JP2010229275A - 熱硬化型樹脂組成物およびインサート成型用フィルム - Google Patents

熱硬化型樹脂組成物およびインサート成型用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】プラスチックフィルムへの密着性に優れ、優れた表面硬度を有し、熱処理によって白化することがなく、インサート成型用フィルムの装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理の下塗り剤として適した熱硬化型樹脂組成物、及びこれを塗布、硬化させたインサート成型用フィルムを提供する。
【解決手段】ポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物であって、前記ポリオールの水酸基価が20〜35mgKOH/gであることを特徴とする熱硬化型樹脂組成物を、硬化膜厚が100nm以下となるようプラスチックフィルム上で塗布、硬化させることにより、インサート成型用フィルムを製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は熱硬化型樹脂組成物およびインサート成型用フィルムに関する。
近年、プラスチックフィルムはその加工性、透明性等に加えて、軽量、安価といったことから、ガラスに変わり自動車業界、家電業界を始めとして種々の産業で使用されており、最近ではプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイやタッチパネル、パーソナルコンピュータなどのディスプレイ用としても広く用いられている。プラスチックフィルムはガラスと比較して柔らかく、表面に傷が付き易い等の欠点を有している。この欠点を解消するために紫外線硬化型樹脂組成物等をプラスチックフィルムに塗工したハードコートフィルムが用いられている。
ハードコートフィルムの中でも、基材樹脂と一体成型できるように柔軟性に優れた樹脂を使用したタイプのものはインサート成型用フィルムと呼ばれており、インサート成型用フィルムと樹脂を一体成型することにより、成型体に簡便にハードコート層を形成できる。インサート成型は、成型体に直接ハードコート層を形成する場合に比べて、膜厚の制御が容易となったり、成型体毎にハードコート処理を行う必要がないため生産性を向上できる等の利点がある。
また、ハードコートフィルムにおいて、ハードコート層を形成した面とは逆の面に装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施して意匠性を付与することも行われている。この際、プラスチックフィルム上にダイレクトに印刷層や金属層を形成することは困難なため、プライマーやアンカーコート剤と称される下塗り剤が用いられている。
印刷層や金属層を形成したインサート成型用フィルムを製造しようとした場合、印刷や金属蒸着処理、さらにはインサート成型時の熱および応力に耐えうる下塗り剤を用いる必要があったが、このような下塗り剤はプラスチックフィルムへの密着性が悪く、プラスチックフィルムにさらに易接着層を設ける必要があった。しかしながら、易接着層は表層の平滑性が劣るため、印刷や金属蒸着した際に白ボケ感があり、また熱により白化してしまうため、金属蒸着時やその後の成型時の熱によっても白ボケ感が発生するという問題があった。このように、インサート成型用フィルムの装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理に適した下塗り剤は存在しなかった。
特許文献1には、成型体の金属蒸着のアンダーコート用組成物が開示されているが、これは既に成型された基材に直接アンダーコート剤を塗布し、さらに金属蒸着を行うものであるため、インサート成型に用いることはできない。
特許文献2には、基材上にアンダーコート層を形成し、さらに金属層を形成した表示体が開示されているが、この表示体はインサート成型のように屈曲させることを前提としたものではない。
特開2008−179693号公報 特開2007−241923号公報
本発明の課題は、プラスチックフィルムへの密着性に優れ、優れた表面硬度を有し、熱処理によって白化することがなく、インサート成型用フィルムの装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理の下塗り剤として適した熱硬化型樹脂組成物、及びこれを塗布、硬化させたインサート成型用フィルムを提供することである。また、本発明の更なる課題は、成型後に虹ムラが発生しにくいインサート成型用フィルムを提供することである。
請求項1記載の発明は、
ポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物であって、前記ポリオールの水酸基価が20〜35mgKOH/gであることを特徴とする熱硬化型樹脂組成物である。
請求項2記載の発明は、
前記請求項1記載の熱硬化型樹脂組成物を、プラスチックフィルム上で塗布、硬化させたことを特徴とするインサート成型用フィルムである。
請求項3記載の発明は、
前記塗布、硬化させた熱硬化型樹脂組成物の硬化膜厚が、100nm以下であることを特徴とする請求項2記載のインサート成型用フィルムである。
請求項4記載の発明は、
前記インサート成型用フィルム上に、装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施したことを特徴とする請求項2または3記載のインサート成型用フィルムである。
