JP2009228934A - 灰溶融炉および灰溶融炉における高融点物質除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】投入量の操作範囲を広くし得る融点降下剤を用いることにより耐火材の損傷を防止し得る灰溶融炉を提供する。
【解決手段】廃プラスチックを細片化してなるフラフを燃料とする加熱用バーナ4が設けられるとともに、当該加熱用バーナにより灰を溶融する溶融室13が設けられた灰溶融炉において、溶融室内に融点降下剤を供給する融点降下剤供給装置5を具備させるとともに、融点降下剤としてスラグを用いるとともに、このスラグを空気輸送管31を介して溶融室内に供給するようにしたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、灰溶融炉および灰溶融炉における高融点物質除去方法に関する。
廃プラスチックを細片化してなるフラフを燃料とする灰溶融炉においては、廃プラスチック中に酸化チタン(TiO)および酸化アルミニウム(Al)が含まれているため、溶流点が1600℃以上である高融点物質がフラフ燃焼室の下方に配置される溶融室の底部に付着し堆積するとともに、溶融室の底部に設けられたスラグ取出孔が閉塞する惧れが生じ、長期の連続運転の支障になっていた。
言い換えれば、廃プラスチックを燃料とする場合には、高融点物質の生成は避けられず、しかも、この高融点物質については、通常の炉内温度である1400〜1500℃程度の温度では溶融が難しく、またこれ以上の高温化は耐火材の損傷を早めるという問題があり、したがって運転中において、高融点物質を除去することができなかった。
ところで、この問題を解決するために、溶融室内における高融点物質の堆積箇所に、直接、融点降下剤としてガラスカレットを投入することにより、高融点物質を溶融させて堆積しないようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−225168号公報
しかし、ガラスカレットを融点降下剤として用いる場合、その投入量の操作範囲が狭いため、すなわち投入量に対する降下温度の割合が大きいため、適正量を投入するのが難しく、例えば投入量が少しでも多くなると、耐火材が露出してしまい、ガラスカレット中のアルカリ成分によって耐火材が損傷するという問題がある。
そこで、本発明は、投入量の操作範囲を広くし得る融点降下剤を用いることにより耐火材の損傷を防止し得る灰溶融炉および灰溶融炉における高融点物質除去方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の灰溶融炉は、廃プラスチックを燃料とする加熱用バーナが設けられるとともに、当該加熱用バーナにより灰を溶融する溶融室が設けられた灰溶融炉において、
上記溶融室内に融点降下剤を供給する融点降下剤供給装置を具備させるとともに、融点降下剤としてスラグを用いたものであり、
また上記灰溶融炉において、スラグを空気輸送により溶融室内に供給するようにしたものである。
さらに、本発明の灰溶融炉における高融点物質除去方法は、廃プラスチックを燃料とする加熱用バーナが設けられるとともに、当該加熱用バーナにより灰を溶融する溶融室が設けられた灰溶融炉において、
上記溶融室内に融点降下剤としてスラグを供給して、当該溶融室内に堆積した高融点物質の融点を降下させて溶融・除去する方法であり、
また上記高融点物質除去方法において、スラグを空気輸送により溶融室内に供給する方法であり、
また上記各高融点物質除去方法において、スラグとして、粒径が3mm以下のものを用いる方法である。
上記灰溶融炉および高融点物質除去方法によると、融点降下剤として、スラグを用いたので、従来のガラスカレットとは異なり、例えば1400〜1600℃の範囲における融点降下割合が緩やかであるため、融点の調整を容易に行うことができる。すなわち、スラグを適正量でもって炉内に供給することができるので、従来のように、供給量が多すぎて耐火材が露出するような事態を防止することができる。また、たとえ、耐火材が露出したとしても、スラグであるため、ガラスカレットのようにそのアルカリ成分によって耐火材が損傷することはない。
さらに、スラグを空気輸送により溶融室内に供給するようにしているので、例えば投入用ノズルを用いて融点降下剤を高融点物質上に直接投入する場合に比べて、融点降下剤であるスラグを、溶融室内にすなわち廃プラスチック由来の高融点物質上に広く均一に散布することができ、したがって炉本体の底壁部に局所的に高融点物質が堆積するのを防止することができる。
以下、本発明の実施の形態に係る灰溶融炉および灰溶融炉における高融点物質除去方法を図面に基づき説明する。
