JP2009231656A - チップインダクタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長さ寸法のばらつきの発生が抑制されたチップインダクタを提供する。
【解決手段】直方体状のセラミック素体13と、セラミック素体内に埋設され端部12eがセラミック素体の一対の端面13e,13eに露出された金属線12と、セラミック素体の一対の端面およびその近傍にそれぞれ形成され金属線の端部を覆うように導電接続された外部電極14,14と、を有するチップインダクタ10において、金属線の端部にセラミック素体の端面に沿った平坦な展延部SPが形成されている。これにより、前記金属線の端部を被覆する外部電極の突出が抑制される。
【選択図】図1
【解決手段】直方体状のセラミック素体13と、セラミック素体内に埋設され端部12eがセラミック素体の一対の端面13e,13eに露出された金属線12と、セラミック素体の一対の端面およびその近傍にそれぞれ形成され金属線の端部を覆うように導電接続された外部電極14,14と、を有するチップインダクタ10において、金属線の端部にセラミック素体の端面に沿った平坦な展延部SPが形成されている。これにより、前記金属線の端部を被覆する外部電極の突出が抑制される。
【選択図】図1
Description
本発明は、セラミックの内部に金属線からなる導体を備えたチップインダクタおよびその製造方法に関する。
上述したチップインダクタの製造方法の一例が特許文献1に記載されている。具体的には、図7〜図9に示すように、フェライト等のセラミック粉末とバインダとを含むセラミック原料を混合し、混練し、金属線112とともに同時押出成形し、乾燥して図9(a)に示すように金属線112が埋入された棒状に連続する中間体111’を得る。次に、適当な長さに切断したのち、整列し、例えば回転砥石等を用いてセラミック素体113の単位の長さに二次切断して図9(b)に示すように個片中間体111を得る。次に、図9(c)に示すように個片中間体111の稜部や切断面のバリ等を外周研磨により除去した後、焼成して図9(d)に示すように端面113eから金属線112の端部112eが突出したセラミック素体113を得る。次に、セラミック素体113の端面113eから突出した金属線112の端部112eにプレス等を用いた低背化処理を施す。これにより、図9(e)に示すように前記金属線112の端部112eに折り曲げ部分BEが形成される。次に図9(f)に示すように前記金属線112の折り曲げ部分BEを被覆するように前記セラミック素体113の端面113eおよびその近傍に電極材料ペーストを塗布して外部電極114を付設する。次に、前記外部電極ペーストを焼き付けたのち、前記外部電極114上にNiメッキ、半田(Sn)メッキ等のメッキ膜115を形成して、図9(g)に示すようにチップインダクタ110などの電子部品が完成される。
このチップインダクタ110の製造方法においては、焼成によりセラミック素体113の端面113e,113eから突出する金属線112の端部112e,112eを、プレスなどの金属線処理手段により、適宜折り曲げて、セラミック素体113の端面113e,113e沿いに位置させる。そして、端面113e,113e及びその近傍にディップ処理などにより外部電極114を装着させることで、マンハッタン現象のようなはんだ付け不良が抑制される。
また特許文献2には、上述したチップインダクタの製造方法の他の例が記載されている。具体的には、内部導体の少なくとも両端が表面から突出するような態様で、内部導体の主要部をセラミックスラリー中に埋没させ、ゲルキャスティング法、樹脂硬化法、鋳込成形法のいずれかにより全体を所定の形状に成形してセラミック成形体を形成する工程と、セラミック成形体を焼成して素子を形成する工程と、素子の表面に内部導体の前記突出部分に接続するように外部電極を形成する工程とを具備するインダクタの製造方法である。 この際、内部導体の突出部分の長さが外部電極の厚み以内である場合には、その状態のままで外部電極を形成する。また、内部導体の突出部分の長さが外部電極の厚みより大きい場合には、突出部分を素子の端面に沿うように折り曲げた後、外部電極を形成し、突出部分を外部電極中に埋没させる。また、内部導体の太さが外部電極の厚みより大きい場合には、内部導体の突出部分を折り曲げた後、研磨して突出距離が外部電極の厚みより小さくなるようにする。
特開平7−192947号公報
特開平11−121252号公報
