JP2009234501A - 自動二輪車の連動ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イコライザ33に連結される後輪用ブレーキケーブルCCの一方に遊動長を調整可能とする単一の遊び調整部を設け、イコライザ33を連結ロッド63との連結部を中心に回動可能にすると共に、初期状態でイコライザ33を収容するケーシング60の内壁61B1から離間して配置し、単一の遊び調整部で後輪用ブレーキケーブルCCの遊動長を調整すると、イコライザ33が回動して連動ブレーキケーブルCBの遊動長も同時に調整可能にした。
【選択図】図8
Description
しかし、従来の構造では、各ケーブルの遊動長を調整するには、それぞれのブレーキケーブルの遊動長調整機構が必要になり、部品点数が多くなると共に構造が複雑化してしまう。
また、イコライザには、後輪用ブレーキケーブルと前輪ブレーキを作動させる連動ブレーキケーブルとが連結され、連動ブレーキケーブルには、連動ブレーキ操作子の牽引方向と逆向きにイニシャル荷重を付勢し前輪ブレーキの作動を後輪ブレーキの作動よりも遅らせるディレイスプリングを設けると共に、ディレイスプリングによる連動ブレーキケーブルの延び出し量を規制するためのストッパ機構を設けたので、前輪ブレーキの作動を後輪ブレーキの作動よりも遅らせるディレイ機構を設けても、上記単一の誘導長調整部で一方のブレーキケーブルの遊動長を調整すると、イコライザが回動して連動ブレーキケーブルの遊動長も同時に調整することができる。
また、連動ブレーキケーブルの端部は、独立ブレーキ操作子が牽引する前輪用又は後輪用ブレーキケーブルの一方の遊動長を調整する遊動長調整部よりも独立ブレーキ操作子側に連結されるので、連動ブレーキケーブルの調整を省略しつつ、独立ブレーキ操作子の遊び調整を独立ブレーキ操作子が牽引するブレーキケーブルの遊動長を調整する遊動長調整部のみで行う構造が可能になる。
また、イコライザは、前輪用又は後輪用ブレーキケーブルの一方との接続側を、連動ブレーキケーブルの伸び分のクリアランスを空けてケーシングの内壁から離間して配置されるので、上記単一の遊動長調整部で連動ブレーキケーブルの伸び分の調整を行う場合に、その調整途中でイコライザがケーシングの内壁に当接することがなく、連動ブレーキケーブルの遊動長の調整代を十分に確保できる。
図1は本発明の実施形態に係るスクータ型自動二輪車の側面図である。
このスクータ型自動二輪車(以下、自動二輪車という)10の車体フレーム11は、ステアリングハンドル12ならびに前輪13を懸架したフロントフォーク14を操向可能に支承したヘッドパイプ15と、該ヘッドパイプ15から下方に延出するダウンチューブ17と、該ダウンチューブ17の下端部に連設されて後方に延びるリヤフレーム18とを備える。該リヤフレーム18は、前端部がダウンチューブ17の下端に連結されて後方側に向けてほぼ水平に延びる一対の前部フレーム部18Aと、前部フレーム部18Aの後端から後上方に延びる一対の中間フレーム部18Bと、両中間フレーム部18Bの後端を相互に連結する後部フレーム部18Cとを有して、平面視で略楕円状に形成されるものである。
この自動二輪車10の前輪13には前輪ブレーキBFが装着され、後輪22には後輪ブレーキBRが装着される。また、ステアリングハンドル12の右端部には、図2に示すように、運転者の右手によるブレーキ操作に応じて前輪ブレーキBFを作動させる前輪用ブレーキレバー(独立ブレーキ操作子)31が設けられる。また、ステアリングハンドル12の左端部には、運転者の左手によるブレーキ操作に応じて前輪ブレーキBF及び後輪ブレーキBRを連動して作動させる連動ブレーキレバー(連動ブレーキ操作子)32が設けられる。
ここで、これらブレーキケーブルCB、CCも、前輪用ブレーキケーブルCAと同様にワイヤー式のケーブルであり、ブレーキケーブルCBは、アウターケーブルCB1とインナーケーブルCB2とを有し、ブレーキケーブルCCは、アウターケーブルCC1とインナーケーブルCC2とを有している。
前輪用ブレーキケーブルCAのインナーケーブルCA2は、アウターケーブルCA1から突出し、その端部にはケーブルエンドスクリュー56が連結される。このケーブルエンドスクリュー56は、ブレーキアーム52の先端部に回動可能に支持された連結軸52Aを貫通し、連結軸52Aから突出した突出部56Aにアジャスト用ナット58が螺合される。このため、このナット58のケーブルエンドスクリュー56への螺合位置を調節することで前輪用ブレーキケーブルCAの遊動長を調節することが可能である。
上記前輪用ブレーキケーブルCAの入力端部(レバー側端部)は、前輪用ブレーキレバー31に連結される。このため、前輪用ブレーキレバー31が単独操作された場合、図4に示すように、前輪用ブレーキレバー31の操作に応じて前輪用ブレーキケーブルCAのインナーケーブルCA2が牽引され、ブレーキアーム52が回動してブレーキ操作力に応じたブレーキ力を発揮する。