まず、本発明に係る高融点物質除去方法が適用される灰溶融炉について簡単に説明する。
この灰溶融炉は、灰を加熱し溶融するための加熱用バーナの燃料として、廃プラスチック類を、数ミリ(例えば、3mm程度)以下の大きさに破砕して得られるフラフ(細粒可燃物ともいう)を使用するものである。
図1に示すように、この灰溶融炉は、加熱用バーナ4を有して灰(焼却灰+飛灰)を加熱し溶融するための炉本体1と、この炉本体1内に灰を供給するためのプッシャー式の灰供給装置2と、フラフを上記加熱用バーナ4に供給するためのフラフ供給装置3とから構成されている。また、上記加熱用バーナ4は、炉の操業開始時およびフラフでの発熱量が不足する場合に、補助的に灯油が用いられるものである。
そして、上記炉本体1は、大きく分けて、灰の溶融処理経路(例えば、灰の供給→灰の予熱→灰の溶融→スラグの取り出し)の下手側位置に配置されて上方にフラフ燃焼室12を有するとともに当該フラフ燃焼室12の下方に溶融室13を有するフラフ燃焼部11と、溶融処理経路の上手側位置に配置されて二次燃焼室15を有する二次燃焼部14とから構成されている。なお、フラフ燃焼部11から二次燃焼部14に到る連通空間16も溶融室13の一部を形成している。
そして、この溶融室13の下手側端部には、溶融スラグを炉外に排出する排出筒17が設けられるとともに、溶融室13の後壁部である下手側の側壁部1cには、溶融スラグを排出筒17側に取り出すためのスラグ取出孔(スラグ抜出孔ともいえる)18が設けられるとともに、このスラグ取出孔18の下方、すなわち上記排出筒17の下方には、溶融スラグを導き水冷して砕くための水砕ピット19が設けられている。なお、上記排出筒17には、スラグ取出孔18に対向する位置でスラグが固化するのを防止するための補助加熱用バーナ20が設けられている。
少し詳しく説明すると、上記フラフ燃焼部11は、縦型の円筒状に形成されており、その上壁部1bには、加熱用バーナ4が配置されるとともに、その内壁面の上下方向中間部には絞り部11aが内側に突出するように形成されている。
また、上記加熱用バーナ4には、灯油を供給する灯油供給管21およびフラフ供給装置3からのフラフ燃料を1次空気とともに供給する(つまり、空気輸送により供給する)フラフ供給管22が接続されるとともに、炉本体1のフラフ燃焼部11の上壁部1bから突設された空気案内筒部1dには2次空気供給管23が接続され、さらに下手側の側壁部1cには、3次空気供給管24および4次空気供給管25が接続されている。
さらに、この灰溶融炉には、炉本体1の溶融室13に対応する下手側の側壁部(後壁部ともいえる)1cに融点降下剤を空気輸送にて供給する融点降下剤供給装置5が具備されている。
この融点降下剤供給装置5は、一端側が溶融室13に対応する側壁部1cに接続された空気輸送管(融点降下剤供給管ということもでき、この「輸送管、供給管」という語句には「ダクト」の意味も含まれる)31と、この空気輸送管31の他端部に設けられて空気を供給する送風機32と、融点降下剤を貯留する融点降下剤貯留ホッパ33と、この融点降下剤貯留ホッパ33内の融点降下剤を定量ずつ供給し得る定量供給機(例えば、サークルフィーダ、スクリュウフィーダなどが用いられる)34と、この定量供給機34から排出された融点降下剤を上記空気輸送管31の他端部の上手側に導く融点降下剤導入管35と、この融点降下剤導入管35の途中に設けられて定量供給機34側を密閉し得るロータリバルブ36とから構成されている。上記空気輸送管31の途中には、輸送用空気量を調節する空気量調節器としてのダンパ(バルブでもよい)37が設けられている。なお、上記フラフ供給装置3も、上記融点降下剤供給装置5と同様の構成を有しており、図示しないが、フラフ貯留ホッパ、定量供給機、フラフ導入管、送風機などが具備されている。したがって、上記フラフ供給管22を空気輸送管ということもできる。
ここで、融点降下剤について説明すると、当該融点降下剤としてはスラグ(例えば、この灰溶融炉から取り出された水砕化スラグ)が用いられるとともに、このスラグの粒径は、空気輸送が可能な大きさ、例えば3mm以下にされている(勿論、全てが3mm以下にされている訳ではなく、3mmを超えるものも含まれている)。また、空気輸送時の流速は14m/sec以上が好ましく、さらに空気輸送時の空気量は灰溶融炉内での燃焼における空気比が0.1未満となるようにするのが好ましい。
上記構成において、加熱用バーナ4にフラフ燃料が1次空気とともに供給されて、フラフ燃焼室12にてフラフが燃焼されている状態において、灰供給装置2により灰が炉本体1内に供給されると、底壁部1a上を二次燃焼室15側から溶融室13側に向かって移動するとともに、溶融室13側から二次燃焼室15側に移動する燃焼排ガスの熱により予熱されて溶融室13に到り、フラフの燃焼熱により灰が溶融される。なお、炉の運転中、フラフ燃焼室12の温度は1450〜1500℃に、また溶融室13の温度は1400〜1450℃の範囲に維持されている。
