JP2009235564A - 酸化タンタル蒸着材、その製造方法、および酸化タンタル蒸着膜の製造方法 - Google Patents

酸化タンタル蒸着材、その製造方法、および酸化タンタル蒸着膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決課題】真空蒸着の際に、真空蒸着装置の真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量が少ない酸化タンタル蒸着材およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】Ta相とTaO相とを含有する酸化タンタル蒸着材。Taを、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着材の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、真空蒸着により基材に酸化タンタルの蒸着膜を形成させるために用いられる酸化タンタル蒸着材およびその製造方法、並びに該酸化タンタル蒸着材を真空蒸着の蒸着材として用いる酸化タンタル蒸着膜の製造方法に関する。
高屈折率層形成用の蒸着材としては、酸化タンタル(Ta)(屈折率:n=2.1)、酸化ジルコニウム(ZrO)(屈折率:n=2.2)、酸化チタン(TiO)(屈折率:n=2.4)、酸化ニオブ(Nb)(屈折率:n=2.1)などが用いられている。
中でも、蒸着材として酸化タンタルを用いて形成した蒸着膜は、屈折率が高く、硬度が高い。例えば、フィルター・ダイクロイックミラー、ブラスチックレンズ等の多層膜の高屈折物質として使用されている。通常の五酸化二タンタル蒸着材は、五酸化二タンタル粉末をプレス成形し焼結体としたペレットやターゲットが用いられる。
酸化タンタル蒸着膜は、通常、真空蒸着によって基材上に堆積される。この方法では、先ず、コーティングされるべき基材および蒸着材が入っている容器を、適切な真空蒸着装置内に設置し、次いで、装置内を排気し、真空にし、加熱および/または電子ビーム衝撃により、蒸着材を蒸発させ、薄膜の形状で基材表面に析出させる。
例えば、特開平4−325669号公報(特許文献1)、特開2006−111974号公報(特許文献2)には、酸化タンタル蒸着材が開示されている。
特開平4−325669号公報(特許請求の範囲) 特開2006−111974号公報(特許請求の範囲)
しかし、上記特許文献1、2の蒸着材には、(1)真空蒸着の際に脱酸素が起こり、真空蒸着装置内の真空度を落としてしまうため、真空度を安定させるための時間ロスが生じること、(2)真空蒸着の際に、スプラッシュが発生し、安定した成膜が困難であり、歩留りの低下や膜厚が不均一になる等の問題があった。
従って、本発明の課題は、真空蒸着の際に、真空蒸着装置の真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量が少ない酸化タンタル蒸着材およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、蒸着材として、Ta相とTaO相とを含有する蒸着材を用いることにより、真空蒸着の際に、真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量が少ないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明(1)は、Ta相とTaO相とを含有し、粉末X線回折によるTaの(0012)面のピーク強度に対するTaOの(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が、0.02〜0.2であることを特徴とする酸化タンタル蒸着材を提供するものである。
また、本発明(2)は、Taを、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着材の製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記本発明(1)の酸化タンタル蒸着材を用いて、真空蒸着を行い、酸化タンタル蒸着膜を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着膜の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、真空蒸着の際に、真空蒸着装置内の真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量が少ない酸化タンタル蒸着材およびその製造方法を提供することができる。
本発明の酸化タンタル蒸着材は、Ta相とTaO相とを含有し、粉末X線回折によるTaの(0012)面のピーク強度に対するTaOの(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が、0.02〜0.2である酸化タンタル蒸着材であり、真空蒸着により、酸化タンタル蒸着膜を基材に形成させるために用いられる蒸着材である。
