JP2009235013A - 染毛剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】尿酸成分の可溶化の安定性に優れ、染毛剤組成物として適切な粘度を有し、延展性に優れた染毛剤組成物を提供すること、および乳化させた場合であっても、乳化安定性および染毛性に優れた染毛剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ウリカーゼ、(B)尿酸、尿酸塩および尿酸誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の尿酸成分、(C)ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪酸エステル、(D)有機アルカリ、(E)酸化染料および(F)水を含有してなる染毛剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、染毛剤組成物に関する。さらに詳しくは、例えば、ヒトの毛髪の白髪染めなどに好適に使用しうる染毛剤組成物に関する。
尿酸を安定して可溶化させた水性化粧料組成物として、尿酸と特定の両性界面活性剤とアルカリ剤と水とを含有する水性化粧料組成物(例えば、特許文献1参照)、尿酸とアクリル系ポリマーとアルカリ剤と水とを含有する水性化粧料組成物(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
しかし、これらの水性化粧料組成物には、その組成物の保存安定性および使用感に劣り、染毛性が低いという欠点がある。
そこで、染毛性を改善した酸化組成物として、ウリカーゼ、尿酸、酸化染料、界面活性剤、ポリマーなどを含有するケラチン繊維の染色に用いられる酸化組成物や酸化染色用組成物が提案されている(例えば、特許文献3〜9参照)。
しかし、これらの酸化組成物や酸化染色用組成物には、尿酸を安定して可溶化させることができないので、尿酸の可溶化の安定性に劣り、またその組成物の粘度が極めて高くなるといった影響を及ぼしやすく、乳化させたものにあっては、その組成物の乳化安定性に劣るという欠点がある。
特開平11−12153号公報 特開平10−298027号公報 特表2000−507977号公報 特表2000−507978号公報 特表2000−507979号公報 特表2000−507980号公報 特表2000−507981号公報 特表2000−507983号公報 特表2000−507985号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、尿酸成分の可溶化の安定性に優れ、染毛剤組成物として適切な粘度を有し、延展性に優れた染毛剤組成物を提供することを課題とする。本発明は、さらに、乳化させた場合であっても、均一性、乳化安定性および染毛性に優れた染毛剤組成物を提供することを課題とする。
本発明は、(A)ウリカーゼ、(B)尿酸、尿酸塩および尿酸誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の尿酸成分、(C)ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪酸エステル、(D)有機アルカリ、(E)酸化染料、および(F)水を含有してなる染毛剤組成物に関する。
本発明の染毛剤組成物は、尿酸成分の可溶化の安定性に優れ、染毛剤組成物として適切な粘度を有するので延展性に優れている。また、本発明の染毛剤組成物は、乳化させた場合であっても、均一性、乳化安定性および染毛性に優れている。
本発明の染毛剤組成物は、(A)ウリカーゼ、(B)尿酸、尿酸塩および尿酸誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の尿酸成分、(C)ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪酸エステル、(D)有機アルカリ、(E)酸化染料、および(F)水を含有する。
ウリカーゼは、酸素の存在下、尿酸とともに酸化染料の中間体を重合させて発色させる性質を有する。
ウリカーゼとしては、例えば、雄ブタの肝臓から抽出されたウリカーゼ、アルスロバクター・グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)由来のウリカーゼ、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)由来のウリカーゼなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ウリカーゼは、そのままの状態で用いてもよく、あらかじめウリカーゼに対して不活性な溶媒、例えば、グリセリンなどで希釈させた後に用いてもよい。
本発明の染毛剤組成物100gあたりのウリカーゼの含有量(力価)は、酸化染料の発色性を高める観点から、好ましくは10キロユニット以上、より好ましくは15キロユニット以上であり、尿酸との反応性の観点から、好ましくは30キロユニット以下、より好ましくは25キロユニット以下である。
尿酸成分は、空気中の酸素の存在下、ウリカーゼとともに酸化染料の中間体を重合させて発色させる性質を有する。
尿酸成分としては、尿酸、尿酸塩および尿酸誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種が用いられる。
尿酸塩としては、例えば、尿酸ナトリウム、尿酸水素ナトリウム、尿酸カリウム、尿酸水素カリウム、尿酸カルシウム、尿酸水素カルシウム、尿酸アンモニウム、尿酸水素アンモニウムなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