そして、このとき、フラフに含まれている、すなわち廃プラスチック由来の高融点物質が溶融室13の底壁部1a上に堆積することになるが、融点降下剤としてのスラグが、融点降下剤供給装置5から、すなわち空気輸送管31から溶融室13内に空気とともに供給されており、このスラグが溶融室13の底壁部1aの高融点物質上に拡散される。
したがって、底壁部1a上に拡散されたスラグにより、高融点物質の融点が降下されて溶融状態となる。
ところで、このスラグの供給量については、定量供給機34により、高融点物質生成量(フラフ供給量×フラフ中の灰分)に対応する量となるように調整されているが、後述するように、ガラスカレットを用いた場合に比べて、その操作範囲が広く、したがって高融点物質の温度制御が容易となる。
図2に、廃プラスチック由来の高融点物質に、スラグと従来のガラスカレットを混合させた場合の融点降下曲線を示す。なお、図2の横軸は投入比(スラグ投入量/高融点物質生成量)を示し、縦軸は溶流点(温度)を示す。
図2から、1400〜1600℃の範囲において、スラグによる融点降下温度の割合が、ガラスカレットのそれよりも小さい、言い換えれば、緩やかであることが分かる。つまり、ガラスカレットに比べて、高融点物質の降下温度の制御が容易となる。
そして、溶融状態のスラグはスラグ取出孔18から炉本体1外に取り出された後、水砕ピット19内に落下し、水により冷却されて砕かれる。なお、この水砕ピット19にて得られたスラグは、さらに細かく砕かれて、融点降下剤として使用される。
上述したように、融点降下剤として、スラグを用いたので、従来のガラスカレットとは異なり、1400〜1600℃の範囲における融点降下の割合が緩やかであるため、融点の調整を容易に行うことができる。つまり、スラグ投入量の操作範囲を広くすることができる。
また、スラグを用いることにより、炉本体の底壁部が露出した場合でも、ガラスカレットのようにそのアルカリ成分によって耐火材を損傷させることはない。
また、融点降下剤としてのスラグについては、灰溶融炉から取り出されるスラグを用いることにより、別途、購入する必要がないので、ランニングコストの低減化を図ることができる。
さらに、スラグを空気輸送にて炉本体内に供給するようにしているので、投入部分での詰まりを防止し得るとともに、例えば投入用ノズルから融点降下剤を直接投入するものに比べて、スラグを溶融室内に広範囲に散布して、少なくとも、底壁部における高融点物質の局所的な堆積を防止することができる。
本発明の実施の形態に係る灰溶融炉の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る高融点物質除去方法を用いた場合の高融点物質の融点降下曲線を示す。
符号の説明
1 炉本体
1a 底壁部
1b 上壁部
1c 側壁部
2 灰供給装置
3 フラフ供給装置
4 加熱用バーナ
5 融点降下剤供給装置
11 フラフ燃焼部
12 フラフ燃焼室
13 溶融室
14 二次燃焼部
15 二次燃焼室
16 連通空間
18 スラグ取出孔
22 フラフ供給管
31 空気輸送管
32 送風機
33 融点降下剤貯留ホッパ
34 定量供給機
35 融点降下剤導入管
36 ロータリバルブ
37 ダンパ

Claims (5)

  1. 廃プラスチックを燃料とする加熱用バーナが設けられるとともに、当該加熱用バーナにより灰を溶融する溶融室が設けられた灰溶融炉において、
    上記溶融室内に融点降下剤を供給する融点降下剤供給装置を具備させるとともに、融点降下剤としてスラグを用いたことを特徴とする灰溶融炉。
  2. スラグを空気輸送により溶融室内に供給するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の灰溶融炉。
  3. 廃プラスチックを燃料とする加熱用バーナが設けられるとともに、当該加熱用バーナにより灰を溶融する溶融室が設けられた灰溶融炉において、
    上記溶融室内に融点降下剤としてスラグを供給して、当該溶融室内に堆積した高融点物質の融点を降下させて溶融・除去することを特徴とする灰溶融炉における高融点物質除去方法。
  4. スラグを空気輸送により溶融室内に供給することを特徴とする請求項3に記載の灰溶融炉における高融点物質除去方法。
  5. スラグとして、粒径が3mm以下のものを用いることを特徴とする請求項4に記載の灰溶融炉における高融点物質除去方法。
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