上記前者の背景技術に記載のチップインダクタ110の製造方法においては、回転砥石等により個片中間体111に切断されていた。このため、原材料から製品に至る収率の点で課題があった。また、収率を向上させるために、前記中間体111’を押切りカット刃等を用いて個片中間体111に切断すると、前記金属線112の両端部112eに大きな剪断力が付与される。このため、切断された個片中間体111を焼結処理する際に、セラミック素体113の端面113e,113eから突出する金属線112の端部112eに湾曲を生じやすいことが判明した。また、上記後者の背景技術に記載のチップインダクタの製造方法においては、金属線の両端部を例えば鋳込み成形等の金型に保持する際に金属線の端部に屈曲等の変形を生じやすかった。 そして、上記のように折り曲げ処理等を施す以前の金属線112の端部112eに湾曲や屈曲が生じてしまうと、プレス等により折り曲げ処理や押し潰し処理を行なう際に、前記突出した端部112eに所定の加圧力が伝達されず、前記金属線112の端部112eの前記折り曲げ部分BEや押し潰し部分と前記チップ素体113の端面113eとの間に所謂スプリングバック現象等による隙間GAが生じやすい。このように前記セラミック素体113の端面113eと前記金属線112の端部112eとの間に隙間GAが生じた状態で外部電極14を形成すると、チップインダクタ110の長さ寸法l’にばらつきを生じるという課題があった。また、上記前者や後者の背景技術に記載のように、セラミック素体113の端面113eから突出する金属線112の端部112eを折り曲げた場合には、セラミック素体113の端面113eにおいて、軸中心から一方向のみに偏って折り曲げ部BEが形成される。そして、このようなチップインダクタを図示省略した回路基板上に半田実装した際に、形成される半田フィレットの陰影にバラツキを生じる。このため、半田付け状態を確認するための外観検査において所要時間が増加するという課題があった。
本発明は、長さ寸法l’ばらつきの発生が抑制されたチップインダクタを提供することを目的とする。また本発明は、回路基板上に半田実装する際に、形成される半田フィレットの陰影にバラツキが生じるのを抑制して効率的な外観検査を可能としたチップインダクタを提供することを目的とする。また、本発明は、長さ寸法ばらつきの発生を抑制することが可能なチップインダクタの製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、ハンダ付け後の外観検査を効率的に行なうことが可能なチップインダクタの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、セラミック素体の端面から突出する金属線の端部を複数回衝打することにより金属線の端部にセラミック素体の端面に沿った展延部が形成されることを見出し、本発明に至った。本発明のチップインダクタは、(1)直方体状のセラミック素体と、該セラミック素体内に埋設され端部が前記セラミック素体の一対の端面に露出された金属線と、前記セラミック素体の一対の端面およびその近傍にそれぞれ形成され前記金属線の端部を覆うように導電接続された外部電極と、を有し、前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った平坦な展延部が形成されている。(・・・以下第1の課題解決手段と称する。)
上記チップインダクタの主要な形態の一つは、前記展延部が、セラミック素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有する。(・・・以下第2の課題解決手段と称する。)
また、本発明のチップインダクタの製造方法は、セラミック材料中に金属線を埋設して未焼成の中間体を準備する工程と、得られた中間体を焼結処理して両端面に前記金属線の端部が突出したセラミック素体を得る工程と、セラミック素体の端面に突出した金属線の端部を複数回衝打して前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程と、前記セラミック素体の端面およびその近傍に前記展延部を被覆するように外部電極を形成する工程と、を有する。(・・・以下第3の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の主要な形態の一つは、前記金属線として、束線、撚線、又は網線を用いる。(・・・以下第4の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、セラミック成形金型内に両端を保持した状態に金属線を配置して、セ
ラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備する。(・・・以下第5の課題解決手段と称する。)
ラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備する。(・・・以下第5の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、押切りカット刃により長さ方向の両端を切断して、セラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備する。(・・・以下第6の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、上記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程が、セラミック素体の端面から突出する前記金属線の端部に複数の方向から複数回の衝打を行なうことを含む。