尿酸誘導体としては、例えば、3−N−メチル尿酸、3−N−ラウリル尿酸、7−N−ブチル尿酸、1−N−エチル尿酸、9−N−ラウリル尿酸、3,7−N−ジメチル尿酸などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の染毛剤組成物における尿酸成分の含有量は、酸化染料の中間体を十分に重合させて発色させる観点から、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、尿酸成分を安定して可溶化させる観点から、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。
脂肪酸エステルとして、ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種が用いられる。
本発明においては、本発明の染毛剤組成物が脂肪酸エステルを含有している点に、1つの大きな特徴がある。このように本発明の染毛剤組成物は、脂肪酸エステルを含有しているので、尿酸成分の可溶化の安定性に優れている。さらに、本発明の染毛剤組成物を乳化させた場合には、その乳化安定性および染毛性が良好となる。
また、本発明では、脂肪酸エステルと有機アルカリとが併用されているので、本発明の染毛剤組成物の均一性および染毛性が改善され、ざらつき感が抑制される。
ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の代表例としては、ラウリン酸、ステアリン酸などの炭素数6〜24の脂肪族カルボン酸などが挙げられる。これらの脂肪族カルボン酸のなかでは、ラウリン酸およびステアリン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルを構成するオキシエチレンの付加モル数は、水との相溶性を高める観点から、好ましくは50以上、より好ましくは100以上であり、高温における相溶性および尿酸成分の可溶化の安定性を高める観点から、好ましくは250以下、より好ましくは200以下である。
好適なポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールモノラウレートおよびポリエチレングリコールモノステアレートが挙げられる。また、好適なポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルとしては、ポリエチレングリコールジラウレートおよびポリエチレングリコールジステアレートが挙げられる。
前記脂肪酸エステルのなかでは、原料由来の臭いを低減させる観点から、ポリエチレングリコールモノステアレートおよびポリエチレングリコールジステアレートからなる群より選ばれた少なくとも1種が望ましく、オキシエチレンの付加モル数が好ましくは50〜250、より好ましくは100〜200であるポリエチレングリコールモノステアレートおよびオキシエチレンの付加モル数が好ましくは50〜250、より好ましくは100〜200であるポリエチレングリコールジステアレートからなる群より選ばれた少なくとも1種がより望ましく、オキシエチレンの付加モル数が好ましくは50〜250、より好ましくは100〜200であるポリエチレングリコールジステアレートがさらに望ましい。
本発明の染毛剤組成物における脂肪酸エステルの含有量は、尿酸成分を安定して可溶化させる観点から、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上であり、高温における相溶性を高める観点から、好ましくは3重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。
有機アルカリは、本発明の染毛剤組成物に含まれている尿酸成分を可溶化させる性質を有するとともに、ウリカーゼの活性がpH9付近で最大となることから、pH調整剤としての性質を有する。
有機アルカリとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノイソプロパノールアミン、テトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)エチレンジアミンなどのアミン系有機アルカリなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。有機アルカリのなかでは、水への相溶性を高め、臭いを抑制する観点から、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6のアルカノールアミンが望ましく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンおよび2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルカノールアミンがより望ましい。
本発明の染毛剤組成物が適切なpHを有するように、その他pH調製剤を用いて調整することが好ましい。本発明の染毛剤組成物のpHは、染毛性を向上させ、皮膚に対する刺激性を低減し、ウリカーゼの活性を高める観点から、好ましくは7.5〜10.5、より好ましくは8〜10である。