本発明の酸化タンタル蒸着材は、Ta相とTaO相との混合相を主体とするものが好ましく、Ta相とTaO相との混合相が特に好ましい。なお、本発明の酸化タンタル蒸着材は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の化合物、あるいは、不純物等を含んでいてもよいが、蒸着膜の光学特性、例えば、屈折率、透過率への影響を考慮すると、本発明の酸化タンタル蒸着材は、高純度であることが望ましい。
本発明の酸化タンタル蒸着材は、粉末X線回折によるTa(正方晶)に対するTaO(立方晶)のXRDのピーク強度比(Taの29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対するTaOの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5))が、0.02〜0.2であることが好ましい。該粉末X線回折によるピーク強度比が、上記範囲内にあることにより、真空蒸着の際に、真空蒸着装置内の真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量が少ないという効果が高まる。なお、本発明において、XRDのピーク強度比は、各々のピーク高さの0.5乗からバックグランドの0.5乗を引いた値を、ピーク強度として計算される(各ピークのピーク強度=各ピークのピーク高さの0.5乗−バックグラウンドの0.5乗)。
本発明の酸化タンタル蒸着材としては、以下に示す本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法により製造されたものが、真空蒸着の際に、真空蒸着装置内の真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量が少ないという効果が高まる点で好ましい。
本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法は、Taを、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得る酸化タンタル蒸着材の製造方法である。
本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法において、電子ビームが照射されるTa(以下、原料Taとも記載)は、純度が可能な限り高いものが好ましい。また、該原料Taとして、市販のものを適宜使用できる。
該原料Taは、電子ビーム溶解の際に、該原料Taが飛散するのを防ぐために、粒状やペレット状等に成形されたものが好ましい。
そして、本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法では、該原料Taに、真空雰囲気下で、電子ビームを照射して該原料Taを溶解する、電子ビーム溶解法により該原料Taの溶解を行う。なお、該原料Taに、電子ビームを照射して該原料Taの溶解を行う際の真空雰囲気とは、1×10−4torr以下の真空度である。
本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法において、電子ビーム溶解法により該原料Taの溶解を行う方法としては、特に制限されず、通常、金属の溶解に用いられている電子ビーム溶解法を用いることができる。また、本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法において、電子ビーム溶解法を行うための装置としては、特に制限されず、通常、電子ビーム溶解法に用いられる装置を用いることができる。該原料Taの溶融時間は25秒以下で充分であり、短時間で製造が可能であるため、酸化タンタル蒸着材の生産性を向上することができ、スプラッシュの発生を少なくすることができる。
また、電子ビーム溶解法による該原料Taの溶解を繰り返し行ってもよい。また、新しい該原料Taへ、電子ビーム溶解法により該原料Taを溶解して得たTaを加えた後、両者の混合物を電子ビーム溶解法により溶解してもよい。粉末X線回折によるTaの(0012)面のピーク強度に対するTaOの(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は、溶解時間や繰り返しの溶解回数により変動する。溶解時間を短くすることにより、該ピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)を0.02まで小さくすることができる。しかし、0.02より小さくすることは困難である。また、電子ビーム溶解法により該原料Taを溶解して得たTaを、再度、電子ビーム溶解法により溶解するように、電子ビーム溶解法による溶解を繰り返し行う(溶解時間を長くする)と、該ピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は増加する。溶解時間を25秒以下とすると、Taのピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が0.2以下とすることができる。原料Taの溶融時間が25秒を越える場合、Taのピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が0.2を越えることがあり、この場合、蒸着膜を製造する際、スプラッシュの発生量が多くなる傾向となる。
