JP2009234007A - 金型温度調節システムの洗浄方法及びこれに用いられる金型温度調節装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】温度制御がなされる金型3と、連結付加された該金型の温度を調節制御するため、媒体タンクに貯留された温調媒体を強制循環させる金型温度調節装置1Aとからなる金型温度調節システムSの洗浄方法であって、上記金型と上記金型温度調節装置との間は、送媒ホース4と返媒ホース5とで接続され、温調媒体循環路が構成されており、上記金型温度調節装置は、上記温調媒体循環路内に上記温調媒体を強制循環させるポンプ2とを備え、洗浄用液を上記媒体タンクに貯留し、上記ポンプによって上記洗浄用液を強制循環させることにより、上記温調媒体循環路内の洗浄を一括して行うことを特徴とする。
【選択図】図4
Description
図7(a)は直接冷却方式が採用された金型温度調節システムS’を模式的に示した概略構成図である。図中、100は温調媒体を加熱する加熱ヒータ101を備え、温調媒体を所定温度に温めるための加熱タンク、200はコントロールセンサ201の検出情報に基づいて動作制御され、温調媒体を金型300に送るポンプ、300は金型、400は温調媒体を金型300へ送る送媒ホース、500は金型300に形成された管路(不図示)を通った温調媒体を加熱タンク100に返す返媒ホース、600は金型300の管路の送媒側、返媒側の夫々に設けられたバルブ、650は圧力調整弁、700は給水電磁弁である。
図7(b)は上述の直接冷却方式(図7(a)参照)とは、温調媒体の冷却方法が異なり、ヒータ101で媒体タンク100に貯留された温調媒体の加熱を行い、ヒータ101のまわりにスパイラル状の冷却管102を配し、冷却管102内に冷却水を流通させることにより、温調媒体の冷却を行っている。
しかしながらこの間接冷却方式においても、温調媒体及び冷却水としては水道水が用いられている実情があり、直接冷却方式と同様に、水道水が流通する流路にスケールが付着してしまう点が問題となる。図7(b)に示す構成の場合、温調媒体を排水する流路に排水電磁弁800が設けられているため、ここにスケールが付着すると排水電磁弁800の故障原因となる。また、冷却管内にスケールが付着して閉塞が生じると、冷却能力が低下し、金型温度調節装置全体の温調能力に弊害を来たす。よって、依然として温調媒体循環路及び冷却管を洗浄する必要性は残っていた。
下記特許文献1には、金型冷却部の錆を除去する専用の装置が開示されており、下記特許文献2、3には、金型を洗浄する専用の装置が開示されている。
そこで洗浄用の専用装置を持ち込むまでもなく、容易にメンテナンスができる金型温度調節システムが望まれていた。
また本発明の金型温度調節システムの洗浄方法は、上記ポンプを逆循環させることにより、上記洗浄用液の流れを逆流させ洗浄を行うこともできる。
また本発明の金型温度調節装置は、上記送媒ホースが接続される送媒口は3方向切替弁で構成されており、一方は上記金型に接続され、一方は、上記冷却回路の上記排水弁に接続されているものとすることができる。
更に本発明の金型温度調節装置は、上記返媒ホースが接続される返媒口近傍には、空気取入弁が設けられているものとすることができ、洗浄用液が通じる流路には、電磁弁が介在しないものとすることもできる。
請求項2に記載の金型温度調節システムの洗浄方法によれば、洗浄用液を加熱ヒータによって所定の温度に加熱し、温調媒体循環路内を自動洗浄するので、洗浄用液の効果を発揮しやすい適切な温度で洗浄作業を行うことができる。よって、温調媒体循環路内に強固にこびりついたスケールなどの汚れを効果的に洗浄することができる。
よって間接冷却方式が採用された金型温度調節システムであっても、スケールが堆積しやすい冷却回路内を容易に洗浄することができ、熱交換不良等、トラブルを予防することができるので冷却性能を長く維持することができる。
請求項4に記載の金型温度調節システムの洗浄方法によれば、ポンプを逆循環させることにより、洗浄用液の流れを逆流させ洗浄することができる。よって逆流させることにより、通常の流れでは取りにくかった汚れ、スケールを取り除くことができる。
