JP2009227837A - 熱硬化型樹脂組成物およびインサート成型用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面に易接着処理を施していないPETフィルム上に装飾用インキや金属蒸着膜を形成させ、密着させることは困難であった。そのためPETフィルムと装飾用インキあるいは金属蒸着膜との間のプライマーとなる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物であって、前記ポリオールのガラス転移温度が75〜95℃かつ水酸基価が20〜35mgKOH/gであるものを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱硬化型樹脂組成物およびインサート成型用フィルムに関する。
近年、プラスチックフィルムはその加工性、透明性等に加えて、軽量、安価といったことから、ガラスに変わり自動車業界、家電業界を始めとして種々の産業で使用されており、最近ではプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイやタッチパネル、パーソナルコンピュータなどのディスプレイ用としても広く用いられている。プラスチックフィルムはガラスと比較して柔らかく、表面に傷が付き易い等の欠点を有している。この欠点を解消するために紫外線硬化型樹脂組成物をプラスチックフィルムに塗工したハードコートフィルムが用いられている。その中でもインサート成型用フィルムでは屈曲性に優れた紫外線硬化型樹脂組成物をPETフィルムに塗布、硬化し、裏面に装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施し意匠性を付与し、携帯電話等に使用されている。
特開2002−220487号公報 特開2005−194363号公報 特開2001−13303号公報
従来のインサート成型用フィルムではPETフィルムの裏面の易接着層に樹脂組成物を塗布、硬化し、金属蒸着処理を施すため、蒸着処理時にかかる輻射熱によって易接着層が白化してしまう。しかしながら、表面に易接着処理を施していないPETフィルムに樹脂組成物を塗布、硬化して密着させることは困難であった。また同様に、表面に易接着処理を施していないPETフィルム上に装飾用インキや金属蒸着膜を形成させ、密着させることは困難であった。そのためPETフィルムと装飾用インキあるいは金属蒸着膜との間のプライマーとなる樹脂組成物が要求されていた。
請求項1の発明は、
ポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物であって、前記ポリオールのガラス転移温度が75〜95℃かつ水酸基価が20〜35mgKOH/gであることを特徴とする熱硬化型樹脂組成物である。
請求項2の発明は、
請求項1記載の熱硬化型樹脂組成物を、表面に易接着処理を施していないPETフィルム上に塗布、硬化させたインサート成型用フィルムである。
請求項3の発明は、
請求項2記載のフィルム上に装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施したインサート成型用フィルムである。
本発明によれば、ガラス転移温度が75〜95℃かつ水酸基価が20〜35mgKOH/gであるポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物を、表面に易接着処理を施していないPETフィルムに塗布、硬化することで密着性、耐ブロッキング性に優れたインサート成型用フィルムを得ることができ、さらにその硬化被膜上に装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施すことが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に用いるガラス転移温度(以下Tg)が75〜95℃かつ水酸基価(以下OH価)が20〜35mgKOH/gであるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、カーボネートポリオール、カプロラクトンポリオールなどが挙げられる。
市販品としてはVU−191(大日本インキ化学工業株式会社製、Tg94℃、OH価33mgKOH/g)、Q195−45(三井化学株式会社製、Tg84℃、OH価27mgKOH/g)、Q612(三井化学株式会社製、Tg79℃、OH価25mgKOH/g)等が挙げられる。
ポリオールのガラス転移温度が75℃よりも低い場合、硬化被膜の硬度が不十分であるため、フィルム巻き取り時に擦れ傷やブロッキングが発生する。95℃よりも高い場合、硬化被膜が硬すぎて脆くなり、PETフィルムとの密着性が低下する。またポリオールの水酸基価が20mgKOH/gよりも低い場合、ポリイソシアネートとの反応性が悪く、硬化不良により十分な硬度が得られず、前記、ガラス転移温度が75℃よりも低い場合と同様、フィルム巻き取り時に擦れ傷やブロッキングが発生する。35mgKOH/gよりも高い場合、ポリイソシアネートとより密な架橋構造を形成し、硬化収縮により密着性が低下する。
ポリイソシアネートとしては、特に限定されることなく、本発明に用いるポリイソシアネート化合物としては、具体的には、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類のほか、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンメチルエステルジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート類が挙げられる。
市販品としてはDN−981(大日本インキ化学株式会社製)D−120N、Dー170N、D−177N(三井武田ケミカル株式会社製)、コロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製)等が挙げられる。
この他に有機溶剤を添加することもできる。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
その他、各種添加剤、例えば、反応促進剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、カップリング剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤等などを配合材料としてもよい。
本発明の熱硬化型樹脂組成物のPETフィルムへの塗布方法については特に制限はなく、公知の方法、例えばグラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ディッピング法などを用いることができ、乾燥後塗膜の厚みを200nm〜1μmとすることが好ましい。硬化被膜層の厚みが200nm未満であると、十分な硬度が発現せず、フィルム巻き取り時に擦れ傷やブロッキングが発生し、1μmを超えると密着性の劣化や成型時にクラックが発生するため好ましくない。
本発明の熱硬化型樹脂組成物を表面に塗布、硬化させたインサート成型用フィルムに金属蒸着処理により被膜形成可能な金属薄膜としてはアルミニウム、錫、亜鉛、金、銀、白金、ニッケルなどが挙げられる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物を表面に塗布、硬化させたインサート成型用フィルムに印刷処理により被膜形成可能なインキとしては特に限定されることなく、例えば市販品としてはIPX−971、IPX−102、IPX−000(帝国インキ製造株式会社製)、JT−25(株式会社セイコーアドバンス製)などが挙げられる。印刷の方法としては特に限定されることなく、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、ホットスタンプ印刷などが挙げられる。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
アクリルポリオール(VU−191、大日本インキ化学工業株式会社製、固形分55%、Tg94℃、OH価33mgKOH/g)100重量部、脂肪族系イソシアネート化合物(DN−981、大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)18重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
アクリルポリオール(Q195−45、三井化学株式会社製、固形分45%、Tg84℃、OH価27mgKOH/g)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)15重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
アクリルポリオール(Q612、三井化学株式会社製、固形分50%、Tg79℃、OH価25mgKOH/g)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)14重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
比較例1
アクリルポリオール(Q166、三井化学株式会社製、固形分50%、Tg53℃、OH価30mgKOH/g)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)17重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
比較例2
アクリルポリオール(Q164、三井化学株式会社製、固形分45%、Tg98℃、OH価27mgKOH/g)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)15重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
比較例3
アクリルポリオール(WXU−880、大日本インキ化学工業株式会社製、固形分50%、Tg90℃、OH価10mgKOH/g)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)6重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
比較例4
アクリルポリオール(Q174、三井化学株式会社製、固形分50%、Tg85℃、OH価45mgKOH/g)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%)25重量部、溶媒としてMEKを用い固形分5%の熱硬化型樹脂組成物を得た。
実施例、比較例で作製した熱硬化型樹脂組成物を、易接着処理を施していないPETフィルムに硬化膜厚が500nmとなるようにバーコート法で塗工して熱風乾燥機で110℃、3分の条件で乾燥してそれぞれインサート成型用フィルムを得た。