pH調整剤としては、例えば、リン酸などの無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸などの有機酸、塩化アンモニウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸二水素一カリウムなどの無機塩が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、本発明においては、必要により、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジンなどの炭酸塩を、本発明の目的を阻害しない範囲内で、有機アルカリと併用することができる。
本発明の染毛剤組成物における有機アルカリの含有量は、本発明の染毛剤組成物に含まれている尿酸成分を安定して可溶化させる観点から、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは0.8重量%以上であり、ウリカーゼの活性を維持する観点から、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
酸化染料は、毛髪を染毛するための成分である。酸化染料としては、通常、染毛剤に使用されている酸化染料前駆体およびカップラーを用いることができる。
酸化染料前駆体としては、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類およびそれらの塩酸塩、硫酸塩などの塩類などが挙げられる。
酸化染料前駆体の具体例としては、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−ジアミン、2,5−ジアミノアニソール、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、6−メトキシ−3−メチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−2−メチル−p−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−6−メチル−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、2−クロロ−6−ブロモ−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン;o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、5−アミノサリチル酸、2−メチル−4−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、3,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2,3−ジメチル−4−アミノフェノール、2,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、3−クロロ−4−アミノフェノールなどのアミノフェノール類;2,5−ジアミノピリジンなどのジアミノピリジン類およびそれらの塩などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
カップラーとしては、例えば、レゾルシン、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、5−アミノ−o−クレゾール、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、硫酸p−メチルアミノフェノール、2,6−ジアミノピリジン、カテコール、ピロガロール、没食子酸、タンニン酸およびそれらの塩などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
酸化染料前駆体およびカップラーは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
酸化染料前駆体およびカップラーとしては、前記したもの以外にも、例えば、「医薬部外品原料規格2006」〔(株)薬事日報社、2006年6月〕に収載されているものを用いることもできる。
本発明の染毛剤組成物における酸化染料の含有量は、染色性を高める観点から、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、アレルギーなどに対する安全性を高め、皮膚染まりなどを抑制する観点から、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
なお、本発明においては、酸化染料は、直接染料と併用することができる。直接染料としては、染毛剤に使用可能な酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料などが挙げられる。
直接染料の具体例としては、p−ニトロオルトフェニレンジアミン、ニトロp−フェニレンジアミン、硫酸p−ニトロメタフェニレンジアミン、2−アミノ−5−ニトロフェノール、ピクラミン酸などをはじめ、医薬品、医薬部外品又は化粧品の着色に使用することが許されている「医薬品などに使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年告示、厚生省)に記載されている酸性染料、例えば、黄色403号(1)などのニトロ系色素、だいだい色205号、黄色4号、黒色401号などのアゾ染料、緑色401号などのニトロソ染料、青色205号などのトリフェニルメタン染料、赤色106号、黄色202号の(1)などのキサンテン染料、黄色203号などのキノリン染料、紫色401号、緑色201号などのアントラキノン染料、青色2号などのインジゴ染料、緑色204号などのピレン系タール染料などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の染毛剤組成物における直接染料の含有量は、任意であり、特に限定されないが、通常、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の染毛剤組成物には、コンディショニング効果を付与するために、油性成分を含有させることができる。油性成分としては、一般に化粧料に配合されているものであればよい。