請求項6に記載の金型温度調節装置によれば、送媒口は3方向切替弁で構成されており、流路を冷却回路側に切替るだけで、冷却水が流通する冷却回路の細管への流路を確立させることができる。よって冷却回路を洗浄する際には、上記切替弁を冷却回路の排水弁側へと切替えれば、ホースを繋ぎ替えることなく、すぐに洗浄を開始させることができる。
請求項8に記載の金型温度調節装置によれば、洗浄用液が通じる流路には電磁弁が介在しないので、従来は電磁弁があるため洗浄ができないかった流路もくまなく洗浄することができる。また上記流路に電磁弁が介在しないので、洗浄作業により取り除かれたスケールなどの異物が電磁弁に咬みこんで故障してしまうことがない。
図1〜図3は本発明の洗浄方法が採用された金型温度調節システムを模式的に示す概略構成図、図4は本発明の金型温度調節システムの洗浄方法における洗浄工程を示すフローチャート、図5は本発明の洗浄方法が採用された別の実施形態を示す概略構成図、図6は本発明の洗浄方法が採用された更に別の実施形態を示す概略構成図である。
ここに示す金型温度調節装置1Aはプラスチック等からなる成型品を作製する成型工程において、成型品質を安定させるために金型3を最適な温度に調整するために用いられ、射出成形機全体は不図示であるが、金型3を含む射出成形機の近傍に設置されるものである。
媒体タンク10にはフロートレススイッチ(不図示)或いは水位計(不図示)が設けられており、温調媒体の液面の変化を検知して電磁弁1bが開閉し、給水口から温調媒体が供給されるようになっている。温調媒体としては、水道水の他、イオン交換樹脂等で処理された清水(軟水)、防錆剤入りの精製水、或いは合成油系或いは鉱物系の熱媒体等を用いることができる。
よって金型温度調節システムSの洗浄を行う際には、洗浄剤排出口10cから温調媒体を排出させた後、洗浄剤(液体或いは固体のもの)を洗浄剤投入口10bから投入することができる。
また洗浄が終わった後、媒体タンク10に返媒される汚れた洗浄用液は、この洗浄剤排出口10cから排出させることができる。
尚、洗浄剤投入口10bを温調媒体の供給口と兼用することもでき、洗浄剤排出口10cをドレン口と兼用することもできる。
図中52は3方向切替弁で構成された空気取入弁を示しており、空気取入弁52の52aは流入口、52bは空気取入口、52cは流出口である。通常時(金型温度調節時)或いは金型3と接続した状態で洗浄を行う場合は、流入口52a及び流出口52c(紙面左右)を開とし、空気取入口52bを閉として、温調媒体或いは洗浄用液を流通させる。また金型3を金型温度調節装置1Aから取外す際には、流出口52cを閉とし、空気取入口52b及び流入口52aとを開とする。これにより、空気取入弁52は空気抜きとして機能する。よって空気取入弁52が設けられる位置は、金型3の返媒側の温調媒体循環路に設けられればよく、図例のように返媒管51上の返媒口5a近傍に限定されるものではない。尚、金型3を外すときの空気取入弁52の操作手順については、後に詳述する。
温調媒体循環路の配管材としては、耐蝕性素材を採用すれば、錆、スケールの発生を効果的に防止することができる。
図中、排水弁61の61aは受入口、61bは排出口、61cはホース口である。
通常時(金型温度調節時)は、冷却回路6から排出される冷却水が受入口61aと排出口61bとを通じて排出されるよう、受入口61aと排出口61bとは開とし、ホース口61cは閉としておく。また洗浄時において洗浄用ホース7が接続されるときは、受入口61a及びホース口61cを開とし、排出口61bを閉とする。
ここでは冷却水を温調媒体と同じ給水口から供給する構成を示しているが、これに限定されるものではない。
媒体タンク10においておよそ70℃に加熱された温調媒体は、ポンプ2によって送媒ホース4を通じて金型3の管路3aへ送られる。金型3の管路を通じた温調媒体は、およそ71℃〜72℃となり、返媒ホース5、返媒管51を通じて冷却回路6の温調細管6a内を通っている間に冷却細管6bを通じる冷却水によっておよそ68℃〜69℃まで冷却される。そして冷却された温調媒体は再び媒体タンク10に戻され、設定温度(70℃)に加熱される。以上の循環を繰り返すことにより、金型3の表面温度がおよそ70℃前後に維持される。