(・・・以下第7の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、上記複数回の衝打が、剛体からなる曲面を前記金属線の端部に衝突させることを含む。(・・・以下第8の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、上記複数回の衝打が、前記セラミック素体を回転運動させながら行う。(・・・以下第9の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、上記複数回の衝打が、前記セラミック素体の端面に突出する金属線の端部のみに対して行なう。(・・・以下第10の課題解決手段と称する。)
また、上記チップインダクタの製造方法の他の主要な形態の一つは、上記複数回の衝打が、剛体からなる複数のボールと複数のセラミック素体とをバレル内に収容して撹拌するバレル処理により行なう。(・・・以下第11の課題解決手段と称する。)
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った平坦な展延部が形成されている。これにより、前記金属線の端部を被覆する外部電極の突出が抑制される。
上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記展延部は、チップ素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有する。このため、半田実装時に、安定した半田フィレットが形成される。これにより、半田実装後の外観検査を効率よく行なうことができる。
上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、セラミック材料中に金属線を埋設して未焼成の中間体を準備する工程と、得られた中間体を焼結処理して両端面に前記金属線の端部が突出したセラミック素体を得る工程と、セラミック素体の端面に突出した金属線の端部を複数回衝打して前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程と、前記セラミック素体の端面およびその近傍に前記展延部を被覆するように外部電極を形成する工程と、を有する。このため、中間体形成時や焼成時に金属線の端部に湾曲や屈曲等の変形を生じた場合であっても、スプリングバック等による素体の端面からの金属線端部の浮き上がりの発生が抑制される。このため、長さ寸法が安定したチップインダクタを提供することができる。
上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記金属線として、束線、撚線、又は網線のいずれか一種を用いる。このため、前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った、より平坦な展延部が形成されたチップインダクタを提供することができる。
上記第5の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、セラミック成形金型内に両端を保持した状態に金属線を配置して、セラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備する。このため、金属線の端部に屈曲等の変形が生じた場合であっても、スプリングバックによるセラミック素体の端面からの浮き上がりの発生を抑制することができる。
上記第6の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、押切りカット刃により長さ方向の両端を切断してセラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備する。このため、金属線の端部に湾曲等の変形が生じた場合であっても、スプリングバックによるセラミック素体端面からの浮きの発生を抑制することができる。
上記第7の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程が、セラミック素体の端面から突出する前記金属線の端部に複数の方向から複数回の衝打を行なうことを含む。このため、セラミック素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有する展延部を安定して形成することができる。
上記第8の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記複数回の衝打は、剛体からなる曲面を前記金属線の端部に衝突させることを含む。このため、セラミック素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有する展延部を安定して形成することができる。