油性成分としては、例えば、炭化水素類、シリコーン油、エステル類、高級アルコール、高級脂肪酸、ロウ類、油脂などが挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
エステル類としては、例えば、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、トリイソステアリン酸グリセロール、トリ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセロール、オレイン酸2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセロール、2−エチルヘキサン酸ジグリセリドなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコールなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
ロウ類としては、例えば、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、モクロウ、鯨ロウ、セラックなどが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
油脂としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、コメヌカ油、ヤシ油、パーム油、ヒマシ油などが挙げられ、これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の染毛剤組成物における油性成分の含有量は、任意であり、特に限定されないが、通常、油性成分を含有させることにより、コンディショニング効果を十分に発現させる観点から、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、尿酸成分の可溶化の安定性および延展性を高める観点から、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。
本発明の染毛剤組成物に油性成分とともに乳化剤を用いることにより、該染毛剤組成物を乳化させて用いることができる。本発明の乳化させた染毛剤組成物は、ざらつき感がなく、均一性、乳化安定性および染毛性に優れるという利点を有する。
乳化剤としては、例えば、エチレンオキシドの付加モル数が2〜40であるポリオキシエチレンラウリルエーテル、エチレンオキシドの付加モル数が2〜40であるポリオキシエチレンセチルエーテル、エチレンオキシドの付加モル数が2〜40であるポリオキシエチレンステアリルエーテル、エチレンオキシドの付加モル数が10〜80であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン性界面活性剤;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドなどのカチオン性界面活性剤;ステアリン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミンなどの脂肪酸石けんなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのなかでは、尿酸成分の可溶化の安定性の観点から、エチレンオキシドの付加モル数が2〜40であるポリオキシエチレンセチルエーテルおよびエチレンオキシドの付加モル数が2〜40であるポリオキシエチレンステアリルエーテルが好ましい。
また、本発明の染毛剤組成物には、酸化染料の安定剤として、還元剤を含有させてもよい。還元剤として、例えば、N−アセチル−L−システイン、L−アスコルビン酸およびその塩、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本発明の染毛剤組成物おける還元剤の含有量は、特に限定されないが、通常、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.05〜1重量%である。
本発明の染毛剤組成物における乳化剤の含有量は、乳化安定性の観点から、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上であり、延展性を高める観点から、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。
本発明の染毛剤組成物において、前記成分の残部は、溶媒である。溶媒としては、水および有機溶媒が挙げられ、これらは、それぞれ単独で使用してもよく、併用してもよい。
有機溶媒としては、例えば、エタノール、2−プロパノールなどの低級アルコール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノールなどの芳香族アルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、1,2−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオールなどのポリオール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみによって限定されるものではない。
