JP2009235564A - 酸化タンタル蒸着材、その製造方法、および酸化タンタル蒸着膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Ta2O5相とTa2O相とを含有する酸化タンタル蒸着材。Ta2O5を、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着材の製造方法。
【選択図】なし
Description
(蒸着材の製造)
平均粒径1μm以下のTa2O5粉末(純度99.9%以上)を、プレス成形装置を用い、直径φ100mm、厚さ50mmの錠剤形ペレットとした。次いで、このペレットを銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行った。次いで、このペレットを電子ビーム溶解法により溶解し、蒸着材を得た。このとき、電子ビームをペレットの端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該ペレットの電子ビーム照射部分の溶融時間は約30秒であった。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta2O5(正方晶)とTa2O(立方晶)との混合相であった。Ta2O5の29.6度付近の(0012)面のピーク強度(ピークの高さの0.5乗からバックグランドの0.5乗を引いた値)に対する、Ta2Oの38度付近の(220)面のピーク強度(ピークの高さの0.5乗からバックグランドの0.5乗を引いた値)の比(ITa2O/ITa2O5)は0.13であった。
<X線回折測定条件>
回折装置 RAD−1C(株式会社リガク製)
X線管球 Cu
管電圧・管電流 40kV、30mA
スリット DS-SS:1度、RS:0.15mm
モノクロメータ グラファイト
測定間隔 0.002度
計数方法 定時計数法
次いで、該蒸着材を粉砕し、粉砕後の蒸着材を真空蒸着装置内に設置した。次いで、水冷された銅製るつぼへ粉砕した蒸着材12gを投入後、真空度10−5torrまで減圧し、その後、電流400mA、電圧6kVの出力にて、電子銃(日本電子株式会社製)で、蒸着材に電子ビームを照射することにより、ライナ中で溶解してベースを作成し、石英ガラス基板上に真空蒸着して蒸着膜の成膜を行った。真空蒸着の際のスプラッシュの発生状態、真空状態の劣化を溶解中の圧力変動(Pa)により評価した。結果を表1に示す。
なお、スプラッシュの発生状態を、以下のようにして評価した。焼結体(比較例2)を「2:スプラッシュ発生多い。」とし、「5:スプラッシュ発生なし。」、「4:スプラッシュ発生少ない。」、「3:スプラッシュ発生やや多い。」、「2:スプラッシュ発生多い。」、「1:スプラッシュ発生かなり多い。」のように、相対的評価を行った。
(蒸着材の製造)
平均粒径10μm 以下のTa2O5粉末(純度99.9%以上)を、プレス成形装置を用い、直径φ60mm、厚さ20mmの円柱状の成形体とした。次いで、この成形体を非消耗アーク炉の銅製の水冷ハースに100g充填し、炉内をアルゴンガスで完全に置換した後、アルゴンによって大気圧より若干加圧状態で保持ししつつ、電流550A、電圧55V を印加して20分間アーク溶解し、その後、炉内の雰囲気をそのまま保持して炉冷し、蒸着材を得た。粉末X線回折法で測定した結果、該蒸着材はTa2O5(正方晶)であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(蒸着材)
市販のTa2O5焼結体を蒸着材とした。粉末X線回折法で測定した結果、該市販のTa2O5焼結体は、Ta2O5(正方晶)であった。
(蒸着膜の製造)
市販のTa2O5焼結体を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(蒸着材の製造)
比較例1の平均粒径10μm以下のTa2O5粉末(純度99.9%以上)の代わりに、Ta2O5粉末(純度99.9%以上)と金属Ta粉末(純度99.9%以上)を質量比で100:5の割合で混合した混合粉末を用い、比較例1と同様の方法で行って、蒸着材を得た。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(蒸着材の製造)
比較例1の平均粒径10μm以下のTa2O5粉末(純度99.9%以上)の代わりに、Ta2O5粉末(純度99.9%以上)と金属Ta粉末(純度99.9%以上)を質量比で100:15の割合で混合した混合粉末を用い、比較例1と同様の方法で行って、蒸着材を得た。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
(蒸着材の製造)
比較例1の平均粒径10μm以下のTa2O5粉末(純度99.9%以上)の代わりに、Ta2O5粉末(純度99.9%以上)と金属Ta粉末(純度99.9%以上)を質量比で100:20の割合で混合した混合粉末を用い、比較例1と同様の方法で行って、蒸着材を得た。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
ができる。
(蒸着材の製造)
平均粒径10μm以下のTa2O5粉末(純度99.9%以上)を、プレス成形装置を用い、直径φ60mm、厚さ20mmの円柱状成形体とした。このTa2O5の成形体を真空加熱炉にて、真空度:1×10−2Torr、処理温度:300℃、処理時間:1時間で加熱し、吸着ガス除去処理を行った。その後、処理物した該成形体をアルミニウム蒸着されたポリエチレンシートで真空包装を行い保管した。
次いで、該成形体をポリエチレンシートより取り出し、銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行った。次いで、該成形体を電子ビーム溶解法により溶解し、蒸着材を得た。このとき、電子ビームを成形体の端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。そのときの該成形体全体の溶解時間、真空劣化の有無、アーキングの状態を評価した。アーキング状態とは、電子ビームを安定して連続的に照射できるか否かを評価したものである。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理において、処理時間を6時間とする以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理において、処理温度を500℃とする以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理において、処理温度を100℃とする以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
(蒸着材の製造)
実施例2の蒸着材を再度、銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行い、次いで、該成形体を電子ビーム溶解法により溶解、冷却した。さらにこの電子ビーム溶解法による溶解を行い、蒸着材を得た。このとき、電子ビームを成形体の端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒(1回の溶解において)であった。すなわち、実施例7は3回の繰り返し電子ビーム溶解を行なったものである。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta2O5(正方晶)とTa2O(立方晶)との混合相であった。Ta2O5の29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、Ta2Oの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は0.20であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
(蒸着材の製造)
実施例7の蒸着材を再度、銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行い、次いで、該成形体を電子ビーム溶解法により溶解、冷却した。さらにこの電子ビーム溶解法による溶解を行い、蒸着材を得た。このとき、電子ビームを成形体の端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒(1回の溶解において)であった。すなわち、実施例8は5回の繰り返し電子ビーム溶解を行なったものである。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta2O5(正方晶)とTa2O(立方晶)との混合相であった。Ta2O5の29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、Ta2Oの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は0.20であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
[実施例9]
(蒸着材の製造)
電子ビーム照射部分の溶融時間約5秒に代えて、約1秒とした以外は、実施例2と同様な方法で行った。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta2O5(正方晶)とTa2O(立方晶)との混合相であった。Ta2O5の29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、Ta2Oの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は0.02であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
Claims (5)
- Ta2O5相とTa2O相とを含有し、粉末X線回折によるTa2O5の(0012)面のピーク強度に対するTa2Oの(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が、0.02〜0.2であることを特徴とする酸化タンタル蒸着材。
- Ta2O5を、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着材の製造方法。
- Ta2O5を吸着ガス除去処理し、次いで、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする請求項2記載の酸化タンタル蒸着材の製造方法。
- Ta2O5を、真空雰囲気下、200℃以上で加熱して、前記吸着ガス除去処理を行うことを特徴とする請求項3記載の酸化タンタル蒸着材の製造方法。
- 請求項1記載の酸化タンタル蒸着材を用いて、真空蒸着を行い、酸化タンタル蒸着膜を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着膜の製造方法。
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