また、この連動ブレーキケーブルCBのインナーケーブルCB2には、ケーブルホルダ53Aに取り付けられた連動ブレーキケーブルCBのキャップCB3の内側端部に当接して該インナーケーブルCB2が前輪ブレーキBF側に移動するのを規制するケーブルストッパ50が設けられている。このケーブルストッパ50によって、連動ブレーキケーブルCBに何ら操作力が作用していない通常状態では、図3に示すように、ケーブルストッパ50がキャップCB3の内側端部に当接し、ディレイスプリング51のスプリング長が一定値に保持され、適切なイニシャル加重に保持することができる。すなわち、ディレイスプリング51による連動ブレーキケーブルCBの延び出し量を規制するためのストッパ機構50Aが構成される。
この場合、連動ブレーキレバー32が単独操作されてケーブルエンド57が連動ブレーキケーブルCBの牽引方向に移動した場合に、図5に示すように、ケーブルエンドスクリュー56の大径部56Cに当接し、ケーブルエンド57と一体的にケーブルエンドスクリュー56が移動して前輪ブレーキBFが作動する。
また、ケーブルエンド57は、ケーブルエンドスクリュー56に対して小径部56Bの長さ分、その軸方向に移動可能に連結されるため(図3中、符号X参照)、ディレイスプリング51の付勢力がケーブルエンドスクリュー56に作用せず、前輪用ブレーキレバー31の操作及びこの操作に伴う前輪ブレーキ力の発生に何ら影響を与えないように構成されている。
図6に示すように、ステアリングハンドル12の左端には、運転者が左手で握る握持部12Lが設けられる。左側ハンドルホルダ26Lには、ステアリングハンドル12に支持される支持部12Aが設けられ、この支持部12Aは、該握持部12Lよりも内方側でステアリングハンドル12を把持するようにねじ部材26Bで固定される。
この左側ハンドルホルダ26Lには、連動ブレーキレバー32の基端部が支軸27Lを介して回動自在に支持されると共に、連動ブレーキレバー32との間に図示せぬ戻しばねが設けられ、このばね力により握持部12Lから離反する方向に連動ブレーキレバー32がばね付勢される。
連結ロッド63の他端には、連結ピン70を介してイコライザ33の長手方向に沿う中間部33Aが連結され、イコライザ33が連結ピン70の回転軸線を中心にして回動自在に連結される。そして、この上下に長いイコライザ33を作動可能に収納すべく、ケーシング60は、自動二輪車10の前後方向に沿う長さよりも上下方向に沿う長さを大とした縦長に形成される。
また、アウターケーブルCC1内にインナーケーブルCC2が移動自在に挿通されて成る後輪用ブレーキケーブルCCの一端部において、アウターケーブルCC1はケース部61の側壁61Bに連動ブレーキケーブルCBと平行に固定され、アウターケーブルCC1から突出されたインナーケーブルCC2の端部に設けられた係止駒72がイコライザ33の上部33Cに連結される。すなわち、イコライザ33は、両ケーブルCC、CBの連結部(下部33B、上部33C)の間の部分(中間部33A)が連結ロッド63に回動自在に連結される。なお、図8中、符号67、68は、各インナーケーブルCB2、CC2に設けられてイコライザ33に当接するブーツ67、68である。
このため、連動ブレーキレバー32の操作初期には、後輪用ブレーキケーブルCCへのブレーキ操作力でインナーケーブルCC2が牽引されて後輪ブレーキBRだけが作動する。そして、連動ブレーキケーブルCBへのブレーキ操作力が該イニシャル荷重を超えると、連動ブレーキケーブルCBのインナーケーブルCB2が牽引され、前輪ブレーキBFが作動を開始する。従って、連動ブレーキレバー32作動時に前輪ブレーキBFの作動を遅らせることができる。
本構成では、上述したように、前輪用ブレーキケーブルCAの出力端部(ブレーキ側端部)に遊び調整部55が設けられているため、この遊び調整部55のアジャスト用ナット58の締付位置を調整することによって、前輪用ブレーキケーブルCAの遊動長を調整でき、前輪用ブレーキレバー31の遊び量を適正範囲に調整することができる。
ここで、本構成では、図8に示すように、連動ブレーキケーブルCB及び後輪用ブレーキケーブルCCが連結されるイコライザ33が、各ケーブルCB、CCが初期長さのときからイコライザ33を収容するケーシング60の側壁61B内側の内壁61B1から所定のクリアランスL1、L2を空けて離間配置されている。具体的には、イコライザ33が連結される連結ロッド63の長さを調整(短小化)し、或いは、連結ロッド63へのイコライザ33の連結位置を調整することによって、イコライザ33がケーシング60に対して上記クリアランスL1、L2が空くようにフローティング支持される。