本発明の染毛剤組成物には、前記成分のほかに、本発明の目的が阻害されない範囲内で、通常、化粧品原料として用いられている他の成分を含有させることができる。
本発明の染毛剤組成物は、一般に使用されている染毛剤組成物と同様に、液状、乳液状、クリーム状、泡状などの形態で使用することができる。本発明の染毛剤組成物を用いて毛髪を染毛する場合、例えば、本発明の染毛剤組成物を常温で毛髪に塗布し、1〜60分間程度放置した後、毛髪を洗浄し、乾燥させればよい。
以上説明したように、本発明の染毛剤組成物は、尿酸成分の可溶化の安定性に優れ、染毛剤組成物として適切な粘度を有する。また、本発明の染毛剤組成物は、通常、25℃における粘度が0.1〜50Pa・sであることから、延展性に優れている。さらに、本発明の染毛剤組成物は、乳化させた場合であっても、均一性、乳化安定性および染毛性に優れている。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実験例1〜6および比較実験例1〜6
表1に記載の組成となるように、23℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内で、各成分を混合して水溶液を調製し、得られた水溶液における尿酸成分(尿酸)の可溶化の安定性を以下の評価方法に基づいて調べた。その結果を表1に併記する。
なお、表1および後述する表2に記載の各成分の量の単位は「重量%」であり、「n」はオキシアルキレンの付加モル数を示す。また、表1に記載の「50E.O.」はエチレンオキシドが50モル付加していることを示す。
〔尿酸成分の可溶化の安定性の評価方法〕
各実験例および各比較実験例で得られた水溶液40mLを50mL容のガラス製容器内に入れて密封し、25℃または50℃の恒温槽内で2週間保管した後、室温に戻し、水溶液の外観を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて尿酸成分(尿酸)の可溶化の安定性を評価した。
(評価基準)
◎:透明であり、濁りがない。
○:微濁であるが、均一である。
△:明らかな濁りが認められる。
×:析出、分離または不均一化が認められる。
表1に示された結果から、実験例1〜4と比較実験例4とを対比して、実験例1〜4では、有機アルカリが使用されているので、尿酸成分の可溶化の安定性に優れていることがわかる。実験例1〜2と比較実験例2〜3との対比および実験例4と比較実験例1との対比から、各実験例では、ポリエチレングリコールモノステアレートが使用されているので、尿酸成分の可溶化の安定性に優れていることがわかる。実験例1〜6と比較実験例5〜6との対比から、各実施例では、無機アルカリではなく、有機アルカリが使用されているので、尿酸成分の可溶化の安定性に優れていることがわかる。
実施例1〜2
表2に記載した組成となるように、23℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内で、各成分を混合し、染毛剤組成物を調製した。得られた染毛剤組成物における尿酸成分の可溶化の安定性を実験例1〜6と同様にして調べた。その結果を表2に併記する。
なお、ウリカーゼの量は、染毛剤組成物100gあたりの力価(キロユニット:kU)である。
表2に示された結果から、実施例1〜2で得られた染毛剤組成物は、いずれも、有機アルカリが使用されているので、尿酸成分の可溶化の安定性に優れ、ポリエチレングリコールモノステアレートが使用されているので、尿酸成分の可溶化の安定性に優れていることがわかる。
実施例3〜8および比較例1〜5
表3に示す油相をあらかじめ80℃程度に温めて攪拌することにより、均一化させておいた。表3に示す染料、還元剤(N−アセチル−L−システイン)および塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、80℃程度にあらかじめ温めておいた均一な水相を、前記油相に徐々に添加し、攪拌しながら乳化させることにより、乳化物を得た。
次に、常温であらかじめ調製しておいた尿酸成分(尿酸)、脂肪酸エステル、有機アルカリおよび精製水を含む均一な尿酸溶液を前記乳化物に徐々に投入し、攪拌することにより均一化させた後、攪拌しながら20℃の流水で冷却し、混合溶液を得た。
得られた混合溶液の液温が40℃になった時点で、窒素ガスを充満させたグローブボックス内に移し、グローブボックス内でウリカーゼ(40%グリセリン溶液)を徐々に投入し、攪拌して均一化させることにより、乳化された染毛剤組成物を調製した後、そのままの状態で、窒素ガス下でアルミニウムチューブ内に充填した。
なお、各表中の各成分の量の単位は「重量%」である。また、各表中の「n」は、オキシアルキレンの付加モル数、「2E.O.」は、エチレンオキシドの付加モル数が2モルであることを示す。また、ウリカーゼの量は、乳化された染毛剤組成物100gあたりの力価(キロユニット:kU)である。
次に、この乳化された染毛剤組成物の物性を以下の評価方法に基づいて調べた。その結果を表1および表2に併記する。
(1)pH
pHメーター〔(株)堀場製作所製、品番:F−23II〕を用いて、乳化された染毛剤組成物のpHを測定した。なお、測定温度は、25℃とした。
(2)25℃における粘度
回転粘度計〔東機産業(株)製、品番:TVB−20LT〕を用いて、乳化された染毛剤組成物の25℃における粘度を測定した。なお、粘度の測定条件は、ローターNo.4、回転数12rpm、測定時間1分間とした。