上記第9の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記複数回の衝打は、前記セラミック素体を回転運動させながら行う。このため、セラミック素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有する展延部を安定して形成することができる。
上記第10の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記複数回の衝打は、前記セラミック素体の端面に突出する金属線の端部のみに対して行なう。このため、セラミック素体のカケや割れを防止しつつ前記展延部を効率よく形成することができる。
上記第11の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、前記複数回の衝打が、剛体からなる複数のボールと複数のセラミック素体とをバレル内に収容して撹拌するバレル処理により行なうので、同時に複数のセラミック素体の金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った平坦な展延部を形成することができる。また、前記展延部の形成と同時にセラミック素体の角部にR付けすることができる。このため、未焼成の中間体を外周研磨する工程を省略もしくは簡略化してもよい。
本発明のチップインダクタによれば、前記金属線の端部を被覆する外部電極の突出が抑制される。このため、安定した長さ寸法を有するチップインダクタを提供することができる。また、本発明のチップインダクタの製造方法によれば、半田実装時に、安定した半田フィレットが形成される。これにより、半田実装後の外観検査を効率よく行なうことができる。本発明の上記目的とそれ以外の目的、構成特徴、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなろう。
以下、本発明のチップインダクタの第1の実施形態について、図1を参照して説明する。図1(a)は第1の実施形態のチップインダクタの内部構造を透視した側面図である。また、図1(b)は、前記図1(a)のB−B線における部分縦断面図である。
図1に示すように、本実施形態のチップインダクタ10は、直方体状のセラミック素体13と、該セラミック素体13内に埋設され端部12eが前記セラミック素体13の一対の端面13e,13eに露出された金属線12と、前記セラミック素体の一対の端面及びその近傍にそれぞれ形成され前記金属線12の端部12eを覆うように導電接続された外部電極14、14と、を有する。そして、該チップインダクタ10は、前記金属線12の端部12e,12eに前記セラミック素体13の端面13e,13eに沿った平坦な展延部SPが形成されている。
また、本実施形態のチップインダクタ10は、前記展延部SPが、セラミック素体13の端面13e位置における金属線12の端部12eからセラミック素体13の端面13eに沿って360度全方向に広がりを有する。
次に、本発明のチップインダクタの製造方法の第1の実施形態について、図2〜図4を参照して説明する。図2は本発明チップインダクタの製造方法の第1の実施形態を示すフローチャートである。また、図3は、上記チップインダクタの製造方法の各ステップを示す断面図である。図4は、上記チップインダクタの製造方法の展延部を形成する工程の一例を示す概念図である。
図2に示すように、本実施形態のチップインダクタ10の製造方法は、セラミック材料中に金属線を埋設して未焼成の中間体を準備する工程と、得られた中間体を焼結処理して両端面に前記金属線の端部が突出したセラミック素体を得る工程と、セラミック素体の端面に突出した金属線の端部を複数回衝打して前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程と、前記セラミック素体の端面およびその近傍に前記展延部を被覆するように外部電極を形成する工程と、を有する。
より具体的には、フェライト等のセラミック粉末とバインダとを含むセラミック原料を混合し、混練し、金属線とともに同時押出成形し、乾燥して図3(a)に示すように金属線12が埋入された棒状に連続する中間体11’を得る。次に、適当な長さに切断したのち、整列し、例えば図示省略した押切りカット刃等を用いて長さ方向の両端を切断して図3(b)に示すように個片中間体11を得る。次に、図3(c)に示すように個片中間体11の稜部や切断面のバリ等を外周研磨により除去した後、焼成して図3(d)に示すように端面13eから金属線12の端部12eが突出したセラミック素体13を得る。次に、セラミック素体13の端面13aから突出した金属線12の端部12eに、例えば図4に示す衝打装置を用いて複数回の衝打を行い、図3(e)に示すように前記セラミック素体13の端面13eに沿った平坦な展延部SPを形成する。衝打装置は、例えば、図4に示すように、セラミック素体13を保持するステージSTと、該ステージST上に保持されたセラミック素体13に対し進退自在に配置されたハンマーBAと、該ハンマーBAを往復動するアクチュエータACと、該アクチュエータACの往復動の向きを自在に調整可能な図示省略したアーム手段と、を備える。