尚、上述の測定温度結果は一例に過ぎず、設置環境や金型3の大きさや形状等によって異なることは言うまでもない。
まず媒体タンク10内を空の状態とし、媒体タンク10の温度を室温にするとともに、媒体タンク10内の圧力を大気圧にする(S1)。そして媒体タンク10の洗浄剤投入口10bを開放し、洗浄用液を投入する(S2)。ここで固形の洗浄剤を用いる場合は、媒体タンク10に水を溜め、固形洗浄剤を投入することになる。
すると、ポンプ2によって洗浄用液が媒体タンク10から汲み上げられ、温調媒体循環路内を強制循環するので(図1の矢印方向参照)、配管の接続切替や金型の取外し、更には洗浄のための専用の装置を持ち出すまでもなく、一括して温調媒体循環路内の洗浄を行うことができる。すなわち、温調媒体循環路洗浄時の洗浄用液の流れは、通常の温調媒体が流れる流路と同じであるので、温調媒体循環路内を一度にくまなく洗浄用液で洗浄することができるのである。
また洗浄用液を加熱ヒータ10aによって所定の温度に加熱し、温調媒体循環路内を洗浄するので、洗浄用液の効果を発揮しやすい適切な温度で洗浄作業を行うことができる。よって、温調媒体循環路内に強固にこびりついたスケールなどの汚れを効果的に洗浄することができる。
これによれば、ポンプを逆回転させることにより、洗浄用液の流れが通常時とは逆に流れるので、通常の流れでは取りにくかった汚れ、スケールを効果的に取り除くことができる。図2に示す一部拡大断面図は、ポンプ2を逆回転させ、洗浄用液が逆流している状態を示している。図2の一部拡大断面図からもわかるように、通常の流れでは取り除くことは難しいスケール41も逆流する洗浄用液の水流によって取り除くことができる。
すると返媒ホース5内、金型3の管路3a内、送媒ホース4内の洗浄用液が逆回転のポンプ2によって吸い出されるので、金型3と金型温度調節装置1Aとの接続を解除する際に、管路3a内などに残留した洗浄用液が漏れて周囲を濡らすことがなく、スムーズに接続解除を行うことができる。
この実施形態は、送媒口4aの送媒バルブ4cと、冷却回路6の排水弁61が3方向切替弁で構成されている点で異なるものである。また冷却回路6が媒体タンク10内に構成され、洗浄用液を排水する排水口62が設けられている点でも異なるものである。
送媒バルブ4cの一方は管路3aへの流路を構成する送媒ホース4と接続されており、他方は冷却回路6の冷却細管6bに繋がる排水弁61と接続されている。よって送媒バルブ4cは通常時(金型温度調節時)と温調媒体循環路の洗浄時には、管路3a側への流路(送媒バルブ4ca及び送媒バルブ4cbを開)を確立し、冷却回路6の洗浄時には、弁を切替えて冷却回路6側への流路(送媒バルブ4ca及び送媒バルブ4ccを開)を確立する。
このように排水口62が設けられているので、電磁弁1cを介することなく、洗浄を行うことができる。
ここでは、冷却回路6の洗浄時は、随時洗浄用液を排水する例を示しているが、これに限定されず、上述の実施形態のように媒体タンク10内に洗浄用液を返媒する流路を設け、循環洗浄させるものとすることもできる(図1〜図3参照)。
よって弁を切替えれば、冷却回路6の洗浄を開始させることができるので、スパイラル状でスケールの堆積が起こりやすい冷却細管6bのメンテナンスをまめに行えるようになり、これによって冷却回路6の冷却性能を長く維持させることができる。また冷却回路6を洗浄した洗浄用液は排水口62から随時排水されるので、冷却細管6bに付着していたスケールなどを含んだ洗浄用液が再び温調媒体循環路や冷却回路6内を流通することがないので、効果的な洗浄を行うことができる。
尚、温調媒体循環路の洗浄方法は上述の実施形態と何ら変わるところはない。
上述では温調媒体が水の場合は最高概ね120℃、合成油系或いは鉱物系の熱媒体の場合は最高概ね200℃に対応でき、金型3を80℃程度の一定の温度に温め維持する制御を行う金型温度調節システムSの洗浄方法及びこれに用いられる金型温度調節装置1Aについて述べた。この洗浄方法は、金型3を5℃〜30℃の低温に維持する制御を行う金型冷却を行う金型温度調節システムSの洗浄方法にも適用可能である。
図6に示す実施形態は、送媒口4aの送媒バルブ4cと、冷却回路6の冷却細管6bの供給側の流路に設けられた供給バルブ63とが3方向切替弁で構成されている例を示しているが図1〜図4に示す実施形態のように、冷却回路6の洗浄時にはホースを繋ぎ替えるものとすることもできる。