(3)染毛剤組成物の均一性
乳化された染毛剤組成物を23℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内に24時間放置した後、少量の染毛剤組成物をガラス板にとり、ヘラで薄く延ばしてその性状を専門パネル20名により目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:20名中16名以上が均一性に優れると回答
○:20名中11〜15名が均一性に優れると回答
△:20名中6〜10名が均一性に優れると回答
×:20名中5名以下が均一性に優れると回答
(4)ざらつき感
前記と同じ専門パネル20名により、23℃、相対湿度60%の恒温恒湿室内で染毛剤組成物の均一性を評価した後、ガラス板上に指で生地を延ばし、その際の析出物などに起因するざらつき感を指による触感で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:20名中16名以上がさらつき感がないと回答
○:20名中11〜15名がさらつき感がないと回答
△:20名中6〜10名がさらつき感がないと回答
×:20名中5名以下がさらつき感がないと回答
(5)染毛性
試験毛束〔(株)ビューラックス製、品番BM−W、白髪100%〕を0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液中に50℃、1時間漬置き洗いしたものを用いた。
試験毛束に対し、質量で2倍量の染毛剤組成物を秤量し、この染毛剤組成物を、ハケを用いて試験毛束全体に約1分間かけて充分になじませた後、試験毛束を30℃、相対湿度70%の恒温恒湿槽中で15分間放置した。
次に、この試験毛束に再度コーミングを施し、さらに30℃、相対湿度70%の恒温恒湿槽中で15分間放置した後、試験毛束を恒温恒湿槽から取り出し、35℃程度の水道水で約30秒間洗浄した。
この試験毛束にシャンプー〔(株)ピアセラボ、商品名:アリスティアST CS〕を適量で30秒間程度馴染ませた後、水道水で洗い流し、さらにこの試験毛髪にコンディショナー〔(株)ピアセラボ、商品名:アリスティアST TS〕を適量で用いて10秒間程度馴染ませた後、再度、水道水で洗い流し、1日間かけて風乾した。
染毛性の評価は、染毛された試験毛束(3本)を、色差計〔コニカミノルタセンシング(株)製、品番:CM−3610d〕を用いて、染毛前後のL*a*b値および色相角度の変化を評価し、ΔE*abの平均値を算出した。
染毛された試験毛束を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて、染毛性(染色の目視)を評価した。
(評価基準)
○:白髪が暗い灰黄色に染色されている。
△:白髪が灰黄色に染色されている。
×:白髪が明るい灰黄色に染色されている。
表3に示された結果から、実施例3と比較例1との対比および実施例4および実施例7と比較例2との対比より、脂肪酸エステルを使用することにより(実施例3、実施例4および実施例7)、均一性および染毛性が向上し、ざらつき感が解消することがわかる。また、実施例4〜5と比較例3との対比および実施例6〜8と比較例4との対比より、有機アルカリを使用することにより(実施例6〜8)、均一性および染毛性が向上し、ざらつき感が解消することがわかる。
また、実施例4と比較例2および比較例3との対比より、有機アルカリを使用しているが、脂肪酸エステルを使用していない場合(比較例2)および脂肪酸エステルを使用しているが、有機アルカリを使用していない場合(比較例3)には、均一性および染毛性に劣り、ざらつき感が生じるのに対し、脂肪酸エステルと有機アルカリとを併用した場合には(実施例4)、両者の併用により、均一性および染毛性が改善され、ざらつき感が抑制されるという優れた効果が奏されることがわかる。
以上の結果から、本発明の染毛剤組成物は、尿酸成分を安定して可溶化させ、尿酸成分の可溶化の安定性に優れ、25℃における粘度が0.1〜50Pa・sの範囲にあることから延展性に優れていることがわかる。また、本発明の染毛剤組成物は、乳化させた場合であっても、均一性、乳化安定性および染毛性に優れていることがわかる。

Claims (5)

  1. (A)ウリカーゼ、(B)尿酸、尿酸塩および尿酸誘導体からなる群より選ばれた少なくとも1種の尿酸成分、(C)ポリエチレングリコールモノ脂肪酸エステルおよびポリエチレングリコールジ脂肪酸エステルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪酸エステル、(D)有機アルカリ、(E)酸化染料、および(F)水を含有してなる染毛剤組成物。
  2. (C)脂肪酸エステルが、ポリエチレングリコールモノステアレートおよびポリエチレングリコールジステアレートからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の染毛剤組成物。
  3. (D)有機アルカリが、炭素数2〜8のアルカノールアミンである請求項1または2に記載の染毛剤組成物。
  4. (D)有機アルカリが、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンおよび2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の染毛剤組成物。
  5. さらに、乳化剤で乳化させてなる請求項1〜4のいずれかに記載の染毛剤組成物。
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