JP2009231517A - 電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エッチングピットの発生、成長をより好適化することにより、静電容量の増大を図ることのできる電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも塩素イオンを含むエッチング液中で、アルミニウム箔に化学的または/および電気化学的なエッチングを行う電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法において、エッチング液に0.05〜0.70wt%のL−アスコルビン酸またはその塩を添加する。該塩としては、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。さらに、エッチング液には、リン酸イオン、硫酸イオンおよびシュウ酸イオンのうち少なくとも1種を配合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法に関するものである。
電解コンデンサ用アルミニウム箔は、一般に陽極用、陰極用とも、塩素イオンを含むエッチング液中で、アルミニウム箔に化学的または/および電気化学的なエッチングを行うことにより、表面を粗面化し、表面積の拡大化を図っている(例えば、非特許文献1参照)。
また、エッチング液には、さらに、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、シュウ酸等が配合されることもある(例えば、特許文献1、2参照)。
特開平6−53085号公報 特開平6−53082号公報 永田伊佐也著、「電解液陰極アルミニウム電解コンデンサ」、日本蓄電器工業株式会社出版、平成9年2月24日、第2版第1刷、P221〜257
近年、電解コンデンサの小形化の要求はますます高まっており、それに伴い、電解コンデンサに用いられる電極箔には従来以上に高い静電容量が要求され、アルミニウム箔の表面積をより効率よく拡大することが望まれている。
しかしながら、従来のエッチング方法では、原箔中のアルミニウム以外の不純物はエッチングの開始点としての役割を果たすが、その場合、原箔からエッチング液中に溶け出す瞬間しか機能していなかった。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、エッチングピットの発生、成長をより好適化することにより、静電容量の増大を図ることのできる電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法では、少なくとも塩素イオンを含むエッチング液中で、アルミニウム箔に化学的または/および電気化学的なエッチングを行う電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法において、前記エッチング液に、下式で表されるL−アスコルビン酸(ビタミンC)またはその塩が配合されていることを特徴とする。
Figure 2009231517
本発明において、前記エッチング液におけるL−アスコルビン酸の塩は、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩であることが好ましい。
本発明において、前記エッチング液におけるL−アスコルビン酸(ビタミンC)またはその塩の濃度は、エッチング液全体に対して0.05〜0.70wt%であることが好ましい。
本発明において、前記エッチング液には、さらに、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオンおよびシュウ酸イオンのうち少なくとも1種が配合されていることを特徴とする電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法である。
本発明では、エッチング液にL−アスコルビン酸またはその塩を添加することで、エッチングピットの発生、成長をより好適化することができ、単位面積当たりの静電容量の増大を図ることができる。
その理由としては、L−アスコルビン酸またはその塩の作用により、溶け出した後の不純物イオンが還元され、極微小な析出物を発生させることができる。その析出物とアルミニウムとの酸化還元電位の差により局部電池が形成され、エッチング開始点が増えることとなり、その後のエッチングピットが効率よく発生、成長するためと考えられる。
この詳細な理由は明確ではないが、L−アスコルビン酸固有の還元力、分子構造によるものと考えられる。
本発明は、前記エッチング液に対して、さらに、リン酸イオン、硫酸イオン、およびシュウ酸イオンのうち少なくとも1種を配合した場合に適用することができる。前記酸のイオンは、アルミニウムに対して皮膜生成能力を備えており、かかる酸のイオンをエッチング液に配合すると、エッチング時に生成する皮膜により、アルミニウム金属の過剰な溶解が抑制され、エッチングピットの発生、成長をより好適化することができる。
さらに、上記酸イオンにともに、硝酸イオンを配合すると、エッチングピットの進行性を向上させることができる。