評価結果を表1に示す。
Figure 2009227837
試験・評価方法
(1)耐スチールウール性
#0000スチールウールによる表面摩擦試験(荷重50gf、ストローク幅30mm、10往復)後に傷の有無を目視観察により評価。○:傷0本、×:傷1本以上。
(2)密着性
JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験に基づき、塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認。剥がれなかったマス目を数える。
(3)耐ブロッキング性
塗膜にPETフィルムを被せ、その上に1kgの重りを乗せて熱風乾燥機で80℃、30分の条件で放置後、ブロッキングの有無を確認。
(4)インキ密着性
塗膜上にIPX−971(帝国インキ製造株式会社)100重量部と220硬化剤(帝国インキ製造株式会社)15部を混合して得たインキをブレードコート法により15μm塗工し、熱風乾燥機で90℃、60分の条件で乾燥し、(2)と同様に密着性を確認。
(5)アルミニウム蒸着密着性
塗膜上に蒸着装置によりアルミニウム薄膜を形成し、(2)と同様に密着性を確認。

Claims (3)

  1. ポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物であって、前記ポリオールのガラス転移温度が75〜95℃かつ水酸基価が20〜35mgKOH/gであることを特徴とする熱硬化型樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の熱硬化型樹脂組成物を、表面に易接着処理が施されていないPETフィルム上に塗布、硬化させてなることを特徴とするインサート成型用フィルム。
  3. 請求項2記載のフィルム上に装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施したインサート成型用フィルム。
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