この場合、連動ブレーキケーブルに何ら操作力が作用していない状態では、ストッパ機構50Aによりディレイスプリング51のスプリング長が一定値に保持され、ディレイスプリング51のスプリング力がイコライザ33に作用することが回避される。このため、前輪ブレーキBFの作動を後輪ブレーキBRの作動よりも遅らせるディレイ機構50Aを設けても、単一の遊び調整部45で後輪用ブレーキケーブルCCの遊動長を調整すると、イコライザ33が回動して連動ブレーキケーブルCBの遊動長も同時に調整することが可能になる。
また、本構成では、イコライザ33の後輪用ブレーキケーブルCCとの接続側(上部33C)を、連動ブレーキケーブルCBの伸び分のクリアランスL2を空けてケーシング60の内壁61B1から離間して配置したので、上記単一の遊び調整部45で連動ブレーキケーブルCBの伸び分の調整を行う場合に、その調整途中でイコライザ33がケーシング60の内壁61B1に当接することがなく、連動ブレーキケーブルCBの遊動長の調整代を十分に確保できる。
例えば、上述の実施形態では、前輪ブレーキBFを作動させる前輪用ブレーキレバー31と、後輪用ブレーキケーブルCCと前輪ブレーキBFを牽引する連動ブレーキケーブルCBを連結したイコライザ33を連結ロッド63を介して牽引し前輪ブレーキBFと後輪ブレーキBRを共に作動させる連動ブレーキレバー32とを備えた連動ブレーキ装置に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、本発明は、後輪ブレーキBRを作動させる後輪用ブレーキレバー(独立ブレーキ操作子)と、前輪用ブレーキケーブルCAと後輪ブレーキBRを牽引する連動ブレーキケーブルCBを連結したイコライザ33を連結ロッド63を介して牽引し前輪ブレーキBFと後輪ブレーキBRを共に作動させる連動ブレーキレバー32とを備える連動ブレーキ装置に適用することも可能である。
また、上述の実施形態では、スクータ型自動二輪車の連動ブレーキ装置に本発明を適用する場合について説明したが、これに限らず、様々な自動二輪車の連動ブレーキ装置に広く適用することが可能である。
12 ステアリングハンドル
31 前輪用ブレーキレバー(独立ブレーキ操作子)
32 連動ブレーキレバー(連動ブレーキ操作子)
33 イコライザ
45、55 遊び調整部(遊動長調整部)
50 ケーブルストッパ(ストッパ)
51 ディレイスプリング
53A ケーブルホルダ
60 ケーシング
61A、61B 側壁
61B1 内壁
63 連結ロッド(連結部材)
70 連結ピン
BF 前輪ブレーキ(前輪ドラムブレーキ)
BR 前輪ブレーキ(後輪ドラムブレーキ)
CA 前輪用ブレーキケーブル
CB 連動ブレーキケーブル
CC 後輪用ブレーキケーブル
L1、L2 クリアランス
E エンジン
M 無段変速機
P パワーユニット
Claims (4)
- 前輪又は後輪ブレーキの一方のみを作動させる独立ブレーキ操作子と、
前輪用又は後輪用ブレーキケーブルの一方と前輪ブレーキ又は後輪ブレーキの他方を牽引する連動ブレーキケーブルを連結したイコライザを連結部材を介して牽引し前輪ブレーキと後輪ブレーキと共に作動させる連動ブレーキ操作子と、
イコライザを作動可能に収容するケーシングを備えた自動二輪車の連動ブレーキ装置において、
前記イコライザに連結される前輪用又は後輪用ブレーキケーブルの一方に遊動長を調整可能とする単一の遊動長調整部を設け、
前記イコライザを連結部材との連結部を中心に回動可能にすると共に初期状態で前記ケーシングの内壁から離間して配置し、
前記単一の遊動長調整部で前記一方のブレーキケーブルの遊動長を調整すると、前記イコライザが回動して前記連動ブレーキケーブルの遊動長も同時に調整可能となることを特徴とする自動二輪車の連動ブレーキ装置。 - 前記イコライザには、前記後輪用ブレーキケーブルと前記前輪ブレーキを作動させる前記連動ブレーキケーブルとが連結され、前記連動ブレーキケーブルには、前記連動ブレーキ操作子の牽引方向と逆向きにイニシャル荷重を付勢し前記前輪ブレーキの作動を前記後輪ブレーキの作動よりも遅らせるディレイスプリングを設けると共に、前記ディレイスプリングによる前記連動ブレーキケーブルの延び出し量を規制するためのストッパ機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車の連動ブレーキ装置。
- 前記連動ブレーキケーブルの端部は、前記独立ブレーキ操作子が牽引する前輪用又は後輪用ブレーキケーブルの一方の遊動長を調整する遊動長調整部よりも前記独立ブレーキ操作子側に連結されることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車の連動ブレーキ装置。
- 前記イコライザは、前記前輪用又は後輪用ブレーキケーブルの一方との接続側を、前記連動ブレーキケーブルの伸び分のクリアランスを空けて前記ケーシングの内壁から離間して配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動二輪車の連動ブレーキ装置。
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