前記ステージSTは、例えば、モータM等の駆動源に接続され、セラミック素体13を回転自在に保持する。該ステージST上に載置されたセラミック素体13の端面13eから突出する金属線12の端部12eに対向するように、アクチュエータACが配置されている。該アクチュエータACの先端には、アルミナ等の剛体からなる曲面を備えたハンマーBAが配置されている。前記アクチュエータACは、図示省略したアーム手段等により、進退方向を任意の角度に調整することができる。前記ステージST上に図示省略した粘着手段等により保持されたセラミック素体は、例えば100rpmの回転速度で回転駆動される。そして、前記セラミック素体の端面13eから突出した金属線12の端部12eに、アルミナからなる曲面を備えたハンマーで、アームを用いてアクチュエータの進退方向を変えながら複数の方向から例えば3000回の衝打を行なう。これにより、前記金属線12の端部12eに前記端面13eに沿って平坦な展延部SPが形成される。次に図3(f)に示すように前記展延部SPを被覆するように前記セラミック素体13の端面13eおよびその近傍に電極材料ペーストを塗布して外部電極14を付設する。次に、前記外部電極ペーストを焼き付けて外部電極14を形成したのち、前記外部電極14上にNiメッキ、半田(Sn)メッキ等のメッキ膜15を施して、図3(g)に示すようにチップインダクタ10などの電子部品が完成される。尚、上記チップインダクタの製造方法に用いる金属線12として、束線、撚線、又は網線であることが好ましい。また、上記複数回衝打して展延部を形成する工程は、上記に限定するものではなく、例えば、図5や図6に示すように、種々の変更が可能である。例えば図5に示すように、前記ステージST上の回転軸から偏芯した位置に前記セラミック素体13を保持するも
のであってもよい。これによれば、セラミック素体13は、ステージST上で公転軌道上を回転運動する。これにより、前記展延部をより広範囲に形成することができる。また、例えば図6に示すように、ステージSTのセラミック素体13を保持する上面が前記ステージSTの回転軸に対し斜めに配置されていてもよい。これによれば、前記セラミック素体13の端面13eの中心から360度方向により均一に展延部SPを形成することができる。また、セラミック素体の破損につながるような大きな力を加えなくても容易に展延部を形成することができる。尚、上記複数回の衝打は、金属線の材質や太さ、形成しようとする展延部の大きさに応じて、回数や強さを調整することが好ましい。
のであってもよい。これによれば、セラミック素体13は、ステージST上で公転軌道上を回転運動する。これにより、前記展延部をより広範囲に形成することができる。また、例えば図6に示すように、ステージSTのセラミック素体13を保持する上面が前記ステージSTの回転軸に対し斜めに配置されていてもよい。これによれば、前記セラミック素体13の端面13eの中心から360度方向により均一に展延部SPを形成することができる。また、セラミック素体の破損につながるような大きな力を加えなくても容易に展延部を形成することができる。尚、上記複数回の衝打は、金属線の材質や太さ、形成しようとする展延部の大きさに応じて、回数や強さを調整することが好ましい。
(変形例)上記実施形態のチップインダクタの製造方法においては、前記セラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を得る工程として押出し成形法を用いたが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、セラミック成形金型内に両端を保持した状態に金属線を配置して、前記セラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備するものであってもよい。
また、本発明のチップインダクタの製造方法においては、押切りカット刃により長さ方向の両端を切断して、前記セラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備するものであってもよい。
また、本発明のチップインダクタの製造方法においては、前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程が、セラミック素体の端面から突出する金属線の端部に複数の方向から複数回の衝打を行なうことを含むことが好ましい。
また、本発明のチップインダクタの製造方法は、前記複数回の衝打が、剛体からなる曲面を上記金属線の端部に衝突させることを含むことが好ましい。前記剛体としては、例えばアルミナ等のセラミックやステンレス鋼等の金属であることが好ましい。
また、本発明のチップインダクタの製造方法は、前記複数回の衝打が、前記セラミック素体を回転運動させながら行うことが好ましい。
また、本実施形態のチップインダクタの製造方法は、前記複数回に衝打が、前記セラミック素体の端面に突出する金属線の端部のみに対して行なうものであることが好ましい。