本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法では、該原料Taを電子ビーム溶解法により溶解する前に、該原料Taの吸着ガスを除去する、吸着ガス除去処理を行うことが、電子ビーム溶解法の溶解処理時間を短縮できる点および電子ビームのアークが安定する点で好ましい。更に、本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法では、該吸着ガス除去処理を、真空雰囲気下、200℃以上で該原料Taを加熱することにより行うことが特に好ましい。該吸着ガス除去処理を、真空雰囲気下、200℃以上で該原料Taを加熱して行う際の真空度は、1×10−2torr以下であり、加熱温度は、好ましくは200〜500℃であり、特に好ましくは300〜400℃であり、加熱時間は、特に制限されないが、1時間以上であれば十分である。また、吸着ガス除去処理を行った後、水等の吸着を防ぐために、吸着ガスが除去された該原料Taを、速やかにポリエチレンシート等で真空包装する。
そして、本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法では、該原料Taを、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法により溶解した後、不活性ガス雰囲気中で炉冷することにより、Ta相とTaO相との混合相である酸化タンタル蒸着材が得られる。
本発明の酸化タンタル蒸着材の製造方法により得られる酸化チタン蒸着材は、粉末X線回折によるTaの(0012)面のピーク強度に対するTaOの(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が、0.02〜0.2である。
本発明の酸化タンタル蒸着材膜の製造方法は、蒸着材として前記本発明の酸化タンタル蒸着材を用いて、真空蒸着により酸化タンタルの蒸着を行い、基材に酸化タンタル蒸着膜を形成させる酸化タンタル蒸着膜の製造方法である。
本発明の酸化タンタル蒸着材膜の製造方法において、蒸着膜が形成される該基材としては、特に制限されず、通常、酸化タンタルの蒸着に用いられる基材が挙げられる。
本発明の酸化タンタル蒸着材膜の製造方法において、真空蒸着を行う方法としては、特に制限されず、通常、酸化タンタル蒸着膜を形成するための真空蒸着方法を用いることができ、例えば、真空雰囲気下で該蒸着材を加熱する方法、真空雰囲気下で例えば水冷銅ルツボに充填された該蒸着材に電子ビームを照射する方法、真空雰囲気下で該蒸着材を加熱しつつ該蒸着材に電子ビームを照射する方法等が挙げられる。なお、該真空蒸着を行う際の真空雰囲気とは、1×10−4torr以下の真空度である。
本発明の酸化タンタル蒸着膜の製造方法において、真空蒸着を行う装置としては、特に制限されず、通常、酸化タンタルの真空蒸着に用いられる装置を用いることができる。
本発明の酸化タンタル蒸着膜の製造方法は、(i)蒸着材として溶製材(一旦溶解した材料)を用いるため、蒸着装置内での溶解性がよく、短時間で成膜準備を行うことができ、(ii)蒸着時の均一性が向上し、蒸着で歩留が向上すること及び蒸着装置内での真空劣化が生じ難いことで、処理時間の短縮が図れ、(iii)スプラッシュの発生が少ないため、電子ビームガン等への損傷が少なくなり、(iv)比較的安定した成膜レート(速度)を保持でき、(v)TaOが存在するため、イオン銃等を用いた酸素導入等を行うイオンアシスト法の使用を好ましく適用できる等の特徴を有する。
そして、本発明の酸化タンタル蒸着膜の製造方法を行うことにより、該基材に酸化タンタル蒸着膜が形成される。このようにして得られる酸化タンタル蒸着膜は、膜厚等の均一性が高く、優れた光学特性を有する蒸着膜である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
[実施例1]
(蒸着材の製造)
平均粒径1μm以下のTa粉末(純度99.9%以上)を、プレス成形装置を用い、直径φ100mm、厚さ50mmの錠剤形ペレットとした。次いで、このペレットを銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行った。次いで、このペレットを電子ビーム溶解法により溶解し、蒸着材を得た。このとき、電子ビームをペレットの端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該ペレットの電子ビーム照射部分の溶融時間は約30秒であった。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta(正方晶)とTaO(立方晶)との混合相であった。Taの29.6度付近の(0012)面のピーク強度(ピークの高さの0.5乗からバックグランドの0.5乗を引いた値)に対する、TaOの38度付近の(220)面のピーク強度(ピークの高さの0.5乗からバックグランドの0.5乗を引いた値)の比(ITa2O/ITa2O5)は0.13であった。
<X線回折測定条件>
回折装置 RAD−1C(株式会社リガク製)
X線管球 Cu
管電圧・管電流 40kV、30mA
スリット DS-SS:1度、RS:0.15mm
モノクロメータ グラファイト
測定間隔 0.002度
計数方法 定時計数法
(蒸着膜の製造)