本発明の熱硬化型樹脂組成物は、プラスチックフィルムへの密着性に優れ、優れた表面硬度を有し、熱処理によって白化することがないため、インサート成型用フィルムの印刷および/あるいは金属蒸着処理の下塗り剤として適している。また、装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施した本発明のインサート成型用フィルムを用いて樹脂と一体成型することにより、成型体に簡便に意匠を付与できる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に用いる水酸基価(以下OH価)が20〜35mgKOH/gであるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール、カーボネートポリオール、カプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリオールのOH価が20mgKOH/gよりも低い場合、ポリイソシアネートとの反応性が悪く、硬化不良により十分な硬度が得られない。また、OH価が35mgKOH/gよりも高い場合、ポリイソシアネートとより密な架橋構造を形成し、硬化収縮により密着性が低下する。
ポリオールのガラス転移温度(以下Tg)は70℃〜120℃であることが好ましい。この範囲であれば、フィルム巻き取り時に擦れ傷やブロッキングが発生したり、PETフィルムとの密着性が低下する等の問題が発生しにくい。
前記条件を満たす市販品としては、VU−191(大日本インキ化学工業株式会社製、Tg94℃、OH価33mgKOH/g、商品名)、Q195−45(三井化学株式会社製、Tg84℃、OH価27mgKOH/g、商品名)、Q612(三井化学株式会社製、Tg79℃、OH価25mgKOH/g、商品名)等が挙げられる。
本発明に用いるポリイソシアネートは特に限定されず、例えばジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類のほか、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンメチルエステルジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート類の脂環式ポリイソシアネート類等を用いることができる。市販品としてはDN−981(大日本インキ化学株式会社製、商品名)D−120N、Dー170N、D−177N(三井武田ケミカル株式会社製、商品名)、コロネートHX(日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
ポリオールとイソシアネートの配合比は固形分重量比でポリオール100に対し、イソシアネートを1〜100とすることが好ましく、5〜50がより好ましい。
本発明の熱硬化型樹脂組成物には有機溶剤を添加することもできる。有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系、塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化炭化水素系、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤などが挙げられる。
その他、各種添加剤、例えば、硬化触媒、反応促進剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤、無機充填剤、カップリング剤、防腐剤、可塑剤、流動調整剤、増粘剤、pH調整剤等などを配合材料としてもよい。
本発明の樹脂組成物を塗布し、ハードコートフィルムとするために用いられるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッソ樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を挙げることができる。また、本発明の熱硬化型樹脂組成物はプラスチックフィルムに対する優れた密着性を有するため、プラスチックフィルムに易接着層を設ける必要がない。易接着層が不要となることで、印刷や金属蒸着後に白ボケが生じにくい。
本発明の熱硬化型樹脂組成物のプラスチックフィルムへの塗布方法については特に制限はなく、公知の方法、例えばグラビアコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ディッピング法などを用いることができる。また、熱硬化型樹脂組成物の硬化塗膜の厚みは、密着性の劣化や成型時にクラックが発生することを避けるため、1μm以下とすることが好ましい。さらに、硬化塗膜の厚みを100nm以下とすることにより、成型時の熱収縮等による虹ムラ模様の光干渉を回避することができる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物を表面に塗布、硬化させたインサート成型用フィルムに金属蒸着処理を行うことにより金属層を形成することができる。金属薄膜の例としてはアルミニウム、錫、亜鉛、金、銀、白金、ニッケル、クロムなどが挙げられる。
本発明の熱硬化型樹脂組成物を表面に塗布、硬化させたインサート成型用フィルムに印刷処理を施すことができる。印刷に使用できるインキとしては特に限定されることなく、例えば市販品としてはIPX−971、IPX−102、IPX−000(帝国インキ製造株式会社製)、JT−25(株式会社セイコーアドバンス)などが挙げられる。印刷の方法としては特に限定されることなく、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、ホットスタンプ印刷などが挙げられる。
以下、本発明について実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
実施例1
VU−191(大日本インキ化学工業株式会社製、固形分55%、Tg94℃、OH価33mgKOH/g、商品名)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%、商品名)18重量部を溶剤であるメチルエチルケトン中に溶解し、固形分が2%である熱硬化型樹脂組成物を得た。PETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、商品名)の無処理面に硬化膜厚が500nmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で140℃で90秒乾燥、硬化させることによって実施例1のフィルムを得た。