また、上記複数回衝打して展延部を形成する工程は、図示省略するが、例えば遠心バレル装置のバレル内にセラミックや金属等の剛体からなる複数のボール(例えばアルミナボール)と複数のセラミック素体とを収容して撹拌するバレル処理により行なってもよい。
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
上記セラミック材料としては、磁性体セラミック、絶縁体セラミック、誘電体セラミック等の中からチップインダクタの用途に応じて適宜選択して用いることができる。
磁性体セラミックとしては、Ni−Znフェライト、Ni−Cu−Znフェライト、Mn−Znフェライト等を用いることができる。絶縁体セラミックとしては、ガラスコンポジット材料、アルミナ、ムライト等を用いることができる。
上記セラミック材料としては、磁性体セラミック、絶縁体セラミック、誘電体セラミック等の中からチップインダクタの用途に応じて適宜選択して用いることができる。
磁性体セラミックとしては、Ni−Znフェライト、Ni−Cu−Znフェライト、Mn−Znフェライト等を用いることができる。絶縁体セラミックとしては、ガラスコンポジット材料、アルミナ、ムライト等を用いることができる。
上記金属線12の材質としては、Ag,Ag−Pd,Au等の中から選択して用いることができる。
上記金属線12の形態としては、単線であってもよいが、束線や撚り線、網線等がより好ましい。金属線の太さとしては、直線であってもよく、また、予め螺旋状に巻回された巻線タイプであってもよい。丸線の単線を用いる場合には例えば、直径20μm〜400μmであることが好ましい。また、四角線や平角線を用いる場合には、例えば、前記丸線の断面積に相当する断面積を有するものであることが好ましい。また、束線や撚り線、網線等を用いる場合においても、断面積の合計が上記丸線の端面積に相当するものであることが好ましい。
上記未焼成の中間体11’としては、例えばセラミック粉末とバインダとが混合されたセラミック材料から成形され、金属線を内挿するものであることが好ましい。
上記個片の中間体11としては、例えば、上記未焼成の中間体11’を押切りカット刃等を用いて長さ方向の両端を切断したものであることが好ましい。
上記焼結処理としては、前記セラミック材料が焼結される温度で焼成することによりセラミック素体の端面から前記金属線の端部が突出させることが好ましい。
上記複数の方向から複数回の衝打を行なう工程としては、例えば剛体からなる曲面を前記金属線の端部に衝突させることが好ましい。また、上記セラミック素体を回転運動させながら行なうことが好ましい。また、前記セラミック素体の端面に突出する金属線の端部のみに対して行なうことが好ましい。
上記金属線の端部の展延部としては、前記セラミック素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有することが好ましい。
上記外部電極としては、前記セラミック素体の一対の端面およびその近傍にそれぞれ、前記金属線の端部を覆うように形成されることが好ましい。
上記外部電極を形成する工程としては、例えば、Ag等の導電性粉末とガラスフリットとを含有する電極材料ペーストを準備し、公知のディップ法等により前記セラミック素体の一対の端面に前記金属線の端部を覆うようにそれぞれ塗布したのち、焼き付けることが好ましい。また、上記外部電極を形成する工程としては、例えば、公知のスパッタ法等により前記セラミック素体の一対の端面に前記金属線の端部を覆うようにそれぞれAg等の外部電極を被着することが好ましい。
また、上記剛体からなる曲面を前記金属線の端部に衝突させる工程は、例えば、エアシリンダー等のアクチュエータの先端に例えば直径約3mmの略球状のアルミナ等からなるハンマーを取り付け、例えば前記アクチュエータを往復動させて前記ハンマーの先端の曲面を前記金属線の端部に衝突させるものであることが好ましい。
また、上記剛体からなる曲面を前記金属線の端部に衝突させる工程は、例えば、直径約3mmの複数のアルミナボールと前記複数のセラミック素体と水とを遠心バレル装置のバレル内に収容し、例えば100rpmで例えば10分間撹拌するものであってもよい。
(実施例)次に、本実施形態のチップインダクタの実施例について、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態のチップインダクタ10は、長さ1.9mm、幅1.15mm、高さ1.0mmの直方体状のセラミック素体13と、該セラミック素体13内に埋設され端部12eが前記セラミック素体13の一対の端面13e,13eに露出された金属線12と、前記セラミック素体13の一対の端面13e,13eおよびその近傍にそれぞれ形成された外部電極14と、を有する。前記金属線12は、直径50μmのAg線が8本束ねられた束線からなり、前記セラミック素体13の焼成時に焼結一体化されている。そして、前記金属線12の端部12eに、前記セラミック素体13の端面13e,13eに沿った平坦な展延部SPが形成されている。前記展延部SPは、セラミック素体13の端面13e位置における金属線12の端部からセラミック素体13の端面13eに沿って360度全方向に広がりを有する。尚、前記金属線12展延部SPの厚さは例えば25μmである。また、前記金属線12の端部12eからの前記展延部SPの張り出し寸法は、例えば、張り出しの大きいところで300μm、張り出しの小さいところで50μmであった。