次いで、該蒸着材を粉砕し、粉砕後の蒸着材を真空蒸着装置内に設置した。次いで、水冷された銅製るつぼへ粉砕した蒸着材12gを投入後、真空度10−5torrまで減圧し、その後、電流400mA、電圧6kVの出力にて、電子銃(日本電子株式会社製)で、蒸着材に電子ビームを照射することにより、ライナ中で溶解してベースを作成し、石英ガラス基板上に真空蒸着して蒸着膜の成膜を行った。真空蒸着の際のスプラッシュの発生状態、真空状態の劣化を溶解中の圧力変動(Pa)により評価した。結果を表1に示す。
なお、スプラッシュの発生状態を、以下のようにして評価した。焼結体(比較例2)を「2:スプラッシュ発生多い。」とし、「5:スプラッシュ発生なし。」、「4:スプラッシュ発生少ない。」、「3:スプラッシュ発生やや多い。」、「2:スプラッシュ発生多い。」、「1:スプラッシュ発生かなり多い。」のように、相対的評価を行った。
[比較例1]
(蒸着材の製造)
平均粒径10μm 以下のTa粉末(純度99.9%以上)を、プレス成形装置を用い、直径φ60mm、厚さ20mmの円柱状の成形体とした。次いで、この成形体を非消耗アーク炉の銅製の水冷ハースに100g充填し、炉内をアルゴンガスで完全に置換した後、アルゴンによって大気圧より若干加圧状態で保持ししつつ、電流550A、電圧55V を印加して20分間アーク溶解し、その後、炉内の雰囲気をそのまま保持して炉冷し、蒸着材を得た。粉末X線回折法で測定した結果、該蒸着材はTa(正方晶)であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
(蒸着材)
市販のTa焼結体を蒸着材とした。粉末X線回折法で測定した結果、該市販のTa焼結体は、Ta(正方晶)であった。
(蒸着膜の製造)
市販のTa焼結体を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
[比較例3]
(蒸着材の製造)
比較例1の平均粒径10μm以下のTa粉末(純度99.9%以上)の代わりに、Ta粉末(純度99.9%以上)と金属Ta粉末(純度99.9%以上)を質量比で100:5の割合で混合した混合粉末を用い、比較例1と同様の方法で行って、蒸着材を得た。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
(蒸着材の製造)
比較例1の平均粒径10μm以下のTa粉末(純度99.9%以上)の代わりに、Ta粉末(純度99.9%以上)と金属Ta粉末(純度99.9%以上)を質量比で100:15の割合で混合した混合粉末を用い、比較例1と同様の方法で行って、蒸着材を得た。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
[比較例5]
(蒸着材の製造)
比較例1の平均粒径10μm以下のTa粉末(純度99.9%以上)の代わりに、Ta粉末(純度99.9%以上)と金属Ta粉末(純度99.9%以上)を質量比で100:20の割合で混合した混合粉末を用い、比較例1と同様の方法で行って、蒸着材を得た。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
Figure 2009235564
1)スプラッシュ量の評価:「5:スプラッシュ発生なし。」、「4:スプラッシュ発生少ない。」、「3:スプラッシュ発生やや多い。」、「2:スプラッシュ発生多い。」、「1:スプラッシュ発生かなり多い。」
実施例1の蒸着材を用いると、スプラッシュ量が少なく、また、真空度を高く保つこと
ができる。
[実施例2]
(蒸着材の製造)
平均粒径10μm以下のTa粉末(純度99.9%以上)を、プレス成形装置を用い、直径φ60mm、厚さ20mmの円柱状成形体とした。このTaの成形体を真空加熱炉にて、真空度:1×10−2Torr、処理温度:300℃、処理時間:1時間で加熱し、吸着ガス除去処理を行った。その後、処理物した該成形体をアルミニウム蒸着されたポリエチレンシートで真空包装を行い保管した。
次いで、該成形体をポリエチレンシートより取り出し、銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行った。次いで、該成形体を電子ビーム溶解法により溶解し、蒸着材を得た。このとき、電子ビームを成形体の端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。そのときの該成形体全体の溶解時間、真空劣化の有無、アーキングの状態を評価した。アーキング状態とは、電子ビームを安定して連続的に照射できるか否かを評価したものである。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理において、処理時間を6時間とする以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理において、処理温度を500℃とする以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理において、処理温度を100℃とする以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
(蒸着材の製造)
吸着ガス除去処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で行った。なお、該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表2に示す。
