできる。
また、極性が反転する電流波形を用いためっきでは、粒径の大きなNi結晶粒子が形成され易い。結晶粒子は粒径が小さいほど、表面自由エネルギーが高く不安定であるため、反転電流(溶解電流)をかけると結晶粒径が小さいものから優先的に溶ける。このように周期的に極性が反転する電流波形を用いてカソード電流とアノード電流が交互に繰り返し印加すると、結晶粒子が大きい角状又は針状の粗いNiめっき層が形成される。よって、リードフレームとモールド樹脂との間に強力なアンカー効果が生じ、強い樹脂密着性を得ることができる。更に、大きな結晶粒子のNi膜が形成されることにより熱処理(焼鈍)を加えた場合の効果と同様にNi膜が軟らかくなり、曲げ加工などの加工性をさらに向上させる。
従って、十分な粗い表面を得るためには、第2層目のNiめっき条件として、周期的に極性が反転する電流による電流波形を用いる上でpHが2.0以下で且つハロゲンイオンを含むNiめっき液が必要となる。
そして、粗面化Niめっき層の下層に平滑Niめっき層が形成されているので、リードフレームの素材金属がめっき液に溶け込んだり、あるいはめっき表面に露出することがなく、マイグレーション等に起因する製品不良の問題が生じない。
鉄ニッケル合金あるいは銅又は銅合金などからなるリードフレームの素材金属10(以下、LF材10という)を脱脂、酸洗し、Niめっき浴に浸漬し、極性が反転しない直流電流あるいはパルス電流を用いて、第1層目のNiめっきである平滑Niめっき層11を形成する。LF材10の溶出防止効果を得るために、第1層目のNiめっき層厚は0.01μm以上であることが望ましいが、場合によっては、以下に説明する極性反転パルス電流を制御することによって、平滑Niめっき層11の厚みを0.001〜0.1μmの範囲にすることもできる。これによって、以下に説明する極性反転パルス電流による減肉厚みを確保することができる。
そして、0.1μm以上の平均粗さを得るには、アノード電流(反転電流)の電気量はカソード電流の電気量の20%〜80%、周波数は10〜1000Hz(周期1〜100ms)の電流波形でめっきすることが望ましい。その平均電流密度は0.5〜20A/dm2である。なお、この粗面化Niめっき層12の厚みは、0.5〜5μmの範囲であれば、経済性を考慮して十分にその表面を粗面化することができる。なお、粗面化Niめっき層12の厚みによっては、平均粗さを最大0.8μmにすることもできる。
なお、第2層目のNiめっき層の上に使用目的に応じて機能めっきを実施してもよい。例えば、全面あるいは部分的にPd、Au、Ag等のめっき又はこれらの合金めっきを行い、表面に貴金属めっき層13を形成する。例えば、PPFなら第2層目のNiめっき層の上にPdめっきを行いさらにその上にAuフラッシュめっきを行ってもよい。
〔実施例1〕
(1)銅合金基材のリードフレーム表面に、周知の方法により脱脂及び活性化を行った後、通常のワット浴(硫酸Ni240g/L、塩化Ni45g/L、ホウ酸35g/L、pH3.5、温度60℃)を用い、電流は周期的に極性の反転しない電流波形であって、電流密度2A/dm2、めっき時間10秒の条件で第1層目のNiめっきを実施した。
(2)上記の(1)で得られたサンプルにさらに第2層目のNiめっきを施した。使用したNiめっき液はpHが1.0のワット浴(浴組成は上記(1)と同じ)であった。電流波形は周期的に極性が反転する矩形PR波で平均電流密度が5A/dm2、アノード電流(反転電流)の電気量がカソード電流の電気量の50%、周波数が20Hz(周期50ms)の条件でめっきを行った。めっき時間はトータルのNiめっき層厚が1.0μmとなるように設定した。
(1)銅合金基材のリードフレーム表面に、周知の方法により脱脂及び活性化を行った後に、通常のワット浴(硫酸Ni240g/L、塩化Ni45g/L、ホウ酸35g/L、pH3.5、温度60℃)を用い、電流は周期的に極性の反転しない電流波形であって、電流密度2A/dm2、めっき時間10秒の条件で第1層目のNiめっきを実施した。
(2)上記の(1)で得られたサンプルにさらに第2層目のNiめっきを施した。使用したNiめっき液はpHが1.0のワット浴(浴組成は上記(1)と同じ)であった。電流波形は周期的に極性が反転する矩形PR波で平均電流密度が5A/dm2、アノード電流(反転電流)の電気量がカソード電流の電気量の50%、周波数が20Hz(周期50ms)の条件でめっきを行った。めっき時間はトータルのNiめっき層厚が1.0μmのように設定した。
(3)その上に0.03μmのパラジウムめっき、さらにパラジウムめっきの上に0.01μmの金フラッシュめっきを実施した。
(1)合金基材のリードフレーム表面に、周知の方法により脱脂及び活性化を行った後に、通常のワット浴(硫酸Ni240g/L、塩化Ni45g/L、ホウ酸35g/L、pH3.5、温度60℃)を用い、電流は周期的に極性の反転しない電流波形であって、電流密度2A/dm2、めっき時間10秒の条件で第1層目のNiめっきを実施した。