実施例2
実施例1において硬化膜厚が80nmとなるようにした以外は同様に行い、実施例2のフィルムを得た。
実施例3
実施例1において硬化膜厚が40nmとなるようにした以外は同様に行い、実施例3のフィルムを得た。
実施例4
Q195−45(三井化学株式会社製、固形分45%、Tg84℃、OH価27mgKOH/g、商品名)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%、商品名)15重量部を溶剤であるメチルエチルケトン中に溶解し、固形分が2%である熱硬化型樹脂組成物を得た。PETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、、商品名)の無処理面に硬化膜厚が80nmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で140℃で90秒乾燥、硬化させることによって実施例4のフィルムを得た。
実施例5
Q612(三井化学株式会社製、固形分50%、Tg79℃、OH価25mgKOH/g、商品名)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%、商品名)14重量部を溶剤であるメチルエチルケトン中に溶解し、固形分が2%である熱硬化型樹脂組成物を得た。PETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、商品名)の無処理面に硬化膜厚が80nmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で140℃で90秒乾燥、硬化させることによって実施例5のフィルムを得た。
比較例1
WXU−880(大日本インキ化学工業株式会社製、固形分50%、Tg90℃、OH価10mgKOH/g、商品名)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%、商品名)6重量部を溶剤であるメチルエチルケトン中に溶解し、固形分が2%である熱硬化型樹脂組成物を得た。PETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、商品名)の無処理面に硬化膜厚が80nmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で140℃で90秒乾燥、硬化させることによって実施例5のフィルムを得た。
比較例2
Q174(三井化学株式会社製、固形分50%、Tg85℃、OH価45mgKOH/g、商品名)100重量部、DN−981(大日本インキ化学株式会社製、固形分75%、商品名)25重量部の熱硬化型樹脂組成物を溶剤であるメチルエチルケトン中に溶解し、固形分が2%である熱硬化型樹脂組成物を得た。PETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、商品名)の無処理面に硬化膜厚が80nmとなるようにバーコート法で塗工し、熱風乾燥機で140℃で90秒乾燥、硬化させることによって実施例5のフィルムを得た。
参考例1
実施例2において塗工面をPETフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績株式会社製、商品名)の易接着処理面に塗工した以外は同様に行い、比較例3のフィルムを得た。実施例、比較例記載の各フィルムについて、以下の試験方法で評価を行い、結果を表1に示した。
Figure 2010229275
試験・評価方法
(1)耐傷付き性
ウェスによる表面摩擦試験(荷重50gf、ストローク幅30mm、10往復)後に傷の有無を目視観察により評価。○:傷0本、×:傷1本以上。
(2)フィルム密着性:JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験に基づき、塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認。剥がれなかったマス目を数える。
(3)ブロッキング
塗膜にPETフィルムを被せ、その上に1kgの重りを乗せて熱風乾燥機で80℃、30分の条件で放置後、ブロッキングの有無を確認。
(4)インキ密着性
塗膜上にIPX−971(帝国インキ製造株式会社)100重量部と220硬化剤(帝国インキ製造株式会社)15部を混合して得たインキをブレードコート法により15μm塗工し、熱風乾燥機で90℃、60分の条件で乾燥し、(2)と同様に密着性を確認。
(5)アルミニウム蒸着密着性
塗膜上に蒸着装置によりアルミニウム薄膜を形成し、(2)と同様に密着性を確認。
(6)アルミニウム蒸着後、加熱試験
上記によりアルミニウムを蒸着した後、180℃×2分加熱し、虹ムラの発生を目視により確認。○:虹ムラ発生無し、×:虹ムラ発生あり
(7)白ボケ感
(5)によりアルミニウムを蒸着した後、目視にてミラー感を確認。
○:ミラー感が優れる、×:白ボケ感がありミラー感が劣る
各実施例では、樹脂層とフィルム密着性および表面硬度に優れ、金属蒸着後の白ボケもなかった。特に実施例2〜5においては、成型を想定した条件においても虹ムラの発生がなく、インサート成型用フィルムとして適する。

Claims (4)

  1. ポリオールとポリイソシアネートを含有する熱硬化型樹脂組成物であって、前記ポリオールの水酸基価が20〜35mgKOH/gであることを特徴とする熱硬化型樹脂組成物。
  2. 前記請求項1記載の熱硬化型樹脂組成物を、プラスチックフィルム上で塗布、硬化させたことを特徴とするインサート成型用フィルム。
  3. 前記塗布、硬化させた熱硬化型樹脂組成物の硬化膜厚が、100nm以下であることを特徴とする請求項2記載のインサート成型用フィルム。
  4. 前記インサート成型用フィルム上に、装飾用印刷および/あるいは金属蒸着処理を施したことを特徴とする請求項2または3記載のインサート成型用フィルム。















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