図6では供給口から供給された冷却水及び洗浄用ホース7を通じて流通してきた洗浄用液は排水口へ排水されるものを示しているが、洗浄用液の排水口を別途設け、冷却細管6bを環状に形成し、冷却水は冷却細管6b内を循環するものとしてもよい。
媒体タンク10に洗浄剤投入口10bと洗浄剤排出口10cを備えている点は上述の実施形態と同様である。
そして冷却回路6を洗浄する場合は、送媒バルブ4cの接続を冷却回路6側に切替えるとともに、供給バルブ63も洗浄用ホース7からの流路を確立するよう切替えれば、第1のポンプP1によって送り出された洗浄用液が冷却細管6bに到達し、冷却細管6bを洗浄することができる。
ここに示す媒体タンク10には加熱ヒータがないが、加熱ヒータを設けたものにも適用可能である。
また媒体タンク10に過温用サーモスタットが設け、何らかのトラブル等により媒体タンク10内が所定温度を超えた場合、システムの電源が自動的に遮断されるような安全装置を備えたものやホットランナー仕様の金型3の金型温度調節装置1Aとしても適用可能である点は言うまでもない。
1A、1B 金型温度調節装置
10 媒体タンク
10a 加熱ヒータ
10b 洗浄剤投入口
10c 洗浄剤排出口
2 ポンプ
3 金型
3a 管路
4 送媒ホース
4a 送媒口
6 冷却回路
60 細管
61 排水弁
Claims (8)
- 温度制御がなされる金型と、連結付加された該金型の温度を調節制御するため、媒体タンクに貯留された温調媒体を強制循環させる金型温度調節装置とからなる金型温度調節システムの洗浄方法であって、
上記金型と上記金型温度調節装置との間は、送媒ホースと返媒ホースとで接続され、温調媒体循環路が構成されており、
上記金型温度調節装置は、上記温調媒体循環路内に上記温調媒体を強制循環させるポンプとを備え、
洗浄用液を上記媒体タンクに貯留し、上記ポンプによって上記洗浄用液を強制循環させることにより、上記温調媒体循環路内の洗浄を一括して行うことを特徴とする金型温度調節システムの洗浄方法。 - 請求項1において、
上記金型温度調節装置は温調媒体を加熱する加熱ヒータを備えており、
上記洗浄用液を上記加熱ヒータによって所定の温度に加熱し、上記温調媒体循環路内の洗浄を行うことを特徴とする金型温度調節システムの洗浄方法。 - 請求項1又は請求項2において、
上記金型温度調節装置には、上記返媒ホースから返媒された上記温調媒体を冷却するための冷却水が流通する細管及び該冷却水を排水する排水弁を備えた冷却回路が更に設けられており、
上記排水弁に上記送媒ホースを接続し、上記ポンプによって上記洗浄用液を強制循環させることにより、上記冷却回路内の洗浄を行うことを特徴とする金型温度調節システムの洗浄方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項において、
上記ポンプを逆循環させることにより上記洗浄用液の流れを逆流させ洗浄を行うことを特徴とする金型温度調節システムの洗浄方法。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金型温度調節システムの洗浄方法に用いられる上記金型温度調節装置において、
上記媒体タンクの上部には、洗浄剤を投入するための洗浄剤投入口が設けられるとともに、上記媒体タンクの下部には、洗浄剤を排出させるための洗浄剤排出口が設けられていることを特徴とする金型温度調節装置。 - 請求項3に記載の金型温度調節システムの洗浄方法に用いられる上記金型温度調節装置において、
上記送媒ホースが接続される送媒口は3方向切替弁で構成されており、一方は上記金型に接続され、一方は、上記冷却回路の上記排水弁に接続されることを特徴とする金型温度調節装置。 - 請求項6において、
上記返媒ホースが接続される返媒口近傍には、空気取入弁が設けられていることを特徴とする金型温度調節装置。 - 上記請求項5〜7のいずれか1項において、
上記洗浄用液が通じる流路には、電磁弁が介在しないことを特徴とする金型温度調節装置。
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