(2)上記の(1)で得られたサンプルにさらに第2層目のNiめっきを施した。使用したNiめっき液はpHが1.5のワット浴(浴組成は上記(1)と同じ)であった。電流波形は周期的に極性が反転する矩形PR波で平均電流密度が5A/dm2、アノード電流(反転電流)の電気量がカソード電流の電気量の50%、周波数が20Hz(周期50ms)の条件でめっきを行った。めっき時間はトータルのNiめっき層厚が1.0μmとなるように設定した。
(3)その上に通常のシアン化銅めっき浴にて0.1μmのスポット銅めっきを施し、さらにスポット銅めっき層の表面に4.0μmのスポット銀めっき層を付けた。
(1)A42材(銅合金材)のリードフレーム表面に、周知の方法により脱脂及び活性化を行った後に、pHが0.5のワット浴(硫酸Ni240g/L、塩化Ni45g/L、ホウ酸35g/L、温度60℃)を用い、電流は周期的に極性の反転しない電流波形であって、平均電流密度4A/dm2、めっき時間10秒の条件で第1層目のNiめっきを実施した。
(2)上記の(1)で得られたサンプルにさらに第2層目のNiめっきを施した。使用したNiめっき液はpHが上記の(1)と同じワット浴であった。電流波形は周期的に極性が反転する矩形PR波で平均電流密度が10A/dm2、アノード電流(反転電流)の電気量がカソード電流の電気量の70%、周波数が10Hz(周期100ms)の条件でめっきを行った。めっき時間はトータルのNiめっき層厚が1.0μmとなるように設定した。
(3)その上に酸性金めっき液中で0.1μmの金めっきを実施した。
(1)銅合金基材のリードフレーム表面に、周知の方法により脱脂及び活性化を行った後、通常のワット浴(硫酸Ni240g/L、塩化Ni45g/L、ホウ酸35g/L、pH3.5、温度60℃)を用い、電流密度2A/dm2の条件でNiめっきを実施した。Niのめっき時間は膜厚が1.0μmとなるように設定した。
(1)合金基材のリードフレーム表面に、実施例2の(1)と同じ条件でNiめっきを実施した。Niめっき層厚は1.0μmであった。
(2)その上に0.03μmのパラジウムめっき、さらにパラジウムめっきの上に0.01μmの金フラッシュめっきを実施した。
(1)実施例4の(1)と同じ条件でNiめっきを実施した。しかし、Niめっき層厚は3.0μmであった。
(2)その上に、実施例4の(3)と同じく金めっきを実施した。
以上の実施例1〜4と比較例1〜3の評価結果を表1に示している。
(1)曲げ加工などの加工性が優れている
通常のNiめっき層が加工性が劣る主な原因は、共析した水素原子がNi膜中へ吸蔵し、膜内の残留応力が溜まるためである。本発明では、共析した水素原子をアノード電流で除去することができるため、残留応力が殆どない。そのため、得られためっき層の脆性が小さく、曲げ加工後のクラックが発生しにくい。
本発明では、第2層目のNiめっきをするとき、アノード電流を含むので、Niの析出は結晶核の生成より結晶のエピタキシャル成長の方が速くなり、Niめっき層の結晶粒径と表面粗さが大きくなり、表面が不定形の角状や針状となる。この不定形な角状/針状の表面形態により、リードフレームとモールド樹脂との間で物理的なアンカー効果が生じ、通常品に比べてモールド樹脂との密着性が約2倍になる。しかもこのようなアンカー効果はアノード電流の電気量の割合を大きくすると共に強くなる。
(3)優れた耐食性を有する
通常の直流めっきに比べて、本実施例では、アノード電流を含むので、Niめっき層への水素吸蔵などによる歪みや不純物の混入が少ない。そのために、めっき層のピンホールなどの欠陥が少なく、優れた耐食性が得られる。
Claims (5)
- 素材金属の表面に下地めっき層を介して貴金属めっき層が形成されたリードフレームにおいて、
前記下地めっき層を、前記素材金属上に形成された平滑Niめっき層と、該平滑Niめっき層の上に形成された粗面化Niめっき層とによって形成したことを特徴とするリードフレーム。 - 請求項1記載のリードフレームにおいて、前記粗面化Niめっき層の表面粗さが0.1〜0.8μmの範囲にあることを特徴とするリードフレーム。
- 請求項2記載のリードフレームにおいて、前記平滑Niめっき層の厚みは、0.001〜0.1μmの範囲にあることを特徴とするリードフレーム。
- 請求項1〜3のいずれか1記載のリードフレームにおいて、前記貴金属めっき層は、Pd、Au、及びAgめっきの少なくとも1であることを特徴とするリードフレーム。
- 請求項4記載のリードフレームにおいて、前記貴金属めっき層は厚みが0.1μmのAuめっきであることを特徴とするリードフレーム。
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