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態のチップインダクタの製造方法の実施例について説明する。まず、金属線12として、直径50μmのAg線を8本束ねた束線を準備した。次に、Ni−Cu−Zn系フェライトを主成分とする原料粉末(平均粒径0.7μm)100重量部に対し、グリセリン及びメチルセルロースを合計で8重量部を混合し、混練した後、押出し成形機により、前記金属線12を埋設するように同時押出し成形して未焼成の中間体11’を得た。得られた中間体を長さ300mmに一次切断したのち、整列させ、図示省略した押切りカット刃を用いて長さ方向の両端を二次切断して図3(b)に示すように長さ2.5mmの個片中間体11を得た。次に、図3(c)に示すように個片中間体11の稜部や切断面のバリ等を砥粒の吹き付けにより除去した後、大気中500℃で2時間脱バインダ処理し、大気中900℃で2時間焼結処理して、図3(d)に示すように一対の端面13e、13eから金属線12の端部12e、12eがそれぞれ約100μm突出したセラミック素体13を50個得た。次に、セラミック素体13の長さ方向の各端面13eから突出した金属線12の端部12eに、図4に示す衝打手段を用いてそれぞれ2000回の衝打を行い、図1(a)及び図1(b)に示すように前記セラミック素体13の端面13eに沿った平坦な展延部SPを形成した。前記セラミック素体13の長さ方向の端面13eからの前記展延部SPの突出寸法(厚み)は、いずれも25μm±5μmの範囲内にあり、50個の各端面の平均値が25μmであった。次に図3(f)に示すように前記展延部SPを被覆するように前記セラミック素体13の端面13eおよびその近傍にAg粉末を主成分とする電極材料ペーストを塗布し、焼付け処理して厚さ約50μmの外部電極14を付設した。次に、前記外部電極14上にNiメッキ、半田(Sn)メッキ等のメッキ膜15を施して、図3(g)に示すようにチップインダクタ10を得た。得られたチップインダクタ10は、プレスにより低背化処理した従来のものに比べて長さ寸法ばらつきが小さいものであった。
(実施例2)
次に、本発明のチップインダクタの製造方法の第2の実施例について説明する。
まず、(1)Ni−Cu−Zn系フェライトを主成分とする原料粉末と、パラフィンワックスを主成分とするバインダ(結合材)を原料粉末重量に対して50.0vol%と、ポリエチレン系可塑剤を原料粉末重量に対して25vol%を加熱混練させ、ペレット化し、コンパウンドを作製した。
次に、本発明のチップインダクタの製造方法の第2の実施例について説明する。
まず、(1)Ni−Cu−Zn系フェライトを主成分とする原料粉末と、パラフィンワックスを主成分とするバインダ(結合材)を原料粉末重量に対して50.0vol%と、ポリエチレン系可塑剤を原料粉末重量に対して25vol%を加熱混練させ、ペレット化し、コンパウンドを作製した。
次に、(2)セラミック成形金型内に、両端を該金型の側壁に保持した状態にAgからなる長尺の金属線(直径100μmの単線)を配置し、前記で得られたコンパウンドを前記プランジャー内に注入して射出成形を行い、軸心部に金属線が埋設された長尺の未焼成の中間体を形成した。
次に、(3)前記で得られた未焼成の中間体を押切りカット刃を用いてチップ素体の単位長さ(2.6mm)に長さ方向の両端を切断し、得られた個片中間体をバレル処理により外周研磨した。前記個片中間体の端面には、金属線の端面が露出していた。また、個片中間体の端面と金属線の端面とは同一面上に位置していた。
次に、(4)上記で得られた個片中間体を大気中で400℃まで48時間かけて脱脂した後、900℃で2時間保持して焼結させ、直方体状のセラミック素体を得た。該セラミック素体の内部には、金属線が埋設されるとともに、該セラミック素体の一対の端面には前記金属線の端部が突出するように露出していた。
次に、(5)上記で得られたセラミック素体の端面から突出された金属線の端部に、前記と同様に図4に示す衝打装置を用いて、展延部SPを形成した。
次に、(6)上記で得られたセラミック素体の端面およびその近傍にそれぞれ前記金属線の端部を覆うようにAg粉末を主成分とする電極材料ペーストを塗布し、650℃で焼付けして外部電極を形成した。
次に、(7)上記外部電極の上に、Niメッキ、Snメッキを順次形成してチップインダクタを完成させた。得られたチップインダクタは、プレスにより低背化処理した従来のものに比べて長さ寸法ばらつきが小さいものであった。
(変形例)