Figure 2009235564
実施例2〜6の電子ビーム溶解により得られた蒸着材の組成は、実施例1と同様に、Ta(正方晶)とTaOとの混合相であり、Taの29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、TaOの38度付近の(220)面のピーク強度(ピークの高さの0.5乗からバックグランドの0.5乗を引いた値)の比(ITa2O/ITa2O5)は0.13であった。また、真空蒸着時のスプラッシュも実施例1と同様に少なく、真空度の劣化も実施例1と同様であった。その中で、実施例2〜4の蒸着材は、安定して短時間に電子ビーム溶解法により溶解を行うことができ、製造工程の時間短縮が可能である。
[実施例7]
(蒸着材の製造)
実施例2の蒸着材を再度、銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行い、次いで、該成形体を電子ビーム溶解法により溶解、冷却した。さらにこの電子ビーム溶解法による溶解を行い、蒸着材を得た。このとき、電子ビームを成形体の端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒(1回の溶解において)であった。すなわち、実施例7は3回の繰り返し電子ビーム溶解を行なったものである。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta(正方晶)とTaO(立方晶)との混合相であった。Taの29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、TaOの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は0.20であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
[実施例8]
(蒸着材の製造)
実施例7の蒸着材を再度、銅製の水冷るつぼにセットした後、炉内真空度が10−5torr台となるまで真空引きを行い、次いで、該成形体を電子ビーム溶解法により溶解、冷却した。さらにこの電子ビーム溶解法による溶解を行い、蒸着材を得た。このとき、電子ビームを成形体の端部より徐々に照射し、該成形体を溶解した。該成形体の電子ビーム照射部分の溶融時間は約5秒(1回の溶解において)であった。すなわち、実施例8は5回の繰り返し電子ビーム溶解を行なったものである。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta(正方晶)とTaO(立方晶)との混合相であった。Taの29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、TaOの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は0.20であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
[実施例9]
(蒸着材の製造)
電子ビーム照射部分の溶融時間約5秒に代えて、約1秒とした以外は、実施例2と同様な方法で行った。
得られた蒸着材を粉末X線回折法により以下の測定条件で測定した。その結果、該蒸着材は、Ta(正方晶)とTaO(立方晶)との混合相であった。Taの29.6度付近の(0012)面のピーク強度に対する、TaOの38度付近の(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)は0.02であった。
(蒸着膜の製造)
上記のようにして得られた蒸着材を用いて、実施例1と同様の方法で行った。結果を表3に示す。
Figure 2009235564
1)スプラッシュ量の評価:「5:スプラッシュ発生なし。」、「4:スプラッシュ発生少ない。」、「3:スプラッシュ発生やや多い。」、「2:スプラッシュ発生多い。」、「1:スプラッシュ発生かなり多い。」
本発明によれば、真空蒸着の際に、真空蒸着装置の真空度が落ち難く、且つ、スプラッシュ量を少なくできるので、基材に酸化タンタル蒸着膜が蒸着された材料を、工業的に有利に製造できる。

Claims (5)

  1. Ta相とTaO相とを含有し、粉末X線回折によるTaの(0012)面のピーク強度に対するTaOの(220)面のピーク強度の比(ITa2O/ITa2O5)が、0.02〜0.2であることを特徴とする酸化タンタル蒸着材。
  2. Taを、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着材の製造方法。
  3. Taを吸着ガス除去処理し、次いで、真空雰囲気下で電子ビーム溶解法によって溶解して、酸化タンタル蒸着材を得ることを特徴とする請求項2記載の酸化タンタル蒸着材の製造方法。
  4. Taを、真空雰囲気下、200℃以上で加熱して、前記吸着ガス除去処理を行うことを特徴とする請求項3記載の酸化タンタル蒸着材の製造方法。
  5. 請求項1記載の酸化タンタル蒸着材を用いて、真空蒸着を行い、酸化タンタル蒸着膜を得ることを特徴とする酸化タンタル蒸着膜の製造方法。
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