このようなエッチング液にL−アスコルビン酸またはその塩を添加すると、その効果がより大きくなる。その理由としては、エッチング液にL−アスコルビン酸またはその塩を添加すると、エッチング開始点の増加により反応性が高まったアルミニウム箔に対して、アルミニウム金属の過剰な溶解を抑制できるので、増加したエッチングピットの結合を防止し、エッチングピットの発生、成長をより好適化することができると考えられる。
以下、本願発明の実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
以下に説明する実施例および従来例では、
塩酸 10.0wt%
リン酸 2.0wt%
硝酸 2.0wt%
硫酸 1.0wt%
を配合したエッチング液をベースとして用い、実施例1〜9では、表1に示す濃度(wt%)のL−アスコルビン酸をエッチング液に添加し、また、実施例10〜12では各々、表1に示す濃度(wt%)のL−アスコルビン酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩をエッチング液に添加した。
Figure 2009231517
ここで、アルミニウム箔は、純度99.9%以上のものが望ましい。
また、エッチング条件は、エッチング液の温度を30℃、電圧波形を正弦波、周波数を60Hz、電流密度を0.4A/cm2とし、電気量は40C/cm2 とした。
また、いずれの条件においても、アルミニウム箔をエッチングした後、アルカリ、酸を用いた公知の方法でケミカル洗浄を行った。
上記のエッチング箔に対してアジピン酸アンモニウム水溶液中で印加電圧20Vの条件で陽極酸化を行い、得られた電極箔試料について、静電容量値を測定した結果を表1および図1に示す。図1は、エッチング液中へのL−アスコルビン酸の添加量と、従来例に対する静電容量比との関係を示すグラフである。
[実施例1〜9]L−アスコルビン酸濃度の比較
上記エッチング液中にL−アスコルビン酸を、各々0.02、0.05、0.10、0.15、0.25、0.40、0.60、0.70、0.85wt%添加したエッチング液を使用し、エッチング箔試料を作製した。
(従来例)
エッチング液中にL−アスコルビン酸を添加しないエッチング液を使用し、エッチング箔試料を作製した。その他は実施例と同様の条件とした。
[試験結果の検討]
表1および図1から明らかなように、L−アスコルビン酸の添加によって、エッチングピットの発生、成長が効率的に行われ、静電容量の向上を図ることができた。ここで、L−アスコルビン酸の添加量については、0.02〜0.85wt%とすることで静電容量の向上を図ることができ、0.05〜0.70wt%とすることがより好ましい(実施例2〜8)。
[実施例10〜12]L−アスコルビン酸塩の比較
上記実施例では、L−アスコルビン酸を用いたが、これに限らず、L−アスコルビン酸のカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を用いても同様の効果が得られた。
また、上記実施例では、エッチング液の塩酸に組み合わせる酸として、リン酸、硝酸、硫酸を用いたが、これに限定されるものではない。
すなわち、塩酸に組み合わせる酸のイオンとして、リン酸イオン、硫酸イオン、シュウ酸イオンのうち、1種以上を配合して用いることができ、これらの場合も、上記と同様の効果を得ることができた。
さらに、上記実施例では、低電圧用の陽極箔を対象としたが、陰極用または中高圧用の陽極箔を使用した場合でも、L−アスコルビン酸またはその塩を添加することで静電容量の増大を図ることができた。
エッチング液中へのL−アスコルビン酸の添加量と、比較例に対する実施例の静電容量比との関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 少なくとも塩素イオンを含むエッチング液中で、アルミニウム箔に化学的または/および電気化学的なエッチングを行う電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法において、
    前記エッチング液に、下式で表されるL−アスコルビン酸またはその塩が添加されていることを特徴とする電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。
    Figure 2009231517
  2. 前記エッチング液におけるL−アスコルビン酸の塩がカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩であることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。
  3. 前記エッチング液におけるL−アスコルビン酸またはその塩の濃度は、エッチング液全体に対して0.05〜0.70wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。
  4. 前記エッチング液には、さらに、リン酸イオン、硫酸イオン、およびシュウ酸イオンのうち少なくとも1種が配合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用エッチング箔の製造方法。


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