本発明は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、前記セラミック素体中に埋設される金属線は、直線に限定するものではなく、例えば、螺旋状に巻回されていてもよい。このようにすれば、金属線2のインダクタンスが大きくなるので、大きなインダクタンス値を有するインダクタを得ることができる。また、セラミック素体はセラミックのスラリーを成形して製作する方法の他に、セラミックの粉体を成形してそれを焼成することにより製作することもできる。
本発明は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、前記セラミック素体中に埋設される金属線は、直線に限定するものではなく、例えば、螺旋状に巻回されていてもよい。このようにすれば、金属線2のインダクタンスが大きくなるので、大きなインダクタンス値を有するインダクタを得ることができる。また、セラミック素体はセラミックのスラリーを成形して製作する方法の他に、セラミックの粉体を成形してそれを焼成することにより製作することもできる。
また、未焼成の中間体の成形法としては、上記押出し成形法、上記射出成形法のほかに、湿式プレス成形法、乾式プレス成形法、鋳込み成形法、ゲルキャスティング法、樹脂硬化法等の方法を採用することができる。
本発明によれば、携帯型の電子機器や薄型の電子機器等に用いられるチップインダクタに好適である。
10:チップインダクタ11’:中間体11:個片中間体12:金属線12e:端部13:セラミック素体13e:端面14:外部電極15:メッキ層AC:アクチュエータBA:ハンマーM:モータSP:展延部ST:ステージ
Claims (11)
- 直方体状のセラミック素体と、該セラミック素体内に埋設され端部が前記セラミック素体の一対の端面に露出された金属線と、前記セラミック素体の一対の端面およびその近傍にそれぞれ形成され前記金属線の端部を覆うように導電接続された外部電極と、を有するチップインダクタにおいて、前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った平坦な展延部が形成されていることを特徴とするチップインダクタ。
- 前記展延部は、セラミック素体の端面位置における金属線の端部からセラミック素体の端面に沿って360度全方向に広がりを有することを特徴とする請求項1記載のチップインダクタ。
- セラミック材料中に金属線を埋設して未焼成の中間体を準備する工程と、得られた中間体を焼結処理して両端面に前記金属線の端部が突出したセラミック素体を得る工程と、セラミック素体の端面に突出した金属線の端部を複数回衝打して前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程と、前記セラミック素体の端面およびその近傍に前記展延部を被覆するように外部電極を形成する工程と、を有することを特徴とするチップインダクタの製造方法。
- 前記金属線として、束線、撚線、又は網線を用いることを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- セラミック成形金型内に両端を保持した状態に金属線を配置して、セラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備することを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- 押切りカット刃により長さ方向の両端を切断してセラミック材料中に金属線が埋設された未焼成の中間体を準備することを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- 前記金属線の端部に前記セラミック素体の端面に沿った展延部を形成する工程が、セラミック素体の端面から突出する前記金属線の端部に複数の方向から複数回の衝打を行なうことを含むことを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- 前記複数回の衝打は、剛体からなる曲面を前記金属線の端部に衝突させることを含むことを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- 前記複数回の衝打は、前記セラミック素体を回転運動させながら行うことを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- 前記複数回の衝打は、前記セラミック素体の端面に突出する金属線の端部のみに対して行なうことを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
- 前記複数回の衝打は、剛体からなる複数のボールと複数のセラミック素体とをバレル内に収容して撹拌するバレル処理により行なうことを特徴とする請求項3記載のチップインダクタの製造方法。
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